(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6527857
(24)【登録日】2019年5月17日
(45)【発行日】2019年6月5日
(54)【発明の名称】配電グリッドにおける非技術的損失
(51)【国際特許分類】
H04Q 9/00 20060101AFI20190527BHJP
H02J 13/00 20060101ALI20190527BHJP
【FI】
H04Q9/00 311H
H02J13/00 301B
【請求項の数】7
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-519676(P2016-519676)
(86)(22)【出願日】2014年6月13日
(65)【公表番号】特表2016-523480(P2016-523480A)
(43)【公表日】2016年8月8日
(86)【国際出願番号】US2014042300
(87)【国際公開番号】WO2014201348
(87)【国際公開日】20141218
【審査請求日】2017年6月12日
(31)【優先権主張番号】61/834,567
(32)【優先日】2013年6月13日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515227464
【氏名又は名称】アストロリンク インターナショナル エルエルシー
(73)【特許権者】
【識別番号】515227475
【氏名又は名称】ドミニオン エナジー テクノロジーズ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ベルンハイム ヘンリック エフ.
(72)【発明者】
【氏名】ハンセル ジェリット エイチ.
(72)【発明者】
【氏名】マーティン マルシア レイド
【審査官】
寺谷 大亮
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2012/0062210(US,A1)
【文献】
特開2012−235457(JP,A)
【文献】
国際公開第2013/030937(WO,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2012/0265355(US,A1)
【文献】
特開平01−106652(JP,A)
【文献】
特開2011−234367(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J13/00
H03J 9/00−9/06
H04Q 9/00−9/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
配電グリッドにおける電力の窃盗を検出するためのシステムであって、
サービス配電変圧器の低電圧側に接続されるように構成された第1の通信用メータであって、前記サービス配電変圧器の前記低電圧側にある第2の通信用メータと通信して変圧器エリアネットワークを形成するように構成された、第1の通信用メータを備え、
前記第1の通信用メータは、
前記第1の通信用メータにおける電流、電圧及び時間を周期的に測定及び記録するように構成された測定エージェントと、
監視エージェントであって、
測定電流、測定電圧、タイムスタンプ、及び前記第2の通信用メータを識別する固有の識別子を含む、前記第2の通信用メータからの送信を受信し、
前記第1の通信用メータにおける測定された電流に基づいて、第1の調整された電圧降下を判定し、
前記第2の通信用メータにおける測定された電流に基づいて、第2の調整された電圧降下を判定し、
前記第2の調整された電圧降下が前記第1の調整された電圧降下を所定の閾値分より上回ることを判定し、
前記第2の通信用メータを識別し且つ考えられる電力の窃盗を示すメッセージを、グリッドマップデータベースを利用できるデータセンタ内でホストされるソフトウェアアプリケーションを備える演算装置に送信するように構成された、監視エージェントと、
を備える、システム。
【請求項2】
請求項1に記載のシステムであって、
前記通信用メータは、リモートである、システム。
【請求項3】
請求項1に記載のシステムであって、
ワイドエリアネットワークを通じてメッセージを送信するように構成された少なくとも1つの前記通信用メータは、リモートハブである、システム。
【請求項4】
請求項1に記載のシステムであって、
前記変圧器エリアネットワークは、放射状トポロジを有する、システム。
【請求項5】
請求項1に記載のシステムであって、
前記変圧器エリアネットワークは、バストポロジを有する、システム。
【請求項6】
請求項1に記載のシステムであって、
グリッドマッピングエージェントは、前記変圧器エリアネットワークの少なくとも1つの通信用メータ上でホストされる、システム。
【請求項7】
配電サービス変圧器の低電圧側で、未認可の非測定タップを検出するための方法であって、
プロセッサ装置を備え、前記配電サービス変圧器の低電圧側において配電グリッドに接続された第1の通信用メータによって、前記第1の通信用メータにおける電流、電圧、及びタイムスタンプを記録することと、
変圧器エリアネットワークを介して、前記第1の通信用メータにより、前記配電サービス変圧器の前記低電圧側において前記配電グリッドに接続された第2の通信用メータから、前記第2の通信用メータにおける電流、電圧、及びタイムスタンプを含む送信を受信することと、
前記第1の通信用メータにより、前記第1の通信用メータにおける測定された電流に基づいて、第1の調整された電圧降下を判定することと、
前記第1の通信用メータにより、前記第2の通信用メータにおける測定された電流に基づいて、第2の調整された電圧降下を判定することと、
前記第1の通信用メータにより、前記第2の調整された電圧降下が前記第1の調整された電圧降下を所定の閾値分より上回ることを判定することと、
前記第1の通信用メータにより、前記第2の通信用メータを識別し且つ考えられる電力の窃盗を示すワイドエリアメッセージを、データセンタにおける演算装置に送信することと、
を備える、方法。
【発明の詳細な説明】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本願は、2013年6月13日に出願された米国仮特許出願第61/834,567号の利益を主張し、その開示は、参照により、その全体が本明細書に援用される。
[発明の分野]
本発明は、配電を最適化するためのオングリッド通信のアプリケーションに関し、具体的には、サービス変圧器エリアネットワークにおいて発生する非技術的損失のリアルタイム識別及び位置特定に関する。
[発明の背景]
配電変電所は、高い送電線レベル(通常130kV〜700kV)から、配電サービスエリア内の需要家に電力が分配される中間電圧レベル(通常4kV〜約35kV)まで電圧を降圧する1つ又は複数の変電所変圧器を含む。配電グリッドのエッジにおいて、多数のサービス変圧器があり、サービス変圧器は、配電グリッドの中間電圧を、商業用、産業用、及び家庭用需要家にとって必要とされる低電圧(米国では、通常、120、208、240、277、又は480)に変換する。これらのうちのいくつかに加えて他の電圧は、世界の他の場所で使用され得る。各サービス変圧器は、1つ又は複数の被測定負荷に電力を供給する。負荷は、住宅、商業用又は産業用建物、例えば一連の街路灯等の地方自治体のインフラストラクチャの要素、又は、例えば灌漑システム等の農業用装置である可能性がある。
【0002】
需要家負荷と、関連するメータとをサービス変圧器に接続するワイヤを除いて、サービス変圧器は、実際に電力が需要家に送られる前の配電グリッドの最も外側の要素である。メータは、通常、サービス変圧器からの電力が需要家に送られる箇所に取り付けられる。サービス変圧器は、メータもそうであり得るように、3相、2相、又は単相であり得る。本明細書で、サービス変圧器から少なくとも2つの通信用電気メータの集合体までを含む電気装置の集合体は、変圧器エリアネットワーク(TAN)と称される。TANは、例えば米国で一般的であるように放射状トポロジを有し得るか、又は、ヨーロッパ及び世界の他の場所でより一般的であるリニア又は「バス」トポロジを有し得る。
【0003】
昔からメータを読み取ることは、電気会社が負担する最大の運転コストのうちの1つであった。元々の電気メータは、視覚的読出部を有するアナログデバイスであり、アナログデバイスは、公共料金請求プロセスを行うため、毎月手作業で検査されなければならなかった。1970年代の初め、メータデータをデジタル化し、その収集を自動化するためのメカニズムが展開され始めた。これらのメカニズムは、ウォークバイシステム又はドライブバイシステムから進化しており、ウォークバイシステム又はドライブバイシステムでは、メータが、その現在の測定値を短距離無線信号を使用してブロードキャストすることになっていて、その短距離無線信号は、メータを読み取る人が携行するデバイスによって受信されていた。これらの初期のシステムは、自動化メータ読み取りシステム、すなわちAMRとして知られていた。後に、メッシュ構成の短距離RF中継器と、集められた測定値を転送するための広帯域バックホール手段を備える収集箇所との組み合わせを一般に使用する種々の専用のデータ収集ネットワークが展開され始めた。
【0004】
これらのネットワークは、高度計測インフラストラクチャ、すなわちAMIと一般的に呼ばれており、電力事業サービスセンタにおける「計測ヘッドエンド」と、このデータ収集ネットワークのエッジにおけるメータとの間で双方向通信が可能であった。AMIは、頻繁に、通常、15分ごと程度の頻度で測定値を収集及び格納することができ、また、それら測定値をほぼその頻度で報告することができる。AMIは、この特徴が控えめに使用される場合、要求に応じてどのメータも読み取ることができ、また同様に、要求に応じてどのメータも接続又は切断することができる。AMIメータは、エネルギー節約、要求管理、及び可変レート請求のために信号を需要家デバイスに渡すことができる。AMIネットワークが、メータにおける交差部を除いて、配電グリッドから分離しているため、AMIメータは、グリッドトポロジの変化又はグリッド上のある条件の変化を認識することも、感知することもない。それでも、AMIの導入は、一般的に、分散スマートグリッドの始まりであると考えられている。更に、米国のAMIで通常使用されるメッシュアーキテクチャのために、個々の電気メータが当該電気メータ自体のデータを送信するために利用可能な帯域幅が非常に制限されている。
【0005】
世界のあらゆる場所における通常の配電グリッドによって生成される請求可能な総キロワット時は、請求期間にわたって配電変電所で測定される、配電される実際の電力より実質的に低い。電力の損失は、2つのグループに分類することができる。技術的損失は、配電インフラストラクチャの全体インピーダンスから生じ、また、負荷の集合体が必要とするものとグリッドが各負荷箇所で生成するものとの間の力率の不一致から生じ、また、予測できないピーク負荷中に瞬時電力低下が起こらないことを保証するため過剰供給電圧を利用することから生じる。事業者は、これらの技術的損失を最小化するように働くことはできるが、一部の技術的損失は不可避である。
【0006】
(収益と対照的に)実際の電力量の非技術的損失は、メータを改ざんすることによって、又は被測定負荷箇所上で電力線をタッピングすることによって、測定プロセスを回避又は妨害する需要家による電力窃盗から生じる。非技術的収益損失はまた、需要家による請求書の未支払い及び事業者による会計ミスを含む。しかしながら、これらのタイプの収益損失は、高度計測インフラストラクチャと統合されたメータデータ管理システムによって対処される。これらの自動化システムは、事務的な誤りを防止する能力、未払い需要家に対してサービスを即座に打ち切る能力、及び不十分な支払い履歴を有する需要家に前払い請求プランに入るように要求する能力を有する。AMIは、1つの電気メータと別の電気メータとのグリッド配線図関係と、電気メータとこの電気メータに電力を供給するサービス変圧器との間の関係とに関する情報をほとんど又は全く提供しないため、電力窃盗のソースを特定するのにほとんど価値がない。一部のスマートメータは、改ざんの検出及び報告を行うことができる。他方、メータを読み取る人が近郊地域に存在しないことは、違法なタップが目撃され、報告されることになる機会を減らす。
【0007】
電力窃盗の社会的コスト及び財政的コストは非常に変動し得る。発展途上国世界において、これらのコストは、非常に高く、時として、変電所から送られる電力の50%を超える。インドでは、インドのマハラシュトラ州電気規制委員会(MERC)によれば、例えば、主要な個人事業者(リライアンス及びタタ)は、約10%の非技術的損失を報告するが、国有公益事業者は、ほとんどの場合、30%を超える損失を有する。
【0008】
先進国世界において、窃盗による損失は、総発電コストの比較的小さな割合を表している。米国において、窃盗による損失は、昔から収益の1〜3パーセントと推定されてきたが、この数字は、不況期の間、増加する。
【0009】
電力窃盗は、安全性及びサービスの質の問題並びに経済的問題を表している。応急的な電力タップは、危険であり、また、負傷また更に死をもたらすことが多い。更に、応急的なタップは火災の危険を表す。最も有意には、配電グリッドの結果的に得られる予測できない負荷は、変圧器火災及び爆発をもたらす可能性があり、それが、危険な状況をもたらすだけでなく、大規模停電をももたらす可能性がある。
【0010】
電力窃盗を検出するための先行技術の方法は、3つのカテゴリに分割され得る。1つのカテゴリは、メータにおける電圧及び電流を、例えば近郊地域用のサービス配電変圧器等の、送出の原点における電圧及び電流と比較することを含む。原点と各メータとの間の低電圧線の抵抗に起因する技術的損失は、所定の量より小さいと推定されるため、所定の量を超える電力損失のいずれの差も、窃盗又は配線欠陥のいずれかに起因すると推定され得る。(参照により本明細書に援用される)「System and Method for Single and Multizonal Optimization of Utility Services Delivery and Utilization」という名称の米国特許出願公開第2012/0265355号は、この種類のシステムを記載し、サービス変圧器におけるインテリジェントソフトウェアエージェントが、変圧器における測定値と、電気メータに位置付けられるか又は電気メータに組み込まれる他の計器からの測定値との双方を収集する。窃盗検出は、このシステムのアプリケーションのうちの1つとして述べられる。しかしながら、変圧器にエージェント及び計器を設置することを含むシステムは、変圧器にデバイスを全く必要としなかったシステムであることよりも望ましくない。その理由は、変圧器が、メータのソケットと比べて物理的にはるかにアクセス可能ではなく、また、変圧器ハウジングの内部に又は変圧器の高電圧側に器具類を追加することによって変圧器を改良することには、費用がかかり、また更に危険である可能性があるからである。
【0011】
第2のカテゴリは、被測定負荷のメータの外側、及び被測定負荷の施設の内部で電流及び電圧を測定することを含む。メータを介して送られるよりも多くの電力がその施設で使用されている場合、電力は施設で局所的に生成されているか、又は、メータがバイパスされているかのいずれかである。この種類の方法は、公益事業者にとって問題がある。その理由は、サービス事業者が、通常、被測定負荷の内部からデータへのアクセスを有していないからである。需要家は、施設の内部におけるデバイスの設置に同意しなければならないであろう。
【0012】
第3のカテゴリは、測定されないタップを設置するため配電線を改ざんすることによって引き起こされる、電力使用量の瞬時変化又は小規模停電を検出することを含む。このカテゴリのメカニズムは、不十分である。その理由は、改ざんが、例えば合法の停電又はサービスの中断等の大きな事象によって隠される可能性があり、また、改ざんが多くの誤検出を生成すると思われるからである。
[発明の概要]
本発明は、改ざん箇所が特定のサービス変圧器の低圧側で起こったと判定され得るように、電力窃盗をリアルタイム又はほぼリアルタイムに検出及び報告するための装置及び方法である。メータ改ざんの場合、関係する特定の1つ又は複数のメータが識別され得る。本発明は、サービス送出箇所における変圧器(サービス変圧器)の器具類を必要としない。測定を実施して、測定結果を収集し、収集されたデータを処理して、電力窃盗の証拠を発見する、全ての計器及びインテリジェントエージェントは、計器及びインテリジェンスがとにかく存在すると思われる場所で、電気メータに位置付けられる。これは、メータソケットが通常容易にアクセス可能である点で、また、スマートメータが、ソフトウェアエージェントをホストするためのメモリ及びプロセッサを既に含み、本発明の方法によって使用される測定の多くを行う機能を既に有するため、また、固有の計器、通信機能、及び/又はメモリ及び処理機能が本明細書に記載された方法をサポートするのに不十分である場合に、ほとんどのスマートメータが追加の回路基板を収容するように設計されるため、有利である。
【0013】
参照により本明細書に援用される、「A System and Method for inferring Schematic and Topological Properties of an Electrical Distribution Grid」という名称の米国特許出願第13/871,944号は、長距離(エッジ−変電所間)オングリッド送信機及び同様に短距離(低電圧のローカル−サービス変圧器間)オングリッド送受信機によってスマートメータを増強することを述べている。短距離と長距離との双方のオングリッド送信機能を有するスマートメータは、リモートハブと呼ばれる。短距離オングリッド送信機能だけを有するスマートメータは下位リモートと呼ばれる。リモートという用語は、下位リモートとリモートハブとの双方を総称的に指すのに使用される。1つのリモートハブを有するとともに、下位リモートを有していないか、あるいは複数の下位リモートを有するサービス変圧器は、変圧器エリアネットワーク、つまり、TANとして定義される。更に、その出願は、リモートハブから送信される長距離メッセージの特徴に基づいてリモートハブに電力を供給する給電線及び位相を決定するための方法を開示している。
【0014】
同様に参照により本明細書に援用される、「Methods for Discovering, Partitioning, Organizing, and Administering Communication Devices in a Transformer Area Network」という名称の米国特許出願第13/888,102号は、TAN内の全てのリモートハブ及び下位リモートが、実際には、同じサービス変圧器によって電力を供給されることを保証し、多相変圧器の場合に、どのリモートがリモートハブとして同じ位相上にあるか、また、どのリモートが異なる位相上にあるかを決定する方法を教示している。更に、「A System and Method for Inferring Schematic Relationships between Load Points and Service Transformers」という名称で、参照により本明細書に援用される、米国特許出願第13/911,849号は、所定のメータソケットに供給する特定のサービス変圧器及びその地理空間的座標を特定し、関連付け及び座標を配電グリッドのマップに組み込むための方法を記載している。公益事業者は、精密な地理空間的座標でない場合、全てのメータの少なくとも所在地住所を既に知っている。先に参照した出願におけるシステム及び方法から得られる情報を使用して、リモートハブからの報告の物理的及び回路図的発生源並びにリモートハブが表す変圧器エリアネットワークの物理的及び回路図的範囲を非常に精密に定義してもよい。これらの発明は、本質的にマスタースレーブである変圧器エリアネットワークアーキテクチャを教示し、そのアーキテクチャにおいて、1つのリモート、通常、リモートハブは、インテリジェンスのほとんどを含み、下位リモート上のより単純なエージェントをポーリングして、TANを編成すると共に、TAN上にアプリケーションを実装する。本発明のシステム及び方法は、こうしたTAN編成の観点で主に記載されている。しかしながら、マスタースレーブネットワーク編成は、本発明をホストするのに適した、考えられるネットワーク編成のうちの1つに過ぎない。例えば、ピアツーピア変圧器エリアネットワークもまた適する。例えばAMIメッシュネットワーク等のより広いピアツーピアネットワークもまた、本明細書において以下に記載されるように、a)ネットワーク内のノードが、ノード自体を変圧器エリアによって論理的に分割するのに十分な情報を有する場合、また、b)本発明の測定エージェントによって取得される測定値を共有するための十分な帯域幅が存在する場合に適し得る。
【0015】
本発明は、少なくとも1つの下位リモートと通信するリモートハブのための方法を提供し、各リモートは、TANのサービス変圧器に、又はTANによって電力供給される負荷の施設の内部に装置を設置することなく、メータにおける電圧及びメータから被測定負荷まで通過する電流を測定して記憶し、電力窃盗がTANで起こっているという兆候を識別するよう動作可能である。このために、TANは、TANの各相上に、例えば1つのリモートハブ及び1つ又は複数の下位リモート等の少なくとも2つのノードを備える。TAN上の全ての負荷(被測定サービス箇所)は、完全な窃盗防止が達成される場合、リモート(又は別のタイプの通信用メータ)を有する。方法は、リモートを有していないいくつかのメータを使って用いられ得るが、その場合、一部の窃盗は、TANのトポロジ及び通信用メータに関する未認可タップの場所に応じて、検出されないままになり得る。TANのサービス変圧器において測定を行う必要がない違法なタップの存在及び場所を推測するための方法が教示されている。サービス変圧器において測定を行う必要性を回避することが望ましい。その理由は、メータにおいて器具類を単に追加するコストが、全ての計器及びインテリジェンスがメータにだけ存在するときにネットワークを維持するコストがそうであるように、メータ及び変圧器の双方において器具類を追加するコストより著しく低いからである。被測定サービス箇所の施設の内部に装置を設置する必要性を回避することが望ましい。その理由は、施設の内部に装置を設置するために需要家の同意が必要とされるからであり、また、施設の内部での機器のメンテナンスが、通常、公益事業者の認可の範囲外であるからである。
【図面の簡単な説明】
【0016】
本明細書に援用され、また、本明細書の一部を形成する添付の図面は、本発明の実施形態を図示し、説明と共に、本発明の原理を説明するのに役立つ。
【
図1】地面より上の変圧器、電力線及び3つの被測定施設を有する放射状トポロジ変圧器エリアを図示している。
【
図2】パッドマウント変圧器、単一タップに沿った、地下電力線、及び3つの被測定施設を有するバストポロジ変圧器エリアを図示している。
【
図3】パッドマウント変圧器、それぞれがそれ自体のタップを有する、地下電力線、及び3つの被測定施設を有する放射状トポロジ変圧器エリアを図示している。
【
図4】リモートハブ及び下位リモートの追加によって変圧器エリアネットワークを形成するよう増強された
図1のエリアを図示している。
【
図5】温室に電力を供給するために使用される違法な非測定タップが追加された
図4の変圧器エリアネットワークを示している。
【
図6】任意の数Nの被測定施設(ノード)を有する、
図4及び
図5の放射状変圧器エリアネットワークのような放射状変圧器エリアネットワークの電気的詳細を示している。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[発明の詳細な説明]
空中電力線102を介して住宅103に接続された通常の単相柱上変圧器101を図示する
図1を参照する。米国及び多くの他の場所において、これは、特に古いエリアにおいて一般的な構成である。住宅への電力線は、通常、屋根の軒に取り付けられ、電力線は、住宅103の外側にある導管内をメータ104まで下方に渡っている。
図2は、対称的に、変圧器エリアについてのバストポロジを図示し、このバストポロジは、米国以外の世界の部分においてより一般的である。
図2において、パッドマウント変圧器201は、住宅203、204、及び205に接続された直線状埋め込み線202を介してメータ206、207、及び208にそれぞれ接続する。このトポロジは、ヨーロッパ及び世界の他の場所で一般的である。一般的な設置は、図示するよりも多くのメータに対応し得る。すなわち、米国における単相変圧器当たりのメータの平均数は、約六(6)であるが、ヨーロッパの平均は数十である。
図3は、一般的な米国の埋め込みケーブル設置を示し、パッドマウント変圧器301は、住宅303に至る埋め込みケーブル302を介してメータ304に放射状に接続される。これらの3つの基本的な構成は、産業用アプリケーション及び商業用アプリケーションについての小さな局所的な変形及び多相の変形によって、世界中のほとんどの配電ネットワークを表す。本発明は、本明細書において以下で教示されるように、3つ全てのこれらの一般的なトポロジに関する小さな変形によって働く。これを教示するため、3相変圧器の各相は、たとえ、第13/888,102号に記載されているように、3相変圧器エリアが単一TANとして実際に編成される可能性があっても、別個のTANとしてみなすことができるが、第13/888,102号では、TAN内の各ノード(例えば、リモート)の位相は知られており、TANからのエッジから変電所への送電は、送電が関係する位相上で送られる。
【0018】
図1における普通のメータを2つの下位リモート402及び404並びに1つのリモートハブ403に置き換えることによって、
図1の変圧器エリアが変圧器エリアネットワークに変換された
図4をここで参照する。変圧器エリアネットワークの通信用メータのクロックは、第13/871,944号に記載するように、知られている許容誤差以内で同期された。サービス変圧器401は、追加された通信機器又は計器を全く含まず、
図1のサービス変圧器と同一である。サービス箇所/住宅405が、近くに例えば納屋等の電力が供給されない離れ屋406を有することを留意されたい。
【0019】
本発明の一実施形態において、測定エージェントは、リモート402、404、及び403のそれぞれに存在する。各エージェントは、送られる電圧V及び流れる電流Iをそのサービス箇所において周期的に測定する。リモートハブ403上に存在し得る監視エージェントは、下位リモート402及び404から、また、それ自体の測定エージェントから、タイムスタンプが付された電流測定値及び電圧測定値を周期的に収集する。監視エージェントの周期は、測定エージェントの周期と同じである必要はないが、測定が行われる時間は、TANの機能が与えられると、考えられる最も狭い許容誤差に同期される。双方の周期は、一般的なAMIネットワークにおける事象の時間スケールに関して非常に小さく、例えば、メータの測定値は、単に15分ごと又は更により少ない頻度で送信されてもよい。監視エージェントは、異なるメータで同時に取得される電流測定値及び電圧測定値を比較し、測定値を使用して、変圧器と1つまたは複数の被測定サービス箇所との間でいつ非測定電流が発生しているのかを推測するソフトウェアアルゴリズムを実行する。
【0020】
図5において、非測定タップ507は、変圧器501とメータ504との間で電気的に施設505において追加されている。このタップは、離れ屋506を電化するために使用されてきている。こうしたタップは、公益事業者にとって財政上の損失をもたらすだけでなく、ピーク負荷時に、こうしたタップは、変圧器火災及び爆発の危険を生じる可能性がある。その理由は、TANは、全体として、変圧器の最大定格よりも大きな電力を引き出している可能性があるからである。
【0021】
図6は、例えば
図4及び
図5のネットワーク等の放射状変圧器エリアネットワークの電気的詳細を提供する。
図6のTANは、本明細書において1…Nとラベル付けされる、少なくとも2つの被測定サービス箇所、すなわちノードを含んでいる。電力源601は、変圧器607に中間電圧の電力を供給し、この中間電圧は、ノード1(605)におけるメータ627及びノードN(610)におけるメータ629によってここでは示される、変圧器エリア内のメータによって許容される低電圧範囲に変圧器607によって降圧される。電流604は、電力源601によって対応されるグリッド上の全ての負荷によって電力源から流れる電流を表す。インピーダンス603は、中間電圧グリッドのインピーダンスを表す。変圧器607の低圧側の電圧は、電圧602、インピーダンス603、及び電流604の変化と共に変動する。これらの量はどれも、一定でなく、測定可能でなく、又は(例えば627及び629等の)メータにおけるソフトウェアエージェントに知られていないが、電圧602は、許容可能な値の知られている範囲内の公称値あたりで変化すると予想され得る。例えば、電圧602についての一般的な公称値は、米国では(他の値も考えられるが)13.4KVであってもよく、電圧606についての一般的な公称値は、240Vであってもよいが、やはり他の値も考えられる。これらの公称値はソフトウェアエージェントに知られていてもよい。
【0022】
ここで、ノード1を表す長方形605内のコンポーネントを考える。ノード1は、サービス変圧器607からメータ627に電力を送る装置を備える。興味深い測定可能な量は線図上にマーク付けされている。インピーダンス616は、ノード1の施設の合法な被測定負荷であって、どの器具及びデバイスが施設で使用中であるかに従って経時的に変化し得る、合法な被測定負荷を表す。箇所626は、機器の実際のピースではなく、違法なタップが設置され得る変圧器607からメータ627までの電力線上の任意の場所を表す。窃盗が全く起こらないときに、通常著しく大きいインピーダンス612は、考えられる未認可の非測定負荷を表す。インピーダンス609及び613は、変圧器607からメータ627までの電力線の通常のインピーダンスを表す。電圧611は、仮想のタップ箇所626の電圧を表す。これらの量はどれも、メータ627に存在するソフトウェアエージェントに知られていないか又はソフトウェアエージェントによって測定可能ではない。電流614及び電圧615は、メータ627に存在する測定エージェントによって周期的に測定され、メータ627における通信機器によってTAN上で共有される。TANのネットワークアーキテクチャによらず、共有は、測定がそこから始まるメータの識別及び測定が行われた時間が、測定値が送信されるメッセージのいずれの受信者にもわかるように、常に行われる。
図6の要素622が、TANの特徴ではなく、任意の数の更なるノードがノード1 605とノードN 610との間に存在する可能性があることを示す省略符号であることに留意されたい。
【0023】
同様に、ノードNを表す長方形620内のコンポーネントを考える。これは、サービス変圧器607からメータ629に電力を送る装置である。インピーダンス625は、ノードNの施設の合法な被測定負荷であって、どの器具及びデバイスが施設で使用中であるかに従って経時的に変化し得る、合法な被測定負荷を表す。箇所628は、TANの実際の特徴ではなく、違法なタップが設置され得る変圧器607からメータ629までの電力線上の任意の場所を表す。窃盗が全く起こらないときに、通常著しく大きいインピーダンス623は、考えられる未認可の非測定負荷を表す。インピーダンス618及び620は、変圧器607からメータ629までの電力線の通常のインピーダンスを表す。電圧619は、仮想のタップ箇所628における電圧を表す。これらの量はどれも、メータ627に存在するソフトウェアエージェントに知られていないか又はソフトウェアエージェントによって測定可能ではない。電流621及び電圧624は、メータ629において存在する測定エージェントによって周期的に測定され、メータ629における通信機器によってTAN上で共有される。
【0024】
監視エージェントのアルゴリズムのために、メータ629、メータ627、又は、1とNとの間の別のノードのメータがリモートハブを有するのか、また、どのメータが下位リモートを有するのかは重要でない。実際には、本明細書で先に述べるように、別のタイプのTAN通信は、TANの全てのメータが十分に短い周期内でその測定値を共有するために十分な帯域幅を提供する限り、全体として使用され得る。TANは、TAN上のどこかで少なくとも1つの監視エージェントを、また、各通信用メータにおいて測定エージェントをホストしてもよい。いくつかのネットワークアーキテクチャによって、全てのノードにおいて監視エージェントをホストすることがより効率的になり得る。あるいは、監視エージェントの仕事は、複数の通信用メータの間で分配されてもよい。監視エージェントが、例えばエッジから変電所へのメッセージ等のワイドエリアメッセージを送信する機能を有するメータ上に存在しない場合、監視エージェントは、異常報告を送信するコマンドをワイドエリア対応デバイスに送信しなければならない。
【0025】
インピーダンス612で表された未認可の負荷がここで箇所626に取り付けられると仮定する。より多くの電流(612における未認可の負荷によって引き出される電流)がインピーダンス609を通して流れるため、電圧611が降下することになる。これはまた、電圧615の降下をもたらすことになる。しかしながら、インピーダンス613を通して流れる電流614は、対応して降下しない。電流614及び電圧615だけを測定できるメータ627における測定エージェントは、電圧615の降下が、単に電圧606の降下に起因するのか、又は、電圧615の降下が、電圧611の降下と(常に、非常に大きいはずである)インピーダンス612の減少とによって表される窃盗によってもたらされているのかを推測することができないことになる。しかしながら、メータ629における測定エージェントによって行われる観測を考える。単純化のため、ノードN(610)におけるインピーダンス623が適切に大きい、つまり、ノードNにおいて電力が盗まれていないと仮定する。メータ629における測定エージェントは、電圧606の降下に起因して電圧624の降下を観測することになる。監視エージェントは、メータ627及び629(TAN内により多くの通信用ノードが存在する場合は、更に他のメータ)における測定電流614及び621をそれぞれ使用して、各被測定負荷に起因する適切な電圧降下を推定することができる。被測定負荷(616、624)の効果がいったん取り除かれると、各メータで測定された電圧の調整済みの大きさを比較することができる。たとえ変圧器607と各メータとの間に線路インピーダンスの小さな差が存在することになっても、これらの差は無視できると予想される。(この例では、メータ627に対するインピーダンス609+613とメータ629に対するインピーダンス618+620を比較する。)1つのメータ、この例では627が、線路インピーダンスにおける通常の差を表す許容誤差内で、他のメータより大きい調整済みの電圧降下を見る場合、非測定負荷がそのメータと変圧器607との間に存在することが予想される。
【0026】
更に、利用可能な各「観点」から電流及び電圧を比較するこの方法は、複数の窃盗箇所が存在しても、TAN内の窃盗を検出する。たとえ全てのメータと変圧器との間に取り付けられた非測定負荷が存在していたとしても、未認可の負荷に起因するインピーダンス612、623等が常に同一でない限り、窃盗箇所は、各測定エージェントの電流測定値及び電圧測定値を利用できる監視エージェントによって依然として推測され得る。その理由は、いくつかの測定箇所における電圧降下が、同じ箇所における電流に比例しないことになるであろうからである。
【0027】
TANのリモートハブに存在する監視エージェントが、推定窃盗を検出すると、リモートハブは、異常について公益事業者に警告を出すエッジから変電所へのメッセージを送信してもよい。エッジから変電所へのメッセージは、先に参照した米国特許出願第13/871,944号に記載されているように、リモートハブから、変電所変圧器、ここでは変圧器607に電力を供給する配電変電所に伝わる。変電所から、メッセージは、従来のネットワークによって、公益事業者又はエネルギー管理サービスプロバイダによって提供されるデータセンタに転送される。窃盗警告はまた、リモートハブ、又は例えばAMIネットワーク等の他の通信用メータに接続された別の利用可能なネットワークを介して伝搬され得る。こうしたメッセージは、異常な電流−電圧関係が検出されたサービス変圧器又はメータの少なくとも1つの固有の識別子を含んでもよく、メッセージの発信源をグリッドマップデータベース内のデータと照合するのに、その識別子を使用してもよい。
【0028】
わずかな計算的調整による先に本明細書で述べた方法は、
図1及び
図3のような放射状トポロジではなく例えば
図2等に示すようなバストポロジを有する変圧器エリアに同様に適用され得る。バストポロジにおいて、変圧器からメータまでの電圧降下は、各ノードが変圧器から遠くになるにつれて加法的である。その理由は、被測定負荷が並列ではなく直列に接続されるためである。それでも、各被測定負荷の電圧降下に対する寄与は、各メータにおいて引き出されている電流に比例するはずである。所定のメータにおける電圧降下が、変圧器とそのメータとの間の測定電流に比例するより大きいのかは、他のメータ、この場合、具体的には、変圧器に関して直列接続したものの中の、所定の測定箇所より早いメータによってTAN上で共有されるタイムスタンプが付された電流測定値及び電圧測定値に基づいている。
【0029】
バストポロジを有するTANにおいてこの方法を適用するため、変圧器に関する、TAN内のノードの順序が(少なくとも)監視エージェントに把握されていることが必要である。これは、監視エージェントによって推測され得る。直列接続したものの順序付けは、各被測定箇所における測定電圧に対応することになり、最低電圧は変圧器から回路図的に最も遠い。再び
図2を参照すると、変圧器201に対して回路図的に最も近いメータは206であり、直列において最も遠いメータは208である。これは、施設205が施設203より変圧器201に地理空間的に近かった場合でも当てはまることになると思われ、それは、確かに可能である。この条件はまた
図2に図示される。更に、この回路図的推測は、電力窃盗が起こっている場合でも正しいままである。その理由は、結果として得られる電圧降下が依然として累積的であるからである。
【0030】
全てが先に参照された、米国特許出願第13/871,944号、第13/888,102号、及び第13/911,849号は、配電ネットワークの正確なグリッドマップを記録するための方法を教示している。これらの発明によって教示されるグリッドマッピング法は、ネットワークによって供給される各被測定負荷に電力を供給するように動作可能な各変電所の給電線及び位相と、ネットワークのメータの変圧器エリアネットワークへの正しい現在の分割とを含む。窃盗検出を実行するため、バストポロジを有するTANのグリッドマップを、TANのメータの直列接続したものの順序によって増強してもよく、この順序は、メータ及び負荷がTANに追加され、TANから取り除かれるときに最新に維持され得る。窃盗検出の場合、この情報は、各TAN内の監視エージェントによって維持される必要があるだけでもよく、実際には、各監視エージェントによって周期的に再計算されてもよい。しかしながら、中央化グリッドマップデータベースにこの更なる情報を記録することが有益である場合があり、前記中央化グリッドマップデータベースは、第13/871,944号によって教示される。これを行うため、TANにおいて新しいノードが発見されるときに送出されるエッジから変電所へのメッセージは、変圧器からの電力線バス上でのメータの回路図的順序を含んでもよい。同様に、例えば、停電又は建設工事によるTANの拡張後に、ノードの順序が変わることが観測された場合、新しい順序付けが、グリッドマップデータベースに記録されるエッジから変電所へのメッセージにおいて報告されてもよい。
【0031】
違法なタップを作ることを含まない電力窃盗の別の方法が使用されることがある。この方法は、消費を増加させる前に近くの人がメータを切り換えることによって誤った指図を生成することを含む。任意の種類の通信用メータは、電力が利用可能である間に(同じソケットであれ、異なるソケットであれ)メータソケットに再び差し込まれる場合、メータソケットから切断されていると報告するように既にイネーブルされ得る。しかしながら、意欲的な電力窃盗は、別の施設に関して、メータを交換すべき自然的な停電を待つ可能性があるか、又は、交換を行うべき停電を起こすためにネットワークを故意に破壊する可能性がある。しかしながら、本明細書においてまた参照される関連発明において述べられる、リアルタイムグリッドマッピングを有する変圧器エリアネットワークに参加するインテリジェントメータは、以下の種々の方法で違法な動きを検出することができる。
・2つのメータが2つの別個のTANの間で交換される場合、双方のTANは、新しいメータを発見したこと、及び、以前にTANの一部であったメータとの通信を喪失したことを報告してもよい。
・2つのメータが、メータの位相が反転されるように交換される場合、この変化を、グリッドマッピングエージェントによって報告してもよい。
・2つのメータが、同じTAN及び同じ位相内で切り換えられる場合、そして、TANがバスアーキテクチャを有する場合、双方のメータは、それら自体のサービス変圧器に関して変更された位置を有するものとして検出されることになり、これを、監視エージェントによって報告してもよい。
・メータが地理空間的位置信号を利用できる場合、メータ上のグリッドマッピングエージェントは位置の変化を報告してもよい。
【0032】
これは、同じ放射状TANの同じ位相に関して2つの施設の間で、地理空間的位置信号を受信するようイネーブルされない2つのメータを交換するという唯一の事例だけを残し、その事例は容易に検出されない。この事例は、隣家の人のメータソケットに比べて、数ブロック離れたメータソケットをよりうまく改ざんするという、施設の近接性に起因する窃盗の観点から望ましくない可能性がある。
【0033】
検出プロセスを管理するため、各TAN上の少なくとも1つの(例えばリモートハブ等の)通信用メータ上の監視エージェント等のエージェントは、エッジから変電所へのメッセージ、又は、統合されたグリッドマップを利用できるデータセンタに常駐するソフトウェアプログラムにメッセージを転送することが可能な、別の利用可能なワイドエリアネットワークを使用して、検出される異常状態のそれぞれを報告してもよい。ソフトウェアプログラムはまた、グリッドを管理するために使用される他のアプリケーションから、計画されたグリッド変更の報告を受信する。こうした報告の例は、配電グリッドに対して必要とされる変更及び修理を行うためにフィールドエンジニアを派遣するために使用される仕事の注文である可能性がある。ソフトウェアプログラムは、通信用メータからの異常報告を、仕事の注文又は同様の報告と照合することによって、誤った窃盗の兆候を報告することを回避する。仕事の注文によって説明される異常は、考えられる窃盗の指標として報告されない。仕事の注文と照合できない異常は、異常が、グリッドマップの変更であるのか、監視エージェントによって報告される電圧異常であるのかによらず、考えられる窃盗が起こっている可能性があるという警告を生成する。窃盗警告は、影響を受ける施設の口座番号及び住所、影響を受ける変圧器及びメータのアイデンティティ及び地理空間的座標、並びに、メータを移動させることによって窃盗がなされても、未認可の非測定タップを作ることによって窃盗がなされても、窃盗を位置特定するために使用することができる任意の他の関連する情報を含むことができる。
【0034】
本発明の先の説明は、例証及び説明のために提示されており、網羅的であるか又は開示される厳密な形態に本発明を限定することを意図されない。上記教示を考慮して、多くの修正及び変形が可能である。実施形態は、本発明の原理及びその実用的なアプリケーションを最もよく説明するために選択され、説明されており、それにより、当業者が、種々の実施形態において、また、企図される特定の使用に適した種々の修正によって本発明を最もよく利用することを可能にする。本発明の範囲が添付の請求項によって規定されることが意図される。