(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
(A)成分が、(水素添加)ポリイソプレン、(水素添加)ポリブタジエン及びポリウレタン構造を骨格に有する(メタ)アクリレートオリゴマーからなる群より選択される1種以上である、請求項1記載の積層体の製造方法。
(C)成分が、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールのアルキレンオキシド付加体のテトラ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンのアルキレンオキシド付加体のトリ(メタ)アクリレート、及びノナンジオールジ(メタ)アクリレートからなる群より選択される1種以上である、請求項1又は2記載の積層体の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(光硬化型接着組成物)
光硬化型接着組成物は、(A)(メタ)アクリレートオリゴマー、(B)単官能の(メタ)アクリレートモノマー、(C)2〜4官能の(メタ)アクリレートモノマー、(D)光反応開始剤、(E)軟化点が70〜150℃の粘着付与剤、及び(F)液状可塑剤を含む。本明細書において、「(メタ)アクリレート」は、「アクリレート」及び「メタクリレート」の両方を含む。また、「(メタ)アクリロイル基」は、「アクリロイル基」及び「メタクリロイル基」の両方を含む。
【0010】
<(A)(メタ)アクリレートオリゴマー>
(A)(メタ)アクリレートオリゴマーは、分子中に1以上の(メタ)アクリロイル基を有する。(A)(メタ)アクリレートオリゴマーは、光硬化型接着組成物におけるベースポリマーである。(A)(メタ)アクリレートオリゴマーの分子量は、1,000〜100,000であり、10,000〜70,000であるのが好ましく、20,000〜50,000であるのがより好ましい。オリゴマーの分子量が10,000以上であると、弾性率が低下し、可撓性が向上する傾向があり、オリゴマーの分子量が70,000以下であると、粘度が上昇しすぎず、作業性が向上する傾向がある。本明細書において、分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定し、標準ポリスチレンの検量線を用いて換算した重量平均分子量である。
【0011】
(A)(メタ)アクリレートオリゴマーの官能数((メタ)アクリロイル基の数)は、特に限定されないが、2官能以上が好ましく、2〜4官能が特に好ましい。(A)(メタ)アクリレートオリゴマーの官能数が2官能以上であると、十分な硬化性と皮膜性が得られる。(A)(メタ)アクリレートオリゴマーの官能数が4官能以下であると、官能数の増加に伴う弾性率の増加が抑えられる。
【0012】
(A)(メタ)アクリレートオリゴマーは、特に限定されず、(水素添加)ポリイソプレン、(水素添加)ポリブタジエン又はポリウレタンを骨格にもつ(メタ)アクリレートオリゴマーが挙げられる。これらの(メタ)アクリレートオリゴマーは、1種類又は2種類以上を使用できる。ここで、(水素添加)ポリイソプレンは、ポリイソプレン及び/又は水素添加ポリイソプレンを包含し、(水素添加)ポリブタジエンは、ポリブタジエン及び/又は水素添加ポリブタジエンを包含する。
【0013】
(水素添加)ポリブタジエンを骨格にもつ(メタ)アクリレートオリゴマーは、(水素添加)ポリブタジエン(メタ)アクリレート、及び、(水素添加)ポリブタジエンウレタン(メタ)アクリレートが挙げられる。(水素添加)ポリブタジエンを骨格にもつ(A)(メタ)アクリレートオリゴマーの市販品としては、TE2000(日本石油社製:分子量2,000)等が挙げられる。
【0014】
(水素添加)ポリイソプレンを骨格にもつ(メタ)アクリレートオリゴマーは、(水素添加)ポリイソプレン(メタ)アクリレート、及び、(水素添加)ポリイソプレンウレタン(メタ)アクリレートが挙げられる。(水素添加)ポリイソプレンを骨格にもつ(A)(メタ)アクリレートオリゴマーの市販品としては、UC(クラレ社製:分子量25,000)等が挙げられる。
【0015】
ポリウレタンを骨格にもつ(メタ)アクリレートオリゴマーは、ポリエーテル系、ポリカーボネート系、ポリエステル系又はこれらの組合せのポリウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーが挙げられる。ポリウレタンを骨格にもつ(A)(メタ)アクリレートオリゴマーの市販品としては、UA(ライトケミカル社製)、UV3630ID80(日本合成化学工業社製)、UV3700B(日本合成化学工業社製)等が挙げられる。
【0016】
(A)(メタ)アクリレートオリゴマーは、ポリウレタンを骨格にもつ(メタ)アクリレートオリゴマーが好ましい。(A)(メタ)アクリレートオリゴマーは、1種でも、又は2種以上を併用してもよい。
【0017】
<(B)単官能(メタ)アクリレートモノマー>
(B)単官能(メタ)アクリレートモノマーは、(A)(メタ)アクリレートオリゴマー及び(C)2官能〜4官能の(メタ)アクリレートモノマーの反応性を損なわずに、光硬化性接着組成物を低粘度化できる成分である。
【0018】
(B)単官能(メタ)アクリレートモノマーは、分子中に1個の(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレート化合物であれば、特に限定されず、アルキル(メタ)アクリレート、アルコキシ置換アルキル(メタ)アクリレート、ヒドロキシ置換アルキル(メタ)アクリレート、ヒドロキシ置換アルキル(メタ)アクリレート以外の水酸基含有(メタ)アクリレート、芳香族(メタ)アクリレート及び脂環式(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0019】
アルキル(メタ)アクリレートは、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート等が挙げられる。アルコキシ置換アルキル(メタ)アクリレートは、メトキシエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。ヒドロキシ置換アルキル(メタ)アクリレートは、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。ヒドロキシ置換アルキル(メタ)アクリレート以外の水酸基含有(メタ)アクリレートは、2−(メタ)アクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシプロピルフタレート、2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート等が挙げられる。芳香族(メタ)アクリレートは、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。脂環式(メタ)アクリレートは、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ノルボルネン(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0020】
(B)単官能(メタ)アクリレートモノマーは、アルキル(メタ)アクリレート及びヒドロキシ置換アルキル(メタ)アクリレート
からなる群より選択される1種以上が好ましい。
【0021】
(B)単官能(メタ)アクリレートモノマーは、分子量が1,000未満である。(B)単官能(メタ)アクリレートモノマーは、1種でも、又は2種以上を併用してもよい。2種以上の(B)単官能(メタ)アクリレートモノマーが併用される場合、アルキル(メタ)アクリレート及びヒドロキシ置換アルキル(メタ)アクリレートの組合せが好ましい。
【0022】
光硬化型接着組成物における(B)単官能(メタ)アクリレートモノマーの含有量は、(A)(メタ)アクリレートオリゴマー100質量部に対して、1〜250質量部であるのが好ましく、20〜200質量部であるのがより好ましく、30〜150質量部であるのがさらに好ましく、40〜90質量部であるのが特に好ましい。
【0023】
<(C)2官能〜4官能の(メタ)アクリレートモノマー>
(C)2官能〜4官能の(メタ)アクリレートモノマーは、分子中に2〜4個の(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレート化合物である。(C)2官能〜4官能の(メタ)アクリレートモノマーは、官能基密度を上げることにより(メタ)アクリレートの反応性を上げる効果があり、酸素による阻害がある状態でも、十分な架橋状態を形成することを可能にする成分である。(C)成分の官能数は、目的に応じて、適宜選択できる。
【0024】
2官能の(メタ)アクリレートモノマーは、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等の脂肪族ジ(メタ)アクリレート
;ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジシクロペンテニルジ(メタ)アクリレート等の脂環式ジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。2官能の(メタ)アクリレートモノマーは、1種でも、又は2種以上を併用してもよい。
【0025】
3官能の(メタ)アクリレートモノマーは、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等のトリ(メタ)アクリレート等の脂肪族トリ(メタ)アクリレート;トリメチロールプロパンのアルキレンオキシド付加体のトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールのアルキレンオキシド付加体のトリ(メタ)アクリレート等のポリオールのアルキレンオキシド付加体のトリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0026】
ここで、アルキレンオキシド付加体におけるアルキレンオキシドは、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド等の炭素数2〜4のアルキレンオキシドが挙げられ、エチレンオキシド好ましい。アルキレンオキシドの付加モル数は、ポリオールの水酸基1モルに対して、0.1〜10モルが好ましく、0.5〜2モルがより好ましい。
【0027】
3官能の(メタ)アクリレートモノマーは、1種でも、又は2種以上を併用してもよい。
【0028】
4官能の(メタ)アクリレートモノマーは、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート等の脂肪族テトラ(メタ)アクリレート;ペンタエリスリトールのアルキレンオキシド付加体のテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンのアルキレンオキシド付加体のテトラ(メタ)アクリレート等のポリオールのアルキレンオキシド付加体のテトラ(メタ)アクリレート等が挙げられる。ここで、アルキレンオキシド付加体は、好ましいものを含み、3官能の(メタ)アクリレートモノマーで前記したとおりである。4官能の(メタ)アクリレートモノマーは、1種でも、又は2種以上を併用してもよい。
【0029】
(C)2官能〜4官能の(メタ)アクリレートモノマーは、分子量が1,000未満である。
(C)2官能〜4官能の(メタ)アクリレートモノマーは、脂肪族ジ(メタ)アクリレート、脂肪族トリ(メタ)アクリレート、ポリオールのアルキレンオキシド付加体のトリ(メタ)アクリレート、脂肪族テトラ(メタ)アクリレート及びポリオールのアルキレンオキシド付加体のテトラ(メタ)アクリレートからなる群より選択される1種以上であってもよく、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールのアルキレンオキシド付加体のテトラ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンのアルキレンオキシド付加体のトリ(メタ)アクリレート、及びノナンジオールジ(メタ)アクリレートからなる群より選択される1種以上であってもよい。また、(C)2官能〜4官能の(メタ)アクリレートモノマーは、脂肪族ジ(メタ)アクリレート、ポリオールのアルキレンオキシド付加体のトリ(メタ)アクリレート及び脂肪族テトラ(メタ)アクリレートからなる群より選択される1種以上であってもよい。(C)2官能〜4官能の(メタ)アクリレートモノマーは、2官能〜4官能の脂肪族(メタ)アクリレートが好ましい。(C)2官能〜4官能の(メタ)アクリレートモノマーは、1種でも、又は2種以上を併用してもよい。
【0030】
光硬化型接着組成物における(C)2官能〜4官能の(メタ)アクリレートモノマーの含有量は、(A)(メタ)アクリレートオリゴマー100質量部に対して、0.1〜25質量部であるのが好ましく、1〜20質量部であるのがより好ましく、3〜10質量部であるのが特に好ましい。(C)2官能〜4官能の(メタ)アクリレートモノマーの含有量が、(A)(メタ)アクリレートオリゴマー100質量部に対して、0.1質量部以上であると、接着強度がより向上し、25部以下であると、弾性率の増加を抑制できる。
【0031】
<(D)光反応開始剤>
(D)光反応開始剤は、特に限定されず、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、ベンゾフェノン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルエトキシホスフィンオキシド、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)ブタノン−1、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、2−メチル−1−[4−メチルチオ]フェニル]−2−モルホリノプロパンー1−オン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキシド、2−ヒドロキシ−2−メチル−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノールオリゴマー、2−ヒドロキシ−2−メチル−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノールオリゴマー,2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−1−プロパノン、イソプロピルチオキサントン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、[4−(メチルフェニルチオ)フェニル]フェニルメタン、2,4−ジエチルチオキサントン、2ークロロチオキサントン、ベンゾフェノン、エチルアントラキノン、ベンゾフェノンアンモニウム塩、チオキサントンアンモニウム塩、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルホスフィンオキシド、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、4,4’−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、1,4ジベンゾイルベンゼン、10−ブチル−2−クロロアクリドン、2,2’ビス(o−クロロフェニル)4,5,4’,5’−テトラキス(3,4,5−トリメトキシフェニル)1,2’−ビイミダゾール、2,2’ビス(o−クロロフェニル)4,5,4’,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、2−ベンゾイルナフタレン、4−ベンゾイル ビフェニル、4−ベンゾイルジフェニルエーテル、アクリル化ベンゾフェノン、ビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)チタニウム、o−メチルベンゾイルベンゾエート、p−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエチルエステル、活性ターシャリアミン、カルバゾール・フェノン系光反応開始剤、アクリジン系光反応開始剤、トリアジン系光反応開始剤、ベンゾイル系光反応開始剤などを例示できる。
【0032】
(D)光反応開始剤は、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン及び2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルエトキシホスフィンオキシド
からなる群より選択される1種以上が好ましい。
(D)光反応開始剤は、1種でも、又は2種以上を併用してもよい。
【0033】
光硬化型接着組成物における(D)光反応開始剤の量は、(A)(メタ)アクリレートオリゴマー100質量部に対して、0.1〜20質量部であるのが好ましく、0.5〜15質量部であるのがより好ましく、1〜10質量部であるのが特に好ましい。
【0034】
<(E)軟化点が70〜150℃である粘着付与剤>
光硬化型接着組成物は、(E)軟化点が70〜150℃である粘着付与剤(以下、「(E)粘着付与剤」ともいう。)を含む。光硬化型接着組成物が(E)粘着付与剤を含むことにより、接着強度の向上とともに、硬化物の柔軟化を図ることができ、被着体への追従性を向上させることができる。
【0035】
(E)粘着付与剤の軟化点は、接着強度と柔軟性の点から、75〜130℃が好ましく、より好ましくは80〜120℃である。軟化点は、環球法により測定した値である。
【0036】
(E)粘着付与剤は、上記の軟化点を満足する限り特に限定されず、不均化ロジンエステル、重合ロジンエステル、(水素添加)ロジンエステル等のロジンエステル系樹脂;アクリルポリマー、アクリルコポリマー等のアクリル系樹脂;シリコーン系樹脂;テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂、変性テルペン樹脂、水素添加テルペン樹脂等のテルペン系樹脂;熱可塑性エラストマー;石油樹脂;脂環族飽和炭化水素樹脂;ロジンフェノール等のロジン系樹脂;キシレン樹脂等が挙げられる。
【0037】
(E)粘着付与剤は、ロジンエステル系樹脂が好ましく、水素添加ロジンエステルがより好ましい。ロジンエステル系樹脂は、ロジンのカルボン酸部分がエステル化されているため、酸成分による被着体(例えば、タッチパネルの配線部等)への影響を抑制することができる。さらに、水素添加ロジンエステルは、ロジンは水素添加されているため初期及び熱に暴露された際の着色も防ぐことができる。
(E)粘着付与剤は、1種でも、又は2種以上を併用してもよい。
【0038】
光硬化型接着組成物における(E)粘着付与剤の量は、光硬化型接着組成物100質量%中、5〜70質量%であることができる。この範囲であれば、反応成分の量が適切であり、良好な皮膜性が得られるとともに、接着強度の発現効果においても有利である。粘着付与剤は、光硬化型接着組成物100質量%中、10〜60質量%が好ましく、15〜50質量%がより好ましい。
【0039】
<(F)液状可塑剤>
光硬化型接着組成物は、(F)液状可塑剤を含む。液状とは、大気圧下、25℃で流動性を示すことをいい、例えばコーンプレート型粘度計で1,000Pa・s以下の粘度(例えば、0.01〜1,000Pa・sの粘度)を示すことが挙げられる。光硬化型接着組成物が(F)液状可塑剤を含むことにより、弾性率が小さく、柔軟な硬化物を得ることができる。
【0040】
(F)液状可塑剤としては、ジブチルフタレート、ジイソノニルフタレート、ジヘプチルフタレート、ジ(2−エチルヘキシル)フタレート、ジイソデシルフタレート、ブチルベンジルフタレート等のフタル酸エステル;アジピン酸ジオクチル、アジピン酸ジイソノニル、セバシン酸ジオクチル、セバシン酸ジイソノニル、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジイソノニル等の多価カルボン酸アルキルエステル(例えば、多価カルボン酸のC3〜C12アルキルエステル等);トリクレジルホスフェート、トリブチルホスフェート等のリン酸エステル;トリメリット酸エステル;トリエチレングリコール ビス(2−エチルヘキサノエート)等のポリオキシアルキレングリコールのアルキルエステル(例えば、ジ、トリ又はテトラエチレングリコールのC3〜C12アルキルエステル等);ゴム系ポリマー、ゴム系コポリマー(例えば、ポリイソプレン、ポリブタジエンもしくはポリブテン、又はこれらの水素化物、これらの両末端に水酸基を導入した誘導体もしくはこれらの水素化物の両末端に水酸基を導入した誘導体等);熱可塑性エラストマー;石油樹脂;脂環族飽和炭化水素樹脂;テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂、変性テルペン樹脂、水素添加テルペン樹脂等のテルペン系樹脂;ロジンフェノール等のロジン系樹脂;不均化ロジンエステル系樹脂、重合ロジンエステル系樹脂、(水素添加)ロジンエステル系樹脂等のロジンエステル系樹脂;キシレン樹脂等;アクリルポリマー、アクリルコポリマー等のアクリル系樹脂が挙げられる。これらは、液状であることとする。
【0041】
(F)液状可塑剤としては、ロジンエステル系樹脂(ただし、液状であることとする)が好ましく、水素添加ロジンエステル(ただし、液状であることとする)が好ましい。
(F)液状可塑剤は、1種でも、又は2種以上を併用してもよい。
【0042】
光硬化型接着組成物における(F)液状可塑剤の量は、(E)粘着付与剤による強度発現の点から、(E)粘着付与剤100質量部に対して、300質量部以下とすることができ、接着強度と柔軟性の点から、10〜250質量部であるのが好ましく、30〜200質量部であるのがより好ましく、50〜150質量部であるのが特に好ましい。
【0043】
<更なる成分>
光硬化型接着組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、接着付与剤、酸化防止剤、消泡剤、顔料、充填剤、連鎖移動剤、光安定剤、表面張力調整剤、レベリング剤、紫外線吸収剤、抑泡剤等を配合することができる。更なる成分は、1種でも、又は2種以上を併用してもよい。光硬化型接着組成物における更なる成分の総含有量は、(A)(メタ)アクリレートオリゴマー100質量部に対して、0.01〜15質量部であるのが好ましく、より好ましくは0.1〜10質量部であり、さらに好ましくは1〜5質量部である。
【0044】
<光硬化型接着組成物の調製方法>
光硬化型接着組成物は、各成分を混合することにより調製することができる。混合の方法は、特に限定されず、各種金属、プラスチック容器、攪拌羽、攪拌機を用いることができる。
【0045】
<光硬化型接着組成物の用途>
光硬化型接着組成物は、任意の基材1及び任意の基材2の貼り合わせ用に用いることができる。また、光硬化型接着組成物は、酸素の存在下で光硬化型接着組成物にエネルギー線を照射することを含む、任意の基材1及び任意の基材2の貼り合わせ用に用いることができる。基材1及び基材2は、同じ基材であっても、異なる基材であってもよい。基材1及び基材2の少なくとも一方は、光透過性部材であることができる。これにより、光硬化型接着組成物に光透過性部材側からエネルギー線(例えば紫外線)を照射して、硬化樹脂層を形成することができる。光透過性部材として、ガラス、(メタ)アクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリエステル、シクロオレフィンポリマー等が挙げられる。
【0046】
光硬化型接着組成物は、表示体とタッチパネル、表示体と前面板、又はタッチパネルと前面板の貼り合わせ用であるのが好ましい。光硬化型接着組成物を用いて、表示体とタッチパネル、表示体と前面板、又はタッチパネルと前面板を貼り合わせることにより、光学表示体が得られる。
【0047】
前面板としては、ガラス又はエンジニアリングプラスチック、例えばアクリル板(片面又は両面ハードコート処理やARコート処理してあってもよい)、ポリカーボネート板、PET板、PEN板などの透明プラスチック板が挙げられる。前面板を保護パネルとすることもできる。
タッチパネルとしては、抵抗膜式、静電容量式、電磁誘導式、又は光学式のタッチパネルが挙げられる。
表示体としては、LCD、ELディスプレー、EL照明、電子ペーパー、及びプラズマディスプレー等が挙げられる。
前面板、タッチパネル、及び表示体は段差を有してもよく、また遮光部を有してもよい。ここで、遮光部とは、接着面に塗布した光硬化型接着組成物に、硬化に必要なエネルギー線(例えば紫外線)が当たらない部分をいう。
【0048】
(積層体)
光硬化型接着組成物で貼り合わせることにより得られる積層体も本発明の対象である。具体的には、積層体は、任意の基材1及び任意の基材2を光硬化型接着組成物で貼り合わせることにより得られる。積層体の製造方法は、特に限定されないが、後述する積層体の製造方法であるのが好ましい。また、光硬化型接着組成物で貼り合わせることにより得られる積層体は、光学表示体であるのが好ましい。
【0049】
(積層体の製造方法)
積層体の製造方法は、基材1と基材2とが、光硬化型接着組成物の硬化物を介して積層された積層体の製造方法であって、以下の工程(I)〜(III):
(I)基材1に、光硬化型接着組成物を適用して、光硬化型接着組成物層を形成する工程、
(II)工程(I)で得られた光硬化型接着組成物層にエネルギー線を照射して、光硬化型接着組成物の硬化物を形成する工程、及び
(III)工程(II)で得られた硬化物の上に、基材2を貼り合わせる工程
を含む。
【0050】
積層体の製造方法において、光硬化型接着組成物、基材1及び基材2は、好ましい態様を含み、上記したとおりである。よって、積層体の製造方法は、光学表示体の製造方法であるのが好ましい。また、積層体の製造方法により得られる積層体は、光学表示体であるのが好ましい。
【0051】
<工程(I)>
工程(I)は、基材1に、光硬化型接着組成物を適用して、光硬化型接着組成物層を形成する工程である。
【0052】
光硬化型接着組成物を基材1に適用する方法は、特に限定されず、ダイコーター、ディスペンサー、スクリーン印刷等による方法を利用することができる。光硬化型接着組成物層の厚みは、特に限定されず、例えば10〜500μmとすることができ、30〜350μmが好ましい。
【0053】
<工程(II)>
工程(II)は、工程(I)で得られた光硬化型接着組成物層にエネルギー線を照射して、光硬化型接着組成物の硬化物を形成する工程である。
【0054】
エネルギー線は、特に限定されず、可視光線、紫外線、X線、電子線等の活性エネルギー線を使用することができる。エネルギー線は、紫外線であるのが好ましい。紫外線の光源としては、紫外線(UV)が発せられる光源を使用することができる。紫外線の光源としては、例えば、メタルハライドランプ、高圧水銀ランプ、キセノンランプ、水銀キセノンランプ、ハロゲンランプ、パルスキセノンランプ、LED等が挙げられる。LEDのピーク波長は、特に限定されないが、365nm、405nm、375nm、385nm及び395nmが挙げられる。LED以外の光源から発せられる光は、光学フィルターを通すことによって、特定の波長の光に調整してもよい。具体的には、300nm以下の波長の光をカットする光学フィルター及び/又は500nm以上の波長の光をカットする光学フィルターを通すことにより調整することができる。
【0055】
エネルギー線の照射は、エネルギー線の積算光量が30〜15,000mJ/cm
2となるように照射することができる。積算光量は、50〜12,000mJ/cm
2であるのが好ましく、100〜10,000mJ/cm
2であるのがより好ましい。
【0056】
工程(II)において、光硬化型接着組成物側からエネルギー線を照射して、硬化樹脂層を形成することができる。ここで、基材1が光透過性部材である場合、エネルギー線は、光硬化型接着組成物に光透過性部材側から照射して、硬化樹脂層を形成してもよい。エネルギー線の照射は、酸素存在下、減圧下又は窒素等の不活性ガス雰囲気下で行うことができる。
【0057】
工程(II)で形成される硬化物における、光硬化型接着組成物の反応率は、特に限定されないが、90%以上であるのが好ましい。反応率が90%以上であると、貼り合わせ後にさらなる照射を行わなくても十分な強度が発現するため、工程の簡略化が可能である。また、硬化せずに残留した光硬化型接着組成物による他部材への浸透やダメージ、硬化物からのブリードアウトの懸念がなく、積層体に光が透過しない遮光層が設けられている場合や、まったく光が透過しない基材の貼り合わせにも適用が可能となる。反応率は、エネルギー線(例えば紫外線)照射前後の、光硬化型接着組成物中の(メタ)アクリロイル基の減少率で定義され、FT−IRによって測定することができる。なお、光硬化型接着組成物中の(メタ)アクリロイル基がすべて反応した場合を100%とする。
【0058】
<工程(III)>
工程(III)は、工程(II)で得られた硬化物の上に基材2を貼り合わせて、積層体を得る工程である。硬化物を形成した基板1の上に、硬化物に接するように基板2を載置し、基板1と基板2とを貼り合わせることができる。基材2は、工程(I)で光硬化型接着組成物が適用されなかった基材である。
【0059】
積層体の製造方法は、基材1、基材2及びそれらの間の光硬化型接着組成物の硬化物とからなる貼り合わせ体を加圧処理する工程を含んでいてもよい。積層体の製造方法が加圧処理を含むことで、積層体の接着強度がより向上する。加圧処理は、ゴムローラ、平板プレス装置等を用いて行うことができる。
【実施例】
【0060】
以下、本発明を実施例及び比較例によりさらに詳細に説明する。本発明はこれら実施例により限定されるものではない。表示は、特に断りがない限り、質量部、質量%である。
【0061】
表1に示す配合の各成分を均一に混合し、実施例・比較例の光硬化型接着組成物を調製した。
【0062】
得られた実施例・比較例の光硬化型接着組成物を用いて、以下のようにして、特性を測定した。
【0063】
<弾性率>
弾性率は、JISZ1702に準拠しNo.3ダンベル試験片(厚さ1mmt)を作製して、引張圧縮試験機(ミネベア製、テクノグラフTG−2kN)を用いて10mm/minの速度により測定した。なお、ダンベル試験片は、コンベア型メタルハライドランプ(アイグラフィックス社製、200mW/cm
2)を使用し、光硬化型接着組成物を6000mJ/cm
2で硬化させた硬化物から作製した。
【0064】
<OPEN強度及びCLOSE強度>
下記のようにOPEN強度及びCLOSE強度の測定試験片を得た。
【0065】
<<OPEN硬化の強度測定試験片>>
基材1(26mm×75mm×1.1mmt、ガラス)に、光硬化型接着組成物の塗布部分が20mm幅になるように、セロハンテープ(50μmt)3枚を用いて作成した150μmtの厚みのスペーサーを貼り、金属スキージを用いて光硬化型接着組成物を塗布して、光硬化型接着組成物層を形成した後、コンベア型メタルハライドランプ(アイグラフィックス社製、200mW/cm
2)にて、3,000mJ/cm
2で光硬化型接着組成物層側から光照射して、光硬化型接着組成物の硬化物を形成した。基材3(26mm×150mm×0.1mmt、PET)を光硬化型接着組成物の硬化物に載置し、接合させOPEN硬化の強度測定試験片を得た。
【0066】
<<CLOSE硬化の強度測定試験片>>
基材1(26mm×75mm×1.1mmt、ガラス)に、光硬化型接着組成物の塗布部分が20mm幅になるように、セロハンテープ(50μmt)3枚を用いて作成した150μmtの厚みのスペーサーを貼り、金属スキージを用いて光硬化型接着組成物を塗布して、光硬化型接着組成物層を形成した後、基材2(26mm×75mm×0.05mmt、離型PET)を光硬化型接着組成物層に載置し、接合させた後、コンベア型メタルハライドランプ(アイグラフィックス社製、200mW/cm
2)にて、3,000mJ/cm
2で基材1越しに光照射して、光硬化型接着組成物の硬化物を形成した。基材2を剥離し、基材3(26mm×150mm×0.1mmt、PET)を、基材2を剥離した面に載置し、接合させCLOSE硬化の強度測定試験片を得た。
【0067】
<<OPEN強度及びCLOSE強度の測定>>
OPEN強度及びCLOSE強度は、引張圧縮試験機(ミネベア製、テクノグラフTG−2kN)を用いて300mm/minの速度により測定した。
【0068】
<強度変化率>
上記のOPEN強度及びCLOSE強度の強度変化率を求めた。強度変化率が20%以下であるときを「○」として、20%超であるときを「×」と評価した。
【0069】
<反応率>
光硬化型接着組成物の硬化物における、光硬化型接着組成物の反応率は、光硬化型接着組成物のエネルギー線照射前後のアクリロイル基の減少率としてFT−IR(Perkin Elmer社製、Spectrum100)により測定した。減少率は、エネルギー線照射前の光硬化型接着組成物層のFT−IR測定チャートにおけるベースラインからの800〜820cm
−1の吸収ピーク高さ(X)とエネルギー線照射後の光硬化型接着組成物の硬化物のFT−IR測定チャートにおけるベースラインからの800〜820cm
−1の吸収ピーク高さ(Y)とを以下の数式(1)に代入することにより求めた。
反応率(%)={(X−Y)/X}×100 ・・・(1)
【0070】
<<OPEN硬化の反応率の測定>>
基材1(26mm×75mm×1.1mmt、ガラス)に、光硬化型接着組成物の塗布部分が20mm幅になるように、セロハンテープ(50μmt)3枚を用いて作成した150μmtの厚みのスペーサーを貼り、金属スキージを用いて光硬化型接着組成物を塗布して、光硬化型接着組成物層を形成した後、コンベア型メタルハライドランプ(アイグラフィックス社製、200mW/cm
2)にて、3,000mJ/cm
2で光硬化型接着組成物層側から光照射して、光硬化型接着組成物の硬化物を形成した。基材3(26mm×150mm×0.1mmt、PET)を光硬化型接着組成物の硬化物に載置し、接合させOPEN硬化の強度測定試験片を得た。OPEN硬化の強度測定試験片中の光硬化型接着組成物の硬化物について、光硬化型接着組成物の反応率を測定した。
【0071】
<<CLOSE硬化の反応率の測定>>
基材1(26mm×75mm×1.1mmt、ガラス)に、光硬化型接着組成物の塗布部分が20mm幅になるように、セロハンテープ(50μmt)3枚を用いて作成した150μmtの厚みのスペーサーを貼り、金属スキージを用いて光硬化型接着組成物を塗布して、光硬化型接着組成物層を形成した後、基材2(26mm×75mm×0.05mmt、離型PET)を光硬化型接着組成物層に載置し、接合させた後、コンベア型メタルハライドランプ(アイグラフィックス社製、200mW/cm
2)にて、3,000mJ/cm
2で基材1越しに光照射して、光硬化型接着組成物の硬化物を形成した。基材2を剥離し、基材3(26mm×150mm×0.1mmt、PET)を、基材2を剥離した面に載置し、接合させCLOSE硬化の強度測定試験片を得た。CLOSE硬化の強度測定試験片中の光硬化型接着組成物の硬化物について、光硬化型接着組成物の反応率を測定した。
【0072】
結果を表1にまとめる。
【0073】
【表1】
【0074】
UV3630ID80:ポリウレタンアクリレート(2官能)(日本合成化学工業社製、分子量35,000)
LA:ラウリルアクリレート
4−HBA:4−ヒドロキシブチルアクリレート
A−TMMT:ペンタエリスリトールテトラアクリレート(4官能)(新中村化学工業株式会社製NKエステル)
A−TMPT−3EO:トリメチロールプロパントリアクリレート(エチレンオキシド(EO)付加)(3官能)(新中村化学工業株式会社製NKエステル、分子量:428、1分子当たりのエチレンオキシド単位3モル)
1,9ND−A:1,9−ノナンジオールジアクリレート
I−184:1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン
I−TPO:2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキシド
KE311:水添ロジンエステル(軟化点95℃)(荒川化学社製)
ME−D:水添ロジンエステル(液状)(荒川化学社製)
【0075】
実施例1〜3は、強度変化率が0(即ち、OPEN硬化とCLOSE硬化の強度差がない)であった。すなわち、2官能〜4官能の(メタ)アクリレートモノマーを含むことで、酸素存在下で光照射した場合でも、酸素が存在しない場合と同等な接着強度を有していた。一方、比較例1は、2官能〜4官能の(メタ)アクリレートモノマーを含まないため、酸素が存在しない場合で光照射した場合の接着強度に対して、酸素存在下で光照射した場合の接着強度は低下した。