特許第6528024号(P6528024)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6528024図形要素表示プログラム及び図形要素表示装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6528024
(24)【登録日】2019年5月17日
(45)【発行日】2019年6月12日
(54)【発明の名称】図形要素表示プログラム及び図形要素表示装置
(51)【国際特許分類】
   G06T 11/80 20060101AFI20190531BHJP
   A61B 10/00 20060101ALI20190531BHJP
【FI】
   G06T11/80 B
   A61B10/00 H
【請求項の数】8
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2018-116324(P2018-116324)
(22)【出願日】2018年6月19日
【審査請求日】2018年7月2日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】512167378
【氏名又は名称】木本 実
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】木本 実
【審査官】 田中 幸雄
(56)【参考文献】
【文献】 特開平6−96279(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0189903(US,A1)
【文献】 特開平8−315121(JP,A)
【文献】 宇都宮直子ほか,さらにカスタマイズして自分だけの道具に,日経PC21,日本,日経BP社,2008年 4月13日,第13巻 第8号(2008年4月号増刊),50−53ページ,日経PCビギナーズ Vol.4
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 11/80
A61B 10/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータを、
入力者から、図形を構成する複数の図形要素の手書き入力を順次受け付ける入力部と、
前記複数の図形要素の入力順を取得する入力順取得部と、
前記入力順が識別可能な態様で前記複数の図形要素を表示部に表示させる表示制御部と、
として機能させ
前記表示制御部は、前記図形全体の入力が完了することで確定した前記図形を構成する前記図形要素の数に基づいて、最初に入力された前記図形要素から最後に入力された前記図形要素へ向けて、各前記図形要素を構成する画素の画素値を段階的に変化させる、
ことを特徴とする図形要素表示プログラム。
【請求項2】
少なくとも2つの前記図形要素を構成する画素の画素値がユーザにより指定可能である、
ことを特徴とする請求項に記載の図形要素表示プログラム。
【請求項3】
コンピュータを、
入力者から、図形を構成する複数の図形要素の手書き入力を順次受け付ける入力部と、
各前記図形要素の入力時刻を取得する入力時刻取得部と、
各前記図形要素の前記入力時刻が識別可能な態様で前記複数の図形要素を表示部に表示させる表示制御部と、
として機能させ
前記表示制御部は、前記図形全体の入力が完了することで確定した前記図形を構成する前記図形要素の数に基づいて、最初に入力された前記図形要素から最後に入力された前記図形要素へ向けて、各前記図形要素を構成する画素の画素値を段階的に変化させる、
ことを特徴とする図形要素表示プログラム。
【請求項4】
前記表示制御部は、前記図形の入力開始時刻と入力完了時刻との間の入力所要時間に対する、前記入力開始時刻から各前記図形要素の前記入力時刻まで時間の割合を表示させる、
ことを特徴とする請求項に記載の図形要素表示プログラム。
【請求項5】
前記表示制御部は、前記図形の入力開始時刻と入力完了時刻との間の入力所要時間の一部である部分時間の間に入力された前記図形要素のみを表示させる、
ことを特徴とする請求項又はに記載の図形要素表示プログラム。
【請求項6】
前記図形は、前記入力者の脳機能を検査するための図形である、
ことを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載の図形要素表示プログラム。
【請求項7】
入力者から、図形を構成する複数の図形要素の手書き入力を順次受け付ける入力部と、
前記複数の図形要素の入力順を取得する入力順取得部と、
前記入力順が識別可能な態様で前記複数の図形要素を表示部に表示させる表示制御部と、
を備え
前記表示制御部は、前記図形全体の入力が完了することで確定した前記図形を構成する前記図形要素の数に基づいて、最初に入力された前記図形要素から最後に入力された前記図形要素へ向けて、各前記図形要素を構成する画素の画素値を段階的に変化させる、
ることを特徴とする図形要素表示装置。
【請求項8】
入力者から、図形を構成する複数の図形要素の手書き入力を順次受け付ける入力部と、
各前記図形要素の入力時刻を取得する入力時刻取得部と、
各前記図形要素の前記入力時刻が識別可能な態様で前記複数の図形要素を表示部に表示させる表示制御部と、
を備え、
前記表示制御部は、前記図形全体の入力が完了することで確定した前記図形を構成する前記図形要素の数に基づいて、最初に入力された前記図形要素から最後に入力された前記図形要素へ向けて、各前記図形要素を構成する画素の画素値を段階的に変化させる、
ることを特徴とする図形要素表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、図形要素表示プログラム及び図形要素表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、入力者が手書き入力した文字(例えば漢字、ひらがな、あるいはカタカナなど)の入力された通りの書き順(筆順)を表示部に表示させる装置が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、手書き認識装置において入力された文字に対して、画毎に異なる色を割り振ること、及び、手書き認識装置において入力された文字の各画の書き出し部分に画数を表示することが示唆されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−96279号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、入力者に図形を描かせた上で、描かれた図形を評価する場合がある。例えば、従来、レイ複雑図形検査という検査が知られている。レイ複雑図形検査は、図6に示すレイ複雑図形を被検者に見せながら描かせ、あるいは、被検者にレイ複雑図形を一定時間見せた直後に当該図形を見せずにレイ複雑図形を描かせ、あるいは、被検者にレイ複雑図形を一定時間見せた数分後に当該図形を見せずにレイ複雑図形を描かせ、その描画結果によって被検者の脳機能を検査するものである。
【0006】
このように、入力者が描いた図形を評価する場合において、入力者が描いた図形そのもののみならず、図形の描き方も考慮して評価する場合がある。描き方とは、例えば、図形を構成する複数の図形要素を描いた順序、及び、各図形要素を描くのに要した時間などを含む概念である。例えば、上述のレイ複雑図形検査においては、大きな長方形とその対角線、水平線、及び垂直線をひとまとめにして描いた場合には、これらをバラバラに描いた場合に比して、より脳機能が高いと判定することができる。
【0007】
図形の描き方を考慮した上で入力者が描いた図形を評価するには、当然ながら評価者は入力者の図形の描き方を把握しなければならない。したがって、従来、入力者が図形を描いている間、評価者は、図形の描き方を把握すべくその様子を見ていなければならなかった。これにより、入力者が描いた図形の効率的な評価を行うことが出来なかった。
【0008】
本発明の目的は、入力者が描いた図形の描き方を事後的に把握できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、コンピュータを、入力者から、図形を構成する複数の図形要素の手書き入力を順次受け付ける入力部と、前記複数の図形要素の入力順を取得する入力順取得部と、前記入力順が識別可能な態様で前記複数の図形要素を表示部に表示させる表示制御部と、として機能させ、前記表示制御部は、前記図形全体の入力が完了することで確定した前記図形を構成する前記図形要素の数に基づいて、最初に入力された前記図形要素から最後に入力された前記図形要素へ向けて、各前記図形要素を構成する画素の画素値を段階的に変化させる、ことを特徴とする図形要素表示プログラムである。
【0011】
望ましくは、少なくとも2つの前記図形要素を構成する画素の画素値がユーザにより指定可能である、ことを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、コンピュータを、入力者から、図形を構成する複数の図形要素の手書き入力を順次受け付ける入力部と、各前記図形要素の入力時刻を取得する入力時刻取得部と、各前記図形要素の前記入力時刻が識別可能な態様で前記複数の図形要素を表示部に表示させる表示制御部と、として機能させ、前記表示制御部は、前記図形全体の入力が完了することで確定した前記図形を構成する前記図形要素の数に基づいて、最初に入力された前記図形要素から最後に入力された前記図形要素へ向けて、各前記図形要素を構成する画素の画素値を段階的に変化させる、ことを特徴とする図形要素表示プログラムである。
【0013】
望ましくは、前記表示制御部は、前記図形の入力開始時刻と入力完了時刻との間の入力所要時間に対する、前記入力開始時刻から各前記図形要素の前記入力時刻まで時間の割合を表示させる、ことを特徴とする。
【0014】
望ましくは、前記表示制御部は、前記図形の入力開始時刻と入力完了時刻との間の入力所要時間の一部である部分時間の間に入力された前記図形要素のみを表示させる、ことを特徴とする。
【0015】
望ましくは、前記図形は、前記入力者の脳機能を検査するための図形である、ことを特徴とする。
【0016】
また、本発明は、入力者から、図形を構成する複数の図形要素の手書き入力を順次受け付ける入力部と、前記複数の図形要素の入力順を取得する入力順取得部と、前記入力順が識別可能な態様で前記複数の図形要素を表示部に表示させる表示制御部と、を備え、前記表示制御部は、前記図形全体の入力が完了することで確定した前記図形を構成する前記図形要素の数に基づいて、最初に入力された前記図形要素から最後に入力された前記図形要素へ向けて、各前記図形要素を構成する画素の画素値を段階的に変化させる、
ることを特徴とする図形要素表示装置である。
【0017】
また、本発明は、入力者から、図形を構成する複数の図形要素の手書き入力を順次受け付ける入力部と、各前記図形要素の入力時刻を取得する入力時刻取得部と、各前記図形要素の前記入力時刻が識別可能な態様で前記複数の図形要素を表示部に表示させる表示制御部と、を備え、前記表示制御部は、前記図形全体の入力が完了することで確定した前記図形を構成する前記図形要素の数に基づいて、最初に入力された前記図形要素から最後に入力された前記図形要素へ向けて、各前記図形要素を構成する画素の画素値を段階的に変化させる、ることを特徴とする図形要素表示装置である。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、入力者が描いた図形の描き方を事後的に把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本実施形態に係る図形要素表示装置の構成概略図である。
図2】複数の図形要素の入力順が表示された例を示す図である。
図3】各図形要素の入力時刻が表示された例を示す図である。
図4】図形全体の入力所要時間に対する、入力開始時刻から各図形要素の入力時刻までの時間の割合が表示された例を示す図である。
図5】指定時間の間に入力された図形要素のみが表示された例を示す図である。
図6】レイ複雑図形を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について説明する。図1には、本実施形態に係る図形要素表示装置10の構成概略図が示されている。図形要素表示装置10は、パーソナルコンピュータ、スマートフォンやタブレット端末などの携帯端末、あるいはサーバなどであってよいが、図形要素表示装置10としては、以下に説明する機能を発揮可能な限りにおいてどのような装置であってもよい。
【0021】
図形要素表示装置10は、入力者から、図形を構成する複数の図形要素の入力を受け付け、当該複数の図形要素からなる図形を表示する。図形要素とは、例えば、四角形あるいは三角形などの多角形、直線あるいは曲線などの線分、円、あるいは点などを含むものである。
【0022】
本実施形態では、入力者である被検者は、図形要素表示装置10に対して、当該被検者の脳機能を検査するための図形を手書き入力する。脳機能の検査とは、例えば、高次脳機能障害の検査、神経心理機能の検査、視覚構成能力や視空間記憶の検査、あるいは、子供の脳の発達具合の検査などを含むものである。なお、高次脳機能障害には、記憶障害、注意障害、遂行機能障害、あるいは社会行動障害などが含まれる。また、神経心理機能には、運動機能、視空間認知機能、記憶・実行機能などが含まれる。本実施形態では、入力者に対してレイ複雑図形検査を行い、入力者は、レイ複雑図形(図6参照)を入力する。なお、入力者が入力する図形はこれに限られるものではない。
【0023】
記憶部12は、例えばRAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、あるいはハードディスクなどを含んで構成される。記憶部12には、図形要素表示装置10の各部を動作させるための図形要素表示プログラムが記憶される。また、記憶部12には、各種の制御データあるいは各種の処理結果データなどが記憶される。
【0024】
入力部14は、タッチパネル、ペンタブレット、あるいは物理ボタンなどを含んで構成される。なお、物理ボタンとはタッチパネル上に表示されたボタンではないボタンを意味する。入力部14は、入力者からの手書き入力を受け付ける。特に、本実施形態では、入力部14は、入力者から、図形を構成する複数の図形要素の手書き入力を順次受け付ける。
【0025】
入力部14においては、入力者の指あるいはスタイラスをタッチパネルあるいはペンタブレットのボードに接触させるタッチ操作、入力者の指などをタッチパネルなどに接触させながら移動させるドラッグ操作、及び入力者の指などをタッチパネルなどから離すデタッチ操作を検出可能となっている。これにより、入力部14が入力者からの図形要素の手書き入力を受け付け可能となっている。
【0026】
なお、図形要素表示装置10がサーバである場合には、図形要素表示装置10が有する、ネットワークアダプタなどを含んで構成される通信部(不図示)が入力部の機能を発揮する。すなわち、サーバである図形要素表示装置10においては、当該通信部が、LANあるいはインターネットなどの通信回線を介して、タッチパネルあるいはペンタブレットなどを備えた他の装置に対して入力された入力者からの手書き入力を示す情報を受け付ける。
【0027】
表示部16は、例えば液晶ディスプレイなどを含んで構成される。表示部16には、入力者により手書き入力された複数の図形要素から構成される図形、あるいは一部の図形要素などを表示する。
【0028】
なお、図形要素表示装置10がサーバである場合には、図形要素表示装置10と通信可能に接続された他の装置の表示部(液晶ディスプレイなど)が表示部16の機能を発揮する。その場合は、図形要素表示装置10から当該他の装置に対して表示指示信号が送信され、当該他の装置は、当該表示指示信号に基づいて図形あるいは一部の図形要素などを当該装置の表示部に表示させる。
【0029】
制御部18は、例えばCPU(Central Processing Unit)あるいはマイクロコントローラなどを含んで構成される。制御部18は、記憶部12に記憶された図形要素表示プログラムに従って、図形要素表示装置10の各部を制御する。また、図1に示される通り、制御部18は、入力順取得部20、入力時刻取得部22、及び表示制御部24としても機能する。
【0030】
入力順取得部20は、入力部14に対して順次入力される複数の図形要素の入力順を取得する。例えば、入力順取得部20は、入力部14が入力者のタッチ操作を検出してからデタッチ操作を検出するまでに描かれた要素を1つの図形要素とみなす。つまり、入力順取得部20は、タッチ操作後にデタッチ操作を検出した場合に、1つの図形要素が入力されたことを検出し、各図形要素と入力順を示す情報とを関連付けて記憶部12に記憶させておく。
【0031】
入力時刻取得部22は、入力部14に対して順次入力される各図形要素の入力時刻を取得する。図形要素表示装置10は、例えばタイマICや水晶振動子、クロックモジュール等を含んで構成され現在時刻を計時する計時部(不図示)を備えており、入力時刻取得部22は、図形要素の入力を検出する度に、各図形要素と計時部からの出力値(すなわち当該図形要素の入力時刻)とを関連付けて記憶部12に記憶させておく。
【0032】
入力時刻取得部22は、図形の入力開始時刻及び入力完了時刻も取得し、記憶部12に記憶させておく。例えば、入力開始時刻は、図形の入力が開始されてから初めてタッチ操作を検出した時刻とすることができ、入力完了時刻は、入力者などにより図形の入力が完了したことを示す情報が入力された時点から見て直前にデタッチ操作を検出した時刻とすることができる。入力開始時刻及び入力完了時刻の取得方法は上記以外の方法であってもよい。例えば、1つの図形要素が、当該図形要素が通過する複数の座標からなる座標群で表現されてもよく、入力時刻取得部は、1つの図形要素を構成する各座標の入力時刻(入力者の指あるいはスタイラスが各座標を通過した時刻)を取得するようにしてもよい。また、図形の入力が完了したことを示す情報は、タッチパネルに表示されたボタンを押下することで入力されてもよいが、入力者あるいは評価者の誤操作の可能性をできるだけ低下させる観点から、図形の入力が完了したことを示す情報は、入力部14に含まれる物理ボタン(電源ボタンあるいはボリュームボタンなど)の押下により入力されるのが好ましい。
【0033】
表示制御部24は、入力者の手書き入力に従って、手書き入力された図形要素を逐次表示部16に表示させる。そして、入力者が図形の描画(図形を構成する全ての図形要素の手書き入力)を完了すると、入力者が手書き入力した複数の図形要素から構成される図形を表示部16に表示させる。
【0034】
さらに、表示制御部24は、入力順取得部20が取得した、複数の図形要素の入力順に基づいて、複数の図形要素の入力順が識別可能な態様で複数の図形要素を表示する。
【0035】
複数の図形要素の入力順が識別可能な態様としては種々の態様が考えられる。例えば、図2に示すように、表示制御部24は、1つの図形要素を示すガイド線30と、ガイド線30が示す図形要素の入力順を示す番号32を図形と共に表示することができる。なお、図2においては、4番目に入力された図形要素に対応するガイド線30及び番号32しか表示されていないが、全ての図形要素に対応したガイド線30及び番号32が表示されてよい。番号32の表示位置としては、図形要素との対応が把握可能であればどこでもよいが、例えばガイド線30の始点近傍に表示されるのが好ましい。また、ガイド線30の表示は省略されてもよい。
【0036】
複数の図形要素の入力順が識別可能な他の態様としては、表示制御部24は、複数の図形要素の入力順に応じて、各図形要素を構成する画素の画素値を段階的に変化させてもよい。すなわち、入力順に並んだ図形要素列において、1番目の図形要素から、入力順が最後の図形要素に向けて、各図形要素の画素値のグラデーションが形成されてもよい。なお、本実施形態では画素値として色相を用いるが、画素値としては、例えば、彩度、明度、あるいは輝度などを採用してもよい。
【0037】
複数の図形要素を構成する画素の画素値を段階的に変化させる場合、少なくとも2つの図形要素を構成する画素の画素値を評価者あるいは入力者などのユーザによって指定可能となっているのが好ましい。これによれば、例えば、評価者は、1番目の図形要素の色を赤、最後の図形要素の色を青と指定することで、その中間(2番目〜最後から2番目)の図形要素の色を赤から青へ変化してくグラデーションで表示することができる。さらに、3以上の図形要素の画素値を指定可能となっていてもよい。例えば、評価者は、1番目の図形要素の色を赤、入力順において中央の図形要素の色を緑、最後の図形要素の色を青と指定可能となっていてもよい。
【0038】
なお、複数の図形要素を構成する画素の画素値を段階的に変化させる場合、図形全体の入力が完了しないと各図形要素の画素値が定まらないため、表示制御部24は、図形全体の入力が完了した後に、複数の図形要素を構成する画素の画素値が段階的に変化した態様で図形を表示させる。入力者が図形を描画している間は、各図形要素は所定の画素値(例えば色は黒)で表示される。
【0039】
ちなみに、従来、手書き入力された文字の各画を異なる色で表示して入力時の書き順を表示する装置があるが、そのような装置においては、各画の違いをより強調するため、書き順において隣接する画の色は、色差の大きい色に設定されるのが一般的であった。それは、文字においては画毎の書き順が決まっており、その通りに書くことが重要であるからである。例えば、1画目、2画目・・・と書いていくべきであるところ、2画目、1画目・・・と書いてしまったことがより強調して分かるようにする必要があるためである。一方、本実施形態のように、描き方を考慮した上で図形を評価する場合、画毎の細かい入力順よりも、大まかな入力順(例えば大枠を描いてから細かい部分を描くなどの順序)がより好適に把握できるのが望ましい場合が多いため、入力順において隣接する図形要素の画素値の差を大きくするよりも、複数の図形要素の入力順に応じて図形要素の画素値を段階的に変化させるのが適している場合がある。すなわち、画素値のグラデーションにより、複数の図形要素の入力順の大まかな流れが直感的に把握できるようになる。
【0040】
複数の図形要素の入力順が識別可能な態様としては、上述の態様に限定されず、それ以外の態様を採用してもよい。
【0041】
また、表示制御部24は、入力時刻取得部22が取得した、各図形要素の入力時刻に基づいて、各図形要素の入力時刻が識別可能な態様で複数の図形要素を表示する。
【0042】
各図形要素の入力時刻が識別可能な態様としては種々の態様が考えられる。例えば、図3に示すように、表示制御部24は、1つの図形要素を示すガイド線30と、ガイド線30が示す図形要素の入力時刻34を図形と共に表示することができる。なお、図2同様、図3においても、4番目に入力された図形要素に対応するガイド線30及び入力時刻34しか表示されていないが、全ての図形要素に対応したガイド線30及び入力時刻34が表示されてよい。入力時刻34の表示位置としては、ガイド線30との対応が把握可能であればどこでもよいが、例えばガイド線30の始点近傍に表示されるのが好ましい。また、ガイド線30の表示は省略されてもよい。なお、各図形要素の入力時刻34に基づいて、複数の図形要素の入力順も把握することができる。
【0043】
各図形要素の入力時刻が識別可能な他の態様としては、図4に示すように、表示制御部24は、入力時刻取得部22が取得した図形の入力開始時刻と入力完了時刻との間の入力所要時間に対する、入力開始時刻から各図形要素の入力時刻までの時間の割合36を、入力時刻34に代えてあるいは加えて表示するようにしてもよい。この場合、図4に示すように、表示制御部24は、当該図形の入力開始時刻及び入力完了時刻も併せて表示するのが好ましい。図4の表示態様によれば、各図形要素の入力に要した時間をより直感的に把握することができる。例えば、評価者は、被検者がどの描画要素を描くのにより時間を要したかなどをより容易に把握することができる。
【0044】
各図形要素の入力時刻が識別可能な態様としては、上述の態様に限定されず、それ以外の態様を採用してもよい。
【0045】
また、表示制御部24は、入力時刻取得部22が取得した各図形要素の入力時刻に基づいて、図形を構成する複数の図形要素のうち、当該図形の入力所要時間の一部である部分時間の間に入力された1又は複数の図形要素のみを表示するようにしてもよい。
【0046】
当該部分時間は、例えば評価者などによって設定可能となっていてもよい。例えば、図5に示すように、表示制御部24は、入力開始時刻と入力完了時刻との間の入力所要時間を示すバー40を表示させると共に、バー40上をスライド移動可能な2つのスライダ42a,42bを表示させる。スライダ42aは部分時間の開始時点に対応し、スライダ42bは部分時間の終了時点に対応している。評価者などは、スライダ42a,42bを適宜設定することで部分時間44を設定できる。
【0047】
評価者などにより入力所要時間内において部分時間44が設定されると、表示制御部24は、入力時刻取得部22が取得した入力時刻が当該部分時間44内である図形要素のみを表示する。図5には、部分時間44が入力所要時間内の42〜55%に設定され、割合36が42%〜55%である図形要素のみが表示された例が示されている。なお、図5の例では、部分時間44内に入力された図形要素と割合36が示されているが、割合36に代えてあるいは加えて、入力時刻34(図3参照)が表示されてもよい。
【0048】
また、1つの図形要素が、当該図形要素が通過する複数の座標からなる座標群で表現されており1つの図形要素を構成する各座標の入力時刻が取得された場合であって、ある図形要素が、部分時間の開始時点あるいは終了時点を跨いで入力された場合、部分時間内に入力された当該図形要素の一部分のみを表示するようにしてもよい。
【0049】
なお、図2〜4に示した例では、入力者によって図形を構成する全ての図形要素が入力された後(すなわち図形の描画が完了した後)において、当該図形と共に、各図形要素に対する番号32、入力時刻34、又は割合36が表示されていたが、番号32、入力時刻34、又は割合36は、図形を構成する全ての図形要素の入力が完了する前(すなわち図形を描いている最中)において表示されるようにしてもよい。図形を描いている最中に番号32、入力時刻34、又は割合36を表示するか否かは、入力者あるいは評価者により切替可能(設定可能)となっているのが好ましい。
【0050】
また、評価者などによるさらなる解析に用いるために、制御部18は、図形要素毎の入力順及び入力時刻をテキストデータ(テキストファイル)で出力可能となっていてもよい。図形要素の入力時刻としては、入力を開始した開始時刻、及び入力を終了した終了時刻の両方をテキストデータに含めるのが好ましい。
【0051】
以上説明した通り、本実施形態によれば、入力者によって図形が描かれた後において、当該図形を構成する複数の図形要素が、その入力順が識別可能な態様で表示され、あるいは、その入力時刻が識別可能な態様で表示される。これにより、評価者は、事後的に、すなわち入力者が全ての図形要素を入力した後(図形の描画が完了した後)において、入力者の図形の描き方、つまり複数の図形要素の入力順あるいは各図形要素の入力時刻を把握することができる。これにより、入力者が描いた図形の効率的な評価が可能にある。
【0052】
以上、本発明に係る実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0053】
10 図形要素表示装置、12 記憶部、14 入力部、16 表示部、18 制御部、20 入力順取得部、22 入力時刻取得部、24 表示制御部。
【要約】
【課題】入力者が描いた図形の描き方を事後的に把握できるようにする。
【解決手段】入力部14は、入力者から、図形を構成する複数の図形要素の手書き入力を順次受け付ける。入力順取得部20は、入力部14に対して順次入力される複数の図形要素の入力順を取得する。入力時刻取得部22は、入力部14に対して順次入力される各図形要素の入力時刻を取得する。表示制御部24は、入力順取得部20が取得した、複数の図形要素の入力順に基づいて、複数の図形要素の入力順が識別可能な態様で複数の図形要素を表示部16に表示する。また、表示制御部24は、入力時刻取得部22が取得した、各図形要素の入力時刻に基づいて、各図形要素の入力時刻が識別可能な態様で複数の図形要素を表示部16に表示する。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6