(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0001】
発光システムのエネルギー消費は、現在、大きな社会的な関心を集めている。こうした関心により、政府が、よりエネルギー効率の高い光源とそれらの光源の高性能制御の開発を奨励することすらある。光効率を改善するいくつかの方法は、光源装置それ自身の基本的な素材及び構造の改良を利用している。他の方法は、色品質と発光効率を満足するカスタマイズされたスペクトル分布を構成することを含む。さらに他の方法では、周辺光、占有率及び使用法に応じて光の強度を制御すべく、高機能のセンサとアルゴリズムを用いた光管理システムを構成することが必要とされる。
【0002】
無機発光ダイオード(LED)及び有機発光デバイス(OLED)を含む複数層面発光デバイス/ダイオードの具体的な事例では、しばしば生成された光のごく一部のみがデバイスから出ていく。この非効率性は、生成された光の多くがデバイスにトラップされるためである(例えば、金属電極による光吸収に加えて、層界面及び出力面における内部全反射による)。例えば、陽極及び陰極の2つの電極層により挟まれたいくつかの有機素材層からなる典型的なOLEDについては、わずか約20%の光が直接空気中に放射されうる。残りの光は、(基板モードとして)基板内部にトラップされるか、(導波モードとして)有機層内部にトラップされるか、あるいは、金属陰極に吸収される(通常、プラズモンモードと称される)。
【0003】
これらの多くの光損失経路のうちで、プラズモン損失(「プラズモニック損失」とも称されうる)が、全ての放射光の約40%に達しうる。したがって、プラズモン損失の除去は、(O)LEDの光抽出の改善において進行中の課題である。プラズモン損失は、主に、放射された光が、表面プラズモンポラリトン(SPP)波に結合することを通して生じていると考えられている。SPP波は、金属電極層と発光材料層の間の界面に沿った伝搬に制限された表面波である。SPP波のエネルギーは、最終的には金属電極により吸収されるため、(O)LEDの非効率な動作を生じさせる。
【0004】
発光デバイス内のプラズモン損失は、SPP波のブラッグ散乱により束縛されていない光を生じさせるように、放射光の波長と同程度の周期を有する周期的な格子構造の電極を用いることにより低減しうる。しかしながら、現存する格子構造は、非常に狭い波長範囲(すなわち、単色光源)内におけるプラズモン損失の低減にとってしか有効ではなく、広帯域(すなわち、白色OLED等の白色光源)で有効なものはない。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本発明の1若しくは複数の実施形態による複数層面発光デバイスを示す。
【0009】
【
図2】
図2は、本発明の1若しくは複数の実施形態による複数層面発光デバイスを示す。
【0010】
【
図3】
図3は、本発明の1若しくは複数の実施形態による数値的にシミュレーションされたテストデータを示す。
【0011】
【
図4A】
図4Aは、本発明の1若しくは複数の実施形態による数値的にシミュレーションされたテストデータを示す。
【
図4B】
図4Bは、本発明の1若しくは複数の実施形態による数値的にシミュレーションされたテストデータを示す。
【
図4C】
図4Cは、本発明の1若しくは複数の実施形態による数値的にシミュレーションされたテストデータを示す。
【0012】
【
図5A】
図5Aは、本発明の1若しくは複数の実施形態による数値的にシミュレーションされたテストデータを示す。
【
図5B】
図5Bは、本発明の1若しくは複数の実施形態による数値的にシミュレーションされたテストデータを示す。
【0013】
【
図6A】
図6Aは、本発明の1若しくは複数の実施形態による数値的にシミュレーションされたテストデータを示す。
【
図6B】
図6Bは、本発明の1若しくは複数の実施形態による数値的にシミュレーションされたテストデータを示す。
【0014】
【
図7A】
図7Aは、本発明の1若しくは複数の実施形態による複数層面発光デバイスを示す。
【
図7B】
図7Bは、本発明の1若しくは複数の実施形態による複数層面発光デバイスを示す。
【0015】
【
図8】
図8は、本発明の1若しくは複数の実施形態による複数層面発光デバイスを示す。
【0016】
【
図9】
図9は、本発明の1若しくは複数の実施形態による複数層面発光デバイスを示す。
【0017】
【
図10】
図10は、本発明の1若しくは複数の実施形態による複数層面発光デバイスを示す。
【0018】
【
図11】
図11は、本発明の1若しくは複数の実施形態による周期的な格子構造を示す。
【0019】
【
図12】
図12は、本発明の1若しくは複数の実施形態による周期的な格子構造を示す。
【0020】
【
図13】
図13は、本発明の1若しくは複数の実施形態による(O)LEDの光源スペクトルの構成を示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
添付した図面を参照して本発明の具体的な実施形態を詳細に説明する。一貫性を図るため、異なる図の同一の要素を同一の参照符号により示す。さらに、図面において用いられている「Fig」は、詳細な説明において用いられている「Figure」と同等である。
【0022】
以下の本発明の実施形態の詳細な説明において、本発明をより完全に理解させるために、多くの具体的な詳細を説明している。しかし、当業者には、本発明は、これらの具体的な詳細を省いて実施してよいことが明らかであろう。他の例では、説明を不必要に複雑にしてしまうことを避けるべく、周知の特徴は詳細に説明していない。
【0023】
概して、本発明の複数の実施形態は、可視スペクトル(すなわち、430nmから700nm)の全範囲にわたって、表面プラズモンポラリトン波の形成を阻害するべく加工された周期的な格子構造を備えた発光デバイスに関する。本発明の1若しくは複数の実施形態において、複数層LEDは、金属電極層上に周期的な格子構造を有し、その格子構造は、エネルギーが電極に結合して金属電極に表面プラズモンを形成することを抑制する。1若しくは複数の実施形態において、周期的な格子構造は、本質的には1次元或いは2次元であってよい。格子のサイズ及び形状等の格子構造の特徴は、広い波長範囲で表面プラズモンへの結合を減少させるべく選択される。本発明の1若しくは複数の実施形態において、複数層LEDは、例えば、内部での全反射、導波モード及び/又は基板モードの形成を防止すべく、金属電極以外の境界におけるLEDデバイス内の損失を抑制するような他の格子構造を含んでもよい。
【0024】
本発明の1若しくは複数の実施形態において、LEDデバイスの複数の層を、プラズモン損失スペクトルに基づいて選択してよい。例えば、発光層の発光スペクトルをプラズモン損失スペクトル中の任意の波長を避けるように選択してよい。すなわち、複数層LEDデバイスの層のサイズ、形状及び素材をLEDデバイス内の1若しくは複数の格子構造のサイズ、形状及び素材に基づいて選択してよい。
【0025】
図1に1若しくは複数の実施形態による発光デバイス(例えば、OLED)の断面を示す。発光デバイス101は、基板層103、陽極層105、ホール輸送層(HTL)107、発光層(EML)109、電子輸送層(ETL)111及び金属電極(陰極)層113を有する複数層OLED構造である。1若しくは複数の実施形態によれば、光は、EMLから放射され、放射光のうちの一部分115は、デバイス101を透過して放射光115aとしてデバイスから出ていくであろう。光のうち他の部分は、様々な層の界面でそれらの様々な層の間で屈折率が整合していないために反射されるかもしれず、及び/又は、様々な電磁的モードの形態でデバイスにより吸収されるかもしれない。例えば、光の一部分117は、空気−基板界面から反射されるかもしれず、基板モード117aとしてトラップされるかもしれない。同様に、光の一部分119は、陽極−基板界面から反射されるかもしれず、導波モード119aとしてトラップされるかもしれない。さらに、光の一部分121は、金属電極−ETL界面と相互作用するかもしれず、金属電極層113の表面で表面プラズモンモード121aを励起するかもしれない。本発明の1若しくは複数の実施形態によれば、金属電極層113の表面は、デバイスの作動効率への表面プラズモンの効果を低減させるべく周期的パターンを含んでいる。
【0026】
当業者は、デバイスの複数の層が複数の異なる素材から形成されてよいことを理解するだろう。例えば、基板層は、ガラスで形成されてよく、陽極層は、インジウムスズ酸化物(ITO)から形成されてよい。ホール輸送層は、NBPから形成されてよく、発光層は、蛍光物質又は燐光物質から形成されてよく、電子輸送層は、Alq
3から形成されてよい。さらに、当業者は、金属電極は、任意の適当な金属(例えば、銀、金、アルミニウム等)から形成されてよいことを理解するだろう。加えて、当業者は、EML層それ自身が、各々が発光波長の異なるバンドを有する幾つかの層(赤色発光層、緑色発光層及び青色発光層(図示せず))から形成されてよいことを理解するだろう。さらに、当業者は、デバイスにおける複数の層が、任意の公知のOLEDの製造工程により製造されてよいことを理解するだろう(例えば、真空蒸着、溶解法、又はリソグラフィ技術)。
【0027】
図2に、1若しくは複数の実施形態による発光デバイス(例えば、OLED)の断面を示す。この例では、デバイスの複数の層は、ETL111及び金属電極(陰極)層113の間の界面を除いて、
図1を参照して上述した層と同一であってよい。1若しくは複数の実施形態によれば、金属層113は、表面に形成された周期的な格子構造を有してよい。概して、この表面は、はめ込み図中に示す一連の突出部により形成されている。これらの突出部は、台形の断面を有するように図示されているが、本開示から利益を得る当業者は、突出部は、任意の形状を取ってよいことを理解するだろう。例として、
図11に円形、半円形、及び頭部が丸みを帯びた矩形の形状を有する突出部を含んだ突出部のいくつかの例を示す。さらに、周期的な格子構造は、1次元又は2次元の形態を取ってよく、この場合、2次元の形態は、正方格子の配置又は六方格子の配置を取ってよい。
図12に、周期的な格子構造についてのこれらの異なる配置の例を(平面図で)示す。
【0028】
図2に戻ると、1若しくは複数の実施形態による格子構造を、一連の台形形状から形成してよい。はめ込み図に示すように、台形の格子は、L
t、L
b、h、及びλ
gのパラメータにより特徴づけられる。ここで、L
tは、台形の上部の長さであり、L
bは、台形の底部の長さであり、hは、台形の深さであり、λ
gは、格子の周期と称され、この場合、台形の上部で測った周期的な外形の間隔である。比L
b/λ
g(本明細書ではデューティ比bと称する)及び比L
t/λ
g(本明細書ではデューティ比tと称する)は、以下でより詳細に述べるように、考慮すべき有用なパラメータである。したがって、デューティ比t=0の場合、格子構造は、三角形状である。以下では、上で定義したパラメータの様々な値について数値シミュレーションの結果を示す。さらに、以下では、変数dは、
図2に示すように、発光層と格子が形成された電極層の上面との間の間隔として定義されている。
【0029】
図3に、1若しくは複数の実施形態による広帯域の挙動を示す数値シミュレーションの一例を示す(例えば、商用ソフトウェアCOMSOL Multiphysicsを用いる)。より具体的には、
図3に、平坦な電極構造(データセット301)及び周期的な格子構造の電極(データセット303)について、2層からなる系(EML+銀電極)において波長の関数として、プラズモンモードに散逸した電力を全発光電力で除した値として定義されるプラズモン損失比を示す。この例では、台形形状の周期的格子構造は、λ
g=300nm、h=70nm、デューティ比b=0.9及びデューティ比t=0.3により特徴づけられる。周期的な格子構造の電極は、3つの異なる波長に対応して少なくとも3つの共鳴を示すプラズモン損失スペクトルにおいて、強い波長依存性の応答を示す。それに対して、平坦な電極構造は、波長依存性が平坦な比較的高いプラズモン損失を示す。1若しくは複数の実施形態によれば、プラズモン損失スペクトルの強い波長依存性を利用することにより、可視スペクトルにわたる広帯域でプラズモン損失による低下が改善された発光デバイスを達成するべく、格子構造の電極の正確な構造が最適化される。
【0030】
例えば、
図4Aから
図4Cに、格子構造の電極の表面に関する複数の異なる幾何学的形状について、いくつかの異なる数値的な結果を示す。
図4Aから
図4Cは、λ
g=100nmを有する台形形状の格子の構造的な形状を体系的に変化させたシミュレーション結果を示している。
図4Aは、平坦な電極表面(データセット401)を3つの異なる台形形状と比較したシミュレーション結果を示している。データセット403は、λ
g=100nm、h=70nm、デューティ比b=0.6、デューティ比t=0を用いて得られた。データセット405は、λ
g=100nm、h=70nm、デューティ比b=0.7、デューティ比t=0を用いて得られた。データセット407は、λ
g=100nm、h=70nm、デューティ比b=0.8、デューティ比t=0を用いて得られた。シミュレーションの挙動から読み取ることができる1つのことは、デューティ比bを他の全てを固定したままで増加させるにつれて、最も左の共鳴が、好都合なことにさらに青色側の端部(短い波長)へと移動することである。しかしながら、またデータセット407に見ることができるように、デューティ比bを増加させるにつれて、バックグラウンドから新しい共鳴ピークが現れている。それにも関わらず、シミュレーションは、深い(小さな)サブ波長であるλ
gを用いることは、有益であるという予期していなかった結果を示している。そのようなシミュレーションにおけるプラズモン損失スペクトルの共鳴の挙動が注目しているスペクトルにおいて重要でなくなるためである。この場合、数値シミュレーションは、およそ430nmから700nmの可視スペクトルを含んだスペクトルの広帯域領域に注目している。このように、本明細書では、深いサブ波長は、可視スペクトルの低い側の端部よりもずっと小さな長さスケールを意味している。
【0031】
図4Bは、他のパラメータを固定したままでhを変化させた結果を示している。データセット409は、λ
g=100nm、h=70nm、デューティ比b=0.7、デューティ比t=0を用いて得られた。データセット411は、λ
g=100nm、h=60nm、デューティ比b=0.7、デューティ比t=0を用いて得られた。データセット413は、λ
g=100nm、h=50nm、デューティ比b=0.7、デューティ比t=0を用いて得られた。データセット413は、可視スペクトルの広帯域部分にわたって非常に平坦な応答を示し、1若しくは複数の実施形態において、シミュレーションに示されたパラメータに近いパラメータをプラズモン損失特性が改善された広帯域発光デバイスを実現するために用いてよいことを示している。
【0032】
図4Cは、他のパラメータを固定したままでデューティ比tを変化させた結果を示している。データセット415は、λ
g=100nm、h=70nm、デューティ比b=0.7、デューティ比t=0を用いて得られた。データセット417は、λ
g=100nm、h=70nm、デューティ比b=0.7、デューティ比t=0.1を用いて得られた。データセット419は、λ
g=100nm、h=70nm、デューティ比b=0.7、デューティ比t=0.2を用いて得られた。これらの損失スペクトルが、各々、約500nmにおいて比較的高い損失ピークを示しているという事実によれば、このシミュレーションは、さらに、データセット413が最適に近い結果を示すことを指摘している。さらに、この検討によれば、デューティ比tをこの範囲で変化させることは、約500nmの損失ピークの位置に目立った影響を与えないように思われる。
【0033】
図5A及び
図5Bに、さらに、本発明の1若しくは複数の実施形態によってλ
g=100nmに対して設定された2次元パラメータに関して、それぞれ、矩形格子及び台形格子についての数値シミュレーションの結果を示す。これらの図でプロットされた強度(グレースケール)は、平坦表面の電極に対して規格化された格子構造の電極のプラズモン損失比として定義された相対プラズマ損失比の値である。より濃い影部分が、より低い相対プラズモン損失比を示すため、平坦表面の幾何学的形状と比べて挙動が改善されていることを示している。
図5Aは、(矩形格子、L
t=L
b=L
pitch、デューティ比は、L
pitch/λ
gとして定義されているとして)λ
g=100nmを有する矩形格子について、h及びデューティ比の両方の関数として、3つの波長475nm、535nm、625nmで平均した相対プラズモン損失比を示している。
図5Aに見て取れるように、相対プラズモン損失について0.37の最小値は、h=120nm及びデューティ比0.1において達成される。
図5Bは、λ
g=100nm及びh=70nmを有する台形形状について、デューティ比t及びデューティ比bの関数として3つの波長475nm、535nm、625nmで平均した相対プラズモン損失比を示している。
図5Bに見て取れるように、デューティ比b=0.7及びデューティ比t=0において最小相対損失0.33が達成される。さらに、
図5Bは、台形形状は、矩形形状と比較してプラズモン損失による低下が改善されうることを示唆している。
【0034】
図6A及び
図6Bに、λ
g=300nmに対して設定された2次元パラメータに関して、それぞれ、矩形格子及び台形格子についての数値シミュレーションの結果を示す。これらの図でプロットされた強度(グレースケール)は、平坦表面の電極に対して規格化された格子構造の電極のプラズモン損失比として定義された相対プラズマ損失比の値である。より濃い影部分が、より低い相対プラズモン損失比を示すため、平坦表面の幾何学的形状と比べて挙動が改善されていることを示している。
図6Aは、(矩形格子、L
t=L
b=L
pitch、デューティ比は、L
pitch/λ
gとして定義されているとして)λ
g=300nmを有する矩形格子について、h及びデューティ比の両方の関数として、3つの波長475nm、535nm、625nmで平均した相対プラズモン損失比を示している。
図6Aに見て取れるように、0.41の最小損失は、h=80nm及びデューティ比0.3において達成される。
図6Bは、λ
g=300nm及びh=70nmを有する台形形状について、デューティ比t及びデューティ比bの関数として3つの波長475nm、535nm、625nmで平均した相対プラズモン損失比を示している。
図6Bに見て取れるように、デューティ比b=0.9及びデューティ比t=0.3において最小損失0.31が達成される。さらに、
図6Bは、台形形状は、矩形形状と比較してプラズモン損失による低下が改善されうることを示唆している。
【0035】
図7A及び
図7Bに、1若しくは複数の実施形態による発光デバイス(例えば、OLED)の断面を示す。特に、
図7A及び
図7Bは、ETL層111が金属電極層113と完全に組み合わされていない点を除いて、
図2に示した実施形態と同一である。例えば、
図7Aにおいて、ETL層111は平面状であるが、金属電極層113は、周期的な格子構造を有している。このタイプの配置の結果として、この構造には、空所703が存在する。同様に、
図7Bは、ETL層111はパターンを有しているが、金属電極層113はパターンを有していない例を示している。この配置の結果としても、空所705が存在する。
【0036】
図8に、1若しくは複数の実施形態による発光デバイス(例えば、OLED)の断面を示す。特に、
図8は、全ての層にわたって等角に形成された同一の格子構造を有する構造を示している。この配置は、特定の堆積を利用した複数の製造プロセスにとって好都合でありうる。
【0037】
図9に、1若しくは複数の実施形態による発光デバイス(例えば、OLED)の断面を示す。特に、
図9は、格子構造の金属電極層及び他の層にわたって形成された異なる格子構造を有する構造を示す。このタイプの構造は、有益であろう。電極には、上述のようにプラズモン損失を減少させるために深いサブ波長の格子構造を用いることができ、金属層の上方では、他の目的のために、他の格子構造も用いられうるためである。例えば、1若しくは複数の実施形態によれば、導波モード及び基板モードを抽出するために、格子を上方の層で用いてよい。
【0038】
図10に、1若しくは複数の実施形態による発光デバイス(例えば、OLED)の断面を示す。特に、
図10は、光散乱粒子を含む高指数内部抽出構造(high index internal extraction structure)(IES)層1003と併用し、マイクロレンズ配列1005を有する上方層とも併用した深いサブ波長の格子構造の金属電極層113を有する構造を示している。1若しくは複数の実施形態によれば、IES層1003及びマイクロレンズ配列1005は、それぞれ、導波モード及び基板モードとの結合を分離するべく最適化されてよい。
【0039】
上述の例では、格子構造の形状の最適化に注目したが、本発明の1若しくは複数の実施形態は、特定の格子構造の電極の特定のプラズモン損失スペクトルごとに最適化された光源設計を用いることにより行われてもよい。
【0040】
図12に、本発明の1若しくは複数の実施形態による周期的な格子構造を示す。
図12に示すように、本発明の1若しくは複数の実施形態は、1次元(1D)又は2次元(2D)の格子構造を含んでよい。本発明の1若しくは複数の実施形態は、2D正方格子構造又は2D六方格子構造を含んでよい。
図12に示すように、2D構造を形成する個々の構造は、四角錐台又は円錐台を含んでよい。本発明の1若しくは複数の実施形態は、
図11に示す幾何学的形状に形状が類似した2D格子構造を含んでよい。
【0041】
図13に、本発明の1若しくは複数の実施形態による、λ
g=300nmを有する台形形状の格子構造の電極と組合された光源放射スペクトル構成の一例を示す。特に、
図13の下部に示すスパイク状のスペクトルパワー分布は、LED内で用いられる光源に関連した波長ピーク1301を示している。スペクトルパワー分布の光源ピークが、プラズモン損失スペクトルにおけるいかなる損失ピークとも大幅に重なっていない限り、スパイク状のスペクトルパワー分布は、強い波長依存性を有する電極の格子と共に用いることができる。
【0042】
すなわち、本発明の1若しくは複数の実施形態によれば、光源のスペクトルパワー分布の波長ピークは、プラズモン損失スペクトルのピークと同一波長にあるべきではない。そのように設計された光源は、公知の方法により製造することができ(例えば、量子ドット又は微少光共振器を用いて)、本明細書で開示されるプラズモン損失スペクトルと共に用いられた場合、標準的な広帯域(O)LEDシステムと比較して高い効率で動作しうる。
【0043】
本発明を限られた数の実施形態に関して説明したが、本発明の利益を受ける当業者は、本明細書で開示された本発明の範囲から逸脱することなく、他の複数の実施形態を考案しうることを理解するであろう。したがって、本発明の範囲は、添付した請求項によってのみ限定されるべきである。