【課題を解決するための手段】
【0003】
この目的に関して、本発明は、平坦な材料用の、特にパネル、フィルム、又はシート用の乾燥機を提供する。この乾燥機では、多孔性かつ気体透過性の金属プレートが、乾燥される平坦な材料から距離をとって配置され、気体状流体を金属プレートに通す手段が具備され、かつこの金属プレートが金属発泡体からなる。
【0004】
この気体状流体は、多孔性かつ気体透過性の金属発泡体、すなわち開孔金属発泡体で出来ている金属プレートを通るため、乾燥される平坦な材料の全体にわたって非常に均一な気体状流体の流量分布を達成することが可能である。開孔金属発泡体で出来ている多孔性かつ気体透過性の金属プレートを用いることは、特に、局所的に比較的速い流速を全体的に抑制することを可能にする。ここで、このような局所的に比較的速い流速は、乾燥される平坦な材料が不均一に乾燥される工程を殊更に不可避とする。したがって、複数の個々のノズルを用いて稼動する乾燥機に関して、本発明を用いて、均一な流れの条件、及び乾燥される平坦な材料の表面全体にわたって均一な流速を設定することができ、これによって、非常に均一で繊細な乾燥を達成することも可能である。
【0005】
本発明の改良において、気体状流体を流通させる手段は、金属プレートと乾燥される平坦な材料の間の領域から気体を取り出す吸引手段を有している。
【0006】
金属プレートと乾燥される平坦な材料の間の領域から気体が取り出されるため、流れを乾燥される平坦な材料に向かわせるというよりむしろ、生じた流れのみが乾燥される材料から離れる方向に運ばれ、これによって、特に繊細な乾燥を達成することができる。これは、金属プレートと乾燥される平坦な材料の間に、負圧を生じる結果をもたらす。金属プレートと乾燥される平坦な材料の間の空間を横方向に流れる気体を、適宜、供給してもよく、この場合には、均一な流量分布を達成するために、当該気体が、開孔金属発泡体製の金属プレートを流通するのが同様に有利である。また一方で、乾燥される平坦な材料から漏れ出た気体又は蒸気のみの、及び実質的にこれのみの極少量の気体流を吸引によって抽出するように、負圧を低い水準に設定することも可能である。
【0007】
気体状流体を、開孔金属発泡体に通して乾燥される平坦な材料の方向に送り出すか、又は開孔金属発泡体と乾燥される平坦な材料の間の空間から取り出すかにかかわらず、金属発泡体製の金属プレートを、乾燥される平坦な材料に対して斜めに配置することが可能である。これによって、所望の流れの条件が金属プレートと乾燥される平坦な材料の間の空間に存在するように、金属プレートと乾燥される平坦な材料の間の空間の気体分布に影響を与えることが可能となる。
【0008】
本発明の改良において、気体状流体を流通させる手段は、金属プレートの表面で、その一面の境界を規定されている少なくとも一つの流路空間を有し;当該表面は、乾燥される平坦な材料から離れる方向に向いており;流路空間は、搬送気体用の少なくとも一つの入口及び少なくとも一つの出口を有し、かつ金属プレートを介しての吸引作用を生じさせるために、搬送気体が導かれて流路空間に設置されている金属プレートの当該表面を通過させるように、設計されている。
【0009】
これらの手段は、いわゆるベンチュリ効果による吸引作用を生じることができる。気体状流体、例えば窒素、希ガス、又は他の好適な気体でよい気体状流体は、乾燥される平坦な材料から離れる方向に向いている、金属プレートの表面を通るように導かれる。ここでは、比較的速い流速が達成されるのが好ましい。この場合には、気体状流体は、開孔金属発泡体の数多の開孔を通る。このいわゆるベンチュリ効果の結果として、吸引作用が生じ、これによって金属プレートと乾燥される平坦な材料の間の空間、すなわち乾燥空間に位置している気体が、金属発泡体の開孔を通して吸い込まれる。ここでは、金属プレートがその表面全体にわたる開孔を有しているため、これが、金属プレートの表面全体にわたって均一に生じる。したがって、金属プレートと乾燥される平坦な材料の間の乾燥空間において、実質的に一定な流れの条件を、当該表面全体にわたって作り出すことが可能である。
【0010】
本発明の改良において、それぞれが少なくとも一つの入口及び少なくとも一つの出口を有している複数の流路空間が、乾燥される材料の長手方向で、一方が他方の後方にくるように、配置されている。
【0011】
これは、例えば、種々の流速を流路空間内で設定することが可能になることを意味する。例えば、乾燥工程がまさに始まる流路空間内の流速を非常に低い水準に設定することによって、静止した液状又はゲル状の平坦な材料が特に繊細に処理され、極少量の気体が乾燥空間から取り出される。また、代替として、非常に速い流速をかかる前方の流路空間で設定することが可能であって、これによって、始めから、乾燥工程が直ちに加速される。この場合には、既に予備乾燥されている平坦な材料の上方に位置している流路空間を、処理される材料の各々に対して理想的な負圧が乾燥空間内で設定されるように、設定することが可能である。
【0012】
本発明の改良において、金属プレートが、循環ベルトの上方に配置されており、この循環ベルトには、平坦な材料を生成するために液状材料が塗布され、かつ当該材料がそのベルト上で固化する。
【0013】
これは、塗布操作の後であって、フィルム又はシートを生成する間に、ベルトに塗布される液状材料を、非常に繊細にそしてこの工程に関して効率的かつ迅速に乾燥することを、可能とすることを意味する。
【0014】
本発明の改良において、少なくとも一つのエアロックが、乾燥機の乾燥空間の上流及び/又は下流に設けられ;エアロックが、乾燥される平坦な材料の長手方向に対して横方向に配置された少なくとも一つのバー状又はロッド状のストリップを有し;平坦な材料が、長手方向にストリップを通過し;当該ストリップが、平坦な材料に向いているその外面の少なくとも一部にわたって、多孔性かつ気体透過性の金属発泡体からなり;エアロックの気体を金属発泡体に通して平坦な材料の方向に送り出す手段が、具備されている。
【0015】
したがって、バー状又はロッド状のストリップは、金属発泡体ストリップを含んでよく、又は金属発泡体で出来ている管状ロッドも含んでよい。管状ロッドの場合には、エアロックの気体をロッドの内部に導入することが可能であり、次いでエアロックの気体は金属発泡体を通されて外部の方向に送り出される。ここで、乾燥される材料から離れる方向に向いているロッドの外面の領域を、シールすることができる。かかるシールは、金属発泡体を再研削することによって、また、例えばシール化合物、例えば接着剤などのシール化合物を塗布することによっても、達成することができる。
【0016】
本発明の改良において、金属発泡体は、ステンレス鋼、特にクロムニッケル系のステンレス鋼からなる。
【0017】
クロムニッケル系のステンレス鋼を使用することによって、金属発泡体に高い耐腐食性を付与すること、また、これを腐食環境で使用することが可能になる。また、これは、金属発泡体の腐食生成物が、金属発泡体から乾燥される材料上に落下し、これによって品質が低下しかねないことを生じさせないために、必要なことである。
【0018】
本発明の改良において、金属発泡体では、ニッケルが45%と80%の間であり、かつクロムが15%と45%の間である。金属発泡体が、それぞれ1%未満の割合で、カーボン、銅、鉄、モリブデン、マンガン、リン、及び/又は亜鉛を有しているのが有利である。
【0019】
本発明の改良において、金属発泡体は、90%以上の気孔率を有している。
【0020】
気孔率は、発泡金属中の空洞に関する。90%の気孔率とは、金属発泡体の全体積の90%が空気又は空洞から構成され、かつ10%のみが固体材料から構成されていることを意味している。
【0021】
本発明の改良において、金属発泡体は、0.3mmと2.5mmの間の範囲の平均細孔径を有している。
【0022】
多かれ少なかれ、金属発泡体の細孔径は統計的に分布しており、平均的には、これらは0.3mmと2.5mmの間にあってよい。ここでは、平均細孔径は、金属発泡体を通る気体状流体の所望の流量と、相関している。
【0023】
また、本発明が基づく課題は、平坦な材料、特にパネル、フィルム、又はシートを乾燥する方法であって、多孔性かつ気体透過性の金属発泡体で出来ている少なくとも一つの金属プレートを、乾燥される平坦な材料から距離をとって配置し、かつ気体状流体を金属プレートに通して送り出す方法によって解決される。
【0024】
開孔金属発泡体で出来ているプレートを用いることによって、非常に均一な流れの条件を、金属プレートと乾燥される平坦な材料の間の領域、すなわち乾燥空間に設定することが可能となり、これによって当該非常に均一な流れの条件が、非常に繊細な乾燥であって、かつこの工程に関して効率的な乾燥を、可能とする。
【0025】
本発明の改良において、乾燥される平坦な材料を導いて金属プレートに通過させる。
【0026】
かかる平坦な材料の誘導は、特にウェブ形状の平坦な材料、例えば、フィルム又はシートについて連続操作を達成するためには、好都合である。また一方で、本発明の方法は、いわゆる一括操作で、すなわち乾燥される材料を乾燥機の下方で、動かないように配置して、用いてもよい。かかる一括操作を、調査の目的で用いることができるのであって、目的が、例えばコートされたガラス板を乾燥することであれば、連続乾燥操作は必ずしも必要でもない。
【0027】
本発明の改良において、平坦な材料と金属プレートの間の領域から、当該金属プレートに通して気体状流体を取り出すことが、提供される。
【0028】
乾燥空間から気体状流体を取り出すことによって、平坦な材料を、特に繊細に、かつこの工程に関しては効率的に、乾燥することが可能になる。
【0029】
本発明の改良において、第一の金属プレートを平坦な材料の第一の表面から距離をとって配置すること、少なくとも第二の金属プレートを平坦な材料の第二の表面から距離をとって配置すること、並びに気体状流体を第一及び第二の金属プレートに通して送り出すことが、提供される。
【0030】
これによって、平坦な材料の相対する二つの表面を同時に乾燥することが可能になる。
【0031】
本発明の改良において、二つの金属プレートの間の領域で、平坦な材料を非接触的に乾燥することが提供される。
【0032】
本発明の改良において、搬送気体を導いて、乾燥される平坦な材料から離れる方向に向いている、金属プレート表面を通過させること、及び、搬送気体を導いて通過させる手段を用いることによって、気体状流体が金属プレートを通して取り出されることが、提供される。
【0033】
これらの手段は、気体を、乾燥空間から金属発泡体の孔に通して取り出すための、いわゆるベンチュリ効果を用いることを可能とする。ここで、気体が金属プレートの表面全体にわたって取り込まれ、これによって、非常に均一な流れの条件が乾燥空間において達成される。
【0034】
本発明の他の特徴及び利点を、特許請求の範囲から、かつ図面と併せた下記の本発明の好ましい実施形態の記載から、寄せ集めることができる。ここで、種々の実施形態の個々の特徴、及び個々の図面を、本発明の範囲から逸脱することなく、あらゆる所望の方式で組み合わせてよい。