【実施例1】
【0013】
図1〜
図4に示すように、第1の形態である実施例1のボトルキャップ100Aは、それぞれを樹脂で一体成型したメインキャップ1とリングホルダー2とボトムシールキャップ3との3つの部品を組み立てて構成され、ボトル101の口部101aに装着して使用される。これらの図面も参照して各部品の詳細を説明してから、それらによる組み立て構造を説明する。
【0014】
メインキャップ1は、
図5にそれのみの縦断面、
図6にその横断面を示すように、天部4aと胴部4bとからなるキャップ本体4が一般のスクリューキャップと同様の形体をなし、その天部4aの下面に、下端開口5aを有する円筒形の原料収納部5を、胴部4bよりも下方に長く一体に突設したものである。胴部4bの内周面には、ボトル口部101aに螺合させるねじ部6が形成されている。胴部4bの下周縁部は、薄いリブ7を数箇所に残して切り込み8を全周に形成することにより、分離可能としたロック用リング部9となっている。このリング部9の周方向の複数箇所は内側に膨らむ断面となっている。
また、天部4aの下面には、原料収納部5の付け根部分の回りにおいて、側部シール用突部10が全周に一体に形成されているとともに、それより外周において、尖った小さい三角断面の上部シール用突部11が全周に一体に形成されている。
原料収納部5の外周面には、その上端から中間箇所まで真っ直ぐ延びる複数の縦長リブ12が周方向に間隔をおいて一体に形成されている。
【0015】
リングホルダー2は、原料収納部5よりも短くこれを挿通させる大きさ(内径)のリング状で、透明または半透明であり、
図7にその断面、
図8にその底面を示すように、リングホルダー2の内周面は湾曲する凹凸を周方向に波状に交互に繰り返していて、リングホルダー2は厚みを内側に周期的に変化させる断面となっている。また、このリングホルダー2には、その下周縁まで達する矩形の欠如部2aを周方向の複数箇所に形成することにより、ボトムシールキャップ3との噛み合い部分となる複数(この例では3個)の歯部2bが形成されている。各歯部2bの外周面は、肉厚を下端に行くに従い薄くする傾斜面となっている。
リングホルダー2の外径は、装着対象のボトル口部101aのサイズに応じて、その内径に合わせた寸法とする。
【0016】
ボトムシールキャップ3は、原料収納部5の下端開口5aより大きい円盤状で、
図9にその断面、
図10にその底面を示すように、円形の外周縁に沿って環状凹部13を形成するとともに、この環状凹部13の周壁13aに、リングホルダー2の歯部2bと噛み合う噛み合い凹部13bを形成している。また、ボトムシールキャップ3の上面には、樹脂原料節約のため、環状凹部13までは届かない円形凹部14が形成されているとともに、下面にも、これより小さい同心二段の二重の円形凹部15が形成されている。さらに、ボトムシールキャップ3の下面には、この円形凹部15から離れたところに板片状の接続用突起16が一体に突設されている。
【0017】
次に、このように成型されたメインキャップ1とリングホルダー2とボトムシールキャップ3との組み立て構造を説明する。
リングホルダー2は、メインキャップ1に対し、その原料収納部5を挿通させて縦長リブ12の下端に当たるところまで、原料収納部5の外周面とリングホルダー2の内周面の凸部とが緩く嵌合した状態とする。このような嵌合により、原料収納部5に対するリングホルダー2の上下の位置関係が定まる。リングホルダー2の内周面は凹凸が交互に波状に繰り返しているので、リングホルダー2の内周面と原料収納部5の外周面(
図8に鎖線で示す)との間には、リングホルダー2の内周面の凹部となっているところで充分な隙間2dが形成され、それぞれの隙間2dは上下に貫通する。
原料収納部5にはこの嵌合の後に原料102が充填される(
図3参照)。
ボトムシールキャップ3は、このようにしたリングホルダー2に対しては、その歯部2bとボトムシールキャップ3の噛み合い凹部13bとを噛み合わせ、原料102が充填された原料収納部5に対しては、その下端部分をボトムシールキャップ3の環状凹部13に嵌合させたうえ、その嵌合部分を溶着して、原料収納部5の下端開口5aをボトムシールキャップ3にて封止する。その溶着には、超音波または高周波による溶着、熱溶着剤(ホットメルト)を用いそれを加熱溶融して間接的に溶着する形態が考えられる。
【0018】
メインキャップ1とボトムシールキャップ3とを同じ樹脂材質とした場合、環状凹部13の外側から超音波により嵌合部分を全周にわたり溶着する。そうすると、環状凹部13に嵌合している原料収納部5の下端部分の樹脂とボトムシールキャップ3の樹脂とが一体化され、環状凹部13でのシール性が非常に高くなる。例えば、メインキャップ1の樹脂がポリプロピレン(PP)の場合、ボトムシールキャップ3もポリプロピレンとして、超音波で溶着する。
【0019】
メインキャップ1とボトムシールキャップ3とが異なる樹脂材質の場合、環状凹部13内に熱溶着剤を塗布しておいて原料収納部5の下端部分を嵌合させ、その嵌合部分を熱板にて加熱、または超音波シーラー或いは高周波シーラーにて加熱することにより、溶融した熱溶着剤にて接触面を接着する。この場合は両者の樹脂同士は一体にはならないが、シール性は充分に確保できる。例えば、メインキャップ1の樹脂がポリプロピレン(PP)で、ボトムシールキャップ3の樹脂がポリエチレン(PE)またはポリエチレンテレフタレート(PET)の場合には、熱溶着剤による熱溶着とする。高周波による加熱溶着の場合には、高周波が集中するように熱溶着剤に金属粉を混入させるとよい。
ボトル101内の内容物が製品としてどの程度の温度で流通されるかの流通条件を考慮し、熱溶着剤が流通過程で熱変化するようであれば、温度耐性の高いものを使用するとか、熱溶着剤を用いての溶着はしないで、超音波溶着または高周波溶着を選択することが好ましい。
【0020】
ボトムシールキャップ3は、その環状凹部13より内側の部分が原料収納部5内に圧入した状態で、環状凹部13を原料収納部5の下端部分と嵌合させ、しかもその嵌合内部で原料収納部5と溶着してその下端開口5aを封止するため、原料収納部5に対するシール性と一体性が高く、原料収納部5内に窒素等のガスを加圧充填して、原料収納部5内からも気密性を確保するような必要性はなくなる。一方、ボトムシールキャップ3とリングホルダー2との関係については、リングホルダー2が上記のように原料収納部5の外周にセットされていても、ボトムシールキャップ3による上記のような封止が寸法上余裕をもって行えるように、リングホルダー2の欠如部2aの上下の寸法は、ボトムシールキャップ3の周壁13a(噛み合い凹部13bが無いところ)が欠如部2aに余裕をもって受け入れられる高さとする。
【0021】
上記のように3つの部品を組み立てた実施例1のボトルキャップ100Aをボトル口部101aに装着するには、
図3に示すように、原料収納部5をボトル口部101aに挿入しながら、メインキャップ1を閉栓方向に回転させてそのねじ部6をボトル口部101aのねじ部101bと螺合させる。すると、リングホルダー2は、原料収納部5の縦長リブ7にてボトル口部101a内に押し込まれる。その螺合は、メインキャップ2のロック用リング部9が、ボトル口部101aに設けられているロック用環状突部101cを強制的に越えてこれにロックされるところまで行う。
この状態に達したとき、メインキャップ2の天部4aに設けられた尖鋭な上部シール用突部11が、ボトル口部101aの上端面に食い込むような状態となるとともに、メインキャップ1の側部シール用突部10もボトル口部101aの内周面に圧接するので、ボトル口部101aの上端周縁でのキャップ本体4aによるシール性が極めて高い。
【0022】
この後、ボトル口部101aの外側から、ピンポイント式超音波溶着機により超音波を発射し、その焦点を調整することで、リングホルダー2とボトル口部101aとの境界面(接触面)、つまりリングホルダー2の外周面とボトル口部101aの内周面とを、例えばP1とP2の上下2位置について、それぞれの周方向の複数点をピンポイントに溶着して、リングホルダー2をボトル口部101aに固定する。この場合、ボトル101が例えばペットボトル、つまりポリエチレンテレフタラート(PET)製である場合、リングホルダー2の樹脂を同じポリエチレンテレフタラート(PET)とすることで、互いの樹脂同士が一体化し、リングホルダー2をボトル口部101aに対して強固に固定できる。超音波による溶着は、超音波エネルギーの焦点(集中する深度)や周波数を調整することで、溶着箇所と程度を正確に特定できるので、他の部分や原料収納部5内の原料102への影響を回避できる。
【0023】
このように超音波にて溶着すると、ボトル口部101aが設計通りに成型されていないとか、温度変化などの外的要因でその内径が変動しても、リングホルダー2とボトル口部101aとが接触さえしていれば、それらの樹脂同士を一体化できる。ボトル101がペットボトルの場合、大半はボトル口部101aも透明または半透明であるが、リングホルダー2は透明または半透明であるので、ボトル口部101aの外側から透視しても、リングホルダー2の存在は目視し難く、ボトル口部101aの一部として認識される。
【0024】
一方、リングホルダー2と原料収納部5との間は互いに固定されていなく、リングホルダー2の内周面の凹部において充分な隙間2dが形成されるため、そこをボトル101内の内容物である液体が上下に流通できる。
なお、原料収納部5内の原料102が医薬剤や化粧剤のように、変質を極力防止したいものである場合には、原料収納部5の少なくとも内面にアルミニウム蒸着層などの原料変質防止用被膜層を形成する。アルミニウム蒸着層は真空蒸着技術(スパッタリング)により容易に施すことができる。アルミニウム蒸着層は遮光性もあるので、外光による変質も防止でき、また原料収納部5の外面、さらにはキャップ本体4にもアルミニウム蒸着層を形成すると、メインキャップ1があたかもアルミニウム製キャップのような様相となり、ボトルキャップとしての高級感が増す。蒸着層とする金属としては、アルミニウムのほかチタンやステンレスなどがあり、また原料変質防止効果があればフッ素コーティングなどの樹脂コーティングでも構わない。
【0025】
上記のような状態でボトル口部101aに装着されているボトルキャップ100Aを開栓操作するには、
図11に示すようにメインキャップ1を開栓方向に回転させる。すると、メインキャップ1はボトル口部101aに対して回転しながら上昇して行くが、リングホルダー2は、ボトル口部101aに固定されているためメインキャップ1の原料収納部5に追従しない。メインキャップ1は切り込み8において上下に分離し、ロック用リング部10はボトル口部101aのロック用環状突部101cに係止されてそのまま残るが、それ以外の部分は原料収納部5も含めて回転しながら上昇する。
【0026】
ところが、ボトムシールキャップ3は、その噛み合い凹部13bが動かないリングホルダー2の歯部2bと噛み合っていて、リングホルダー2によって回転と上昇を規制されるため、回転しながら上昇して行く原料収納部5との嵌合が、ボトムシールキャップ3の環状凹部13の深さを超えたところで一気外れて原料収納部5から分離し、それに伴いリングホルダー2の歯部2bとの噛み合いも外れるので、ボトムシールキャップ3はボトル101内に落下し、原料収納部5内の原料102がボトル101内に放出される。リングホルダー2はボトル口部101a内に残ったままとなるので、開封後のボトムシールキャップ3がボトル口部101aから抜け出るのを防止する。
【実施例2】
【0027】
次に、ボトムシールキャップ3がボトル101内に落下しないようにする第2の形態の実施例2について説明する。
図12〜
図15に実施例2のボトルキャップ100Bを示す。この場合は、上述したメインキャップ1とリングホルダー2とボトムシールキャップ3の3つの部品に加え、これらとは別に樹脂成型されたストラップバンド17を用いる。
図16にストラップバンド17のみの正面、
図17のその上端面を示す。
【0028】
ストラップバンド17は薄い縦長の板片状で、長さ方向にバネ性を有し、リングホルダー2に接続して基端部となる上端部には、その左右両側に突出部17a・17aが突出形成されているため、ストラップバンド17を正面から見ると全体としてT字形となっている。これらの突出部17a・17aは片側へ同じように屈曲していて、そのために幅員方向にもバネ性を有する。一方、先端部となるストラップバンド17の下端部には、ボトムシールキャップ3との接続部となる横長の接続孔18が形成され、この接続孔18より上側のその近くには、補強のために板厚を部分的に厚くする縦長の肉厚部17bが複数形成されている。ストラップバンド17は柔軟なバネ性に富む材質にするため、シリコンゴム等を含む樹脂材質にて成型することが好ましい。
【0029】
ストラップバンド17は、
図18、
図19及び
図20に示すように、リングホルダー2に対しては、それの欠如部2aが有る部分に形成されている接続凹部2cに、ストラップバンド17の上端部を接続する。すなわち、ストラップバンド17の両側の突出部17a・17aの大部分を含む上端部を、リングホルダー2の接続凹部2cに圧入させることにより、ストラップバンド17は、両側の突出部17a・17aのバネ力をもってリングホルダー2に保持される。その保持を確実にしたい場合には、圧入した部分をリングホルダー2に接着または溶着する。なお、ストラップバンド17のリングホルダー2への保持は、リングホルダー2を原料収納部5の外周にセットする前に行っておく。
一方、ボトムシールキャップ3に対しては、
図12、
図13及び
図14に示すように、ストラップバンド17を長さ方向に曲げて、その接続孔18をボトムシールキャップ3の接続用突起16と嵌合させることにより、ストラップバンド17の先端部をボトムシールキャップ3と接続する。その接続を確実にしたい場合には、接続用突起16との嵌合部分を接着または溶着する。
【0030】
実施例2のボトルキャップ100Bを開栓操作すると、
図21に示すように、開封後のボトムシールキャップ3は、ストラップバンド17が自身のバネ力でほぼ真っ直ぐの状態に復元するので、ボトル101内へ落下することなく、このストラップバンド17によってリングホルダー2に吊持され、ストラップバンド17のバネ力により開封状態を維持する。