特許第6529148号(P6529148)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6529148
(24)【登録日】2019年5月24日
(45)【発行日】2019年6月12日
(54)【発明の名称】液体撹拌装置
(51)【国際特許分類】
   B01F 7/32 20060101AFI20190531BHJP
   B01F 15/00 20060101ALI20190531BHJP
【FI】
   B01F7/32 A
   B01F15/00 C
【請求項の数】5
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2018-165656(P2018-165656)
(22)【出願日】2018年9月5日
【審査請求日】2018年10月10日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】514007612
【氏名又は名称】田中ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100136674
【弁理士】
【氏名又は名称】居藤 洋之
(72)【発明者】
【氏名】西川 徳俊
【審査官】 佐々木 典子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−200656(JP,A)
【文献】 実開昭63−076687(JP,U)
【文献】 実開昭55−043589(JP,U)
【文献】 実開昭54−132666(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01F 1/00−15/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を撹拌する液体撹拌装置であって、
前記液体を吸引して吐出する液体吐出手段と、
前記液体吐出手段から延びる管状に形成されて前記液体を流通させる第1メイン導管と、
前記第1メイン導管に連通する管状に延びて前記液体を前記第1メイン導管の周方向に吐出することで同周方向に沿って回転する第1回転翼と、
前記第1回転翼から前記第1メイン導管と同軸上に延びる管状に形成されて前記液体を流通させる第2メイン導管と、
前記第2メイン導管に連通する管状に延びて前記液体を前記第2メイン導管の周方向に吐出することで同周方向に沿って回転する第2回転翼とを備え
前記第2回転翼は、
前記第1回転翼よりも速い速度で回転することを特徴とする液体撹拌装置。
【請求項2】
液体を撹拌する液体撹拌装置であって、
前記液体を吸引して吐出する液体吐出手段と、
前記液体吐出手段から延びる管状に形成されて前記液体を流通させる第1メイン導管と、
前記第1メイン導管に連通する管状に延びて前記液体を前記第1メイン導管の周方向に吐出することで同周方向に沿って回転する第1回転翼と、
前記第1回転翼から前記第1メイン導管と同軸上に延びる管状に形成されて前記液体を流通させる第2メイン導管と、
前記第2メイン導管に連通する管状に延びて前記液体を前記第2メイン導管の周方向に吐出することで同周方向に沿って回転する第2回転翼とを備え、
前記第2回転翼は、
前記第1回転翼よりも細い管で形成されていることを特徴とする液体撹拌装置。
【請求項3】
液体を撹拌する液体撹拌装置であって、
前記液体を吸引して吐出する液体吐出手段と、
前記液体吐出手段から延びる管状に形成されて前記液体を流通させる第1メイン導管と、
前記第1メイン導管に連通する管状に延びて前記液体を前記第1メイン導管の周方向に吐出することで同周方向に沿って回転する第1回転翼と、
前記第1回転翼から前記第1メイン導管と同軸上に延びる管状に形成されて前記液体を流通させる第2メイン導管と、
前記第2メイン導管に連通する管状に延びて前記液体を前記第2メイン導管の周方向に吐出することで同周方向に沿って回転する第2回転翼と、
前記第1回転翼および前記第2回転翼のうちの少なくとも一方の回転翼を前記第1メイン導管および前記第2メイン導管のうちの少なくとも一方のメイン導管に対して回転自在に連結する回転連結部を備え、
前記回転連結部は、
前記回転翼における前記メイン導管に連結される側の先端部に同先端部の外径が大きくなる筒状に形成された筒状拡径部と、
前記メイン導管における前記回転翼に連結される側の先端部に前記筒状拡径部の外周面を筒状の隙間を介して覆って内径が縮小する筒状に形成された筒状縮径部と、
前記筒状拡径部の外周面と前記筒状縮径部の内径との間の前記筒状の隙間で構成されて前記メイン導管の内部および同メイン導管の外部にそれぞれ連通する筒状流路とを有することを特徴とする液体撹拌装置。
【請求項4】
請求項3に記載した液体撹拌装置において、
前記筒状拡径部は、
外径および内径が徐々に拡大する傾斜面を有して構成されており、
前記筒状拡径部と前記筒状縮径部とは、互いの先端部同士が対向し合って突き当たり可能に形成されていることを特徴とする液体撹拌装置。
【請求項5】
請求項4に記載した液体撹拌装置において、
前記回転連結部を介して前記メイン導管に連結された前記回転翼は、
前記液体を吐出する吐出口が同回転翼の回転面に対して前記回転連結部側に傾斜していることを特徴とする液体撹拌装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体内に設けられてこの液体を撹拌する液体撹拌装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、液体内に設けられてこの液体を撹拌する液体撹拌装置がある。例えば、下記特許文献1には、タンク内から吸引した透析液を十字状に延びる撹拌翼から噴出させて撹拌翼を回転させることでタンク内の透析液を撹拌する液体撹拌装置としての透析液原液調整装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平02−51558号公報
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載された液体撹拌装置においては、撹拌翼がタンク内の底部に設けられているため、タンク内における深さ方向の液体の撹拌が行なわれ難いとともにタンク内の液体に投入された薬剤などの投入物との混合も行なわれ難いという問題があった。
【0005】
本発明は上記問題に対処するためなされたもので、その目的は、液体を広範囲に撹拌することができる液体撹拌装置を提供することにある。
【発明の概要】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の特徴は、液体を撹拌する液体撹拌装置であって、液体を吸引して吐出する液体吐出手段と、液体吐出手段から延びる管状に形成されて液体を流通させる第1メイン導管と、第1メイン導管に連通する管状に延びて液体を第1メイン導管の周方向に吐出することで同周方向に沿って回転する第1回転翼と、第1回転翼から第1メイン導管と同軸上に延びる管状に形成されて液体を流通させる第2メイン導管と、第2メイン導管に連通する管状に延びて液体を第2メイン導管の周方向に吐出することで同周方向に沿って回転する第2回転翼とを備え、第2回転翼は、第1回転翼よりも速い速度で回転することにある。
【0007】
このように構成した本発明の特徴によれば、液体撹拌装置は、液体吐出手段から供給される液体を導く第1メイン導管および第2メイン導管の軸方向における互いに異なる位置に第1回転翼および第2回転翼をそれぞれ備えているため、液体を広範囲に撹拌することができる。この場合、液体撹拌装置は、タンク、プールまたは水槽に貯留された液体を撹拌するものであってもよいし、池や沼の水を撹拌するものであってもよい。また、液体撹拌装置は、第1メイン導管および第2メイン導管がそれぞれ深さ方向に延びて配置されていてもよいし、深さ方向に直交する方向にそれぞれ延びて配置されていてもよい。
【0008】
また、本発明によれば、液体撹拌装置は、第2回転翼が第1回転翼よりも速い速度で回転するため、液体をより効果的に撹拌することができる。特に、液体に薬剤などの投入物を投入した場合においては、投入物が投入された表層を迅速に撹拌することができる。
【0009】
上記目的を達成するため、本発明の特徴は、液体を撹拌する液体撹拌装置であって、液体を吸引して吐出する液体吐出手段と、液体吐出手段から延びる管状に形成されて液体を流通させる第1メイン導管と、第1メイン導管に連通する管状に延びて液体を第1メイン導管の周方向に吐出することで同周方向に沿って回転する第1回転翼と、第1回転翼から第1メイン導管と同軸上に延びる管状に形成されて液体を流通させる第2メイン導管と、第2メイン導管に連通する管状に延びて液体を第2メイン導管の周方向に吐出することで同周方向に沿って回転する第2回転翼とを備え、第2回転翼は、第1回転翼よりも細い管で形成されていることにある。
【0010】
このように構成した本発明の特徴によれば、液体撹拌装置は、液体吐出手段から供給される液体を導く第1メイン導管および第2メイン導管の軸方向における互いに異なる位置に第1回転翼および第2回転翼をそれぞれ備えているため、液体を広範囲に撹拌することができる。この場合、液体撹拌装置は、タンク、プールまたは水槽に貯留された液体を撹拌するものであってもよいし、池や沼の水を撹拌するものであってもよい。また、液体撹拌装置は、第1メイン導管および第2メイン導管がそれぞれ深さ方向に延びて配置されていてもよいし、深さ方向に直交する方向にそれぞれ延びて配置されていてもよい。
【0011】
また、本発明によれば、液体撹拌装置は、第2回転翼が第1回転翼よりも細い管で形成されているため、液体吐出手段から離れた位置に位置する第2回転翼を効果的に回転させることができる。
【0012】
上記目的を達成するため、本発明の特徴は、液体を撹拌する液体撹拌装置であって、液体を吸引して吐出する液体吐出手段と、液体吐出手段から延びる管状に形成されて液体を流通させる第1メイン導管と、第1メイン導管に連通する管状に延びて液体を第1メイン導管の周方向に吐出することで同周方向に沿って回転する第1回転翼と、第1回転翼から第1メイン導管と同軸上に延びる管状に形成されて液体を流通させる第2メイン導管と、第2メイン導管に連通する管状に延びて液体を第2メイン導管の周方向に吐出することで同周方向に沿って回転する第2回転翼と、第1回転翼および第2回転翼のうちの少なくとも一方の回転翼を第1メイン導管および第2メイン導管のうちの少なくとも一方のメイン導管に対して回転自在に連結する回転連結部を備え、回転連結部は、回転翼におけるメイン導管に連結される側の先端部に同先端部の外径が大きくなる筒状に形成された筒状拡径部と、メイン導管における回転翼に連結される側の先端部に筒状拡径部の外周面を筒状の隙間を介して覆って内径が縮小する筒状に形成された筒状縮径部と、筒状拡径部の外周面と筒状縮径部の内径との間の前記筒状の隙間で構成されてメイン導管の内部および同メイン導管の外部にそれぞれ連通する筒状流路とを有することにある。
【0013】
このように構成した本発明の特徴によれば、液体撹拌装置は、液体吐出手段から供給される液体を導く第1メイン導管および第2メイン導管の軸方向における互いに異なる位置に第1回転翼および第2回転翼をそれぞれ備えているため、液体を広範囲に撹拌することができる。この場合、液体撹拌装置は、タンク、プールまたは水槽に貯留された液体を撹拌するものであってもよいし、池や沼の水を撹拌するものであってもよい。また、液体撹拌装置は、第1メイン導管および第2メイン導管がそれぞれ深さ方向に延びて配置されていてもよいし、深さ方向に直交する方向にそれぞれ延びて配置されていてもよい。
【0014】
また、本発明によれば、液体撹拌装置は、第1回転翼および第2回転翼のうちの少なくとも一方の回転翼を第1メイン導管および第2メイン導管のうちの少なくとも一方のメイン導管に対して回転自在に連結する回転連結部を備えている。この場合、回転連結部は、筒状拡径部の外周面と筒状縮径部の内径との間の筒状の隙間で構成されてメイン導管の内部および同メイン導管の外部にそれぞれ連通する筒状流路を有して構成されている。これにより、液体撹拌装置は、液体吐出手段から供給された液体が筒状流路を流通することでメイン導管に対して回転翼が円滑に回転することができる。
【0015】
また、本発明の他の特徴は、前記液体撹拌装置において、筒状拡径部は、外径および内径が徐々に拡大する傾斜面を有して構成されており、筒状拡径部と筒状縮径部とは、互いの先端部同士が対向し合って突き当たり可能に形成されていることにある。
【0016】
このように構成した本発明の他の特徴によれば、液体撹拌装置は、筒状拡径部の外径および内径が徐々に拡大する傾斜面を有して構成されているとともに、筒状拡径部と筒状縮径部とは互いの先端部同士が対向し合って突き当たり可能に形成されているため、液体吐出手段からの液体の供給または供給の停止によって回転翼がメイン導管に対して離隔または突き当たる。これにより、液体撹拌装置は、液体吐出手段から供給される液体を筒状流路に導くことができるとともに、液体吐出手段から液体の供給が停止した際に回転翼がメイン導管内に入り込むことを防止することができる。
【0017】
また、本発明の他の特徴は、液体撹拌装置において、回転連結部を介してメイン導管に連結された前記回転翼は、液体を吐出する吐出口が同回転翼の回転面に対して回転連結部側に傾斜していることにある。
【0018】
このように構成した本発明の他の特徴によれば、液体撹拌装置は、回転連結部を介してメイン導管に連結された回転翼における液体を吐出する吐出口が同回転翼の回転面に対して回転連結部側に傾斜しているため、回転翼から液体を吐出することで回転翼をメイン導管から効果的に離隔させてメイン導管から供給される液体を効果的に筒状流路に導くことができる。
【0019】
また、これらの場合、前記液体撹拌装置において、第2回転翼は、第2メイン導管から導かれた液体を第1回転翼の吐出方向とは反対方向に吐出して同第1回転翼とは反対方向に回転させることができる。これによれば、液体撹拌装置は、第2回転翼が第2メイン導管から導かれた液体を第1回転翼の液体の吐出方向とは反対方向に吐出して同第1回転翼とは反対方向に回転するため、液体をより効果的に撹拌することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明に係る液体撹拌装置の外観構成を概略的に示す斜視図である。
図2図1に示す液体撹拌装置を水槽に設置した状態を模式的に示す断面図である。
図3図1に示した液体撹拌装置における第1回転連結部の内部構造を模式的に示す断面図である。
図4図1に示した液体撹拌装置における第2回転連結部の内部構造を模式的に示す断面図である。
図5図3に示した第1回転連結部内に液体の供給がない場合の状態を模式的に示した断面図である。
図6】本発明の変形例に係る第1回転連結部の内部構造を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に係る液体撹拌装置の一実施形態について図面を参照しながら説明する。図1は、本発明に係る液体撹拌装置100の外観構成を概略的に示す斜視図である。また、図2は、図1に示す液体撹拌装置100を水槽TKに設置した状態を模式的に示す断面図である。なお、本明細書において参照する各図は、本発明の理解を容易にするために一部の構成要素を誇張して表わすなど模式的に表している。このため、各構成要素間の寸法や比率などは異なっていることがある。この液体撹拌装置100は、コンクリートの斫り(ハツリ)作業に使用したアルカリ性の排水からなる液体WKを貯留して中和する水槽TK内で液体WKを撹拌するために用いられる機械装置である。
【0022】
(液体撹拌装置100の構成)
液体撹拌装置100は、液体吐出装置101を備えている。液体吐出装置101は、水槽TK内に貯留された液体WKを吸引して吐出する機械装置である。本実施形態においては、液体吐出装置101は、人が持ち運びできる大きさの略円柱状に形成された本体の下部部分から液体WKを吸引して本体の上部に設けられて吐出口から吐出する電動の水中ポンプで構成されている。この液体吐出装置101の吐出口には、第1メイン導管102が接続されている。
【0023】
第1メイン導管102は、液体吐出装置101から出力される液体WKを第1回転翼110に導くための流路を形成する部品であり、樹脂材または金属材を円筒状に形成した管体で構成されている。本実施形態においては、第1メイン導管102は、塩化ビニル樹脂製のパイプ材で構成されている。この第1メイン導管102は、一方(図示下側)の端部が液体吐出装置101の吐出口にネジ嵌合によって着脱自在に接続されているとともに、他方(図示上側)の端部に第1回転連結部103が接続されている。
【0024】
第1回転連結部103は、図3に示すように、第1メイン導管102に対して第1回転翼110を回転自在に連結する部分であり、主として、筒状拡径部104、筒状縮径部105よび筒状流路106を備えて構成されている。筒状拡径部104は、第1回転翼110から延びる回転筒111の先端部に取り付けられて筒状流路106を形成する部品であり、樹脂材または金属材を円筒状に形成して構成されている。より具体的には、筒状拡径部104は、嵌合部104a、傾斜面104bおよび対向部104cをそれぞれ備えて構成されている。
【0025】
嵌合部104aは、第1回転翼110の回転筒111の先端部の外側に嵌合する部分であり、直線状に延びる円筒状に形成されている。この場合、嵌合部104aは、第1回転翼110の回転筒111の先端部に対して接着剤で固着している。傾斜面104bは、第1回転翼110の回転筒111の外径および内径よりも大きな外径および内径にそれぞれ徐々に広がるテーパ状の部分である。
【0026】
対向部104cは、傾斜面104bが拡径した最大外径で直線状に延びる円筒状に形成されている。この対向部104cは、液体吐出装置101から延びる第1メイン導管102の先端部に突き当たる大きさおよび厚さで形成されている。本実施形態においては、対向部104cは、第1メイン導管102の外径よりも若干小さい外径に形成されている。なお、筒状拡径部104は、第1回転翼110の回転筒111の先端部に一体的に形成されていてもよい。
【0027】
筒状縮径部105は、液体吐出装置101から延びる第1メイン導管102の先端部に取り付けられて筒状流路106を形成する部品であり、樹脂材または金属材を円筒状に形成して構成されている。より具体的には、筒状縮径部105は、筒状拡径部104の外周面に対して隙間を介して覆う大きさに形成された嵌合部105a、傾斜面105bおよび流出部105cをそれぞれ備えて構成されている。
【0028】
嵌合部105aは、液体吐出装置101から延びる第1メイン導管102の先端部の外側に嵌合する部分であり、直線状に延びる円筒状に形成されている。この場合、嵌合部105aは、第1メイン導管102の先端部に対して接着剤で固着している。この嵌合部105aは、筒状拡径部104の対向部104cを覆う長さに形成されている。
【0029】
傾斜面105bは、嵌合部105aの外径および内径がそれぞれ徐々に縮小するテーパ状の部分である。この場合、傾斜面105bは、筒状拡径部104の傾斜面104bと同じ傾斜角で形成されていてもよいが、互いに異なる傾斜角で形成されることによって両者が密着し合うことが防止されて筒状流路106を形成し易くすることができる。
【0030】
流出部105cは、第1回転翼110を安定的に回転させるための部分であり、傾斜面104bが縮径した最小内径で嵌合部104aに平行に延びる直線状の円筒状に形成されている。この場合、流出部105cは、嵌合部104aの図示上端部から張り出す長さに形成されている。
【0031】
筒状流路106は、液体吐出装置101から吐出されて第1メイン導管102内に導かれた液体WKの一部を外部に漏出させる流路を形成することで筒状拡径部104と筒状縮径部105とを互いに相対回転可能にするための部分であり、筒状拡径部104の外周面と筒状縮径部105の外周面との間に円筒状の隙間によって形成されている。本実施形態においては、筒状流路106は、筒状拡径部104の外周面と筒状縮径部105の外周面との間の隙間が2mmに設定されている。なお、図3においては、液体WKの流れを破線矢印で示している。
【0032】
ここで、第1回転連結部103の組み付け方法について簡単に説明しておく。まず、作業者は、回転筒111の図示下側の端部から筒状縮径部105を通しておいた後、この回転筒111の図示下側の端部に筒状拡径部104の嵌合部104aを通して接着固定する。次に、作業者は、回転筒111に通しておいた筒状縮径部105を筒状拡径部104の外側に位置させるとともに嵌合部105aを第1メイン導管102の先端部に接着固定する。これにより、第1回転連結部103組み立てることができる。
【0033】
第1回転翼110は、液体吐出装置101から供給される液体WKの一部を吐出することで水槽TK内の液体WKを撹拌するために部分であり、樹脂材または金属材を円筒状に形成した管体で構成されている。本実施形態においては、第1回転翼110は、塩化ビニル樹脂製のパイプ材で構成されている。この第1回転翼110は、主として、回転筒111、分岐筒112、アーム筒113および吐出筒114をそれぞれ備えて構成されている。
【0034】
回転筒111は、アーム筒113を支持するとともに第1回転連結部103を介して第1メイン導管102から導かれた液体WKを前記アーム筒113に導く部品であり、垂直方向に直線状に延びる円筒体で構成されている。この回転筒111は、一方(図示下側)の端部に前記筒状拡径部104が接続されているとともに、他方(図示上側)の端部に分岐筒112が接続されている。
【0035】
分岐筒112は、回転筒111に導かれた液体WKを3方向にそれぞれ分岐させるための部品であり、直線状に延びる2つの流路が互いに直交する十字状に形成されている。この分岐筒112には、回転筒111と同軸上に第2回転連結部120に繋がる第2メイン導管115が接続されているとともに、回転筒111の軸線に直交する方向に2つのアーム筒113がそれぞれ接続されている。
【0036】
2つのアーム筒113は、分岐筒112から導かれた液体WKをそれぞれ回転筒111の径方向外側にそれぞれ導く部品であり、それぞれ水平方向に直線状に延びる円筒体で構成されている。この場合、これら2つのアーム筒113は、本実施形態においては互いに同じ長さおよび同じ内外径に形成されているが、互いに異なる長さおよび/または異なる内外径に形成されていてもよい。また、2つのアーム筒113は、本実施形態においては、互いに同軸上に設けられているが、各中心軸線が互いに異なる位置に設けられていてもよい。これら2つのアーム筒113の各先端部には、吐出筒114がそれぞれ設けられている。
【0037】
2つの吐出筒114は、各アーム筒113から導かれた液体WKを第1回転翼110が回転するように回転筒111の周方向に吐出する部品であり、各アーム筒113の軸方向に直交する方向に屈曲した略L字状の円筒体で構成されている。この場合、各吐出筒114は、液体WKを吐出する吐出口が回転筒111の水平な周方向に対して斜め下方に向くように設けられている。
【0038】
第2メイン導管115は、第1回転翼110を介して導かれる液体WKを第2回転翼130に導くための流路を形成する部品であり、第1メイン導管102と同様に、樹脂材または金属材を円筒状に形成した管体で構成されている。本実施形態においては、第2メイン導管115は、第1メイン導管102と同様に、塩化ビニル樹脂製のパイプ材で構成されている。また、第2メイン導管115は、第1メイン導管102よりも小さい内径に形成されている。この第2メイン導管115は、一方(図示下側)の端部が分岐筒112に接着固定されているとともに、他方(図示上側)の端部に第2回転連結部120が接続されている。
【0039】
第2回転連結部120は、図4に示すように、第2メイン導管115に対して第2回転翼130を回転自在に連結する部分であり、主として、筒状拡径部121、筒状縮径部122よび筒状流路123を備えて構成されている。筒状拡径部121は、前記筒状拡径部104と同様に、第2回転翼130から延びる回転筒131の先端部に取り付けられて筒状流路123を形成する部品であり、樹脂材または金属材を円筒状に形成して構成されている。より具体的には、筒状拡径部121は、嵌合部121a、傾斜面121bおよび対向部121cをそれぞれ備えて構成されている。
【0040】
嵌合部121aは、前記嵌合部104aと同様に、第2回転翼130の回転筒131の先端部の外側に嵌合する部分であり、直線状に延びる円筒状に形成されている。この場合、嵌合部121aは、第2回転翼130の回転筒131の先端部に対して接着剤で固着している。傾斜面121bは、前記傾斜面104bと同様に、第2回転翼130の回転筒131の外径および内径よりも大きな外径および内径にそれぞれ徐々に広がるテーパ状の部分である。
【0041】
対向部121cは、前記対向部104cと同様に、傾斜面121bが拡径した最大外径で直線状に延びる円筒状に形成されている。この対向部121cは、前記第2メイン導管115の先端部に突き当たる大きさおよび厚さで形成されている。本実施形態においては、対向部121cは、第2メイン導管115の外径よりも若干小さい外径に形成されている。なお、筒状拡径部121は、第2回転翼130の回転筒131の先端部に一体的に形成されていてもよい。
【0042】
筒状縮径部122は、前記筒状縮径部105と同様に、第2メイン導管115の先端部に取り付けられて筒状流路123を形成する部品であり、樹脂材または金属材を円筒状に形成して構成されている。より具体的には、筒状縮径部122は、筒状拡径部121の外周面に対して隙間を介して覆う大きさに形成された嵌合部122a、傾斜面122bおよび流出部122cをそれぞれ備えて構成されている。
【0043】
嵌合部122aは、前記嵌合部105aと同様に、第2メイン導管115の先端部の外側に嵌合する部分であり、直線状に延びる円筒状に形成されている。この場合、嵌合部122aは、第2メイン導管115の先端部に対して接着剤で固着している。この嵌合部122aは、筒状拡径部121の対向部121cを覆う長さに形成されている。
【0044】
傾斜面122bは、前記傾斜面105bと同様に、嵌合部122aの外径および内径がそれぞれ徐々に縮小するテーパ状の部分である。この場合、傾斜面122bは、筒状拡径部121の傾斜面121bと同じ傾斜角で形成されていてもよいが、互いに異なる傾斜角で形成されることによって両者が密着し合うことが防止されて筒状流路123を形成し易くすることができる。
【0045】
流出部122cは、前記流出部105cと同様に、第2回転翼130を安定的に回転させるための部分であり、傾斜面122bが縮径した最小内径で嵌合部122aに平行に延びる直線状の円筒状に形成されている。この場合、流出部122cは、嵌合部122aの図示上端部から張り出す長さに形成されている。
【0046】
筒状流路123は、液体吐出装置101から吐出されて第2メイン導管115内に導かれた液体WKの一部を外部に漏出させる流路を形成することで筒状拡径部121と筒状縮径部122とを互いに相対回転可能にするための部分であり、筒状拡径部121の外周面と筒状縮径部122の外周面との間に円筒状の隙間によって形成されている。本実施形態においては、筒状流路123は、筒状拡径部121の外周面と筒状縮径部122の外周面との間の隙間が2mmに設定されている。この第2回転連結部120は、前記第1回転連結部103と同様にして組み付けられる。なお、図4においては、液体WKの流れを破線矢印で示している。
【0047】
第2回転翼130は、第1回転翼110と同様に、液体吐出装置101から供給される液体WKを吐出することで水槽TK内の液体WKを撹拌するために部分であり、樹脂材または金属材を円筒状に形成した管体で構成されている。本実施形態においては、第2回転翼130は、塩化ビニル樹脂製で第1回転翼110を構成する管体よりも細いパイプ材で構成されている。この第2回転翼130は、主として、回転筒131、分岐筒132、アーム筒133および吐出筒134をそれぞれ備えて構成されている。
【0048】
回転筒131は、回転筒111と同様に、アーム筒133を支持するとともに第2回転連結部120を介して第2メイン導管115から導かれた液体WKを前記アーム筒133に導く部品であり、垂直方向に直線状に延びる円筒体で構成されている。この回転筒131は、一方(図示下側)の端部に前記筒状拡径部121が接続さされているとともに、他方(図示上側)の端部に分岐筒132が接続されている。
【0049】
分岐筒132は、回転筒131に導かれた液体WKを2方向にそれぞれ分岐させるための部品であり、回転筒131の軸線方向に直交する方向に直線状に延びる1つの流路が繋がってT字状に形成されている。すなわち、この分岐筒132には、回転筒131の軸線に直交する方向に2つのアーム筒133がそれぞれ接続されている。
【0050】
2つのアーム筒133は、分岐筒132から導かれた液体WKをそれぞれ回転筒131の径方向外側にそれぞれ導く部品であり、それぞれ水平方向に直線状に延びる円筒体で構成されている。この場合、これら2つのアーム筒133は、本実施形態においては互いに同じ長さおよび同じ内外径に形成されているとともに、前記アーム筒113よりも短い長さに形成されている。
【0051】
なお、2つのアーム筒133は、互いに異なる長さおよび/または異なる内外径に形成されていてもよいし、アーム筒113と同じ長さまたはアーム筒113よりも長い長さに形成されていてもよい。また、2つのアーム筒133は、本実施形態においては、互いに同軸上に設けられているが、各中心軸線が互いに異なる位置に設けられていてもよい。これら2つのアーム筒133の各先端部には、吐出筒134がそれぞれ設けられている。
【0052】
2つの吐出筒134は、各アーム筒133から導かれた液体WKを第2回転翼130が回転するように回転筒131の周方向に吐出する部品であり、各アーム筒133の軸方向に直交する方向に屈曲した略L字状の円筒体で構成されている。この場合、各吐出筒134は、液体WKを吐出する吐出口が回転筒131の水平な周方向に対して斜め下方に向くように設けられている。
【0053】
(液体撹拌装置100の作動)
次に、このように構成した液体撹拌装置100の作動について説明する。まず、作業者は、液体撹拌装置100を用意する。次に、作業者は、液体WKが貯留された水槽TK内に液体撹拌装置100を沈める。この場合、液体撹拌装置100は、第2回転翼130まで液体WK内に水没するように配置することが好ましいが、第2回転翼130が液体WKに浸漬されない状態であっても第1回転翼110が液体WK内に水没していれば液体WKを撹拌することはできる。
【0054】
この場合、液体撹拌装置100における第1回転連結部103および第2回転連結部120は、図5に示すように、第1回転翼110および第2回転翼130の重さによって筒状拡径部104,121が第1メイン導管102および第2メイン導管115の上端部上に載置した状態となる。すなわち、筒状流路106,123は、第1メイン導管102および第2メイン導管115の各内部の流路を遮断された状態となっている。
【0055】
次に、作業者は、液体撹拌装置100における液体吐出装置101を外部電源(例えば、100Vコンセント)に接続して液体吐出装置101の作動を開始させる。これにより、液体吐出装置101は、水槽TK内の底部から液体WKを吸引して第1メイン導管102に吐出する。第1メイン導管102内に供給された液体WKは、その一部が第1回転連結部103における筒状拡径部104の傾斜面104bに当たって筒状拡径部104全体を上方に押し上げる。
【0056】
これにより、筒状拡径部104は、第1メイン導管102の上端部から離隔して浮き上がった状態となるため、第1メイン導管102の内部の流路と筒状流路106とが連通した状態となる。したがって、第1メイン導管102内を流れる液体WKの一部は、筒状流路106に導かれる。なお、この筒状拡径部104の浮き上りは、筒状拡径部104は第1回転翼110、第2回転連結部120および第2回転翼130を支持しているため、これらの第1回転翼110、第2回転連結部120および第2回転翼130も上方に変位していることを意味する。
【0057】
筒状流路106内に導かれた液体WKは、筒状流路106内を図示上方の流れた後、流出部105cから外部に流出する。これにより、筒状拡径部104は、筒状縮径部105に直接接触することが防止されるため、筒状縮径部105に対して回転自在な状態となる。また、筒状拡径部104を押し上げた液体WKは、回転筒111を介して分岐筒112に流れた後、この分岐筒112によって一部が2つのアーム筒113にそれぞれ流れるとともに他の一部が第2メイン導管115に流れる。
【0058】
2つのアーム筒113にそれぞれ流れた液体WKは、吐出筒114からそれぞれ回転筒111の同心の周方向に吐出される。これにより、第1回転翼110は、液体WKを吐出しながら回転筒111を中心として回転する(図1における破線矢印参照)。この場合、第1回転連結部103は、吐出筒114の吐出口が斜め下方に向いていることで筒状拡径部104の上方への浮き上がりが促されるため筒状流路106への液体WKの供給が確保されるとともに、筒状流路106に流れる液体WKに筒状拡径部104が押し付けられることで第1回転翼110の回転を安定化させることができる。この第1回転翼110の回転動作および第1回転翼110から吐出される液体WKによって液体撹拌装置100は水槽TK内の液体WKを撹拌することができる。
【0059】
一方、分岐筒112を介して第2メイン導管115に導かれた液体WKは、第1メイン導管102内に導かれた液体WKと同様に、第2回転翼130を回転させる。具体的には、第2メイン導管115に導かれた液体WKは、その一部が第2回転連結部120における筒状拡径部121の傾斜面121bに当たって筒状拡径部121全体を上方に押し上げる。
【0060】
これにより、筒状拡径部121は、第2メイン導管115の上端部から離隔して浮き上がった状態となるため、第2メイン導管115の内部の流路と筒状流路123とが連通した状態となる。したがって、第2メイン導管115内を流れる液体WKの一部は、筒状流路123に導かれる。なお、この筒状拡径部121の浮き上りは、筒状拡径部121は第2回転翼130を支持しているため、この第2回転翼130も上方に変位していることを意味する。
【0061】
筒状流路123内に導かれた液体WKは、筒状流路123内を図示上方の流れた後、流出部122cから外部に流出する。これにより、筒状拡径部121は、筒状縮径部122に直接接触することが防止されるため、筒状縮径部122に対して回転自在な状態となる。また、筒状拡径部121を押し上げた液体WKは、回転筒131を介して分岐筒132に流れた後、この分岐筒132によって2つのアーム筒133にそれぞれ流れる。
【0062】
2つのアーム筒133にそれぞれ流れた液体WKは、吐出筒134からそれぞれ回転筒131と同心の周方向に吐出される。これにより、第2回転翼130は、液体WKを吐出しながら回転筒131を中心として回転する(図1における破線矢印参照)。この場合、第2回転翼130は、吐出筒134が第1回転翼110の吐出筒114とは反対方向に開口しているため、第1回転翼110とは反対方向に回転する。また、第2回転翼130は、第1回転翼110よりも内径が細く形成されることで吐出筒134からの液体WKの吐出力が強くなって第1回転翼110よりも速い周速度で回転する。
【0063】
また、第2回転連結部120は、前記第1回転連結部103と同様に、吐出筒134の吐出口が斜め下方に向いていることで筒状拡径部121の上方への浮き上がりが促されるため筒状流路123への液体WKの供給が確保されるとともに、筒状流路123に流れる液体WKに筒状拡径部121が押し付けられることで第2回転翼130の回転を安定化させることができる。
【0064】
この第2回転翼130の回転動作および第2回転翼130から吐出される液体WKによって液体撹拌装置100は水槽TK内における第1回転翼110よりも上層の液体WKを撹拌することができる。これにより、液体撹拌装置100は、水槽TK内の広範囲の液体WKを迅速に撹拌することができる。この場合、作業者は、水槽TK内に中和剤などの薬剤を投入した場合においては、投入した薬剤を迅速に撹拌して迅速かつムラなく中和反応させることができる。また、液体撹拌装置100は、流出部105c,122cからの液体WKの流出によっても第1回転連結部103および第2回転連結部120の周囲の液体WKを撹拌することができる。
【0065】
また、作業者は、水槽TK内の液体WKの撹拌作業中に水槽TK内に手や棒体などを挿入した場合にこれらの手や棒体が第1回転翼110および/または第2回転翼130の回転面内に位置してこれらに接触することがある。この場合、第1回転翼110および/または第2回転翼130は、吐出筒114,134からの液体WKの吐出力によって回転しているため、容易に回転が停止して手や棒体による作業を阻害することはない。
【0066】
次に、作業者は、水槽TK内の液体WKの撹拌作業を中断する場合においては、液体吐出装置101と外部電源との電気的な接続を切断して液体吐出装置101による液体WKの吸引および吐出を停止する。これにより、液体撹拌装置100は、第1回転翼110および第2回転翼130の回転が停止するとともに、筒状拡径部104,121がそれぞれ下降して第1メイン導管102および第2メイン導管115に突き当たりこれらと筒状流路106,123との連通状態を遮断する。そして、作業者は、水槽TK内の液体WK中から液体撹拌装置100を取り出すことで作業を終了することができる。
【0067】
上記作動説明からも理解できるように、上記実施形態によれば、液体撹拌装置100は、液体吐出装置101から供給される液体WKを導く第1メイン導管102および第2メイン導管115の軸方向における互いに異なる位置に第1回転翼110および第2回転翼130をそれぞれ備えているため、液体WKを広範囲に撹拌することができる。
【0068】
さらに、本発明の実施にあたっては、上記各実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。なお、下記各変形例において、上記実施形態と同様の構成部分については同じ符号を付して、その説明を省略する。
【0069】
例えば、上記各実施形態においては、液体吐出装置101は、人が持ち運びできる大きさの水中ポンプで構成した。しかし、液体吐出装置101は、水槽TK内または水槽TK以外の水槽から液体を吸引して水槽TK内に液体WKを吐出するように構成されていればよい。すなわち、液体吐出装置101が本発明に係る液体吐出手段に相当する。したがって、液体吐出手段は、例えば、水槽TK内に連通する配管と、この配管に繋がったポンプと、このポンプと水槽TK内とを連通させる配管とで構成することができる。
【0070】
また、上記実施形態においては、第2回転翼130は、第1回転翼110に対して反対方向に第1回転翼110よりも速い速度で回転するように構成した。しかし、第2回転翼130は、第1回転翼110に対して同じ方向に回転させてもよいし、第1回転翼110と同じ速度または遅い速度で回転するように構成することもできる。
【0071】
また、上記実施形態においては、第2回転翼130を構成する管体は、第1回転翼110を構成する管体の内径よりも細い内径に形成した。第2回転翼130を構成する管体は、第1回転翼110を構成する管体の内径と同じまたは太い内径に形成することもできる。
【0072】
また、上記実施形態においては、吐出筒114,134は、第1回転翼110および第2回転翼130の回転面に対して斜め下方に開口して形成されている。しかし、吐出筒114,134は、第1回転翼110および第2回転翼130を第1メイン導管102および第2メイン導管115の軸線周りの周方向に回転させることができる向きに形成されていればよい。したがって、吐出筒114,134は、第1回転翼110および第2回転翼130の回転面に対して平行または斜め上方に開口して形成することもできる。
【0073】
また、上記実施形態においては、液体撹拌装置100は、水槽TKの底部に配置して第1メイン導管102および第2メイン導管115が水槽TKの深さ方向に延びるように設置した。しかし、液体撹拌装置100は、水槽TKの底部に配置して第1メイン導管102および第2メイン導管115が水槽TKの深さ方向に直交する方向に延びるように第1メイン導管102および/または第2メイン導管115を屈曲させて構成して設置してもよいし、液体撹拌装置100自体を水槽TKの深さ方向に直交する方向に延びる向き(すなわち、横向きに)に設置することもできる。
【0074】
また、上記実施形態においては、液体撹拌装置100は、第1回転翼110および第2回転翼130の2つの回転翼を備えて構成した。しかし、液体撹拌装置100は、第1回転翼110および第2回転翼130に加えて3つ目またはそれ以上の回転翼を備えて構成することもできる。
【0075】
また、上記実施形態においては、第1回転翼110および第2回転翼130は、それぞれ2つずつのアーム筒113,133を互いに同軸上に設けて構成した。しかし、第1回転翼110および第2回転翼130は、それぞれ2つずつのアーム筒113,133を回転筒111,131の軸線方向における互いに異なる位置に設けて構成することができる。また、第1回転翼110および第2回転翼130は、それぞれ1つずつのアーム筒113,133を設けて構成することもできる。
【0076】
また、上記実施形態においては、液体撹拌装置100は、第1回転翼110および第2回転翼130を第1メイン導管102および第2メイン導管115に対して回転可能に支持するために第1回転連結部103および第2回転連結部120を備えて構成した。しかし、液体撹拌装置100は、第1回転翼110および第2回転翼130を第1メイン導管102および第2メイン導管115に対して回転可能に支持されていればよい。したがって、液体撹拌装置100は、第1回転翼110および第2回転翼130を第1メイン導管102および第2メイン導管115に対してベアリングを介して回転可能に支持するように構成することができる。すなわち、液体撹拌装置100は、第1回転連結部103および第2回転連結部120を省略して構成することができる。
【0077】
なお、第1回転連結部103および第2回転連結部120は、第1回転翼110および第2回転翼130を第1メイン導管102および第2メイン導管115に対して回転可能に支持するための構造である。したがって、第1回転連結部103および第2回転連結部120は、どちらか一方のみを備えて液体撹拌装置100を構成することができる。すなわち、液体撹拌装置100は、液体吐出装置101、第1メイン導管102、第1回転連結部103および第1回転翼110を備えて構成することができる。この場合、分岐筒112における第2メイン導管115の接続部分の開口部は塞ぐとよい。
【0078】
また、上記実施形態においては、第1回転連結部103および第2回転連結部120における筒状拡径部104,121および筒状縮径部105,122は、それぞれ傾斜面104b,121b,105b,122bを備えて構成した。しかし、筒状拡径部104,121および筒状縮径部105,122は、嵌合部104a,121aと対向部104c,121cとの間、および嵌合部105a,122aと流出部105c,122cとの間を内径および外径が段状に変化する段付き形状に形成して傾斜面104b,121b,105b,122bを省略して構成することもできる。
【0079】
また、上記実施形態においては、第1回転連結部103および第2回転連結部120は、筒状拡径部104,121が第1メイン導管102および第2メイン導管115の各先端部に突き当たるように構成した。しかし、第1回転連結部103および第2回転連結部120は、筒状拡径部104,121が第1メイン導管102および第2メイン導管115の各先端に突き当たらないように構成することもできる。例えば、図6に示すように、第1回転連結部103は、筒状縮径部105における傾斜面105bの図示下端部から第1メイン導管102が一体的に延びるように構成することができる。この場合、液体吐出装置101が液体WKを吸引しない停止状態においては、第1回転翼110が下降して筒状縮径部105上に当たって載置される。
【0080】
また、上記実施形態においては、液体撹拌装置100は、水槽TK内に設置した。しかし、液体撹拌装置100は、撹拌の対象となる液体WKが貯留されている場所に広く用いることができる。したがって、液体撹拌装置100は、例えば、プールやタンクのほか、池、湖沼、川または海で用いることもできる。また、液体WKについても、コンクリートの斫り作業に使用したアルカリ性の排水以外の各種液体であってもよいことは当然である。
【符号の説明】
【0081】
TK…水槽、WK…液体、
100…液体撹拌装置、101…液体吐出装置、102…第1メイン導管、103…第1回転連結部、104…筒状拡径部、104a…嵌合部、104b…傾斜面、104c…対向部、105…筒状縮径部、105a…嵌合部、105b…傾斜面、105c…流出部、106…筒状流路、
110…第1回転翼、111…回転筒、112…分岐筒、113…アーム筒、114…吐出筒、115…第2メイン導管、
120…第2回転連結部、121…筒状拡径部、121a…嵌合部、121b…傾斜面、121c…対向部、122…筒状縮径部、122a…嵌合部、122b…傾斜面、122c…流出部、123…筒状流路、
130…第2回転翼、131…回転筒、132…分岐筒、133…アーム筒、134…吐出筒。
【要約】
【課題】液体を広範囲に撹拌することができる液体撹拌装置を提供する。
【解決手段】液体撹拌装置100は、水中ポンプからなる液体吐出装置101を備えている。液体吐出装置101の吐出口には、パイプからなる第1メイン導管102を介して第1回転連結部103が接続されている。第1回転連結部103は、筒状拡径部104と筒状縮径部105とで筒状流路106を形成して第1回転翼110を回転自在な状態で支持している。第1回転翼110は、第1メイン導管102の軸線に直交する方向に延びる2つのアーム筒113の各先端部に吐出筒114がそれぞれ設けられている。第1回転翼110の上方には、第2メイン導管115および第2回転連結部120を介して第2回転翼130が回転可能な状態で設けられている。
【選択図】 図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6