(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
これまでは、顧問先が会計ソフトを利用して取引内容を元にした仕訳データとして複式簿記形式で入力するか、または現金出納帳等のような単式簿記形式で取引内容を記帳していた。ここで言う記帳とは、顧問先が取引内容を帳簿に記載することをいう。顧問先が会計ソフトを利用する場合は自計化のように決算まで行うケースと、自計化しない場合は日々の取引内容の記帳のみを行い、単式簿記形式の場合は取引内容、複式簿記形式の場合は取引内容を元とした仕訳データを会計事務所へ渡し、会計事務所では、受け取った取引内容または仕訳データから正しい仕訳を作成して、決算処理まで行う。
【0010】
正確性や信頼性の観点から、顧問先では記帳のみを行って会計事務所にデータを渡し、仕訳処理は会計事務所で行うことも多いが、顧問先において会計ソフトで仕訳データまで作成するものがある。このように、顧問先において、従来から使用している会計ソフトで仕訳データを作成するケースは、入力形式や入力すべき項目の科目データなどにより以下のように分類される。
【表1】
【0011】
ケースA〜Bは、単式簿記の出納帳による処理の説明である。単式簿記の場合、出納帳では、各出納帳(科目を示す帳簿)を選択した時点で、自科目データは決まる。例として銀行から¥1,000を現金で引き出す取引について単式簿記で記帳すると、「入金 ¥1,000」と現金出納帳に記帳することで、現金出納帳での自科目データが現金に決まる(ケースA)。この場合は、相手科目について何ら記入されず未決となるため、仕訳データを作成することができない。このようなケースで、さらに記入者が現金出納帳の相手科目データに「相手科目 預金(預金出納帳)」を記入することもでき、この場合は自科目と相手科目が定まって仕訳データを作成可能となる(ケースB)。しかしながらこれはあくまでも備忘録として記載されるものであり、この取引について正確に仕訳処理を行おうとすると、別途預金出納帳に「出金 ¥1,000」を記帳する必要がある。換言すると、ケースAでは現金出納帳の例だと、自科目は現金だとわかるが、相手科目がわからないので、複式簿記の仕訳形式へ転記することができないが、相手科目データも入力している場合(ケースB)は複式簿記の仕訳形式へ転記することができるので、会計処理(仕訳データの作成)を行うことができる。
【0012】
ケースC〜Fは、複式簿記の仕訳帳または伝票形式による処理の説明である。複式簿記にて会計処理を行うためには、科目データは、ケースFのように借方科目と貸方科目の両方が入力(決定)されていることが必要となる。つまり、ケースC〜Eのように、科目データが不十分な状態では、会計処理(仕訳データの作成)を行うことが不可となる。
【0013】
取引が、現金や預金のみをベースとしていれば、出納帳形式の入力のみで、会計事務所へ渡すのに十分な仕訳データを顧問先にて作成することが比較的容易にできる。しかしながら、一般的には、売掛や買掛といった現金や預金以外の取引が商慣習上多く発生する。売掛や買掛といった取引が発生した場合は、単式簿記の形態である出納帳形式では売掛や買掛といった科目毎に出納帳を用意して取引内容を入力する必要があり、一つの出納帳ですべての取引を入力できないため、複式簿記の形態である仕訳帳や伝票形式にて入力して仕訳データを作成することになる。
【0014】
前述の通り、複式簿記の形式にて入力して仕訳データを作成する場合は、科目データに、借方科目を貸方科目の両方が入力(決定)していることが、仕訳データを元に会計事務所で正しい仕訳を作成する前提条件となる。つまり、上述のC〜Eのケースでは会計事務所にて正しい仕訳が作成できないことになる。そのため、顧問先では、複式簿記の形式にて入力する仕訳データについては、何らかの形で、科目データへ借方科目と貸方科目を入力して、ケースFのように、借方科目を貸方科目の両方が入力(決定)されているようにすることが求められる。
【0015】
仕訳データを作成できるようにするために、ケースC〜Eのような状態(借方科目と貸方科目のどちらか一つ、またはどちらも未決)から、ケースFのような状態(借方科目と貸方科目のどちらも決定済)とするには、上述したように、従来から種々の手法にて科目データの入力を支援する方法がある。
【0016】
しかしながら、例えば特許文献1のように、予め用意された、取引内容を細分化したリストから順番に選択することで、仕訳入力を行なう場合は、取引内容が定型化され細分化項目が少なければ、入力の手間が省力化できるが、取引内容が多い場合は、リストからの選択肢が増えることになり、正確な項目を選択することが難しくなる。また予め選択肢を用意する方式では、例外的な取引が発生した場合の対応が困難になるといった問題がある。
【0017】
また、例えば特許文献3のように、取引内容からオペレータが摘要を入力し、摘要辞書と照合し勘定科目を抽出して仕訳入力を行なう場合は、勘定科目に関する知識が無くても取引を登録し、形式的にはそれらしい勘定科目による仕訳登録が可能である。しかし、簿記や仕訳入力の知識が乏しい人間が入力を行うと、不適切な勘定科目がそのまま決定されてしまうという問題があり、また勘定科目が記入済みの伝票または伝票データを渡された会計事務所でも間違いに気づきにくいという問題がある。
【0018】
会計ソフトが有する摘要辞書を使用すれば、会計知識がない人でもある程度までは取引情報を基に勘定科目を設定することが可能ではあるが、顧問先の業種や規模によって異なる取引情報から消費税区分等を考慮した勘定科目などの選択・入力となると、摘要辞書から選択する場合にも会計知識が必要となり、知識のない人にとって入力困難となるといった問題もある。
【0019】
いずれの方法も、その目的とするところは、仕訳データ作成に必要な借方科目と貸方科目のデータの入力を支援することである。言い換えれば、取引の実情と合致しなくても、仕訳データを作成するためだけに必要な借方科目と貸方科目のデータさえ形式的に入力されていれば、科目と取引の内容が合致していなくとも、それらしいデータを作成することができてしまう。
【0020】
会計事務所では、顧問先から受け取ったデータについて、摘要情報に必要十分な仕訳入力の元となった取引内容が入力されていれば、勘定科目の正当性を検証することができるが、会計知識のない入力者の場合は、取引内容と照らし合わせて、必要十分な摘要情報を入力することなく、データを作成してしまう傾向があるため、会計事務所から顧問先への確認作業が発生するなどの問題がある。またそのようなデータがある場合は会計事務所で顧問先が作成した全ての仕訳についてチェックする必要が生じる。
【0021】
従来から使われている、顧問先で会計ソフトを利用して仕訳入力を行なうためのソフトの多くは、仕訳入力から財務諸表の作成までできる機能を有しているものがあるが、精度の高い財務諸表の作成は、正確な仕訳データの作成(勘定科目が正しいことが前提)の上に成り立つものである。上述のように顧問先で決定される仕訳データがあいまいな場合(誤った科目を含む場合)、的確な財務諸表の作成が困難となるため、顧問先にとっては財務諸表の作成機能を有効活用できない結果となる。財務諸表の作成は、会計処理のノウハウがある会計事務所にて正確な勘定科目が決定されて、会計事務所主導で作成することが適切ということは、逆に考えると、顧問先では、余分な機能が付加された高額かつ複雑な操作を求められるソフトを使わざるを得ないという問題がある。
【0022】
また、中堅規模の企業などでは、経理処理をする専任者以外の担当者も経理処理を行うケースがあるが、簿記知識の不十分な者にとって、会計ソフトを利用した仕訳入力は難しいという問題がある。
【0023】
また、中堅規模の企業などでは、経理処理をする専任者を雇用して、自計化の処理に割り当てることがあるが、専門職を雇用するため人件費の増加という問題がある。
【0024】
また、会計事務所において、顧問先で入力した仕訳について摘要情報と勘定科目が正しいかどうかのチェックは、会計事務所のチェック担当者が原始伝票と比較しながら目視で行う必要があり、チェック件数が1000件以上のように多いと担当者の負担が大きいという問題がある。
【0025】
さらに、従来の現金出納帳などの単式簿記による入力形式では、処理し得ない取引事象も多く存在する。例えば、ある顧問先において販売目的のために1000万円で自動車を現金で仕入れ(取引1)、その翌年にその在庫自動車を業務用に転用した場合(取引2)を想定する。現金出納帳では取引1は以下のように自科目に「現金仕入」、相手科目に「商品(棚卸資産)」を記入して記帳できるが、取引2は現金の処理がないため現金出納帳に記帳できないという問題がある。
【表2】
【0026】
従来も質問式により取引情報を取得する記帳方式は提案されており、その場合は最初に帳簿を選択し、次に取引を選択し、選択した取引を元に取引内容を生成するという順番で取引情報を取得していくものであった。この場合、例えば現金出納帳を選択した時点で現金として自科目が決定され、取引選択のために以下のような質問体系で取引情報を取得し、取得した取引情報を元に相手科目を決定することができたが、それでも上記取引2のような事象は現金出納帳の入力画面のため記帳できなかった。
【表3】
【0027】
上記のような問題に鑑み、本発明は、会計事務所の顧問先企業などで、会計ソフトを利用して、記帳入力を行なう場合に、複式簿記の仕訳帳または伝票形式による入力時に取引内容に対応する科目(正確な勘定科目)データを適切に決定できない場合(上記のケースC〜E)、会計事務所にて仕訳作成する時に科目を決定するのに必要十分な取引情報を作成する記帳入力技術を提供することを目的とする。
【0028】
また、本発明は、顧問先において記帳入力を行なう場合に、通常取引の入力であれば、担当者が慣れた伝票や帳簿形式を模した画面による種々の入力形態を使いながらも、例外的な取引や、発生頻度の低い取引が発生した場合などにおいては、不正確な勘定科目の入力を防止し、仮に不正確な勘定科目の入力がされた場合でも、摘要情報入力時に科目を決定するのに必要十分な取引情報を質問に回答する形式で取得できるようにすることで不正確な勘定科目が入力されても会計事務所で簡単にチェックできることを目的とする。
【0029】
また、本発明は、会計事務所の顧問先企業などで、会計ソフトを利用して、記帳入力を行なう場合に、簿記の知識が十分にある熟練者にとっては入力の手間が省け(例えばテンキーで選択するだけ)、簿記の知識が乏しい者にとっては、質問に回答するだけで会計事務所において科目を決定するのに必要十分な取引情報および/または勘定科目の入力ができるようにすることを目的とする。
【0030】
また、本発明は、顧問先において、取引情報から勘定科目を決定するに至るまで、取引事象単位で予め用意された質問とそれに対応する回答を選択式で入力することで、摘要情報が符号化され、勘定科目がバックグラウンドで決定され、記帳データが生成されるようにすることにより、勘定科目候補を表示することなく、したがって誤った勘定科目の入力を防止することを目的とする。さらに、会計事務所からフィードバックされた修正結果を元にして、毎回使用すべき勘定科目を更新することにより、正確性の高い記帳データを作成できるようにすることを目的とする。
【0031】
さらに、本発明は、顧問先において記帳入力を行なう場合に、財務諸表の作成機能などを省いて記帳に重みをおいたシンプルなソフトの構成とすることで、軽い動作感を実現しつつ、簿記の知識が十分にある熟練者から、簿記の知識が乏しい初心者まで共通して記帳入力を行なえることを目的とする。
【0032】
さらに、本発明は、従来は単式簿記形式では不可能であった現金取引と現金を使用しない資産の移動(振替)などの取引を1つの形式で記載する複式簿記でしか記帳できない場合でも、質問式入力により貸方科目、借方科目の双方を特定して取引内容を記帳できるようにするシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0033】
上述した課題を解決すべく、本発明にかかる記帳システムは、取引情報を記入するための記帳システムであって、少なくとも記憶手段と処理手段とを具え、
前記記憶手段は、
取引内容を構成する所定の大枠様式をベースに会計・税務処理に固有の特定ルールに基づいた複式簿記の記帳に必要な複数の質問および当該質問に対応する回答選択肢を保存する質問内容データを保存する領域と、
摘要情報を構成する際に配置する質問に対する回答の順番を記録した回答配置テーブルを保存する領域とを具え、
前記処理手段は、会計事務所にて後処理を行う事を目的として仕訳形式、仕訳帳形式、振替伝票形式、日計表形式といった複式簿記の入力形式で、前記質問内容データから、前記取引内容の入力中の項目(属性)にあった質問および対応する回答選択肢を前記記憶手段から読み出し提示する質問表示手段と、
前記質問表示手段により提示した質問に対して、前記質問と得られた回答の入力を受付けて入力データを生成する入力受付手段と、
前記質問と得られた回答で構成される入力データから作成される複式簿記の仕訳を作成するのに必要な情報であって勘定科目及びその貸借や税区分を選択するのに必要な情報を全て含む複式簿記用の取引情報データを作成する取引情報データ生成手段と、
前記取引情報データから複式簿記の仕訳を起こすために必要な情報を含む摘要情報、日付、金額のデータを含み、借方科目と貸方科目の一方あるいは双方を含まない仕訳データを作成する仕訳データ作成手段と、
前記仕訳データ、前記取引情報データを保存する領域へ登録するデータ管理手段とを具えたことを特徴とする。
【0034】
本発明の別の実施形態にかかる記帳システムは、取引情報を記入するための記帳システムであって、記憶手段と処理手段とを具え、
前記処理手段は、会計事務所にて後処理を行う事を目的として仕訳形式、仕訳帳形式、振替伝票形式、日計表形式といった複式簿記の入力形式で、仕訳データの日付、金額、借方科目、貸方科目のいずれか1以上の入力を受付ける入力受付手段を具え、
前記記憶手段は、前記入力受付手段により、日付、金額、借方科目、貸方科目のいずれか1以上のデータを保存する領域と、
取引内容を構成する所定の大枠様式をベースに会計・税務処理に固有の特定ルールに基づいた複式簿記の記帳に必要な複数の質問および当該質問に対応する回答選択肢を保存する質問内容データを保存する領域と、
摘要情報を構成する際に配置する質問に対する回答の順番を記録した回答配置テーブルを保存する領域と、を具え、
前記処理手段がさらに、前記質問内容データから、前記取引内容の入力中の項目(属性)にあった質問および対応する回答選択肢を前記記憶手段から読み出し提示する質問表示手段を具え、
前記入力受付手段は、摘要入力が行われる際に、前記質問表示手段により提示する質問に対して、前記質問に対応する回答の選択を受付けて入力データを生成する入力方法に切替え、
さらに、前記質問と得られた回答で構成される入力データから作成される複式簿記の仕訳を作成するのに必要な情報であって勘定科目及びその貸借や税区分を選択するのに必要な情報を全て含む複式簿記用の取引情報データを作成する取引情報データ生成手段と、
前記取引情報データから複式簿記の仕訳を起こすために必要な情報を含む摘要情報と、前記入力受付手段が取得した日付、金額、借方科目、貸方科目のいずれか1以上を含む仕訳データを作成する仕訳データ作成手段と、
前記仕訳データと取引情報データを保存する領域へ登録するデータ管理手段を具えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0035】
本発明では、顧問先において簿記の知識などが十分にある熟練者に対しては、慣れた伝票や帳簿形式を模した画面による種々の入力形態を確保しつつ、摘要情報の入力時、例外的な取引や発生頻度の低い取引が発生した場合などにおいては、会計処理または税務処理特有の記述ルール(特定ルール)に基づく質問形式により、回答を選択式で取得し、質問と対応する回答から取引情報を作成することで、会計事務所が正確な勘定科目や税区分を選択するための判断情報である取引情報を作成するとともに、顧問先で勘定科目を決定できる箇所は決定し、決定できない箇所については未決として、会計事務所の仕訳作成に十分な取引に関するデータ(質問と回答で構成される入力データ、ないし入力データから生成される取引情報データ)を作成し、まとめて会計事務所に渡るようにすることにより、事務所側で仕訳入力を行う際の取引情報ないし摘要情報の定型化が図られ、正確かつ適切な勘定科目や税区分を決定して作業を進めることができる。
【0036】
また、顧問先において簿記の知識が乏しい者(初心者)に対しては、最初から、会計処理または税務処理特有の記述ルール(特定ルール)に基づく質問形式により、回答を選択式で取得し、質問と対応する回答から取引情報を作成することで、会計事務所が正確な勘定科目や税区分を選択するための判断情報である取引情報を作成するとともに、顧問先で勘定科目を決定できる箇所は決定し、決定できない箇所については未決として、会計事務所の仕訳作成に十分な取引に関するデータを作成し、まとめて会計事務所に渡るようにすることにより、事務所側で仕訳入力を行う際の取引情報ないし摘要情報の定型化が図られ、正確かつ適切な勘定科目や税区分を決定して作業を進めることができる。
【0037】
また、回答を選択式で入力していく形式であるので、熟練者にとっては、テンキーだけの操作だけで入力作業が可能となり、初心者にとっては、質問に回答するだけで、勘定科目の判断に必要な摘要情報や仕訳データの元情報を作成することができる。
【0038】
さらに、定型化された取引情報ないし摘要情報から、人が読んで分かる(取引内容を把握しやすく読みやすい)摘要文の生成が可能となるので、顧問先や会計事務所における取引事象との確認作業が容易となり、正確性の高い勘定科目の決定支援が可能となり、仕訳業務の効率化が図られる。
【0039】
また、本発明のシステムにより生成された摘要文を見ることによって、入力した質問と回答から、摘要と勘定科目の関係把握が分かりやすくなるので、会計知識の乏しい者が、会計の知識を習得することに役立てることができる。
【0040】
また、顧問先で入力された摘要情報と勘定科目が会計事務所でチェックされ修正された場合に、正確な摘要情報と勘定科目の関係を顧問先へフィードバックするサイクル形式としたので、より正確性の高い顧問先における入力作業と、正しい会計知識の向上に役立てることができる。
【0041】
さらに、本発明によれば初心者でも仕訳データの作成に十分な入力が出来るため、経理処理の専任者を雇用しなくても、パートやアルバイトの者でも経理処理が可能となるため、人件費の削減に役立てることができる。
【0042】
また、会計事務所における、顧問先で入力された質問式入力で入力した摘要情報と勘定科目が正しいかどうかのチェックにおいて、取引情報から作成された勘定科目と一致する場合は目視でチェックする必要をなくし、不一致の場合のみ該当する仕訳に警告や色を付けることにより、会計事務所のチェック担当者のチェック負担を軽減できる。
【0043】
さらに、単式簿記のみならず複式簿記でしか記帳できない取引事象に対応すべく、質問の体系/順番を取引種別(受取or支払or部門間移動or資産振替)、送り側(支払側)選択、受け側(受取側)選択、取引対象(物)選択または取引種別(受取or支払or部門間移動or資産振替)、受け側(受取側)選択、送り側(支払側)選択、取引対象(物)を選択し、選択した質問の回答から取引内容を生成する順番へと変更することにより、上述した取引2(棚卸資産を固定資産へ転用)といった取引事象を1つの方式で記帳することができる。
【0044】
図42は、本発明にかかる会計入力方法の基本的な質問体系を構成した場合の実施例を説明するための図である。上述したように、従来の現金出納帳などの単式簿記による入力形式では、例えば、ある顧問先において販売目的のために1000万円で自動車を現金で仕入れ(取引1)、その翌年にその在庫自動車を業務用に転用した場合(取引2)、現金出納帳では取引1は自科目に「現金仕入」、相手科目に「商品(棚卸資産)」を記入して記帳できるが、取引2は現金の処理がないため記帳できないという問題があった。このような複式簿記でしか入力し得ないような取引でも、本発明によれば質問式によって入力可能となる。
【0045】
図42(a)に示すように、本発明では質問の体系や順番について工夫する点に特徴があり、これにより、複式簿記の入力においても、貸方/借方の両科目の特定に必要な情報を質問式で取得することができる。単式簿記の質問形態では、帳簿を選択させ、取引を選択させ、取引内容を生成するという順番であるのに対し、複式簿記においては質問体系を変容させ、複式簿記の質問の順番は、まず取引を選択させるようにし、次に送り側(支払側)と受け側(受取側)を選択させ、次に取引対象(物)を選択させ、最後に選択した内容から取引内容を生成するように構成する。
図42(c)は、この順番の質問内容をツリー表示した概念図である。最初の質問Q1では、取引として本実施例では受取/支払/部門間移動/資産振替を選択させ、選択された内容に応じてQ2、Q3と新たな質問が導かれるようにする。Q2では、送り側(支払側)として、受取の場合に売上/回収/返品、支払の場合に経費/仕入れ、社内の部門間移動の場合に移動元、社内の資産振替の場合に振替元が質問として提示される。ここで、部門間移動とは、例えば営業部門が2つあって一方で現金、小切手、売掛といった売上げを出していたところ、顧客が他方の営業部門の扱いとなって売掛等も別部門に移動させるような場合や、既存の営業所を2つに分割した結果、新たに分割した営業所に顧客を割り振ったりする場合に、当該顧客の売掛や小切手を移動させるような場合をいう。また、資産振替には、上記のような販売用の在庫を業務用の備品に変更するような場合がある。
【0046】
本発明により、例えば
図42(b)に示すように、1000万円で商品として仕入れた在庫車両を、業務用として転用するような取引を質問式により入力することが可能となる。すなわち、
図42(c)に示すような質問体系において、Q1で取引として資産振替を選択し、Q2で振替元として販売用の在庫を選択し、Q3で振替先として業務用の備品を選択すると、
図42(b)に示すように借方科目が商品(棚卸資産)で、貸方科目が車両(固定資産)のように決定され、仕訳処理を行うことができる。
【0047】
このとき、部門間移動の移動元や資産振替の振替元は複数選択可能とすることにより、例えば売上げが100万円あった場合の、相手方として現金50万円、売掛金50万円というように記帳することが可能となり、複合仕訳を実現することができる。
【発明を実施するための形態】
【0049】
[1]全体概要
最初に、
図1を参照して、本発明の記帳システムにおける情報や処理の流れの全体概要を説明する。本発明は、顧問先において簿記の知識などが十分にある熟練者に対しては、慣れた伝票や帳簿形式を模した画面による種々の入力形態を提示するとともに、例外的な取引や発生頻度の低い取引が発生した場合などにおいては、会計処理または税務処理特有の記述ルール(特定ルール)に基づく質問形式により、回答を選択式で取得し、質問と対応する回答から取引情報を作成することで、会計事務所が正確な勘定科目や税区分を選択するための判断情報である取引情報を作成するものである。また、顧問先で勘定科目を決定できる箇所は決定し、決定できない箇所については未決として、いずれの場合でも質問形式により、会計事務所の仕訳作成に十分な取引に関するデータを作成し、まとめて会計事務所に渡るようにして、事務所側で仕訳データの確認・修正が行えるようにし、さらに科目情報の修正があった場合に顧問先システムの科目振分テーブルにフィードバックされることを特徴とする。
【0050】
図1において、左側が顧問先側、右側が会計事務所側のシステムないし処理を示す。例えば業務に関して取引事象が生じた場合に、その内容に基づいて顧問先側で仕訳入力処理が行われる。このとき、顧問先側のオペレータは、取引事象の種類、本人の会計知識の習熟度、慣れや好みなどに応じて、「仕訳帳入力」、「出納帳形式入力」、「日計表形式入力」、「仕訳形式入力」、および「伝票入力」といった複数の入力形式から選択することができる(
図5参照)。ここで、質問式入力とは摘要や勘定科目を決定するのに必要なすべての情報を、発生した取引事象に関して、5W1H(いつ、どこで、誰が、何を、どうする、なぜ)などの大枠様式をベースとする取引毎に会計処理特有の個別質問と、各質問に対応する複数の選択肢あるいは入力欄を提示し、複数の選択肢から回答を数字で指定するか、人数や金額の数字を直接入力してもらうことで取引事象の詳細情報が取得される形式である。また後述するが、その他の形式でも取得すべき情報が適宜質問式で提示され、オペレータがテンキーのみで選択していくことにより会計情報が取得されるように構成されている。
【0051】
図1の左下に、顧問先端末10の例示的な仕訳形式入力画面とより詳細な処理の流れが示されている。点線で囲ってある部分が質問式入力箇所であり、左の質問ボックスからテンキーやマウスクリック等で回答を指定することにより次のボックスの質問内容が定まり展開表示される。各質問には例えば「0:それ以外」といった選択肢が設けられており、提示された選択肢に該当する内容がない場合にはこれを指定すると入力欄が提示され、そこに入力した内容が以降に新たな選択肢として提示される。また、日付や金額、その他必要なメモなどが選択式でない通常入力で取得され、これらの情報が取引内容を構成する質問に対する回答である(ペアとなる質問を回答と一緒に記載してもよい)入力データ(仕訳データを含む)として保存される。さらに、選択・入力内容から後述する選択項目対応テーブル・科目振分テーブルが参照され、質問や回答の内容が符号化されるとともに、可能な場合に取引事象に対応する科目が決定される。
【0052】
このようにして生成された入力データは顧問先システムの管理DBに保存されるとともに、インターネットを介して会計事務所側に送られる。ここで、顧問先側では、入力データだけを生成し、入力データを会計事務所サーバー20に送信して、会計事務所側システムで入力データから勘定科目及びその貸借や税区分を選択するのに必要な情報であって取引内容を構成する情報(複式簿記の仕訳を作成するに必要な情報)を全て含む取引情報データを作成する。なお、取引情報データは顧問先側で作成してから会計事務所側に送付してもよい。
【0053】
取引情報データから科目振分けテーブルを参照して科目決定を行うようにしてもよいし、顧問先側で入力データ及び取引情報データ生成に留まらず、科目決定まで行って仕訳データを生成して、会計事務所側では、確認修正を行うようにしてもよい。右側に示す会計事務所側にはサーバー20と、当該サーバー20と事務所内ネットワークで接続された1以上のクライアント端末30がある。受信されたデータはサーバー20の帳票DBの顧問先毎の特定領域(顧問先毎フォルダ)に格納される。
【0054】
また、1以上の入力形式画面において、取引の元になるレシートや領収書等の原始証憑をスキャナーやモバイル端末のカメラで読み取って、入力画面上に提示したり、入力データと紐づけて保存し、会計事務所に送るようにしてもよい。このほか、入力データをQRコードなどにより二次元コード化した上で、仕訳帳形式などにより紙媒体に出力して会計事務所に送付してもよい。これにより、顧問先や会計事務所の担当者が表示された原始証憑を目で確認しながら入力・確認・修正作業を行うことができる。さらに、読み取った原始証憑をOCR処理にかけて合計金額等を抽出し、入力画面の必要な項目に自動的に反映されるように構成してもよい。
【0055】
サーバー20に登録された会計データは、クライアント端末30で動作する会計処理ソフトで読み出され、必要に応じて摘要データや勘定科目を修正したり、勘定科目をより詳細な科目まで特定したりすることができる。このような会計事務所側における確認、修正処理は監査処理と呼ばれる。会計事務所側システムでは、例えば顧問先側で新たな選択肢を作成したことにより科目が未決となっているデータについて、会計事務所の担当者が取引情報データから取引内容を確認して適切な勘定科目を決定することができる。なお、その適切な勘定科目を科目振分けテーブルへフィードバックすることで、今まで科目が未決となっていた同様の取引については、適切な勘定科目を設定できるようになる。このようにして確定された勘定科目を含む会計情報がサーバー20に保存される。なお、この監査処理において、もしあれば伝票イメージを入力データや仕訳データと同時に表示して、会計事務所の担当者が実際の伝票イメージを見ながら入力画面上で摘要データや勘定科目を修正するようにしてもよい。監査処理が終了すると、適宜、決算処理に移行する。決算処理とは、中間、四半期、月次など、決算処理の時期において、会計システムにおいて生成した監査済みの仕訳データを集計等して、財務諸表の作成などを行うことをいう。決算処理(財務諸表の作成等の処理)は、一般的に知られた公知技術であるため詳細は省略する。
【0056】
さらに、会計事務所側は顧問先毎に選択項目対応テーブル兼科目振分テーブルを備えており、適切に修正あるいは特定された勘定科目が、対応する質問と回答の組み合わせに対して登録される。会計事務所と顧問先の選択項目対応テーブルや科目振分テーブルは常に同期されており、以降に顧問先で同じ質問と回答の組み合わせがあった場合に更新された振分テーブルを参照することにより適切な科目が抽出されることになる。なお、別の実施例では、選択項目対応テーブル・科目振分テーブルは顧問先毎に用意して管理するのではなく、業種毎や会計事務所毎に統一して管理してもよい。
【0057】
以上の説明では、(1)顧問先側では、入力データだけを生成し、入力データを会計事務所サーバー20に送信して、会計事務所側システムで取引情報データを作成し、科目振分けテーブルを参照して科目決定を行う態様について説明したが、(2)顧問先で取引情報データを作成し、科目振分けテーブルを参照して科目決定を行うところまで完結してもよいし、(3)顧問先で取引情報データを作成まで行い、会計事務所側システムで科目振分けテーブルを参照して科目決定を行うようにしてもよい。
【0058】
なお、会計事務所側システムとして
図1に例示したサーバー20は、会計事務所内に設置するサーバーであってもよいし、いわゆるクラウドサーバーのように、インターネット上のサーバーであっても良く、顧問先毎にデータを管理できる記憶部を備えていれば、どのようなサーバーの態様であっても構わない。
【0059】
図2は、いくつかの形式の入力画面における、質問体系/順番が異なる様子を例示する図である。
図2では、日付、金額等の全ての入力項目が質問で構成された入力形式である質問式入力(質問式入力A)画面と、摘要だけを質問式で入力できるようにした質問式入力(質問式入力B)画面に切替えることができる出納帳形式入力画面の例が示されている。本図に示すように、入力形式ごとに質問の体系と順番が変化して表示される。ここで、出納帳形式は単式簿記であり、仕訳帳形式、仕訳形式、伝票形式(振替伝票形式)、日計表形式は複式簿記の形態である。担当者の会計知識や会計ソフトの習熟度が高ければ、質問式入力(質問式入力A)ではなく直接入力式の方がむしろ早くて正確な場合もある。そのような場合は、通常入力の割合が高い入力画面を指定して摘要入力のみ質問式入力(質問式入力B)にすればよい。摘要入力まで自由入力にしてしまうと複式簿記の仕訳を作成するに必要な情報が記載されない場合があるので、既存の会計ソフトと同様の問題(取引内容が不完全のため、問い合わせや取引内容のチェックの労力)が発生する。会計知識のある担当者であっても摘要入力のみ質問式入力(質問式入力B)で入れてもらうことで、上記の問題が解消する。1つの取引事象を複数の入力形式(例えば、接待に関する飲食という事象について、仕訳形式、伝票形式、出納帳形式、日計表形式および仕訳形式)で入力できることもあるし、特定の入力形式(例えば出納帳形式のみ)では入力できない取引事象(資産の振替や部門間移動等の取引)もある。また取引形態が現金を主としているケースでは、現金に関する取引を出納帳形式で入力し、現金以外の取引を伝票形式で入力することで、取引態様と入力者の会計知識のレベルに応じて多様な入力方法を提供できる。このような事情を勘案して担当者が取引態様に応じて入力形式を選択し、種々の取引をシステムに入力していく。
【0060】
図3−1は、例えば出納帳形式などの単式簿記形式であって、片側の科目(自科目または相手科目)が選択済みの場合の質問項目の概要を説明するための図である。本図の左側に入力画面を示すように、画面上部に出納帳の種類を選択できるタグが表示され、現金出納帳、小口現金出納帳、預金出納帳、売掛帳、買掛帳から選択できるようになっている。いずれかのタグを選択すると、その時点で片側の科目が定まることになり、出納帳の種類に応じた必要な質問が展開される。
図3−1は現金出納帳の例であり、質問項目として左から取引区分1、取引区分2、自動摘要、および固有辞書の順番に表示される。取引区分1は、入金区分として「1.現金売上」、「2.売掛の回収」、「3.預金からの引出」、「3.小口現金から振替」、「9.その他/選択摘要」の選択肢があり、出金区分として「21.経費の支払」、「22.買掛の支払」、「23.固定資産の購入」、「24.預金へ預入」、「25.小口現金へ振替」、「26.現金仕入」、「27.仮払金支払」の選択肢がある。ここで、取引区分1で「21.経費の支払」が選択されたら、システムは例えば
図17から
図26に示す選択項目対応テーブルを参照して、「21.経費の支払」が選択されたときの対応する取引区分2を抽出して提示する。同様に、この取引区分2で指定された選択肢に応じて次の自動摘要の選択肢が提示され、そこでの選択内容に応じて固有辞書の選択肢が提示される。
【0061】
ここで、取引区分は、前述の一例のように、特に借方や貸方等の情報を含んだ取引事象を分かりやすく、さらに、取引区分1から取引区分2と段階を踏んだ詳細な取引事象で表現・分類されている。よって、取引区分は、会計ソフト毎や帳簿の種類等により適時変更が可能である。
【0062】
図3−1の上側に示すフローでは、「21.経費の支払」から「1.飲食」が選ばれ、対応して提示される選択肢から「1.接待により飲食」が選ばれた先で「1.東陽レストラン」が指定されることにより、東陽レストランで接待による飲食という取引事象が特定される。図の下側のフローでは、取引区分2で「2.交通」から自動摘要で「2.バス代」が選ばれ、さらに先の固有辞書で「3.Cバス」が選択されることにより、Cバスを利用した場合の交通費という事象が特定される。ここで、後掲の
図42のように、科目決定に必要な取引情報(摘要情報)を取得するための質問を、すべて含むような質問体系を構成することもできるが、基本構成部分の質問体系をシンプルな構成にした上で、詳細な質問が必要な取引類型について、別途、追加で質問を提示するような質問体系を構成した上で、所定の取引について、さらに必要に応じて追加の質問が表示されて、回答が取得されるようにしてもよい。これは取引事象に応じて、例えば接待による飲食の場合に社内および社外の人数や氏名、肩書き等を取得したり、現金出納帳を選択している場合に最後に本当に現金で支払ったのかを確認するなどして、仕訳に必要な取引情報を追加取得したり、取引データの確実性を担保するようにするものである。
【0063】
図3−2は、例えば仕訳表形式などの複式簿記形式であって、両方の科目(借方科目と貸方科目)の入力を志向する従来の入力方式の場合の質問項目の概要を説明するための図である。本図の左側に入力画面を示すように、例えば本実施例の仕訳表入力では、勘定科目1として「支払った方法/受け取った方法」を選択形式で問い合わせ、その中から「8441(内部コード)現金」が選択されると貸方科目が定まり、対応する勘定科目2として「取引内容は?」の選択肢が提示される。ここで「8441(内部コード)交際費」を選択すると対応する自動摘要、さらにはその選択肢に応じて固有辞書の選択肢が提示され、これを選択していくことで必要項目が取得される。本図の例では、貸方科目:現金、借方科目:交際費、東陽レストランで設定による飲食という内容がテンキーやマウス入力だけで定まる。その他の日付や金額は画面上で直接入力(通常入力)される。さらに、参加人数やその詳細などをメモ欄に直接入力できるようにしてもよいし、
図3−1で説明したように追加の質問が提示されて、これらの情報を取得するようにしてもよい。
【0064】
図3−3は、例えば仕訳形式などの複式簿記形式であって、質問式により摘要の入力を行なう場合(質問式入力B)の概要を説明するための図である。本図の左側に入力画面を示すように、例えば本実施例の仕訳入力では、取引に関する質問項目Q1として「1.受取り/2.支払い/3.部門間移動/4.資産振替・・・」から選択できるようになっている。ここで、Q1取引で、「3.部門間移動」が選択されたら、システムは例えば
図42(c)に示す複式簿記用の質問式入力のテーブルを参照して、「3.部門間移動」が選択されたときの対応するQ2移動元を抽出して提示する。同様に、このQ2移動元で指定された選択肢に応じて次の、Q3移動先の選択肢が提示される。さらに、Q3移動先で指定された選択肢に応じて次の、Q4移動対象及び金額が提示される。
図3−3では、管理部から営業部へ固定資産である10,000千円(1000万円)の車両の部門間移動を行なった場合を説明したものである。「3.部門間移動」から移動元として「1.部門1(10管理部)」が選ばれ、対応して提示される選択肢から移動先として「2.部門2(20営業部)」を選択する、そして次に対応して提示される選択肢から、移動対象として「2.固定資産」を選択する。
【0065】
さらに「移動対象がどの固定資産なのか?」を質問する移動対象の固定資産及び金額として、「1.車両」を選択し、テンキーにて金額10,000千(円)を入力する。一連の入力が完了するとシステムは入力データから取引情報データとして『移動元:部門1(10管理部)/移動先:部門2(20営業部)/移動対象 固定資産/車両:10,000千円』を生成する。さらに、取引情報データから
図43の回答配置テーブル(詳細は後述)と
図33の適用辞書を使って摘要情報を作成する。具体的には回答配置テーブルのパターン1(例:順番を入れ替えない)を適用するので、回答の順番は配置変更をせずそのままで、摘要辞書により「部門1(10管理部)」を「管理部」に修正、「部門2(20営業部)」を「営業部」に修正し、取引内容を把握しやすく読みやすい形にした上で摘要情報として摘要欄へ、『移動元:管理部/移動先:営業部/移動対象 固定資産/車両:簿価10,000千円』を画面上へ出力表示する。なお、その他の日付などは画面上で直接入力しても良い。
【0066】
図3−4は、
図3−3と同様の質問式により摘要の入力を行なう場合(質問式入力B)の概要を説明するための図である。
図3−3は部門間移動の例であるのに対し、
図3−4は資産振替に関する例である。本図の左側に入力画面を示すように、例えば本実施例の仕訳入力では、取引に関する質問項目Q1として「1.受取り/2.支払い/3.部門間移動/4.資産振替・・・」から選択できるようになっている。ここで、Q1取引で、「4.資産振替」が選択されたら、システムは例えば
図42(c)に示す複式簿記用の質問式入力のテーブルを参照して、「4.資産振替」が選択されたときの対応するQ2振替元を抽出して提示する。同様に、このQ2振替元で指定された選択肢に応じて次の、Q3振替先及び金額が提示される。
図3−4は、車両を販売用の在庫から業務用備品として10,000千円(1000万円)の資産振替を行なった場合を説明するものである。「4.資産振替」から資産元として「2.販売用の在庫」が選ばれ、対応して提示される選択肢から振替先及び金額として、振替先「4.業務用備品」を選択し、テンキーにて金額10,000千(円)を入力する。一連の入力が完了するとシステムは入力データから取引情報データとして『資産振替/振替元:販売用の在庫/振替先:業務用備品 10,000千円』を生成する。さらに、取引情報データから
図43の回答配置テーブル(詳細は後述)と
図33の摘要辞書を使って摘要情報を作成する。具体的には回答配置テーブルのパターン2(例:順番を入れ替える)を適用するので、「資産振替」を最後に回答の順番を変更して、摘要辞書により「10,000千円」を「簿価10,000千円」に修正し、取引内容を把握しやすく読みやすい形にした上で摘要情報として摘要欄へ、『振替元:販売用の在庫/振替先:業務用備品/資産振替 簿価10,000千円』を画面上へ出力表示する。なお、その他の日付などは画面上で直接入力しても良い。
【0067】
図3−5は、
図3−3と同様の質問式により摘要の入力を行なう場合(質問式入力B)の概要を説明するための図である。
図3−3は部門間移動の例に対し、
図3−5は受取りに関する例である。本図の左側に入力画面を示すように、例えば本実施例の振替伝票入力では、取引に関する質問項目Q1として「1.受取り/2.支払い/3.部門間移動/4.資産振替・・・」から選択できるようになっている。ここで、Q1取引で、「1.受取り」が選択されたら、システムは例えば
図42(c)に示す複式簿記用の質問式入力のテーブルを参照して、「1.受取り」が選択されたときの対応するQ2取引原因を抽出して提示する。同様に、このQ2取引原因で指定された選択肢に応じて次の、Q3取引先の選択肢が提示される。さらに、Q3取引先で指定された選択肢に応じて次の、Q4移動対象及び金額が提示される。
図3−5では、取引先B社への売上に対して、それぞれ現金10,000円と売掛金10,000円で受け取った場合を説明したものである。「1.受取り」から取引原因として「1.売上」が選ばれ、対応して提示される選択肢から取引先として「2.B社」を選択する、そして次に対応して提示される選択肢から、受取方法及び金額として、「1.現金(入金)」、「3.掛け(売掛金)」を選択し、「1.現金(入金)」にテンキーにて金額10000(円)を入力し、「3.掛け(売掛金)」にテンキーにて金額10000(円)を入力する。一連の入力が完了するとシステムは入力データから取引情報データとして『受取り/売上/取引先 B社/受取方法1 現金(入金):10,000円』と『受取り/売上/取引先 B社//受取方法2 掛け(売掛金):10,000円』の2つを生成する。さらに、取引情報データから
図43の回答配置テーブル(詳細は後述)と
図33の適用辞書を使って摘要情報を作成する。具体的には回答配置テーブルのパターン2(例:順番を入れ替える)を適用するので、「取引先 B社」と「売上」の回答の順番を入れ替える配置変更をして、摘要辞書により「掛け(売掛金)」を「売掛金」に修正し、取引内容を把握しやすく読みやすい形にした上で摘要情報2つとして摘要欄へ、それぞれ『受取り/取引先 B社/売上/受取方法1 現金(入金):10,000円』と『受取り/取引先 B社/売上/受取方法2 売掛金:10,000円』を画面上へ出力表示する。なお、その他の日付などは画面上で直接入力しても良い。本発明では、このように取引の種別に応じて質問体系および順番を構成して柔軟に対応することができる。
【0068】
図4は、各種入力画面で必要に応じて提示される、追加の質問について説明するための図である。例えば業務に関して飲食をした場合、一人当たりの金額やどういう相手と飲食したかで、会議費、福利厚生費、交際費、損金というように税務会計上の取り扱いが変わる。具体的には、社内のメンバーとの飲食で、会議に伴って昼食をとった場合、概ね一人当たり3千円以下であれば会議費となり、社内行事としての飲食や残業時の夕食であれば福利厚生費として分類される。また、社外の人間と飲食した場合も、一人当たり5千円超であれば交際費となり、5千円以下であれば交際費から除外して損金扱いとなる。したがって、取引事象として飲食が選択された場合には、年月日や金額、店名の他、参加した人数、社内/社外の別、社外の人間の社名や氏名および関係などが必要となる。これらが追加の質問として提示され、情報が取得される。また、固定資産の場合にも同様に、設置場所などの条件によって税務上の取り扱いが変わるため、取引事象により追加の質問を行って情報を取得する。
【0069】
図4に示すように、追加の質問として、飲食をした人数や氏名、会社名、役職などが質問形式で提示される。ここで該当する選択肢がない場合は、「その他」を選択すると項目の追加画面が提示され、自由入力欄への入力内容が新しい枝番に対応づけて登録され、以降に選択肢として提示されるようになる。ただし、別の実施例では、入力担当者に十分に簿記知識があって比較的熟練を要する仕訳形式入力が選ばれたような場合には、当人が選択した接待交際費との内容を信頼して、追加の質問は省略するようにしてもよい。追加の質問を行うか否かは、例えば
図36−2に示されるような入力担当者の知識レベルに応じて予め設定されていてもよい。
【0070】
図5は、本発明にかかる記帳システムのターミナル画面の例を示す図である。本図中央に示すターミナル画面の左側に、入力方式として出納帳入力、日計表入力、伝票入力、仕訳入力、から選択するボタンがあり、オペレータは簿記知識や普段の慣れなどを勘案して適切なボタンを押下すると、対応する入力画面が展開され、いずれの画面でも点線で示す全部または少なくとも一部(摘要は必須だが、日付や金額等の他の入力項目は設定で表示可能)が質問式入力欄となっている。いずれかの入力方式で取得された情報は、中央のターミナル画面に表示される。ここで、取引内容から科目を導出する従来の会計ソフトでは、いずれかの科目が未決であると確定保存することができないため、その他勘定科目等の科目を割り当てることで確定保存していたが、本発明では記帳内容が会計事務所に送られそこで確認と修正作業が加わることを前提とするため、記帳段階では科目が未決(空白を含む)であってもその他勘定科目等の科目を割り当てることをしないで確定保存することができる。
【0071】
図6は、
図5等に示す質問式伝票入力画面の実施例を示す図である。
図6(1)が基本形、(2)が変形例を示す。
図6(1)に示すように、最上欄に通常支払、給与支払い、買掛・未払、売上・入金、預金通帳といったタブが表示され、オペレータは最初にいずれかを選択する。例えば通常支払を選択すると、下の段に通常支払に含まれる取引事象として、飲食、交通、物品購入(10万円未満)、物品購入(10万円以上)、公共料金・税金、現金仕入、その他支払といったタブが表示される。オペレータがこのなかから飲食を選択すると、対応する質問が表示され、これらの質問に回答するか選択するだけで取引情報を入力することができる。例えば飲食にかかる質問として、日付、金額、支払方法、目的、場所、人数、備考欄が設けられる。画面上には取引の元となる原始証憑が表示され、OCR処理にて読み取られた日付と金額がそれぞれの入力欄に自動転載されるようにしてもよい。質問式伝票は会計処理の対象となる取引事象毎に用意された、5W1Hまたは5W2Hの大枠様式をベースに会計・税務処理に固有の特定ルールを反映させて中枠の概念(例えば日付/支払方法/支払先・・・)へと変更した具体的な質問内容が登録される。5W1Hは「when、いつ」、「where、どこで」、「who、誰が」、「why、なぜ」、「what、どうした」、「how、どうやって」という、個別の取引事象を上位概念化したものであって、本願の特定ルールを逆に辿っていく過程で抽出されたものであり、5W2Hは上記に加えて「how much、いくら」が追加された大枠様式である。
図6(2)に示す変形例では、質問事項がより大枠様式に近い、いつ、どこで、誰と・・・といった内容となっている。
【0072】
[2]従来の会計入力システムとの相違
ここで、本発明の理解の向上のため、従来システムからみた本願発明の特徴について
図7を参照しながら言及する。
図7−1は、操作面から従来システムと本願システムの構成の相違を説明するための図である。
図7−1(1)に示すように、従来の例えば中堅企業向け会計入力システムは、入力担当者が会計(簿記)を理解し取引内容から科目をほぼ特定できるという前提に構成されており、取引内容と対応する(と思われる)勘定科目を関連付けた摘要辞書を具え、取引内容に対応する科目をウィザード形式等の簡単な入力補助機能で導出する。このとき、従来システムは勘定科目が完全に定まっている財務諸表の作成を想定しており、科目を決定しないと次の処理(次の取引入力や財務諸表作成等)に進めないように構成されている。このため、勘定科目に不安があってもとりあえず決定して次に進まざるを得ない状況があった。摘要欄には取引内容を記入することができるが、これも入力担当者の主観に基づくものであり、会計事務所で確認・修正するには不十分な内容であることが多かった。また、従来の会計システムでは、仮に、科目(仕訳)辞書から科目を選択しないで、未決のまま済ませることができるようにした場合でも、摘要については不十分な内容しか入力されない状況にあった。
【0073】
これに対し本発明の記帳システムは、会計事務所側で科目の特定に必要な摘要情報を取得するために、取引事象について5W1H等の大枠概念をベースに各取引の会計処理に沿う形で体系化した質問を設定し、入力形式毎に用意された体系および順番の質問形式で取引情報を取得し、オペレータが取引内容を把握しやすく読みやすい摘要情報を取得することを特徴とする。従来の会計システムでは入力形式毎に用意された体系および順番の質問形式で摘要情報が作成されており、オペレータが読みにくい順番で摘要情報を作成されているケースがあったため、本発明ではオペレータが取引内容を把握しやすく読みやすいように質問の順番を入れ替えて再配置して摘要情報を作成する。ここで、前述したように科目の特定まで行うことは要求しておらず、記入してもよいが暫定的な情報として扱い会計事務所に送り、会計事務所で確認・修正を経て確定するように構成している。科目情報は、未決(空欄)としてもよい他、記入してあるが適切なものか自信がない旨のフラグないし表示を付加できるようにしてもよい。
【0074】
また、顧問先が適切な勘定科目を判断できない場合に、未確定科目やその他勘定科目等の名称を入力し、取引内容を摘要に書いておくことができる会計ソフトもある、このような場合、会計事務所では摘要を見ながら、仕訳を起こすための科目を決定することも可能となる。しかしながら、このような場合は摘要に取引内容を顧問先が自由入力することになるので、科目を決定するのに必要な取引情報が含まれていない摘要を作成される問題が残る。その場合には会計事務所が顧問先に科目を決定するのに不足している取引情報を問い合わせする労力が発生することとなる。本発明では、摘要入力の段階で、科目を決定するのに必要な取引に関わる情報を質問式形式にて回答させることで入力させるので、仕訳を作成するのに必要な取引情報を漏れなく取得することができる。
【0075】
図7−2は、従来技術と本発明の関係を処理フローの相違として表した図である。
図7−1(1)に示すように、従来の会計入力システムでは、入力補助の仕組みはあるものの、取引毎に科目を決定しないと確定・保存することができなかった。また、科目が分からない場合において、未決のままで済ませてよいように取り扱う場合でも、その代わりに、科目を決定するために十分な摘要情報を分かりやすく取得するための仕組みは存在せず、摘要辞書のような(取引の種類に応じて体系化されているわけではない形式の)ウィザード形式の入力補助機能が用意されているに過ぎなかった。これに対し本発明の記帳システムでは、質問式入力により科目を自動決定してもよいし、担当者が科目を直接入力してもよいし、さらには未決の状態で会計事務所に渡すべく会計データを確定・保存することができる。このとき、さらに質問式入力により自動的に導出された科目と、オペレータにより入力あるいは空欄のままとされた内容とをシステムが比較し、一致しない場合にはその旨のフラグを付加し、会計事務所において当該フラグが付されたものが自動的に抽出され、注意喚起とともに会計事務所の担当者に提示されるようにすることができる。
【0076】
[3]質問式入力における質問生成処理の説明
図8は、出納帳形式や日計表形式といった、取引区分1、2がある類型における、質問生成処理における各種テーブルのハンドリングを説明するための図である。前述したように、本発明では入力方式ごとに入力画面が用意されており(
図5参照)、各方式で質問の体系/順番が異なっている。一実施例において、各画面の質問内容は
図17から
図26に示すようなテーブルで定義されており、方や出納帳形式や日計表形式の入力画面の質問欄は最初に取引区分1、2の情報を取得する構成となっている。これらの入力画面の質問欄は、最初の質問でいずれかの選択肢を選ぶと対応するテーブルが参照されて次の質問が生成され、すなわち先の質問に答えなければ次の質問へ進めない構成となっている。これらの入力画面の最初の質問である取引区分1は
図22に対応しており、例えばここで「21.経費の支払」が指定されると、
図22の取引区分1辞書で対応する取引区分コード「B02」と項目番号2の内部コード「01」が組み合わされ、「B0201」の取引区分コード3が生成される。このコード「B0201」に基づいて
図23の取引区分2辞書が参照され、該当する登録内容3が抽出されて画面上に取引区分2として表示される。例えばここで「1.飲食」が選択されると、同じ手順でコード「C01」「01」が付加され、取引区分コード4「B0201C0101」が生成される。これに基づいて
図24の自動摘要辞書が参照されて該当する登録内容が提示され、同様に選択されたコードが付加されて取引区分コード5が生成され、
図25の固有辞書が参照されて選択肢が抽出されて画面に提示される。このようにして確定された質問と回答の組み合わせを示す内部コードと、画面の下半分に通常入力された日付や金額、摘要やメモなどの文字列とが組み合わせて入力データとして確定され、さらに実施例あるいは設定によっては、例えば
図27−1、
図27−2に示すように保存される。
図27−1は質問コードと選択した回答コードのセットで表現した場合の入力データのコードの実施例であり、
図27−2は選択した回答コードのみで表現した場合の入力データのコードの実施例である。いずれも質問と回答の対応関係が分かるようになっている。
図28は、入力データから生成した取引情報データであり、さらに
図29は取引情報データから
図33の摘要辞書や
図37−1の科目振分テーブルが参照されて取引内容に適合した科目が決定し生成された仕訳データである。
【0077】
以上、出納帳形式などの単式簿記の入力形式の場合を例にして、質問式入力の特徴を概説したが、仕訳形式や伝票入力などの複式簿記の入力を行う場合でも同様に構成することができる。
【0078】
次に、仕訳形式や伝票入力などの複式簿記の入力を行う場合において、貸方/借方の両方の科目に関する取引情報(摘要情報)を漏れなく取得するために好適な、質問式入力の質問体系と順番のさらなる工夫について説明する。仕訳形式や伝票入力などの複式簿記の入力を行う場合、上記のような単式簿記における質問のように一方科目(相手科目)に関する取引情報の質問体系では足らず、借方/貸方の両方の科目を決められるような質問体系を構築して提示する必要がある。この典型例が、
図42(c)のような質問体系である。
図42については、別途詳述するが、
図42(c)によれば、借方/貸方の両方の科目を決められるような質問体系(及び順番)になっていることが分かる。そして、質問体系(および順番)は
図42に限られるわけではなく、例えば、
図9のような質問体系(および順番)で構成することも有効である。
【0079】
図9は、仕訳形式や伝票入力といった
図8のように取引区分1、2がない類型における、質問生成処理を説明するための図である。
図42のように、科目決定に必要な摘要情報を取得するための質問を、すべて含むような質問体系を構成することもできるが、基本構成部分の質問体系をシンプルな構成にした上で、詳細な質問が必要な取引類型について、別途、追加で質問を提示するような質問体系を構成した場合を想定したものである。このような仕訳形式入力や伝票入力では、貸方と借方の両方の勘定科目を特定する必要があるため、一方の科目を決定すべく最初の質問は例えば「支払/入金方法は?」(詳細には、支払か/入金(受取)か、その方法(現金、銀行振込・・・)は何か)となり、次に他方の科目を決定すべく次の質問は例えば「取引内容は?」といったものとなり、いずれも
図21の科目区分辞書の内容が提示される。ここまでは、一般的な科目(仕訳)辞書の方式と類似する処理になるが、ここでオペレータが取引内容として「交際費」を選択すると、摘要情報を質問式で取得する処理フローが起動し、これに付されている辞書コード「J01」をキーとして
図24の自動摘要辞書が参照され、対応する選択肢(接待による飲食等)が提示され、選択内容に応じて取引区分コード4をキーとして
図25の固有辞書が参照され、対応する選択肢が提示される。
図24から
図25の辞書を参照する流れは
図8における説明と同様である。
【0080】
さらに、
図9に示すような処理手順を、現金出納帳に適用することもできる。すなわち、現金出納帳入力画面において、現金出納帳を選択したことをもって、自科目を「現金」と設定するような置き換えを行い、次に「相手科目選択」に代えて、「取引区分1」「取引区分2」の質問を提示した上で、「自動摘要辞書」「固有辞書」の質問に移行する。これにより
図9の手順に沿って現金出納帳の入力を進めることができる。
【0081】
[4]フローチャートの説明
図10から
図11は、顧問先と会計事務所における大まかな処理手順を説明するための図である。本発明の記帳システムは、顧問先にあっても会計事務所にあってもよく、これらのいずれでも取引情報を入力することができる。単独でいずれかにある場合はいずれの場合でも処理は同じであり、
図10および
図11に示すように、上述した質問式や通常入力により取引情報を入力する取引情報入力処理(S10−1、11−1)、入力情報から科目を決定する仕訳生成処理(S10−2、11−2)、および作成した仕訳データを保存する仕訳登録処理(S10−3、11−3)が実施される。
【0082】
図12は、顧問先で取引情報を入力し、会計事務所で科目を確認、決定または修正する連携手順を説明するフローである。顧問先にて取引情報が入力され(S12−1)、会計事務所に送られる(S12−2)。ここでさらに科目振分テーブル(
図37−1)情報も送られる。これが会計事務所で受信され(S12−3)、サーバー20のデータベースに保存され、クライアント端末30で読み出されて仕訳生成処理が行われ(S12−4)、終了したら仕訳データが登録される(S12−5)。さらに、前述したように、仕訳データの修正があったら科目振分テーブルを更新し(
図37−2)、顧問先へフィードバックする構成(ステップは図示せず)であってもよい。このようにフィードバックで使用する情報の一例が、
図37−2に示されている。
【0083】
図13−1は、質問の順番に従って質問項目を取り出して画面構成情報にセットする処理を説明するフローチャートである。新規に取引情報を入力する際に、例えば
図5の画面でオペレータが入力形式を選択すると(S13−1)、質問式伝票入力以外の場合にはステップS13−2へ進む(質問式伝票入力は別途
図13−2のフローへ)。選択された入力形式が、例えば、複式簿記の入力形式において仕訳形式など摘要だけを質問式で入力する質問体系を採用する場合(ステップS13−2 YES)、入力形式に応じて
図17から
図26の選択項目対応テーブルを適宜参照して、必要なテーブルとデータを呼び出す(S13−3)。次に、追加の質問に関する
図26の取引相手辞書以外の辞書の内容を画面表示し(S13−4)、一方の科目を選択させ(S13−5)、これに対応したもう一方の科目を選択させる(S13−6)。ここで、会計に不慣れな者などが該当する科目が不明である場合はそのまま未決(空欄)としてもよい。その場合、一方科目の取引情報に関して、支払/入金方法(詳細には、支払か/入金(受取)か、その方法(現金、銀行振込・・・)は何か)に関する質問を行う。次に、もう一方の科目について、質問式にて摘要情報を取得する(S13−7)。この場合、追加の情報が必要か否かは、追加の質問が必要となるような選択肢にフラグが付されているものとする。選択内容によって追加の質問が必要な場合は追加の質問を例えば
図26の辞書から読み出して提示し、選択入力させる(S13−8〜9)。入力内容から取引情報を生成し、保存する(S13−10)。
【0084】
ステップS13−2において、例えば出納帳形式など、摘要だけを質問式で入力しない入力形式、すなわち全ての入力を質問式で行う場合(ステップS13−2 NO)、入力形式に応じて必要なテーブルとデータを呼び出し(S13−11)、取引相手辞書以外の辞書の内容を画面表示し(S13−12)、質問を提示して回答を選択させる(S13−13)。基本部分の質問体系をシンプルに構成し、特定の取引について追加で質問するような質問体系を構成した場合において、所定の取引について、必要な場合は追加の質問を提示して選択肢から選択させる(S13−14〜15)。さらに、実施例によっては支払い方法を再確認してもよい(S13−16)。これは、例えば最初にオペレータが現金出納帳を指定して入力を開始した場合でも、実際には掛けだったり、カード支払だったりする場合があり得るため、このように確認することでその場で不整合を指摘したり、後に会計事務所で修正できるようにすることができる。入力内容から取引情報が生成され、保存される(S13−17)。この場合に、入力において科目が決まらなくても、未完成仕訳として入力できるようにし、代わりに科目を決定するのに十分な情報を取得することで、後に会計事務所で科目を適切に修正して完成仕訳を生成することができる。
【0085】
図13−2は、質問式伝票入力が選択された場合の処理フローを説明する図である。質問式伝票はすべての項目を質問で回答するものであり、テーブルとデータを呼び出し、取引相手辞書以外の辞書内容を画面表示し、すべての項目について質問を提示して回答を取得し、取引情報を生成して保存する(S13−21〜24)。
【0086】
図14は、例えば会計事務所における仕訳生成処理の概略を説明するフローチャートである。会計事務所の担当者はサーバー20から取引情報(
図27および
図28)を呼び出し(S14−1)、
図33の摘要辞書、
図30の学習辞書、
図32の科目辞書といった必要な辞書を呼び出して(S14−2)、仕訳データを生成する(S14−3)。ここで、
図32の科目辞書は、日本工業規格(JIS)が規定する勘定科目コード(JIS−X406)に基づいた勘定科目と科目分類の関係を示す図である。このように勘定科目の大枠は国内で統一的に定められており、JIS−X406は勘定科目名と大分類コード、中分類コード、小分類コード、細分類コードが規定されている。
図9は科目コード毎に、詳細な科目名、科目貸借、科目分類1、科目分類2、科目分類3から構成されており、勘定科目と科目分類の関係を表している。科目分類1〜3はそれぞれJISコードで規定されている大分類、中分類、小分類と対応する形で位置づけられており、本願システムでもこのJISコードを準拠している。本来的には仕訳処理は詳細な科目名を登録して行われるが、例えば顧問先の習熟度に応じて、科目分類1〜3のいずれかを用いるようにしてもよい。また、
図33に示す摘要辞書は、質問や回答あるいは摘要に含まれるキーワードに基づいて適切な科目を導出するための辞書である。
【0087】
また、
図30に示す学習辞書は、決定した科目と摘要の組み合わせを蓄積し、最初にこの辞書を参照して同じ摘要からは同じ科目を導出できるようにするための辞書である。ここで、学習辞書のオペレータコードの項目は
図36−1のオペレータデータテーブルに対応しており、これはさらに
図36−2の職位データと関連付けられていて、科目決定や修正を行った者が税理士や公認会計士などの有資格者であるか、あるいは専門知識の有無などを把握することができる。これにより、例えば会計に関する有資格者や、税務署や国税庁など信頼すべき者が決定・修正した科目に重み付けを行って、過去のデータを遡って修正したり、顧問先の辞書に修正内容を反映させたりすることができる。
【0088】
図15−1は、入力形式毎の取引情報入力処理フローの概要を示す図であり、特に、複式簿記の入力形式において仕訳形式など、摘要のみを質問形式で取得する質問体系を採用する場合のフローチャートである(質問式入力B)。例えば
図5のターミナル画面において、該当する入力形式が選択されたら、システムは当該入力形式の通常入力用(すなわち、質問式入力以外の下側部分)の基本画面の構成情報を生成する(S15−1)。フローチャートの右隣に、仕訳形式の画面構成を用いて具体的構成を示す。次に、入力形式毎の質問式摘要入力画面の構成情報を生成する(S15−2)。これは、入力形式に応じた質問体系を用意して質問枠を形成することである。次に、通常入力欄と質問式入力欄の構成情報を合成して入力画面を生成し、表示する(S15−3)。オペレータはこの画面上で通常入力項目と、質問式入力項目にそれぞれ入力する(S15−4)。例えば仕訳形式の場合、科目選択は通常入力項目とするのが基本構成であるが、後の実施例に示すように、科目名自体を質問として提示し選択させるようにしてもよいし、借方/貸方の両方の科目について科目自体を選択させるのではなく科目を決められるような質問体系を構成し、例えば、科目1に関して(「支払/入金方法は?」(詳細には、支払か/入金(受取)か、その方法(現金、銀行振込・・・)は何か)の回答)を質問式で選択させてもよい。また、単式簿記の出納帳形式や日計表形式の場合は、一方の科目は入力形式を選択した段階の情報を、自科目とみなす置き換えを行えばよい。もちろん、科目の入力(ないし選択)は必須ではなく、未決のままでもよいし、自信がないまま、オペレータの判断で入力(選択)した科目が入力されていてもよい。その代わりに、摘要情報の入力に際して、体系化された質問を順次提示して、回答を選択させることで、科目決定に必要な摘要情報を取得していく。その後、必要に応じて追加の質問を行い、科目決定に必要な情報を補完する(S15−5〜6)。ここで、追加の質問は、
図37の科目振り分けテーブルを参照して、科目を決定するために必要な情報の漏れを検索して、対応する質問を提示したり、
図19の取引区分と質問内容および詳細質問のテーブルを参照して、取引区分2に対応して取引相手フラグが有る場合に、取引相手についての追加の情報を呼び出して質問するように構成することができる。
【0089】
図15−2は、例えば現金出納帳形式など、摘要のみならずすべての項目を質問形式で取得する類型(質問式入力A)のフローチャートである。フローチャートの構成は基本的には
図15−1のステップS15−1からステップS15−6と
図15−2のステップS15−21からステップS15−26とが同様であるが、摘要だけに留まらず、入金か/出金か等を含めてすべての取引情報を質問式で取得できるように、例えば最初に選択された出納帳の種類を最後に再確認するようにしてもよい(S15−27)。なお、摘要のみならずすべての項目を質問形式で取得する類型としては、単式簿記の現金出納帳形式に限られず、例えば、
図42(c)の質問体系のように構成すれば、複式簿記の入力形式(仕訳形式など)でも対応でき、
図15−2の処理フローを用いることができる。
【0090】
図15−3は、質問式伝票入力方式の取引情報入力処理フローを示す図である。この類型では、指定された種別の質問式伝票入力画面を構成して表示し、各質問への入力を取得する(S15−31〜33)。
【0091】
図16は、入力形式毎の取引情報入力処理フローにおいて、特に質問の順番に注目した場合のフローチャートである。例えば
図5の画面で入力形式を選択すると(S16−1)、
図17の入力形式と入力順のテーブル、
図18の入力形式と質問内容のテーブル、
図20の入力順と内容のテーブル等が呼び出される(S16−2)。ここで、
図17の入力形式と入力順のテーブルでは、入力形式ごとにどのような入力欄が必要かが定義されており、それぞれの要素(通常入力n、質問式入力n等)のより具体的な内容が
図18のテーブルに定義されている。さらに、
図18のテーブルにおける必要な要素がそれぞれ
図21から
図26の辞書に定義されている。また、
図20には、入力形式ごとにどの表示順で質問が展開されるかが規定されている。システムはこれらのテーブルを参照して、入力形式に応じた質問式入力項目と通常入力項目の振り分けを行い(S16−3)、通常入力項目の構成情報を生成する(S16−4)。このように、取引の種類に応じて、質問体系と順番を柔軟に調整して最適化することができ、オペレータに分かりやすい形で質問を提示し、回答を入力(選択)することができる。
【0092】
質問式入力形式は、
図5等に示す実施例のように項目として常時表示されてもよいし(S16−6〜24)、必要な質問が必要な時点(例えば前の質問が選択回答された時点)でポップアップ表示されるようにしてもよい(S16−25〜28)。項目として表示する場合(S16−5)、入力形式に応じて構築された質問体系を構成する質問式入力用の各テーブルを呼び出し(S16−6)、質問の順番に従って質問項目を取り出して画面構成情報にセットする(S16−7)。すげての質問項目についてこれを行い(S16−8)、質問式入力用の各項目の画面情報を生成したら(S16−9)、通常入力と質問式入力の構成情報を合成して入力画面を生成して表示する(S16−10)。
【0093】
この画面上において、オペレータが質問項目に回答したら(S16−12)、順番通りに回答されたかを確認し(S16−14〜15)、選択入力を受け付けて、当該選択内容に応じて次の質問の選択項目を呼び出して表示する(S16−16〜17)。このようにして一連の質問項目の回答が終了したら、質問と回答を紐づける(S16−19)。なお、通常入力欄へ入力があった場合はその入力内容を取得する(S16−13)。必要な項目への回答を取得したら(S16−20)、追加の質問が必要か否かを判断し(S16−21)、必要な場合に追加の質問を呼び出して回答を取得する(S16−21〜24)。
【0094】
図34は、会計事務所システムで管理される顧問先のデータであり、
図35は顧問先システムで管理される会計事務所のデータである。これらは契約している顧問先や事務所に連絡をとったり、入力データ、取引情報データ、仕訳データ等をオンラインで送受信したりする際に参照される。
【0095】
図38は、本発明にかかる記帳システムの構成例を示す図であり、
図38−1が顧問先端末10を含む顧問先システムの構成例、
図38−2が会計事務所サーバー20やクライアント端末30を含む会計事務所システムの構成例である。
【0096】
顧問先システムは例えば顧問先企業で用いられるパーソナルコンピュータであり、キーボードやスキャナー等の入力部11と、例えば液晶ディスプレイである表示部12と、プリンタ等の出力部13と、インターネットを介して会計事務所と接続するための通信部14と、各種データおよび会計ソフト(図示せず)が格納される記憶部15と、当該記憶部15から読み出したプログラムを実行して各種機能を実現するCPU等の処理部16とを具える。本実施形態では顧問先システムを顧問先企業に配置されたパーソナルコンピュータである顧問先端末10として説明するが、本明細書で説明する本願システムの各種機能とデータを提供できる限りにおいて、顧問先端末10はスマートフォンやタブレットPCであってもよく、さらには顧問先端末10の各種機能は顧問先企業のPCからアクセス可能なウェブサーバーによるウェブサービスとして実現することもできる。また、記憶部15に格納される各種データおよびテーブルを顧問先のパーソナルコンピュータ(クライアントPC)やタブレット端末からアクセス可能なサーバーに配置したクライアント−サーバーシステムとして構築してもよい。
【0097】
記憶部15には、会計事務所に提供される会計データを作成し出力するための各種データが格納される。本実施例において、記憶部15のデータは、
図17から
図20に示される各種テーブル、
図21から
図26、
図30に示される各種辞書、
図27から
図29、
図31から
図33に示される各種データが含まれる。
【0098】
処理部16は、入力受付部、仕訳データ作成部、辞書管理部、データ管理部、科目処理部、取引情報データ生成部、検索処理部等を具える。これらの要素は顧問先端末10で処理部15に格納された会計ソフトがCPUに展開されて実現されるものであり、後述する本願発明の各種処理を実施するためのさらなる要素を具えてもよい。
【0099】
図38−2に示す会計事務所システムは顧問先システムとほぼ同様の構成であるが、会計事務所特有の業務として処理部に帳表作成部を有している点のみが異なっている。会計事務所のサーバー20とクライアント端末30は
図38−2に示す同じ構成であってもよいし、
図38−2に示す手段、機能または情報の一部をサーバー20が具備し、他の部分をクライアント端末30が具備する構成であってもよく、さらにサーバー20とクライアント端末30がそれぞれ
図38−2に示す要素を部分的に具え、その一部が重複していてもよい。
【0100】
図39は、追加の質問を提示する処理フローの実施例を示す図である。システムは所定の入力が終了した取引データについて、
図37の科目振分テーブルを参照して(S39−1)、科目を決定するうえで必要な未入力の質問項目があるかを走査する(S39−2)。ある場合には必要な追加の質問項目を提示して、入力情報を補完する(S39−3)。より具体的には、
図15−1のステップ15−5の右側の枠内に示すように、科目振分テーブルの質問(1)、質問(2)、・・・のうち、未選択の項目があるかどうかを確認し、未選択の項目について、その項目に関する質問を提示する。例えば、
図37−1で、質問コード「3a」の質問において、キーワード1(質問(1))で「経費支払」、キーワード2(質問(2))で「飲食」が選択された場合において、まだ「人数」や「社内/社外」のメンバーの情報が選択されていない状態である場合、この未選択の「人数」や「社内/社外」のメンバーの情報について、質問情報データ(
図31)や質問内容および質問テーブル(
図19)などを参照して、質問を生成・提示するようにすればよい。
【0101】
図40は、仕訳確定処理の実施例を説明するためのフロー図である。仕訳確定処理は会計事務所で行われることを想定しているが、顧問先側で仕訳入力まで行って仕訳確定させてもよい。仕訳確定処理は、各選択項目で選択された項目を収集し(S40−1)、それに基づいて仕訳の日付を決定する(S40−2)。そして、
図37の科目振分テーブルを参照して、借方科目、借方金額、貸方科目、貸方金額を決定し、さらに摘要記載内容(摘要情報の作成については後述する)を決定する(S40−3〜7)。
【0102】
図43は、摘要情報を構成する際に配置する質問に対する回答の順番を記録した回答配置テーブルである。本図に示すように、上述したように摘要情報は質問回答の組み合わせである取引情報から生成されるが、このとき
図33の摘要辞書及び
図43の回答配置テーブルを用いてオペレータが取引内容を把握しやすく読みやすいように回答の順番を調整して出力される。
図43に示すように、回答配置テーブルには複数のパターンが登録されており、各パターンについて摘要として出力する質問回答の表示順が規定されている。現在設定されているパターンには選択フラグが付される。少なくとも1のパターンが初期登録されているが、他のパターンを追加登録したり、削除したりすることができる。これにより、顧問先や会計事務所の担当者が見やすいパターンを指定あるいは構築して摘要情報を表示させることができる。なお、顧問先や会計事務所の担当者が指定した摘要生成パターンと回数を記録しておき、その記録から選択される摘要生成パターンの傾向を分析/学習することにより、顧問先や会計事務所の癖を反映するようにしてもよい。
【0103】
図41は、質問式入力で取得された取引情報データから作成された摘要情報に基づいて、通常入力した科目の適否をチェックする処理フローを説明する図である。例えば仕訳入力形式などでは、科目は通常入力項目とするのが基本構成であり、摘要のみが質問式入力で作成される。この場合は例えば
図40で説明した仕訳確定処理を行って摘要から自動的に科目を導出することも可能であり、システムは自動で導出された科目と、通常入力形式で入力された科目とを比べて検証することができる。例えば顧問先システムにおいて、
図40の仕訳確定処理にて決定した科目情報を読み出すとともに(S41−1)、通常入力で入力された科目情報を読み出す(S41−2)。これらの自動決定された科目とオペレータが入力した科目を比較し(S41−3)、両者が違う場合に警告(音声および/または強調表示)を出力したり、不一致フラグを付加して会計事務所で検出されるようにする(S41−4)。これにより、正確性について注意を要する科目のみを抽出して確認・修正することができるようになり、入力データの信頼性を向上させることができる。
【0104】
図44は、本発明にかかる記帳システムないし会計処理システムの構成例の幾つかを示す図である。
図44−1は基本構成であり、上述した実施例はいずれもこの構成を念頭に説明されている。本図に示すように、顧問先の端末装置10がネットワークを介して会計事務所に設置されたサーバー装置20に接続され、会計事務所では1以上のクライアント端末装置30が動作している。なお、本例は必要なデータが会計事務所のサーバー装置20に保存されるようにしてもよく、この場合はプライベートクラウドの形態となる。
図44−2に示す実施例では、会計事務所側のサーバー装置20が仮想マシンの形態で顧問先にサービスを提供する。すなわち、サーバー装置20のコンピュータ資源が仮想マシンとして顧問先毎に割り振られており、顧問先の端末装置10は入出力装置として動作する形態である。
図44−3は会計事務所側のサーバー装置20の記憶部がデータセンター等に設置され、顧問先の端末装置10や会計事務所のクライアント端末装置30がネットワークを介して必要なデータにアクセスするクラウドサーバー形態としてシステムが構成される。
図44−4は、顧問先の端末装置10に加え、会計事務所のクライアント端末装置30もデータセンター等に設置されるサーバー装置20により仮想マシンの形態でサービスが提供される実施例である。このように、本発明の記帳システムないし会計処理システムは様々な形態で実現することができる。
【0105】
以上、本発明のいくつかの実施例について詳細に説明したが、本発明の技術的範囲は上記の実施形態ないし実施例に限定されるものではなく、本発明は添付の特許請求の範囲を逸脱することなく様々な変形例、変更例として実現することができる。このような変形例、変更例はすべて本発明の技術的範囲に属すると解されるべきである。