(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ファンを駆動させるモータと電源部とを備える本体部と、前記本体部と係合する背面カバーとを備え、前記本体部と前記背面カバーとが分離可能に係合して空調衣服に装着可能な空調衣服用送風機であって、
前記本体部は、
前記電源部に接続する通電可能な第3接触部と、
前記モータに接続する通電可能な第4接触部と、
を備え、
前記背面カバーは、
前記第3接触部及び前記第4接触部と当接する導電部、
を備え、
前記導電部は、前記本体部と前記背面カバーとが係合する際に、前記第3接触部に当接するとともに前記第4接触部に当接して、前記電源部から前記モータに供給される電力を中継することを特徴とする空調衣服用送風機。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の好ましい実施形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下において参照する各図面では、互いに共通する部材には同一符号を付しており、それらに関する重複する説明は省略する。
【0018】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態における空調衣服用送風機1を示す正面図である。空調衣服用送風機1は、空調衣服100に装着して使用されるものである。空調衣服用送風機1は、空調衣服100に形成される取付孔に挿通させることにより空調衣服100に装着する。空調衣服用送風機1は、モータにより駆動するファンを有する送風ユニット2と、送風ユニット2に電力を供給する電源ユニット3とを備えて構成される。
【0019】
送風ユニット2は、ファンと、ファンを駆動させるモータと、ファン及びモータを収容する第1筐体6とを備える。第1筐体6は、正面視円状に樹脂にて形成され、モータ及びファンを収容する。第1筐体6は、電源ユニット3から供給される電力を通電可能な第1接触部14を備える。ファンは、回転軸42に接合される。
【0020】
第1接触部14は、通電可能な金属板により構成される。第1接触部14は、第1筐体6における所望の位置に配設可能であり、好ましくは、電源ユニット3に備えられる第2筐体8と近接する位置に配設される。第1接触部14は、第1筐体6と一体形成されてもよいし、分離可能であってもよい。
【0021】
電源ユニット3は、電池を収容可能な第2筐体8を備える。第2筐体8は、正面視略矩形状に形成される。第2筐体8は、前面側から背面側に貫通する貫通孔を有する。貫通孔は、第1筐体6を挿通可能な形状に形成され、好ましくは、第1筐体6を貫通孔に挿通させて係合可能な形状に形成される。
【0022】
第2筐体8は、バッテリ10を収容する保持部12を複数備える。バッテリ10は、例えば蓄電池により構成される。第2筐体8は、バッテリ10から電力を第1筐体6に収容されるモータに供給するための第2接触部16を備える。第2接触部16は、通電可能な金属板などにより構成される。第2接触部16は、第1接触部14に対応する位置に配設される。第2接触部16は、第1筐体6と第2筐体8とが係合する際に、第1接触部14と当接する。図例では、第2接触部16は、第2筐体8に形成される貫通孔周縁の第1接触部14に対応する位置に配設される。第2接触部16は、第2筐体8と一体形成されてもよいし、分離可能であってもよい。
【0023】
図2は、第1実施形態における空調衣服用送風機1の側面図である。送風ユニット2は、電源ユニット3と着脱自在に係合する。送風ユニット2は、電源ユニット3の第2筐体8に形成される貫通孔に第1筐体6を挿通させることにより電源ユニット3に係合する。
【0024】
第1筐体6は、フランジ20を備える。フランジ20は、ファンを回転させた場合における気流方向F1から見て第1筐体6の後方側に形成される。フランジ20は、第1筐体6の後方側の外縁から外側に延出して形成される。
【0025】
第1筐体6を第2筐体8に形成される貫通孔に気流方向F1から挿通させると、フランジ20が第2筐体8の貫通孔周縁に当接する。すなわち、フランジ20と第2筐体8の貫通孔周縁とが当接することにより、第1筐体6と第2筐体8とが係合する。
【0026】
第1筐体6と第2筐体8とが係合する際に、第2筐体8は、第1筐体6における回転軸42を中心とするファンの外径より外側に配置される。回転軸42を中心としてファンが回転する際、気流方向F1に空気が流れる。第2筐体8がファンの外径より外側に配置されていることにより、第2筐体8が空気の流れの妨げとなることを防止できる。
【0027】
第1筐体6と第2筐体8とが係合する際に、第1接触部14と第2接触部16とが当接する。これにより、電源ユニット3から送風ユニット2に電力が供給され、送風ユニット2のモータが駆動するのである。第1接触部14は、図示しないがバネなどにより第2接触部16に当接する方向に付勢されてもよい。或いはこれとは異なり、第2接触部16が第1接触部14に当接する方向にバネなどにより付勢されてもよい。これにより、第1接触部14と第2接触部16とがより確実に当接し、良好に通電可能となる。
【0028】
モータの駆動によってファンが回転すると、空調衣服100の外側から空気を吸入するとともに、空調衣服100内において気流方向F1に向かって空気が排出される。空調衣服100内に排出された空気は、袖部や首部における開口から外部に排出される。すなわち、空調衣服100内の空気が沈滞することなく流れるため、着用者の皮膚表面から熱を奪うのである。これにより、着用者の体温の異常な上昇を防止し、熱中症などを回避できるのである。
【0029】
図3は、第1実施形態における電源ユニット3の一例を示す斜視図である。第2筐体8は、厚さ方向に貫通する貫通孔を備える。貫通孔は、正面視第1筐体6の断面と略同形状に形成されるとともに、第1筐体6を挿通可能である。
【0030】
第2筐体8は、薬剤を収納可能な収納部32を備える。収納部32は、貫通孔周縁に設けられるとともに、貫通孔と壁面にて隔てられる。収納部32は、貫通孔側の壁面に通気部30を備える。通気部30は壁面を貫通する孔により構成されてもよいし、通気可能な繊維により構成されてもよい。
図3に示す例では、通気部30は収納部32と貫通孔とを隔てる壁面に形成される切り欠きである。
【0031】
収納部32には、消臭剤や防虫剤などの薬剤を浸潤させた布や綿などの繊維を有するものを収容可能である。通気部30を経由して、ファン側から空気が流入し、或いは収納部32からファン側に空気が流出する。通気部30の構成・機能等について後述する。
【0032】
図4は、第1実施形態における電源ユニット3の一例を示す正面図である。上述したとおり、第2筐体8は中央付近に厚さ方向に貫通孔を有する。第2筐体8は、バッテリ10を収納する保持部12を貫通孔周縁に備える。保持部12は、バッテリ10の形状に対応する形状に形成される枠であり、第2筐体8に一体形成される。
【0033】
図3及び
図4に示す例では、第2筐体8は複数の保持部12を備える場合を示したが、これとは異なり、複数のバッテリ10を収容可能な一の保持部12を備えてもよい。これにより、第2筐体8の形成のための工数を減少させることができる。
【0034】
第2筐体8は、貫通孔の内周面に第2接触部16を備える。第2接触部16は、第1筐体6に形成される第1接触部14に対応する位置に配設される。第2接触部16は、バネ等により貫通孔中心軸方向に付勢されてもよい。
【0035】
第2筐体8は、貫通孔周縁に薬剤を収納可能な収納部32を備える。上述したとおり収納部32は、貫通孔周縁に備えられる。収納部32は、送風ユニット2と電源ユニット3が係合する際にファンの外縁近傍に位置するように配置される。収納部32は、収納部32と貫通孔とを隔てる壁面に通気部30を備える。通気部30は、貫通孔とを隔てる壁面に貫設される孔であってもよいし、切欠きであってもよい。
【0036】
図5は、第1実施形態における通気部30周辺を拡大する図である。
図5(a)の例では、通気部30は、収納部32と貫通孔とを隔てる壁面の上辺に形成される切欠きである。ファンの回転により気流方向F1(
図2参照)に空気が押し出されると、ファン側の気圧が収納部32内の気圧と比較して高くなる。
【0037】
そのため、ファン側から通気部30を経由して空気が収納部32内に流入する。収納部32は気流方向F1に向かって後方であってファンに対向していない壁面に孔を有する(図示せず)。ファン側から流入した空気がこの孔から流出する際に、収納部32に配置される薬剤が気化することにより発生する粒子が空気とともに排出される。
【0038】
空気とともに排出される粒子は、電源ユニット3及び送風ユニット2に形成される溝を経由して空調衣服100外に排出される。例えば収納部32内に防虫剤を浸潤させた繊維等を配置することにより、ファンが回転すると防虫剤が気化して発生する粒子が空調衣服100外に排出される。これにより、粒子が空調衣服100の周辺に浮遊するため、着用者の身辺から害虫などを遠ざけることが可能となる。
【0039】
なお、通気部30は、ファン側から収納部32側にかけて、気流方向F1に対して漸次前方側に傾斜するとより好ましい。気流方向F1に向かって押し出される空気が、ファン側から通気部30にさらに流入し易くなるからである。
【0040】
図5(b)に示す例では、通気部30は、収納部32と貫通孔とを隔てる壁面に貫設される孔である。図例では、通気部30は気流方向F1(
図2参照)に向かって後方に形成される。ファンが回転することにより、ファン側の空気は収納部32内の空気に比べて気圧が高まる。
【0041】
この場合、気圧の高いファン側の空気が通気部30を経由して収納部32内に流入する。それとともに、気圧の低い収納部32内の空気が通気部30からファン側に押し出される。これにより、収納部32内において薬剤が気化して発生する粒子が通気部30を経由してファン側に排出される。そして、これら粒子はファンの回転により惹起される気流方向F1に向かって拡散される。
【0042】
例えば、収納部32内に消臭剤等を浸潤させた繊維が配置される場合に、気化した消臭剤等の粒子は通気部30を経由してファン側に排出されるとともに、気流方向F1に向かって空調衣服内に拡散される。
【0043】
この場合、通気部30を構成する孔は、収納部32からファン側にかけて、気流方向F1に対して漸次前方側に傾斜するのがより好ましい。これにより、気圧の低い収納部32内の空気が通気部30を通ってファン側に排出され易くなるため、薬剤の粒子がファン側に効率的に排出される。
【0044】
図6は、第1実施形態における送風ユニット2の一例を示す側面図である。送風ユニット2は、ファンとモータとを収容する第1筐体6を備える。第1筐体6は、電源ユニット3から供給される電力を通電可能な第1接触部14と、背面側に形成されるフランジ20(第1フランジ)とを備える。
【0045】
第1筐体6は、ファンと、モータを格納するモータ格納部40と、モータ格納部40から気流方向F1に向かって立設する回転軸42とを収容する。モータは、ACモータを用いてもよいし、DCモータでもよい。第1筐体6は、側面視ドーム状に構成され、ファンが回転することにより発生する気流方向F1に向かって尖塔を形成する。
【0046】
第1接触部14は、第1筐体6の側壁に突出して形成される。第1接触部14は、第2筐体8における第2接触部16に対応する位置に配設される。第1接触部14は、外方に向けてバネ等により付勢されてもよい。
【0047】
フランジ20(第1フランジ)は、気流方向F1に向かって後方側の第1筐体6の端部から外方に連続して延出する。フランジ20は、第1筐体6と一体形成されてもよいし、分離可能に合着されてもよい。
【0048】
図7は、第1実施形態における空調衣服用送風機1の構成の一例を示す側面図である。本実施形態における空調衣服用送風機1を空調衣服100に装着する際に、送風ユニット2を空調衣服100の外面側から取付孔に気流方向F1に向かって挿通させる。フランジ20(第1フランジ)は、取付孔周縁の布に当接するサイズに形成される。フランジ20(第1フランジ)が取付孔周縁の布に当接することにより、送風ユニット2の空調衣服100への進入が止まる。
【0049】
フランジ20(第1フランジ)が取付孔周縁の布に当接している状態で、空調衣服100の内面側から送風ユニット2を電源ユニット3の貫通孔に挿通させる。第2筐体8の貫通孔は、第1筐体6の回転軸42に直交する断面形状に対応する形状を備える。そのため、送風ユニット2は電源ユニット3の貫通孔に挿通されるとともに、両者は良好に係合する。
【0050】
送風ユニット2と電源ユニット3とが係合すると、第1接触部14と第2接触部16とが当接する。これにより、電源ユニット3から送風ユニット2に電力が供給される。電源ユニット3から送風ユニット2へケーブルを経由することなく電力が供給されるため、空調衣服100の着用者の動作にかかわらずケーブルの破損のおそれがなく、安定的に電力を供給可能となる。さらに、第1接触部14と第2接触部16とが互いに押圧し合うことにより、送風ユニット2と電源ユニット3との係合がより強固になる。
【0051】
第2筐体8は、受け部22(第1受け部)を備える。空調衣服100に空調衣服用送風機1が装着される際に、受け部22(第1受け部)は、フランジ20(第1フランジ)との間に取付孔周縁の布を挟持する。これにより、空調衣服用送風機1は、空調衣服100から脱落することなく良好に装着可能となる。
【0052】
本実施形態において送風ユニット2は、モータのON/OFFを制御する操作部を第1筐体6における気流方向F1に向かって後方側に配設する。空調衣服100に空調衣服用送風機1を装着すると、操作部が外面側に露出する。そのため、空調衣服用送風機1のON/OFFの切替操作を容易に行うことが可能となる。
【0053】
(第2実施形態)
図8は、本発明の第2実施形態における空調衣服用送風機1を示す側面図である。第2実施形態において、送風ユニット2はファンを収容する第1筐体6を備える。第1筐体6は、ドーム状の尖塔部付近にモータ格納部50を備える。第1筐体6は、モータ格納部50は回転軸42の一端側に接続する。
【0054】
回転軸42の反対側端部に、第1接触部14を備える。第2実施形態において、第1接触部14は導電性を有する金属により構成されるピンホールである。第1接触部14は、気流方向F1に向かって後方側に形成される。第1接触部14は、第2筐体8に形成される第2接触部16に対応する位置に形成される。
【0055】
電源ユニット3は、第2筐体8を備える。第2実施形態において、第2筐体8は前面側の中央部近傍にバッテリ10を収納する保持部12を備えるとともに、第2接触部16を備える。第2接触部16は、前面側中央部近傍において、第1接触部14に対応する位置に形成される。保持部12は、前面側中央近傍において前方向に突出して形成される。
【0056】
第2実施形態において、第2筐体8は後方部の中心から延出するフランジ60(第2フランジ)を備える。第1筐体6は、フランジ60と当接可能な受け部62(第2受け部)を備える。
【0057】
第2実施形態における空調衣服用送風機1を空調衣服100に装着する方法を説明する。空調衣服100の取付孔を挟んで内面側に送風ユニット2を配置するとともに、空調衣服100の取付孔を挟んで外面側に電源ユニット3を配置する。第2筐体8の中央部近傍に形成される保持部12及び第2接触部16を取付孔に挿通させ、空調衣服100の内面側に配置される第1接触部14と第2接触部16とを当接させる。
【0058】
第1筐体6の背面は、保持部12を含む第2筐体8の前面に係合可能な形状に形成される。そのため、第2筐体8の前面が第1筐体6の背面に係合するとともに、第1接触部14と第2接触部16とが当接する。第1接触部14と第2接触部16とはケーブルを経由することなく当接することにより通電可能となる。これにより、電源ユニット3から送風ユニット2に対してケーブルを経由することなく電力を供給可能となるため、空調衣服100の着用者の動作にかかわらずケーブルの損傷は発生せず、安定的に電力を供給できる。
【0059】
フランジ60(第2フランジ)は取付孔より大きいサイズを有する。そのため、フランジ60(第2フランジ)は取付孔周縁の布に当接する。また、受け部62(第2受け部)は取付孔周縁の布をフランジ60(第2フランジ)と挟持する。そのため、取付孔を挟んで送風ユニット2と電源ユニット3とを係合させることにより、空調衣服用送風機1を空調衣服100に簡便に装着できるとともに、空調衣服100からの脱落を防止できる。
【0060】
図9は、第2実施形態における電源ユニット3の背面図である。第2筐体8は、中央部近傍に保持部12を備え、中心から放射状に延びる複数のスポーク70を備える。スポーク70の外側端部から連続してフランジ60(第2フランジ)が外側に延出する。
【0061】
スポーク70同士の間には通気可能な空隙が形成されるため、ファンの回転に応じてこの空隙を通って空気がファンの方向に吸い込まれる。フランジ60(第2フランジ)は受け部62(第2受け部)に当接可能に形成され、所定幅を有する。第2実施形態における第2筐体8の背面の径は、空調衣服100の取付孔の径より大きい。
【0062】
そのため、フランジ60(第2フランジ)は、空調衣服100に装着する際に、取付孔周縁の布に当接する。そして、取付孔を挟んで内面側から送風ユニット2の受け部62(第2受け部)がフランジ60(第2フランジ)に当接可能な位置に配設されることから、フランジ60(第2フランジ)と受け部62(第2受け部)により取付孔周縁の布が挟持される。
【0063】
第2実施形態において、第2筐体8は、気流方向F1に向かって背面側に発光部を備えてもよい。一例として、発光部は、第2筐体8の背面側の所定位置にLEDランプを配置し、バッテリ10から供給される電力により発光する。或いはこれとは異なり、発光部は、第2筐体8の背面側の所定位置に蛍光塗料或いは燐光塗料を塗布することにより、光を反射或いは放射してもよい。
【0064】
(第3実施形態)
図
10は、本発明の第3実施形態における空調衣服用送風機1の側面図である。第3実施形態における空調衣服用送風機1は、送風ユニット2と、送風ユニット2に電力を供給する電源ユニット3と、空調衣服100の取付孔周縁の布をフランジ20(第1フランジ)と挟持する留めリング74とを備える。
【0065】
送風ユニット2は、ファンを収容する第1筐体6を備える。第1筐体6は、側面の所定位置に第1接触部14を備える。第3実施形態における第1接触部14は、導電性を有する金属により鈎状に形成される。
【0066】
第1筐体6は、消臭剤や防虫剤などの薬剤を浸潤させた布等の繊維で構成される物を収納する収納部(図示せず)をドーム状の尖塔部近傍に備えてもよい。収納部は、外方に通気部を備える。気流方向F1に向かってファンの前方側に収納部が配設されることにより、ファンの回転により生じる気流によって薬剤の粒子が良好に拡散可能となる。
【0067】
電源ユニット3はバッテリ10を収容する第2筐体8を備える。第2筐体8は、第1筐体6の第1接触部14に係合可能な第2接触部16を備える。第2接触部16は、第2筐体8の外方に鈎状に突出する形状であり、第1接触部14に係合する。第2筐体8は、第2接触部16が第1接触部14に係合することにより、第1筐体6と係合する。
【0068】
留めリング74は中央部に孔を有するリング状に形成される。第1筐体6と第2筐体8とが係合している状態において、前方から第1筐体6を留めリング74の孔に挿通可能である。留めリング74の孔は、第1筐体6の回転軸42に直交する断面形状に対応する。
【0069】
第1筐体6が留めリング74に挿通されると、フランジ20(第1フランジ)が留めリング74に当接する。第3実施形態における空調衣服用送風機1を空調衣服100に装着する場合、空調衣服100の外面側から第1筐体6を取付孔に挿通させる。第1筐体6のフランジ20は取付孔より径が大きく形成されるため、取付孔周縁の布に当接する。
【0070】
空調衣服100の内面側から留めリング74の孔に第1筐体6を挿通させることにより、留めリング74とフランジ20(第1フランジ)によって取付孔周縁の布を挟持可能となる。これにより、空調衣服用送風機1を空調衣服100に装着でき、また、空調衣服100からの脱落を防止できる。
【0071】
(第4実施形態)
図11は、本発明の第4実施形態における空調衣服用送風機1の構成を示す図である。第4実施形態において、空調衣服用送風機1は、ファンを駆動させるモータとバッテリ10(電源部)とを備える本体部90と、本体部90と係合可能な背面カバー94とを備える。
【0072】
本体部90は、モータを格納するモータ格納部40と、バッテリ10を収容する保持部12と、回転軸42周辺に配設されるファンとを備える。本実施形態において、これらは一の筐体内に格納される。モータ格納部40及び保持部12は、ファンの回転を阻害しない位置に配設される。なお、バッテリ10とモータとは、筐体内においてケーブル等により互いに接続されるものではない。したがって、本体部90のみではモータに電力が供給されないため、モータは駆動しない。
【0073】
本体部90は、背面カバー94に形成される第2係止部76と係合する第1係止部75を備える。第1係止部75は、例えば筐体の内面に形成される螺子溝である。これとは異なり、第1係止部75は、筐体の外面に形成されてもよい。
【0074】
背面カバー94は、気流方向F1に向かって本体部90の背面側に係合するとともに、本体部90の背面側を閉塞することにより、本体部90の筐体内に配設されるモータ等の構成要素を保護する部材である。背面カバー94は、本体部90の第1係止部75に対応する位置に第2係止部76を備える。第2係止部76は、第1係止部75に対応する形状に形成される螺子溝である。
【0075】
本体部90と背面カバー94とが係合する際に、これら両者の当接する部位において、空調衣服100に形成される取付孔周縁の布を挟持する。これにより、本実施形態における空調衣服用送風機1が空調衣服100に装着される場合に、空調衣服100から脱落するのを抑制する。
【0076】
なお、上記とは異なり、本体部90と背面カバー94とは、互いに嵌合する形状を備えてもよい。この場合に、本体部90は第1係止部75を有していなくてもよいし、背面カバー94は第2係止部76を有していなくてもよい。
【0077】
図12は、第4実施形態における本体部90の正面図である。本体部90は、上述したとおり筐体内にモータ格納部40と保持部12とを備える。本体部90は、筐体内周に第1係止部75を備える。
【0078】
本体部90は、バッテリ10を収容する保持部12とケーブルにより接続する第3接触部78を備える。第3接触部78は通電可能な金属等により形成されるとともに、第1係止部75内の所定位置に配設される。
【0079】
本体部90は、モータ格納部40に格納されるモータとケーブルにより接続する第4接触部79を備える。第4接触部79は通電可能な金属等により形成される。第4接触部79は、第1係止部75内において第3接触部78と接しない位置に配設される。
【0080】
図13は、第4実施形態における背面カバー94の斜視図である。背面カバー94は、本体部90に対して背面側から係合する。背面カバー94は、螺子溝により構成される第2係止部76を備え、第2係止部76は第1係止部75と係合可能である。
【0081】
背面カバー94は、第3接触部78及び第4接触部79と当接する導電部77を備える。導電部77は第3接触部78及び第4接触部79に対応する位置に配設される。導電部77は、本体部90と背面カバー94とが係合する際に、第3接触部78と当接するとともに第4接触部79と当接する。導電部77は通電可能な金属等により形成される。
【0082】
導電部77は、第2係止部76内に配設される。導電部77は、第2係止部76内において第3接触部78及び第4接触部79に対応する位置に配設される。すなわち、第1係止部75と第2係止部76とが係合する際に、導電部77は第3接触部78及び第4接触部79に当接する。
【0083】
導電部77が第2係止部76内に配設されるとともに、第3接触部78及び第4接触部79が第1係止部75内に配設される場合に、第1係止部75と第2係止部76とを係合させると、導電部77が第3接触部78及び第4接触部79に夫々当接することになる。そうすると、導電部77と第3接触部78及び第4接触部79とを当接させるための位置合わせを行わなくとも、第1係止部75と第2係止部76とを係合させれば十分なのであり、作業の効率性が高まる。
【0084】
導電部77は、第3接触部78及び第4接触部79と当接すると、両者の間において電力を中継する。すなわち、バッテリ10から第3接触部78に送電され、第3接触部78から導電部77を中継して第4接触部79に電力が到達する。そして、第4接触部79からケーブルを経てモータ格納部40に格納されるモータに電力が供給される。
【0085】
本体部90と背面カバー94とが係合することにより、モータに電力が供給されて駆動可能となる。本実施形態における空調衣服用送風機1を使用しないときには背面カバー94と本体部90とを分離しておくことにより、バッテリ10の電力損耗を抑制することが可能となる。
【0086】
また、本体部90と背面カバー94とが係合していない状態では、本体部90の背面側が開口する。背面カバー94と係合していない状態においてモータへ電力が供給されないため、幼児が本体部90の開口から指を内部に挿入した場合でも、ファンの回転による指の損傷は生じず、安全性が高まる。
【0087】
なお、第3接触部78及び第4接触部79は第1係止部75外に配設されてもよいし、導電部77は第2係止部76外に配設されてもよい。導電部77は、本体部90と背面カバー94とが係合する際に、第3接触部78及び第4接触部79と当接する。
【0088】
(空調衣服100について)
図14は、空調衣服用送風機1を取り付けた空調衣服100の一例を示す図である。
図14(a)は、空調衣服用送風機1を装着した状態の空調衣服100の背面図である。空調衣服100は、取付孔を背面側下部に備える。図例では複数の取付孔を備える場合を示すが、取付孔は一つであってもよい。
【0089】
空調衣服用送風機1が駆動すると、空調衣服100の外側から空気を吸入して空調衣服100の内側に排出する。これにより、空調衣服100を着用する着用者の汗の蒸発を促し、着用者の体温の上昇を抑制する。
【0090】
空調衣服100は、肩部と袖部との境付近に絞り部104(通気調整部)を備える。絞り部104(通気調整部)はゴム等の弾性体を袖部に縫い込んで構成してもよい。或いは、袖部に内周幅の調整用ひもを巻回させて構成してもよい。絞り部104(通気調整部)は、空調衣服100の胴体部から袖部に流入する空気量を調整する機能を備える。
【0091】
絞り部104(通気調整部)を絞ることにより袖部の内周幅を狭くすると、胴体部から袖部に流入する空気量が少なくなる。空調衣服用送風機1が駆動すると、空調衣服用送風機1を通して空調衣服100内に空気が流入するため、空調衣服100内側の空気の容積が増大し、空調衣服100が膨張する。絞り部104(通気調整部)を絞ると、袖部内周幅が狭くなるため、袖部への空気流入量を抑制できるため、袖部が空気で膨張するのを抑制できる。これにより、着用者の腕の動きが膨張した袖部により妨げられるのを防止できるのである。
【0092】
図14(b)は、空調衣服用送風機1の装着箇所を拡大した図である。図例では、第1筐体6のフランジ20(第1フランジ)が空調衣服100の外側に露出するとともに、第2筐体8は空調衣服100の内側に隠蔽される。
【0093】
取付孔周縁の布がフランジ20(第1フランジ)と受け部22(第1受け部)により挟持されるため、空調衣服用送風機1が良好に装着される。また、第1筐体6の背面側にモータ駆動を制御する操作部を取り付けてもよい。空調衣服100から露出する箇所に操作部が備えられることにより、着用者が容易に操作可能となる。
【0094】
(変形例)
以上、本発明に関する実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態において説明したものに限定されるものではなく、種々の変形例が適用可能である。
【0095】
例えば上記実施形態では、薬剤を浸潤させた布などを収納可能な収納部32を備える場合について説明した。しかし、本発明はこれに限らず、第1筐体6は薬剤を浸潤させた布などを配置できる薬剤配置部を備えてもよい。一例として薬剤配置部は、第1筐体6の気流方向F1に向かって前方の表面側に備えられ、布を貼付可能な平板状の樹脂にて構成される。薬剤配置部は通気孔を備えてもよい。
【0096】
例えば上記実施形態では、第1筐体6と第2筐体8とを嵌め合わせることにより送風ユニット2と電源ユニット3とを係合させる場合を説明した。しかし、本発明はこれに限らず、送風ユニット2と電源ユニット3とを係合させるため、例えば螺子部材等を用いてもよい。
【解決手段】モータにより駆動するファンを有する送風ユニット2と、送風ユニット2に電力を供給する電源ユニット3とを備える空調衣服用送風機1であて、送風ユニット2は、ファンを収容する第1筐体6を備え、電源ユニット3は、電池を収容する第2筐体8を備え、第1筐体6は、電源ユニット3により供給される電力を通電可能な第1接触部14を備え、第2筐体8は、第1接触部14に対応する位置に配置されるとともに、第1接触部14に当接する第2接触部16を備え、第1筐体6と第2筐体8とは、互いに着脱自在に係合可能な形状を備えることを特徴とする。