(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
コロイドゾル状のシリカ粒子(化合物A1)の存在下で、ゾルゲル法により、末端SiOH型アルコキシシラン(化合物A2)の加水分解縮合物(化合物A3)を合成してなる、前記化合物A1及び前記化合物A3を含有する組成物(成分A)、
(メタ)アクリレート化合物(成分B)、及び、
光重合開始剤(成分C)を混合してなる半導体用光硬化性封止材であって、
前記化合物A2が、下記式(1):
L1aL2bSi(L3)4−a−b (1)
(式(1)中、
L1は炭素数1〜10のアルキル基であり、
L2は (メタ)アクリロイル基、ビニル基、スチリル基、アリル基、エポキシ基及びメルカプト基からなる群より選ばれる少なくとも1種の基を含む有機官能基であり、
L3は炭素数1〜10のアルコキシ基、アルケニロキシ基、アシロキシ基、イソシアナト基またはアルコキシアルコキシ基であり、
aは0、1、2のいずれかの整数であり、bは1または2であり、a+bは1または2である)で表される化合物であり、
前記成分Bが、2官能の重量平均分子量1000以上の(メタ)アクリレートオリゴマー(化合物B1)を含有し、単官能(メタ)アクリレートモノマー(化合物B2)を含有する場合と含有しない場合があり、
前記半導体用光硬化性封止材全固形分中の前記化合物A1、A3、B1及びB2の質量並びに前記成分B及びCの固形分の質量をそれぞれWA1、WA3、WB1及びWB2並びにWB及びWCとした場合、WB2≧0であり、
前記半導体用光硬化性封止材全固形分に対する、WA1+WA3+WB+WCの割合が80〜99質量%であり、
WA1+WA3+WB1+WB2に対する、WB1+WB2の割合((WB1+WB2)/(WA1+WA3+WB1+WB2))が30〜90質量%であり、
質量WBに対する、WB1+WB2の割合((WB1+WB2)/WB))が、40〜100質量%であり、
WB2に対するWB1の割合(WB1/WB2)が80/20〜10/90であり、
前記半導体用光硬化性封止材の密着性の評価において、前記半導体用光硬化性封止材を幅20mm、長さ20mm、厚さ0.5mmになるようにスライドガラスとPETフィルムで挟み込み、メタルハライドランプにて1500mJ/cm2の光を照射して硬化させた後、PETフィルムを剥がしたときに、硬化した前記半導体用光硬化性封止材がスライドガラスから剥がれておらず、
前記半導体用光硬化性封止材が適用される半導体が、半田リフロー工程を経て製造される半導体用光硬化性封止材。
コロイドゾル状のシリカ粒子(化合物P1)の存在下で、ゾルゲル法により、末端SiOH型アルコキシシラン(化合物P2)の加水分解縮合物(化合物P3)を合成して、前記化合物P1及び前記化合物P3を含有する組成物Pを得る工程と、
前記組成物P、(メタ)アクリレート化合物(化合物Q)及び光重合開始剤(化合物R)を混合して前記組成物P、前記化合物Q及び前記化合物Rを含有する半導体用光硬化性封止材を得る工程とを有し、
前記化合物P2が、下記式(2):
M1pM2qSi(M3)4−p−q (2)
(式(2)中、
M1は炭素数1〜10のアルキル基であり、
M2は(メタ)アクリロイル基、ビニル基、スチリル基、アリル基、エポキシ基及びメルカプト基からなる群より選ばれる少なくとも1種の基を含む有機官能基であり、
M3は炭素数1〜10のアルコキシ基、アルケニロキシ基、アシロキシ基、イソシアナト基またはアルコキシアルコキシ基であり、
pは0、1、2のいずれかの整数であり、qは1または2であり、p+qは1または2である)で表される化合物であり、
前記化合物Qが、2官能の重量平均分子量1000以上の(メタ)アクリレートオリゴマー(化合物Q1)を含有し、単官能(メタ)アクリレートモノマー(化合物Q2)を含有する場合と含有しない場合があり、
前記半導体用光硬化性封止材全固形分中の前記化合物P1、P3、Q1及びQ2の質量並びに前記成分Q及びRの固形分の質量をそれぞれWP1、WP3、WQ1及びWQ2並びにWQ及びWRとした場合、WQ2≧0であり、
前記半導体用光硬化性封止材全固形分に対する、WP1+WP3+WQ+WRの割合が80〜99質量%であり、
WP1+WP3+WQ1+WQ2に対する、WQ1+WQ2の割合((WQ1+WQ2)/(WP1+WP3+WQ1+WQ2))が30〜90質量%であり、
質量WBQに対する、WQ1+WQ2の割合((WQ1+WQ2)/WQ))が、40〜100質量%であり、
WQ2に対するWQ1の割合(WQ1/WQ2)が80/20〜10/90であり、
前記半導体用光硬化性封止材の密着性の評価において、前記半導体用光硬化性封止材を幅20mm、長さ20mm、厚さ0.5mmになるようにスライドガラスとPETフィルムで挟み込み、メタルハライドランプにて1500mJ/cm2の光を照射して硬化させた後、PETフィルムを剥がしたときに、硬化した前記半導体用光硬化性封止材がスライドガラスから剥がれておらず、
前記半導体用光硬化性封止材が適用される半導体が、半田リフロー工程を経て製造される半導体用光硬化性封止材の製造方法。
シリカ粒子(化合物X1)、末端SiOH型アルコキシシラン(化合物X2)の加水分解縮合物(化合物X3)、(メタ)アクリレート化合物(化合物Y)及び光重合開始剤(化合物Z)を含有する半導体用光硬化性封止材であって、
前記化合物X1が、直径が5〜200nmの粒子であり、
前記化合物X2が、下記式(3):
N1xN2ySi(N3)4−x−y (3)
(式(3)中、
N1は炭素数1〜10のアルキル基であり、
N2は(メタ)アクリロイル基、ビニル基、スチリル基、アリル基、エポキシ基及びメルカプト基からなる群より選ばれる少なくとも1種の基を含む有機官能基であり、
N3は炭素数1〜10のアルコキシ基、アルケニロキシ基、アシロキシ基、イソシアナト基またはアルコキシアルコキシ基であり、
xは0、1、2のいずれかの整数であり、yは1または2であり、x+yは1または2である)で表される化合物であり、
前記化合物Yが、
2官能の重量平均分子量1000以上の(メタ)アクリレートオリゴマー(化合物Y1)を含有し、
単官能(メタ)アクリレートモノマー(化合物Y2)を含有する場合と含有しない場合があり、
前記半導体用光硬化性封止材全固形分中の前記化合物X1、X3、Y1及びY2の質量並びに前記化合物Y及びZの固形分の質量をそれぞれWX1、WX3、WY1及びWY2並びにWY及びWZとした場合、WY2≧0であり、
前記半導体用光硬化性封止材全固形分に対する、WX1+WX3+WY+WZの割合が80〜99質量%であり、
WX1+WX3+WY1+WY2に対する、WY1+WY2の割合((WY1+WY2)/(WX1+WX3+WY1+WY2))が30〜90質量%であり、
質量WYに対する、WY1+WY2の割合((WY1+WY2)/WY))が、40〜100質量%であり、
WY2に対するWY1の割合(WY1/WY2)が80/20〜10/90であり、
前記半導体用光硬化性封止材の密着性の評価において、前記半導体用光硬化性封止材を幅20mm、長さ20mm、厚さ0.5mmになるようにスライドガラスとPETフィルムで挟み込み、メタルハライドランプにて1500mJ/cm2の光を照射して硬化させた後、PETフィルムを剥がしたときに硬化した前記半導体用光硬化性封止材がスライドガラスから剥がれておらず、
前記半導体用光硬化性封止材が適用される半導体が、半田リフロー工程を経て製造される半導体用光硬化性封止材。
【発明を実施するための形態】
【0008】
〔本発明1〕
本発明1は、
コロイドゾル状のシリカ粒子(化合物A1)の存在下で、ゾルゲル法により、末端SiOH型アルコキシシラン(化合物A2)の加水分解縮合物(化合物A3)を合成してなる、前記化合物A1及び前記化合物A3を含有する組成物(成分A)、
(メタ)アクリレート化合物(成分B)、及び、
光重合開始剤(成分C)を混合してなる半導体用光硬化性封止材であって、
前記化合物A2が、下記式(1):
L
1aL
2bSi(L
3)
4−a−b (1)
(式(1)中、
L
1は炭素数1〜10のアルキル基であり、
L
2は(メタ)アクリロイル基、ビニル基、スチリル基、アリル基、エポキシ基及びメルカプト基からなる群より選ばれる少なくとも1種の基を含む有機官能基であり、
L
3は炭素数1〜10のアルコキシ基、アルケニロキシ基、アシロキシ基、イソシアナト基またはアルコキシアルコキシ基であり、
aは0、1、2のいずれかの整数であり、bは1または2であり、a+bは1または2である)で表される化合物であり、
前記成分Bが、2官能の重量平均分子量1000以上の(メタ)アクリレートオリゴマー(化合物B1)を含有する半導体用光硬化性封止材である。
【0009】
(1−1)成分A
成分Aは、コロイドゾル状のシリカ粒子(化合物A1)の存在下で、ゾルゲル法により、末端SiOH型アルコキシシラン(化合物A2)の加水分解縮合物(化合物A3)を合成してなる、化合物A1及び化合物A3を含有する組成物であって、
化合物A2が、下記式(1):
L
1aL
2bSi(L
3)
4−a−b (1)
(式(1)中、
L
1は炭素数1〜10のアルキル基であり、
L
2は(メタ)アクリロイル基、ビニル基、スチリル基、アリル基、エポキシ基及びメルカプト基からなる群より選ばれる少なくとも1種の基を含む有機官能基であり、
L
3は炭素数1〜10のアルコキシ基、アルケニロキシ基、アシロキシ基、イソシアナト基またはアルコキシアルコキシ基であり、
aは0、1、2のいずれかの整数であり、bは1または2であり、a+bは1または2である)で表される。
【0010】
成分Aの合成において、化合物A1(シリカ粒子)は、コロイドゾルの形態(コロイドゾル状)で使用される。
コロイドゾル状の化合物A1として、具体的には、コロイダルシリカが挙げられる。
【0011】
コロイドゾル状の化合物A1は、好ましくは直径が5〜200nm、より好ましくは5〜100nmの化合物A1が、化合物A2との結合し易さの観点から、好ましくは水または有機溶媒中、より好ましくは酸性水溶液中にコロイドゾル状に(好ましくはコロイドゾルの粒子径が0.005〜1μmであるように)分散しているものが好ましく、アルカリ性の溶媒中に種々の有機酸及び/又は無機酸を添加して、pHを3〜5の酸性準安定域で安定化させ、シリカ微粒子の表面をSiOH型としたものがより好ましい。
【0012】
コロイドゾルを構成する化合物A1のシリカ微粒子の直径は、例えば、TEM(透過型電子顕微鏡)やSEM(走査型電子顕微鏡)によって、数百個オーダーのシリカ粒子(1次粒子)が収まる観察視野内の各シリカ粒子(1次粒子)の円換算直径(そのシリカ粒子の面積を有する円の直径)の平均値を画像解析装置で求めた値とすることができる。
【0013】
コロイドゾル状の化合物A1として、具体的には、日産化学工業(株)製のスノーテックスO、触媒化成工業(株)製のカタロイドSN、日本化学工業(株)製のシリカドール30Aなどが挙げられる。
【0014】
有機溶媒分散型のコロイドゾル状の化合物A1として、具体的には、
日産化学工業(株)製のMA−ST、IPA−ST、NBA−ST、IBA−ST、EG−ST、XBA−ST、NPC−ST、DMAC−ST;
触媒化成工業(株)製のOSCAL1132、OSCAL1232、OSCAL1332、OSCAL1432、OSCAL1532、OSCAL1632、OSCAL1732などが挙げられる。
【0015】
成分Aの合成では、例えば、硬化後の本発明1の導電性、光触媒活性、屈折率制御の目的で、コロイドゾル状のその他の金属酸化物を含有することができ、具体的には、コロイドゾル状の、マグネシウム酸化物、珪素酸化物とマグネシウム酸化物との共酸化物、カルシウム酸化物、バリウム酸化物、ホウ素酸化物、アルミニウム酸化物、インジウム酸化物、ゲルマニウム酸化物、錫酸化物、亜鉛酸化物、チタン酸化物、ジルコニウム酸化物、セシウム酸化物、インジウム錫酸化物及び錫アンチモン酸化物からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属酸化物を用いることができる。
【0016】
成分Aを構成する化合物A3は、化合物A2(末端SiOH型アルコキシシラン)の加水分解縮合物であり、後述する成分Cである光重合開始剤により発生する酸により脱水縮合し、シロキサン結合を形成するとの観点から、末端がSiOHである。
【0017】
化合物A2は、下記式(1):
L
1aL
2bSi(L
3)
4−a−b (1)
(式(1)中、
L
1は炭素数1〜10のアルキル基であり、
L
2は(メタ)アクリロイル基、ビニル基、スチリル基、アリル基、エポキシ基及びメルカプト基からなる群より選ばれる少なくとも1種の基を含む有機官能基であり、
L
3は炭素数1〜10のアルコキシ基、アルケニロキシ基、アシロキシ基、イソシアナト基またはアルコキシアルコキシ基であり、
aは0、1、2のいずれかの整数であり、bは1または2であり、a+bは1または2である)で表される。
【0018】
化合物A2としては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラn−プロポキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラn−ブトキシシラン、テトライソブトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルトリメトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルトリエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、テトライソシアナトシラン、メチルトリイソシアナトシラン等が挙げられる。これらは単独でも、混合して使用してもよく、予め部分的に加水分解を施しておいたものを使用しても構わない。
【0019】
化合物A2としては、後述する種々の有機重合体とのハイブリッド化を促進する観点から、有機重合体との相溶性、反応性、種々の化学的インタラクションを形成する有機化合物を予め反応させたものを使用することが好ましい。
【0020】
化合物A3としては、硬化後の本発明1の表面低タック性及び耐熱黄変性を発現させる観点から、そのピーク分子量がポリスチレン換算で1000以下となるように分子量が制御された条件で合成されたものが好ましい。
【0021】
化合物A3の分子量は、ゾルゲル法における水の添加量と成分Aの合成系の全固形分量で制御できる。
例えば、仕込みシランモノマーの加水分解性アルコキシシリル基(−SiOR)1モルに対して1.0モル以上の水を添加し、成分Aの合成系の全固形分量を好ましくは10〜40質量%、より好ましくは20〜30質量%程度に抑え、シラノール濃度を低くすることにより低分子量化を図ることができる。
【0022】
水の添加量としては、アルコキシシリル基の残存を抑制し、末端を好ましくは全てSiOHにし、脱溶媒反応時のゲル化を抑制する観点から、式(1)のアルコキシシランモノマー1モルに対して、((4−a−b)+0.2)/2モル〜20モルとすることが好ましく、3モル〜10モルとすることがより好ましく、3.1モル〜6モルとすることがさらに好ましい。
【0023】
水の添加量は、成分Aの合成系に添加されるすべての水分が含まれる。即ち、添加されるコロイドゾル、加水分解触媒、有機ポリマーなどに含まれる水分を含めた総和である。
【0024】
化合物A3の少なくとも一部は、式(1)中のbが1または2であり、かつ、L
2が、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、スチリル基、アリル基、エポキシ基およびメルカプト基からなる群より選ばれる少なくとも1種の有機官能基を含むことが好ましい。
【0025】
即ち、化合物A3は、ラジカル反応性基(アクリロイル基、ビニル基、スチリル基、アリル基)及びカチオン反応性基(エポキシ基、メルカプト基)のいずれかを含み、シリカ−オルガノシロキサン(化合物A1−化合物A3複合体)硬化成分と光ラジカル硬化成分及び/又は光カチオン硬化成分とを共重合せしめる反応性無機−有機架橋剤として作用する。
これらの有機官能基を含む化合物A3の存在量は、化合物A3の全量中、好ましくは20〜80モル%、より好ましくは40〜60モル%である。
【0026】
成分Aの合成系には、式(1)中の官能基L
2と反応する官能基又は化学的相互作用により安定化する官能基を有する第1の有機重合体を含有させることが好ましい。
【0027】
例えば、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートなどアルコール含有多官能アクリレートをγ−イソシアナトプロピルトリメトキシシランなどでシリル化し、成分Aの合成系に添加して化合物A3を合成すると、上記反応性無機−有機架橋剤として働くため有用である。
【0028】
第1の有機重合体としては、
γ−イソシアナトプロピルトリメトキシシランとペンタエリスリトールトリアクリレートとの反応物のようなアルコキシシリル基変性多官能アクリレート類;
(メタ)アクリレート化合物とラジカル反応、メルカプト基と付加反応をすると考えられる、ジアリルフタレート樹脂、トリメチロールプロパンジアリルエーテル、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル;
エポキシ基と付加反応すると考えられる、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリチオール樹脂、ポリカルボン酸類;
アミノ基、メルカプト基と付加反応すると考えられるエポキシ樹脂等が挙げられる。
【0029】
成分Aの合成系には、容易に無機−有機ハイブリッド体を形成する観点から、化合物A3に含まれる−SiOH基または他の官能基と反応することにより、もしくは水素結合、π−π共役、配位結合などの化学的相互作用により安定化する官能基または構造を有する第2の有機重合体を含有させることが好ましい。
【0030】
第2の有機重合体としては、
アクリルシリコーン、アルコキシシリル基変性エポキシ樹脂、アルコキシシリル基変性ウレタン樹脂、アルコキシシリル基変性ポリエステル、アルコキシシリル基変性ポリブタジエン、アルコキシシリル基変性フッ素樹脂など各種シリル化ポリマー;
エポキシ樹脂;
各種グリシジルエーテル;アクリルポリオール、エポキシポリオールなどポリオール類;
ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂(ナイロン)、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリオキサゾリン樹脂、ポリチオール樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ポリエーテルポリオール樹脂、ポリエステルポリオール樹脂;
ポリスチレン、ビスフェノール型エポキシ樹脂、スチレン−マレイン酸共重合樹脂、各種アイオノマー樹脂、有機金属含有ポリマーなどが挙げられる。
【0031】
これら第2の有機重合体は、オルガノシロキサン部位と安定化、一体化して樹脂の骨格に取り込まれ、オルガノシロキサンの無機特性に対して有機特性を付与する特性上、成分Aの合成の初めの段階で仕込まれることが好ましく、いわゆる、オルガノシロキサン加水分解重縮合の系中に添加されるin situゾルゲル法が適用される。
【0032】
これら有機重合体の配合量(第1の有機重合体と第2の有機重合体の合計配合量)としては、成分Aの粘度を過剰にしない観点から、化合物A1及び化合物A3の合計質量Uと有機重合体の合計質量Vの比(U/V)で表したとき、95/5〜50/50が好ましく、90/10〜70/30がより好ましい。
【0033】
(1−2)成分B
成分Bは、2官能の重量平均分子量1000以上の(メタ)アクリレートオリゴマー(化合物B1)を含有する(メタ)アクリレート化合物である。
【0034】
なお、重量平均分子量は、GPCに基づいて測定されたものであり、好ましくは、以下の条件で測定される:
測定装置:島津製作所社製GPCシステム;
カラムの種類:有機溶媒系SECカラム(東ソー社製);
溶剤の種類:テトラヒドロフラン(THF)。
【0035】
化合物B1としては、本発明1の硬化後の密着性を向上する観点から、例えば、
2官能の分子量1000以上のウレタン(メタ)アクリレート;
2官能の分子量1000以上のエポキシ(メタ)アクリレート;
アリル(メタ)アクリレートの重量平均分子量1000以上のオリゴマー;
アルカンジオールジ(メタ)アクリレートの重量平均分子量1000以上のオリゴマー;
アルカンポリオールジ(メタ)アクリレートの重量平均分子量1000以上のオリゴマー;
ポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレートの重量平均分子量1000以上のオリゴマー;
ビスフェノール類(ビスフェノールA、Sなど)のアルキレンオキサイド付加体のジ(メタ)アクリレートの重量平均分子量1000以上のオリゴマー;
脂肪酸変性ペンタエリスリトールなどの酸変性アルカンポリオールのジ(メタ)アクリレート;
環式ジ(メタ)アクリレートの重量平均分子量1000以上のオリゴマーが好ましく、
2官能の重量平均分子量1000以上のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーがより好ましい。
【0036】
なお、これらの2官能の重量平均分子量1000以上の(メタ)アクリレートオリゴマーは、それぞれ単独で使用してもよいし、組み合わせて使用してもよい。
【0037】
2官能のウレタン(メタ)アクリレートとしては、
ポリイソシアネート類[又はポリイソシアネート類とポリオール類との反応により生成し、遊離のイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー]に活性水素原子を有する(メタ)アクリレート[例えば、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートなど]を反応させることにより得られたウレタン(メタ)アクリレートが好ましい。
【0038】
ポリイソシアネート類としては、分子中に2個以上のイソシアネート基を有する、例えば、脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート、芳香族ポリイソシアネート、複素環式ポリイソシアネート及びこれらの誘導体が挙げられる。
【0039】
ポリオール類としては、例えば、脂肪族ジオール[アルカンジオール(エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレンエーテルグリコール、1,3−ブチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオールなどのC
2−10アルカンジオール)、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコールなど]、脂環族ジオール(1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノールなどのシクロアルカンジオール類、水添ビスフェノールAなどの水添ビスフェノール類、又はこれらのC
2−4アルキレンオキサイド付加体など)、芳香族ジオール(キシリレングリコールなどの芳香脂肪族ジオール、ビスフェノールA、ビスフェノールS、ビスフェノールFなどのビスフェノール類、又はこれらのC
2−4アルキレンオキサイド付加体など)などのジオール類、トリオール類(グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,2,6−ヘキサントリオール、トリエタノールアミンなど)、テトラオール類(ペンタエリスリトール、ソルビタン又はこれらの誘導体など)、ヘキサオール類(ジペンタエリスリトール類など)、ポリマーポリオール類などが挙げられる。
【0040】
前記ポリマーポリオール類には、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリエーテルエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリエステルアミドポリオール、アクリルポリマーポリオールなどが含まれる。
【0041】
ポリオール類は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。ポリオール類のうち、柔軟性及び汎用性などの点から、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、アクリルポリオールが好ましい。なかでも、柔軟性などの点から、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオールが好ましく、吸湿安定性に優れる点から、ポリエステルポリオールが特に好ましい。
【0042】
ウレタンプレポリマーとしては、例えば、前記ポリイソシアネート類の多量体、前記ポリイソシアネート類のビュレット変性多量体、前記ポリイソシアネート類と前記ポリオール類とのアダクト体、前記ポリオール類に対して過剰量の前記ポリイソシアネート類を反応させて得られたウレタンプレポリマーなどが挙げられる。これらのプレポリマーは、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
【0043】
好ましいウレタンプレポリマーは、例えば、前記ポリイソシアネート類の多量体(三量体、五量体、七量体など)、前記ポリイソシアネート類のビュレット多量体(ビュレット変性体)、前記ポリイソシアネート類とポリオール類(グリセリン、トリメチロールプロパンなどのトリオール類)とのアダクト体、前記ジイソシアネートとポリエステルポリオールとのウレタンプレポリマー、前記ジイソシアネートとポリエーテルポリオールとのウレタンプレポリマー、特に、前記ジイソシアネートとポリエーテルポリオール又はポリエステルポリオールとのウレタンプレポリマーなどが好ましい。
【0044】
活性水素原子を有する(メタ)アクリレートとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシC
2−6アルキル(メタ)アクリレート;2−ヒドロキシ−3−メトキシプロピル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシアルコキシC
2−6アルキル(メタ)アクリレート;グリセリンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタンジ(メタ)アクリレートなどのヒドロキシアルカンジ(メタ)アクリレート;ジグリセリントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートなどのヒドロキシアルカントリ(メタ)アクリレート;ジペンタエリスリトールテトラ乃至ペンタ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0045】
ウレタン(メタ)アクリレートは、ポリイソシアネート類と活性水素原子を有する(メタ)アクリレートとを、通常、イソシアネート基と活性水素原子が略当量となる割合(イソシアネート基/活性水素原子=0.8/1〜1.2/1程度)で組み合わせて製造される。なお、これらのウレタン(メタ)アクリレートの製造方法について、特開2008−74891号公報などを参照できる。
【0046】
2官能ウレタン(メタ)アクリレートは、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。2官能ウレタン(メタ)アクリレートのうち、2官能ポリエーテル型ウレタン(メタ)アクリレート、2官能ポリエステル型ウレタン(メタ)アクリレートが汎用される。また、2官能ウレタン(メタ)アクリレートのうち、光学シートの柔軟性を向上させる点から、2官能脂肪族ウレタン(メタ)アクリレートが好ましい。
【0047】
2官能ウレタン(メタ)アクリレートのガラス転移温度(ホモポリマーのガラス転移温度、Tg)は、低温の時期又は寒冷地での使用において柔軟性や触感を維持する観点から、例えば、20℃以下の範囲から選択でき、好ましくは−80℃〜20℃、より好ましくは−70℃〜15℃、より好ましくは−60℃〜10℃、さらに好ましくは−50℃〜0℃、さらに好ましくは−40℃〜−20℃)である。
なお、Tgは示差走査熱温度計を用いて測定できる。
【0048】
2官能の分子量1000以上のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーとして、具体的には、
KRM7735(ダイセル・サイテック(株)製、脂肪族ウレタンアクリレート、2官能、重量平均分子量5000、ホモポリマーのTg:−30℃);
PU2300T(美源スペシャリティケミカル(株)製、脂肪族ウレタンアクリレート、2官能、重量平均分子量16000、ホモポリマーのTg:−40℃);
EB230(ダイセル・サイテック(株)製、「EBECRYL−230」、脂肪族ウレタンアクリレート、2官能、重量平均分子量5000、ホモポリマーのTg:−55℃);
EB270(ダイセル・サイテック(株)製、「EBECRYL−270」、脂肪族ウレタンアクリレート、2官能、重量平均分子量1500、ホモポリマーのTg:−27℃)などが挙げられる。
【0049】
本発明1の硬化後の密着性をさらに向上する観点から、成分Bは、さらに単官能(メタ)アクリレートモノマー(化合物B2)を含有することが好ましい。
【0050】
化合物B2としては、本発明1の硬化後の密着性をさらに向上する観点から、例えば、
ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシC
2−10アルキル(メタ)アクリレート又はC
2−10アルカンジオールモノ(メタ)アクリレート;
グリセリンモノ(メタ)アクリレートなどのアルカンポリオールモノ(メタ)アクリレート;2−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2−t−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレートなどのアミノ基を有する(メタ)アクリレート;
グリシジル(メタ)アクリレート;
ピペリジニル(メタ)アクリレート、アルキルピペリジニル(メタ)アクリレート(ペンタメチルピペリジニル(メタ)アクリレートなど)、モルホリノ(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレートなどのヘテロ環式(メタ)アクリレート;
2−(メタ)アクリロイロキシエチルコハク酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルフタル酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸などのカルボキシル基を有する(メタ)アクリレート;
N−ビニルピロリドン、N−ビニルピリジン、N−ビニルカプロラクタムなどのN−ビニル複素環化合物;
N−ビニルアセトアミド、N−ビニルホルムアミドなどが好ましく、
ヒドロキシC2−10アルキル(メタ)アクリレート、炭素数2〜10のアルカンジオールモノ(メタ)アクリレート、ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート、アルカンポリオールモノ(メタ)アクリレート、カルボキシル基を有する(メタ)アクリレートがより好ましく、
ヒドロキシC2−10アルキル(メタ)アクリレート及び/又は炭素数2〜10のアルカンジオールモノ(メタ)アクリレートがさらに好ましい。
【0051】
なお、これらの単官能(メタ)アクリレートモノマーは、それぞれ単独で使用してもよいし、組み合わせて使用してもよい。
【0052】
成分Aの合成において、成分Aを無溶剤化するための脱溶媒工程を経る場合に、合成系のゲル化を抑制する観点から、脱溶媒工程で成分Bを混合することが好ましい。
その場合、上記観点から、脱溶媒工程で混合する成分Bは、成分Bは化合物B1又は化合物B1及びB2から選ばれてもよいし、他の(メタ)アクリレート化合物(化合物B3)から選ばれてもよい。
従って、脱溶媒工程で混合する成分Bは、
化合物B1又は化合物B1及びB2を含んでも含まなくてもよく、
化合物B1又は化合物B1及びB2を含む場合には、さらに化合物B3を含んでもよく、
化合物B1又は化合物B1及びB2を含まない場合には、脱溶媒工程では化合物B3を混合し、脱溶媒工程を経た成分Aに化合物B1又は化合物B1及びB2を混合することになる。
【0053】
化合物B3としては、さらにVOC削減の観点から、常圧で沸点が260℃を超える液状不揮発性を有する単官能および/または多官能の(メタ)アクリレート化合物が挙げられ、例えば、
ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシテトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ぺンタメチルピペリジル(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等のアルコキシポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート類;
グリセロール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート等の水酸基含有(メタ)アクリレート類;
ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等のアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート;グリセリンプロピレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンプロピレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートトリプロピオネートなどの3官能(メタ)アクリレート類;
ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートモノプロピオネート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、オリゴエステルテトラ(メタ)アクリレート、トリス((メタ)アクリロイルオキシ)ホスフェ−ト、ヘキサメタクリロイロキシエトキシシクロトリホスファゼン(PPZ)などの多官能(メタ)アクリレート類;
ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、変性ポリブタジエン等を挙げることができる。
【0054】
成分Bは、化合物A2を加水分解縮合して化合物A3を合成した後の脱溶媒工程で成分Aに混合してもよいし、脱溶媒工程後の成分Aにさらに混合してもよいが、密着性を向上する観点から、化合物B1又は化合物B1及びB2は、少なくとも脱溶媒工程後の成分Aに混合することが好ましい。
【0055】
(1−3)成分C
成分Cは、成分A及び成分Bを光重合させて硬化させるための光重合開始剤である。
【0056】
成分Cとしては、ラジカル光重合開始剤及び/又はカチオン光重合開始剤が好ましい。
ラジカル光重合開始剤は、本発明1の成分A及び成分Bにおけるアクリレート部位の硬化に利用され、カチオン光重合開始剤は末端SiOHの脱水縮合反応を促進させ、かつ、エポキシ部のカチオン重合にも利用される。
【0057】
即ち、本発明1において、半導体用途の封止材としては、硬化後の密着性及び表面低タック性及び高い耐熱黄変性の観点から、成分Cとしてラジカル光重合開始剤を使用すれば十分な効果を得るが、硬化後の封止材の強度特性の安定性をさらに向上する観点から、無機成分と有機成分が光で開始される2つの別種の反応により一体化して硬化する反応機構によって進行させて、無機の特性と有機の特性を併有する硬化体が得られることがとり好ましい。
【0058】
ラジカル光重合開始剤としては、光励起によってラジカル重合を開始できる機能を有するものであり、例えばモノカルボニル化合物、ジカルボニル化合物、アセトフェノン化合物、ベンゾインエーテル化合物、アシルフォスフィンオキシド化合物、アミノカルボニル化合物などが挙げられる。
【0059】
ラジカル光重合開始剤としては、紫外線重合開始剤や可視光重合開始剤等が挙げられ、
紫外線重合開始剤としては、ベンゾイン系、ベンゾフェノン系、及びアセトフェノン系等が挙げられ、
可視光重合開始剤にはアシルホスフィンオキサイド系、チオキサントン系、メタロセン系、及びキノン系等が挙げられる。
【0060】
紫外線重合開始剤としては、具体的には、
ベンゾフェノン、4−フェニルベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、及びビスジエチルアミノベンゾフェノンなどのベンゾフェノン系重合開始剤;
2,2−ジエトキシアセトフェノンなどのアセトフェノン系重合開始剤;
ベンジル、ベンゾイン、及びベンゾインイソプロピルエーテルなどのベンゾイン系重合開始剤;
ベンジルジメチルケタールなどのアルキルフェノン系重合開始剤;チオキサントンなどのチオキサントン系重合開始剤;
1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、1−(4−イソプロピルフェニル)2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチル−1―プロパン−1−オン、及び2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オンなどのヒドロキシアルキルフェノン系重合開始剤が挙げられる。
【0061】
可視光重合開始剤としては、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド、及びビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルホスフィンオキサイドなどのアシルホスフィンオキサイド光重合開始剤;
カンファーキノン、2−メチル−1−(4−(メチルチオ)フェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン、及び2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−1−ブタノン−1などのケトン系重合開始剤等が挙げられる。
【0062】
成分Cとして、上記例示の中でも、常態強度及び耐久強度に加えて硬化性の観点から、ヒドロキシアルキルフェノン系重合開始剤及び/又はアシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤がより好ましく、
1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(IRGACURE184、BASF社製)及び/又はビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド(IRGACURE819、BASF社製)が更に好ましく、
1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(IRGACURE184、BASF社製)が更に好ましい。
【0063】
カチオン光重合開始剤は、成分A及びBのカチオン重合性部位に対して、光酸発生剤として作用することが好ましく、常態強度及び耐久強度に加えて硬化性の観点から、エネルギー線の照射によりルイス酸又はブレンステッド酸を発生する化合物であることがより好ましく、スルホニウム塩及び/又はヨードニウム塩がさらに好ましい。
【0064】
スルホニウム塩として、常態強度及び耐久強度に加えて硬化性の観点から、
トリフェニルスルホニウム ヘキサフルオロホスフェート、
トリフェニルスルホニウム ヘキサフルオロアンチモネート、
トリフェニルスルホニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
4,4’−ビス〔ジフェニルスルホニオ〕ジフェニルスルフィド ビスヘキサフルオロ
ホスフェート、
4,4’−ビス〔ジ(β−ヒドロキシエトキシ)フェニルスルホニオ〕ジフェニルスル
フィド ビスヘキサフルオロアンチモネート、
4,4’−ビス〔ジ(β−ヒドロキシエトキシ)フェニルスルホニオ〕ジフェニルスル
フィド ビスヘキサフルオロホスフェート、
7−〔ジ(p−トルイル)スルホニオ〕−2−イソプロピルチオキサントン ヘキサフ
ルオロアンチモネート、
7−〔ジ(p−トルイル)スルホニオ〕−2−イソプロピルチオキサントン テトラキ
ス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
4−フェニルカルボニル−4’−ジフェニルスルホニオ−ジフェニルスルフィド ヘキ
サフルオロホスフェート、
4−(p−tert−ブチルフェニルカルボニル)−4’−ジフェニルスルホニオ−ジ
フェニルスルフィド ヘキサフルオロアンチモネート、
4−(p−tert−ブチルフェニルカルボニル)−4’−ジ(p−トルイル)スルホ
ニオ−ジフェニルスルフィド テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート等が好ま
しい。
【0065】
市販されているスルホニウム塩系カチオン光重合開始剤としては、アデカ社製SP−170、SP−172、SP−150、SP−152、サンアプロ社製CPI−210Sなどが好ましく、アデカ社製SP−170、SP−172またはサンアプロ社製CPI−210Sが更に好ましい。
これらの塩は、それぞれ単独で使用しても、又は二種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0066】
ヨードニウム塩として、常態強度及び耐久強度に加えて硬化性の観点から、
ジフェニルヨードニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
ジフェニルヨードニウム ヘキサフルオロホスフェート、
ジフェニルヨードニウム ヘキサフルオロアンチモネート、
ジ(4−ノニルフェニル)ヨードニウム ヘキサフルオロホスフェート等が好ましい。
市販されているヨードニウム塩系カチオン光重合開始剤としては、ローディア社製PI2074が好ましい。
これらの塩は、それぞれ単独で使用しても、又は二種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0067】
本発明1は、目的に応じて、例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、シランカップリング剤、重合禁止剤、レベリング剤、界面活性剤、着色剤、保存安定剤、可塑剤、滑剤、フィラー、老化防止剤、濡れ性改良剤、離型剤等を添加することができる。
【0068】
(1−4)本発明1の半導体用光硬化性封止材
本発明1は、成分A、成分B及び成分Cを混合してなるが、本発明1の安定性、硬化後の本発明1の表面低タック性及び耐熱黄変性の観点から、これらの成分の好適な混合組成を説明する。
なお、混合質量を考える場合、成分Aの固形分は、
成分Aの合成系が脱溶媒工程を含まない場合は、化合物A3を合成後に混合する化合物を含まず、
成分Aの合成系が化合物A3を合成後に脱溶媒工程を含む場合は、脱溶媒工程終了までに成分Aの合成系に存在する化合物の固形分の総和をいい、脱溶媒工程後に混合する化合物の固形分を含まない。
【0069】
例えば、成分Aの合成において、脱溶媒工程で混合される成分B及び/又は成分Cは成分Aの固形分に含まれ、脱溶媒工程後に混合される成分B及び/又は成分Cは成分Aの固形分に含まれない。
【0070】
成分Aの合成系における化合物A3の存在量W
A3は、化合物A1の質量W
A1と化合物A3の質量W
A3の合計質量W
A1+W
A3に対する割合(W
A3/(W
A1+W
A3))は、好ましくは20〜95質量%、より好ましくは40〜90質量%、さらに好ましくは60〜80質量%である。
【0071】
成分Bの混合質量W
Bの、質量W
A1及び質量W
A3及び質量W
Bの合計質量(W
A1+W
A3+W
B)に対する割合(W
B/(W
A1+W
A3+W
B))は、本発明1の安定性、硬化後の本発明1の表面低タック性及び耐熱黄変性の観点から、好ましくは10〜95質量%、より好ましくは30〜90質量%、さらに好ましくは40〜80質量%である。
【0072】
化合物B1の混合質量W
B1及び化合物B2の混合質量W
B2の合計質量(W
B1+W
B2)は、合計質量(W
A1+W
A3)並びに合計質量(W
B1+W
B2)の合計質量(W
A1+W
A3+W
B1+W
B2)に対する割合((W
B1+W
B2)/(W
A1+W
A3+W
B1+W
B2))は、好ましくは10〜90質量%、より好ましくは20〜80質量%、さらに好ましくは30〜70質量%、さらに好ましくは40〜70質量%である。
なお、化合物B1及び化合物B2は、成分Aの合成における脱溶媒工程で全量混合してもよいし、脱溶剤工程の前後で分割混合してもよいし、脱溶媒工程後に全量混合してもよい。
【0073】
質量W
B1の質量W
B2に対する割合(W
B1/W
B2)は、好ましくは100/0〜10/90であり、より好ましくは80/20〜20/80であり、さらに好ましくは60/40〜30/70であり、さらに好ましくは50/50〜30/70である。
【0074】
合計質量(W
B1+W
B2)の、質量W
Bに対する割合((W
B1+W
B2)/W
B)は、好ましくは10〜100質量%、より好ましくは20〜90質量%、さらに好ましくは40〜80質量%、さらに好ましくは50〜70質量%である。
【0075】
成分Cの混合質量W
Cの、合計質量(W
A1+W
A3+W
B)に対する割合(W
C/(W
A1+W
A3+W
B))は、好ましくは0.5〜10質量%、より好ましくは0.5〜5質量%、さらに好ましくは1〜4質量%である。
【0076】
成分Aの合成における脱溶媒工程後に、化合物B1又は化合物B1及びB2を混合する場合、脱溶媒工程後に混合する化合物B1の混合質量W
B1a及び化合物B2の混合質量W
B2aの合計質量(W
B1a+W
B2a)は、成分Aの固形分の質量W
A及び合計質量(W
B1+W
B2)の合計質量(W
A+W
B1a+W
B2a)に対して、好ましくは10〜90質量%、より好ましくは20〜80質量%、さらに好ましくは30〜70質量%、さらに好ましくは40〜70質量%である。
【0077】
成分Aの合成における脱溶媒工程後に、化合物B1又は化合物B1及びB2を混合する場合、脱溶媒工程後に混合する化合物B1の配合質量W
B1aの化合物B2の配合質量W
B2aに対する割合(W
B1a/W
B2a)は、好ましくは100/0〜10/90であり、より好ましくは80/20〜20/80であり、さらに好ましくは60/40〜30/70であり、さらに好ましくは50/50〜30/70である。
【0078】
成分Aの合成における脱溶媒工程後に、化合物B1又は化合物B1及びB2を混合する場合、成分Cの混合質量Wcは、質量W
A、質量W
B1a及び化合物B2の混合質量W
B2aの合計質量(W
A+W
B1a+W
B2a)に対して、好ましくは0.5〜10質量%、より好ましくは0.5〜5質量%、さらに好ましくは1〜4質量%である。
【0079】
本発明1の実用性能を調整するための他の成分を混合する余地を確保する観点から、本発明1の全固形分に対する、成分A1、A3、B及びCの固形分の合計質量は、好ましくは65〜99質量、より好ましくは70〜95質量%、さらに好ましくは80〜90質量%である。
【0080】
成分A、成分B及び成分Cを混合する場合、混合温度及び混合時間は、好ましくは20〜70℃、0.5〜5時間、より好ましくは25〜60℃、1〜4時間、さらに好ましくは30〜60℃で、1〜3時間である。
【0081】
本発明1は、半導体用光硬化性封止材として、例えば、多層構造で形成された半導体素子又は半導体デバイス上に、例えば、スクリーン印刷やフレキソ印刷等の印刷法や、ディスペンサーを用いて塗布し、メタルハライドランプ、高圧水ランプ、キセノンランプ、ハロゲンランプ、LED照射機、LD照射機等により、好ましくは200〜450nm、より好ましくは300〜400nmの範囲の波長の光を照射することで、硬化させることができる。
【0082】
〔本発明2〕
本発明2は、
コロイドゾル状のシリカ粒子(化合物P1)の存在下で、ゾルゲル法により、末端SiOH型アルコキシシラン(化合物P2)の加水分解縮合物(化合物P3)を合成して、前記化合物P1及び前記化合物P3を含有する組成物Pを得る工程と、
前記組成物P、(メタ)アクリレート化合物(化合物Q)及び光重合開始剤(化合物R)を混合して前記組成物P、前記化合物Q及び前記化合物Rを含有する半導体用光硬化性封止材を得る工程とを有し、
前記化合物P2が、下記式(2):
M
1pM
2qSi(M
3)
4−p−q (2)
(式(2)中、
M
1は炭素数1〜10のアルキル基であり、
M
2は(メタ)アクリロイル基、ビニル基、スチリル基、アリル基、エポキシ基及びメルカプト基からなる群より選ばれる少なくとも1種の基を含む有機官能基であり、
M
3は炭素数1〜10のアルコキシ基、アルケニロキシ基、アシロキシ基、イソシアナト基またはアルコキシアルコキシ基であり、
pは0、1、2のいずれかの整数であり、qは1または2であり、p+qは1または2である)で表される化合物であり、
前記化合物Qが、2官能の重量平均分子量1000以上の(メタ)アクリレートオリゴマー(化合物Q1)を含有する半導体用光硬化性封止材の製造方法である。
【0083】
本発明2は、本発明1の半導体用光硬化性封止材の製造方法であり、
本発明2の製造結果物は、発明1の半導体用光硬化性封止材である。
【0084】
従って、上述の本発明1の各要素及び好適製造条件の説明は、以下の対応関係の下で、本発明2の各要素及び好適製造条件にも妥当する:
化合物P1は、化合物A1に相当し、
化合物P2は、化合物A2に相当し、
P3は、化合物A3に相当し、
組成物Pは、成分Aに相当し、
化合物Qは、成分Bに相当し、
化合物Q1は、化合物B1に相当し、
化合物Rは、成分Cに相当し、
化合物Qは、化合物Q1に加えて、さらに化合物B2に相当する単官能(メタ)アクリレートモノマー(化合物Q2)を含むことが好ましく、
化合物Qは、化合物Q1又は化合物Q1及びQ2に加えて、さらに化合物B3に相当する他の(メタ)アクリレート化合物(化合物Q3)を含むことが好ましい。
【0085】
本発明2における各要素の好適な態様は、本発明1における各要素の好適な態様に、以下のように対応している。
化合物P1の好適態様は、化合物A1の好適態様に対する説明が妥当し、
化合物P2の好適態様は、化合物A2の好適態様に対する説明が妥当し、
化合物P3の好適態様は、化合物A3の好適態様に対する説明が妥当し、
組成物Pの好適態様は、成分Aの好適態様に対する説明が妥当し、
化合物Qの好適態様は、成分Bの好適態様に対する説明が妥当し、
化合物Q1の好適態様は、化合物B1の好適態様に対する説明が妥当し、
化合物Q2の好適態様は、化合物B2の好適態様に対する説明が妥当し、
化合物Q3の好適態様は、化合物B3の好適態様に対する説明が妥当し、
化合物Rの好適態様は、成分Cの好適態様に対する説明が妥当し、
本発明2の製造結果物の好適態様は、本発明1の半導体用光硬化性封止材の好適態様に対する説明が妥当し、
本発明2の好適な製造条件は、本発明1で説明した成分Aの好適な合成条件を含む本発明1の半導体用光硬化性封止材の好適製造条件に対する説明が妥当する。
【0086】
本発明2は、コロイドゾル状のシリカ(化合物P1)の存在下で、ゾルゲル法により、末端SiOH型アルコキシシラン(化合物P2)の加水分解縮合物(化合物P3)を合成して、前記化合物P1及び前記化合物P3を含有する組成物Pを得る工程(以下、工程1という)を有する。
【0087】
工程1では、コロイドゾル状の化合物P1は、酸性サイドの物を使用することが好ましく、アルカリ性サイドの物であった場合には、適当な酸でpHが3〜4の准安定域に予め調整しておくことが好ましい。
【0088】
反応容器に、化合物P2と、必要に応じて第1の有機重合体及び/又は第2の有機重合体を、本発明1で説明したそれぞれについての適切な割合で仕込み、十分な量の良溶媒を添加して、ポリマー溶液とすることが好ましい。
この場合、例えば、N
2ガスで十分パージし、温度を35℃に保持し、反応容器中のポリマー溶液をスターラーで攪拌することが好ましい。
【0089】
ここに、予め調製しておいたコロイドゾル状の化合物P1を含む酸性水溶液を、例えば1時間かけて滴下する(ゾルゲル法)。このときの水の全添加量は、化合物P2の1モルに対して3.1〜6モルとすることが好ましい。
【0090】
酸性水溶液の滴下終了後、例えば、35℃に30分保ち、ヒーターを取り付けて、30分かけて60℃まで昇温し、3時間ランニングさせて、化合物P3を合成し、化合物P1及び化合物P3を含有する組成物Pを得ることができる。
【0091】
本発明2は、組成物P、化合物Q及び化合物Rを混合して組成物P、化合物Q及び化合物Rを含有する半導体用光硬化性封止材を得る工程(以下、工程2という)を有する。
【0092】
工程2は、組成物Pに対して、例えば、化合物Q3を混合して溶媒を留去したのちに、溶媒が溜去された組成物Pに、さらに、化合物Q1又は化合物Q1及びQ2を混合して、溶媒が溜去された組成物P、化合物Q1、Q2及びQ3を含む化合物Q並びに化合物Rを含有する半導体用光硬化性封止材を得る。
【0093】
化合物Q1及び/又は化合物Q2が、化合物Q3の役割を果たす場合は、化合物Q3の一部又は全部を化合物Q1及び/又は化合物Q2に置き換えてもよい。
【0094】
〔本発明3〕
本発明3は、
シリカ粒子(化合物X1)、末端SiOH型アルコキシシラン(化合物X2)の加水分解縮合物(化合物X3)、(メタ)アクリレート化合物(化合物Y)及び光重合開始剤(化合物Z)を含有する半導体用光硬化性封止材であって、
前記化合物X1が、直径が5〜200nmの粒子であり、
前記化合物X2が、下記式(3):
N
1xN
2ySi(N
3)
4−x−y (3)
(式(3)中、
N
1は炭素数1〜10のアルキル基であり、
N
2は(メタ)アクリロイル基、ビニル基、スチリル基、アリル基、エポキシ基及びメルカプト基からなる群より選ばれる少なくとも1種の基を含む有機官能基であり、
N
3は炭素数1〜10のアルコキシ基、アルケニロキシ基、アシロキシ基、イソシアナト基またはアルコキシアルコキシ基であり、
xは0、1、2のいずれかの整数であり、yは1または2であり、x+yは1または2である)で表される化合物であり、
前記化合物Yが、
2官能の重量平均分子量1000以上の(メタ)アクリレートオリゴマー(化合物Y1)を含有する半導体用光硬化性封止材である。
【0095】
本発明3は、直径が5〜200nmの化合物P1を使用することで、本発明2によって製造することができ、その場合の本発明2の製造結果物である。
【0096】
本発明3は、化合物A1の直径が5〜200nmの場合の本発明1でもある。
【0097】
従って、本発明3の各要素及び好適製造条件は、本発明1及び2の各要素及び好適製造条件と以下のように対応する、
【0098】
化合物X1は、化合物A1又は化合物P1の直径が特定されたものに相当し、
化合物X2は、化合物A2又は化合物P2に相当し、
化合物X3は、化合物A3又は化合物P3に相当し、
組成物Xは、成分A又は組成物Pに相当し、
化合物Yは、成分B又は化合物Qに相当し、
化合物Y1は、化合物B1又は化合物Q1に相当し、
化合物Rは、成分Cに相当し、
化合物Yは、化合物Y1に加えて、さらに化合物B2又は化合物Q2に相当する単官能(メタ)アクリレートモノマー(化合物Y2)を含むことが好ましく、
化合物Yは、化合物Y1又は化合物Y1及びY2に加えて、さらに化合物B3又は化合物Q3に相当する他の(メタ)アクリレート化合物(化合物Y3)を含むことが好ましい。
【0099】
本発明3における各要素の好適な態様は、本発明1における各要素の好適な態様に、以下のように対応している。
化合物X1の好適態様は、化合物A1又は化合物P1の好適態様に対する説明が妥当し、
化合物X2の好適態様は、化合物A2又は化合物P2の好適態様に対する説明が妥当し、
化合物X3の好適態様は、化合物A3又は化合物P3の好適態様に対する説明が妥当し、
化合物Yの好適態様は、成分B又は化合物Qの好適態様に対する説明が妥当し、
化合物Y1の好適態様は、化合物B1又は化合物Q1の好適態様に対する説明が妥当し、
化合物Y2の好適態様は、化合物B2又は化合物Q2の好適態様に対する説明が妥当し、
化合物Y3の好適態様は、化合物B3又は化合物Q3の好適態様に対する説明が妥当し、
化合物Zの好適態様は、成分C又は化合物Rの好適態様に対する説明が妥当し、
本発明3の半導体用光硬化性封止材は、本発明1の半導体用光硬化性封止材又は本発明2の製造結果物の好適態様に対する説明が妥当し、
本発明3の好適な製造条件は、本発明1で説明した成分Aの好適な合成条件を含む本発明1の半導体用光硬化性封止材の好適製造条件又は本発明1で説明した組成物Pの好適な合成条件を含む本発明2の好適製造条件に対する説明が妥当する。
【0100】
本発明1の半導体用光硬化性封止材、本発明2により製造される半導体用光硬化性封止材及び本発明3の半導体用光硬化性封止材(以下、本発明の半導体用光硬化性封止材ともいう)は、いずれも、硬化後の密着性及び表面低タック性に優れ、半導体製造における半田リフロー工程でも黄変しないほどの高い耐熱黄変性を有するため、各種の半導体用デバイスに好適であるが、以下の理由から半導体センサー用途により好適である。
【0101】
半導体センサーでは、他のデバイスに比べて以下の特性が要求される:
(1)センサーを被覆して封止するという構造上、センサーが正確な色彩で画像情報をキャッチするために高い透明性が要求される;
(2)近年、半導体センサー製造工程上、封止したあとに半田リフローに入るため、その加熱工程でも着色せず高い透明性を維持することが要求される;
(3)従前は、封止剤の上からガラス基板などで蓋をすることが主流だったところ、近年、コスト抑制の観点から脱ガラス基板化が進む一方で、封止材には、空気との直接接触による加熱時の黄変(酸化劣化)に対して高い耐熱透明性が要求され、UV硬化後にタックがあることによるほこり付着による不具合の発生を抑えることが要求される;
(4)以上の(1)〜(3)の特性を備えた上で、広く普及する加熱硬化や湿気硬化の封止材よりも短タクトで製造できる光硬化性及び封止後(特に光硬化後やリフロー後)に剥がれ難く、密着性が維持されることが要求される。
本発明の半導体用光硬化性封止材は、半導体センサーの封止に対するこれらの要求を十分に満たしている。
【実施例】
【0102】
〔配合原料〕
(1)成分A(組成物P、化合物X1及びX3)
5000KY55(コロイドゾル状のシリカ粒子(化合物A1、P1、X1)の存在下で、ゾルゲル法により、末端SiOH型アルコキシシラン(化合物A2、P2、X2)の加水分解縮合物(化合物A3、P3、X3)を合成してなる、化合物A1(化合物P1、X1)及び化合物A3(化合物P3、X3)を含有する脱溶媒された固形分100質量%の組成物;アトミクス社製試験品)。
【0103】
(2)成分B(化合物Q、化合物Y)
(2−1)化合物B1(化合物Q1、化合物Y1)
EB270(2官能脂肪族ウレタンアクリレート、重量平均分子量1500;ダイセル・オルネクス社製EBECRYL−270)
【0104】
(2−2)化合物B2(化合物Q2、化合物Y2)
HO−250(2−ヒドロキシエチルメタクリレート;共栄社化学社製ライトエステルHO−250(N))
4−HBA(4−ヒドロキシブチルアクリレート;大阪有機化学工業社製)
RM−1002(イソボルニルアクリレート;日本化薬社製、KAYARAD RM−1002)
【0105】
(3)その他のメタ(アクリレート)化合物
EB3700(2官能ビスフェノールAタイプエポキシアクリレート、重量平均分子量500;ダイセル・オルネクス社製EBECRYL3700)
575CB(6官能ウレタンアクリレートオリゴマー、重量平均分子量1000;荒川化学工業社製ビームセット575CB)
【0106】
(4)成分C(化合物R、化合物Z)
イルガキュア184(1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン;BASF社製)
【0107】
(5)イルガノックス1010(酸化防止剤;BASF社製)
【0108】
〔半導体用光硬化性封止材の製造条件〕
(1)実施例1の半導体用光硬化性封止材
脱溶媒工程を含む工程1を経た成分A(5000KY55)40質量部(40g)、化合物B1(EB270)60質量部(60g)、成分C(イルガキュア184)3質量部(3g)及び酸化防止剤(イルガノックス1010)0.5質量部(0.5g)を、容量0.7リットルのステンレス製容器に充填し、温度60℃で2時間、ミキサー(IKA社製、品番RW28)で撹拌混合する工程2を経て、粘性液状の実施例1の半導体用光硬化性封止材を得た。
(2)実施例2〜4及び比較例1〜7の半導体用光硬化性封止材
成分A、化合物B1又はB1及びB2を含む成分B、その他の(メタ)アクリレート化合物、成分C及び酸化防止剤を、表1に記載の質量部で、実施例1の半導体用光硬化性封止材と同じ条件で撹拌混合して、粘性液状の実施例2〜4及び比較例1〜7の半導体用光硬化性封止材を得た。
【0109】
〔評価項目と評価条件〕
(1)表面低タック性
バーコーター(安田精機社製、品名ROD No.22)を用いて、半導体用光硬化性封止材を、PETフィルム(パナック社製、品名ルミラー100T60、厚さ100μm)上に塗布して50μm厚の液状薄膜を作成する。
液状薄膜に、メタルハライドランプ(アイグラフィックス製ECS−301)にて1500mJ/cm
2の光を照射して硬化させ、硬化膜にする。
その後、硬化膜を指触して指先に液が付着するかどうかを確認し、
液が付着した場合を×、
液が付着しないが硬化皮膜に指跡がつく場合を△、
液が付着せず指跡もつかない場合を○、とした。
【0110】
(2)密着性
半導体用光硬化性封止材を、幅20
mm、長さ20mm、厚さ0.5mmになるように透明なスライドガラス(松浪ガラス社製S1127)と透明なPETフィルム(パナック社製、品名ルミラー100T60、厚さ100μm)で挟み込み、メタルハライドランプ(アイグラフィックス製ECS−301)にて1500mJ/cm
2の光を照射して硬化させた。
PETフィルムを剥がして試験片を目視し、スライドガラスから剥がれがあるかどうかを確認した。さらにリフローシミュレーター(malcom製 SRS−1C)にて260℃で5秒間加熱する作業を2回実施したのち、スライドガラスから剥がれがあるかどうかを再度確認した。
硬化後に剥がれがある場合を×、
硬化後に剥がれはないが、その後の加熱で剥がれが出た場合を△、
硬化後も剥がれが無く、その後の加熱でも剥がれない場合を○、とした。
【0111】
(3)耐熱黄変性
半導体用光硬化性封止材を、幅20
mm、長さ20mm、厚さ0.5mmになるように透明な
スライドガラス(松浪ガラス社製S1127)と透明なPETフィルム(パナック社製、品名ルミラー100T60、厚さ100μm)で挟み込み、メタルハライドランプ(アイグラフィックス製ECS−301)にて1500mJ/cm
2の光を照射して硬化させた。
【0112】
PETフィルムを剥がして、硬化した半導体用光硬化性封止材が付着したスライドガラス(試験片)を、リフローシミュレーター(malcom製 SRS−1C)にて260℃で5秒間加熱する作業を2回実施した。
【0113】
上記実施後の試験片の透過率を、紫外可視分光光度計(日本分光製V−570)にて測定し、
400nmの透過率が90%未満の場合を×、
400nmの透過率が90%以上の場合を○、とした。
【0114】
〔結果〕
表1に、実施例1〜4及び比較例1〜7の試験結果をまとめた。
【0115】
【表1】
【0116】
表1から、以下がわかる。
成分A(組成物P、化合物X1及びX2)を含まない比較例1及び2は、耐熱黄変性が十分でなく、成分B(化合物B1(化合物Q1、化合物Y1))を含まない比較例3〜7は密着性が十分でない。
成分A(組成物P、化合物X1及びX2)、成分B(化合物B1(化合物Q1、化合物Y1))及び成分Cを含むと、密着性及び表面低タック性を維持して、耐熱黄変性を大きく向上でき、さらに成分Bが化合物B2(化合物Q2、化合物Y2)を含むと、密着性がさらに向上しで、密着性、表面低タック性及び耐熱黄変性が高い水準で並立する。