【実施例】
【0014】
実施例一
原料配合工程:純度99.5%のNd、Dy、工業用Fe-B、工業用純Fe、純度99.9%のCoと純度99.5%のCu、Al、純度99.999%のWを用意した。原子パーセントat%で配合した。
Wの使用比率を精確に制御するために、この実施例に用いられたNd、Dy、Fe、B、Al、CuとCoの中のWの含有量は現有設備の検出限界以下であった。Wは追加添加したW金属によるものであった。
各元素の含有量を表2に示す。
【0015】
表2 各元素の配合率(at%)
【0016】
各グループにおいて、表2の元素組成によって調製し、100kgの原料を秤量、配合した。
溶解工程:毎回は配合後の原料1部をアルミナ製坩堝に入れ、高周波真空誘導溶解炉中で10
-2Paの真空中で、1500℃以下の温度で真空溶解した。
鋳造工程:真空溶解後の溶解炉にArガスを5万Paまで導入し、単ロール急冷法で鋳造した。10
2℃/秒〜10
4℃/秒の冷却速度で急冷合金を得た。急冷合金を600℃の温度で60分間保温熱処理してから、室温まで冷却した。
実施例3に作った急冷合金について、FE-EPMA(フィールドエミッション電子プローブマイクロアナライザ)(日本電子株式会社(JEOL),8530F)でCu、NdとW等の成分を測定し、その結果を
図2に示す。
図2から、Wは比較的高い分散度でRリッチ相の中に分散していることが観察できた。
実施例2、3、4、5、6の急冷合金をFE-EPMAで測定した結果、Wリッチエリアが結晶粒界に均一分散で分布し、且つ合金結晶粒界の少なくとも50体積%を占め、その内、WリッチエリアはWの含有量が0.004at%以上、0.26at%以下のエリアであった。
水素粉砕工程:室温で、急冷合金が放置されている水素粉砕炉を真空引き、その後、水素粉砕炉に純度99.5%の水素ガスを0.1MPaまで導入し、2時間放置した後、真空引きながら温度を上げた。500℃の温度で真空引きを行った後冷却し、水素粉砕後の粉末を取り出した。
【0017】
微粉砕工程:酸化性ガス含有量が100ppm以下の窒素雰囲気で、0.4MPaの粉砕室圧力下で、水素粉砕後の粉末を気流粉砕し、微粉を得た。微粉の平均粒度は4.5μmであった。酸化性ガスは酸素或は水分であった。
分級機で一部の粉砕後の微粉(微粉総重量の30%を占める)をスクリーニングし、粒径1.0μm以下の粉末を除いた後、スクリーニング後の微粉と残りのスクリーニングしていない微粉を混合した。混合後の微粉の中で、粒径1.0μm以下の粉末の体積は全体粉末体積の10%以下に減した。
気流粉砕後の粉末にカプリル酸メチルを添加した。カプリ酸メチルの添加量は混合後粉末重量の0.2%であった。その後、V型混料機で充分混合した。
磁場成形工程:直角配向型の磁場成形機を用い、1.8Tの配向磁場中、0.4ton/cm
2の成形圧力下で、カプリル酸メチルを添加した粉末を辺長25mmの立方体になるように一次成形した。一次成形後、0.2Tの磁場で脱磁を行なった。
一次成形後の成形体は空気に触れないように密封し、二次成形機(等方静水圧成形機)で1.4ton/cm
2の圧力下で二次成形を行った。
焼結工程:各成形体を焼結炉に運び、焼結し、10
-3Paの真空下、200℃、800℃の各温度でそれぞれ2時間保持した後、1030℃で2時間焼結し、その後Arガスを0.1MPaまで導入し、室温まで冷却した。
熱処理工程:焼結体は、高純度Arガス中で、460℃で1時間熱処理を行い、その後室温まで冷却し、取り出した。
加工工程:熱処理された焼結体をφ15mm、厚さ5mmの磁石に加工し、5mm方向は磁場配向方向であった。
実施例1〜7の焼結体から作成された磁石について、直接磁気性能を測定し、磁気特性を評価した。実施例の磁石の評価結果を表3、表4に示す。
【0018】
表3 実施例の微細構造評価
【0019】
表3中の非晶質相と等方性相の考察は急冷合金中の非晶質相と等方性相の考察であった。
表3中のWリッチ相は濃度0.004at%以上、0.26at%以下のエリアである。
【0020】
表4 実施例の磁気性能評価状況
【0021】
全ての実施工程において、特に酸素O、炭素Cと窒素Nの含有量の制御を注意し、上記磁石における酸素O、炭素Cと窒素Nの三つの元素の含有量をそれぞれ0.1〜0.5at%、0.3at%以下と0.1at%以下に制御した。
結論として、本発明において、磁石中のWの含有量が0.0005at%より小さい時、Wの含有量が極めて少ないので、ピン止め効果が発揮できない、原料にCuが存在しているため、AGGを引き起こしやすく、SQとHcjが低くなる。それに対して、Wの含有量が0.03at%を超える時、一部のWB
2相が生成し、角形比が下げ、磁気性能も低くなる。また、作った急冷合金中に非晶質相及び等方性急冷相が発せし、磁気性能が急速に下がる。
実施例3に作った焼結磁石について、FE-EPMA(フィールドエミッション電子プローブマイクロアナライザ))[日本電子株式会社(JEOL)、8530F]でCu、NdとW等の成分を分析し、結果を
図3に示す。Wは比較的高い分散度で粒界の遷移を均一にピン止めし、AGGの形成を防止したことが観察できた。
同様に、実施例2、4、5と6についてもFE-EPMAで測定し、同様に、Wは比較的高い分散度で粒界の遷移を均一にピン止めし、AGGの形成を防止したことが観察できた。
【0022】
実施例二
原料配合工程:純度99.9%のNd、Pr、Tb、純度99.9%のB、純度99.9%のFe、純度99.999%のWと純度99.5%のCu、Alを用意した。原子パーセントat%で配合した。
Wの使用比率を正確に制御するために、この実施例に用いられたNd、Pr、Tb、Fe、B、AlとCuの中のWの含有量は現有設備の検出限界以下であった。Wは追加添加したW金属によるものであった。
各元素の含有量を表5に示す。
【0023】
表5 各元素の配合(at%)
【0024】
各グループにおいて、表5の元素組成によって調製し、100kgの原料を秤量、配合した。
溶解工程:毎回は配合後の原料1部をアルミナ製坩堝に入れ、高周波真空誘導溶解炉中で10
-2Paの真空中且つ1500℃以下の温度で真空溶解した。
鋳造工程:真空溶解後の溶解炉にArガスを3万Paまで導入し、単ロール急冷法で鋳造した。10
2℃/秒〜10
4℃/秒の冷却速度で急冷合金を得た。急冷合金を600℃の温度で60分間保温熱処理してから、室温まで冷却した。
実施例2〜7の急冷合金をFE-EPMAで測定した結果、Wリッチエリアが結晶粒界に均一分散で分布し、且つ合金結晶粒界の少なくとも50体積%を占め、その内、Wリッチエリアは濃度0.004at%以上、0.26at%以下のエリアであった。
水素粉砕工程:室温で、急冷合金が放置されている水素粉砕炉を真空引き、その後、水素粉砕炉に純度99.5%の水素ガスを0.1MPaまで導入し、125分間放置した後、真空引きながら温度を上げた。500℃の温度で2時間真空引きを行った後冷却し、水素粉砕後の粉末を取り出した。
微粉砕工程:酸化性ガス含有量が100ppm以下の雰囲気で、0.41MPaの粉砕室圧力下で、水素粉砕後の粉末を気流粉砕して、微粉を得た。微粉の平均粒度は4.30μmであった。酸化性ガスは酸素或は水分であった。
気流粉砕後の粉末にカプリル酸メチルを添加した。カプリル酸メチルの添加量は混合後粉末重量の0.25%であった。その後、V型混料機で充分混合した。
【0025】
磁場成形工程:直角配向型の磁場成形機を用い、1.8Tの配向磁場中、0.3ton/cm
2の成形圧力下で、カプリル酸メチルを添加した粉末を辺長25mmの立方体になるように一次成形した。一次成形後、0.2Tの磁場で脱磁を行なった。
一次成形後の成形体は空気に触れないように密封し、二次成形機(等方静水圧成形機)で1.0ton/cm
2の圧力下で二次成形を行った。
焼結工程:各成形体を焼結炉に運び、焼結し、10
-3Paの真空下、200℃、800℃の各温度でそれぞれ3時間保持した後、1020℃で2時間焼結し、その後Arガスを0.1MPaまで導入し、室温まで冷却した。
熱処理工程:焼結体は、高純度Arガス中で、620℃の温度で1時間熱処理を行い、その後室温まで冷却し、取り出した。
加工工程:熱処理された焼結体をφ15mm、厚さ5mmの磁石に加工し、5mm方向は磁場配向方向であった。
実施例1〜8の焼結体から作成された磁石について、直接磁気性能を測定し、磁気特性を評価した。実施例の磁石の評価結果を表6、表7に示す。
【0026】
表6 実施例の微細構造評価
【0027】
表6中の非晶質相と等方性相の考察は急冷合金中の非晶質相と等方性相の考察であった。
表6中のWリッチ相は濃度0.004at%以上、0.26at%以下のエリアであった。
【0028】
表7 実施例の磁気性能評価状況
【0029】
全ての実施工程において、特に酸素O、炭素Cと窒素Nの含有量の制御を注意し、上記磁石における酸素O、炭素Cと窒素Nの三つの元素の含有量をそれぞれ0.1〜0.5at%、0.4at%以下と0.2at%以下に制御した。
結論として、本発明において、Cuの含有量が0.05at%以下より小さい時、保磁力の熱処理温度依存度が高く、磁石の性能が低くなる。それに対して、Cuの含有量が1.2at%を超える時、Cuの低融点現象で、AGGの生成量が増加し、Wのピン止め(Pinning effect)効果によってもAGGの大量形成を防止することが難くなる。これから分かるように、低酸素含有量の磁石において、適切なCu、W範囲が存在している。
同様に、実施例2〜7について、FE-EPMA(フィールドエミッション電子プローブマイクロアナライザ))[日本電子株式会社(JEOL)、8530F]で測定した結果、Wは比較的高い分散度で粒界の遷移を均一にピン止め(Pinning effect)し、AGGの形成を防止したことが観察できた。
【0030】
実施例三
原料配合工程:純度99.5%のNd、工業用Fe-B、工業用純Fe、純度99.9%のCoと純度99.5%のCu、純度99.999%のWを用意した。原子パーセントat%で配合した。
Wの使用比率を正確に制御するために、この実施例に用いられたNd、Fe、B、CuとCo原料の中のWの含有量は現有設備の検出限界以下であった。Wは追加添加したW金属によるものであった。
各元素の含有量を表8に示す。
【0031】
表8 各元素の配合(at%)
【0032】
各グループにおいて、表8の元素組成によって調製し、700kgの原料を秤量、配合した。
溶解工程:配合後の原料をアルミナ製坩堝に入れ、高周波真空誘導溶解炉中で10
-2Paの真空中且つ1500℃以下の温度で真空溶解した。
鋳造工程:真空溶解後の溶解炉にArガスを5万Paまで導入し、単ロール急冷法で鋳造した。10
2℃/秒〜10
4℃/秒の冷却速度で急冷合金を得た。急冷合金を600℃の温度で60分間保温熱処理してから、室温まで冷却した。
急冷合金をFE-EPMAで測定した結果、Wリッチエリアが結晶粒界に均一分散で分布し、且つ合金結晶粒界の少なくとも50体積%を占め、その内、WリッチエリアはW の含有量が0.004at%以上、0.26at%以下のエリアであった。
水素粉砕工程:室温で、急冷合金が放置されている水素粉砕炉を真空引き、その後、水素粉砕炉に純度99.5%の水素ガスを0.1MPaまで導入し、97分間放置した後、真空引きながら温度を上げた。500℃の温度で2時間真空引きを行った後冷却し、水素粉砕後の粉末を取り出した。
微粉砕工程:水素粉砕後の粉末を7等分に分け、各等分の粉末をそれぞれ酸化性ガス含有量が10〜3000ppm以下の雰囲気で、0.42MPaの粉砕室圧力下で気流粉砕して、微粉を得た。微粉の平均粒度は4.51μmであった。酸化性ガスは酸素或は水分であった。
気流粉砕後の各粉末にカプリル酸メチルを添加した。カプリル酸メチルの添加量は混合後粉末重量の0.1%であった。その後、V型混料機で充分混合した。
【0033】
磁場成形工程:直角配向型の磁場成形機を用い、1.8Tの配向磁場中、0.2ton/cm
2の成形圧力下で、カプリル酸メチルを添加した上記粉末を辺長25mm立方体になるように一次成形した。一次成形後、0.2Tの磁場で脱磁を行なった。
一次成形後の成形体は空気に触れないように密封し、二次成形機(等方静水圧成形機)で1.4ton/cm
2の圧力下で二次成形を行った。
焼結工程:各成形体を焼結炉に運び、焼結し、10
-3Paの真空下、200℃、700℃の各温度でそれぞれ2時間保持した後、1020℃で2時間焼結し、その後Arガスを0.1MPaまで導入し、室温まで冷却した。
熱処理工程:焼結体は、高純度Arガス中で、900℃で1時間一段熱処理を行い、その後500℃で1時間二段熱処理し、室温まで冷却し、取り出した。
加工工程:熱処理された焼結体をφ15mm、厚さ5mmの磁石に加工し、5mm方向は磁場配向方向であった。
熱減磁の測定:焼結磁石を150℃の環境に30min保温し、その後、室温まで自然に冷却させ、磁束を測定した。測定の結果を加熱前の磁束測定データと比べ、加熱前後の磁束減衰率を計算した。
実施例1〜7の焼結体から作成された磁石について、直接磁気性能を測定し、磁気特性を評価した。実施例の磁石の評価結果を表9と表10に示す。
【0034】
表9 実施例の微細構造評価
【0035】
表9中のWリッチ相は濃度0.004at%以上、0.26at%以下のエリアであった。
【0036】
表10 実施例の磁気性能評価状況
【0037】
全ての実施工程において、特に炭素Cと窒素Nの含有量の制御を注意し、上記磁石における炭素Cと窒素Nの二つの元素の含有量をそれぞれ0.2at%以下と0.25at%以下に制御した。
結論として、適量のW、Cuが存在していても、磁石中の酸素O含有量が0.1at%より小さい時、Wのピン止め効果の限界を超えたので、AGGが発生しやすい状態になり、AGGが発生し、磁石の性能が低くなる。それに対して、適量のW、Cuが存在していても、磁石中の酸素O含有量が1.0at%を超える時、酸素O含有量の分散性が悪くなり、酸素含有量の多いところと酸素含有量の少ないところが産生し、酸素の不均一でAGGの発生を増加し、保磁力や角形比が低くなる。
同様に、実施例2〜6をFE-EPMA(フィールドエミッション電子プローブマイクロアナライザ))(日本電子株式会社(JEOL)、8530F)で測定し、測定結果から見ると、Wは比較的高い分散度で粒界の遷移を均一ピン止め(Pinning effect)し、AGGの形成を防止したことを観察した。
【0038】
実施例四
原料配合工程:純度99.5%のNd、Dy、工業用Fe-B、工業用純Fe、純度99.9%のCoと純度99.5%のCu、Al、純度99.999%のWを用意した。原子パーセントat%で配合した。
Wの使用比率を正確に制御するために、この実施例に用いられたNd、Dy、B、Al、Cu、Co、Feの中のWの含有量は現有設備の検出限界以下であった。Wは追加添加したW金属によるものであった。
含有量を表11に示す。
【0039】
表11 各元素の配合(at%)
【0040】
各グループにおいて、表11の元素組成によって調製し、各100kgの原料を秤量、配合した。
溶解工程:毎回は配合後の原料1部をアルミナ製坩堝に入れ、高周波真空誘導溶解炉中で10
-2Paの真空中且つ1550℃以下の温度で真空溶解した。
鋳造工程:真空溶解後の溶解炉にArガスを2万Paまで導入し、単ロール急冷法で鋳造した。10
2℃/秒〜10
4℃/秒の冷却速度で急冷合金を得た。急冷合金を800℃の温度で10分間保温熱処理してから、室温まで冷却した。
実施例1〜7の急冷合金をFE-EPMAで測定し、Wリッチエリアが結晶粒界に均一分散で分布し、且つ合金結晶粒界の少なくとも50体積%を占め、その内、WリッチエリアはW の含有量が0.004at%以上、0.26at%以下のエリアであった。
水素粉砕工程:室温で、急冷合金が放置されている水素粉砕炉を真空引き、その後、水素粉砕炉に純度99.5%の水素ガスを0.1MPaまで導入し、120分間放置した後、真空引きながら温度を上げた。500℃の温度で2時間真空引きを行った後冷却し、水素粉砕後の粉末を取り出した。
微粉砕工程:酸化性ガス含有量が100ppm以下の雰囲気で、0.6MPaの粉砕室圧力下で水素粉砕後の粉末を気流粉砕して、微粉を得た。微粉の平均粒度は4.5μmであった。酸化性ガスは酸素或は水分であった。
分級機で一部の粉砕後の微粉(微粉総重量の30%を占める)をスクリーニングし、粒径1.0μm以下の粉末を除いた後、スクリーニング後の微粉と残りのスクリーニングしていない微粉を混合した。混合後の微粉中、粒径1.0μm以下の粉末の体積は全体粉末体積の2%以下に減少した。
気流粉砕後の粉末にカプリル酸メチルを添加した。カプリル酸メチルの添加量は混合後粉末重量の0.2%であった。その後、V型混料機で充分混合した。
【0041】
磁場成形工程:直角配向型の磁場成形機を用い、1.8Tの配向磁場中、0.2ton/cm
2の成形圧力下で、カプリル酸メチルを添加した粉末を辺長25mmの立方体になるように一次成形した。一次成形後、0.2Tの磁場で脱磁を行なった。
一次成形後の成形体は空気に触れないように密封し、二次成形機(等方静水圧成形機)で1.0ton/cm
2の圧力下で二次成形を行った。
焼結工程:各成形体を焼結炉に運び、焼結し、10
-3Paの真空下、200℃、800℃の各温度でそれぞれ2時間保持した後、1040℃で2時間焼結し、その後Arガスを0.1MPaまで導入し、室温まで冷却した。
熱処理工程:焼結体は、高純度Arガス中で、400℃で1時間熱処理を行い、その後室温まで冷却し、取り出した。
加工工程:熱処理された焼結体をφ15mm、厚さ5mmの磁石に加工し、5mm方向は磁場配向方向であった。
実施例1〜7の焼結体から作成された磁石について、直接磁気性能を測定し、磁気特性を評価した。実施例の磁石の評価結果を表12、表13に示す。
【0042】
表12 実施例の微細構造評価
表12中の非晶質相と等方性相の考察は急冷合金中の非晶質相と等方性相の考察であった。
表12中のWリッチ相は濃度0.004at%以上、0.26at%以下のエリアであった。
【0043】
表13 実施例の磁気性能評価
【0044】
全ての実施工程において、特に酸素O、炭素Cと窒素Nの含有量の制御を注意し、上記磁石における酸素O、炭素Cと窒素Nの三つの元素の含有量をそれぞれ0.1〜0.5at%、0.3at%以下と0.1at%以下に制御した。
実施例1〜7について、FE-EPMA(フィールドエミッション電子プローブマイクロアナライザ))(日本電子株式会社(JEOL)、8530F)で測定した結果、Wは比較的高い分散度で粒界の遷移を均一にピン止め(pinning effect)し、AGGの形成を防止したことが観察できた。
結論として、FE-EPMA分析によると、B量が6.5at%を超える時、Bを含むR(T,B)2型相が結晶粒界に多く発生したが、Bの含有量が5at%〜6.5at%の範囲ではWを含むR6T13X(X=Al、Cu等)型相が生成し、この相の発生と共に保磁力と角形比が非常に良くなり、弱磁性を持つ。WはR6T13X型相の生成とその安定性の向上に有利である。
【0045】
実施例五
原料配合工程:純度99.5%のNd、Dy、工業用Fe-B、工業用純Fe、純度99.9%のCoと純度99.5%のCu、Al、純度99.999%のWを用意した。原子パーセントat%で配合した。
Wの使用比率を正確に制御するために、この実施例に用いられたNd、Dy、B、Al、Cu、CoとFeの中のWの含有量は現有設備の検出限界以下であった。Wは追加添加したW金属によるものであった。
各元素の含有量を表14に示す。
【0046】
表14 各元素の配合(at%)
【0047】
各グループにおいて、表14の元素組成によって調製し、100kgの原料を秤量、配合した。
溶解工程:毎回は配合後の原料1部をアルミナ製坩堝に入れ、高周波真空誘導溶解炉中で10
-2Paの真空中で1500℃以下の温度で真空溶解した。
鋳造工程:真空溶解後の溶解炉にArガスを5万Paまで導入し、単ロール急冷法で鋳造した。10
2℃/秒〜10
4℃/秒の冷却速度で急冷合金を得た。急冷合金を700℃の温度で5分間保温熱処理してから、室温まで冷却した。
水素粉砕工程:室温で、急冷合金が放置されている水素粉砕炉を真空引き、その後、水素粉砕炉に純度99.5%の水素ガスを0.1MPaまで導入し、120分間放置した後、真空引きながら温度を上げた。600℃の温度で2時間真空引きを行った後冷却し、水素粉砕後の粉末を取り出した。
微粉砕工程:酸化性ガス含有量が100ppm以下の雰囲気で、0.5MPaの粉砕室圧力下で水素粉砕後の粉末を気流粉砕して、微粉を得た。微粉の平均粒度は5.0μmであった。酸化性ガスは酸素或は水分であった。
一部の微粉砕後の微粉(微粉総重量の30%を占める)をスクリーニングし、粒径1.0μm以下の粉末を除いた。スクリーニング後の微粉と残りのスクリーニングしていない粉末を混合した。混合後の微粉中、粒径1.0μm以下の粉末の体積は全体粉末体積の10%以下に減少した。
気流粉砕後の粉末にカプリル酸メチルを添加した。カプリル酸メチルの添加量は混合後粉末重量の0.2%であった。その後、V型混料機で充分混合した。
【0048】
磁場成形工程:直角配向型の磁場成形機を用い、1.8Tの配向磁場中、0.2ton/cm
2の成形圧力下で、カプリル酸メチルを添加した粉末を辺長25mmの立方体になるように一次成形した。一次成形後、0.2Tの磁場で脱磁を行なった。
一次成形後の成形体は空気に触れないように密封し、二次成形機(等方静水圧成形機)で1.0ton/cm
2の圧力下で二次成形を行った。
焼結工程:各成形体を焼結炉に運び、焼結し、10
-3Paの真空下、200℃、800℃の各温度でそれぞれ2時間保持した後、1060℃で2時間焼結し、その後Arガスを0.1MPaまで導入し、室温まで冷却した。
熱処理工程:焼結体は、高純度Arガス中で、420℃で1時間熱処理を行い、その後室温まで冷却し、取り出した。
加工工程:熱処理された焼結体をφ15mm、厚さ5mmの磁石に加工し、5mm方向は磁場配向方向であった。
実施例1〜7の焼結体から作成された磁石について、直接磁気性能を測定し、磁気特性を評価した。実施例の磁石の評価結果を表15に示す。
【0049】
表15 実施例の微細構造評価
【0050】
表15中の非晶質相と等方性相の有無は急冷合金中の非晶質相と等方性相の有無を指すことであった。
表15中のWリッチ相は濃度0.004at%以上、0.26at%以下のエリアであった。
【0051】
表16 実施例の磁気性能評価
【0052】
全ての実施工程において、特に酸素O、炭素Cと窒素Nの含有量の制御を注意し、上記磁石における酸素O、炭素Cと窒素Nの三つの元素の含有量をそれぞれ0.1〜0.5at%、0.3at%以下と0.1at%以下に制御した。
実施例1〜7について、FE-EPMA(フィールドエミッション電子プローブマイクロアナライザ))(日本電子株式会社(JEOL)、8530F)で測定した結果、Wは比較的高い分散度で粒界の遷移を均一にピン止め(pinning effect)し、AGGの形成を防止したことが観察できた。
結論として、FE-EPMA分析によると、Alが0.8〜2.0at%の範囲ではWを含むR
6T
13X(X=Al,Cu等)型相が生成し、この相の発生と共に保磁力と角形比が非常に良くなり、弱磁性を持つ。WはR
6T
13X型相の生成とその安定性の向上に有利である。
【0053】
実施例六
実施例一で得た各グループの焼結磁石をφ15mm、厚さ5mmの磁石に加工した。5mm方向は磁場配向方向であった。
粒界拡散処理工程:各グループの焼結体から加工して得た磁石を洗浄し、表面がきれいになった後、Dy酸化物とTbフッ化物を3:1の比例で作った原料を使い、磁石の全面にスプレーコートした。スプレーコートした後の磁石を乾燥し、高純度Arガス雰囲気で、850℃の温度で24時間拡散熱処理した。
磁気性能の評価過程:焼結磁石の磁気性能は、中国計量院製のNIM-10000H型BH大型希土類永久磁石無損測量システムで測定された。
評価結果を表17に示す。
【0054】
表17 実施例の保磁力評価状況
【0055】
表17から見ると、本発明において、微量のWは、結晶粒界中で非常に微小なW結晶を発生したので、Dy、Tbの拡散の障害にならないので、拡散速度が非常に速くなる。また、適量のCuを含むので、低融点のNdリッチ相を形成し、拡散を一層促進させる効果がある。そのため、本発明の磁石はDy、Tbの粒界拡散により、非常に高い特性を得た事が出来る。
【0056】
実施例 七
原料配合工程:純度99.9%のNd、Dy、Tb、純度99.9%のB、純度99.9%のFe、純度99.5%のCu、Co、Nb、Al、Gaを用意した。原子パーセントat%で配合した。
Wの使用比率を正確に制御するために、この実施例に用いられた Dy、Tb、Fe、B、Cu、Co、Nb、AlとGaの中のWの含有量は現有設備の検出限界以下であった。用いられたNdの中にはWがあり、W元素の含有量は0.01at%であった。
各元素の含有量を表18に示す。
【0057】
表18 各元素の配合(at%)
【0058】
各グループにおいて、表18の元素組成によって調製し、原料100kgを秤量、配合した。
溶解工程:毎回は配合後の原料1部をアルミナ製坩堝に入れ、高周波真空誘導溶解炉中で10
-2Paの真空中で1500℃以下の温度で真空溶解した。
鋳造工程:真空溶解後の溶解炉にArガスを3.5万Paまで導入し、単ロール急冷法で鋳造した。10
2℃/秒〜10
4℃/秒の冷却速度で急冷合金を得た。急冷合金を550℃の温度で10 分間保温熱処理してから、室温まで冷却した。
水素粉砕工程:室温で、急冷合金が放置されている水素粉砕炉を真空引き、その後、水素粉砕炉に純度99.5%の水素ガスを0.085MPaまで導入し、160分間放置した後、真空引きながら温度を上げた。520℃の温度で真空引きを行った後冷却し、水素粉砕後の粉末を取り出した。
微粉砕工程:酸化性ガス含有量が10ppm以下の雰囲気で、0.42MPaの粉砕室圧力下で水素粉砕後の粉末を気流粉砕して、微粉を得た。微粉の平均粒度は4.28μmであった。酸化性ガスは酸素或は水分であった。
気流粉砕後の粉末にカプリル酸メチルを添加した。カプリル酸メチル添加量は混合後粉末重量の0.25%であった。その後、V型混料機で充分混合した。
【0059】
磁場成形工程:直角配向型の磁場成形機を用い、1.8Tの配向磁場中、0.3ton/cm
2の成形圧力下で、カプリル酸メチルを添加した粉末を辺長25mm立方体になるように一次成形した。一次成形後、0.2Tの磁場で脱磁を行なった。
一次成形後の成形体は空気に触れないように密封し、二次成形機(等方静水圧成形機)で1.0ton/cm
2の圧力下で二次成形を行った。
焼結工程:各成形体を焼結炉に運び、焼結し、10
-3Paの真空下、300℃、800℃の各温度でそれぞれ3時間保持した後、1030℃で2時間焼結し、その後Arガスを0.1MPaまで導入し、室温まで冷却した。
熱処理工程:焼結体は、高純度Arガス中で、600℃で2時間熱処理を行い、その後室温まで冷却し、取り出した。
加工工程:熱処理された焼結体をφ10mm、厚さ5mmの磁石に加工し、5mm方向は磁場配向方向である。
実施例1〜8の焼結体から作成された磁石について、直接磁気性能を測定し、磁気特性を評価した。実施例の磁石の評価結果を表19と表20に示す。
【0060】
表19 実施例の微細構造評価
【0061】
表19中の非晶質相と等方性相の考察は急冷合金中の非晶質相と等方性相の考察であった。
表19中のWリッチ相は濃度0.004at%以上、0.26at%以下のエリアであった。
【0062】
表20 実施例の磁気性能評価
【0063】
全ての実施工程において、特に酸素O、炭素Cと窒素Nの含有量の制御を注意し、上記磁石における酸素O、炭素Cと窒素Nの三つの元素の含有量をそれぞれ0.1〜0.5at%、0.4at%以下と0.2at%以下に制御した。
結論として、Ga含有量が0.05at%より小さい時、保磁力の熱処理温度依存度が高くなり、磁石の磁気性能が低くなる。Ga含有量が0.8at%を超える時、Gaが非磁性元素であるため、Br、(BH)maxが低くなる。
同様に、実施例1〜8について、FE-EPMA(フィールドエミッション電子プローブマイクロアナライザ))(日本電子株式会社(JEOL)、8530F)で測定した結果、Wは比較的高い分散度で粒界の遷移を均一にピン止め(pinning effect)し、AGGの形成を防止したことが観察できた。
【0064】
実施例 八
原料配合工程:純度99.9%のNd、Dy、Gd、Tb、純度99.9%のB、純度99.9%のFe、純度99.5%のCu、Co、Nb、Al、Gaを用意した。原子パーセントat%で配合した。各元素の含有量を表5に示す。
Wの使用比率を正確に制御するために、この実施例に用いられたDy、Gd、Tb、Fe、B、Cu、Co、Nb、AlとGaの中のWの含有量は現有設備の検出限界以下であった。用いられたNdの中にはWがあり、W元素の含有量は0.01at%であった。
各元素の含有量を表21に示す。
【0065】
表21 各元素の配合(at%)
【0066】
各グループにおいて、表21の元素組成によって調製し、原料100kgを秤量、配合した。
溶解工程:毎回は配合後の原料1部をアルミナ製坩堝に入れ、高周波真空誘導溶解炉中で10
-2Paの真空中で1450℃以下の温度で真空溶解した。
鋳造工程:真空溶解後の溶解炉にArガスを4.5万Paまで導入し、単ロール急冷法で鋳造した。10
2℃/秒〜10
4℃/秒の冷却速度で急冷合金を得た。急冷合金を800℃の温度で5 分間保温熱処理してから、室温まで冷却した。
水素粉砕工程:室温で急冷合金が放置されている水素粉砕炉を真空引き、その後、水素粉砕炉に純度99.5%の水素ガスを0.09MPaまで導入し、150分間放置した後、真空引きながら温度を上げた。600℃の温度で真空引きを行った後冷却し、水素粉砕後の粉末を取り出した。
微粉砕工程:酸化性ガス含有量が30ppm以下の雰囲気で、0.5MPaの粉砕室圧力下で水素粉砕後の粉末を気流粉砕して、微粉を得た。微粉の平均粒度は4.1μmであった。酸化性ガスは酸素或は水分であった。
気流粉砕後の粉末にアルミステアリンを添加した。アルミステアリンの添加量は混合後粉末重量の0.05%であった。その後、V型混料機で充分混合した。
【0067】
磁場成形工程:直角配向型の磁場成形機を用い、1.8Tの配向磁場中、0.3ton/cm
2の成形圧力下でアルミステアリンを添加した粉末を辺長25mmの立方体になるように一次成形した。一次成形後、0.2Tの磁場で脱磁を行なった。
一次成形後の成形体は空気に触れないように密封し、二次成形機(等方静水圧成形機)で1.0ton/cm
2の圧力下で二次成形を行った。
焼結工程:各成形体を焼結炉に運び、焼結し、10
-3Paの真空下、200℃、800℃の各温度でそれぞれ3時間保持した後、1050℃で2時間焼結し、その後Arガスを0.1MPaまで導入し、室温まで冷却した。
熱処理工程:焼結体は、高純度Arガス中で、480℃で2時間熱処理を行い、その後室温まで冷却し、取り出した。
加工工程:熱処理された焼結体をφ10mm、厚さ5mmの磁石に加工し、5mm方向は磁場配向方向であった。
実施例1〜5の焼結体から作成された磁石について、直接磁気性能を測定し、磁気特性を評価した。実施例の磁石の評価結果を表22と表23に示す。
【0068】
表22 実施例の微細構造評価
【0069】
表23中の非晶質相と等方性相の考察は急冷合金中の非晶質相と等方性相の考察であった。
表23中のWリッチ相は濃度0.004at%以上、0.26at%以下のエリアであった。
【0070】
表23 実施例の磁気性能評価
【0071】
全ての実施工程において、特に酸素O、炭素Cと窒素Nの含有量の制御を注意し、上記磁石における酸素O、炭素Cと窒素Nの三つの元素の含有量をそれぞれ0.1〜0.5at%、0.4at%以下と0.2at%以下に制御した。
結論として、Nb含有量が0.2at%を超える時、Nbの含有量が高くなるので、急冷合金の中に非晶質相が発見した。非晶質相の存在によって、Br、Hcjが低くなる。
Nbを添加した場合と同じ、本出願人は試験によって、Zrの含有量も0.2at%以下に制御すべきであることが分かった。
同様に、実施例1〜5について、FE-EPMA(フィールドエミッション電子プローブマイクロアナライザ))(日本電子株式会社(JEOL)、8530F)で測定した結果、Wは比較的高い分散度で粒界の遷移を均一にピン止め(pinning effect)し、AGGの形成を防止したことが観察できた。
前記実施例は本発明の具体的な実施例の更なる説明に使い、本発明は実施例に限らず、本発明の技術実質によって以上の実施例に対する簡単な修正、近等変化や修飾はすべて、本発明の技術案の保護範囲内に落ちる。