(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記隣接する面発光パネルの内の、少なくとも一のパネルに接して、他のパネルに向かう方向を隣接方向として、該一のパネルの面内の、該隣接方向の一端に少なくとも1個、及び該隣接方向の逆方向の他端に少なくとも1個、の合計2個以上の前記樹脂製緩衝部材を備えることを特徴とする請求項1に記載の面状発光装置。
前記隣接する面発光パネルの隣接方向に配置されてなる一連、かつ、複数の前記面発光パネルを含むパネル列を含む請求項1、又は2に記載の面状発光装置であって、さらに、
該パネル列の該隣接方向の少なくとも一端に前記樹脂製緩衝部材を備え、かつ、その前記マイナス字「−」形状部分が、前記抑え面状部材、及び前記開口面状部材に挟持されてなることを特徴とする面状発光装置。
【背景技術】
【0002】
近年、白熱灯や蛍光灯に代わる照明装置として有機EL面状発光装置が注目され、多くの研究がなされている。ここで、有機EL面状発光装置は、薄く、且つ面状に発光する有機EL発光パネルをベゼル(フレーム、枠)などの筐体に収納したものである。
【0003】
有機EL発光パネルは、基材となるガラス基板や透明樹脂フィルム/金属シート等の基板上に、一方又は双方が透光性を有し対向する電極とその電極間に積層した薄膜有機発光層とからなる有機EL発光素子を形成したものであり、一般には、凹状に窪みを作った封止ガラスキャップや、この有機EL発光素子上に製膜した酸化又は窒化珪素などの無機絶縁膜、又はアクリル系樹脂等の有機絶縁膜などからなる封止膜で封止したものとされる。電極の間に電力を与えると、有機EL発光素子の中で電気的に励起された電子と正孔が再結合し、有機EL発光パネルは発光する。即ち、有機EL発光パネルは、薄くて軽く面状に発光する特徴を有する。
【0004】
このような有機EL発光パネルに代表され、この他、LEDを平面状に並べたり、LED及び拡散板を組み合わせたりして作製されるLEDパネルのような、面発光パネルを照明器具として用いるには、パネルの電極から外部電源等に接続するためFPC(フレキシブルプリント基板)やRPC(リジッドプリント基板)等のプリント基板(PCB)が必要となる。例えば基材の割れや欠けを防ぐために、また、基材の端部(エッジ)を指で触れた場合に発生する可能性のある創傷を防ぐために、何らかの筐体設置(ケーシング)を行い照明器具に組み立てる必要がある。また、組み立てられた照明器具は、その面発光パネルに含まれる発光素子の発光効率や、寿命や信頼性を向上の為、放熱、及び均熱を行う必要があり、発光時に高温となるLEDパネルではなおさらである。
【0005】
この様なケーシングの方法および構造として、特許文献1には、効率的に放熱でき、かつ簡易な構造で薄型化を図った照明器具として、面発光光源である有機EL発光パネルと、該有機EL発光パネルを装着する器具筐体とから構成され、器具筐体は、枠部と、フランジ部と、板バネとから構成され、枠部は、上面から下面にかけて貫通している開口部を有する枠体形状であり、フランジ部は、枠部の下端から開口部内周に沿うように形成され、有機EL発光パネルを上方から枠部の開口部に挿通すると、有機EL発光パネルがフランジ部に接触し、保持され、有機EL発光パネルは、発光面が器具筐体の開口部に臨む状態で保持され、電源を供給し有機EL発光パネルを発光させると、器具筐体の下面の開口から光が照射される照明器具が開示されている。
【0006】
一方、このような面発光パネルをその面内に複数枚並べて配置することで大面積の面状発光装置とすることについても検討が為されており、例えば、特許文献2には、面状光源としての有機EL発光素子の端面と支持部材としての基板の端面が実質的に同一面上に位置するようにすることで、有機EL発光素子を隙間なく配列し、光のむらの発生を抑制した照明器具が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、このような先行技術に鑑み、効率的に放熱でき、かつ、簡易な構造で薄型化を図った面状発光装置であって、しかも、面発光パネルをその面内に複数枚並べて配置することで大面積の面状発光装置とした照明器具を提供する、との課題を解決するために為されたものである。
【0009】
このような本発明の課題に対して、特許文献1の面状発光装置は、効率的に放熱でき、かつ、簡易な構造で薄型化を図ったものではあるものの、基本的に、1枚の面発光パネルを1つの器具筐体に保持した照明器具であり、この構造を、複数枚の面発光パネルを含む照明器具に適用した場合には、複雑かつ高価な器具筐体が必要となり現実的でないという問題がある。
【0010】
また、特許文献2の面状発光装置は、面発光パネルをその面内に複数枚並べ配置することで大面積の面状発光装置とした照明器具であるが、複数の面発光パネルをこれらの損傷を防止しつつ、効率的に放熱でき、かつ、簡易な構造で薄型化を図るという点からは検討の余地がある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは上記課題に鑑み鋭意検討した結果、面発光パネルをその面内に複数並べて配置しつつ、効率的に放熱でき、かつ、簡易な構造で薄型化を図る為には、照明器具メーカーの要望に答えられるよう、基本的に2枚の金属板で挟み込むように挟持しつつ、簡単な構造で、照明器具からその発光領域が露出するように複数枚の面発光パネルを保持可能な構造を提案する必要があると結論して、本発明を完成するに至った。
【0012】
即ち、本発明は、複数の光出射領域を有する発光面、及び裏面を両主面とする面状発光装置であって、該発光面側から該裏面側に順に、該複数の光出射領域の各々に対応する貫通開口として複数の光出射開口を有する一の開口面状部材、複数の面発光パネル、及び抑え面状部材を含み、さらに、少なくとも一組の隣接する該面発光パネルの間に樹脂製緩衝部材を備え、該樹脂製緩衝部材が、その断面構造として、コの字「コ」形状、及びマイナス字「−」形状が組み合わされてなる小文字エッチ「h」形状を含み、該コの字「コ」形状部分に、該隣接する面発光パネルの一方のパネルの端部が嵌入されてなり、かつ、該マイナス字「−」形状部分が、該隣接する面発光パネルの他方のパネルの発光面側及び裏面側から選ばれる群から選ばれる少なくとも一つの面に接することを特徴とする面状発光装置に関する。本発明において、好ましくは、前記面発光パネルは有機EL発光パネルであり、前記樹脂製緩衝部材は、その断面構造として、小文字エッチ「h」形状を有する。このように、本発明の面状発光装置は、特定の樹脂製緩衝部材を供えるパネル列が開口面状部材、及び抑え面状部材に挟持された構造を有する面状面状発光装置なので、面発光パネルをその面内に複数枚並べて配置した大面積面状発光装置であって、複数の面発光パネルをこれらの損傷を防止しつつ、効率的に放熱でき、かつ、簡易な構造で薄型化が図られた照明器具とすることができる。また、パネル配列時に隣接するパネルの面合わせ不要、かつ、隣接するパネルが一体的に開口面状部材上に保持可能で組み立て容易でもある。
【0013】
また、前記隣接する面発光パネルの内の、少なくとも一のパネルに接して、他のパネルに向かう方向を隣接方向として、該一のパネルの面内の、該隣接方向の一端に少なくとも1個、及び該隣接方向の逆方向の他端に少なくとも1個、の合計2個以上の前記樹脂製緩衝部材を備えることが好ましく、パネル毎に予め緩衝部材を嵌合可能で組み立て容易である。
【0014】
また、前記隣接する面発光パネルの隣接方向に配置されてなる一連、かつ、複数の前記面発光パネルを含むパネル列を含む面状発光装置とし、さらに、該パネル列の該隣接方向の少なくとも一端に前記樹脂製緩衝部材を備え、かつ、その前記マイナス字「−」形状部分が、前記抑え面状部材、及び前記開口面状部材に挟持されてなることが好ましく、パネル自身を直接開口面状部材、及び抑え面状部材に接触させることで挟持することが不要となるのでパネルの損傷を防止することができる。
【0015】
また、一の前記抑え面状部材が、平面視、少なくとも前記複数の光出射開口の全てを含む一の貫通開口として抑え面状部材開口を有し、かつ、前記複数の面発光パネルが、その各々が発光領域、及びその周囲の額縁領域を前記発光面側に有する有機EL発光パネルであり、同一形態を有する面状発光装置とし、前記パネル列の前記隣接方向の両端に前記樹脂製緩衝部材を備え、かつ、該両端の前記樹脂製緩衝部材の前記マイナス字「−」形状部分が、該抑え面状部材、及び前記開口面状部材に挟持されてなることが好ましく、抑え面状部材配置がパネル発光領域と貫通開口との位置合わせ兼ねるようにすることができる。
【0016】
また、前記開口面状部材の隣接する前記光出射開口の間の桟について、前記隣接方向の、該桟の幅Wが、前記額縁の幅の2倍(2w)に前記コの字「コ」形状部分の上面及び下面を連結する側面の厚み(t)を足した長さ(2w+t)に対して、±2mm以下の範囲内にあることが好ましく、光出射面積をほぼ発光面積と同じにすることができ面積効率が高く、外観に優れた面状発光装置とすることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の面状発光装置は、面発光パネルをその面内に複数枚並べ配置した大面積の面状発光装置であっても、複数の面発光パネルを、これらの損傷を防止しながら、効率的に放熱でき、かつ、簡易な構造で薄型化が可能な、面状発光装置である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について
図1〜8を参照しながら説明する。
【0020】
(面状発光装置)
図1は、本発明の面状発光装置100の一実施形態を示す断面図である。
【0021】
図2は、本発明の面状発光装置100の別の実施形態を示す断面図である。
【0022】
図3は、本発明の面状発光装置100のさらに別の実施形態を示す断面図である。
【0023】
図1に示すように、本発明の面状発光装置100は、複数の光出射領域を有する発光面、及び裏面を両主面とし、かつ、一の開口面状部材8、複数の面発光パネル1、樹脂製緩衝部材4、及び抑え面状部材9を含む面状、好ましくは板状の装置である。即ち、面状に広がった面を有していれば、必ずしも板状であること、即ち、平面であることを要さない。また、本発明の面状発光装置100は、その少なくとも一組の隣接する面発光パネル1の間の樹脂製緩衝部材4がその断面構造として、コの字「コ」形状、及びマイナス字「−」形状が組み合わされてなる小文字エッチ「h」形状を含み、コの字「コ」形状部分に、隣接する面発光パネルの一方のパネルの端部が嵌入されてなり、かつ、マイナス字「−」形状部分が、隣接する面発光パネルの他方のパネルの発光面側及び裏面側から選ばれる群から選ばれる少なくとも一つの面に接することを特徴とする。なお、
図2、及び
図3に示す実施形態においても、
図1と同様に発光領域2が存在するが、図示していない。
【0024】
本発明の面状発光装置100は、好ましくは、隣接する面発光パネル1の内の、少なくとも一のパネル1に接して、他のパネル1に向かう方向を隣接方向として、該一のパネル1の面内の、隣接方向の一端に少なくとも1個、及び隣接方向の逆方向の他端に少なくとも1個の合計2個以上の樹脂製緩衝部材4を備え、即ち、本発明の面状発光装置100に含まれる少なくとも一のパネルは、その一端に少なくとも1個、その他端に少なくとも1個の2個以上の樹脂製緩衝部材4を備える。
【0025】
本発明の面状発光装置100は、好ましくは、一連、かつ、複数の面発光パネル1を含むパネル列10を本発明に係る樹脂製緩衝部材4を用いて形成した後、このパネル列10を、本発明に係る開口面状部材8、及び本発明に係る抑え面状部材9で挟持し、これらの部材同士を、例えばネジで、結合することで製造することができる。
【0026】
本発明の面状発光装置100は、複数の後述する発光領域2から出射された光をその発光面側から放射する照明器具であり、具体的には、
図1に示すように、前記開口面状部材8に設けられた複数の光出射開口81であって、前記複数の光出射領域の各々に対応する貫通開口である光出射開口81から、その複数の面発光パネル1内の発光素子で生じた光を放射する照明器具である。ここで、面発光パネル1内で生じた光を有効に活用する観点から、平面視、前記発光領域2は、前記光出射開口81に含まれることが好ましい。
【0027】
本発明の面状発光装置100の発光面の外形については、その複数の光出射領域に比しコンパクトな照明器具ならしめる観点から、前記複数の光出射開口81全てを含む領域の外形と相似形であることが好ましく、その外形は、三角形、正方形を含む矩形、その他の多角形や、真円を含む楕円とすることができる。
【0028】
以下、本発明の面状発光装置100について、上述した各構成部材の詳細について説明しつつ、その製造方法についても説明する。
【0029】
(面発光パネル1)
図4、及び5は、本発明に係る面発光パネル1の一実施形態を示す斜視図である。
【0030】
本発明に係る面発光パネル1は、発光領域2を有する発光主面(
図4の下側、
図5の上側)、及び非発光主面(
図4の上側、
図5の下側)を両主面とする面状、好ましくは板状の部材であり、その内部に発光素子を有する。本明細書においては、この面発光パネル1について、当該発光素子が、有機EL発光素子を含む場合には有機EL発光パネルと呼称し、LED素子のみを含む場合にはLEDパネルと呼称する。
【0031】
前記非発光主面は、前記発光素子への給電の電気接続を容易ならしめるために、後述する封止がなされていない電極用給電パッド領域6を含むことが好ましく、また、前記発光素子への水分等の浸入を防止することで長寿命かつ高信頼性を確保する観点から、平面視、少なくとも前記発光領域2を含む領域に亘って連続する後述する封止がなされた封止領域7を含むことが好ましい。
【0032】
このような本発明に係る面発光パネル1の内の、簡単安価な内部配線で柔らかい面発光を単一の発光素子で実現でき、かつ、軽く、薄いパネルとすることが可能であることから好ましい実施態様である、有機EL発光パネル1について詳述すると以下の通りである。
【0033】
(有機EL発光パネル1)
本発明に係る有機EL発光パネル1は、その各々が、その発光主面に発光領域2、及びこれを取り囲み周囲に存在する額縁領域3を有し、即ち、本発明に係る発光面側にこれらの領域を有する面状、好ましくは板状の部材である。各々のパネルの前記額縁領域3の幅w、即ち、発光領域2の額縁領域3との境界線の垂線における、当該境界線及び当該垂線の交点からパネル1の側辺及び当該垂線の交点までの距離wは、見栄えよく、光出射に寄与する面積が広い、即ち、面積効率が高い発光面を有する面状発光装置100とする観点から、0.5mm以上、50mm以下であることが好ましく、より好ましくは1mm以上、25mm以下であり、さらに好ましくは、2mm以上、10mm以下であり、特に好ましくは、発光領域2の全周においてほぼ等しい値とすることである。今後明細書においては、このような幅wの平均値を、同じく幅wと表記することとする。
【0034】
また、本発明に係る有機EL発光パネル1は、面積効率を高める観点から、発光素子として、パネル外部から直接給電される等電位電極が対向する正負1組のみである有機EL発光素子5を1個だけ含むパネルであることが好ましい。
【0035】
さらに、本発明の面状発光装置100は、同一形態を有する有機EL発光パネル1をその複数の面発光パネル1として含むことが好ましく、同形状の光出射開口81を有する外観に優れる面状発光装置100を、共通のパネル1や樹脂製緩衝部材4を用いて安価に製造できる。
【0036】
前記有機EL発光素子5は、例えば、透明性および封止性の観点から好ましい基材であり、かつ、発光素子に対して前記発光主面側に位置することとなるガラス基板等の基板上に、所定の形状で、透光導電性陽極層、有機化合物を含有する発光層を含む複数の薄膜が積層されたものである機能層、及び金属陰極層を形成したものである。好ましくは、このようにして形成された有機EL発光素子5は封止される(いずれも図示せず)。
【0037】
さらに、このような有機EL発光パネル1には、輝度や色や角度依存の光学特性向上ため、前記発光主面側の少なくとも前記発光領域2を含む領域の最表面、即ち、例えば、前記ガラス基板の光射出側に光学機能体を備えることが好ましい。
【0038】
この光学機能体を形成する方法としては、ガラス表面にアクリル等からなる樹脂を塗ってナノインプリントする方法やガラスビーズを含んだ樹脂をスプレーコートやスリットコートする方法があるが、一表面に微小な凹凸構造をもち、他表面に粘着材が付いた樹脂フィルム(光学フィルム)を、その一表面が前記最表面となるようにガラス表面に貼ることが好ましく、この光学フィルムは光散乱性であることがより好ましい。また、この光学フィルムの貼り付けは、フィルム表面にキズが付かないよう、有機EL発光パネル1形成後で、本発明に係るパネル列10形成前でもよいし、後でもよく、本発明に係る開口面状部材8及び抑え面状部材9による挟持の後でもよい。
【0039】
(パネル列10)
本発明に係るパネル列10は、このようにして作製した面発光パネル1を用いて形成され、隣接する面発光パネル1を隣接方向に配置することで、一連、かつ、複数の面発光パネル1を含む。
【0040】
本発明に係るパネル列10は、そのパネル列10の前記隣接方向の少なくとも一端に樹脂製緩衝部材4を備えることが好ましく、その樹脂製緩衝部材4のマイナス字「−」形状部分42が抑え面状部材9、及び開口面状部材8に挟持されてなるようにすることで、本発明の面状発光装置100を構成することができる。このような構造では、パネル列10自身を開口面状部材8、及び抑え面状部材9による直接接触で挟持することが不要となり、樹脂製緩衝部材4の緩衝作用により、パネル1の損傷を防止とすることができる。より好ましくは前記隣接方向の両端に前記樹脂製緩衝部材4を備えるようにし、同様に、両方の樹脂製緩衝部材4のマイナス字「−」形状部分42が、抑え面状部材9、及び開口面状部材8に挟持されてなるようにすることであり、抑え面状部材9の配置により、パネル1の発光領域2と前記光出射開口81との位置合わせが、同時になされるようにできるので、装置100の組み立てが簡便になる。
【0041】
(開口面状部材8)
図6は、本発明に係る開口面状部材8の一実施形態を示す平面図である。
【0042】
本発明に係る開口面状部材8は、本発明の面状発光装置100の全ての光出射領域を含む1つの面状、好ましくは板状の部材であり、複数の前記光出射領域の各々に対応する貫通開口として複数の光出射開口81を含み、本発明に係る抑え面状部材9を係止する為の部位、例えばネジ孔、及び、前記貫通開口を除き、表面に凹凸を含まないことが好ましい。
【0043】
また、本発明に係る開口面状部材8を構成する材料としては、金属や樹脂、木材、ガラス、これらを組み合わせたもの等、各種材料を用いることができるが、対高温・対燃焼等の安全性や見栄えの観点から金属板をベース材とするものであることが好ましい。錆び難さの観点から、より好ましくは、表面に電気亜鉛めっきを施した鋼板、ステンレス鋼板、及びアルミニウム板であり、これらベース材、特に、その発光面となる側に、塗装を施したり化粧樹脂シートを接着したりすることもできる。
【0044】
このような本発明に係る開口面状部材8の厚みとしては、本発明に係る面発光パネル1を有機EL発光パネル1とした場合に、その軽さ薄さの特徴を十分に活かした面状発光装置100とする観点、及び、そのような損傷を受けやすいパネル1を十分に保護する観点から、0.1mm以上、5mm以下とすることが好ましく、より好ましくは0.2mm以上、2.5mm以下とすることであり、さらに好ましくは0.5mm以上、2.0mm以下とすることである。
【0045】
さらに、本発明に係る開口面状部材8は、前記複数の光出射開口81の互いに隣接する複数の光出射開口81の間に桟82を含み、前記桟82の幅Wである前述の隣接する複数の光出射開口81の間隔は、前記パネル列10の各々のパネルの発光領域2が、対応する光出射開口81と対応するように設定される。そして、上述のように、本発明の面状発光装置100が、その好ましい実施態様として、同一形態を有する有機EL発光パネル1をその複数の面発光パネル1として含む場合には、複数の前記光出射開口81は同一形状とすることが好ましく、また、隣接する光出射開口81の間の桟82の幅Wは、後述する本発明に係る樹脂製緩衝部材4のコの字「コ」形状部分41の上面及び下面を連結する側面の厚みをtとして、長さ(2w+t)に対して±2mm以下の範囲内にあることが好ましく、±1mm以下であることがより好ましい。ここで、2wは、額縁の幅wの2倍であり、より好ましくは、このwは平均値のwであり、さらに好ましくは、全発光領域2に対して一定のwである。
【0046】
(樹脂製緩衝部材4)
図7は、本発明に係る樹脂製緩衝部材4の一実施形態を示す斜視図である。
【0047】
本発明に係る樹脂製緩衝部材4は、少なくとも一組の隣接する面発光パネル1の間に配置され、隣接する面発光パネル1同士、又は面発光パネル1と開口面状部材8、若しくは抑え面状部材9との間で、局所的な圧迫が生じてパネル1が損傷することを防止しつつ、それを介して、隣接する面発光パネル1、又はパネル列10を、開口面状部材8、及び抑え面状部材9で挟持することで、同様に、パネル1が損傷することを防止しつつ、パネル1を本発明の面状発光装置100に係止する緩衝材としての機能を発揮する部材である。前記緩衝機能を十分に発揮せしめる観点から、全てのパネル1は、この樹脂製緩衝部材4を介してのみ開口面状部材8、及び抑え面状部材9と接することが好ましく、また、全ての隣接するパネル1は、この樹脂製緩衝部材4を介してのみ接することが好ましい。
【0048】
本発明に係る樹脂製緩衝部材4の詳細構造について
図7を参照しつつ説明すると以下の通りである。
【0049】
本発明に係る樹脂製緩衝部材4は、断面構造として、小文字エッチ「h」形状を含み、この小文字エッチ「h」形状は、コの字「コ」形状(41)、及びマイナス字「−」形状(42)が組み合わされてなる。両側をコの字「コ」形状とすることもできる。このコの字「コ」形状部分41に、隣接する面発光パネル1の一方のパネル1の端部を嵌入し、このマイナス字「−」形状部分42上に、隣接する面発光パネルの他方のパネルの発光面側及び裏面側から選ばれる群から選ばれる少なくとも一つの面を載置することで、本発明に係るパネル列10は形成されている。本発明の面状発光装置100の好ましい製造方法として、予めパネル列10を形成した後、その後、これを開口面状部材8、及び抑え面状部材9で挟持する場合には、簡便にパネル列10を形成可能とするために、前記断面構造は、小文字エッチ「h」形状を有することが好ましく、「コ」形状部分41に前記一方のパネル1の端部を嵌入した後であっても、前記他方のパネルを、「−」形状部分42上に、そのまま上方から載置可能となる。
【0050】
また、本発明に係る樹脂製緩衝部材4を構成する材料としては、緩衝機能を有する樹脂材料であれば各種材料を用いることができるが、本発明に係る面発光パネル1を有機EL発光パネル1とした場合に、その軽さ薄さの特徴を十分に活かした面状発光装置100とする観点、及び、そのような損傷を受けやすいパネル1に対して十分な前記緩衝機能を発揮せしめる観点から、前記断面「コ」形状部分41の「コ」形状開口を含む全厚みYを0.5mm以上、5mm以下とすることが好ましく、より好ましくは3.0mm以下とすることであり、さらに好ましくは2.0mm以下とすることであり、前記「−」形状部分42の厚みy、即ち、素材そのものの厚みを、0.1mm以上、2mm以下とすることが好ましく、より好ましくは0.2mm以上、1mm以下とすることであり、即ち、樹脂シート状の素材を用いることが好ましい。
【0051】
さらに、本発明に係る樹脂製緩衝部材4の外観の
図7中のXの長さは、本発明に係る面発光パネル1を有機EL発光パネル1とした場合に、その軽さ薄さの特徴を十分に活かしつつ十分にパネル1を保持可能とする観点から、3mm以上、60mm以下とすることが好ましく、より好ましくは6mm以上、30mm以下とすることである。
【0052】
さらに、本発明に係る樹脂製緩衝部材4の外観の
図7中のZの長さは、本発明に係る面発光パネル1を有機EL発光パネル1とした場合に、その軽さ薄さの特徴を十分に活かしつつ十分にパネル1を保持可能とする観点から、2mm以上、200mm以下とすることが好ましく、より好ましくは100mm以下とすることである。
【0053】
さらに、本発明に係る樹脂製緩衝部材4は、
図7中のtとしてその厚みが表される前記「コ」形状部分41の上面及び下面を連結する側面を有し、当該側面は、前記Xの長さの中において、ほぼ中央にあることが好ましく、その厚みは、前述の「−」形状部分42の厚みy、即ち、素材そのものの厚みと同様とすることが好ましい。
【0054】
本発明の面状発光装置100を製造するための部品の種類数を少なくする観点から、本発明に係る樹脂製緩衝部材4はその全てを、同一素材であることが好ましく、より好ましくは同一のものとすることである。
【0055】
(抑え面状部材9)
図8は、本発明に係る抑え面状部材9の一実施形態を示す平面図である。
【0056】
本発明に係る抑え面状部材9は、本発明に係る開口面状部材8に本発明に係る面発光パネル1を係止する機能を有する面状、好ましくは板状の部材であり、本発明に係る樹脂製緩衝部材4を介してのみ前記係止をすることがより好ましく、本発明に係る開口面状部材8に前記係止する為の部位、例えばネジ孔、及び、必要に応じ設ける後述する貫通開口を除き、表面に凹凸を含まないことが好ましい。
【0057】
また、本発明の面状発光装置100を軽くする観点、材料コストを削減する観点、及び本発明に係る放熱の効果をより効果的に奏さしめる観点から、本発明に係る開口面状部材8は、平面視、少なくとも複数の光出射開口81の全てを含む一の貫通開口として抑え面状部材開口91を含むことが好ましい。
【0058】
また、本発明の面状発光装置100を製造する際、部品の点数を少なくする観点、及びその工程を簡便にする観点から、本発明の面状発光装置100は、抑え面状部材9を一つのみ含むことが好ましい。
【0059】
このような本発明に係る抑え面状部材9については、様々な形態を用いることができ、例えば、
図2に示すように、複数の貫通開口を有するものとしたり、
図3に示すように、本発明に係る樹脂製緩衝部材4より裏面側に突出しない部材としたりすることができる。このような裏面側に突出しない部材とした場合には、さらに本発明の面状発光装置100を薄くできるので好ましい。
【0060】
また、本発明に係る抑え面状部材9を構成する材料としては、金属や樹脂、木材、これらを組み合わせたもの等、各種材料を用いることができるが、対高温・対燃焼等の安全性や見栄えの観点から金属板をベース材とするものであることが好ましい。錆び難さの観点から、より好ましくは、表面に電気亜鉛めっきを施した鋼板、ステンレス鋼板、及びアルミニウム板である。
【0061】
このような本発明に係る抑え面状部材9の厚みとしては、本発明に係る開口面状部材8と同様である。
【実施例】
【0062】
以下、本発明の具体的な実施例について説明する。
【0063】
(実施例)
(1)有機EL発光パネル1の作製
透明導電性金属酸化物膜ITOが製膜されたガラス基板であって、その外形が90mm×90mm、その厚みが0.7mmであるガラス基板を用い、以下の手順で本発明に係る面発光パネル1として、80.4mm×80.4mmの発光領域2の全周において等しい額縁領域3の幅w=4.8mmを有する同一形態の3個の有機EL発光パネル1を作製した。
【0064】
最初に、前記ガラス基板上に、以下の透明導電性陽極層、及び、陰極用給電パッド部を、前記ITO膜をウェットエッチング法にてパターニングすることで形成することで有機EL発光素子形成用基板を準備した。
【0065】
次に、この有機EL発光素子用基板の上に、機能層として、順に正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、及び電子注入層を所定のマスクを用いて真空蒸着法で積層し、その上にアルミニウムからなる金属陰極層を所定のマスクを用いて真空蒸着法で積層して有機EL発光素子5を形成した。
【0066】
次に、この有機EL発光素子5上に、所定のマスクを用いCVD法でシリコン窒化膜を製膜し、続いてポリシラザンをスプレー法にて塗布し焼成して封止層を形成することで封止した。
【0067】
次に、この封止された有機EL発光素子上に、粘着材付きPETからなる保護フィルムを貼り付け、有機EL発光パネル1を作製した。
【0068】
(2)パネル列10の形成
このようにして作製した3個のパネル1と8個の樹脂製緩衝部材4とからパネル列10を構成した。
【0069】
ここで用いた樹脂製緩衝部材4は、PET樹脂シート素材で形成された樹脂製緩衝部材4であって、
図7における各値が、X=8.2mm、Y=1.2mm、Z=20mm、y=0.2mm、t=0.2mm(即ち、
図7の「コ」形状部分41の右下面にて折り返した部材であって、その部分の厚みがシート厚みの2倍の0.4mmとなっている部材)であり、厚みtの側面がXの長さのほぼ中央にある部材である。
【0070】
(3)面状発光装置100の製造
このようにして形成したパネル列10を、
図1に示すように、1個の1mm厚みのステンレス製開口面状部材8上に載置した後、さらに上から1個の1mm厚みのステンレス製抑え面状部材9を載置することで、パネル列10をこれらで挟持し、これらの部材8、及び9の4隅のネジ孔をネジで結合することにより、本発明の面状発光装置100を製造した。
【0071】
作製した面状発光装置100の外形は290mm×110mmである、その厚みは、3.2mmであった。なお、使用したステンレス製開口面状部材8は、2つの桟82であって、その幅Wが、2w+t、即ち、10mmである桟を有し、これらが、均等に配置された3個の光出射開口81であって、発光領域2と同一の形状である80.4mm×80.4mmの形状の光出射開口81の間に配置されたものである。
【0072】
このようにして作製した面状発光装置100を点灯すると、面発光パネルをその面内に複数枚並べて配置することで大面積の面状発光装置とし、かつ、簡易な構造で薄型化を図ったものであるが、問題なく、優れた外観で点灯し、かつ、放熱性も優れており、安全性が十分に確保可能な照明器具であることが判る。