特許第6528046号(P6528046)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6528046W含有R−Fe−B−Cu系焼結磁石及び急冷合金
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6528046
(24)【登録日】2019年5月24日
(45)【発行日】2019年6月12日
(54)【発明の名称】W含有R−Fe−B−Cu系焼結磁石及び急冷合金
(51)【国際特許分類】
   H01F 1/057 20060101AFI20190531BHJP
   C22C 38/00 20060101ALI20190531BHJP
   C21D 6/00 20060101ALI20190531BHJP
   B22F 3/00 20060101ALI20190531BHJP
   B22F 9/04 20060101ALI20190531BHJP
【FI】
   H01F1/057 170
   C22C38/00 303D
   C21D6/00 B
   B22F3/00 F
   B22F9/04 C
   B22F9/04 E
【請求項の数】9
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2016-560501(P2016-560501)
(86)(22)【出願日】2015年3月31日
(65)【公表番号】特表2017-517140(P2017-517140A)
(43)【公表日】2017年6月22日
(86)【国際出願番号】CN2015075512
(87)【国際公開番号】WO2015149685
(87)【国際公開日】20151008
【審査請求日】2016年10月20日
(31)【優先権主張番号】201410126926.5
(32)【優先日】2014年3月31日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】516156075
【氏名又は名称】シアメン タングステン カンパニー リミテッド
(73)【特許権者】
【識別番号】519086346
【氏名又は名称】フージャン チャンティン ゴールデン ドラゴン レア−アース カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100084663
【弁理士】
【氏名又は名称】箱田 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100093300
【弁理士】
【氏名又は名称】浅井 賢治
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(72)【発明者】
【氏名】永田 浩
(72)【発明者】
【氏名】ユー ロン
(72)【発明者】
【氏名】ラン チン
【審査官】 森 透
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−110387(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/150843(WO,A1)
【文献】 特開2013−219322(JP,A)
【文献】 特開2007−136543(JP,A)
【文献】 特開2014−027268(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/122709(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 1/057
B22F 3/00
B22F 9/04
C21D 6/00
C22C 38/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
R2Fe14B型主相を含み、前記RはNd又はPrを含む少なくとも一種の希土類元素であるW含有R-Fe-B-Cu系焼結磁石であって、
前記焼結磁石の結晶粒界にはWの含有量が0.004at%以上、0.26at%以下のWリッチエリアがあり、前記Wリッチエリアが前記結晶粒界に均一分散で分布し、且つ前記焼結磁石の5.0体積%〜11.0体積%を占め
前記焼結磁石は、下記の成分を含む原料から製造され、
R:12at%〜15.2at%、
B:5at%〜8at%、
W:0.0005at%〜0.03at%、
Cu:0.05at%〜1.2at%、
X:2.0at%以下、ただし、XはAl、Si、Ga、Sn、Ge、Ag、Au、Bi、Mn、Nb、Zr又はCrの中から選ばれる少なくとも一種の元素であり、XがNb及び/又はZrを含む場合、NbとZrの合計含有量は0.20at%以下であり、XがGaを含む場合、Ga含有量は0.05at%〜0.8at%であり、
残量は0at%〜20at%のCo、Fe及び不可避の不純物であり、
前記不純物は酸素Oを含み、且つ、前記焼結磁石の酸素Oの含有量は0.1at%〜1.0at%であることを特徴とするW含有R-Fe-B-Cu系焼結磁石。
【請求項2】
前記焼結磁石のB含有量は5 at%〜6.5at%であることを特徴とする請求項1に記載のW含有R-Fe-B-Cu系焼結磁石。
【請求項3】
前記焼結磁石のAl含有量は0.8 at%〜2.0at%であることを特徴とする請求項1又は2に記載のW含有R-Fe-B-Cu系焼結磁石。
【請求項4】
前記焼結磁石の酸素O含有量は0.1at%〜0.5at%であることを特徴とする請求項1又は2又は3に記載のW含有R-Fe-B-Cu系焼結磁石。
【請求項5】
焼結磁石原料成分の溶融液を102℃/秒〜104℃/秒の冷却速度で焼結磁石用合金に製造する工程と、
焼結磁石用合金を粗粉砕してから微粉砕し、微粉に調製する工程と、
磁場成形法で成形体を作り、真空又は不活性ガスの中、900℃〜1100℃の温度で前記成形体を焼結する工程
を含むことを特徴とする請求項1に記載のW含有R-Fe-B-Cu系焼結磁石を製造する方法
【請求項6】
前記粗粉砕は焼結磁石用合金を水素吸収粉砕して粗粉末を得る工程であり、前記微粉砕は粗粉末を気流粉砕する工程であり、更に、微粉砕後の粉末から粒径が1.0μm以下の少なくとも一部の粉末を除き、粒径が1.0μm以下の粉末の体積を全体粉末体積の10%以下に減らす工程を含むことを特徴とする請求項5に記載のW含有R-Fe-B-Cu系焼結磁石を製造する方法
【請求項7】
さらに、前記焼結磁石をRH粒界拡散処理する工程を含み、前記RHはDy又はTbの中から選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする請求項5又は6に記載のW含有R-Fe-B-Cu系焼結磁石を製造する方法
【請求項8】
更に時効処理の工程、即ち、前記焼結磁石を400℃〜650℃の温度で時効処理する工程を含むことを特徴とする請求項7に記載のW含有R-Fe-B-Cu系焼結磁石を製造する方法
【請求項9】
W含有R-Fe-B-Cu系焼結磁石用急冷合金であって、
前記急冷合金の結晶粒界にはWの含有量が0.004at%以上、0.26at%以下のWリッチエリアがあり、前記Wリッチエリアが前記結晶粒界に均一分散で分布し、且つ前記結晶粒界の少なくとも50体積%を占め、前記焼結磁石は、下記の成分を含む原料から製造され、
R:12at%〜15.2at%、
B:5at%〜8at%、
W:0.0005at%〜0.03at%、
Cu:0.05at%〜1.2at%、
X:2.0at%以下、ただし、XはAl、Si、Ga、Sn、Ge、Ag、Au、Bi、Mn、Nb、Zr又はCrの中から選ばれる少なくとも一種の元素であり、XがNb及び/又はZrを含む場合、NbとZrの合計含有量は0.20at%以下であり、XがGaを含む場合、Ga含有量は0.05at%〜0.8at%であり、
残量は0at%〜20at%のCo、Fe及び不可避の不純物であり、
前記不純物は酸素Oを含み、且つ、前記焼結磁石の酸素Oの含有量は0.1at%〜1.0at%であることを特徴とするW含有R-Fe-B-Cu系焼結磁石用急冷合金。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は磁石の製造技術分野、特に結晶粒界に微量のWが含まれる低酸素含有量の希土類焼結磁石及び急冷合金に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、希土類焼結磁石(R2Fe14B型主相を含む)の製法として、3つの大きな新技術が急速に量産技術工程として採用されてきた。具体的には、下記の通りである。
1.低酸素O磁石製造工程:磁石中に焼結性を悪化させ、保磁力を劣化させる酸素の含有量を可能な限り低下させる;
2.原料製造工程:ストリップキャスト法に代表される原料合金の少なくとも一部を急冷法で製造する;
3.微量のCu添加で、もっと広い温度範囲内で熱処理して高い保磁力が得られ、保磁力と冷却速度との依存性が緩和する(JP2720040等の公開報道により)。
この3つの量産新技術を組み合わせると、結晶粒界のNdリッチ相の量の増大と分散性向上の相乗効果により、非常に高い性能を比較的容易に達成できる。
しかし、低酸素含有量の磁石の中にCuを添加したので、焼結工程中、低融点液相が増加し、焼結性が劇的に向上すると同時に、結晶粒の異常成長(AGG)が発生し易くなり、角形比(SQ)が著しく低下する欠点も出てきた。
【発明の概要】
【0003】
本発明は、現有技術の欠点を克服し、W含有R-Fe-B-Cu系焼結磁石を提供することを目的とする。該焼結磁石は微量のWピン止め結晶物が結晶粒界に均一に偏析して、粒界の遷移をピン止め(Pinning effect)することにより、結晶粒子の異常成長(AGG)を防止することができ、顕著な改善効果が得られる。
本発明の技術案は以下の通りである。
R2Fe14B型主相を含み、前記RはNd又はPrを含む少なくとも一種の希土類元素であるW含有R-Fe-B-Cu系焼結磁石であって、前記焼結磁石の結晶粒界にはWの含有量が0.004at%以上、0.26at%以下のWリッチエリアがあり、前記Wリッチエリアが前記結晶粒界に均一分散で分布し、且つ前記焼結磁石の5.0体積%〜11.0体積%を占めることを特徴とするW含有R-Fe-B-Cu系焼結磁石。
本発明において、結晶粒界は焼結磁石の中、主相(R2Fe14B)以外の部分である。
好ましい実施形態において、前記焼結磁石は、以下の成分を含む原料から製造され、
R:12at%〜15.2at%、
B:5at%〜8at%、
W:0.0005at%〜0.03at%、
Cu:0.05at%〜1.2at%、
X:5.0at%以下、ただし、XはAl、Si、Ga、Sn、Ge、Ag、Au、Bi、Mn、Nb、Zr又はCrの中から選ばれる少なくとも一種の元素であり、XはNb及び/又はZrを含む場合、NbとZrの合計含有量は0.20at%以下であり、
残量は0at%〜20at%のCo、Feと不可避の不純物であり、
前記不純物は酸素Oを含み、且つ、前記焼結磁石の酸素O含有量は0.1at%〜1.0at%である。
本発明に言及したat%は原子パーセントである。
本発明に言及した希土類元素はNd、Pr、Dy、Tb、Ho、La、Ce、Pm、Sm、Eu、Gd、Er、Tm、Yb、Lu又はY元素から選ばれる少なくとも一種である。
【0004】
測定装置の制限を受け、従来の研究に、微量元素の測定結果の正確性が確保できなかった。近年来、測定技術の向上に伴い、より精確な測定設備が現れ、例えば、誘導結合プラズマ質量分析計ICP-MS、フィールドエミッション電子プローブマイクロアナライザFE-EPMA等の設備があげられる。その中に、ICP-MS(規格7700x,Agilent)は含有量10ppbの元素を測定することができる。FE-EPMA(規格8530F,JEOL)は電界放出電子銃を通し、大きい電流になっても極細い電子束を保証することができ、最高分解能が3nmになるので、微細エリアの元素含有量の検出限界が100ppm程度になる。
従来のZr、Hf、Mo、V、W、Nb等の高融点金属の添加量が多い(添加量は0.25 %度程度の場合が多い)原料で作った急冷合金の中に非晶質相や等方性急冷相が発生し、結晶の配向性が悪くなり、その結果、Br、(BH)maxの低下が著しいこととは違い、本発明は微量のWを含有し、つまり、0.03at%以下の含有量であり、非磁性元素で希釈効果が少なく、且つ急冷後の磁石合金に非晶質相や等方性急冷相をほとんど含まないので、本発明のWの微量含有でBr、(BH)maxの低下が全く無く、逆に、Br、(BH)maxが向上する。
現有文献の報告から見ると、Wは主要原料Feにおいて、大きな固溶限を持つので、溶融液中の微量のWは均一に溶解している。また、Wは主要構成元素の希土類元素、鉄、ホウ素とはイオン半径及び電子構造がことなるため、主相のR2Fe14BにWはほとんど入らない。Wは溶融液の冷却過程において、主相のR2Fe14Bの析出に伴い、結晶粒界へ濃縮される。原料を配合する時、主相合金よりも希土類が多い成分で設計されているので、結晶粒界に希土類(R)の含有量が多い、即ち、Rリッチ相(別称Ndリッチ相)はほとんどのWを含み(FE-EPMA測定によると、微量含有のWの多くは結晶粒界の中に存在している)、Wが粒界に溶けた後、W元素と希土類元素、Cuとの親和性が悪いので、粒界中希土類リッチ相中のWは冷却過程において、析出、分離され、粒界の凝固温度500℃〜700℃程度になる時、硼素B、炭素C、酸素Oの拡散速度が遅い領域にあるので、大粒のW2B、WC、WO化合物になりにくく、Wは非常に微小かつ均一分散の形で析出する。原料合金を粉砕した後、焼結工程中に、主相結晶粒子は焼結工程中で大きくなるが、結晶粒界中に存在するWが粒界の遷移をピン止め(Pinning effect)するので、結晶粒の異常成長(AGG)の発生を有効に防止し、SQ、Hcj性能の向上に対して非常に良い効果がある。粒界遷移をピン止め(Pinning effect)する原理を図1に例を挙げて説明する。図1の黒い点はWピン止め結晶物、2は合金溶融液、3は結晶粒子、矢印は結晶粒子の成長方向である。図1から見ると、Wピン止め結晶物は結晶の成長過程において、結晶粒子成長方向の表面に集まり、結晶粒子と外部の物質遷移を隔断し、結晶粒子の成長を妨げる。
【0005】
同様に、希土類金属間化合物R2Fe14BもWの微細且つ均一的な析出で、AGGの発生を防止し、得られた磁石の角形比(SQ)を向上することができる。また、粒界中に分布しているCuで低融点液相が増加する。低融点液相の増加で、Wの遷移を促進する。図3のEPMA結果から見ると、本発明中、Wは粒界中の分布がかなり均一であり、且つ分布範囲がNdリッチ相の分布範囲を超え、Ndリッチ相を完全に覆いている。これはWがピン止め効果を発揮し、結晶の成長を防ぐ証拠になった。
さらに、従来の技術案において、Zr、Hf、Mo、V、W、Nb等の高融点金属を大量添加したので、高融点金属の硼化物相が出現し、この硼化物相は大変硬度が高く、硬いので、加工性が急速に劣化する。本発明のWの含有量が非常に微量なので、高融点金属の硼化物相がほとんど出現しないか、出現したとしても、非常に微量である為、加工性の劣化はほとんど見られない。
なお、現在良く使われている希土類の製造方法中、黒鉛坩堝電解溝、円筒型黒鉛坩堝を陽極として、坩堝軸線に配置されたタングステン(W)棒を陰極として、且つ底部にW坩堝を使って希土類金属を収集する方法を採用している場合がある。前記希土類元素(例えばNd)を製造する時、少量のWの混入が不可避である。もちろん、モリブデン(Mo)など他の高融点金属を陰極として使っても良い、同時にモリブデン坩堝で希土類金属を収集する方式でも、Wを完全に含まない希土類元素を得ることもできる。
本発明において、Wは原料(例えば、純鉄、希土類金属、Bなど)などの不純物でもあるため、原料中の不純物の含有量によって本発明の使用原料を決めることがよい、もちろん、Wの含有量は現有設備の検出限界以下(Wを含まないと認める)の原料(例えば、純鉄、希土類金属、Bなど)を選択して、本発明に説明した含有量のW金属原料を添加する形態を採用してもよい。要するに、原料の中に必要な含有量のWが含めば、Wの源を考えなくても良い。表1に異なる産地、異なる工場の金属Nd中のW元素の含有量が挙げられる。
【0006】
表1異なる産地、異なる工場の金属Nd中のW元素含有量
【0007】
表1中の2N5は99.5%の意味である。
なお、本発明において、R:12at%〜15.2at%、B:5at%〜8at%、残量は0at%〜20at%のCoとFeなどの含有量範囲は本業界の通常選択であるため、実施例に、R、B、FeとCoの含有量への試験や検証はない。
また、本発明は磁石の全部の製造工程を低酸素環境で完成し、酸素含有量を0.1at%〜1.0at%に制御することで、本発明に言及した効果になる。一般的に言うと、酸素含有量の高い(2500ppm以上)希土類磁石はAGGの発生を減少することができる。一方、酸素含有量の低い(2500ppm以下)希土類磁石は良い磁気性能を持っているが、AGGが発生しやすい。本発明は極微量のWと少量のCuだけを含有することにより、酸素含有量の低い磁石でもAGGを減少する効果を達成した。
なお、磁石の低酸素製造工程はすでに先行技術であり、且つ、本発明の実施例はすべて低酸素製造方式を採用したので、ここでは詳しく説明しない。
好ましい実施形態において、Xの含有量は2.0at%以下である。
好ましい実施形態において、前記希土類磁石は以下の工程、即ち、焼結磁石原料成分の溶融液を102℃/秒〜104℃/秒の冷却速度で焼結磁石用合金に製造する工程と、焼結磁石用合金を粗粉砕してから微粉砕し、微粉に調製する工程と、磁場成形法で成形体を製造し、且つ真空又は不活性ガス中、900℃〜1100℃の温度で成形体を焼結する工程によって得られる。焼結温度の900℃〜1100℃は本業界の通常選択であるため、実施例に、焼結温度の範囲への試験や検証がない。
前記の方法によって、粒界にWの分散度が高くなり、角形比が95%超え、磁石の耐熱性能も高くなった。
【0008】
本発明者は、研究によって、Wの分散度を高くするには以下の方法があることを発見した。
1)焼結磁石成分の溶融液から磁石用合金を製造する時の冷却速度を調節する。冷却速度が高ければ高いほど、Wの分散度が良くなる。
2)焼結磁石成分の溶融液の粘度を制御する。粘度が小さければ小さいほど、Wの分散度が良くなる。
3)焼結後の冷却速度を調節する。冷却速度が速ければ速いほど、格子欠陥が少なくなり、Wの分散度が高くなる。
本発明は、主に溶融液の冷却速度を制御することにより、Wの分散度を向上する。
好ましい実施形態において、前記焼結磁石のB含有量は好ましく5.0at%〜6.5at%である。過量のB はWと反応しやすくてホウ化物相に形成する。ホウ化物相の硬度が高い、とても硬いので、激しい加工性劣化を引き起す。また、大顆粒のホウ化物相(WB2相)が形成したので、Wが結晶粒界中で粒界遷移を均一にピン止めする効果(Pinning effect)にも影響する。そのため、Bの量を適当に減少すると、ホウ化物相の形成が減り、Wの均一的なピン止め効果(Pinning effect)が充分に発揮できる。FE-EPMA分析によると、B量が6.5at%を超えると、結晶粒界にBを含むR(T,B)2型相が多く発生したが、Bが5.0 at%〜6.5at%の範囲では、Wを含むR6T13X(X=Al、Cu、Ga等)型相が生成し、この相の発生と共に保磁力と角形比が非常に良くなり、且つ、弱磁性を持つ。WはR6T13X型相の生成とその安定性の向上に有利である。
好ましい実施形態において、前記磁石のAl含有量は好ましく0.8at%〜2.0at%である。FE-EPMA分析によると、Alが0.8 at%〜2.0at%の範囲では、Wを含むR6T13X(X=Al、Cu、Ga等)型相が生成し、この相の発生と共に保磁力と角形比が非常に良くなり、弱磁性を持つ。AlはR6T13X型相の生成とその安定性の向上に有利である。
なお、本発明に言及した不可避の不純物は、原料中或は製造工程中、不可避で混入した少量のC、N、S、P及びその他の不純物も含む。そのため、本発明に言及した前記希土類磁石の製造工程中に、Cの含有量を1at%以下に、好ましく0.4 at%以下、Nの含有量を0.5 at%以下、Sの含有量を0.1 at%以下、Pの含有量を0.1 at%以下に制御した方がよい。
好ましい実施形態において、前記粗粉砕は焼結磁石用合金を水素吸収粉砕して粗粉末を得る工程である。前記微粉末は粗粉末を気流粉砕する工程である。更に、微粉砕後の粉末の中から粒径1.0μm以下の少なくとも一部を除くことにより、粒径1.0μm以下の粉末の体積を全体粉末体積の10%以下に減らす工程を含む。
【0009】
好ましい実施形態において、さらに前記焼結磁石をRH(重希土類元素)粒界拡散処理する工程を含む。700℃〜1050℃の温度で粒界拡散処理する事は一般的であり、この温度範囲は本業界の通常選択であるため、実施例では、前記温度範囲への試験や検証はない。
前記焼結磁石を粒界拡散処理する場合、微量のWで、結晶粒界に非常に微小のW結晶が発生し、RHの拡散を妨げないので、拡散速度が非常に速い。また、適量なCuを含有しているので、低融点のNdリッチ相が形成し、拡散を一層促進する効果が発揮する。そのため、本発明の磁石はRHの粒界拡散によって、非常に高い性能が得られ、飛躍的な効果がある。
好ましい実施形態において、前記RHはDy又はTb中から選ばれる少なくとも一種である。
好ましい実施形態において、更に時効処理の工程、即ち前記焼結磁石を400℃〜650℃の温度で時効処理する工程を含む。
好ましい実施形態において、更に二段時効処理の工程、即ち、前記焼結磁石を800℃〜950℃で1時間〜2時間の一段熱処理した後、更に前記焼結磁石を450℃〜660℃で1時間〜4時間二段熱処理する工程を含む。
好ましい実施形態において、前記焼結磁石の 酸素O含有量は0.1at%〜0.5at%である。前記の範囲において、 酸素O、W、Cuの配合が最優配合になり、焼結磁石の耐熱性が高くなり、磁石が動態作動条件での安定性が高くなり、AGGが存在しない時、酸素含有量が低くなり、Hcjが高くなる。
好ましい実施形態において、前記焼結磁石のGa含有量は0.05at%〜0.8at%である。
【0010】
本発明のもう一つの目的はW含有R-Fe-B-Cu系焼結磁石用急冷合金を提供することにある。
W含有R-Fe-B-Cu系焼結磁石用急冷合金は、前記急冷合金の結晶粒界にWの含有量が0.004at%以上、0.26at%以下のWリッチエリアがあり、前記Wリッチエリアが前記結晶粒界に均一分散で分布し、且つ前記結晶粒界の少なくとも50体積%を占めることを特徴とする。
先行技術と比べ、本発明は、以下の特徴を持つ。
1)本発明は、背景技術中の3つの量産磁石技術に基づき、磁石の性能を高くした。微量元素関係の研究、特に、焼結時のAGGを抑制することによって、磁石のSQ、Hcj、Br、(BH)maxを高くすることを研究した。結果として、微量のWピン止め結晶物は結晶粒界に粒界の遷移を均一にピン止めすることで、結晶粒子の異常成長(AGG)を防ぐことができ、顕著な改善効果があるということが分かった。
2)本発明において、Wの含有量が非常に微量、且つ均一分散しているので、大顆粒の高融点金属の硼化物相が出現しないか、出現したとしても、非常に微量しか発生しない為、加工性の劣化はほとんど見られない。
3)本発明において、微量のW(非磁性元素)、即ち、0.03at%以下の含有量で、希釈効果が少ない。また、急冷後の磁石合金に非晶質相や等方性急冷相を完全に含まない。FE-EPMAで測定すると、微量含有のWの大部分が結晶粒界中に存在するので、本発明のWの微量含有でBr、(BH)maxの低下が全く無いが、逆に、Br、(BH)maxが一層向上した。
4)本発明の成分におけるCu、Wの微量含有により、粒界中の高融点(例えば、WB2相(融点2365℃)等)金属間化合物相が生成しないが、RCu(融点662℃)、RCu2(融点840℃)、Nd-Cu共晶合金(融点492℃)などの低融点相が多く発生した。結果として、粒界拡散の温度で、結晶粒界に、W相以外はほとんど溶けたので、粒界拡散の効果が一層よくなり、角形比や保磁力も劇的に増加した。また、角形比が99%以上になり、耐熱性の良い高性能磁石が得られる。ここのWB2相はWFeB合金、WFe合金、WB合金等を含む。
5)微量のWは、R6T13X(X=Al、Cu、Ga等)型相の形成を促進できる。この相の産生は保磁力、角形比の優化を促進し、弱磁性を持っている。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1はWが粒界遷移をピン止め(Pinning effect)する原理を示す概略図。
図2図2は実施例一の実施例3の急冷合金薄片のEPMA測定結果を示す図である。
図3図3は実施例一の実施例3の焼結磁石のEPMA測定結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、実施例を参照して本発明をより詳しく説明する。
各実施例に言及したBHH、磁気性能の評価過程、AGGの測定の定義は以下の通りである。
BHHは(BH)maxとHcjの総和であり、磁石の総合性能を評価する目安の一つである。
磁気性能の評価過程:焼結磁石の磁気性能は、中国計量院製のNIM-10000H型BH大型希土類永久磁石無損測量システムで測定された。
AGGの測定:焼結磁石を配向方向と垂直する方向に沿って研磨し、1cm2ごとに含まれるAGGの数を数え、本発明に言及するAGGは粒径が40μmを超える結晶粒子である。
各実施例に言及したFE-EPMAの検出限界は100ppm程度で、測定条件は以下である。
【0013】
FE-EPMA設備の最高分解能は3nmであり、前記の測定条件で、分解能は50nmになることもできた。
【実施例】
【0014】
実施例一
原料配合工程:純度99.5%のNd、Dy、工業用Fe-B、工業用純Fe、純度99.9%のCoと純度99.5%のCu、Al、純度99.999%のWを用意した。原子パーセントat%で配合した。
Wの使用比率を精確に制御するために、この実施例に用いられたNd、Dy、Fe、B、Al、CuとCoの中のWの含有量は現有設備の検出限界以下であった。Wは追加添加したW金属によるものであった。
各元素の含有量を表2に示す。
【0015】
表2 各元素の配合率(at%)
【0016】
各グループにおいて、表2の元素組成によって調製し、100kgの原料を秤量、配合した。
溶解工程:毎回は配合後の原料1部をアルミナ製坩堝に入れ、高周波真空誘導溶解炉中で10-2Paの真空中で、1500℃以下の温度で真空溶解した。
鋳造工程:真空溶解後の溶解炉にArガスを5万Paまで導入し、単ロール急冷法で鋳造した。102℃/秒〜104℃/秒の冷却速度で急冷合金を得た。急冷合金を600℃の温度で60分間保温熱処理してから、室温まで冷却した。
実施例3に作った急冷合金について、FE-EPMA(フィールドエミッション電子プローブマイクロアナライザ)(日本電子株式会社(JEOL),8530F)でCu、NdとW等の成分を測定し、その結果を図2に示す。図2から、Wは比較的高い分散度でRリッチ相の中に分散していることが観察できた。
実施例2、3、4、5、6の急冷合金をFE-EPMAで測定した結果、Wリッチエリアが結晶粒界に均一分散で分布し、且つ合金結晶粒界の少なくとも50体積%を占め、その内、WリッチエリアはWの含有量が0.004at%以上、0.26at%以下のエリアであった。
水素粉砕工程:室温で、急冷合金が放置されている水素粉砕炉を真空引き、その後、水素粉砕炉に純度99.5%の水素ガスを0.1MPaまで導入し、2時間放置した後、真空引きながら温度を上げた。500℃の温度で真空引きを行った後冷却し、水素粉砕後の粉末を取り出した。
【0017】
微粉砕工程:酸化性ガス含有量が100ppm以下の窒素雰囲気で、0.4MPaの粉砕室圧力下で、水素粉砕後の粉末を気流粉砕し、微粉を得た。微粉の平均粒度は4.5μmであった。酸化性ガスは酸素或は水分であった。
分級機で一部の粉砕後の微粉(微粉総重量の30%を占める)をスクリーニングし、粒径1.0μm以下の粉末を除いた後、スクリーニング後の微粉と残りのスクリーニングしていない微粉を混合した。混合後の微粉の中で、粒径1.0μm以下の粉末の体積は全体粉末体積の10%以下に減した。
気流粉砕後の粉末にカプリル酸メチルを添加した。カプリ酸メチルの添加量は混合後粉末重量の0.2%であった。その後、V型混料機で充分混合した。
磁場成形工程:直角配向型の磁場成形機を用い、1.8Tの配向磁場中、0.4ton/cm2の成形圧力下で、カプリル酸メチルを添加した粉末を辺長25mmの立方体になるように一次成形した。一次成形後、0.2Tの磁場で脱磁を行なった。
一次成形後の成形体は空気に触れないように密封し、二次成形機(等方静水圧成形機)で1.4ton/cm2の圧力下で二次成形を行った。
焼結工程:各成形体を焼結炉に運び、焼結し、10-3Paの真空下、200℃、800℃の各温度でそれぞれ2時間保持した後、1030℃で2時間焼結し、その後Arガスを0.1MPaまで導入し、室温まで冷却した。
熱処理工程:焼結体は、高純度Arガス中で、460℃で1時間熱処理を行い、その後室温まで冷却し、取り出した。
加工工程:熱処理された焼結体をφ15mm、厚さ5mmの磁石に加工し、5mm方向は磁場配向方向であった。
実施例1〜7の焼結体から作成された磁石について、直接磁気性能を測定し、磁気特性を評価した。実施例の磁石の評価結果を表3、表4に示す。
【0018】
表3 実施例の微細構造評価
【0019】
表3中の非晶質相と等方性相の考察は急冷合金中の非晶質相と等方性相の考察であった。
表3中のWリッチ相は濃度0.004at%以上、0.26at%以下のエリアである。
【0020】
表4 実施例の磁気性能評価状況
【0021】
全ての実施工程において、特に酸素O、炭素Cと窒素Nの含有量の制御を注意し、上記磁石における酸素O、炭素Cと窒素Nの三つの元素の含有量をそれぞれ0.1〜0.5at%、0.3at%以下と0.1at%以下に制御した。
結論として、本発明において、磁石中のWの含有量が0.0005at%より小さい時、Wの含有量が極めて少ないので、ピン止め効果が発揮できない、原料にCuが存在しているため、AGGを引き起こしやすく、SQとHcjが低くなる。それに対して、Wの含有量が0.03at%を超える時、一部のWB2相が生成し、角形比が下げ、磁気性能も低くなる。また、作った急冷合金中に非晶質相及び等方性急冷相が発せし、磁気性能が急速に下がる。
実施例3に作った焼結磁石について、FE-EPMA(フィールドエミッション電子プローブマイクロアナライザ))[日本電子株式会社(JEOL)、8530F]でCu、NdとW等の成分を分析し、結果を図3に示す。Wは比較的高い分散度で粒界の遷移を均一にピン止めし、AGGの形成を防止したことが観察できた。
同様に、実施例2、4、5と6についてもFE-EPMAで測定し、同様に、Wは比較的高い分散度で粒界の遷移を均一にピン止めし、AGGの形成を防止したことが観察できた。
【0022】
実施例二
原料配合工程:純度99.9%のNd、Pr、Tb、純度99.9%のB、純度99.9%のFe、純度99.999%のWと純度99.5%のCu、Alを用意した。原子パーセントat%で配合した。
Wの使用比率を正確に制御するために、この実施例に用いられたNd、Pr、Tb、Fe、B、AlとCuの中のWの含有量は現有設備の検出限界以下であった。Wは追加添加したW金属によるものであった。
各元素の含有量を表5に示す。
【0023】
表5 各元素の配合(at%)
【0024】
各グループにおいて、表5の元素組成によって調製し、100kgの原料を秤量、配合した。
溶解工程:毎回は配合後の原料1部をアルミナ製坩堝に入れ、高周波真空誘導溶解炉中で10-2Paの真空中且つ1500℃以下の温度で真空溶解した。
鋳造工程:真空溶解後の溶解炉にArガスを3万Paまで導入し、単ロール急冷法で鋳造した。102℃/秒〜104℃/秒の冷却速度で急冷合金を得た。急冷合金を600℃の温度で60分間保温熱処理してから、室温まで冷却した。
実施例2〜7の急冷合金をFE-EPMAで測定した結果、Wリッチエリアが結晶粒界に均一分散で分布し、且つ合金結晶粒界の少なくとも50体積%を占め、その内、Wリッチエリアは濃度0.004at%以上、0.26at%以下のエリアであった。
水素粉砕工程:室温で、急冷合金が放置されている水素粉砕炉を真空引き、その後、水素粉砕炉に純度99.5%の水素ガスを0.1MPaまで導入し、125分間放置した後、真空引きながら温度を上げた。500℃の温度で2時間真空引きを行った後冷却し、水素粉砕後の粉末を取り出した。
微粉砕工程:酸化性ガス含有量が100ppm以下の雰囲気で、0.41MPaの粉砕室圧力下で、水素粉砕後の粉末を気流粉砕して、微粉を得た。微粉の平均粒度は4.30μmであった。酸化性ガスは酸素或は水分であった。
気流粉砕後の粉末にカプリル酸メチルを添加した。カプリル酸メチルの添加量は混合後粉末重量の0.25%であった。その後、V型混料機で充分混合した。
【0025】
磁場成形工程:直角配向型の磁場成形機を用い、1.8Tの配向磁場中、0.3ton/cm2の成形圧力下で、カプリル酸メチルを添加した粉末を辺長25mmの立方体になるように一次成形した。一次成形後、0.2Tの磁場で脱磁を行なった。
一次成形後の成形体は空気に触れないように密封し、二次成形機(等方静水圧成形機)で1.0ton/cm2の圧力下で二次成形を行った。
焼結工程:各成形体を焼結炉に運び、焼結し、10-3Paの真空下、200℃、800℃の各温度でそれぞれ3時間保持した後、1020℃で2時間焼結し、その後Arガスを0.1MPaまで導入し、室温まで冷却した。
熱処理工程:焼結体は、高純度Arガス中で、620℃の温度で1時間熱処理を行い、その後室温まで冷却し、取り出した。
加工工程:熱処理された焼結体をφ15mm、厚さ5mmの磁石に加工し、5mm方向は磁場配向方向であった。
実施例1〜8の焼結体から作成された磁石について、直接磁気性能を測定し、磁気特性を評価した。実施例の磁石の評価結果を表6、表7に示す。
【0026】
表6 実施例の微細構造評価
【0027】
表6中の非晶質相と等方性相の考察は急冷合金中の非晶質相と等方性相の考察であった。
表6中のWリッチ相は濃度0.004at%以上、0.26at%以下のエリアであった。
【0028】
表7 実施例の磁気性能評価状況
【0029】
全ての実施工程において、特に酸素O、炭素Cと窒素Nの含有量の制御を注意し、上記磁石における酸素O、炭素Cと窒素Nの三つの元素の含有量をそれぞれ0.1〜0.5at%、0.4at%以下と0.2at%以下に制御した。
結論として、本発明において、Cuの含有量が0.05at%以下より小さい時、保磁力の熱処理温度依存度が高く、磁石の性能が低くなる。それに対して、Cuの含有量が1.2at%を超える時、Cuの低融点現象で、AGGの生成量が増加し、Wのピン止め(Pinning effect)効果によってもAGGの大量形成を防止することが難くなる。これから分かるように、低酸素含有量の磁石において、適切なCu、W範囲が存在している。
同様に、実施例2〜7について、FE-EPMA(フィールドエミッション電子プローブマイクロアナライザ))[日本電子株式会社(JEOL)、8530F]で測定した結果、Wは比較的高い分散度で粒界の遷移を均一にピン止め(Pinning effect)し、AGGの形成を防止したことが観察できた。
【0030】
実施例三
原料配合工程:純度99.5%のNd、工業用Fe-B、工業用純Fe、純度99.9%のCoと純度99.5%のCu、純度99.999%のWを用意した。原子パーセントat%で配合した。
Wの使用比率を正確に制御するために、この実施例に用いられたNd、Fe、B、CuとCo原料の中のWの含有量は現有設備の検出限界以下であった。Wは追加添加したW金属によるものであった。
各元素の含有量を表8に示す。
【0031】
表8 各元素の配合(at%)
【0032】
各グループにおいて、表8の元素組成によって調製し、700kgの原料を秤量、配合した。
溶解工程:配合後の原料をアルミナ製坩堝に入れ、高周波真空誘導溶解炉中で10-2Paの真空中且つ1500℃以下の温度で真空溶解した。
鋳造工程:真空溶解後の溶解炉にArガスを5万Paまで導入し、単ロール急冷法で鋳造した。102℃/秒〜104℃/秒の冷却速度で急冷合金を得た。急冷合金を600℃の温度で60分間保温熱処理してから、室温まで冷却した。
急冷合金をFE-EPMAで測定した結果、Wリッチエリアが結晶粒界に均一分散で分布し、且つ合金結晶粒界の少なくとも50体積%を占め、その内、WリッチエリアはW の含有量が0.004at%以上、0.26at%以下のエリアであった。
水素粉砕工程:室温で、急冷合金が放置されている水素粉砕炉を真空引き、その後、水素粉砕炉に純度99.5%の水素ガスを0.1MPaまで導入し、97分間放置した後、真空引きながら温度を上げた。500℃の温度で2時間真空引きを行った後冷却し、水素粉砕後の粉末を取り出した。
微粉砕工程:水素粉砕後の粉末を7等分に分け、各等分の粉末をそれぞれ酸化性ガス含有量が10〜3000ppm以下の雰囲気で、0.42MPaの粉砕室圧力下で気流粉砕して、微粉を得た。微粉の平均粒度は4.51μmであった。酸化性ガスは酸素或は水分であった。
気流粉砕後の各粉末にカプリル酸メチルを添加した。カプリル酸メチルの添加量は混合後粉末重量の0.1%であった。その後、V型混料機で充分混合した。
【0033】
磁場成形工程:直角配向型の磁場成形機を用い、1.8Tの配向磁場中、0.2ton/cm2の成形圧力下で、カプリル酸メチルを添加した上記粉末を辺長25mm立方体になるように一次成形した。一次成形後、0.2Tの磁場で脱磁を行なった。
一次成形後の成形体は空気に触れないように密封し、二次成形機(等方静水圧成形機)で1.4ton/cm2の圧力下で二次成形を行った。
焼結工程:各成形体を焼結炉に運び、焼結し、10-3Paの真空下、200℃、700℃の各温度でそれぞれ2時間保持した後、1020℃で2時間焼結し、その後Arガスを0.1MPaまで導入し、室温まで冷却した。
熱処理工程:焼結体は、高純度Arガス中で、900℃で1時間一段熱処理を行い、その後500℃で1時間二段熱処理し、室温まで冷却し、取り出した。
加工工程:熱処理された焼結体をφ15mm、厚さ5mmの磁石に加工し、5mm方向は磁場配向方向であった。
熱減磁の測定:焼結磁石を150℃の環境に30min保温し、その後、室温まで自然に冷却させ、磁束を測定した。測定の結果を加熱前の磁束測定データと比べ、加熱前後の磁束減衰率を計算した。
実施例1〜7の焼結体から作成された磁石について、直接磁気性能を測定し、磁気特性を評価した。実施例の磁石の評価結果を表9と表10に示す。
【0034】
表9 実施例の微細構造評価
【0035】
表9中のWリッチ相は濃度0.004at%以上、0.26at%以下のエリアであった。
【0036】
表10 実施例の磁気性能評価状況
【0037】
全ての実施工程において、特に炭素Cと窒素Nの含有量の制御を注意し、上記磁石における炭素Cと窒素Nの二つの元素の含有量をそれぞれ0.2at%以下と0.25at%以下に制御した。
結論として、適量のW、Cuが存在していても、磁石中の酸素O含有量が0.1at%より小さい時、Wのピン止め効果の限界を超えたので、AGGが発生しやすい状態になり、AGGが発生し、磁石の性能が低くなる。それに対して、適量のW、Cuが存在していても、磁石中の酸素O含有量が1.0at%を超える時、酸素O含有量の分散性が悪くなり、酸素含有量の多いところと酸素含有量の少ないところが産生し、酸素の不均一でAGGの発生を増加し、保磁力や角形比が低くなる。
同様に、実施例2〜6をFE-EPMA(フィールドエミッション電子プローブマイクロアナライザ))(日本電子株式会社(JEOL)、8530F)で測定し、測定結果から見ると、Wは比較的高い分散度で粒界の遷移を均一ピン止め(Pinning effect)し、AGGの形成を防止したことを観察した。
【0038】
実施例四
原料配合工程:純度99.5%のNd、Dy、工業用Fe-B、工業用純Fe、純度99.9%のCoと純度99.5%のCu、Al、純度99.999%のWを用意した。原子パーセントat%で配合した。
Wの使用比率を正確に制御するために、この実施例に用いられたNd、Dy、B、Al、Cu、Co、Feの中のWの含有量は現有設備の検出限界以下であった。Wは追加添加したW金属によるものであった。
含有量を表11に示す。
【0039】
表11 各元素の配合(at%)
【0040】
各グループにおいて、表11の元素組成によって調製し、各100kgの原料を秤量、配合した。
溶解工程:毎回は配合後の原料1部をアルミナ製坩堝に入れ、高周波真空誘導溶解炉中で10-2Paの真空中且つ1550℃以下の温度で真空溶解した。
鋳造工程:真空溶解後の溶解炉にArガスを2万Paまで導入し、単ロール急冷法で鋳造した。102℃/秒〜104℃/秒の冷却速度で急冷合金を得た。急冷合金を800℃の温度で10分間保温熱処理してから、室温まで冷却した。
実施例1〜7の急冷合金をFE-EPMAで測定し、Wリッチエリアが結晶粒界に均一分散で分布し、且つ合金結晶粒界の少なくとも50体積%を占め、その内、WリッチエリアはW の含有量が0.004at%以上、0.26at%以下のエリアであった。
水素粉砕工程:室温で、急冷合金が放置されている水素粉砕炉を真空引き、その後、水素粉砕炉に純度99.5%の水素ガスを0.1MPaまで導入し、120分間放置した後、真空引きながら温度を上げた。500℃の温度で2時間真空引きを行った後冷却し、水素粉砕後の粉末を取り出した。
微粉砕工程:酸化性ガス含有量が100ppm以下の雰囲気で、0.6MPaの粉砕室圧力下で水素粉砕後の粉末を気流粉砕して、微粉を得た。微粉の平均粒度は4.5μmであった。酸化性ガスは酸素或は水分であった。
分級機で一部の粉砕後の微粉(微粉総重量の30%を占める)をスクリーニングし、粒径1.0μm以下の粉末を除いた後、スクリーニング後の微粉と残りのスクリーニングしていない微粉を混合した。混合後の微粉中、粒径1.0μm以下の粉末の体積は全体粉末体積の2%以下に減少した。
気流粉砕後の粉末にカプリル酸メチルを添加した。カプリル酸メチルの添加量は混合後粉末重量の0.2%であった。その後、V型混料機で充分混合した。
【0041】
磁場成形工程:直角配向型の磁場成形機を用い、1.8Tの配向磁場中、0.2ton/cm2の成形圧力下で、カプリル酸メチルを添加した粉末を辺長25mmの立方体になるように一次成形した。一次成形後、0.2Tの磁場で脱磁を行なった。
一次成形後の成形体は空気に触れないように密封し、二次成形機(等方静水圧成形機)で1.0ton/cm2の圧力下で二次成形を行った。
焼結工程:各成形体を焼結炉に運び、焼結し、10-3Paの真空下、200℃、800℃の各温度でそれぞれ2時間保持した後、1040℃で2時間焼結し、その後Arガスを0.1MPaまで導入し、室温まで冷却した。
熱処理工程:焼結体は、高純度Arガス中で、400℃で1時間熱処理を行い、その後室温まで冷却し、取り出した。
加工工程:熱処理された焼結体をφ15mm、厚さ5mmの磁石に加工し、5mm方向は磁場配向方向であった。
実施例1〜7の焼結体から作成された磁石について、直接磁気性能を測定し、磁気特性を評価した。実施例の磁石の評価結果を表12、表13に示す。
【0042】
表12 実施例の微細構造評価
表12中の非晶質相と等方性相の考察は急冷合金中の非晶質相と等方性相の考察であった。
表12中のWリッチ相は濃度0.004at%以上、0.26at%以下のエリアであった。
【0043】
表13 実施例の磁気性能評価
【0044】
全ての実施工程において、特に酸素O、炭素Cと窒素Nの含有量の制御を注意し、上記磁石における酸素O、炭素Cと窒素Nの三つの元素の含有量をそれぞれ0.1〜0.5at%、0.3at%以下と0.1at%以下に制御した。
実施例1〜7について、FE-EPMA(フィールドエミッション電子プローブマイクロアナライザ))(日本電子株式会社(JEOL)、8530F)で測定した結果、Wは比較的高い分散度で粒界の遷移を均一にピン止め(pinning effect)し、AGGの形成を防止したことが観察できた。
結論として、FE-EPMA分析によると、B量が6.5at%を超える時、Bを含むR(T,B)2型相が結晶粒界に多く発生したが、Bの含有量が5at%〜6.5at%の範囲ではWを含むR6T13X(X=Al、Cu等)型相が生成し、この相の発生と共に保磁力と角形比が非常に良くなり、弱磁性を持つ。WはR6T13X型相の生成とその安定性の向上に有利である。
【0045】
実施例五
原料配合工程:純度99.5%のNd、Dy、工業用Fe-B、工業用純Fe、純度99.9%のCoと純度99.5%のCu、Al、純度99.999%のWを用意した。原子パーセントat%で配合した。
Wの使用比率を正確に制御するために、この実施例に用いられたNd、Dy、B、Al、Cu、CoとFeの中のWの含有量は現有設備の検出限界以下であった。Wは追加添加したW金属によるものであった。
各元素の含有量を表14に示す。
【0046】
表14 各元素の配合(at%)
【0047】
各グループにおいて、表14の元素組成によって調製し、100kgの原料を秤量、配合した。
溶解工程:毎回は配合後の原料1部をアルミナ製坩堝に入れ、高周波真空誘導溶解炉中で10-2Paの真空中で1500℃以下の温度で真空溶解した。
鋳造工程:真空溶解後の溶解炉にArガスを5万Paまで導入し、単ロール急冷法で鋳造した。102℃/秒〜104℃/秒の冷却速度で急冷合金を得た。急冷合金を700℃の温度で5分間保温熱処理してから、室温まで冷却した。
水素粉砕工程:室温で、急冷合金が放置されている水素粉砕炉を真空引き、その後、水素粉砕炉に純度99.5%の水素ガスを0.1MPaまで導入し、120分間放置した後、真空引きながら温度を上げた。600℃の温度で2時間真空引きを行った後冷却し、水素粉砕後の粉末を取り出した。
微粉砕工程:酸化性ガス含有量が100ppm以下の雰囲気で、0.5MPaの粉砕室圧力下で水素粉砕後の粉末を気流粉砕して、微粉を得た。微粉の平均粒度は5.0μmであった。酸化性ガスは酸素或は水分であった。
一部の微粉砕後の微粉(微粉総重量の30%を占める)をスクリーニングし、粒径1.0μm以下の粉末を除いた。スクリーニング後の微粉と残りのスクリーニングしていない粉末を混合した。混合後の微粉中、粒径1.0μm以下の粉末の体積は全体粉末体積の10%以下に減少した。
気流粉砕後の粉末にカプリル酸メチルを添加した。カプリル酸メチルの添加量は混合後粉末重量の0.2%であった。その後、V型混料機で充分混合した。
【0048】
磁場成形工程:直角配向型の磁場成形機を用い、1.8Tの配向磁場中、0.2ton/cm2の成形圧力下で、カプリル酸メチルを添加した粉末を辺長25mmの立方体になるように一次成形した。一次成形後、0.2Tの磁場で脱磁を行なった。
一次成形後の成形体は空気に触れないように密封し、二次成形機(等方静水圧成形機)で1.0ton/cm2の圧力下で二次成形を行った。
焼結工程:各成形体を焼結炉に運び、焼結し、10-3Paの真空下、200℃、800℃の各温度でそれぞれ2時間保持した後、1060℃で2時間焼結し、その後Arガスを0.1MPaまで導入し、室温まで冷却した。
熱処理工程:焼結体は、高純度Arガス中で、420℃で1時間熱処理を行い、その後室温まで冷却し、取り出した。
加工工程:熱処理された焼結体をφ15mm、厚さ5mmの磁石に加工し、5mm方向は磁場配向方向であった。
実施例1〜7の焼結体から作成された磁石について、直接磁気性能を測定し、磁気特性を評価した。実施例の磁石の評価結果を表15に示す。
【0049】
表15 実施例の微細構造評価
【0050】
表15中の非晶質相と等方性相の有無は急冷合金中の非晶質相と等方性相の有無を指すことであった。
表15中のWリッチ相は濃度0.004at%以上、0.26at%以下のエリアであった。
【0051】
表16 実施例の磁気性能評価
【0052】
全ての実施工程において、特に酸素O、炭素Cと窒素Nの含有量の制御を注意し、上記磁石における酸素O、炭素Cと窒素Nの三つの元素の含有量をそれぞれ0.1〜0.5at%、0.3at%以下と0.1at%以下に制御した。
実施例1〜7について、FE-EPMA(フィールドエミッション電子プローブマイクロアナライザ))(日本電子株式会社(JEOL)、8530F)で測定した結果、Wは比較的高い分散度で粒界の遷移を均一にピン止め(pinning effect)し、AGGの形成を防止したことが観察できた。
結論として、FE-EPMA分析によると、Alが0.8〜2.0at%の範囲ではWを含むR6T13X(X=Al,Cu等)型相が生成し、この相の発生と共に保磁力と角形比が非常に良くなり、弱磁性を持つ。WはR6T13X型相の生成とその安定性の向上に有利である。
【0053】
実施例六
実施例一で得た各グループの焼結磁石をφ15mm、厚さ5mmの磁石に加工した。5mm方向は磁場配向方向であった。
粒界拡散処理工程:各グループの焼結体から加工して得た磁石を洗浄し、表面がきれいになった後、Dy酸化物とTbフッ化物を3:1の比例で作った原料を使い、磁石の全面にスプレーコートした。スプレーコートした後の磁石を乾燥し、高純度Arガス雰囲気で、850℃の温度で24時間拡散熱処理した。
磁気性能の評価過程:焼結磁石の磁気性能は、中国計量院製のNIM-10000H型BH大型希土類永久磁石無損測量システムで測定された。
評価結果を表17に示す。
【0054】
表17 実施例の保磁力評価状況
【0055】
表17から見ると、本発明において、微量のWは、結晶粒界中で非常に微小なW結晶を発生したので、Dy、Tbの拡散の障害にならないので、拡散速度が非常に速くなる。また、適量のCuを含むので、低融点のNdリッチ相を形成し、拡散を一層促進させる効果がある。そのため、本発明の磁石はDy、Tbの粒界拡散により、非常に高い特性を得た事が出来る。
【0056】
実施例 七
原料配合工程:純度99.9%のNd、Dy、Tb、純度99.9%のB、純度99.9%のFe、純度99.5%のCu、Co、Nb、Al、Gaを用意した。原子パーセントat%で配合した。
Wの使用比率を正確に制御するために、この実施例に用いられた Dy、Tb、Fe、B、Cu、Co、Nb、AlとGaの中のWの含有量は現有設備の検出限界以下であった。用いられたNdの中にはWがあり、W元素の含有量は0.01at%であった。
各元素の含有量を表18に示す。
【0057】
表18 各元素の配合(at%)
【0058】
各グループにおいて、表18の元素組成によって調製し、原料100kgを秤量、配合した。
溶解工程:毎回は配合後の原料1部をアルミナ製坩堝に入れ、高周波真空誘導溶解炉中で10-2Paの真空中で1500℃以下の温度で真空溶解した。
鋳造工程:真空溶解後の溶解炉にArガスを3.5万Paまで導入し、単ロール急冷法で鋳造した。102℃/秒〜104℃/秒の冷却速度で急冷合金を得た。急冷合金を550℃の温度で10 分間保温熱処理してから、室温まで冷却した。
水素粉砕工程:室温で、急冷合金が放置されている水素粉砕炉を真空引き、その後、水素粉砕炉に純度99.5%の水素ガスを0.085MPaまで導入し、160分間放置した後、真空引きながら温度を上げた。520℃の温度で真空引きを行った後冷却し、水素粉砕後の粉末を取り出した。
微粉砕工程:酸化性ガス含有量が10ppm以下の雰囲気で、0.42MPaの粉砕室圧力下で水素粉砕後の粉末を気流粉砕して、微粉を得た。微粉の平均粒度は4.28μmであった。酸化性ガスは酸素或は水分であった。
気流粉砕後の粉末にカプリル酸メチルを添加した。カプリル酸メチル添加量は混合後粉末重量の0.25%であった。その後、V型混料機で充分混合した。
【0059】
磁場成形工程:直角配向型の磁場成形機を用い、1.8Tの配向磁場中、0.3ton/cm2の成形圧力下で、カプリル酸メチルを添加した粉末を辺長25mm立方体になるように一次成形した。一次成形後、0.2Tの磁場で脱磁を行なった。
一次成形後の成形体は空気に触れないように密封し、二次成形機(等方静水圧成形機)で1.0ton/cm2の圧力下で二次成形を行った。
焼結工程:各成形体を焼結炉に運び、焼結し、10-3Paの真空下、300℃、800℃の各温度でそれぞれ3時間保持した後、1030℃で2時間焼結し、その後Arガスを0.1MPaまで導入し、室温まで冷却した。
熱処理工程:焼結体は、高純度Arガス中で、600℃で2時間熱処理を行い、その後室温まで冷却し、取り出した。
加工工程:熱処理された焼結体をφ10mm、厚さ5mmの磁石に加工し、5mm方向は磁場配向方向である。
実施例1〜8の焼結体から作成された磁石について、直接磁気性能を測定し、磁気特性を評価した。実施例の磁石の評価結果を表19と表20に示す。
【0060】
表19 実施例の微細構造評価
【0061】
表19中の非晶質相と等方性相の考察は急冷合金中の非晶質相と等方性相の考察であった。
表19中のWリッチ相は濃度0.004at%以上、0.26at%以下のエリアであった。
【0062】
表20 実施例の磁気性能評価
【0063】
全ての実施工程において、特に酸素O、炭素Cと窒素Nの含有量の制御を注意し、上記磁石における酸素O、炭素Cと窒素Nの三つの元素の含有量をそれぞれ0.1〜0.5at%、0.4at%以下と0.2at%以下に制御した。
結論として、Ga含有量が0.05at%より小さい時、保磁力の熱処理温度依存度が高くなり、磁石の磁気性能が低くなる。Ga含有量が0.8at%を超える時、Gaが非磁性元素であるため、Br、(BH)maxが低くなる。
同様に、実施例1〜8について、FE-EPMA(フィールドエミッション電子プローブマイクロアナライザ))(日本電子株式会社(JEOL)、8530F)で測定した結果、Wは比較的高い分散度で粒界の遷移を均一にピン止め(pinning effect)し、AGGの形成を防止したことが観察できた。
【0064】
実施例 八
原料配合工程:純度99.9%のNd、Dy、Gd、Tb、純度99.9%のB、純度99.9%のFe、純度99.5%のCu、Co、Nb、Al、Gaを用意した。原子パーセントat%で配合した。各元素の含有量を表5に示す。
Wの使用比率を正確に制御するために、この実施例に用いられたDy、Gd、Tb、Fe、B、Cu、Co、Nb、AlとGaの中のWの含有量は現有設備の検出限界以下であった。用いられたNdの中にはWがあり、W元素の含有量は0.01at%であった。
各元素の含有量を表21に示す。
【0065】
表21 各元素の配合(at%)
【0066】
各グループにおいて、表21の元素組成によって調製し、原料100kgを秤量、配合した。
溶解工程:毎回は配合後の原料1部をアルミナ製坩堝に入れ、高周波真空誘導溶解炉中で10-2Paの真空中で1450℃以下の温度で真空溶解した。
鋳造工程:真空溶解後の溶解炉にArガスを4.5万Paまで導入し、単ロール急冷法で鋳造した。102℃/秒〜104℃/秒の冷却速度で急冷合金を得た。急冷合金を800℃の温度で5 分間保温熱処理してから、室温まで冷却した。
水素粉砕工程:室温で急冷合金が放置されている水素粉砕炉を真空引き、その後、水素粉砕炉に純度99.5%の水素ガスを0.09MPaまで導入し、150分間放置した後、真空引きながら温度を上げた。600℃の温度で真空引きを行った後冷却し、水素粉砕後の粉末を取り出した。
微粉砕工程:酸化性ガス含有量が30ppm以下の雰囲気で、0.5MPaの粉砕室圧力下で水素粉砕後の粉末を気流粉砕して、微粉を得た。微粉の平均粒度は4.1μmであった。酸化性ガスは酸素或は水分であった。
気流粉砕後の粉末にアルミステアリンを添加した。アルミステアリンの添加量は混合後粉末重量の0.05%であった。その後、V型混料機で充分混合した。
【0067】
磁場成形工程:直角配向型の磁場成形機を用い、1.8Tの配向磁場中、0.3ton/cm2の成形圧力下でアルミステアリンを添加した粉末を辺長25mmの立方体になるように一次成形した。一次成形後、0.2Tの磁場で脱磁を行なった。
一次成形後の成形体は空気に触れないように密封し、二次成形機(等方静水圧成形機)で1.0ton/cm2の圧力下で二次成形を行った。
焼結工程:各成形体を焼結炉に運び、焼結し、10-3Paの真空下、200℃、800℃の各温度でそれぞれ3時間保持した後、1050℃で2時間焼結し、その後Arガスを0.1MPaまで導入し、室温まで冷却した。
熱処理工程:焼結体は、高純度Arガス中で、480℃で2時間熱処理を行い、その後室温まで冷却し、取り出した。
加工工程:熱処理された焼結体をφ10mm、厚さ5mmの磁石に加工し、5mm方向は磁場配向方向であった。
実施例1〜5の焼結体から作成された磁石について、直接磁気性能を測定し、磁気特性を評価した。実施例の磁石の評価結果を表22と表23に示す。
【0068】
表22 実施例の微細構造評価
【0069】
表23中の非晶質相と等方性相の考察は急冷合金中の非晶質相と等方性相の考察であった。
表23中のWリッチ相は濃度0.004at%以上、0.26at%以下のエリアであった。
【0070】
表23 実施例の磁気性能評価
【0071】
全ての実施工程において、特に酸素O、炭素Cと窒素Nの含有量の制御を注意し、上記磁石における酸素O、炭素Cと窒素Nの三つの元素の含有量をそれぞれ0.1〜0.5at%、0.4at%以下と0.2at%以下に制御した。
結論として、Nb含有量が0.2at%を超える時、Nbの含有量が高くなるので、急冷合金の中に非晶質相が発見した。非晶質相の存在によって、Br、Hcjが低くなる。
Nbを添加した場合と同じ、本出願人は試験によって、Zrの含有量も0.2at%以下に制御すべきであることが分かった。
同様に、実施例1〜5について、FE-EPMA(フィールドエミッション電子プローブマイクロアナライザ))(日本電子株式会社(JEOL)、8530F)で測定した結果、Wは比較的高い分散度で粒界の遷移を均一にピン止め(pinning effect)し、AGGの形成を防止したことが観察できた。
前記実施例は本発明の具体的な実施例の更なる説明に使い、本発明は実施例に限らず、本発明の技術実質によって以上の実施例に対する簡単な修正、近等変化や修飾はすべて、本発明の技術案の保護範囲内に落ちる。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明のWの含有量が非常に微量であり、且つ均一に分散し、R6T13X(X=Al、Cu、Ga等)型相の形成を促進し、結晶粒子の異常成長(AGG)を有効に防ぐことができ、顕著な改善効果が得られる。また、大顆粒の高融点金属ホウ化物の生成による加工劣化を避ける。よって、本発明は産業上の利用可能性がよい。
図1
図2
図3