(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
まず、本実施例の電源電圧制御回路、電源電圧制御方法および電源電圧制御プログラムの実施例を詳述する前に、
図1を参照して、電源電圧制御回路の一例、並びに、その電源電圧制御回路における課題を説明する。
【0016】
図1は、プロセスモニタによりASV技術を適用した電源電圧制御回路の一例を模式的に示すブロック図である。
図1に示されるように、電源電圧制御回路100は、例えば、半導体集積回路(対象回路)101および電源制御IC(電源制御回路,PMIC:Power Management Integrated Circuit)102を含む。
【0017】
半導体集積回路(チップ)101は、様々な機能を実現するためのアプリ処理回路(内部回路)111,プロセスばらつきをモニタするプロセスモニタ(モニタ回路)112および電源電圧(Vdd)を決定するVdd決定部113を含む。
【0018】
プロセスモニタ112は、プロセスばらつきを測定し、Vdd決定部113は、プロセスモニタ112の出力に基づいて電源制御IC102を制御し、個々のチップ101ごとの電源電圧Vddを最適化する。
【0019】
すなわち、Vdd決定部113は、例えば、プロセスがFast側(電流が流れる側)にばらついたチップについて、バラツキに応じてVddを下げるように制御して低電力化を図る。
【0020】
しかしながら、
図1に示す電源電圧制御回路100は、例えば、チップ101の回路動作とは無関係に、すなわち、アプリ処理回路111の動作を考慮することなく、Vddを制御することになる。また、
図1に示す電源電圧制御回路100は、チップ101内にプロセスモニタ112を配置することになる。
【0021】
さらに、温度によるASVという技術も考えられているが、この場合、例えば、チップ101内に対して温度センサを搭載することになり、コスト、並びに、占有面積や利用しやすさといった面で問題がある。
【0022】
また、上述したASV技術は、プロセスのモニタ値や温度に対して動作可能な電圧(Vdd)を紐付けするだけであり、実際にアプリ処理回路(チップ)の動作を考慮するものではなく、消費電力に関しても、さらなる低減の余地が残されていると考えられる。
【0023】
以下、電源電圧制御回路、電源電圧制御方法および電源電圧制御プログラムの実施例を、添付図面を参照して詳述する。
図2は、本実施例に係る電源電圧制御回路の一例を模式的に示すブロック図である。
【0024】
図2に示されるように、本実施例の電源電圧制御回路10は、例えば、半導体集積回路(対象回路,チップ)1および電源制御IC(電源制御回路,PMIC)2を含む。チップ1は、様々な機能を実現するためのアプリ処理回路(内部回路)11、および、後に詳述するベリファイ処理および電源電圧(Vdd)の決定処理を行うCPU(演算処理装置,演算処理回路)12を含む。
【0025】
CPU12は、電源制御IC2を介して、チップ1の電源電圧Vddを、ベリファイ処理に基づいて決定されたVddとなるように制御する。ここで、CPU12によるベリファイ処理およびVddの決定処理は、ハード構成により実現することも可能である。
【0026】
図3は、本実施例に係る電源電圧制御方法におけるログ取得処理の一例を説明するための図であり、
図3(a)は、ログ取得処理(電源電圧の制御処理)の一例を示すフローチャートであり、
図3(b)は、取得されたログの一例を示す図である。
【0027】
図3(a)に示されるように、電源電圧Vddの測定を開始すると、ステップST1において、Vddの電圧レベル(電圧)を−0.01V変更する(0.01Vだけ下げる)。ここで、
図3(b)に示されるように、Vddの測定開始において、Vdd=0.90V(この電圧であれば問題なく動作する電圧:動作を保証している保証電圧)に設定し、そこから順に0.01V(所定のステップ)ずつ低下させる。
【0028】
次に、ステップST2に進んで、ベリファイ動作(ベリファイ)を行い、正常(OK)または異常(NG)を判定する。このベリファイ動作は、例えば、画像処理チップにおける直前の電圧で処理した第1画像データと、今の電圧(直前の電圧−0.01V)で処理した第2画像データを比較し、両方の画像データに誤りが無いか(一致しているか)どうかを判定する処理に対応する。
【0029】
ステップST2において、正常であると判定すると、すなわち、第1画像データと第2画像データが一致している(両電圧による画像処理チップの処理結果が同じである)と判定すると、ステップST3に進んで、ログを取得する。さらに、ステップST1に戻って、第1画像データと第2画像データが一致していないと判定するまで、同様の処理を繰り返す。
【0030】
一方、ステップST2において、異常であると判定すると、すなわち、第1画像データと第2画像データが一致していない(両電圧による画像処理チップ(画像処理回路)の処理結果が異なる)と判定すると、ステップST4に進む。なお、ステップST2において、異常と判定された場合もログが取得される。
【0031】
具体的に、
図3(b)は、ステップST2のベリファイにより取得されたログにおいて、例えば、Vdd=0.90V〜0.85VまでOK(正常)と判定され、Vdd=0.84VでNG(異常)と判定された場合を示している。
【0032】
ステップST4では、第1画像データと第2画像データが一致していない(異常である)と判定した電圧(Vdd=0.84V)の直前の電圧(Vdd=0.85V)を、正常な動作が可能な最低電圧として設定し、測定を終了する。
【0033】
すなわち、例えば、前述した
図2において、電源制御IC2から半導体集積回路(対象回路)1に出力される電源電圧Vddは、正常な動作が可能な最低電圧である0.85Vとなるように制御される。
【0034】
ここで、ステップST2のベリファイ処理により取得された
図3(b)に示されるようなログ(8)は、例えば、後述する
図10に示されるような上位の制御マイコン(演算処理装置,演算処理回路51)のメモリに格納され、上述した電源電圧の制御処理が行われる。
【0035】
或いは、取得されたログ(8)は、例えば、後述する
図11に示されるような、チップの外部に設けられたフラッシュメモリ(52)等の不揮発性メモリに格納し、チップ(画像処理回路)1内のCPU12により、上述した電源電圧の制御処理を行ってもよい。さらに、この電源電圧の制御処理は、演算処理装置(演算処理回路,CPU12,制御マイコン51等)が実行するプログラムとして提供することも可能である。
【0036】
ここで、所定期間に取得された複数のログ(8)をメモリ(不揮発性メモリ)に蓄積し、その蓄積されたログを使用して電源電圧のレベルを制御することにより、ノイズや短期の変動等の要因を除き、安定した電源電圧の制御を行うことが可能になる。
【0037】
なお、上述した電源電圧の制御方法は、例えば、デジタルカメラの画像処理チップを使用してデジタルカメラを製造するメーカで実施することができる。例えば、
図6〜
図9を参照して説明するように、画像処理チップ(対象回路)が複数の動作モードを有している場合、その複数の動作モードのそれぞれに対して、最適な電源電圧(正常な動作が可能な最低電圧)の設定を行うことも可能である。
【0038】
或いは、上述した電源電圧の制御方法は、例えば、デジタルカメラを購入したエンドユーザがそのデジタルカメラを実際に使用している最中に実施することも可能である。すなわち、例えば、エンドユーザが実際にデジタルカメラを使用する環境が、寒冷地か温暖地かにより、本実施例を適用することにより制御される最適な電源電圧は、それぞれの環境に適した、正常な動作が可能な最低電圧に設定される。
【0039】
この場合、エンドユーザは、例えば、デジタルカメラを購入した当初よりも、使用する環境に適した電源電圧に制御される、ある程度の期間が経過した後の方が消費電力を低減できる(バッテリーの寿命を延ばせる)といった効果が期待できる。
【0040】
このように、本実施例によれば、特殊な部品の追加や大幅な回路の増加を行うことなく、個々の半導体集積回路(画像処理チップ,対象回路)に適した電源電圧のASVを実現することができる。
【0041】
さらに、半導体集積回路(LSI)のみならず、ひいては、個々のシステム(LSIや外部素子を含めたセット:例えば、製品としてのデジタルカメラ)、或いは、そのシステムの使用方法等に適した最適なASVを提供することが可能になる。
【0042】
図4は、
図3に示すログ取得処理が適用される例を説明するための図である。なお、以下の説明では、デジタルカメラシステムにおける画像処理チップ(画像処理回路)を例として説明するが、本実施例の適用は、画像処理チップ(画像処理システム)に限定されるものではない。
【0043】
図4に示されるように、例えば、画像処理システムでは、電源を投入(電源ON)P1の後、LCD(Liquid Crystal Display:モニタ6)に画像を表示するためのライブビュー処理P2,静止画(JPEG画像)を生成する静止画処理P3が行われる。
【0044】
さらに、動画(MPEG(Moving Picture Experts Group)−2,H.264/MPEG−4 AVC,H.265(HEVC:High Efficiency Video Coding)等)を生成する動画処理P4も行われる。
【0045】
これらライブビュー処理P2,静止画処理P3および動画処理P4を行っている間、すなわち、電源ON(P1)から電源を遮断(電源OFF)P6まで、
図3を参照して説明したログの取得処理P51,P52およびP53を行う。
【0046】
ところで、通常、例えば、チップ(画像処理チップ1)に内蔵された演算処理回路(CPU12)によりベリファイ動作を行わせた場合、そのCPUを含むチップが暴走するとログの取得が困難になる。そこで、ログの取得は、電源電圧の変動の影響を受けないハード構成とするのが好ましい。
【0047】
すなわち、例えば、
図2の構成において、電源制御IC2でログを取得し、電源制御IC2が電源オフ信号をもらってから一定時間後にCPU12でベリファイ結果を読みに行って、そのベリファイ結果を蓄積する。ここで、CPU12が読みに行く対象は、初期値NG(異常)でベリファイOK(正常)なら書き換えるレジスタを適用すればよい。これにより、例えば、電源電圧Vddが低電圧でチップ1が暴走した場合でも、ログとしてはNGと判定した上で、そのまま電源をオフすることが可能になる。
【0048】
或いは、例えば、タイマーとログの読み出しブロックだけを用意しておき、この読み出しブロックは、セットアップ時もホールド時も十分なマージンがある設計とする。これにより、他のブロックよりも低い電圧での動作を保証することが可能になる。
【0049】
若しくは、例えば、マザーボード上のRTC(Real Time Clock:時計専用のチップ)のように、常時オンドメインがあるならば、そのような常時オンドメインを利用してもよい。すなわち、常時オンドメインに対して、ベリファイ用シナリオを用意する以外に、電源を入れてから落とすまでに処理した内容を記憶させておき、電源を遮断するときに、その記憶させたデータを収集することもできる。
【0050】
このように、例えば、演算処理回路によるベリファイ動作の結果は、様々な手法を適用してログとしてメモリに蓄積することが可能である。
【0051】
図5は、本実施例に係る半導体集積回路の一例としての画像処理チップ(画像処理回路,半導体集積回路)を示すブロック図であり、
図6〜
図9は、
図5に示す画像処理チップにより各画像処理を行っている場合を説明するための図である。
【0052】
すなわち、
図6は、静止画処理を行っている場合のものであり、
図7および
図8は、動画処理の一例および他の例を行っている場合のものであり、
図9は、ライブビュー処理を行っている場合のものである。
【0053】
図5に示されるように、画像処理チップ1は、CPU12,動画処理部31,外部入出力部32,表示部33,前処理部34,デモザイク部35,DSP(Digital Signal Processor)部36,コーデック部37,メモリ部38および内部バス39を含む。
【0054】
動画処理部31は、動画を圧縮処理する画像圧縮部310を含み、表示部33は、外部のモニタ(LCD)6に表示する画像を制御する表示制御部330を含み、前処理部34は、イメージセンサ(センサ)7からデータを取り込むセンサ入力部340を含む。
【0055】
デモザイク部35は、デモザイク処理を行って画像データを生成する画像データ生成部350を含み、DSP部36は、処理Aを行う処理A部361,処理Bを行う処理B部362および処理Cを行う処理C部363を含む。
【0056】
コーデック部37は、画像を圧縮処理する画像圧縮部370を含み、メモリ部38は、外部のSDRAM(Synchronous Dynamic Random Access Memory)を制御するメモリ制御部380を含む。
【0057】
なお、CPU12,動画処理部31,外部入出力部32,表示部33,前処理部34,デモザイク部35,DSP部36,コーデック部37およびメモリ部38は、内部バス39を介して相互に接続されている。
【0058】
図5および
図6に示されるように、画像処理チップ1は、イメージセンサ(センサ)7から取り込まれたデータに基づいて処理を行い、最終的にJPEG(Joint Photographic Experts Group)画像等のユーザが目に見える形に変換して出力する。なお、最終的に変換して出力されるデータとしては、JPEG画像(静止画)の他、例えば、
図7および
図8に示されるように動画(圧縮データ)もあり得る。
【0059】
図6に示されるように、
図5に示す画像処理チップ1により静止画処理を行う場合、例えば、画像圧縮部310(動画処理部31)および表示制御部330(表示部33)は、例えば、ゲーティング回路により停止状態とされ、消費電力を低減するようになっている。
【0060】
そして、静止画処理を行う場合、イメージセンサ7からのセンサデータ41は、センサ入力部340を介してSDRAM4に格納される。画像データ生成部350は、SDRAM4からセンサデータ41を読み出して処理し、生成した画像データ42をSDRAM4に格納する。
【0061】
DSP部36において、処理A部361は、画像データ42を読み出して処理Aを行い、生成した画像データA43をSDRAM4に格納する。また、処理B部362は、画像データA43を読み出して処理Bを行い、生成した画像データB44をSDRAM4に格納する。さらに、処理C部363は、画像データB44を読み出して処理Cを行い、生成した画像データC45をSDRAM4に格納する。
【0062】
そして、画像圧縮部370(コーデック部37)は、SDRAM4から画像データC45を読み出して画像圧縮処理を行い、生成した画像データ(JPEGデータ)46をSDRAM4に格納する。
図6において、参照符号47は、JPEGデータ46を生成する直前に、画像圧縮部370により画像圧縮処理を行って生成したJPEGデータを示す。
【0063】
ここで、
図3のログ取得処理に当て嵌めると、例えば、JPEGデータ47(第1画像データ)が、電源電圧Vdd=0.85Vのときのデータならば、JPEGデータ(第2画像データ)46は、Vdd=0.84Vのときのデータになる。
【0064】
そして、今の電源電圧がVdd=0.85Vのとき、
図3(a)のステップST2におけるベリファイ動作では、
図3(b)に示されるように、第1画像データと第2画像データが一致してOK(正常)と判定される。従って、Vddは、ステップST1において、1ステップ分(0.01V)だけ低く設定され、ステップST2のベリファイ動作が再度行われる。
【0065】
このとき、JPEGデータ47(第1画像データ)は、Vdd=0.84Vのときのデータになり、JPEGデータ(第2画像データ)46は、Vdd=0.85Vのときのデータになる。
【0066】
そして、今の電源電圧がVdd=0.84Vのとき、
図3(b)に示されるように、第1画像データと第2画像データが不一致となってNG(異常)と判定される。そこで、ステップST2において、例えば、第1画像データと第2画像データが一致せずにNGと判定された電圧(Vdd=0.84V)の直前の電圧(Vdd=0.85V)が、正常な動作が可能な最低電圧として得られることになる。
【0067】
以上において、例えば、
図6を参照して説明したイメージセンサ7→SDRAM4→画像処理チップ1→SDRAM4(JPEG画像)といった一連の処理は、画像処理チップ1内のCPU12のプログラム(ベリファイプログラム)として実行することができる。或いは、画像処理チップ1の外部に設けられた制御マイコン(例えば、後述する
図10における制御マイコン51)等のベリファイプログラムとして実行してもよい。
【0068】
図7に示されるように、
図5に示す画像処理チップ1により動画処理の一例を行う場合、例えば、画像圧縮部370(コーデック部37)は停止状態とされ、消費電力を低減するようになっている。
【0069】
そして、動画処理の一例を行う場合、イメージセンサ7から順次出力されるセンサデータ41は、センサ入力部340を介してSDRAM4に格納される。画像データ生成部350は、SDRAM4からセンサデータ41を読み出して処理し、生成した画像データ42をSDRAM4に格納する。
【0070】
DSP部36の処理(パイプライン処理)は、
図6を参照して説明した静止画処理と同様であり、処理A部361は、画像データ42を読み出して処理Aを行い、生成した画像データA43をSDRAM4に格納する。
【0071】
また、処理B部362は、画像データA43を読み出して処理Bを行い、生成した画像データB44をSDRAM4に格納する。さらに、処理C部363は、画像データB44を読み出して処理Cを行い、生成した画像データC45をSDRAM4に格納する。
【0072】
ここで、
図7に示す動画処理の一例では、
図6に示す静止画処理で停止状態としていた動画用の画像圧縮部310(動画処理部31)を動作させ、静止画用の画像圧縮部370(コーデック37)を停止状態としている。
【0073】
そして、画像圧縮部310が、SDRAM4から画像データC45を読み出して画像圧縮処理(動画の圧縮処理)を行い、生成した圧縮データ(例えば、H.264/MPEG−4 AVC)46をSDRAM4に格納する。
図7において、参照符号47は、圧縮データ46を生成する直前に、画像圧縮部310により画像圧縮処理を行って生成した圧縮データを示す。
【0074】
なお、直前の電源電圧により生成された圧縮データ(第1画像データ)47と、今の電源電圧により生成された圧縮データ(第2画像データ)46のベリファイ処理は、実質的に、上述した
図6の静止画処理と同様であり、その説明は省略する。
【0075】
ただし、
図7の動画処理の一例では、停止状態の回路ブロック(画像圧縮部370)が、
図6の静止画処理における停止状態の回路ブロック(画像圧縮部310および表示制御部330)とは異なるため、得られる正常な動作が可能な最低電圧も異なると考えられる。
【0076】
すなわち、本実施例を適用することにより、実際に動作する画像処理チップ1(半導体集積回路)に適した正常な動作が可能な最低電圧を得ることができ、例えば、動作モードに基づいたASVを行うことができる。
【0077】
この動作モードに基づいたASVは、
図8を参照して説明する動画処理の他の例、並びに、
図9を参照して説明するライブビュー処理に対しても同様であり、実際に使用される動作状態に適したASVが可能になる。
【0078】
図8に示されるように、
図5に示す画像処理チップ1により動画処理の他の例を行う場合、例えば、画像圧縮部370(コーデック部37)だけでなく、DSP部36の処理B部362も停止状態とされ、消費電力をさらに低減するようになっている。
【0079】
すなわち、
図8に示す動画処理の他の例は、上述した
図7に示す動画処理の一例から、処理B部362による画像データBの生成処理を省略したものに相当する。そのため、処理C部363は、SDRAM4から画像データA43を読み出して処理Cを行い、生成した画像データC45をSDRAM4に格納するようになっている。
【0080】
そして、画像圧縮部310が、SDRAM4から画像データC45を読み出して画像圧縮処理を行い、生成した圧縮データ46をSDRAM4に格納する。ここで、直前の電源電圧により生成された圧縮データ(第1画像データ)47と、今の電源電圧により生成された圧縮データ(第2画像データ)46の関係は、上述した
図7と同様である。
【0081】
なお、
図8に示す動画処理の他の例では、
図7に示す動画処理の一例では動作していた処理B部362を停止状態とするため、得られる正常な動作が可能な最低電圧は、異なると考えられるのは上述した通りである。
【0082】
図9に示されるように、
図5に示す画像処理チップ1によりライブビュー処理を行う場合、例えば、ライブビュー処理に不要な画像圧縮部310(動画処理部31)および画像圧縮部370(コーデック部37)を停止状態としている。
【0083】
また、
図9に示す例では、ベリファイ確認マクロ9が追加されており、前述した第1画像データと第2画像データのベリファイ処理を、専用のベリファイ確認マクロ9により行うようになっている。
【0084】
そして、ライブビュー処理を行う場合、処理C部363は、SDRAM4から画像データA43を読み出して処理Cを行い、生成した画像データC45をSDRAM4に格納する。
【0085】
ここで、今の電源電圧により生成された画像データC45が第2画像データ46に相当し、直前の電源電圧により生成された画像データC(第1画像データ47)とのベリファイ動作(ステップST2)を行うのは、上述した各動作モードと同様である。なお、ベリファイ動作は、ベリファイ確認マクロ9により行うのは、上述した通りである。
【0086】
このように、本実施例によれば、半導体集積回路(画像チップ1)が実際に動作する状態(動作モード)に最適なASVを行うことできる。すなわち、本実施例によれば、個々のLSIに対して、それぞれ最適な電圧に制御することができ、消費電力をより一層低減することが可能になる。
【0087】
また、本実施例によれば、例えば、温度センサなどの追加の部品を搭載することが不要なため、コストや占有面積が増加させることなく、また、容易に適用(利用)することが可能になる。
【0088】
なお、本実施例の適用において、例えば、ベリファイ用シナリオを用意し、製品として動作しないとき(電源を落とすときやモードを切り替えたときなど)に、ベリファイ用 シナリオを走らせ、ASV用のデータ(ログ)を収集することができる。
【0089】
また、収集するASV用データとしては、例えば、
図3(b)を参照して説明したような電圧毎のベリファイOK/NGの結果(ログ)であってもよく、このログをメモリ(例えば、不揮発性メモリ)に蓄積して、セット(システム)として最適なASVを実施する。すなわち、メモリに蓄積されたログを解析して、電源電圧の制御を行うことができる。
【0090】
例えば、
図1を参照して説明した電源電圧制御回路100と比較すると、
図1の電源電圧制御回路100では、半導体集積回路101にプロセスモニタ112を設け、そのプロセスモニタ112の出力(モニタ値)のみに基づいて電源電圧Vddの設定を行っている。
【0091】
これに対して、本実施例によれば、各半導体集積回路(画像処理チップ1)における実際の使用条件(実装状態,外部環境,動作モード等)に応じてVddを設定することができ、より低電圧のVddを使用することで、より一層の消費電力の低減が期待できる。
【0092】
図10は、電源電圧制御回路の第1実施例を示すブロック図であり、第1実施例の電源電圧制御回路を適用したデジタルカメラシステムの例を示すものである。
図10に示すデジタルカメラシステムは、レンズ71,イメージセンサ7,画像処理チップ1,電源制御IC(電源制御回路,PMIC)2,SDRAM4,制御マイコン51,フラッシュメモリ(不揮発性メモリ)52,LCD(モニタ)6およびSDカード53を含む。
【0093】
イメージセンサ7は、例えば、CMOS(Complementary Metal-Oxide-Semiconductor)イメージセンサであり、レンズ71により結像された光画像を電気信号に変換して画像処理チップ1に出力する。
【0094】
SDカード53は、画像処理チップ1により処理された静止画および動画を記憶し、例えば、写真屋やカラープリンタによりプリントし、或いは、テレビやディスプレイに表示可能とする携帯可能な大記憶容量の不揮発性メモリカードである。
【0095】
LCD6は、静止画および動画を撮影するとき、または、撮影してSDカード53に格納された静止画および動画を再生し、或いは、撮影条件の設定等の各種情報を表示するためのモニタである。
【0096】
第1実施例の電源電圧制御回路は、例えば、画像処理チップ(画像処理回路,半導体集積回路)1,電源制御IC2,SDRAM4,制御マイコン(演算処理回路)51およびフラッシュメモリ52を含む。ここで、画像処理チップ1およびSDRAM4の構成および処理は、
図5〜
図9を参照して詳述した通りである。
【0097】
また、制御マイコン51は、画像処理チップ1の外部に設けられ、例えば、
図3を参照して説明したログ8を格納するメモリを含み、そのログ8を用いて、上述したベリファイ動作(ベリファイプログラム)を実行する。
【0098】
第1実施例の電源電圧制御回路は、画像処理チップ1の外部に設けた制御マイコン51により、ベリファイ処理(ベリファイプログラム)を実行し、電源制御IC2を介して最適な電源電圧Vddとなるように制御する。
【0099】
すなわち、制御マイコン51は、例えば、
図6〜
図9を参照して説明した画像処理チップ1の各動作モードに応じて、第1画像データと第2画像データのベリファイ処理を行ってログ8を取得し、このログ8に基づいて最適な電源電圧の設定を行う。
【0100】
このように、本実施例では、例えば、ベリファイ動作によるログ8を、電源制御IC2により電源電圧が制御される画像処理チップ1とは独立した制御マイコン51(内蔵メモリ)に蓄積することで、電圧変動の影響を受けないハード構成となっている。
【0101】
図11は、電源電圧制御回路の第2実施例を示すブロック図であり、第2実施例の電源電圧制御回路を適用したデジタルカメラシステムの例を示すものである。
【0102】
図10と上述した
図11の比較から明らかなように、第2実施例のデジタルカメラシステムは、ログ8をフラッシュメモリ52に格納し、画像処理チップ1内のCPU12によりベリファイプログラムを実行するようになっている。なお、その他の構成は、第1実施例の電源電圧制御回路を適用したデジタルカメラシステムと同様なので、その説明は省略する。
【0103】
第2実施例の電源電圧制御回路は、例えば、CPU12を含む画像処理チップ(画像処理回路)1,電源制御IC(電源制御回路)2,SDRAM4,および,ログ8が格納されたフラッシュメモリ52を含む。CPU12は、画像処理チップ1の内部に設けられ、例えば、フラッシュメモリ52に格納されたログ8を用いて、前述したベリファイプログラムを実行する。
【0104】
第2実施例の電源電圧制御回路は、画像処理チップ1の内部に設けたCPU12により、ベリファイプログラムを実行し、電源制御IC2を介して最適な電源電圧Vddとなるように制御する。
【0105】
すなわち、CPU12は、例えば、
図6〜
図9を参照して説明した画像処理チップ1の各動作モードに応じて、第1画像データと第2画像データのベリファイ処理を行ってログ8を取得し、そのログ8に基づいて最適な電源電圧の設定を行う。
【0106】
なお、画像処理チップ1に内蔵されたCPU12のベリファイ動作の結果をログとして取得し、そのログをメモリ(不揮発性メモリ)に蓄積するには、例えば、
図4に関連して説明したように、様々な手法を適用することが可能である。
【0107】
以上、実施形態を説明したが、ここに記載したすべての例や条件は、発明および技術に適用する発明の概念の理解を助ける目的で記載されたものであり、特に記載された例や条件は発明の範囲を制限することを意図するものではない。また、明細書のそのような記載は、発明の利点および欠点を示すものでもない。発明の実施形態を詳細に記載したが、各種の変更、置き替え、変形が発明の精神および範囲を逸脱することなく行えることが理解されるべきである。
【0108】
以上の実施例を含む実施形態に関し、さらに、以下の付記を開示する。
(付記1)
対象回路に印加する電源電圧を制御する電源制御回路と、
前記電源電圧を第1電圧に設定して前記対象回路を動作させたときの第1処理結果、並びに、前記電源電圧を前記第1電圧とは異なる第2電圧に設定して前記対象回路を動作させたときの第2処理結果を格納するメモリと、
前記メモリから前記第1処理結果および前記第2処理結果を読み出してベリファイを行い、前記ベリファイの結果を前記電源制御回路へ出力する演算処理回路と、を有し、
前記電源制御回路は、前記ベリファイの結果に基づいて、前記電源電圧を制御する、
ことを特徴とする電源電圧制御回路。
【0109】
(付記2)
前記第2電圧は、前記第1電圧よりも低い電圧であり、
前記演算処理回路は、
前記第1処理結果と前記第2処理結果が一致する場合に、前記電源制御回路から出力される前記電源電圧を、前記第2電圧よりもさらに低い電圧に設定し、新たな第1処理結果および第2処理結果を取得してさらなるベリファイを行い、
前記第1処理結果と前記第2処理結果が一致しない場合に、前記電源制御回路から出力される前記電源電圧を、前記第1電圧に制御する、
ことを特徴とする付記1に記載の電源電圧制御回路。
【0110】
(付記3)
複数の前記ベリファイの結果をログとして蓄積するメモリを有し、
前記電源制御回路は、前記ログに基づいて、前記電源電圧を制御する、
ことを特徴とする付記1または付記2に記載の電源電圧制御回路。
【0111】
(付記4)
前記対象回路は、画像処理回路であり、
前記第1処理結果および前記第2処理結果は、前記画像処理回路により処理された第1画像データおよび第2画像データである、
ことを特徴とする付記1乃至付記3のいずれか1項に記載の電源電圧制御回路。
【0112】
(付記5)
前記対象回路は、複数の動作モードを有し、
前記電源制御回路は、
前記複数の動作モードのそれぞれに対して、前記電源電圧を制御する、
ことを特徴とする付記1乃至付記4のいずれか1項に記載の電源電圧制御回路。
【0113】
(付記6)
前記電源制御回路が出力する前記電源電圧は、前記対象回路の動作を保証している保証電圧から、所定のステップで順に低い電圧に設定される、
ことを特徴とする付記1乃至付記5のいずれか1項に記載の電源電圧制御回路。
【0114】
(付記7)
前記電源電圧を前記第1電圧に設定して前記対象回路を動作させるのは、前記電源電圧を前記第2電圧に設定して前記対象回路を動作させる直前の動作である、
ことを特徴とする付記1乃至付記6のいずれか1項に記載の電源電圧制御回路。
【0115】
(付記8)
対象回路に印加する電源電圧を制御する電源電圧制御方法であって、
前記電源電圧を第1電圧に設定して前記対象回路を動作させ、第1処理結果を取得し、
前記電源電圧を前記第1電圧とは異なる第2電圧に設定して前記対象回路を動作させ、第2処理結果を取得し、
前記第1処理結果と前記第2処理結果によるベリファイを行い、
前記ベリファイの結果に基づいて前記電源電圧を制御する、
ことを特徴とする電源電圧制御方法。
【0116】
(付記9)
前記第2電圧は、前記第1電圧よりも低い電圧であり、
前記第1処理結果と前記第2処理結果が一致する場合に、前記電源電圧を、前記第2電圧よりもさらに低い電圧に設定し、新たな第1処理結果および第2処理結果を取得してさらなるベリファイを行い、
前記第1処理結果と前記第2処理結果が一致しない場合に、前記電源電圧を、前記第1電圧に制御する、
ことを特徴とする付記8に記載の電源電圧制御方法。
【0117】
(付記10)
さらに、複数の前記ベリファイの結果をログとして蓄積し、
蓄積された前記ログに基づいて前記電源電圧を制御する、
ことを特徴とする付記8または付記9に記載の電源電圧制御方法。
【0118】
(付記11)
前記対象回路は、画像処理回路であり、
前記第1処理結果および前記第2処理結果は、前記画像処理回路により処理された第1画像データおよび第2画像データである、
ことを特徴とする付記8乃至付記10のいずれか1項に記載の電源電圧制御方法。
【0119】
(付記12)
前記対象回路は、複数の動作モードを有し、前記複数の動作モードのそれぞれに対して、前記電源電圧の制御を行う、
ことを特徴とする付記8乃至付記11のいずれか1項に記載の電源電圧制御方法。
【0120】
(付記13)
前記電源電圧は、前記対象回路の動作を保証している保証電圧から、所定のステップで順に低い電圧に設定される、
ことを特徴とする付記8乃至付記12のいずれか1項に記載の電源電圧制御方法。
【0121】
(付記14)
前記電源電圧を前記第1電圧に設定して前記対象回路を動作させるのは、前記電源電圧を前記第2電圧に設定して前記対象回路を動作させる直前の動作である、
ことを特徴とする付記8乃至付記13のいずれか1項に記載の電源電圧制御方法。
【0122】
(付記15)
前記第1処理結果と前記第2処理結果によるベリファイは、前記対象回路に対する前記電源電圧を停止する停止制御信号に基づいて、前記対象回路の電源が遮断される前に、ログとしてメモリに蓄積される、
ことを特徴とする付記8乃至付記14のいずれか1項に記載の電源電圧制御方法。
【0123】
(付記16)
対象回路に印加する電源電圧を制御する電源電圧制御プログラムであって、
演算処理回路に
前記電源電圧を第1電圧に設定して前記対象回路を動作させ、第1処理結果を取得し、
前記電源電圧を前記第1電圧とは異なる第2電圧に設定して前記対象回路を動作させ、第2処理結果を取得し、
前記第1処理結果と前記第2処理結果によるベリファイを行い、
前記ベリファイの結果に基づいて前記電源電圧を制御する、処理を実行させる、
ことを特徴とする電源電圧制御プログラム。