特許第6528061号(P6528061)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6528061
(24)【登録日】2019年5月24日
(45)【発行日】2019年6月12日
(54)【発明の名称】磁石を用いた遠隔操作式排水栓装置
(51)【国際特許分類】
   E03C 1/22 20060101AFI20190531BHJP
   E03C 1/23 20060101ALI20190531BHJP
   A47K 1/14 20060101ALI20190531BHJP
【FI】
   E03C1/22 C
   E03C1/23 Z
   A47K1/14 B
【請求項の数】5
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-78120(P2014-78120)
(22)【出願日】2014年4月4日
(65)【公開番号】特開2015-200079(P2015-200079A)
(43)【公開日】2015年11月12日
【審査請求日】2017年3月30日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000157212
【氏名又は名称】丸一株式会社
(72)【発明者】
【氏名】木村 裕史
(72)【発明者】
【氏名】櫻 健一
【審査官】 金高 敏康
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−063840(JP,A)
【文献】 特開平07−317118(JP,A)
【文献】 特開2005−290710(JP,A)
【文献】 特開2014−214518(JP,A)
【文献】 特開2014−152500(JP,A)
【文献】 実公昭50−003394(JP,Y1)
【文献】 欧州特許出願公開第02037050(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03C 1/22
A47K 1/14
E03C 1/23
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上方が開口した箱体である槽体1と、
槽体1底面に構成した排水を下流へと通過させる排水口2と、
排水口2に備えるとともに、永久磁石である磁石S1を備えて磁力の反発によって排水口2から上昇する弁体4と、
前記弁体4の磁石に対応する作動用の永久磁石である磁石S2と、
から構成される磁石を用いた遠隔操作式排水栓装置において、
前記弁体4の上昇時、磁力の反発により弁体4が排水口2から飛び出さないために安全装置5を構成し
前記弁体4と排水口2は、意図的な作業により、槽体1底面に構成された施工状態の排水口2から、弁体4を取り外し可能に接続され、
前記安全装置5を、弁体4から垂下して構成される軸部41と、軸部41に構成した弁体4の開閉幅分の上下の大きさを備えた開口部53と、排水口2に対して上下方向に位置決めされて構成される、管体内径に渡って架設した架設部54と、から構成し、前記架設部54に軸部41の開口部53が係合して備えられたことを特徴とする磁石を用いた遠隔操作式排水栓装置。
【請求項2】
上方が開口した箱体である槽体1と、
槽体1底面に構成した排水を下流へと通過させる排水口2と、
排水口2に備えるとともに、永久磁石である磁石S1を備えて磁力の反発によって排水口2から上昇する弁体4と、
前記弁体4の磁石に対応する作動用の永久磁石である磁石S2と、
から構成される磁石を用いた遠隔操作式排水栓装置において、
前記弁体4の上昇時、磁力の反発により弁体4が排水口2から飛び出さないために安全装置5を構成し
前記弁体4と排水口2は、意図的な作業により、槽体1底面に構成された施工状態の排水口2から、弁体4を取り外し可能に接続され、
前記安全装置5を、排水口2又は排水口2より下流に固定したケーシング55と、弁体4から垂下して構成すると共に、その下端に係合部52を構成してその下端をケーシング55内に収納されて、ケーシング55と係合する軸部41と、から構成したことを特徴とする遠隔操作式排水栓装置。
【請求項3】
上方が開口した箱体である槽体1と、
槽体1底面に構成した排水を下流へと通過させる排水口2と、
排水口2に備えるとともに、磁石S1を備えて磁力の反発によって排水口2から上昇する弁体4と、
前記弁体4の磁石に対応する作動用の磁石S2と、
から構成される磁石を用いた遠隔操作式排水栓装置において、
前記弁体4の上昇時、磁力の反発により弁体4が排水口2から飛び出さないために安全装置5を構成し
前記安全装置5を、弁体4から垂下して構成する軸部41と、軸部41下端に設けた排水口2又は排水口2より下流のいずれかの箇所に係合される係合部52と、から構成し、
前記弁体4と排水口2は、意図的な作業により取り外し可能に接続されていることを特徴とする磁石を用いた遠隔操作式排水栓装置。
【請求項4】
上方が開口した箱体である槽体1と、
槽体1底面に構成した排水を下流へと通過させる排水口2と、
排水口2に備えるとともに、磁石S1を備えて磁力の反発によって排水口2から上昇する弁体4と、
前記弁体4の磁石に対応する作動用の磁石S2と、
から構成される磁石を用いた遠隔操作式排水栓装置において、
前記弁体4の上昇時、磁力の反発により弁体4が排水口2から飛び出さないために安全装置5を構成し、
該安全装置5を、弁体4裏面に垂下して構成した筒状のケーシング55と、排水口2より下流に構成した、弁体4側の端部に係合部52を構成した軸部41より構成し、軸部41の弁体4側の端部が前記ケーシング55内に収納されて、ケーシング55と係合することを特徴とする磁石を用いた遠隔操作式排水栓装置。
【請求項5】
前記弁体4と排水口2は、意図的な作業により取り外し可能に接続されていることを特徴とする前記請求項に記載の磁石を用いた遠隔操作式排水栓装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴槽や流し台、洗面台や各種槽体の排水口に用いた弁体を、離間した箇所に備えた操作部で操作することによって、遠隔的に開閉させる遠隔操作式排水栓装置において、特に磁石の反発力を用いて弁体の開閉操作を行うものである。
【背景技術】
【0002】
従来よく知られた磁石を用いた遠隔操作式排水栓装置は、洗面所のボウルに用いられる。
本従来例の磁石を用いた遠隔操作式排水栓装置は、槽体と、排水栓と、作動用磁石と、弁体と、弁体側磁石と、排水管と、操作部と、レリースワイヤと、保持機構部と、から構成されている。
槽体は、箱体であって、底部に槽体内の排水を槽体外へと排水するための開口を開口している。本従来例では洗面台の洗面ボウルが槽体である。
排水栓は、槽体の開口に取り付けられる上端に外側方向に飛び出すフランジを備えた円筒部材であって、その下端には後述する排水管が接続される。また、排水栓の排水が通過する箇所を排水口とし、当該排水口に弁体が着座したり上昇することによって、排水が排水口を通過して下流へと排水することができる。
作動用磁石は、通水空間外に配置される。また、作動用磁石は、排水栓の下方に軸着されており、後述するレリースワイヤの進退に合わせてレリースワイヤの先端が作動用磁石に当接すると磁石が軸を中心に回転して押し上げられ、より弁体の直下に配置されることとなり、最終的には弁体の弁軸に備えられた弁体側磁石に対抗する箇所にまで移動配置される。また、レリースワイヤが後退すると、作動用磁石もその自重により下方に回転し、元の位置に戻る。このように、作動用磁石はレリースワイヤの進退によって弁体直下に近づいたり、離間したりするように構成される。
弁体は、自身が上昇/下降することによって排水口の開閉を行う栓である。また、弁体裏面から垂下して軸部が構成され、軸部には排水中のゴミを捕集するヘアキャッチャーを備え、軸部下端には後述する弁体側磁石を構成している。
弁体側磁石は、弁体の軸部下端に構成した磁石であって、作動用弁体と同磁極となるよう向き合うように配置され、作動用磁石が近づくと弁体側磁石は同磁極のため反発する。当該磁力による反発により弁体が上昇/下降を繰り返し、排水口の開口/閉口を行うことができる。
操作部は、槽体の上縁部に構成した操作ボタンであって、使用者が当該操作部を押し操作することで、槽体の排水口に設置された弁体の上昇/下降を遠隔的に操作する為のものである。
レリースワイヤは、可撓性を有する管体から成るアウターチューブと、アウターチューブ内を進退自在に動作する金属線から成るインナーワイヤと、から構成される。当該レリースワイヤは操作部から弁体直下の作動用磁石に接続されている。よって、操作部を操作するとレリースワイヤのインナーワイヤの進退に合わせて弁体の直下位置まで作動用磁石が進退することができ、結果的に作動用磁石と同磁極の弁体側磁石が作動用磁石に反発したりしなくなったりすることで排水口の弁体の上下動ができる。(特許文献1)
【0003】
上記の従来例である磁石を用いた遠隔操作式排水栓装置は以下のように作動する。
槽体の排水口に弁体が着座している状態時に、操作部を押し操作すると、操作部に接続されたレリースワイヤのインナーワイヤが前進し、インナーワイヤの先端が弁体直下に位置している作動用磁石に当接し、作動用磁石が軸中心に回転し、弁体側直下により近づく。そうすると、弁体の弁軸下端に備えた弁体側磁石と作動用磁石は同磁極な為、互いに反発しあう。そうすると、当該磁力の反発力により弁体が押し上げられ、排水口から弁体が上昇することとなり、排水口が開口される。また、この状態時では槽体内の排水が排水口より下流へと排水され、排水栓を介して排水管へ排水される。結果的に排水トラップ等を介して下水へと排水される。
また、この状態時である当該槽体の排水口から弁体が上昇している時に操作部を引き操作すると、インナーワイヤが後退して元の位置に戻る。そうするとインナーワイヤによって押し上げられていた作動用磁石が、その自重により軸中心に回転して下降することによって、作動用磁石の反発力が弁体側磁石に作用しなくなり、反発力を失った弁体はその自重により下降する。そうすると弁体は排水口に着座し、槽体内に水を貯水することができる。
このように、操作部を操作することにより、磁石の反発力によって遠隔操作式排水栓装置の排水口の弁体を遠隔的に開閉することができるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013−117154号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来例での磁石を用いた遠隔操作式排水栓装置では以下の問題があった。
通常、槽体の水深が深ければ深いほど槽体底面に加わる水圧は高くなる。そうすると、槽体底面の排水口に備えられる弁体に負荷される水圧も高くなることとなる。しかしながら、弁体は上述のように排水口に対して上下動する為、相当高い水圧でも問題なく上下動できる能力が求められる。
そこで、上記の磁石を用いた遠隔操作式排水栓装置は、水深の深い槽体に用いる場合、水圧が高くても弁体が問題なく上下動できるように磁石の反発力、磁力を相当程度強力にしないとならない。
しかしながら、水圧が加わっても弁体が問題なく上昇できる程強力な磁石の反発力を備えると、槽体内に水が貯水されていない場合に弁体を上昇させた時、水圧が負荷されていない為、弁体がその磁力の反発力により排水口から飛び出すことが多発していた。
このように、排水口から弁体が飛び出してしまうと、都度手動で弁体を排水口に戻す手間がかかり、遠隔操作式排水栓装置の意味をなさないことになっていた。また、飛び出しに使用者が気づかなかった場合には、弁体が排水口の適切な位置に配置されていないのに操作部を操作してしまうことがあり、そうすると使用者にとっては排水口を閉口したつもりであるのに実際は排水口には弁体が配置されていないために槽体内に水が貯水されることがない。よって、空焚きの危険性が高まったり、使用者が気づくまで排水が流れっぱなしとなり、水の無駄使用となる可能性が合った。
【0006】
以上のことから、本願発明は以下の課題を解決する。
1.磁石を用いた遠隔操作式排水栓装置でも、確実に弁体が上昇することができる。
2.磁石の磁力を相当程度強力にしても、排水口から弁体が飛び出すことを防止することができる。
3.結果的に、磁石を用いた遠隔操作式排水栓装置の誤作動を防止することができる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の磁石を用いた遠隔操作式排水栓装置は、上方が開口した箱体である槽体1と、槽体1底面に構成した排水を下流へと通過させる排水口2と、排水口2に備えるとともに、永久磁石である磁石S1を備えて磁力の反発によって排水口2から上昇する弁体4と、前記弁体4の磁石に対応する作動用の永久磁石である磁石S2と、から構成される磁石を用いた遠隔操作式排水栓装置において、前記弁体4の上昇時、磁力の反発により弁体4が排水口2から飛び出さないために安全装置5を構成し、前記弁体4と排水口2は、意図的な作業により、槽体1底面に構成された施工状態の排水口2から、弁体4を取り外し可能に接続され、前記安全装置5を、弁体4から垂下して構成される軸部41と、軸部41に構成した弁体4の開閉幅分の上下の大きさを備えた開口部53と、排水口2に対して上下方向に位置決めされて構成される、管体内径に渡って架設した架設部54と、から構成し、前記架設部54に軸部41の開口部53が係合して備えられたことを特徴とする磁石を用いた遠隔操作式排水栓装置である。
【0008】
請求項2に記載の磁石を用いた遠隔操作式排水栓装置は、上方が開口した箱体である槽体1と、槽体1底面に構成した排水を下流へと通過させる排水口2と、排水口2に備えるとともに、永久磁石である磁石S1を備えて磁力の反発によって排水口2から上昇する弁体4と、前記弁体4の磁石に対応する作動用の永久磁石である磁石S2と、から構成される磁石を用いた遠隔操作式排水栓装置において、前記弁体4の上昇時、磁力の反発により弁体4が排水口2から飛び出さないために安全装置5を構成し、前記弁体4と排水口2は、意図的な作業により、槽体1底面に構成された施工状態の排水口2から、弁体4を取り外し可能に接続され、前記安全装置5を、排水口2又は排水口2より下流に固定したケーシング55と、弁体4から垂下して構成すると共に、その下端に係合部52を構成してその下端をケーシング55内に収納されて、ケーシング55と係合する軸部41と、から構成したことを特徴とする遠隔操作式排水栓装置である。
【0009】
請求項3に記載の磁石を用いた遠隔操作式排水栓装置は、上方が開口した箱体である槽体1と、槽体1底面に構成した排水を下流へと通過させる排水口2と、排水口2に備えるとともに、磁石S1を備えて磁力の反発によって排水口2から上昇する弁体4と、前記弁体4の磁石に対応する作動用の磁石S2と、から構成される磁石を用いた遠隔操作式排水栓装置において、前記弁体4の上昇時、磁力の反発により弁体4が排水口2から飛び出さないために安全装置5を構成し、前記安全装置5を、弁体4から垂下して構成する軸部41と、軸部41下端に設けた排水口2又は排水口2より下流のいずれかの箇所に係合される係合部52と、から構成し、前記弁体4と排水口2は、意図的な作業により取り外し可能に接続されていることを特徴とする磁石を用いた遠隔操作式排水栓装置である。
【0010】
請求項4に記載の磁石を用いた遠隔操作式排水栓装置は、上方が開口した箱体である槽体1と、槽体1底面に構成した排水を下流へと通過させる排水口2と、排水口2に備えるとともに、磁石S1を備えて磁力の反発によって排水口2から上昇する弁体4と、前記弁体4の磁石に対応する作動用の磁石S2と、から構成される磁石を用いた遠隔操作式排水栓装置において、前記弁体4の上昇時、磁力の反発により弁体4が排水口2から飛び出さないために安全装置5を構成し、該安全装置5を、弁体4裏面に垂下して構成した筒状のケーシング55と、排水口2より下流に構成した、弁体4側の端部に係合部52を構成した軸部41より構成し、軸部41の弁体4側の端部が前記ケーシング55内に収納されて、ケーシング55と係合することを特徴とする磁石を用いた遠隔操作式排水栓装置である。
【0011】
請求項5に記載の磁石を用いた遠隔操作式排水栓装置は、前記弁体4と排水口2は、意図的な作業により取り外し可能に接続されていることを特徴とする前記段落0010に記載の磁石を用いた遠隔操作式排水栓装置である。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載の本発明は、弁体4が磁力の反発により排水栓3から飛び出さないために安全装置5を構成したことから、排水口2から弁体4が飛び出るようなことが無くなるため、磁石を用いた遠隔操作式排水栓装置の誤作動が無くなる。、前記全装置5を、弁体4から垂下して構成される軸部41と、軸部41に構成した弁体4の開閉幅分の上下の大きさを備えた開口部53と、排水口2に対して上下方向に位置決めされて構成される、管体内径に渡って架設した架設部54と、から構成し、前記架設部54に軸部41の開口部53が係合して構成したことから、排水口2から弁体4が飛び出るようなことが無くなるため、磁石を用いた遠隔操作式排水栓装置の誤作動が無くなる。
請求項2に記載の本発明は、前記安全装置5を、排水口2又は排水口2より下流に固定したケーシング55と、弁体4から垂下して構成すると共に、その下端に係合部52を構成してその下端をケーシング55内に収納されて、ケーシング55と係合する軸部41と、から構成したことから、排水口2から弁体4が飛び出るようなことが無くなるため、磁石を用いた遠隔操作式排水栓装置の誤作動が無くなる。
請求項3に記載の本発明は、前記安全装置5を、弁体4から垂下して構成する軸部41と、軸部41下端に設けた排水口2又は排水口2より下流のいずれかの箇所に係合される係合部52と、から構成したことから、排水口2から弁体4が飛び出るようなことが無くなるため、磁石を用いた遠隔操作式排水栓装置の誤作動が無くなる。
請求項に記載の本発明は、前記安全装置5を、弁体4裏面に垂下して構成した筒状のケーシング55と、排水口2より下流に構成した、弁体4側の端部に係合部52を構成した軸部41より構成し、軸部41の弁体4側の端部が前記ケーシング55内に収納されて、ケーシング55と係合することから、排水口2から弁体4が飛び出るようなことが無くなるため、磁石を用いた遠隔操作式排水栓装置の誤作動が無くなる。
請求項1、請求項2、請求項3、請求項5に記載の本発明は、前記弁体4と排水口2は、意図的な作業により取り外し可能に接続されていることから、排水栓3に軸部41が固着されていて容易に取り外せないような状態であったとしても、弁体4と軸部41自体が容易に取り外すことができるので、排水口2内の清掃等を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施例1の施工状態を示す断面図である。
図2】実施例1における弁体が開口した状態を示す断面図である。
図3】実施例2の施工状態を示す断面図である。
図4】実施例2における弁体が開口した状態を示す断面図である。
図5】実施例3の施工状態を示す断面図である。
図6】実施例3における弁体が開口した状態を示す断面図である。
図7】その他の実施例の施工状態を示す断面図である。
図8】その他の実施例における弁体が開口した状態を示す断面図である。
図9】その他の実施例の施工状態を示す断面図である。
図10】その他の実施例における弁体が開口した状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0014】
本実施例は、図1乃至図2に示される、浴室の浴槽に用いられる磁石を用いた遠隔操作式排水栓装置である。
本実施例の磁石を用いた遠隔操作式排水栓装置は、槽体1と、排水栓3と、作動用磁石S2と、弁体4と、弁体側磁石S1と、排水管8と、操作部7と、レリースワイヤ6と、保持機構部と、安全装置5と、から構成されている。
槽体1は、箱体であって、底部に槽体1内の排水を槽体1外へと排水するための開口を開口している。本実施例では浴室の浴槽が槽体1である。尚、浴槽は洗面ボウル等と比較しても水深が深く弁体4に負荷される水圧は高い。
排水栓3は、槽体1の開口に取り付けられる上端に外側方向に飛び出すフランジを備えた円筒部材であって、その下端には後述する排水管8が接続される。この排水栓3の内周には排水口2が構成され、当該排水口2を排水が通過することで槽体1内の排水を下流へと排水することができる。また、当該排水口2を弁体4が着座して閉口している際には排水は排水口2を通過せず、排水口2から弁体4が上昇した際には排水口2が開口される為排水が排水口2を通過して排水口2より下流へと排水されることとなる。
また、本実施例では、後述する安全装置5として、排水栓3内周面に内側方向に向かってフランジ状に突出する係合部52を構成している。尚、当該係合部52は同じく安全装置5である弁体4の係合脚51に係合する。
作動用磁石S2は、磁力を有した磁石であり、本実施例では排水口2の下方に配置され、弁体4が上昇時には弁体4直下、弁体4が下降時には弁体4直下より水平方向に移動した箇所に配置される。また、作動用磁石S2は通水空間である排水管8外に配置される。後述するレリースワイヤ6のインナーワイヤ62先端に作動用磁石S2が接続されており、レリースワイヤ6の進退に併せて作動用磁石S2は水平方向に移動することができる。また、具体的にはレリースワイヤ6のインナーワイヤ62が前進した際には作動用磁石S2は弁体4の直下に配置する箇所にまで移動配置され、レリースワイヤ6のインナーワイヤ62が後退すると、作動用磁石S2もインナーワイヤ62に連動して後退し、元の位置(排水口2の弁体4直下近傍より水平方向に離間した箇所)に戻る。このように、作動用磁石S2はレリースワイヤ6の進退によって弁体4直下に近づいたり、離間したりするように構成される。
弁体4は、排水口2の開閉を行う栓であって、弁体4裏面には脱着自在に構成した後述の弁体側磁石S1を備える。また、弁体4裏面の中心より外周方向に垂下するように構成した安全装置5としての係合脚51を構成している。当該係合脚51は、弁体4裏側から垂下して構成されると共に、その下端には前記安全装置5としての係合部52に係合するツメを備える。また、係合脚51は、自身に弾性を備えており、弁体4を排水口2に取り付け時、取り外し時には、使用者の手や治具等を使用して、係合脚51を自身の弾性により内方に撓ませることにより行う。
弁体側磁石S1は、弁体4の裏面に着脱自在備えた磁石である。弁体側磁石S1は、作動用磁石S2と同磁極であり、作動用磁石S2が近づくと弁体側磁石S1は同磁極のため反発する。当該磁力による反発により弁体4が排水口2から上昇することで排水口2が開口され、また磁石を水平方向に移動させて作動用磁石S2の磁力を弁体側磁石S1に及ばないようにした際には排水口2に弁体4が着座することで排水口2が閉口する。当該動作の繰り返しにより排水口2の開口/閉口を行うことができる。
操作部7は、槽体1の上縁部に構成した操作ボタンであって、使用者が当該操作部7を押し操作することで、槽体1の排水口2に設置された弁体4の上昇/下降を遠隔的に操作する為のものである。
レリースワイヤ6は、可撓性を有する管体から成るアウターチューブ61、アウターチューブ61内を進退自在に動作する金属線から成るインナーワイヤ62、から構成される。当該レリースワイヤ6は操作部7から弁体4直下の作動用磁石S2に接続されている。よって、操作部7を操作するとレリースワイヤ6のインナーワイヤ62が進退し、当該進退に合わせてインナーワイヤ62に接続された作動用磁石S2が、弁体4の直下位置から水平方向にずれた位置までの間を進退することができ、結果的に水平方向に進退する作動用磁石S2と弁体側磁石S1が、同磁極の磁力により反発したりしなくなったりすることで排水口2の弁体4が上下動する。
保持機構部は、本実施例では図示しないが操作部7に構成されており、レリースワイヤ6のインナーワイヤ62の進退を保持/保持解除する機構である。また、この実施例では、保持機構部にはボールペンの芯の進退を保持するスラストロック機構を採用している。
安全装置5は、前述した排水栓3の上端部に、内周方向に向けてフランジ状に突出して構成した係合部52と、弁体4の裏面に垂下して構成した係合脚51、係合脚51の下端に構成したツメにより構成されている。この係合脚51は、弁体4が強力な磁力により上昇した際に、弁体4の係合脚51のツメが排水栓3の係合部52に係合することで抜け止めとなり、排水口2から弁体4が飛び出すことがない。なお、ここでの排水口2から弁体4が飛び出すという意味は、弁体4が排水口2の適切な位置に戻らず、遠隔操作式排水栓装置の遠隔操作が適切に弁体4に作用しないようになる状態を示すものであって、単純に「排水口2内に弁体4が無い」という意味ではない。また、その他の実施例においてもこの意味を適用する。
以上のことから、最大の水圧と、水圧が全く負荷していない状態の差が大きくても、弁体4が排水口2から飛び出すようなことがない。
【0015】
上記の実施例である磁石を用いた遠隔操作式排水栓装置は以下のように作動する。
槽体1の排水口2に弁体4が着座している状態時に、使用者が操作部7を押し操作すると、操作部7に接続されたレリースワイヤ6のインナーワイヤ62がアウターチューブ61内で前進し、インナーワイヤ62の先端に接続されている作動用磁石S2が連動して水平方向に進行し、作動用磁石S2が弁体4側直下により近づく。そうすると、弁体4の裏面に備えた弁体側磁石S1と作動用磁石S2は同磁極に向き合っている為、互いに反発しあう。そうすると、当該磁力の反発力により弁体4が押し上げられ、排水口2から弁体4が上昇することとなり、排水口2が開口される。また、インナーワイヤ62の前進は、保持機構部によって保持されているので、作動用磁石S2の位置も保持され、作動用磁石S2が後退して弁体4が下降するようなことはない。また、この状態時では槽体1内の排水が排水口2より下流へと排水され、排水栓3を介して排水管8へ排水される。結果的に槽体1内の排水は排水トラップ等を介して下水へと排水される。
このとき、作動用磁石S2の磁力が強力であっても、弁体4と排水口2は安全装置5により取り付けられているので、排水口2から弁体4が飛び出すようなことはない。具体的には、弁体4の係合脚51が排水栓3の係合部52に弾性係合している為に当接し、弁体4が排水口2から飛び出さない。
また、当該槽体1の排水口2から弁体4が上昇時に操作部7を押し操作すると、保持機構部のインナーワイヤ62の保持が解除され、保持機構部内の戻りスプリングによりインナーワイヤ62が後退して元の位置に戻る。そうするとインナーワイヤ62によって前進していた作動用磁石S2が、戻りスプリングの引き込み力により水平方向に後退する。そうすると、作動用磁石S2が弁体4の直下から水平方向に移動し、排水口2の直下位置からずれた箇所である元の位置に戻る。そうすると作動用磁石S2の反発力が弁体側磁石S1に作用しなくなり、反発力を失った弁体4はその自重により下降する。そうすると弁体4は排水口2に着座し、排水口2が閉口され槽体1内に水を貯水することができる。
このように、操作部を操作することにより、磁石の反発力によって遠隔操作式排水栓装置の排水口2の弁体4を遠隔的に開閉することができるものである。
また、清掃等のため弁体4を排水口2から取り外す場合は、弁体4の係合脚51を使用者の手や治具等で内方に撓ませることで、排水栓3の係合部52の係合を解除させることで簡単に取り外すことができる。
【実施例2】
【0016】
本実施例は、図3乃至図4に示される、浴室の浴槽に用いられる磁石を用いた遠隔操作式排水栓装置である。
本実施例の磁石を用いた遠隔操作式排水栓装置は、槽体1と、排水栓3と、作動用磁石S2と、弁体4と、弁体側磁石S1と、排水管8と、操作部7と、レリースワイヤ6と、保持機構部と、安全装置5と、から構成されている。
槽体1は、箱体であって、底部に槽体1内の排水を槽体1外へと排水するための開口を開口している。本実施例では浴室の浴槽が槽体1である。尚、浴槽は洗面ボウル等と比較しても水深が深く弁体4に負荷される水圧は高い。
排水栓3は、槽体1の開口に取り付けられる上端に外側方向に飛び出すフランジを備えた円筒部材であって、その下端には後述する排水管8が接続される。この排水栓3の内周には排水口2が構成され、当該排水口2を排水が通過することで槽体1内の排水を下流へと排水することができる。また、当該排水口2を弁体4が着座して閉口している際には排水は排水口2を通過せず、排水口2から弁体4が上昇した際には排水口2が開口される為排水が排水口2を通過して排水口2より下流へと排水されることとなる。
また、排水栓3下方の内周に渡って架設した安全装置5としての架設部54を構成している。当該架設部54は、排水栓3の上面視、内周面を横切るように備えられる。尚、当該架設部54は同じく安全装置5である弁体4の開口部53が係合する。
作動用磁石S2は、磁力を有した磁石であり、本実施例では排水口2の下方に配置され、弁体4が上昇時には弁体4直下、弁体4が下降時には弁体4直下より水平方向に移動した箇所に配置される。また、作動用磁石S2は通水空間である排水管8の外に配置される。後述するレリースワイヤ6のインナーワイヤ62先端に作動用磁石S2が接続されており、レリースワイヤ6の進退に併せて作動用磁石S2は水平方向に移動することができる。また、具体的にはレリースワイヤ6のインナーワイヤ62が前進した際には作動用磁石S2は弁体4の直下に配置する箇所にまで移動配置され、レリースワイヤ6のインナーワイヤ62が後退すると、作動用磁石S2もインナーワイヤ62に連動して後退し、元の位置(排水口2の弁体4直下より水平方向に離間した箇所)に戻る。このように、作動用磁石S2はレリースワイヤ6の進退によって弁体4直下に近づいたり、離間したりするように構成される。
弁体4は、排水口2の開閉を行う栓であって、弁体4から軸部41が垂下するように構成され、軸部41下端に安全装置5としての開口部53を構成している。また、軸部41は弁体と着脱自在に取り付けられ、当該取付は樹脂弾性による係合によって取り付けられている。また開口部53は、図4に示すように弁体4軸部41下端に構成されて、弁体4の上昇、下降幅分の高さ幅の開口を有している穴である。また、前述した排水栓3の架設部54に係合挿入させるための切り欠きを構成している。当該開口部53は排水栓3の架設部54に切り欠きから挿入され、常時架設部54に係合している状態である。また、弁体4が上昇/下降する高さ幅分の高さの開口を有している為、弁体4の上下動の邪魔になることはない。
弁体側磁石S1は、弁体4軸部41の下端、詳細には開口部53の下端に備えた磁石である。弁体側磁石S1は、作動用磁石S2と同磁極を向いているので、作動用磁石S2が近づくと弁体側磁石S1は同磁極のため反発する。当該磁力による反発向きとなるよう調整され、弁体4が排水口2から上昇することで排水口2が開口され、また磁石を水平方向に移動させて作動用磁石S2の磁力を弁体側磁石S1に及ばないようにした際には排水口2に弁体4が着座することで排水口が閉口する。当該動作の繰り返しにより排水口2の開口/閉口を行うことができる。
操作部7は、槽体1の上縁部に構成した操作ボタンであって、使用者が当該操作部7を押し操作することで、槽体1の排水口2に設置された弁体4の上昇/下降を遠隔的に操作する為のものである。
レリースワイヤ6は、可撓性を有する管体から成るアウターチューブ61、アウターチューブ61内を進退自在に動作する金属線から成るインナーワイヤ62、から構成される。当該レリースワイヤ6は操作部7から弁体4直下の作動用磁石S2に接続されている。よって、操作部7を操作するとレリースワイヤ6のインナーワイヤ62が進退し、当該進退に合わせてインナーワイヤ62に接続された作動用磁石S2が弁体4の直下位置から水平方向にずれた箇所までの間を進退することができ、結果的に水平方向に進退する作動用磁石S2と弁体側磁石S1が、同磁極の磁力により反発したりしなくなったりすることで排水口2の弁体4が上下動する。
保持機構部は、本実施例では図示しないが操作部7に構成されており、レリースワイヤ6のインナーワイヤ62の進退長さを保持/保持解除する機構である。また、この実施例では、保持機構部にはボールペンの芯の進退を保持するスラストロック機構を採用している。
安全装置5は、前述した排水栓3の下端に、内周に渡って構成した架設部54と、弁体4の軸部41下端に構成した開口部53により構成されている。この弁体4の開口部53は、弁体4が強力な磁力により上昇した際に、弁体4の開口部53が排水栓3の架設部54に係合することで抜け止めとなり、排水栓3から弁体4が飛び出すことがない。よって、最大の水圧と、水圧が全く負荷していない状態の差が大きくても、弁体4が排水口2から飛び出すようなことがない。
【0017】
上記の実施例である磁石を用いた遠隔操作式排水栓装置は以下のように作動する。
槽体1の排水口2に弁体4が着座している状態時に、使用者が操作部7を押し操作すると、操作部7に接続されたレリースワイヤ6のインナーワイヤ62がアウターチューブ61内で前進し、インナーワイヤ62の先端に接続されている作動用磁石S2が連動して水平方向に進行し、作動用磁石S2が弁体4側直下により近づく。そうすると、弁体4の裏面に備えた弁体側磁石S1と作動用磁石S2は同磁極を向いている為、互いに反発しあう。そうすると、当該磁力の反発力により弁体4が押し上げられ、排水口2から弁体4が上昇することとなり、排水口2が開口される。また、インナーワイヤ62の進行は、保持機構部によって保持されているので、作動用磁石S2の位置も保持され、作動用磁石S2が後退して弁体4が下降するようなことはない。また、この状態時では槽体1内の排水が排水口2より下流へと排水され、排水栓3を介して排水管8へ排水される。結果的に槽体1内の排水は排水トラップ等を介して下水へと排水される。
このとき、作動用磁石S2の磁力が強力であっても、弁体4と排水口2は安全装置5により取り付けられているので、排水口2から弁体4が飛び出すようなことはない。具体的には、弁体4の開口部53が排水栓3の架設部54に係合しているので架設部54に開口部53が係合し、弁体4が排水口2から飛び出さない。
また、当該槽体1の排水口2から弁体4が上昇時に操作部7を押し操作すると、保持機構部のインナーワイヤ62の保持が解除され、保持機構部内の戻りスプリングによりインナーワイヤ62が後退して元の位置に戻る。そうするとインナーワイヤ62によって前進していた作動用磁石S2が、戻りスプリングの引き込み力により水平方向に後退する。そうすると、作動用磁石S2が弁体4の直下から水平方向に弁体4直下から移動し、排水口2の直下位置からずれた箇所である元の位置に戻る。そうすると作動用磁石S2の磁力による反発力が弁体側磁石S1に作用しなくなり、反発力を失った弁体4はその自重により下降する。そうすると弁体4は排水口2に着座し、排水口2が閉口され槽体1内に水を貯水することができる。
このように、操作部7を操作することにより、磁石の反発力によって遠隔操作式排水栓装置の排水口2の弁体4を遠隔的に開閉することができるものである。
また、清掃等のため、弁体4を排水口2から取り外す際は、弁体4と軸部41の樹脂弾性の係合を取り外すだけで簡単に排水口2から弁体4が取り外せる。また、開口部53に構成した切り欠き部分から架設部54を通過させるだけで係合が解除されるので、この方法を採用して取り外しても良い。
【実施例3】
【0018】
本実施例は、図5乃至図6に示される、浴室の浴槽に用いられる磁石を用いた遠隔操作式排水栓装置である。
本実施例の磁石を用いた遠隔操作式排水栓装置は、槽体1と、排水栓3と、ケーシングと、作動用磁石S2と、弁体4と、弁体側磁石S1と、排水管8と、操作部7と、レリースワイヤ6と、保持機構部と、安全装置5と、から構成されている。
槽体1は、箱体であって、底部に槽体1内の排水を槽体1外へと排水するための開口を開口している。本実施例では浴室の浴槽が槽体1である。尚、浴槽は洗面ボウル等と比較しても水深が深く弁体4に負荷される水圧は高い。
排水栓3は、槽体1の開口に取り付けられる上端に外側方向に飛び出すフランジを備えた円筒部材であって、その下端には後述する排水管8が接続される。この排水栓3の内周には排水口2が構成され、当該排水口2を排水が通過することで槽体1内の排水を下流へと排水することができる。また、当該排水口2を弁体4が着座して閉口している際には排水は排水口2を通過せず、排水口2から弁体4が上昇した際には排水口2が開口される為排水が排水口2を通過して排水口2より下流へと排水されることとなる。
また、本実施例では、後述する安全装置5としてのケーシングを脱着自在に取り付ける為の取付部31を備える。
安全装置5としてのケーシングは、前記排水栓3の取付部31に脱着自在に取付固定される部材であって、排水栓3の中心部に支持されている筒体であって、内部に同じく安全装置5としての軸部41下端が収納されている。また、軸部41下端の係合部52がケーシングの上端に当接することにより、弁体4及び弁軸が排水口2から飛び出すことはない。
作動用磁石S2は、磁力を有した磁石であり、本実施例では排水口2の下方に配置され、弁体4が上昇時には弁体4直下、弁体4が下降時には弁体4直下より水平方向に移動した箇所に配置される。また、作動用磁石S2は通水空間である排水管8の外に配置される。後述するレリースワイヤ6のインナーワイヤ62先端に作動用磁石S2が接続されており、レリースワイヤ6の進退に併せて作動用磁石S2は水平方向に移動することができる。また、具体的にはレリースワイヤ6のインナーワイヤ62が前進した際には作動用磁石S2は弁体4の直下に配置する箇所にまで移動配置され、レリースワイヤ6のインナーワイヤ62が後退すると、作動用磁石S2もインナーワイヤ62に連動して後退し、元の位置(排水口2の弁体4直下より水平方向に離間した箇所)に戻る。このように、作動用磁石S2はレリースワイヤ6の進退によって弁体4直下に近づいたり、離間したりするように構成される。
弁体4は、排水口2の開閉を行う栓であって、弁体4から軸部41が垂下するように構成され、下端に安全装置5としての係合部52を構成している。また、軸部41は弁体と着脱自在に取り付けられ、当該取付は樹脂弾性による係合によって取り付けられている。また係合部52は、図6に示すように弁体4軸部41下端にフランジ状に外側方向に突出して構成されて、当該軸部41下端及び係合部52を前記安全装置5であるケーシング内に収納されて支持されている。弁体4が排水口2に着座時には、弁体4の軸部41の全体がケーシング内に収納されており、弁体4が排水口2から上昇する際には軸部41もケーシング内で上方に移動し、それに合わせて弁体4が上昇する。そして、軸部41下端の係合部52がケーシング上端に当接する事で、排水口2から弁体4が飛び出すようなことがない。
また、弁体4と軸部41は、脱着自在に取り付けられている為、ケーシングをわざわざ排水栓3から取り外さなくても弁体4と軸部41は簡単に脱着できるため、排水栓3内の清掃や、メンテナンスが簡単にできる。また、弁体4と軸部41の取付方法は、本実施例では軸部41に備えたOリングにより弾性係合しているが、例えば係合爪等構成した樹脂弾性による係合でも良い。また、軸部41上端に雄ねじを構成し、弁体4側に雌ねじを構成してネジ螺合による取付でもかまわない。
弁体側磁石S1は、弁体4軸部41の下端、詳細には係合部52の下端に備えた磁石である。弁体側磁石S1は、作動用磁石S2と同磁極となるよう向き合っており、作動用磁石S2が近づくと弁体側磁石S1は同磁極のため反発する。当該磁力による反発により弁体4が排水口2から上昇することで排水口2が開口され、また磁石を水平方向に移動させて作動用磁石S2の磁力を弁体側磁石S1に及ばないようにした際には排水口2に弁体4が着座することで排水口2が閉口する。当該動作の繰り返しにより排水口2の開口/閉口を行うことができる。
操作部7は、槽体1の上縁部に構成した操作ボタンであって、使用者が当該操作部7を押し操作することで、槽体1の排水口2に設置された弁体4の上昇/下降を遠隔的に操作する為のものである。
レリースワイヤ6は、可撓性を有する管体から成るアウターチューブ61、アウターチューブ61内を進退自在に動作する金属線から成るインナーワイヤ62、から構成される。当該レリースワイヤ6は操作部7から弁体4直下の作動用磁石S2に接続されている。よって、操作部7を操作するとレリースワイヤ6のインナーワイヤ62が進退し、当該進退に合わせてインナーワイヤ62に接続された作動用磁石S2が弁体4の直下位置から水平方向にずれた箇所から弁体4の直下位置までの間を進退することができ、結果的に水平方向に作動する作動用磁石S2と弁体側磁石S1が、同磁極の磁力により反発したりしなくなったりすることで排水口2の弁体4が上下動する。
保持機構部は、本実施例では図示しないが操作部7に構成されており、レリースワイヤ6のインナーワイヤ62の進退を保持/保持解除する機構である。また、この実施例では、保持機構部にはボールペンの芯の進退を保持するスラストロック機構を採用している。
安全装置5は、前述した排水栓3に着脱自在に取付固定されたケーシングと、弁体4の軸部41下端に構成した係合部52により構成されている。この安全装置5が、弁体4が強力な磁力により上昇した際に、弁体4の係合部52が排水栓3のケーシングに係合することで抜け止めとなり、排水栓3から弁体4が飛び出すことがない。よって、最大の水圧と、水圧が全く負荷していない状態の差が大きくても、弁体4が排水口2から飛び出すようなことがない。
【0019】
上記の実施例である磁石を用いた遠隔操作式排水栓装置は以下のように作動する。
槽体1の排水口2に弁体4が着座している状態時に、使用者が操作部7を押し操作すると、操作部7に接続されたレリースワイヤ6のインナーワイヤ62がアウターチューブ61内で前進し、インナーワイヤ62の先端に接続されている作動用磁石S2が連動して水平方向に進行し、作動用磁石S2が弁体4側直下により近づく。そうすると、弁体4の裏面に備えた弁体側磁石S1と作動用磁石S2は同磁極な為、互いに反発しあう。そうすると、当該磁力の反発力により弁体4が押し上げられ、排水口2から弁体4が上昇することとなり、排水口2が開口される。また、インナーワイヤ62の進行は、保持機構部によって保持されているので、作動用磁石S2の位置も保持され、弁体4が下降するようなことはない。また、この状態時では槽体1内の排水が排水口2より下流へと排水され、排水栓3を介して排水管8へ排水される。結果的に槽体1内の排水は排水トラップ等を介して下水へと排水される。
このとき、作動用磁石S2の磁力が強力であっても、弁体4と排水口2は安全装置5により取り付けられているので、排水口2から弁体4が飛び出すようなことはない。具体的には、弁体4の軸部41の係合部52が排水栓3のケーシング上端に係合するので、弁体4が排水口2から飛び出さない。
また、当該槽体1の排水口2から弁体4が上昇時に操作部7を押し操作すると、保持機構部のインナーワイヤ62の保持が解除され、保持機構部内の戻りスプリングによりインナーワイヤ62が後退行して元の位置に戻る。そうするとインナーワイヤ62によって前進していた作動用磁石S2が、戻りスプリングの引き込み力により水平方向に退行する。そうすると、作動用磁石S2が弁体4の直下から水平方向に弁体4直下から移動し、排水口2の直下位置からずれた箇所である元の位置に戻る。そうすると作動用磁石S2の反発力が弁体側磁石S1に作用しなくなり、反発力を失った弁体4はその自重により下降する。そうすると弁体4は排水口2に着座し、槽体1内に水を貯水することができる。
このように、操作部7を操作することにより、磁石の反発力によって遠隔操作式排水栓装置の排水口2の弁体4を遠隔的に開閉することができるものである。
また、清掃等のため、弁体4を排水口2から取り外す際は、弁体4と軸部41の樹脂弾性の係合を取り外すだけで簡単に排水口2から弁体4が取り外せる。
【0020】
本発明は前記した実施例のほか、特許請求の範囲を越えない範囲で適宜変更は可能である。
上記実施例では、安全装置5を弁体4の係合脚51及び排水栓3の係合部52に係合する構成を採用しているが、例えば図7及び図8に示すように、弁体4に軸部41を構成し、当該軸部41下端に外側方向に向かって少なくとも一部が突出して係合部52を構成し、少なくとも当該係合部52を排水栓3の下端内周より大きく構成することで、弁体4に強い磁力が作用した際は、弁体4の係合部52が排水栓3のケーシングに係合しているので架設部54に開口部53が係合し、弁体4が排水口2から飛び出さない。
また、上記実施例では、安全装置5を弁体4の軸部41に構成した係合部52が排水栓3のケーシングに係合する構成を採用しているが、例えば図9及び図10に示すように、弁体4にケーシングを一体的に構成し、また、排水栓3の中心部に軸部41を構成するとともに当該軸部41の上端に外側方向に突出して構成する係合部52を構成して、弁体4に強い磁力が作用した際は、排水栓3の軸部41上端の係合部52が弁体4のケーシング下端に係合するので架設部54に開口部53が係合し、弁体4が排水口2から飛び出さない。
【符号の説明】
【0021】
1 槽体
2 排水口
3 排水栓
31 取付部
4 弁体
41 軸部
S1 弁体側磁石
S2 作動用磁石
5 安全装置
51 係合脚
52 係合部
53 開口部
54 架設部
55 ケーシング
6 レリースワイヤ
61 アウターチューブ
62 インナーワイヤ
7 操作部
8 排水管
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10