特許第6528514号(P6528514)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6528514回転調理部材、回転式調理器および入れ子型回転体セット
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6528514
(24)【登録日】2019年5月24日
(45)【発行日】2019年6月12日
(54)【発明の名称】回転調理部材、回転式調理器および入れ子型回転体セット
(51)【国際特許分類】
   A47J 43/046 20060101AFI20190531BHJP
【FI】
   A47J43/046
【請求項の数】4
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2015-76209(P2015-76209)
(22)【出願日】2015年4月2日
(65)【公開番号】特開2016-195645(P2016-195645A)
(43)【公開日】2016年11月24日
【審査請求日】2018年2月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003702
【氏名又は名称】タイガー魔法瓶株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100136319
【弁理士】
【氏名又は名称】北原 宏修
(72)【発明者】
【氏名】阪田 雅之
(72)【発明者】
【氏名】小幡 享史
(72)【発明者】
【氏名】温 岩
【審査官】 根本 徳子
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭54−154576(JP,A)
【文献】 米国特許第8425107(US,B2)
【文献】 実開昭55−139830(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 43/046
A47J 43/07
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体と、
平面視において前記本体から外方に向かって延びると共に少なくとも下方に向かう部分を含み、内側から外側に向かう方向に沿って外面に溝が形成されている立体翼部と
前記本体部における前記立体翼部の突出位置よりも下側の位置から外方に向かって延びる環状翼部と、
を備え、
前記環状翼部では、周方向の少なくとも一方の端部の上側表面が先端に向かうに従って下方に傾斜している
回転調理部材。
【請求項2】
容器と、
回転部と、
前記回転部を回転駆動させる駆動部と、
前記容器内に配設されると共に前記回転部に連結される請求項に記載の回転調理部材と
を備え、
前記立体翼部は、前記容器に200mLの液体を注ぎ入れたとき、上端が前記液体の液面よりも高い
回転式調理器。
【請求項3】
本体と、前記本体から前記本体の回転軸を含む平面に沿って外側に向かって延びる少なくとも一つの嵌合リブとを有する内側回転体と、
前記内側回転体の外側で前記内側回転体に篏合可能である請求項1に記載の回転調理部材と
を備え、
前記本体部は、筒状を呈し、前記本体部の内周側において前記本体部の回転軸を含む面に沿って延びており前記嵌合リブと嵌合可能である少なくとも2つの直線状の溝と、前記本体部の内周側において前記溝の両側面の下端から前記本体部の内周面に交差しながら延びており前記溝から遠ざかるに従って下方に傾斜する一対の傾斜面とを有し、
前記一対の傾斜面は互いに交差する
入れ子型回転体セット。
【請求項4】
本体を有する内側回転体と
前記内側回転体の外側で前記内側回転体に篏合可能である請求項1に記載の回転調理部材と
を備え、
前記本体部は、筒状を呈し、前記本体部から前記本体部の回転軸を含む平面に沿って内側に向かって延びる少なくとも一つの嵌合リブを有し、
前記内側回転体は、前記本体の外周側において前記本体の回転軸を含む面に沿って延びており前記嵌合リブと嵌合可能である少なくとも2つの直線状の溝と、前記本体の外周側において前記溝の両側面から前記本体の外周面に交差しながら延びており前記溝から遠ざかるに従って上方に傾斜する一対の傾斜面とをさらに有し、
前記一対の傾斜面は互いに交差する
入れ子型回転体セット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フードプロセッサ等の回転式調理器に関する。また、本発明は、同回転式調理器において用意される泡立て部材等の回転調理部材にも関する。また、本発明は、同回転式調理器における入れ子型回転体セットにも関する。
【背景技術】
【0002】
過去に「電動式泡立て撹拌調理器において、泡立て容器の蓋の下面に固定羽根を設け、泡立て容器の内底面に上記の固定羽根の内側で回転する回転羽根を設け、上記の固定羽根の複数本の固定脚片と、回転羽根の撹拌アームとの間で調理材料を切る際に空気を混入させるようにする」ことが提案されている(例えば、特開2000−262414号公報等参照)。この提案によると、泡立て容器をこのように構成することにより、泡立て効率を高めることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−262414号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、従前の電動式泡立て器やフードプロセッサ等に採用される泡立て部材等よりも泡立て効率を高めることができる回転調理部材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1局面に係る回転調理部材は、例えば、フードプロセッサや電動泡立器等のアタッチメントや泡立部材(ホイップ部材)であって、本体部、立体翼部および環状翼部を備える。本体は、中実体であってもよいし筒状体であってもよい。立体翼部は、平面視において本体から外方に向かって延びている。この立体翼部は、1枚のみ設けられてもよいし、複数枚設けられてもよい。立体翼部が1枚のみ存在する場合、その立体翼部は、平面視において、全周に亘って形成されずに、本体の外周面の一部から外方に突出するように形成されるのが好ましい。また、立体翼部が複数枚存在する場合、回転調理部材を平面視にしたとき、複数枚の立体翼部の間には隙間が存在する。また、この立体翼部は、下方に向かう部分を少なくとも含む。そして、立体翼部の外面には、内側から外側に向かう方向に沿って少なくとも1本の溝が形成されている。なお、立体翼部が複数枚存在する場合、複数枚の立体翼部のうち少なくとも一枚の立体翼部の外面に溝が形成されればよい。なお、ここで、溝は、本体の軸を中心として放射状に形成されるのが好ましい。また、溝の幅は全て同一であってもよいし、異なっていてもよい。また、この立体翼部には、溝とは別にスリット(切欠き)が形成されていてもよい。環状翼部は、環状の翼部であって、本体部における立体翼部の突出位置よりも下側の位置から外方に向かって延びている。なお、この環状翼部は立体翼部の下端に接合されているのが好ましい。また、この環状翼部は、本体部の回転軸と直交する面に沿って形成されるのが好ましい。この環状翼部は、1枚のみ設けられてもよいし、複数枚設けられてもよい。翼部が1枚のみ存在する場合、その翼部は、平面視において、全周に亘って形成されずに、本体部の外周面の一部から外方に突出するように形成される。また、翼部が複数枚存在する場合、回転調理部材を平面視にしたとき、複数枚の翼部の間には隙間が存在する。そして、この環状翼部では、周方向の少なくとも一方の端部の上側表面が先端に向かうに従って下方に傾斜している。なお、環状翼部が複数枚存在する場合、複数枚の環状翼部のうち少なくとも一枚の環状翼部において、周方向の少なくとも一方の端部の上側表面が先端に向かうに従って下方に傾斜していればよい。また、回転方向側の端部の上側表面のみが先端に向かうに従って下方に傾斜していてもよい。
【0006】
本願発明者らの鋭意検討により、立体翼部に溝を設けることによって泡立て時間を短縮することができる、すなわち、泡立て効率を高めることができることが判明した。したがって、この回転調理部材を用いれば、従前の電動式泡立て器やフードプロセッサ等に採用される泡立て部材等よりも泡立て効率を高めることができる。
【0007】
また、本願発明者らの鋭意検討により、この環状翼部をさらに設けることによって、原料の飛び散りを有効に抑制し、さらに効率的に泡立てを行うことができることが判明した。したがって、この回転調理部材を用いれば、泡立て効率をさらに高めることができる。
【0008】
また、この回転調理部材では、環状翼部において、周方向の少なくとも一方の端部の上側表面が先端に向かうに従って下方に傾斜している。このため、この回転調理部材では、回転時に、少なくとも一つの翼部に対してダウンフォース(下向きの力)が働く。したがって、この回転調理部材では、従前の回転調理部材に比べ、高回転時の浮揚力が弱められている。よって、この回転調理部材は、従前の回転調理部材に比べ、高回転時に浮き上がりにくくなっている(この回転調理部材が浮き上がり始める回転数が高められているとも言える。)。
【0009】
本発明の第局面に係る回転式調理器は、容器、回転部、駆動部および回転調理部材を備える。駆動部は、回転部を回転駆動させる。回転調理部材は、第1局面に係る回転調理部材であって、容器内に配設されると共に回転部に連結される。そして、この回転式調理器において、容器に200mLの液体を注ぎ入れたとき、立体翼部の上端は液体の液面よりも高くなる。
【0010】
本願発明者らの鋭意検討により、立体翼部の上端が液体の液面よりも高い位置にあるときに、より効果的に泡立て時間を短縮することができることが明らかとなっている。そして、この回転式調理器では、一般家庭で通常、作製される量のホイップクリーム等の泡立て食材の調製に必要な200mLの原材料を容器に注ぎ入れたとき、立体翼部の上端が液体の液面よりも高くなる。このため、この回転式調理器では、一般家庭での泡立て食材の調製において、より効果的に泡立て時間を短縮することができる。
【0011】
本発明の第局面に係る入れ子型回転体セットは、内側回転体および第1局面に係る回転調理部材を少なくとも備える。内側回転体は、本体および少なくとも一つの嵌合リブを有する。本体は、筒体であることが好ましい。嵌合リブは、本体から本体の回転軸を含む平面に沿って外側に向かって延びている。なお、この嵌合リブの下端に、回転軸に垂直な面に沿って形成される環状の位置決めリブが形成されてもよい。また、嵌合リブの上端部は上方に向かうに従って本体側に傾斜するのが好ましい。回転調理部材は、内側回転体の外側で内側回転体に篏合可能である。この回転調理部材の本体部は、筒状を呈し、少なくとも2つの溝および一対の傾斜面を有する。溝は、直線状の溝であって、回転調理部材の本体の内周側において回転調理部材の本体の回転軸を含む面に沿って延びている。そして、この溝は、内側回転体の嵌合リブと嵌合可能である。この溝の数は、嵌合リブの数と等しいか多い必要がある。一対の傾斜面は、本体の内周側において溝の両側面の下端から本体の内周面に交差しながら延びている。また、この一対の傾斜面は、溝から遠ざかるに従って下方に傾斜している。そして、一対の傾斜面は、他の一対の傾斜面と互いに交差する。なお、「内側回転体の内側」または「内側回転体のさらに内側に配設される内側回転体の内側」には、回転駆動源に直結する回転シャフトに嵌合可能な被嵌合部が形成される。すなわち、この入れ子型回転体セットに、3つ以上の入れ子が存在する場合、最内側の回転体の内側に被嵌合部が形成されることになる。そして、最外側の回転体は、上述の回転調理部材となる。そして、最内側の回転体と最外側の回転調理部材との間に位置することになる回転体には、内側回転体の嵌合リブならびに回転調理部材の溝および傾斜面が共に形成されることになる。なお、かかる場合、回転体の本体は筒状体でなければならない。また、互いに対向する溝の側面の長さは等しくされてもよいし、回転方向側の側面の長さがその反対側の側面の長さよりも長くなるようにされてもよい。かかる場合、前者に比べて、回転時に内側回転体から回転調理部材が脱離しにくくなり好ましい。
【0012】
この入れ子型回転体セットでは、上述の通り、内側回転体が嵌合リブを有し、回転調理部材が溝および一対の傾斜面を有する。このため、この入れ子型回転体セットでは、作業者が内側回転体に回転調理部材を被せると、回転調理部材の溝に直接的に内側回転体の嵌合リブが嵌まり込むか、内側回転体の嵌合リブに回転調理部材の傾斜面が当接し、回転調理部材が自然に回転しながら滑り落ちて回転調理部材の溝に内側回転体の嵌合リブが嵌まり込む。このため、この入れ子型回転体セットでは、従前に比べて嵌め込み作業が極めて楽になる。
【0013】
本発明の第局面に係る入れ子型回転体セットは、内側回転体および第1局面に係る回転調理部材を少なくとも備える。内側回転体は、本体を有する。本体は、筒体であることが好ましい。回転調理部材は、内側回転体の外側で内側回転体に篏合可能である。そして、回転調理部材の体部は、筒状を呈し少なくとも一つの嵌合リブを有する。嵌合リブは、回転調理部材の本体から回転調理部材の本体の回転軸を含む平面に沿って内側に向かって延びている。内側回転体は、少なくとも2つの溝および一対の傾斜面をさらに有する。溝は、直線状の溝であって、内側回転体の本体の外周側において内側回転体の本体の回転軸を含む面に沿って延びている。そして、この溝は、内側回転体の嵌合リブと嵌合可能である。この溝の数は、嵌合リブの数と等しいか多い必要がある。一対の傾斜面は、内側回転体の本体の外周側において溝の両側面から内側回転体の本体の外周面に交差しながら延びている。また、この一対の傾斜面は、溝から遠ざかるに従って上方に傾斜している。そして、一対の傾斜面は、他の一対の傾斜面と互いに交差する。なお、「内側回転体の内側」または「内側回転体のさらに内側に配設される内側回転体の内側」には、回転駆動源に直結する回転シャフトに嵌合可能な被嵌合部が形成される。すなわち、この入れ子型回転体セットに、3つ以上の入れ子が存在する場合、最内側の回転体の内側に被嵌合部が形成されることになる。そして、最外側の回転体は、上述の回転調理部材となる。そして、最内側の回転体と最外側の回転調理部材との間に位置することになる回転体には、回転調理部材の嵌合リブならびに内側回転体の溝および傾斜面が共に形成されることになる。なお、かかる場合、回転体の本体は筒状体でなければならない。また、互いに対向する溝の側面の長さは等しくされてもよいし、回転方向側の側面の長さがその反対側の側面の長さよりも長くなるようにされてもよい。かかる場合、前者に比べて、回転時に内側回転体から回転調理部材が脱離しにくくなり好ましい。
【0014】
この入れ子型回転体セットでは、上述の通り、回転調理部材が嵌合リブを有し、内側回転体が溝および一対の傾斜面を有する。このため、この入れ子型回転体セットでは、嵌め込み作業者が内側回転体に回転調理部材を被せると、内側回転体の溝に直接的に回転調理部材の嵌合リブが嵌まり込むか、回転調理部材の嵌合リブが内側回転体の傾斜面に当接し、回転調理部材が傾斜面に沿って自然に回転しながら滑り落ちて内側回転体の溝に回転調理部材の嵌合リブが嵌まり込む。このため、この入れ子型回転体セットでは、従前に比べて嵌め込み作業が極めて楽になる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施の形態に係るフードプロセッサの外観斜視図である。
図2】本発明の実施の形態に係るフードプロセッサの平面図である。
図3図2のA−A断面図である。
図4】本発明の実施の形態に係るフードプロセッサからボウルを取り外したときの状態を示す斜視図である。
図5】本発明の実施の形態に係るフードプロセッサのホイップアタッチメントの正面側斜視図である。
図6】本発明の実施の形態に係るフードプロセッサのホイップアタッチメントの背面側斜視図である。
図7】本発明の実施の形態に係るフードプロセッサのホイップアタッチメントの平面図である。
図8図7のB−B断面図である。
図9図7のC−C断面図である。
図10図7のD−D断面図である。
図11図7のE−E断面図である。
図12図9のH−H断面図である。
図13図7のF−F断面図である。
図14図13のZm1部分の拡大図である。
図15図7のG−G断面図である。
図16図15のZm2部分の拡大図である。
図17】本発明の実施の形態に係るフードプロセッサの補助アタッチメントの正面図である。
図18】本発明の実施の形態に係るフードプロセッサの補助アタッチメントの平面図である。
図19図18のI−I断面図である。
図20図18のJ−J断面図である。
図21】本発明の実施の形態に係る補助アタッチメントにホイップアタッチメントを嵌合させたときの正面図である。
図22】本発明の実施の形態に係る補助アタッチメントにホイップアタッチメントを嵌合させたときの平面図である。
図23図22のK−K断面図である。
図24】補助アタッチメントに対するホイップアタッチメントの嵌合状態を説明するために図23を簡素化した図である。
図25図22のL−L断面図である。
図26】補助アタッチメントに対するホイップアタッチメントの嵌合状態を説明するために図25を簡素化した図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
<本発明の実施の形態に係るフードプロセッサの構成>
本発明の実施の形態に係るフードプロセッサ100は、図1から図4に示されるように、主に、本体110、ホイップアタッチメント150、補助アタッチメント190、ワークボウル160、蓋体170、電源コード181および電源プラグ182から構成されている。以下、上述の構成部品についてそれぞれ詳述する。
【0017】
なお、本実施の形態に係るフードプロセッサ100において、ホイップアタッチメント150は、切断刃アタッチメントや、パン捏ねアタッチメント、すりおろしアタッチメントなどの他のアタッチメントに付け替え可能である。これらのアタッチメントの中には、ホイップアタッチメント150のように補助アタッチメント190を必要とするものもあれば、補助アタッチメント190を必要としないものもある。本願発明は主にホイップアタッチメント150に関するものであるため、ここでは、他のアタッチメントについては詳細な説明を省略する。
【0018】
1.本体
本体110は、図1から図4に示されるように、主に、外装体111、攪拌モータ132、スイッチ機構131、回転シャフト133およびベルト伝達機構134から構成される。以下、これらの構成部品について詳述する。
【0019】
(1)外装体
外装体111は、図1から図4に示されるように、主に、第1筐体部112、第2筐体部113および載置台114から構成されている。以下、これらの構成要素について詳述する。
【0020】
第1筐体部112は、図4に示されるように、略半円筒状の樹脂成形体である。この第1筐体部112には、図4に示されるように、天壁Wuに一対の長丸形の開口112aが形成されている。
【0021】
第2筐体部113は、図1から図4に示されるように、平面視において略長丸形を呈する筒体である。そして、図1から図4に示されるように、この第2筐体部113の上部には、平面視において片側に第1筐体部112が配置され、もう片側に載置台114が配置されている。
【0022】
載置台114は、図4に示されるように、主に、台板部114a、部分円周リブ114bおよび台形リブ114cから構成されている。なお、台板部114a、部分円周リブ114bおよび台形リブ114cは、樹脂の一体成形品である。また、部分円周リブ114bおよび台形リブ114cは、図4に示されるように、台板部114aから上方に向かって突起している。また、図4に示されるように、部分円周リブ114bと第1筐体部112との間には、隙間Rcが形成されている。なお、この隙間Rcは、後述するように、含水調理物の排水路として利用される。
【0023】
台板部114aは、略円盤状の平板部である。
【0024】
部分円周リブ114bは、図4に示されるように、平面視において略C字形状を呈しており、台板部114aの外周部に配置されている。なお、この部分円周リブ114bは、載置台114に対するワークボウル160の位置決めの役目を担っているのみならず、ワークボウル160から含水料理物等が漏れ出した場合に、その含水料理物を塞き止める役目を担っている。
【0025】
台形リブ114cは、図4に示されるように、平面視において台形形状を呈しており、部分円周リブ114bの中央部に対向するように配置されている。
【0026】
(2)攪拌モータ
攪拌モータ132は、通常の電動機であって、図3に示されるように、外装体111の内部に配置されている。この攪拌モータ132は、回転シャフト132aが下方に向かって延びるように設置されている。
【0027】
(3)スイッチ機構
スイッチ機構131は、図3に示されるように、主に、受け板131a、伸縮棒131b、コイルバネ131cおよびマイクロスイッチ131dから構成されている。受け板131aは、伸縮棒131bの外周に配置されるコイルバネ131cによって、第1筐体部112の天壁Wuに向かって付勢されている。そして、受け板131aが第1筐体部112の天壁Wuに接触しているとき、マイクロスイッチ131dは開状態となっており、攪拌モータ132への通電が遮断されている。一方、蓋体170の押し板部172の裏面から延びる一対の爪部(図示せず)によって開口112aを介して受け板131aが押し下げられると、マイクロスイッチ131dが、閉状態となり、電気回路を閉路し、攪拌モータ132を回転駆動させる。
【0028】
(4)回転シャフト
回転シャフト133は、図3に示されるように、主に、芯部133a、下部外周部133bおよび上部外周部133cから形成される。芯部133aは、第2筐体部113の底部113aから載置台114の台板部114aを貫通して上方に延びている。下部外周部133bは、芯部133aの下部から載置台114の台板部114a付近まで延びており、芯部133aの下部外周に固定されている。なお、この下部外周部133bは、図3に示されるように、上側軸受部141および下側軸受部142により軸支されている。上部外周部133cは、載置台114の台板部114a付近から上方に延びており、芯部133aの外周の上部外周に固定されている。
【0029】
(5)ベルト伝達機構
ベルト伝達機構134は、図3に示されるように、主に、第1プーリ134a、第2プーリ134bおよびベルト134cから構成されている。第1プーリ134aは、図3に示されるように、回転シャフト133の芯部133aの下端部に取り付けられている。第2プーリ134bは、図3に示されるように、回転シャフト132aの先端部、すなわち下端部に取り付けられている。ベルト134cは、第1プーリ134aと第2プーリ134bとに架け渡されている。このため、攪拌モータ132が駆動すると、その回転駆動力は、第2プーリ134b、ベルト134cおよび第1プーリ134aを介して回転シャフト133に伝達される。そして、攪拌モータ132の回転駆動力が回転シャフト133に伝達されると、回転シャフト133の上部に嵌め込まれるホイップアタッチメント150が回転する。
【0030】
2.ホイップアタッチメント
ホイップアタッチメント150は、充填材入りの汎用熱可塑性樹脂(例えば、ポリプロピレン等)から形成される1超の比重を有する樹脂成形体であって、図5から図7に示されるように、主に、本体部151、2枚の翼部152および突起部153から構成される。なお、このホイップアタッチメント150は、補助アタッチメント190に嵌合されることによって、図21に示されるように回転子組立体Asを形成する。以下、ホイップアタッチメント150の構成要素について詳述する。
【0031】
(1)本体部
本体部151は、図5から図7に示されるように、全体として略円筒形状を呈している。この本体部151の上側部分Puには、図8から図10に示されるように、内周面Siが段付構造Sfとなるように成形加工が施されている。その結果、本体部151の内周面Siは、図8から図10に示されるように、主に、大径円筒面Il、段形成面It、小径部分円筒面Ip、溝底面Ig、溝側面Isおよび溝天面Iuから構成されている。そして、ここでは、1つの溝底面Ig、互いに対向する2つの溝側面Isおよび1つの溝天面Iuによって、1本の片閉溝Giが形成されている。なお、この片閉溝Giは、本実施の形態に係る本体部151において、120°間隔で3本形成されている。また、この片閉溝Giは、ホイップアタッチメント150の回転軸を含む面に沿って延びている。また、回転時においてホイップアタッチメント150が補助アタッチメント190から離脱しにくくなるように、片閉溝Giでは、回転方向側の溝側面が反回転方向側の溝側面よりも下方に長くなるように設計されている。なお、ホイップアタッチメント150の回転方向は、図5から図7の符号Drの矢印の方向である。そして、補助アタッチメント190にホイップアタッチメント150が嵌合される際、これらの片閉溝Giには、補助アタッチメント190の嵌合リブ192Bが嵌め込まれる。
【0032】
大径円筒面Ilは、小径部分円筒面Ipよりも大径の円筒面であって、本実施の形態に係る本体部151において一つ存在する。なお、この大径円筒面Ilの径は、補助アタッチメント190の円環リブ192Cが段形成面Itまで挿入することができるように、補助アタッチメント190の円環リブ192Cの径よりも僅かに大きく設計されている(図23から図26参照)。
【0033】
小径部分円筒面Ipは、図8から図10に示されるように、大径円筒面Ilよりも小径の部分円筒面であって、大径円筒面Ilの上側に配設されている。そして、この小径部分円筒面Ipは、互いに隣接する片閉溝Giの溝側面Isの内側辺同士を繋ぐ面であって、本実施の形態に係る本体部151において片閉溝Giを挟むように3つ存在している。なお、この小径部分円筒面Ipの径は、補助アタッチメント190の外筒部192の嵌合リブ192Bよりも上側の部分の外径よりも僅かに大きく、補助アタッチメント190の円環リブ192Cの径よりも小さい。したがって、補助アタッチメント190の外筒部192の嵌合リブ192Bよりも上側の部分は、この小径部分円筒面Ipを通過することができるが、補助アタッチメント190の円環リブ192Cは、段形成面Itに当接することになる。すなわち、補助アタッチメント190の円環リブ192Cは、段形成面Itに当接する位置までしかホイップアタッチメント150に入り込むことができない(図23から図26参照)。
【0034】
段形成面Itは、図8から図10に示されるように、小径部分円筒面Ipの下端辺と大径円筒面の上端辺を繋ぐジグザグ面すなわち大径円筒面Ilおよび小径部分円筒面Ipの両面に交差するジグザグ面であって、本実施の形態に係るホイップアタッチメント150では、6つの傾斜面Sxから構成されている。各傾斜面Sxは、溝側面Isの下端辺から延びており、片閉溝Giから遠ざかるに従って下方に傾斜している。また、隣接する傾斜面Sxは、図8から図10に示されるように、互いに交差している。そして、補助アタッチメント190にホイップアタッチメント150が取り付けられる際、この段形成面Itは、片閉溝Giを補助アタッチメント190の嵌合リブ192Bに案内する役目を果たす。
【0035】
なお、本実施の形態において、補助アタッチメント190を用いて取り付けるアタッチメントには、このホイップアタッチメント150の本体部151の構造が形成されている。
【0036】
(2)翼部
翼部152は、図5図6図9および図10に示されるように、主に、立体翼部152A、環状翼部152Bおよび掻き出しリブ152Cから構成されており、図7に示されるように、本体部151を挟んで互いに対向するように配設されている。また、2枚の翼部152は、図7に示されるように、平面視において回転軸を中心として点対称となっている。
【0037】
立体翼部152Aは、図5および図6に示されるように、主に、水平板部152a、湾曲板部152bおよび立板部152cから構成されている。水平板部152aは、図5から図7に示されるように、平面視において略扇形状を呈する板状の部位であって、本体部151の下側部分Plの高さ方向略中央位置から水平方向に沿って延びている。湾曲板部152bは、図5および図6に示されるように、水平板部152aの先端から下方に湾曲しながら延びる板状の部位である。立板部152cは、湾曲板部152bの先端から下方に向かって直線的に延びる板状の部位であって、環状翼部152Bの円弧板部152eに接合されている。また、この立体翼部152Aには、図5および図6に示されるように、水平板部152aの略中央位置から立板部152cの下端まで3本の第1立体溝Gt1および2本の第2立体溝Gt2が放射状に形成されている。また、本実施の形態に係る立体翼部152Aにおいて、水平板部152aでは、図11に示されるように、第2立体溝Gt2の溝の深さは第1立体溝Gt1の溝の深さよりも深くされており、立板部152cでは、図12に示されるように、第2立体溝Gt2の溝の深さは第1立体溝Gt1の溝の深さと等しくされている。
【0038】
なお、この立体翼部152Aは、ワークボウル160に200mLのホイップクリームの原料液を注ぎ入れたとき、その上端が原料液の液面よりも高くなるように設計されている。
【0039】
環状翼部152Bは、図7に示されるように、平面視において略扇形状を呈する枠状の部位であって、第1細板部152d、円弧板部152eおよび第2細板部152fから構成されている。第1細板部152dおよび第2細板部152fは、本体部151の下端からやや上側の位置から水平方向に沿って放射状に延びている。また、これらの細板部152d,152fのうち回転方向側に位置する第1細板部152dの上側には、図13および図14に示されるように、回転方向側の先端に向かうに従って下方に傾斜する傾斜面Ssが形成されている。
【0040】
掻き出しリブ152Cは、ワークボウル160の底に滞留する液体を掻き出すための放射状のリブであって、環状翼部152Bの第1細板部152dおよび第2細板部152fの下面に形成されている。なお、この掻き出しリブ152Cは、本体部151の下端から第1細板部152dおよび第2細板部152fの先端まで延びている。また、補助アタッチメント190を介してホイップアタッチメント150を回転シャフト133に完全に嵌め込んだ状態において、掻き出しリブ152Cは、ワークボウル160の容器161の底面に僅かな隙間をもって対向する。
【0041】
(3)突起部
突起部153は、図15および図16に示されるように、本体部151の上端面から突起している。この突起部153は、ホイップアタッチメント150が高速回転されている最中に浮き上がって、その上端が蓋体170の蓋部171に接触したときに、蓋部171の損傷をできるだけ低減する役割を果たすものである。
【0042】
3.補助アタッチメント
補助アタッチメント190は、充填材入りの汎用熱可塑性樹脂(例えば、ポリプロピレン等)から形成される1超の比重を有する樹脂製の同心二重円筒構造体であって、図17から図20に示されるように、主に、内筒部191、外筒部192および蓋部193から形成されている。以下、これらの構成要素について詳述する。
【0043】
(1)内筒部
内筒部191は、外筒部192の内径よりも小さい外径を有しており、図17図19および図20に示されるように、約上半分が外筒部192の内側に配設されている。また、この内筒部191は、その内径が回転シャフト133の上部外周部133cの外径よりも僅かに大きく、回転シャフト133の上部に嵌め込むことができる。なお、内筒部191が回転シャフト133の上部に嵌め込まれる際、内筒部191の内周面から内側に突起する内側突起部191A(図19および図20参照)が、回転シャフト133の縦溝Gv(図4参照)に嵌まり込む。このため、攪拌モータ132によって回転シャフト133が回転駆動されたとき、回転シャフト133は空転せずに補助アタッチメント190を回転させることができる。また、この内筒部191の外径は、ワークボウル160の略中央に設けられる回転シャフト挿通筒167の内径よりも小さい。すなわち、内筒部191は、ワークボウル160が載置台114に載置された後に補助アタッチメント190がホイップアタッチメント150と共に回転シャフト133に嵌め込まれるとき、回転シャフト挿通筒167の内側に入り込む(図3参照)。
【0044】
なお、本実施の形態において、補助アタッチメント190を用いることなく取り付けるアタッチメントには、この補助アタッチメント190の内筒部191の構造が形成されている。
【0045】
(2)外筒部
外筒部192は、図17に示されるように、本体部192A、嵌合リブ192Bおよび円環リブ192Cから構成されている。本体部192Aは、円筒形状を呈しており、上述の通り、内筒部191の約上半分を覆っている。円環リブ192Cは、図17から図20に示されるように、円環状の位置決めリブであって、本体部192Aの下端から外方に向かって延びている。嵌合リブ192Bは、円環リブ192Cの上面から上方に向かって延びると共に、本体部192Aの外表面から外方に向かって延びている。なお、本実施の形態において、嵌合リブ192Bは、本体部192Aの筒軸を含む面に沿って形成されている。また、この嵌合リブ192Bの上部には、図17から図20に示されるように、上方に向かうに従って本体部側に傾斜する傾斜面Syが形成されている。
【0046】
そして、外筒部192の内径は、回転シャフト挿通筒167の外径よりも大きい。すなわち、この外筒部192は、図3に示されるように、ワークボウル160が載置台114に載置され且つ内筒部191が回転シャフト133の上部に嵌め込まれた状態において、回転シャフト挿通筒167の外側を覆う。
【0047】
そして、補助アタッチメント190にホイップアタッチメント150が取り付けられる際、ホイップアタッチメント150の片閉溝Giに嵌合リブ192Bが嵌まり込む。このため、攪拌モータ132によって回転シャフト133が回転駆動されたとき、補助アタッチメント190は空転せずにホイップアタッチメント150を回転させることができる。
【0048】
(3)蓋部
蓋部193は、外筒部192の上端に取り付けられており、内筒部191および外筒部192の上を覆う。なお、この蓋部193には、内筒部191の筒軸を挟んで2箇所に空気抜き孔Paが形成されている。この空気抜き孔Paは、図20に示されるように、外筒部192の内部空間Zoのみならず内筒部191の内部空間Ziにも連通している。なお、この蓋部193は、ホイップアタッチメント150が補助アタッチメント190に完全に嵌め込まれたとき、ホイップアタッチメント150の上端よりも上側に位置する。すなわち、空気抜き孔Paは、ワークボウル160の内部空間に連通することになる。
【0049】
4.ワークボウル
ワークボウル160は、図1および図3に示されるように、主に、容器161、スカート部163、取っ手162および回転シャフト挿通筒167から構成されている。容器161は、ステンレス等の金属やガラス等の容器であって、図3に示されるように、主に、円筒壁部161aおよび底壁部161bから形成されている。円筒壁部161aの高さ方向略中央部の内周面には、図1および図3に示されるように、内方に向かって突起するリブ168が複数本形成されている。底壁部161bの中央部には、開口が設けられている。スカート部163は、円環状の樹脂部材であって、図3に示されるように、容器161の底壁部161bの外周部から下方に向かって延びている。なお、ワークボウル160が本体110の載置台114に載置されたとき、スカート部163は、図3に示されるように、載置台114の部分円周リブ114bの外側を覆う。また、ワークボウル160が本体110の載置台114に載置されたとき、スカート部163の下端と載置台114との間に一定の隙間が生じるようになっている。取っ手162は、図3に示されるように、側面視または断面視において略「コ」の字状の部材であって、容器161の円筒壁部161aの上部およびスカート部163に取り付けられている。回転シャフト挿通筒167は、円筒形状を呈する部材であって、底壁部161bの開口の縁に取り付けられている。すなわち、ワークボウル160を本体110の載置台114に載置したとき、載置台114からの上方に延びる回転シャフト133は、ワークボウル160の底壁部161bの開口および回転シャフト挿通筒167の内孔に挿通されることになる。
【0050】
5.蓋体
蓋体170は、図1から図3に示されるように、主に、蓋部171、半月枠173および押し板部172から形成されている。蓋部171は、図1から図3に示されるように、円盤部171aおよび円筒壁部171bから形成されている。円筒壁部171bは、図1および図3に示されるように、円盤部171aの縁から下方に向かって延びている。また、この円筒壁部171bの外周には、図3に示されるように、パッキン175が取り付けられている。半月枠173は、図1から図3に示されるように、円盤部171aの側方に突起している。押し板部172は、半月枠173の開口形状に対応した形状を呈しており、半月枠173の内部に出没自在に取り付けられている。また、この押し板部172の裏面には、上述した通り、第1筐体部112の天壁Wuの開口112aに対向する位置に一対の爪部が形成されている。
【0051】
6.電源コードおよび電源プラグ
電源コード181は、図2および図4に示されるように、第2筐体部113の側面から外方に向かって延びている。電源プラグ182は、図4に示されるように、電源コード181の先端に取り付けられている。
【0052】
<本発明の実施の形態に係るフードプロセッサの使用方法>
使用者は、先ず、ワークボウル160を本体110の載置台114上に載置する。次に、使用者は、ワークボウル160の回転シャフト挿通筒167にいずれかの1つのアタッチメントを嵌め込む。なお、補助アタッチメント190を必要とするアタッチメントについては、先ず、回転シャフト挿通筒167に補助アタッチメント190を差し込んだ後に、その補助アタッチメント190にアタッチメント、例えば、ホイップアタッチメント150を嵌め込む。続いて、使用者は、ワークボウル160内に調理素材(アタッチメントとしてホイップアタッチメント150が嵌め込まれている場合は、200mL以下の容量の生クリーム等)を投入する。そして、使用者は、ワークボウル160の上および第1筐体部112の天壁Wuの上に蓋体170を載置する。この結果、ワークボウル160の口部が蓋体170の蓋部171で覆われ、第1筐体部112の天壁Wuの開口112aに、蓋体170の押し板部172の爪部が挿入されると共に、爪部がスイッチ機構131の受け板131aの上面に接触する。そして、この状態で、使用者が、押し板部172を押し下げると、マイクロスイッチ131dが、閉状態となり、電気回路を閉路し、その結果、攪拌モータ132が回転駆動される。
【0053】
<本発明の第1実施形態に係るフードプロセッサの特徴>
(1)
本発明の実施の形態に係るフードプロセッサ100では、ホイップアタッチメント150の立体翼部152Aの外面に放射状の第1立体溝Gt1および第2立体溝Gt2が形成されている。このため、このフードプロセッサ100では、泡立て効率を高めることができる。また、本発明の実施の形態において、立体翼部152Aの外面に溝が形成されている。このため、立体翼部152Aの外面に長い溝を形成することができる。
【0054】
(2)
本発明の実施の形態に係るフードプロセッサ100では、ホイップアタッチメント150に環状翼部152Bが設けられている。このため、このフードプロセッサ100では、原料の飛び散りを有効に抑制することができる。
【0055】
(3)
本発明の実施の形態に係るフードプロセッサ100では、200mLの生クリームをワークボウル160に注ぎ入れたとき、立体翼部152Aの上端が生クリームの液面よりも高くなる。このため、このフードプロセッサ100では、一般家庭でのホイップクリームの調製において、より効果的に泡立て時間を短縮することができる。
【0056】
(4)
本発明の実施の形態に係るフードプロセッサ100では、ホイップアタッチメント150の環状翼部152Bにおいて、回転方向側に位置する第1細板部152dの上側に、回転方向側の先端に向かうに従って下方に傾斜する傾斜面Ssが形成されている。このため、このフードプロセッサ100では、回転時に、環状翼部152Bに対してダウンフォース(下向きの力)が働く。したがって、このフードプロセッサ100では、従前のものに比べ、高回転時の浮揚力が弱められている。よって、このフードプロセッサ100は、従前のものに比べ、高回転時に浮き上がりにくくなっている。
【0057】
(5)
本発明の実施の形態に係るフードプロセッサ100では、補助アタッチメント190に嵌合リブ192Bが形成され、ホイップアタッチメント150に片閉溝Giおよび傾斜面Sxが形成されている。このため、この使用者が補助アタッチメント190にホイップアタッチメント150を嵌め込む際、使用者は補助アタッチメント190にホイップアタッチメント150を被せるだけでよく、あとはホイップアタッチメント150が自然に回転しながら滑り落ちてホイップアタッチメント150の片閉溝Giに補助アタッチメント190の嵌合リブ192Bが嵌まり込む。このため、このフードプロセッサ100では、補助アタッチメント190に対するホイップアタッチメント150の嵌め込み作業が極めて楽になる。
【0058】
<変形例>
(A)
先の実施の形態に係るホイップアタッチメント150では2枚の翼部152が設けられたが、翼部152は1枚のみであってもよいし、3枚以上で設けられてもよい。なお、翼部152が1枚のみである場合、その翼部152は、平面視において、本体部151の全周に亘って形成されずに、本体部151の外周面の一部から外方に突出するように形成されるのが好ましい。
【0059】
(B)
先の実施の形態に係るホイップアタッチメント150では立体翼部152Aは鉤型とされたが、立体翼部は、円弧状とされてもよいし、斜め上方に延びた後に斜め下方に延びる形状とされてもよい。
【0060】
(C)
先の実施の形態に係るホイップアタッチメント150では立体翼部152Aの外面に第1立体溝Gt1および第2立体溝Gt2が放射状に設けられたが、溝は、内側から外側に延びる態様であれば、放射状でなく他の態様で形成されてもよい。
【0061】
(D)
先の実施の形態に係るホイップアタッチメント150では、立体翼部152Aにおいて、水平板部152aで第2立体溝Gt2の溝の深さが第1立体溝Gt1の溝の深さよりも深くされ、立板部152cで第2立体溝Gt2の溝の深さが第1立体溝Gt1の溝の深さと等しくされていたが、第1立体溝Gt1の溝の深さは、部位に関わらず、第2立体溝Gt2の溝の深さと同じにしてもよいし、異ならせてもよい。
【0062】
(E)
先の実施の形態に係るホイップアタッチメント150では特に示されなかったが、立体翼部152Aの第1立体溝Gt1および2本の第2立体溝Gt2のいずれか一方をスリット化してもよい。
【0063】
(F)
先の実施の形態に係るホイップアタッチメント150では、立体翼部152Aが環状翼部152Bの円弧板部152eに接合されていたが、立体翼部152Aは環状翼部152Bに接合されていなくてもよい。
【0064】
(G)
先の実施の形態に係るホイップアタッチメント150では第1細板部152dの上側に傾斜面Ssが形成されていたが、第2細板部152fの上側にも、先端(回転方向側)に向かうに従って方に傾斜する傾斜面Ssが形成されていてもかまわない。
【0065】
(H)
先の実施の形態では特に言及しなかったが、環状翼部152Bの第2細板部152fに、後端(反回転方向側)に向かうに従って上方に傾斜する傾斜面が形成されても構わない。
【0066】
(I)
先の実施の形態に係るホイップアタッチメント150では環状翼部152Bに傾斜面Ssが形成されていたが、さらに翼部を追加し、その追加された翼部に傾斜面Ssが形成されてもよい。ただし、その翼部は、ワークボウル160に200mLの液体が注ぎ込まれたとき、その液体の水位よりも下に存在するように設計される必要がある。
【0067】
(J)
先の実施の形態に係るホイップアタッチメント150では環状翼部152Bの第1細板部152dおよび第2細板部152fの下面に掻き出しリブ152Cが形成されていたが、掻き出しリブ152Cは、第1細板部152dおよび第2細板部152fのいずれか一方の下面にのみ形成されていてもよい。
【0068】
(K)
先の実施の形態に係るホイップアタッチメント150では掻き出しリブ152Cが放射状に形成されていたが、掻き出しリブ152Cは必ずしも放射状に形成される必要はなく、例えば、卍字状に形成されてもよい。
【0069】
(L)
先の実施の形態に係るホイップアタッチメント150では本体部151に3本の片閉溝Giが形成されていたが、片閉溝Giの本数は特に限定されない。ただし、片閉溝Giの本数は、補助アタッチメント190の嵌合リブ192Bの数よりも常に多くなければならない。
【0070】
(M)
先の実施の形態に係るフードプロセッサ100では、補助アタッチメント190に嵌合リブ192Bが形成され、ホイップアタッチメント150に片閉溝Giおよび傾斜面Sxが形成されていたが、補助アタッチメント190に片閉溝および傾斜面を形成し、ホイップアタッチメント150に嵌合リブを形成してもよい。ただし、かかる場合、嵌合リブは、ホイップアタッチメント150の本体部151の内周面から本体部151の筒軸(すなわち回転軸)を含む平面に沿って内側に向かって延びる必要があり、片閉溝は、閉塞側を下側とし、補助アタッチメント190の外筒部192の外周側において筒軸(すなわち回転軸)を含む面に沿って延び、傾斜面は、補助アタッチメント190の外筒部192の外周側において片閉溝の両側面から外筒部192の外周面に交差しながら延びており片閉溝から遠ざかるに従って上方に傾斜する必要がある。
【0071】
(N)
先の実施の形態では特に言及しなかったが、ワークボウル160の容器161の円筒壁部161aの内周面に200mLの液体の水位線を形成してもよい。
【符号の説明】
【0072】
100 フードプロセッサ(回転式調理器)
132 攪拌モータ(駆動部)
133 回転シャフト(回転部)
150 ホイップアタッチメント(回転調理部材)
151 本体
152A 立体翼部
152B 環状翼部(環状翼部,翼部)
152b 湾曲部(下方に向かう部分)
152c 立板部(下方に向かう部分)
160 ワークボウル(容器)
190 補助アタッチメント(内側回転体)
192A 本体部(本体)
192B 嵌合リブ
As 回転子組立体(入れ子型回転体セット)
Gt1 第1立体溝(溝)
Gt2 第2立体溝(溝)
Gi 片閉溝(溝)
Si 内周面
Ss 傾斜面
Sx 傾斜面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
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図26