特許第6528653号(P6528653)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6528653
(24)【登録日】2019年5月24日
(45)【発行日】2019年6月12日
(54)【発明の名称】包装袋および包装体
(51)【国際特許分類】
   B65D 33/25 20060101AFI20190531BHJP
   B65D 75/58 20060101ALI20190531BHJP
   B65D 85/07 20170101ALI20190531BHJP
【FI】
   B65D33/25 A
   B65D75/58
   B65D85/07
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-222174(P2015-222174)
(22)【出願日】2015年11月12日
(65)【公開番号】特開2017-88222(P2017-88222A)
(43)【公開日】2017年5月25日
【審査請求日】2017年12月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000122298
【氏名又は名称】王子ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】朝井 欣哉
(72)【発明者】
【氏名】示崎 幸生
【審査官】 植前 津子
(56)【参考文献】
【文献】 特表2004−517785(JP,A)
【文献】 特開2008−307779(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 30/00−33/38
B65D 67/00−79/02
B65D 85/00−85/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
胴部と、前記胴部の天面を覆う頂部と、を備えて物品を収容可能な包装袋であって、前記胴部は、前記物品を複数収容した状態で略直方体形状を呈し、
前記頂部には、前記包装袋の内部を開放/閉塞することが可能な開閉部と、前記胴部の天面より小さい面積を有し、前記胴部の底面部と略平行であって前記開閉部より前記胴部側に位置する天面部と、が設けられ
前記胴部には複数の前記物品を並置した状態で配列可能であり、
前記胴部の底面部と略平行であって前記物品の配列方向と直交する方向において、前記天面部の幅が前記胴部の天面の幅より狭く、
前記頂部は、前記天面部の周縁から立ち上がる立ち上がり部と、前記立ち上がり部に接続される一対の傾斜面部と、を有し、
前記開閉部は、前記立ち上がり部が囲む前記天面部の上の空間に面するように内周に沿って配置されており、
前記配列方向と直交する方向の前記頂部の断面が、前記天面部の幅を上底とし、前記胴部の天面の幅を下底とし、前記一対の傾斜面部の傾斜方向の幅を一対の脚とした略等脚台形を含むものであり、
前記上底の中点と前記下底の一方の先端点とを結んだ線と、前記下底と、で成す角度をθとしたときのtanθが、0.1以上0.5以下であることを特徴とする、包装袋。
【請求項2】
前記物品の滑りを防止する滑り防止部を有し、
前記滑り防止部は、前記包装袋の内側の面に形成されることを特徴とする、請求項に記載の包装袋。
【請求項3】
前記滑り防止部は、前記天面部と収容された前記物品との間に位置する前記包装袋の内側の面に形成されることを特徴とする、請求項に記載の包装袋。
【請求項4】
前記頂部は、前記胴部より伸張率の低い素材で構成されていることを特徴とする、請求項1から請求項のいずれか一項に記載の包装袋。
【請求項5】
前記物品は、衛生用品であることを特徴とする、請求項1から請求項のいずれか一項に記載の包装袋。
【請求項6】
請求項1から請求項のいずれか一項に記載の包装袋により前記物品が収容されていることを特徴とする、包装体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装袋および包装体に関し、特に、包装対象となる複数の物品を収容するのに好適な包装袋および当該包装袋により物品を収容した包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、物品、例えば、靴下、肌着等の衣類や、使い捨ておむつ、軽失禁パッド、生理用品等の衛生用品を収容可能な包装袋に、可能な限り多くの数の物品を効率良く収容させるため、形状、材質、収容方法に様々な工夫がなされた包装袋が存在している。例えば、特許文献1には、複数の物品を整列して収容することで、効率良く物品を梱包可能な包装袋が示されている。
【0003】
一方、開封後の包装袋に収容された物品をできる限り清潔に保つために、包装袋の開口を開放/閉塞することが可能な開閉部を包装袋に設けることが好ましいと考えられる。当該開閉部は、例えば、互いに係合して閉塞可能な一対の係合部材で構成されたチャックとして包装袋の頂部に設けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−247181号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般に、収容効率を高めるため、包装袋の内部には、底面から天面に至るまで、物品が密に収容されている。しかし、特許文献1に記載されたような包装袋では、例えば、開閉部としてチャックを包装袋の頂部の開口付近に設けた場合、開封後に、頂部付近まで収容された物品に妨げられ、チャックのうち一方の係合部材と他方の係合部材とを係合させて包装袋を閉塞する動作がやりにくくなり、閉塞動作に手間取る場合があった。
【0006】
本発明の目的は、簡単且つ迅速に閉塞動作を行うことが可能な包装袋および包装体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による包装袋は、胴部と、胴部の天面を覆う頂部と、を備えて物品を収容可能な包装袋であって、胴部は、物品を複数収容した状態で略直方体形状を呈し、頂部には、包装袋の内部を開放/閉塞することが可能な開閉部と、胴部の天面より小さい面積を有し、胴部の底面部と略平行であって開閉部より胴部側に位置する天面部と、が設けられることを特徴とするものである。
【0008】
また、本発明による包装体は、本発明による包装袋によって物品を収容したことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の包装袋および包装体によれば、簡単且つ迅速に包装袋を閉塞することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の第1の実施形態に係る、開封前の包装袋および包装体の斜視図である。
図2】本発明の第1の実施形態に係る、開封前の包装袋および包装体を示す図であり、(a)は図1のIIa方向の正面図、(b)は図1のIIb方向の正面図、(c)は上面図、(d)は底面図である。
図3】本発明の第1の実施形態に係る包装袋を閉塞する様子、および各部の寸法や角度の関係について説明するために模式的に表した断面図であり、(a)は図2(c)のIIIa−IIIa方向断面図、(b)は開封後かつ閉塞後の包装袋の開閉部付近を示す図である。
図4】本発明の第1の実施形態に係る、閉塞後の包装袋および包装体の一例を表した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら本発明を実施するための形態を詳細に説明する。
【0012】
なお、本明細書および特許請求の範囲の記載において、「天面」および「底面」とは、包装袋によって画成された物品の収容空間の面自体を指すものとして参照される。但し、これらの用語はあくまで便宜上のものであり、重力方向における絶対的な位置を規定するものではないことは勿論である。また、「上」、「下」などの用語についても同様である。「底面部」とは、「底面」に位置している包装袋の実体的な部分を指すものとして参照される。一方、「頂部」とは、天面を覆っている実体的な部分である天面部と、これに必要に応じて付帯する部分と、を含む部分を言い、当該付帯部分がない場合には天面部自体と等しい。
【0013】
また、本明細書および特許請求の範囲の記載において、「包装体」とは、物品が収容された状態の包装袋、特に包装袋に複数の物品が収容されることで製造された後であって且つ開封前のものをいう。
【0014】
さらに、本明細書および特許請求の範囲の記載における「閉塞」という用語は、包装体の内部を雰囲気から完全に遮断すること(すなわち封止すること)だけでなく、包装体の内部を異物の侵入から効果的に保護できる程度に実質的に包装袋を閉じることも包含するものである。
【0015】
本発明の実施形態に係る包装袋は、包装袋の天面部を、物品が収容される胴部の天面の面積より小さくなるように設定することによって、包装袋の頂部に括れ部分が形成され、収容された物品の移動を制限する。その結果、包装袋の頂部の開口付近に設けられた開閉部を閉塞するために必要なシート部分が確保されるため、簡単且つ迅速に包装袋を閉塞することが可能となるものである。
【0016】
<第1の実施形態>
<構造>
図1および図2に本発明の第1の実施形態に係る、開封前の包装袋1および包装体100を示し、図1は斜視図、図2(a)は図1のIIa方向の正面図、図2(b)は図1のIIb方向の正面図、図2(c)は上面図、図2(d)は底面図をそれぞれ表す。なお、図中の点状のハッチングで示した部分は、後述する胴部3の天面3Tを表す。
【0017】
本実施形態に係る包装袋1は、天面3Tと底面との間の物品(本実施形態では衛生用品2)を収容する空間を実質的に画成する胴部3と、当該胴部3の天面3Tを覆う頂部4とを備えて構成される。なお、本実施形態において、これらの部分は、1枚のシート状部材の折り曲げ等によって予め一体に形成されているものであるが、これに限られず、本発明では、別体に製造された後に一体化されたものであってもよい。また、本発明では、包装袋1は、いわゆる、天面側に片ガセットを配置したタイプのものであってもよい。
【0018】
本実施形態の包装袋1の胴部3は、衛生用品2を複数収容した状態で略直方体形状を呈し、包装袋1の底面部(図2(d)を参照)と略垂直な4つの側面部を有する。これら4つの側面部は、二対の対向する側面部からなり、包装袋1の底面部と平行方向において、幅の長い一対の側面部(以下、一対の長面部ともいう)と、幅の短い一対の側面部(以下、一対の短面部ともいう)とを含んで構成されるものである。長面部は図2(a)に示す側面部であり、短面部は図2(b)に示す側面部である。図2(c)に示すように、その略直方体を包装袋1の天面側からみた場合の包装袋1の胴部3の天面3Tの形状は略長方形である。本実施形態では、その略長方形のうち短辺の長さ(すなわち、胴部3の短面部の幅の長さ)を2Xとする。なお、本明細書および特許請求の範囲の記載において「略直方体」というときは、当然に立方体も含まれるし、「略長方形」というときは、当然に正方形も含まれる。包装袋1の胴部3の天面3Tの形状が正方形である場合、本明細書および特許請求の範囲の記載において、いずれの辺を短辺(または長辺)とみなしてもよく、また、いずれの側面部を短面部(または長面部)とみなしてもよい。
【0019】
頂部4には、包装袋1の胴部3の底面部と略平行に配されて衛生用品2を覆う天面部5と、これに付帯して天面部5の周縁から立ち上がる立ち上がり部6と、が設けられる。また、頂部4には、立ち上がり部6に接続される一対の傾斜面部8と、同じく立ち上がり部6に接続される一対の台形側面部9を有する。具体的には、傾斜面部8は、矩形形状を呈し、包装袋1の胴部3の一対の長面部と立ち上がり部6との間に傾いて配置されるように形成されている。また、台形側面部9は、台形形状を呈し、包装袋1の胴部3の一対の短面部と立ち上がり部6との間に配置されるように形成されている。
【0020】
本実施形態の包装袋1の頂部4に設けられる立ち上がり部6は、天面と底面を補って略直方体形状を呈する。図2(c)に示すように、立ち上がり部6を包装袋1の天面側からみた場合の包装袋1の立ち上がり部6の形状は略長方形である。ここで、「略直方体」や「略長方形」の定義については、上述した胴部3の形状に係るものと同様である。天面部5の中央付近には、その略長方形の長辺と略平行に開封線7が設けられ、これを破断することで、包装袋1が開封され、包装袋1の開口が形成される。開封線7は、例えば、ミシン目として天面部5上に形成される。
【0021】
頂部4には、包装袋1の内部を開放/閉塞することが可能な開閉部10が設けられる。開閉部10は、例えば、互いに係合(例えば、咬合)して閉塞可能な一対の係合部材を有するチャックで構成され、図1および図2(c)に示すように、互いに係合可能な雌係合部材10aと雄係合部材10bとで構成される。本実施形態では、開閉部10は、包装袋1の胴部3の底面部と略平行であって、立ち上がり部6が囲む天面部5上の空間に面するよう内周に沿って配置され、例えば、包装袋1の表面に接着することによって形成される。本実施形態では、図2(c)に示す立ち上がり部6を構成する略長方形において、上半分の内周部分に雌係合部材10aが形成され、下半分の内周部分に雄係合部材10bが形成される。開閉部10を設けることによって、必要な枚数の衛生用品2を取り出した後、開閉部10により包装袋1の開口を閉塞することが可能となるため、開封後に塵埃や虫などの異物が侵入し衛生用品2に付着することを防止することが可能となる。
【0022】
天面部5は、胴部3の天面3Tより小さい面積を有し、胴部3の底面部と略平行であって開閉部10より胴部3側に位置するように形成されている。また、胴部3には、複数の衛生用品2を並置した状態で配列可能となっており、本実施形態では、胴部3の底面部と略平行であって物品2の配列方向と直交する方向において、天面部5の幅が胴部3の天面3Tの幅より狭くなっている。この構成により、図2(b)に示すように、台形側面部9の形状が、上底の長さが下底の長さより短い略等脚台形の形状を呈するものになっている。
【0023】
また、図2(b)に示すように、開閉部10は、収容された衛生用品2に対して、一定の距離をもって位置するように形成されている。具体的には、開閉部10は、収容された衛生用品2に対し、開閉部10から距離(L1+L2)をもって位置するように形成されている。ここで、L1は、胴部3の底面部に垂直な方向において、開閉部10から天面部5までの距離であり、L2は、傾斜方向における傾斜面部8の幅の距離(長さ)である。
【0024】
本実施形態では、当該距離(L1+L2)が設けられることによって、開閉部10のうち雌係合部材10aと雄係合部材10bとが、互いに対峙して容易に係合できる範囲に移動することが可能となるため、包装袋1を簡単且つ迅速に閉塞することが可能となる。ここで、距離(L1+L2)は、上記略長方形の長辺に相当する立ち上がり部6の対向側面部分を短辺方向に引き寄せて開閉部10を閉じる(雌係合部材10aおよび雄係合部材10bの係合を行わせる)という条件に基づけば、長さ2Xの2分の1より大きくあるべきである。さらに、開閉操作を行い易くするためには、開閉部10は立ち上がり部6の上縁に近い位置に設けられることが好ましい。
【0025】
<包装袋の閉塞>
図3を用い、本発明の第1の実施形態に係る包装袋1を閉塞する様子、および各部の寸法や角度の関係について説明する。ここで、図3(a)は、図2(c)のIIIa−IIIa方向断面を模式的に表した図であって、開封前の包装袋1の開閉部10付近を示し、図3(b)は、開封後かつ閉塞後の包装袋1の開閉部10付近の断面を模式的に示す。また、図4は閉塞後の包装袋1の一例を表した斜視図である。
【0026】
開封前の包装袋1の開閉部10については、図3(a)に示すように、雌係合部材10aと雄係合部材10bとが互いに離れて、対向している様子がわかる。開封後の包装袋1を閉塞する際の開閉部10については、図3(b)に示すように、雌係合部材10aと雄係合部材10bとが互いに係合して包装袋1を閉塞している様子がわかる。包装袋1を閉塞すると、包装袋1は図4に示すような状態になる。
【0027】
本実施形態では、図3(a)に示すように、衛生用品2の配列方向と直交する方向において、頂部4の断面は、天面部5の幅を上底とし、胴部3の天面3Tの幅を下底とし、一対の傾斜面部8の傾斜方向の幅を一対の脚とした略等脚台形を含むものとなっている。また、本実施形態では、上底の中点Nと下底の一方の先端点Eとを結んだ線と、下底と、で成す角度をθとしたときのtanθが、0.1以上0.5以下であることが好ましい。ここで、包装袋1の胴部3の底面部に垂直な方向において、胴部3の天面3Tから天面部5までの距離をYとすると、tanθは、Y/Xと表すことができ、Y/Xの好適な範囲は、0.1≦Y/X≦0.5となる。また、衛生用品2の配列方向と直交する方向において、天面部5の幅の長さを2Zとすると、上底の長さ2Zは、下底の長さ2Xの0.8倍以下が好ましい。これらのパラメータX、Y、Z、およびθは、開閉部10の閉塞しやすさだけでなく、衛生用品2の取り出しやすさ等を考慮して、設定されうる。
【0028】
従来、衛生用品が収容される包装袋については、包装袋の胴部の一方の幅が、収容される衛生用品の幅と同等となっている場合が多い。そこで仮に、特許文献1に記載されたような包装袋の頂部の開口付近に開閉部10を形成し、開閉部10を閉塞するために必要な空間を頂部に設けた場合、収容された衛生用品2が上下にスライドし、開閉部10の閉塞に必要なシート部分を確保できない結果、開閉部10をうまく閉塞できないケースが考えられる。
【0029】
本実施形態では、包装袋1の天面部5の幅を包装袋1の胴部3の幅より狭くすることで、傾斜面部8が形成され、この傾斜面部8が包装袋1の括れ部分となり、収容された衛生用品が頂部4の方へ移動することが妨げられることになる。その結果、上述した距離(L1+L2)が保持され、開閉部10を閉塞するために必要なシート部分が確保されるため、簡単且つ迅速に包装袋を閉塞することが可能となる。
【0030】
本実施形態では、物品として衛生用品を対象としたが、衛生用品は、他の物品に比べて、包装袋内部への異物の侵入を防ぐため、包装袋を開封し、収容された衛生用品を取り出して閉塞する、という一連の動作を迅速に行うことへの要求が高いことから、本発明の効果をより享受できる。
【0031】
<第2の実施形態>
本発明の第2の実施形態では、収容された物品(本実施形態では衛生用品2)の移動をさらに制限するため、包装袋1の内側面に滑り防止部を設ける例について説明する。本実施形態に係る包装袋1を構成する各要素のうち、同様の機能を有するものについては、第1の実施形態と同一の符号を付してその説明を省略する。
【0032】
本実施形態に係る包装袋1は、衛生用品2の滑りを防止する滑り防止部を有する。具体的には、滑り防止部は、包装袋1の内側の面に形成される。好ましくは、滑り防止部は、天面部5と収容された衛生用品2との間に位置する包装袋1の内側の面に形成される。滑り防止部は、例えば、包装袋1の内側の面に、包装袋1の素材よりも摩擦係数の高い素材(例えば、ゴムなど)を貼り付けて設ける態様や、包装袋1の内側の面を、エンボス加工又は熱処理加工(熱処理により包装袋1の内側の面にパターンを形成する加工)により凹凸化(または粗面化)して設ける態様であってもよい。また、紐状の部材を、包装袋1の内側の面に、熱融着により接着して設ける態様であってもよい。
【0033】
本実施形態によれば、第1の実施形態よりも、収容された衛生用品2が移動しにくくなり、上記距離(L1+L2)が維持されるため、開閉部が係合し易くなり、簡単且つ迅速に包装袋1を閉塞することが可能となる。
【0034】
<第3の実施形態>
本発明の第3の実施形態では、収容された物品(本実施形態では衛生用品2)が頂部4の方に移動しにくくする工夫として、包装袋1の頂部4を胴部3より伸張率の低い素材で構成する例について説明する。本実施形態に係る包装袋1を構成する各要素のうち、同様の機能を有するものについては、第1の実施形態と同一の符号を付してその説明を省略する。
【0035】
包装袋1の頂部4が伸縮性に富む柔らかい素材であれば、頂部4が伸張し、収容された衛生用品2が頂部4の方に移動する可能性が高まる。本実施形態に係る包装袋1では、頂部4は、胴部3より伸張率の低い素材で構成される。この伸張率の低い素材の構成としては、例えば、カーボンブラック、プラスティック樹脂などの部材や、加熱して硬化する部材を包装袋1の内側の面に貼り付ける態様が挙げられる。この構成により、収容された衛生用品2が頂部4側へスライドすることが抑制されるため、上述した距離(L1+L2)が確保され、開閉部が閉塞しやすいという本発明の効果が一層発現されることになる。
【0036】
<その他>
本発明は、上述した実施形態や、随所に述べた変形例に限られることなく、本発明の技術的思想から逸脱しない範囲で、適宜の変更や変形が可能である。
【0037】
例えば、上記各実施形態では、開封線7が形成されているが、包装袋1を開封可能であるなら、開封線7を形成せずに、簡単に破断可能な素材で構成された易破断部を包装袋1の頂部4付近に設けても良い。また、開封線7を形成せずに、両縁を掴んで開封するような包装袋についても本発明は適用可能である。
【0038】
さらに、上記各実施形態に係る包装袋1には、複数の物品が圧縮されて1段分収容されているが、複数段収容されても良い。
【0039】
上記各実施形態に係る包装袋1では、包装袋1を天面側からみた場合の胴部3の形状である略長方形の長辺に対して平行な方向に、物品を配列して収容しているが、これに限られず、例えば、当該長辺に対して垂直な方向に物品を配列して収容したり、物品を平積みされた状態で収容したりしても良い。
【0040】
上記各実施形態に係る包装袋1では、一対の傾斜面部8を含むものであるが、これに限られない。例えば、天面部5および立ち上がり部6を囲むように四方に傾斜面部8を設ける態様であってもよい。
【0041】
上記各実施形態に係る包装袋1は、開閉部10のうち一方の係合部材と他方の係合部材とが、向かい合うように、包装袋1の内側に設けられているが、これに限られず、簡単且つ迅速に包装袋1を閉塞できるという本発明の所期の目的を達成し得るのであれば、開閉部10を、互いに背向するように包装袋1の外側に形成してもよい。
【0042】
上記各実施形態に係る包装袋1は、可搬性を考慮して、実施形態に係る包装袋1の立ち上がり部6の内側(または外側)の面に基端領域が接着される一対の持ち手部を取り付けても良い。ここで、立ち上がり部6に持ち手が取り付けられるのであれば、確保すべき距離(L1+L2)を考慮して持ち手の取り付け位置を定めることができる。
【0043】
上記各実施形態に係る包装袋1には、立ち上がり部6が形成されているが、立ち上がり部6を形成しない形態であっても良い。これにより、包装袋1全体をコンパクトな形状にすることが可能となる。
【符号の説明】
【0044】
1 包装袋
2 衛生用品
3 胴部
3T 胴部の天面
4 頂部
5 天面部
6 立ち上がり部
7 開封線
8 傾斜面部
9 台形側面部
10 開閉部
100 包装体
図1
図2
図3
図4