特許第6528034号(P6528034)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6528034平坦な材料を乾燥するための乾燥機及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6528034
(24)【登録日】2019年5月24日
(45)【発行日】2019年6月12日
(54)【発明の名称】平坦な材料を乾燥するための乾燥機及び方法
(51)【国際特許分類】
   F26B 13/10 20060101AFI20190531BHJP
【FI】
   F26B13/10 D
【請求項の数】17
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2016-530169(P2016-530169)
(86)(22)【出願日】2014年10月22日
(65)【公表番号】特表2016-538519(P2016-538519A)
(43)【公表日】2016年12月8日
(86)【国際出願番号】EP2014072593
(87)【国際公開番号】WO2015071058
(87)【国際公開日】20150521
【審査請求日】2017年5月11日
(31)【優先権主張番号】102013223150.4
(32)【優先日】2013年11月13日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】519081400
【氏名又は名称】イプコ ジャーマニー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100173107
【弁理士】
【氏名又は名称】胡田 尚則
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【弁理士】
【氏名又は名称】出野 知
(74)【代理人】
【識別番号】100146466
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 正俊
(74)【代理人】
【識別番号】100170874
【弁理士】
【氏名又は名称】塩川 和哉
(73)【特許権者】
【識別番号】516322832
【氏名又は名称】マンフレート ゴットレバー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100077517
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 敬
(74)【代理人】
【識別番号】100087413
【弁理士】
【氏名又は名称】古賀 哲次
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【弁理士】
【氏名又は名称】出野 知
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100170874
【弁理士】
【氏名又は名称】塩川 和哉
(74)【代理人】
【識別番号】100196449
【弁理士】
【氏名又は名称】湯澤 亮
(72)【発明者】
【氏名】ハンス−クルト シュロム
(72)【発明者】
【氏名】マティアス クラインハンス
(72)【発明者】
【氏名】マンフレート ゴットレバー
【審査官】 礒部 賢
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−195755(JP,A)
【文献】 特開平03−098673(JP,A)
【文献】 特開2004−225954(JP,A)
【文献】 特開平07−040454(JP,A)
【文献】 実公平06−023912(JP,Y2)
【文献】 米国特許第03245334(US,A)
【文献】 特開平05−208764(JP,A)
【文献】 特開2004−066042(JP,A)
【文献】 特開2003−025548(JP,A)
【文献】 英国特許出願公開第847548(GB,A)
【文献】 特開平02−017966(JP,A)
【文献】 特開2013−057427(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F26B 1/00 − 25/22
B05C 7/00 − 21/00
B05D 1/00 − 7/26
F16J 15/40 − 15/453
F27D 7/06
F27B 9/00 − 9/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
平坦な材料用の乾燥機であって、乾燥される前記平坦な材料から距離をとって配置されている多孔性かつ気体透過性の金属プレートを有し、前記金属プレートに気体状流体を流通させる手段具備しており、かつ前記金属プレートが金属発泡体からなり、
気体状流体を流通させる前記手段が、前記金属プレートと乾燥される前記平坦な材料の間の領域から気体を取り出す吸引手段を有していること、及び
気体状流体を流通させる前記手段が、前記金属プレートの表面で、その一面の境界を規定されている少なくとも一つの流路空間を有し、前記表面は、乾燥される前記平坦な材料から離れる方向に向いており、前記流路空間は、搬送気体用の少なくとも一つの入口及び少なくとも一つの出口を有し、かつ前記金属プレートを介しての吸引作用を生じさせるために、前記搬送気体を導いて前記流路空間に設置されている前記金属プレートの前記表面を通過させるように設計されている、乾燥機。
【請求項2】
前記平坦な材料が、パネル、フィルム、又はシートである、請求項1に記載の乾燥機。
【請求項3】
それぞれが少なくとも一つの入口及び少なくとも一つの出口を有している複数の流路空間が、乾燥される前記材料の長手方向で、一方が他方の後方にくるように、配置されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の乾燥機。
【請求項4】
前記金属プレートが、平坦な材料を生成するために液状材料が塗布されかつ前記材料がその上で固化する、循環ベルトの上方に配置されていることを特徴とする、請求項1〜のいずれか一項に記載の乾燥機。
【請求項5】
前記乾燥機の乾燥空間の上流及び/又は下流の少なくとも一つのエアロックを特徴とし、前記エアロックが、乾燥される前記平坦な材料の長手方向に対して横方向に配置された少なくとも一つのバー状又はロッド状のストリップを有し、前記平坦な材料が、長手方向に前記ストリップを通過し、前記ストリップが、前記平坦な材料に向いているその外面の少なくとも一部にわたって、多孔性かつ気体透過性の金属発泡体からなり、かつ前記エアロックの気体を前記金属発泡体に通して前記平坦な材料の方向に送り出す手段が、具備されている、請求項1〜のいずれか一項に記載の乾燥機。
【請求項6】
前記金属発泡体が、ステンレス鋼からなることを特徴とする、請求項1〜のいずれか一項に記載の乾燥機。
【請求項7】
前記ステンレス鋼が、クロムニッケル系のステンレス鋼である、請求項6に記載の乾燥機。
【請求項8】
前記金属発泡体では、ニッケルが45%と80%の間であり、かつクロムが15%と45%の間であることを特徴とする、請求項6又は7に記載の乾燥機。
【請求項9】
前記金属発泡体が、それぞれ1%未満の割合で、カーボン、銅、鉄、モリブデン、マンガン、リン、及び/又は亜鉛を有しているのが有利であることを特徴とする、請求項8に記載の乾燥機。
【請求項10】
前記金属発泡体は、90%以上の気孔率を有していることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一項に記載の乾燥機。
【請求項11】
前記金属発泡体は、0.3mmと2.5mmの間の範囲の平均細孔径を有していることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか一項に記載の乾燥機。
【請求項12】
平坦な材料を乾燥する方法であって、多孔性かつ気体透過性の金属発泡体で出来ている少なくとも一つの金属プレートを、乾燥される前記平坦な材料から距離をとって配置すること、及び気体状流体を前記金属プレートに流通させること、並びに
前記金属プレートを介しての吸引作用を生じさせるために、搬送気体を導いて、乾燥される前記平坦な材料から離れる方向に向いている金属プレート表面を通過させること
特徴とする、平坦な材料を乾燥する方法。
【請求項13】
乾燥される前記平坦な材料を導いて金属プレートを通過させることを特徴とする、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記平坦な材料と前記金属プレートの間の領域から、前記金属プレートに通して気体状流体を取り出すことを特徴とする、請求項12又は13に記載の方法。
【請求項15】
第一の金属プレートを前記平坦な材料の第一の表面から距離をとって配置すること、少なくとも第二の金属プレートを前記平坦な材料の第二の表面から距離をとって配置すること、並びに
気体状流体を前記第一及び第二の金属プレートに通して送り出すことを特徴とする、請求項12、13、又は14に記載の方法。
【請求項16】
二つの前記金属プレートの間の領域で、前記平坦な材料を非接触的に乾燥することを特徴とする、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記平坦な材料が、パネル、フィルム、又はシートである、請求項12〜16のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、平坦な材料用の、特にパネル、フィルム、又はシート用の乾燥機に関する。また、本発明は、かかる平坦な材料を乾燥する方法に関する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
本発明は、平坦な材料のための改良された乾燥機、及び平坦な材料を乾燥する改良された方法を特定することを目的とし、これらの手段によって、極めて繊細である平坦な材料、例えば非常に薄くコートされたパネル、又は、特に繊細にコートされたフィルム若しくはシートを、素早く、かつ工程に関して非常に繊細な方式で、乾燥することが可能である。
【課題を解決するための手段】
【0003】
この目的に関して、本発明は、平坦な材料用の、特にパネル、フィルム、又はシート用の乾燥機を提供する。この乾燥機では、多孔性かつ気体透過性の金属プレートが、乾燥される平坦な材料から距離をとって配置され、気体状流体を金属プレートに通す手段が具備され、かつこの金属プレートが金属発泡体からなる。
【0004】
この気体状流体は、多孔性かつ気体透過性の金属発泡体、すなわち開孔金属発泡体で出来ている金属プレートを通るため、乾燥される平坦な材料の全体にわたって非常に均一な気体状流体の流量分布を達成することが可能である。開孔金属発泡体で出来ている多孔性かつ気体透過性の金属プレートを用いることは、特に、局所的に比較的速い流速を全体的に抑制することを可能にする。ここで、このような局所的に比較的速い流速は、乾燥される平坦な材料が不均一に乾燥される工程を殊更に不可避とする。したがって、複数の個々のノズルを用いて稼動する乾燥機に関して、本発明を用いて、均一な流れの条件、及び乾燥される平坦な材料の表面全体にわたって均一な流速を設定することができ、これによって、非常に均一で繊細な乾燥を達成することも可能である。
【0005】
本発明の改良において、気体状流体を流通させる手段は、金属プレートと乾燥される平坦な材料の間の領域から気体を取り出す吸引手段を有している。
【0006】
金属プレートと乾燥される平坦な材料の間の領域から気体が取り出されるため、流れを乾燥される平坦な材料に向かわせるというよりむしろ、生じた流れのみが乾燥される材料から離れる方向に運ばれ、これによって、特に繊細な乾燥を達成することができる。これは、金属プレートと乾燥される平坦な材料の間に、負圧を生じる結果をもたらす。金属プレートと乾燥される平坦な材料の間の空間を横方向に流れる気体を、適宜、供給してもよく、この場合には、均一な流量分布を達成するために、当該気体が、開孔金属発泡体製の金属プレートを流通するのが同様に有利である。また一方で、乾燥される平坦な材料から漏れ出た気体又は蒸気のみの、及び実質的にこれのみの極少量の気体流を吸引によって抽出するように、負圧を低い水準に設定することも可能である。
【0007】
気体状流体を、開孔金属発泡体に通して乾燥される平坦な材料の方向に送り出すか、又は開孔金属発泡体と乾燥される平坦な材料の間の空間から取り出すかにかかわらず、金属発泡体製の金属プレートを、乾燥される平坦な材料に対して斜めに配置することが可能である。これによって、所望の流れの条件が金属プレートと乾燥される平坦な材料の間の空間に存在するように、金属プレートと乾燥される平坦な材料の間の空間の気体分布に影響を与えることが可能となる。
【0008】
本発明の改良において、気体状流体を流通させる手段は、金属プレートの表面で、その一面の境界を規定されている少なくとも一つの流路空間を有し;当該表面は、乾燥される平坦な材料から離れる方向に向いており;流路空間は、搬送気体用の少なくとも一つの入口及び少なくとも一つの出口を有し、かつ金属プレートを介しての吸引作用を生じさせるために、搬送気体が導かれて流路空間に設置されている金属プレートの当該表面を通過させるように、設計されている。
【0009】
これらの手段は、いわゆるベンチュリ効果による吸引作用を生じることができる。気体状流体、例えば窒素、希ガス、又は他の好適な気体でよい気体状流体は、乾燥される平坦な材料から離れる方向に向いている、金属プレートの表面を通るように導かれる。ここでは、比較的速い流速が達成されるのが好ましい。この場合には、気体状流体は、開孔金属発泡体の数多の開孔を通る。このいわゆるベンチュリ効果の結果として、吸引作用が生じ、これによって金属プレートと乾燥される平坦な材料の間の空間、すなわち乾燥空間に位置している気体が、金属発泡体の開孔を通して吸い込まれる。ここでは、金属プレートがその表面全体にわたる開孔を有しているため、これが、金属プレートの表面全体にわたって均一に生じる。したがって、金属プレートと乾燥される平坦な材料の間の乾燥空間において、実質的に一定な流れの条件を、当該表面全体にわたって作り出すことが可能である。
【0010】
本発明の改良において、それぞれが少なくとも一つの入口及び少なくとも一つの出口を有している複数の流路空間が、乾燥される材料の長手方向で、一方が他方の後方にくるように、配置されている。
【0011】
これは、例えば、種々の流速を流路空間内で設定することが可能になることを意味する。例えば、乾燥工程がまさに始まる流路空間内の流速を非常に低い水準に設定することによって、静止した液状又はゲル状の平坦な材料が特に繊細に処理され、極少量の気体が乾燥空間から取り出される。また、代替として、非常に速い流速をかかる前方の流路空間で設定することが可能であって、これによって、始めから、乾燥工程が直ちに加速される。この場合には、既に予備乾燥されている平坦な材料の上方に位置している流路空間を、処理される材料の各々に対して理想的な負圧が乾燥空間内で設定されるように、設定することが可能である。
【0012】
本発明の改良において、金属プレートが、循環ベルトの上方に配置されており、この循環ベルトには、平坦な材料を生成するために液状材料が塗布され、かつ当該材料がそのベルト上で固化する。
【0013】
これは、塗布操作の後であって、フィルム又はシートを生成する間に、ベルトに塗布される液状材料を、非常に繊細にそしてこの工程に関して効率的かつ迅速に乾燥することを、可能とすることを意味する。
【0014】
本発明の改良において、少なくとも一つのエアロックが、乾燥機の乾燥空間の上流及び/又は下流に設けられ;エアロックが、乾燥される平坦な材料の長手方向に対して横方向に配置された少なくとも一つのバー状又はロッド状のストリップを有し;平坦な材料が、長手方向にストリップを通過し;当該ストリップが、平坦な材料に向いているその外面の少なくとも一部にわたって、多孔性かつ気体透過性の金属発泡体からなり;エアロックの気体を金属発泡体に通して平坦な材料の方向に送り出す手段が、具備されている。
【0015】
したがって、バー状又はロッド状のストリップは、金属発泡体ストリップを含んでよく、又は金属発泡体で出来ている管状ロッドも含んでよい。管状ロッドの場合には、エアロックの気体をロッドの内部に導入することが可能であり、次いでエアロックの気体は金属発泡体を通されて外部の方向に送り出される。ここで、乾燥される材料から離れる方向に向いているロッドの外面の領域を、シールすることができる。かかるシールは、金属発泡体を再研削することによって、また、例えばシール化合物、例えば接着剤などのシール化合物を塗布することによっても、達成することができる。
【0016】
本発明の改良において、金属発泡体は、ステンレス鋼、特にクロムニッケル系のステンレス鋼からなる。
【0017】
クロムニッケル系のステンレス鋼を使用することによって、金属発泡体に高い耐腐食性を付与すること、また、これを腐食環境で使用することが可能になる。また、これは、金属発泡体の腐食生成物が、金属発泡体から乾燥される材料上に落下し、これによって品質が低下しかねないことを生じさせないために、必要なことである。
【0018】
本発明の改良において、金属発泡体では、ニッケルが45%と80%の間であり、かつクロムが15%と45%の間である。金属発泡体が、それぞれ1%未満の割合で、カーボン、銅、鉄、モリブデン、マンガン、リン、及び/又は亜鉛を有しているのが有利である。
【0019】
本発明の改良において、金属発泡体は、90%以上の気孔率を有している。
【0020】
気孔率は、発泡金属中の空洞に関する。90%の気孔率とは、金属発泡体の全体積の90%が空気又は空洞から構成され、かつ10%のみが固体材料から構成されていることを意味している。
【0021】
本発明の改良において、金属発泡体は、0.3mmと2.5mmの間の範囲の平均細孔径を有している。
【0022】
多かれ少なかれ、金属発泡体の細孔径は統計的に分布しており、平均的には、これらは0.3mmと2.5mmの間にあってよい。ここでは、平均細孔径は、金属発泡体を通る気体状流体の所望の流量と、相関している。
【0023】
また、本発明が基づく課題は、平坦な材料、特にパネル、フィルム、又はシートを乾燥する方法であって、多孔性かつ気体透過性の金属発泡体で出来ている少なくとも一つの金属プレートを、乾燥される平坦な材料から距離をとって配置し、かつ気体状流体を金属プレートに通して送り出す方法によって解決される。
【0024】
開孔金属発泡体で出来ているプレートを用いることによって、非常に均一な流れの条件を、金属プレートと乾燥される平坦な材料の間の領域、すなわち乾燥空間に設定することが可能となり、これによって当該非常に均一な流れの条件が、非常に繊細な乾燥であって、かつこの工程に関して効率的な乾燥を、可能とする。
【0025】
本発明の改良において、乾燥される平坦な材料を導いて金属プレートに通過させる。
【0026】
かかる平坦な材料の誘導は、特にウェブ形状の平坦な材料、例えば、フィルム又はシートについて連続操作を達成するためには、好都合である。また一方で、本発明の方法は、いわゆる一括操作で、すなわち乾燥される材料を乾燥機の下方で、動かないように配置して、用いてもよい。かかる一括操作を、調査の目的で用いることができるのであって、目的が、例えばコートされたガラス板を乾燥することであれば、連続乾燥操作は必ずしも必要でもない。
【0027】
本発明の改良において、平坦な材料と金属プレートの間の領域から、当該金属プレートに通して気体状流体を取り出すことが、提供される。
【0028】
乾燥空間から気体状流体を取り出すことによって、平坦な材料を、特に繊細に、かつこの工程に関しては効率的に、乾燥することが可能になる。
【0029】
本発明の改良において、第一の金属プレートを平坦な材料の第一の表面から距離をとって配置すること、少なくとも第二の金属プレートを平坦な材料の第二の表面から距離をとって配置すること、並びに気体状流体を第一及び第二の金属プレートに通して送り出すことが、提供される。
【0030】
これによって、平坦な材料の相対する二つの表面を同時に乾燥することが可能になる。
【0031】
本発明の改良において、二つの金属プレートの間の領域で、平坦な材料を非接触的に乾燥することが提供される。
【0032】
本発明の改良において、搬送気体を導いて、乾燥される平坦な材料から離れる方向に向いている、金属プレート表面を通過させること、及び、搬送気体を導いて通過させる手段を用いることによって、気体状流体が金属プレートを通して取り出されることが、提供される。
【0033】
これらの手段は、気体を、乾燥空間から金属発泡体の孔に通して取り出すための、いわゆるベンチュリ効果を用いることを可能とする。ここで、気体が金属プレートの表面全体にわたって取り込まれ、これによって、非常に均一な流れの条件が乾燥空間において達成される。
【0034】
本発明の他の特徴及び利点を、特許請求の範囲から、かつ図面と併せた下記の本発明の好ましい実施形態の記載から、寄せ集めることができる。ここで、種々の実施形態の個々の特徴、及び個々の図面を、本発明の範囲から逸脱することなく、あらゆる所望の方式で組み合わせてよい。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1図1は、一方が他方の後方に配置されている本発明の二つの乾燥機を有している、ウェブ形状の平坦な材料を製造するためのプラントの概略図である。
図2図2は、本発明の別の乾燥機の概略図である。
図3図3は、本発明の別の実施形態である乾燥機の概略図である。
図4図4は、本発明の別の実施形態である乾燥機の概略図である。
図5図5は、本発明の別の実施形態である乾燥機の概略図である。
図6図6は、本発明の別の実施形態である乾燥機の概略図である。
図7図7は、本発明の別の実施形態である乾燥機の概略図である。
図8図8は、本発明の別の実施形態である乾燥機の概略図である。
図9図9は、本発明の別の実施形態である乾燥機の概略図である。
図10図10は、本発明の別の実施形態である乾燥機の概略図である。
図11図11は、本発明の別の実施形態である乾燥機の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
図1の概略図は、ウェブ形状の材料、例えばフィルム又はシートを製造するためのプラント10を示す図である。流通方向は、図1の左から右に向かう方向である。ドラム12から、コートされるシート又はセパレートシートを引き、かつ循環ベルト14の上側のストランドに導く。液状材料を塗布する装置16は、ベルト14の上側のストランドの前方に配置されている。当該塗布装置16は、例えばベルト14の全幅にわたって連なっているスロットノズルの形態で設計されている。当該塗布装置16を用いて、ベルト14、特にスチールベルトにシート用の投入される材料を塗布し、次いで仕上がったシートをベルト14の上側のストランドの端で引くことができる。
【0037】
液状材料がベルト14に塗布され、次いで、ベルト14が動くにつれて液状材料は固化し、又は乾燥する。コートされるシートが、ベルト14及び塗布装置16の間に配置されており、塗布装置16で液状材料が、当該シートの上側に塗布される。本発明の乾燥機18は、循環ベルト14の上側のストランドの上方に配置されている。乾燥機18は、乾燥される平坦な材料の上方で一定距離をとって配置されている金属発泡体製の多孔性かつ気体透過性の金属プレート20を有し、塗布装置16から、ベルト14の上側のストランド上の、又はシートの上側の当該材料は、フィルムの形態で置かれている。金属プレート12はその上方に流路空間22を有し、この流路空間22では、気体透過性プレートで上側が覆われており、かつ気体透過性プレート24、26によって側面が塞がれている。ここで、プレート24、26は、流路空間12を通る均一な流れを達成するために、同様に開孔金属発泡体からなっていてよいが、また、例えば単純に穿孔されたプレートでもよい。
【0038】
プレート24、26は、同時に、流路空間22用の各入口及び出口を、形成している。気体は、プレート24を通って流路空間22に導入され、さらに、気体は、プレート26を通して、流路空間22から出る。ここで、気体は、乾燥空間内を矢印28の方向に流れ、これによって、金属プレート20の開孔を通過して流れる。したがって、いわゆるベンチュリ効果により、金属プレート20の孔内で負圧が生じる。この負圧は、金属プレート20とベルト14の上側のストランド上の乾燥される平坦な材料の間の乾燥空間30から、気体を取り出す結果を最終的にもたらす。この場合には、当該気体が、流路空間22を通って流れる気体と共に、プレート26を通して引き込まれる。ここで、気体を、金属プレート20の下面全体にわたる乾燥空間30から取り込み、これによって金属プレート20の全長にわたる乾燥空間中で、実質的に一定の流れの条件が達成される。したがって、循環ベルト14の上側のストランド上のウェブ形状のフィルムを、非常に繊細かつ均一に乾燥することができる一方で、同時に、効率的かつ素早く乾燥することもできる。
【0039】
循環ベルト14用の可撓ドラム32の領域において、当該可撓ドラムは図1の右方に配置され、コートされているキャリアシート12は、循環ベルト14を後にして、本発明の浮揚乾燥機34に導入される。浮揚乾燥機34は、その上流端で、乾燥されるウェブ形状の材料の長手方向に対して横方向に伸びている二つの管状ロッド36を備えているエアロックを、有している。これらのロッド36は、少なくとも部分的に金属発泡体からなり、かつ乾燥されるウェブ形状の材料の方向にエアロックの気体を送り出すのに役立つ。したがって、これらのロッド36は、当該エアロック36の下流側における、浮揚乾燥機34の実質的な乾燥領域に、周囲の気体が入り込むことを防止するのに役立つ。また、管状ロッド36を備えている実質的に同一のエアロックが、浮揚乾燥機34の下流端にも配置されており、ここで、二つの管状ロッド36を備えている各エアロックが、当該下流端で、乾燥されるウェブ形状の材料の上方及び下方の両方に配置されている。
【0040】
浮揚乾燥機34の実質的な乾燥領域38中をウェブ形状の材料が流通方向に向かうのを見て取れるように、複数の流路空間40、42、44、及び46が、一方が他方の後方にくるように配置されている。同様にして、複数の流路空間41、43、45、及び47が、相対する側、つまりウェブ形状の材料の下側で、一方が他方の後方にくるように配置されている。ここで、流路空間40〜48は、乾燥されるウェブ形状の材料に向く側において、それぞれが開孔の、ひいては気体透過性の金属発泡体で出来ている金属プレートによって、境界を規定されている。ここで、気体は、流路空間40及び44、並びに43及び47に送り込まれ、各金属プレートを通され、乾燥されるウェブ形状の材料に向かって送り出される。他方では、これは、ウェブ形状の材料を流路空間40〜48の相対している複数の金属プレート同士の間の中心に浮揚状態で維持することを、確実なものとする。それに加えて、気体がウェブ形状の材料の上側と下側に導かれ、これによってウェブ形状の材料が乾燥される。対照的に、気体は、流路空間42、46、41、及び45から吸引によって抽出される。したがって、例えば、流路空間40の金属プレートを通してウェブ形状の材料に向けて送り出される気体は、再度、流路空間42の金属プレートを通して、吸引により抽出されるため、乾燥されるウェブ形状の材料の上方及び下方の領域中で、安定した流れの条件を創出することが可能となる。
【0041】
金属プレートを通して各気体をウェブ形状の材料に向けて送り出す流路空間40及び43は、ウェブ形状の材料の上側と下側においてその長手方向でずれている。同様にして、金属プレートを通して気体をウェブ形状の材料から離れる方向に運ぶ流路空間41及び42も、長手方向で互いにずれている。また、これは、流路空間44及び47、並びに45及び46の場合にもいえることである。
【0042】
したがって、浮揚乾燥機34は、乾燥されるウェブ形状の材料をその両側から乾燥することを可能にする。流路空間の数の最大と最小は、ベルトの速度、及び塗布された材料中の溶媒の割合によって決定される。また、これは、流路空間を複数で有している本発明の他の乾燥機の場合にもいえることである。
【0043】
浮揚乾燥機34の下流において、ウェブ形状の材料を、続いてドラム50上に導き、かつ第一の後処理装置52、次に第二の後処理装置54にも導く。後処理装置52、54において、ウェブ形状の材料を仕上げるために、ウェブ形状の材料を、液状媒体によっても気体状媒体によっても後処理することが可能である。例えば、液状媒体を用いてウェブ形状の材料に対する非接触式の後処理を、後処理装置52で行い、かつ高温気体を用いてウェブ形状の材料に対する非接触式の後処理を、後処理装置54で行う。簡略化のために、ウェブ形状の材料を後処理装置52及び54内には図示していない。後処理装置54の下流において、乾燥されて完成したウェブ形状の材料12を、次いで、ストレージドラム56で巻き上げる。
【0044】
図2は、本発明の別の実施形態である乾燥機60を示す図である。乾燥機60は、各エアロック62、64が、乾燥空間30の上流端及び下流端に配置されていることを除き、図1の乾燥機18と同じようにして構成されている。エアロック62及び64は、周囲の気体が乾燥空間30に入り込むことを防止する。
【0045】
液状材料を、塗布装置16を用いて循環ベルト14の上側のストランドに塗布する。塗布された液状材料は、ベルト14の上側のストランド上で液状フィルムを形成する。この液状フィルムは、エアロック62を通って乾燥空間30に導入される。乾燥空間30は、その上側において、開孔及び気体透過性の金属発泡体で出来ている金属プレート20によって境界を規定されている。金属プレート20の上方には、図1及び乾燥機18を参照して既に説明したように、気体が矢印28の方向に流通する流路空間22が、配置されている。気体28は、金属プレート20の開孔を流通し、これによって、気体を乾燥空間30から吸引して流路空間22に至らせる。したがって、気体が、乾燥空間から、ひいては液状フィルムの表面から吸引によって抽出されるため、ベルト14の上側のストランドの液状フィルムが、金属プレート20の下面全体にわたって均一に乾燥される。液状フィルムはベルト14の上側のストランドと共に移動し、これによってフィルムが乾燥され、これが乾燥機60の下流側のエアロック64を通過してすぐに、乾燥した形態の安定なシート66をベルト14から移して、例えば後処理に提供することができる。乾燥速度を、金属プレートの高さ調節によって最適化することができる。流路空間22の流速及び体積流を、流路空間22の高さを変更することによって最適化することができる。ここで、体積流を、金属プレート20を通して吸引する方向に対して、反対及び横にして、最適化することを手段としてもよい。
【0046】
ここで、エアロック62、64は、図1の乾燥機34を参照して説明したようにして、設計されている。各エアロック62及び64は、二つの管状ロッド36を有し、エアロックの気体は、これらを通って、乾燥されるフィルムの方向に、又はシート66の方向に向かって送り出される。ここで、各管状ロッド36は、気体透過性の金属発泡体からなり、これによってエアロックの気体が、フィルム又はシート66の全幅にわたって、低い流速で均一に、これらの方向に向かって送り出される。フィルム又はシートが不利な影響を受けることがないのに加えて、周囲の気体が乾燥空間30に入り込まないようにすることを確実なものとすることができる。エアロックの気体の流れを調節するために、ロッド36の高さを、ベルト14に対して、又は乾燥される材料に対して調節することができる。また、この目的は、ロッド36の気孔率を適切に選択することによっても達成される。
【0047】
図3は、本発明の別の実施形態である乾燥機70を示す図である。乾燥機70は、浮揚乾燥機の形態、ひいては図1で説明した浮揚乾燥機34に相当するようにして、設計されている。しかしながら、図3の乾燥機70は、合計で4つのエアロック72、74、76、78を有し、各エアロックが、二つの管状ロッド36を有している。各管状ロッドは、乾燥されるウェブ形状の材料から距離をとって配置され、エアロックの気体が、これを通して乾燥されるウェブ形状の材料の方向に向かって送り出される。各管状ロッドは、気体透過性の金属発泡体からなる。第一の乾燥空間62の上流端では、エアロック72が乾燥されるウェブ形状の材料80の上方に配置され、この下流端は、エアロック74によって塞がれている。エアロック76は、ウェブ形状の材料の下側と、ウェブ形状の材料80の下方にある流路空間の金属発泡体プレートとの間に位置している第二の乾燥空間84の上流端に配置されている。乾燥空間84の下流端は、エアロック78で塞がれている。
【0048】
ウェブ形状の材料80は、浮揚乾燥機70の上流で、塗布装置16によってコーティングされ、次いで、非接触式で乾燥機70に導かれ、ひいては、その上側と下側を乾燥される。ここでは、当該流路空間が、図1の参照によって既に説明した乾燥機34と同一となるように設計されているため、乾燥機70の個々の流路空間の詳細な説明を省略する。
【0049】
図4は、本発明の別の実施形態である乾燥機90を示す図である。乾燥機90は、図1の参照によって既に説明した乾燥機18と同じようにして、連続ベルト稼動用に設計されている。図1の乾燥機18とは対照的に、開孔金属発泡体で出来ている金属プレート92が、乾燥される平坦な材料94に対して斜めに配置されており、したがって、乾燥空間96は、乾燥される材料94が進行する方向に向かって、その高さの減少を生じる。金属プレート92の上方には、流路空間98及び100が配置され、それぞれが、循環ベルト14の上側のストランド上のウェブ形状の材料の進行方向とは反対方向に流通する気体を通し、これによって、気体が、乾燥空間96から取り出される。斜めで位置している金属プレート92は、乾燥空間96内で種々の流れの条件を設定することを可能とする。これによれば、ウェブ形状の材料94が乾燥機90を通過するのにしたがって、その乾燥の加減に影響を与えるようにするために、流路空間98の下方よりも流路空間100の下方において、より低い負圧を設定することが可能である。
【0050】
図5は、本発明の別の実施形態である乾燥機110を示す図である。乾燥機110は、浮揚乾燥機の形態で、ひいては、図1の参照によって既に説明した乾燥機34と同じように設計されている。図1の浮揚乾燥機34とは対照的に、流路空間114、116、118、120、122、及び124にある多孔性かつ気体透過性の金属プレート112が、乾燥されるウェブ形状の材料108から第一の距離をとって配置されている。複数の金属プレート112の間で、当該材料を浮揚状態で維持するようにして、気体が、流路空間114、116、118、120、122、124を通してウェブ形状の材料108の上側及び下側の方向に向けて送り出される。対照的に、気体が、流路空間115、117、119、121、123、及び125を通しての吸引によって抽出される。流路空間115、117、119、121、123、及び125の各々を近づけることによって、多孔性かつ気体透過性の金属プレート126が、ウェブ形状の材料108の上側及び下側から第二の距離をとって配置される。ここで、第二の距離は、多孔性かつ気体透過性の金属プレート112をウェブ形状の材料108から離して間隔をとった第一の距離よりも長いものとなる。かかる手段は、ウェブ形状の材料108を、浮揚状態で確実に維持し、ひいては非接触方式で乾燥することを可能とする。また、金属プレート112の表面積は、金属プレート126の表面積の約半分であることが、見て取ることができる。これは、一方で乾燥を確実なものとし、他方でウェブ形状の材料を浮揚状態で確実に維持することができる状況を生じる。
【0051】
図6は、本発明の別の乾燥機130を示す図である。これは、ウェブ形状の材料132の両側を乾燥する浮揚乾燥機の形態で設計されている。乾燥機130は、ウェブ形状の材料132の上方に、合計で5つの流路空間134を有しており、かつ同一である5つの流路空間136は、しかしながら、ウェブ形状の材料132の下方に配置されている。各流路空間は、ウェブ形状の材料132に向く側で、多孔性かつ気体透過性の金属プレートによって、境界を規定されており、かつ気体が、これを通してウェブ形状の材料132の方向に向けて送り出される。また、乾燥機130は、4つの流路空間138を有しており、これらは、ウェブ形状の材料の上方で配置され、かつウェブ形状の材料132に向く側で、同様に多孔性かつ気体透過性の金属プレートによって、境界を規定されている。流路空間138と同一である4つの流路空間140は、ウェブ形状の材料132の下方に配置されている。気体を、流路空間138及び140からの吸引によって抽出し、これによって、状材料132の上側と下側の、それぞれ流路空間138及び140の多孔性かつ気体透過性の金属プレートの間に、負圧が生じる。乾燥機130の場合には、流路空間134及び136が、互いに正確に相対するように配置されており、かつ流路空間134及び136の多孔性かつ気体透過性の金属プレートの表面積は、流路空間138及び140の多孔性かつ気体透過性の金属プレートの表面積の実質的に2倍である。また、流路空間138及び140の多孔性かつ気体透過性の金属プレートは、流路空間134及び136の多孔性かつ気体透過性の金属プレートのものよりも、それぞれ、ウェブ形状の材料132の上側と下側からより長い距離をとって配置されている。各乾燥空間からの吸引によって気体が抽出されるような負圧のレベル、並びに、ウェブ形状の材料132を浮揚状態で維持するような正圧のレベル及び/又は流速のレベルは、乾燥されるウェブ形状の材料132のタイプに応じて設定される。エアロック142は、それぞれ乾燥機130の乾燥空間の上流及び下流に配置されている。
【0052】
また、図5及び6の乾燥機を、例えばその両側がコートされているシート用として、垂直に配置し、かつ稼動させてよい。
【0053】
図7は、本発明の別の乾燥機150を示す図である。乾燥機150は、非接触式の乾燥機の形態で設計されており、乾燥されるウェブ形状の材料152が、金属発泡体で出来ている二つの多孔性かつ気体透過性の金属プレート154の間に垂直に導かれる。乾燥気体が、各金属プレート154を通して、乾燥されるウェブ形状の材料152の方向に向かって送り出される。この場合には、ウェブ形状材料152の両側の乾燥空間からの再度の吸引によって、各乾燥空間の上端の方向にむかって、乾燥気体が抽出される。
【0054】
図8は、本発明の別の実施形態である乾燥機160を示す図である。ここでは、乾燥されるウェブ形状材が、多孔性かつ気体透過性の金属プレート164同士の間に、曲がりくねらせつつ導かれ、これによって、非接触式でその両側が乾燥される。ウェブ形状の材料162がその重力に逆らって浮揚状態で維持されている可撓領域166は、金属発泡体168で出来ている曲線状の多孔性かつ気体透過性の金属プレートを有している。また、当該材料を、撓ませ、かつ金属プレート168から距離をとったままで維持するために、気体が、この金属発泡体168を通してウェブ形状の材料162の方向に向かって送り出される。
【0055】
図9は、本発明の別の実施形態である乾燥機170を示す図である。乾燥機170は、いわゆる一括操作用として提供され、したがって、例えば未乾燥のコートされたガラス板172は、乾燥空間174に導入され、次いでそこで完全に乾燥され、乾燥空間174から再び取り出される。乾燥空間174は、一方で未乾燥のコートされたガラス板172によって境界を規定され、かつ、他方で金属発泡体プレート176によっても境界を規定されている。金属発泡体プレート176は、高さを調節可能なようにして配置されており、これによって、乾燥される種々の平坦な材料に適合させることが可能である。金属発泡体プレート176の上方には、流路空間178が配置され、この流路空間178を通して、気体が抽出ファン180を用いた吸引によって抽出される。周囲から、又は気体源からの気体が、熱交換器182を介して流路空間178に流通している。第一の整流器184は、流路空間178の流入口側、すなわち熱交換器182の下流の直近に配置されており、かつ別の整流器186は、流路空間178の出口に配置されている。各整流器184及び186は、開孔金属発泡体プレートを含み、したがって、流路空間178内で非常に均一な流れの条件を確保する。気体が、ベンチュリ効果によって乾燥空間174から吸引されて流路空間178へと至る。
【0056】
図10は、本発明の別の実施形態である乾燥機190を示す図である。図10は、単に概略図であり、固定台194と共に閉塞空間を形成しているカバー192を描写するのに役立っている。この閉鎖空間は、一方において、乾燥される平坦な材料196と、さらに乾燥空間198を含み、この乾燥空間198では、さらに、その上側の方において、金属発泡体プレート200によって境界が規定されている。金属発泡体プレートの上方には、気体が方向性をもって流通する流路空間202が配置されており、したがって、ベンチュリ効果によって、乾燥空間198から気体が取り出される。したがって、流路空間202は、一方では、金属発泡体プレート200で境界を規定されており、かつ他方では、カバー204でも境界を規定されている。カバー204及びカバー192の間には、気体が乾燥空間198を横方向に通過することができる隙間空間が、配置されている。
【0057】
図11は、本発明の別の乾燥機210を概略的に示す図である。乾燥機210は、連続的なトンネルのような方式で設計されており、かつ、乾燥される平坦な材料214の上方で乾燥空間の境界を規定している曲線状の金属発泡体プレート212を有している。曲線状の金属発泡体プレート212の上方には、カバー216が配置されており、カバー216は、それ自体と金属発泡体プレート212の間にある流路空間218を規定している。カバー216は、固定台220の上に載っている。
本発明の態様としては以下を挙げることができる:
《態様1》
平坦な材料用の、特に、パネル、フィルム、又はシート用の乾燥機であって、乾燥される前記平坦な材料から距離をとって配置されている多孔性かつ気体透過性の金属プレートを有し、前記金属プレートに気体状流体を流通させる手段が具備され、かつ前記金属プレートが金属発泡体からなる、乾燥機。
《態様2》
気体状流体を流通させる前記手段が、前記金属プレートと乾燥される前記平坦な材料の間の領域から気体を取り出す吸引手段を有していることを特徴とする、態様1に記載の乾燥機。
《態様3》
気体状流体を流通させる前記手段が、前記金属プレートの表面で、その一面の境界を規定されている少なくとも一つの流路空間を有し、前記表面は、乾燥される前記平坦な材料から離れる方向に向いており、前記流路空間は、搬送気体用の少なくとも一つの入口及び少なくとも一つの出口を有し、かつ前記金属プレートを介しての吸引作用を生じさせるために、前記搬送気体を導いて前記流路空間に設置されている前記金属プレートの前記表面を通過させるように設計されていることを特徴とする、態様2に記載の乾燥機。
《態様4》
それぞれが少なくとも一つの入口及び少なくとも一つの出口を有している複数の流路空間が、乾燥される前記材料の長手方向で、一方が他方の後方にくるように、配置されていることを特徴とする、態様3に記載の乾燥機。
《態様5》
前記金属プレートが、平坦な材料を生成するために液状材料が塗布されかつ前記材料がその上で固化する、循環ベルトの上方に配置されていることを特徴とする、態様1〜4のいずれか一項に記載の乾燥機。
《態様6》
前記乾燥機の乾燥空間の上流及び/又は下流の少なくとも一つのエアロックを特徴とし、前記エアロックが、乾燥される前記平坦な材料の長手方向に対して横方向に配置された少なくとも一つのバー状又はロッド状のストリップを有し、前記平坦な材料が、長手方向に前記ストリップを通過し、前記ストリップが、前記平坦な材料に向いているその外面の少なくとも一部にわたって、多孔性かつ気体透過性の金属発泡体からなり、かつ前記エアロックの気体を前記金属発泡体に通して前記平坦な材料の方向に送り出す手段が、具備されている、態様1〜5のいずれか一項に記載の乾燥機。
《態様7》
前記金属発泡体が、ステンレス鋼、特にクロムニッケル系のステンレス鋼からなることを特徴とする、態様1〜6のいずれか一項に記載の乾燥機。
《態様8》
前記金属発泡体では、ニッケルが45%と80%の間であり、かつクロムが15%と45%の間であることを特徴とする、態様7に記載の乾燥機。
《態様9》
前記金属発泡体が、それぞれ1%未満の割合で、カーボン、銅、鉄、モリブデン、マンガン、リン、及び/又は亜鉛を有しているのが有利であることを特徴とする、態様8に記載の乾燥機。
《態様10》
前記金属発泡体は、90%以上の気孔率を有していることを特徴とする、態様1〜9のいずれか一項に記載の乾燥機。
《態様11》
前記金属発泡体は、0.3mmと2.5mmの間の範囲の平均細孔径を有していることを特徴とする、態様1〜10のいずれか一項に記載の乾燥機。
《態様12》
平坦な材料、特にパネル、フィルム、又はシートを乾燥する方法であって、多孔性かつ気体透過性の金属発泡体で出来ている少なくとも一つの金属プレートを、乾燥される前記平坦な材料から距離をとって配置すること、及び気体状流体を前記金属プレートに通して送り出すことを特徴とする、平坦な材料を乾燥する方法。
《態様13》
乾燥される前記平坦な材料を導いて金属プレートを通過させることを特徴とする、態様12に記載の方法。
《態様14》
前記平坦な材料と前記金属プレートの間の領域から、前記金属プレートに通して気体状流体を取り出すことを特徴とする、態様12又は13に記載の方法。
《態様15》
第一の金属プレートを前記平坦な材料の第一の表面から距離をとって配置すること、少なくとも第二の金属プレートを前記平坦な材料の第二の表面から距離をとって配置すること、並びに
気体状流体を前記第一及び第二の金属プレートに通して送り出すことを特徴とする、態様12、13、又は14に記載の方法。
《態様16》
二つの前記金属プレートの間の領域で、前記平坦な材料を非接触的に乾燥することを特徴とする、態様15に記載の方法。
《態様17》
搬送気体を導いて、乾燥される前記平坦な材料から離れる方向に向いている、金属プレート表面を通過させること、及び、搬送気体を導いて通過させる手段を用いることによって、気体状流体を前記金属プレートを通して取り出すことを特徴とする、態様12〜16のいずれか一項に記載の方法。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11