(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
昇降機の下部の左右一側に穀物を投入する投入ホッパを取り付ける投入ホッパ取り付け部を設け、投入ホッパ取り付け部の正面側に投入ホッパを取り付け、左右外側面に豆用水分計取り付け体に設けたことを特徴とする請求項1記載の穀物乾燥機。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
米麦の場合には、水分計で測定したサンプル穀物は、圧砕されて細分化されるので、排塵機等で吸引されて飛散するので乾燥機内に戻される。しかし、豆の場合には、完全に細分化されないため、乾燥機内に戻すといわば潰れた状態で循環することになるので、廃棄するのが望ましい。
【0006】
本願発明は、豆を乾燥するときの異物やサンプル豆の廃棄を行い易くする構成にすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる課題を解決するために、請求項1の発明は、
穀物を貯留する貯留室と、穀物を乾燥する乾燥室を設け、
乾燥室で乾燥した穀物を貯留室へ揚穀する昇降機を設け、
乾燥する穀物が豆の場合に、昇降機内を揚穀する穀物からサンプル穀物を採取して水分値を測定する豆用水分計を設け、
豆用水分計を昇降機の一側に設ける豆用水分計取り付け体に取り付ける構成とし、
該豆用水分計取り付け体に豆用水分計で測定したサンプル豆を昇降機の底部に設ける収容受箱に案内するサンプル豆案内体を設け
、
昇降機の底部と収容受箱との間に異物用の選別孔を多数形成する選別網を設け、サンプル豆案内体は選別網を迂回して収容受箱に案内する構成としたことを特徴とする穀物乾燥機
とする。
【0008】
サンプル豆を昇降機底部の収容受箱に収容することができる。
【0009】
【0010】
これにより、昇降機の底部からは小粒異物が選別網を通過して収容受箱に収容される。また、サンプル豆はサンプル案内体を通過して収容受箱に収容できる。
【0011】
小粒異物とサンプル豆を円滑に収容受箱に収容できる。
【0012】
請求項2記載の発明は、
昇降機の下部の左右一側に穀物を投入する投入ホッパを取り付ける投入ホッパ取り付け部を設け、投入ホッパ取り付け部の正面側に投入ホッパを取り付け、左右外側面に豆用水分計取り付け体に設けたことを特徴とする
請求項1記載の穀物乾燥機とする。
【0013】
これにより、豆用水分計を取り付けやすい。
【発明の効果】
【0014】
本発明により、豆用水分計で測定されたサンプル豆を円滑に収容受箱に収容できる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施の形態の穀物乾燥機について以下、説明する。
【0017】
箱体状に形成する穀物乾燥機の上部に穀物を貯留する貯留室1を設け、貯留室1の下部に穀物を燃焼バーナ2の熱風で乾燥する乾燥室3を設ける。燃焼バーナ2は乾燥室3の正面に設ける燃焼バーナケース31内に収容されている。乾燥室3は、穀物が流下する穀物流下通路4と遠赤外線放射体5を備える。穀物流下通路4の下端部には穀物を繰り出すロータリバルブ6を設け、ロータリバルブ6の下方には下部ラセン7を設ける。
【0018】
穀物乾燥機の正面側には下部ラセン7で搬送された穀物を揚穀するバケットコンベア11式の昇降機8を設ける。昇降機8で揚穀された穀物は穀物乾燥機の天井に設ける上部ラセン9で後方に搬送され、貯留室1に供給される。すなわち、循環式穀物乾燥機である。
【0019】
昇降機8の正面側には米麦用水分計10を取り付ける。米麦用水分計10は、昇降機8のバケットコンベア11のバケット11aから溢れて落下した穀物の一部を測定用のサンプル穀物として取り込み、該サンプル穀物を測定用ローラ(図示せず)で圧砕して水分値を測定する。
【0020】
昇降機8の下部の左右外側には、箱体形状に形成する投入ホッパ取り付け部8aを設ける。投入ホッパ取り付け部8aの正面側に穀物を投入する投入ホッパ13を設ける。投入ホッパ取り付け部8aの正面側に開口部8bを形成して投入ホッパ13の投入口と連通する構成である。
【0021】
昇降機8の左右外側に豆の水分値を測定する豆用水分計14を取り付ける。具体的には、投入ホッパ取り付け部8aの左右外側面に豆用水分計取り付け体15を取り付け、豆用水分計取り付け体15に豆用水分計14を取り付けている。豆用水分計取り付け体15は、投入ホッパ取り付け部8aの外壁の一部となる第一取付け体16と、第一取付け体16の下部から下方に延びて形成し、豆用水分計14を取り付ける第二取付け体17を備える。第一取付け体16の中央部と下部にそれぞれ第一切り欠き孔16aと第二切り欠き孔16bを形成し、第二取付け体17の中間部には第三の切り欠き孔17aを形成する。第一切り欠き孔16aには点検用の蓋18を着脱自在に取り付け、第二切り欠き孔16bと第三切り欠き孔17aは対向する。
【0022】
豆用水分計14は箱体形状の内部に穀物を圧砕する水分測定ローラ(図示せず)を内装し、箱体から外側に向かってサンプル豆を取り込む左右一対の繰り込みロール19を突出させる構成である。豆用水分計14を第二取付け体17の外枠部17bに着脱自在に取り付け可能に構成し、繰り込みローラ19が第二切り欠き孔16bと第三切り欠き孔17aを貫通する構成である。
【0023】
第二取付け体17の下部から下方に延びる箱状のサンプル豆案内体20を設ける。このサンプル豆案内体20は豆用水分計14で測定に使用されたサンプル豆の下方への落下を案内するサンプル豆落下案内通路20aを内部に備えるものである。
【0024】
昇降機8の底部には昇降機載置部材21を設ける。昇降機載置部材21の下方には、昇降機8の底部に落下した草種等の小粒の異物や、前述のサンプル豆を収容する収容受箱22を設けている。昇降機載置部材21には、昇降機8の底部と収容受箱22を連通するための異物通過孔21aと、サンプル豆案内通路20aと収容受箱22を連通するためのサンプル豆通過孔21bを形成する。異物通過孔21aには多数の選別用のスリット23bが形成されている異物選別網23を設け、前側に引き出し可能に構成している。サンプル豆案内体20の下端部を昇降機載置部材21に着脱可能に取り付けている。収容受箱22内部にはサンプル豆と異物を仕切る仕切板22aを形成している。
【0025】
第一取付け体16の内面には一対のサンプル豆案内板25の一端を取り付けている。サンプル豆案内板25は、それぞれ内側に、かつ、取り付け側に向けて下がり傾斜状態に配置する。そして、内側端部間の上流側はサンプル豆が通過程度で藁や小粒異物等が通過する程度の幅の第一スペースSで離間して配置し、下流側はサンプル豆が確実に通過して繰り込みロール19へ落下させるために第一スペースSより幅広の第二スペースTで離間して配置する。幅広の第二スペースTにするために、サンプル豆案内板25の下流側に切り欠き部25aを形成している。
【0026】
サンプル豆案内板25と繰り込みロール19の間に、第二スペースTから落下したサンプル豆を繰り込みロール19間に案内する一対のサンプル豆案内アーム33を設ける。サンプル豆案内アーム33は繰り込みロール19に沿う姿勢に形成し、その基端側をサンプル豆案内板25の下面に取り付けている。また、サンプル豆案内板25の下流側の上方に第一取付け体16の内面から斜め下がり傾斜姿勢で突出するサンプル豆第二案内板34を設ける。繰り込みロール19の下方には昇降機8内部側に向かって下がり傾斜姿勢に設ける流下板35を設ける。この流下板は繰り込みロール19で繰り込まれなかったサンプル豆の流下と、投入ホッパ13から投入された穀物の昇降機8底部への流下を兼ねている。
【0027】
第一取付け体16の内面には、サンプル豆案内板25の外側を覆う三角柱形状の覆い体26を取り付けている。覆い体26の下部は開放状態とし、覆い体26の外面は昇降機8内部に向かって下がり傾斜面26bを形成している。下がり傾斜面26bにサンプル豆通過孔26cを形成し、サンプル豆をサンプル豆通過孔26cに流下案内する箱型のサンプル豆流下案内樋28を下がり傾斜面26bの外面に取り付ける。サンプル豆流下案内樋28は豆が流下する安息角度で取り付けられ、上面が開口している。サンプル豆流下樋28の上部に藁等の長尺異物がサンプル豆流下案内樋28に入り込むのを防止する長尺異物遮蔽体29を取り付けている。長尺異物遮蔽体29はコの字型形状で設定間隔で上流側から下流側にわたって複数取り付けている。
【0028】
本実施の形態では、第一取付け体16と第二取付け体17とサンプル豆案内体20は一体に構成し、これらを取り外すと
図9に示すように投入ホッパ取り付け部8aの外側面が開口した状態になる。これにより、豆用水分計14の着脱がし易く、また、昇降機8内部のメンテナンス等を行うことができる。
【0029】
操作盤30には、張込運転、通風運転、乾燥運転、排出運転、停止を操作する運転スイッチ31や、運転状況を表示する表示盤32や、乾燥する対象の穀物を選択する穀物選択スイッチ36や目標水分値を選択する水分値設定スイッチ37等を設けている。
【0030】
次に、穀物乾燥機の運転の概要について説明する。
【0031】
オペレータは、張込スイッチ31aを操作すると昇降機8と上部ラセン9が駆動し、投入ホッパ13に張り込んだ穀物を貯留室1に搬送する。停止スイッチ31cを操作して張込運転が終了し、オペレータが操作盤30で乾燥する穀物品種を穀物品種選択スイッチ36で選択し、水分値選択スイッチ37で目標水分値を設定した後、乾燥スイッチ31bを操作すると乾燥運転が開始される。穀物は穀物流下通路4で乾燥作用を受けながら流下し、ロータリバルブ6で繰り出され、下部ラセン7、昇降機8、上部ラセン9を経て再度貯留室1に搬送される循環を繰り返す。昇降機8のバケットから溢れた穀物からサンプル穀物を採取し、米麦用水分計10、又は、豆用水分計14で設定時間毎に水分値が測定され、目標水分値に到達したことを検出すると燃焼バーナ2が停止し、乾燥運転が終了する。
【0032】
次に、豆を乾燥させる場合の豆用水分計14の測定について説明する。
【0033】
昇降機8に供給された豆をバケット11aで揚穀しているときに、バケット11aから溢れた豆が落下し、その内の一部がサンプル穀物として豆流下案内樋28に入り込んで流下し、サンプル豆通過孔26cを通過して、サンプル穀物案内板25に落下する。サンプル豆通過孔26cを通過してサンプル穀物案内板25に落下しなかった豆は、覆い体26の下部から落下し、昇降機8に戻される。サンプル豆案内板25上に落下した豆は、サンプル穀物案内板25の傾斜面及び第一スペースS上を流下し、第二スペースTから落下し、繰り込みロール19間に案内される。繰り込みロール19でサンプル豆を豆用水分計14に搬送し、水分測定がなされる。水分測定されたサンプル豆はサンプル豆落下案内通路20を落下し、サンプル豆通過孔21bを通過して収容受け箱22に収容される。長尺異物遮蔽体29で遮蔽されず豆流下案内樋28及びサンプル豆通過孔26cを通過してサンプル豆案内板25に落下した小粒異物や藁屑はスペースSから落下し、昇降機8側に戻される。すなわち、サンプル豆はスペースSを流下しながら異物と分離することができる。サンプル豆案内板25から跳ねたサンプル豆の一部はサンプル豆第二案内板34に当たってスペースTへ案内される。また、スペースTから落下したサンプル豆の一部は、サンプル豆案内アーム33の内側に当たり、繰り込みロール19間に案内される。サンプル豆案内アーム33に当たり、外側に跳ねたサンプル豆は流下板35を流下して昇降機8側に戻される。
【0034】
これらの構成により、バケット11aから溢れて落下したサンプル豆から異物を分離し、豆用水分計に供給することができるので良好な水分測定を行うことができる。
【0035】
次に、昇降機8の底部の草種等の小粒の異物選別について説明する。
【0036】
下部ラセン7から昇降機8の底部に供給された豆に混じる小粒の異物は選別網23のスリット23bを通過し、収容受箱22内に落下する。乾燥運転終了後にオペレータが選別網23を引き出すと選別網23上に残留する残留物を収容受箱22に収容できる。オペレータは乾燥運転の終了後に収容受箱22を引き出して収容受箱22に堆積された異物及びサンプル豆を破棄することができる。また、豆用水分計14で測定されたサンプル豆は、スリット23bを通過しないので円滑に収容受箱22に落下して収容できる。
【0037】
次に、本実施の形態のその他の特徴的部分について説明する。
【0038】
サンプル豆流下樋28はサンプル豆の粒径以上の深さを備え、また、樋の幅をサンプル豆が2粒以上入るよう構成することで、サンプル豆が樋から飛び出たり、樋内で詰まることを防止し、取り込んだサンプル豆を確実に流下できる構成としている。
【0039】
サンプル豆案内板25の上流側に上方への折り曲げ部25bを形成し、サンプル豆案内板25に落下したサンプル豆を流下案内し易い構成としている。また、サンプル豆案内板25は片持ち支持する構成のため、落下したサンプル豆の衝撃を低減することができる。
【0040】
サンプル豆案内アーム33と繰り込みロール19の上面側とをサンプル豆が通過しない程度の間隔を空けることで、サンプル豆を確実に繰り込みロールに案内すると共に、豆用水分計14の着脱の際に、繰り込みロール19がサンプル豆案内アーム33に当接し難いように構成している。
【0041】
覆い体26の下がり傾斜面26bは、下がり傾斜面26bに落下衝突した豆を昇降機8側に戻すことができる。また、落下した異物の多くをサンプル豆案内板25上に落下するのを遮蔽している。