(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記従来の泡噴出容器では、不使用時等において容器が横向きや倒立姿勢にされると、吐出流路や戻し流路を通して容器本体内の内溶液がノズルから漏れ出すおそれがある。そこで、容器が横向きや倒立姿勢にされても内容液がノズルから漏れ出すことを防止するために、ノズルヘッドの回動操作によって不使用時にノズルと容器本体との間の流路を閉塞可能な構成とすることが考えられる。
【0008】
しかしながら、このような構成では、ノズルと容器本体との間の流路が閉塞された状態において、温度上昇等の何らかの要因によって容器本体内の内圧が上昇すると、当該内圧により戻し流路は逆止弁により閉塞されることから、使用に際してノズルヘッドを回動操作してノズルと容器本体との間の流路を開放したときに、内圧によって容器本体内の内溶液が吐出流路に圧送され、ノズルの先端から外部に漏れ出るおそれがあった。
【0009】
そこで、鋭意研究を進めた結果、発明者は、次のような構成を着想するに至った。すなわち、ノズルヘッドを口部に装着された装着キャップに対してねじ係合させてその回動操作に伴って上下動可能に構成するとともに、混合室を内部に有し逆止弁を保持する区画部材をその上部においてノズルヘッドに固定し、ノズルヘッド及び区画部材の上方への移動時に、ノズルと容器本体との間の流路を開放するとともに逆止弁を装着キャップの内面に着座させるという構成である。
【0010】
しかしながら、このような構成でも、さらに次のような問題が生じ得ることが判明した。すなわち、装着キャップに対してノズルヘッドをスムーズに回動させるために、雄ねじ部と雌ねじ部の間に形成された軸線方向の隙間に起因して、装着キャップとノズルヘッドの間でがたつきが発生し、このがたつきによって、逆止弁の位置が安定せず、適切に作用しない虞があった。具体的には、容器本体を圧搾した際に収容空間内の空気が戻し流路を介して抜けてしまい、内容物が吐出され難くなったり、内容物を吐出後、圧搾された容器本体が復元する際に、逆止弁が開かず、空気を十分に取り込めずに容器本体が復元しなくなったりする虞がある。
【0011】
本発明は、このような点を解決することを課題とするものであり、その目的は、不使用時にノズルと容器本体との間で流路を閉塞可能な構成としても、使用に際して当該流路が開放されたときに容器本体内の内溶液が内圧によってノズルから外部に漏れ出すことがなく、さらに、内容物の吐出時及び容器本体の復元時に戻し流路を開閉する逆止弁が適切に機能する泡噴出容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の泡噴出容器は、可撓性を有する胴部を有し、内部が内容液の収容空間となる容器本体と、
内容液の流通口を有し、前記容器本体の口部に装着される装着キャップと、
前記装着キャップの雄ねじ部に係合する雌ねじ部を有するとともに前記流通口に連通するノズル及び開閉蓋部を有し、前記開閉蓋部が前記流通口を閉塞する閉位置と前記開閉蓋部が前記流通口の上方に離れて該流通口を開放する開位置との間で回動可能なノズルヘッドと、
前記ノズルヘッドに固定され、前記流通口に連通する混合室を内部に有するとともに該混合室を前記収容空間に連通させる空気導入口および液導入口を有する区画部と、
前記装着キャップと前記区画部との間に区画形成され、前記流通口を前記収容空間に連通させる戻し流路と、
前記区画部に固定される筒状の保持部、及び、該保持部から径方向外側に延びる環状且つ膜状に形成されて前記ノズルヘッドが開位置のときには前記装着キャップの内面に当接して前記戻し流路を閉塞し、前記ノズルヘッドが閉位置のときには該内面から離れるシール膜部を有する逆止弁と、を備え、
前記雄ねじ部は、前記ノズルヘッドが開位置のときに前記雌ねじ部のねじ山を挟んで位置する一対のねじ山の側面における少なくとも一方の側面から膨出する膨出部を有することを特徴とするものである。
【0013】
なお、本発明の泡噴出容器にあっては、前記ノズルヘッドが開位置のときに、前記シール膜部の外周縁が前記装着キャップの下向き段差面に当接することが好ましい。
【0014】
また、本発明の泡噴出容器にあっては、前記膨出部が、前記雌ねじ部のねじ山を挟んで位置する一対のねじ山の両側の側面に設けられていることが好ましい。
【0015】
また、本発明の泡噴出容器にあっては、前記雄ねじ部は、互いに周方向に180度ずれて設けられた一対の二条ねじ部で構成されており、
前記雌ねじ部が、一対の前記二条ねじ部にそれぞれ係合する一対の係合突起で構成されていることが好ましい。
【0016】
また、本発明の泡噴出容器にあっては、前記膨出部が、少なくとも前記二条ねじ部の先端部近傍に設けられていることが好ましい。
【0017】
また、本発明の泡噴出容器にあっては、前記膨出部が、少なくとも前記二条ねじ部の後端部近傍に設けられていることが好ましい。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、ノズルヘッドが閉位置となると、逆止弁のシール膜部の外周縁が装着キャップの内面から離れて容器本体の収容空間が流通口と連通するようにしたので、容器本体内の内圧上昇状態においてノズルヘッドが閉位置から開位置に向けて回動操作されたときに、容器本体内の内圧を戻し流路から外部に逃がすことができる。したがって、不使用時にノズルと容器本体との間で流路を閉塞可能な構成としても、使用に際して当該流路が開放されたときに容器本体内の内溶液が内圧によってノズルから外部に漏れ出すことを防止することができる。
【0019】
さらに、本発明によれば、ノズルヘッドが開位置のときに雌ねじ部のねじ山を挟むよう雄ねじ部に膨出部を設けたことにより、装着キャップとノズルヘッドの間の上下方向のがたつきが低減して逆止弁の位置が安定する。したがって、逆止弁を適切に機能させることができる。すなわち、容器本体を圧搾した際に収容空間内の空気が戻し流路を介して抜けてしまい内容物が吐出され難くなったり、内容物を吐出後、圧搾された容器本体が復元する際に逆止弁が開かずに、容器本体が復元しなくなったりすることを防止することができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照して本発明をより詳細に例示説明する。
【0022】
図1(a)、(b)に示す本発明の一実施の形態である泡噴出容器1は、スクイズフォーマーとも呼ばれるものであり、シャンプー、ボディソープ、ハンドソープ、洗顔料、洗口剤等の各種液体洗浄剤や整髪剤等の内容液を収容するとともに、当該内容液を泡状に噴出させるものである。
【0023】
図1(a)、(b)に示すように、この泡噴出容器1は容器本体10を備えている。容器本体10は上部を開口させた円筒状の口部11とこの口部11に連なる楕円筒状の胴部12とを備え、その内部は内容液を収容する収容空間Sとなっている。この容器本体10は合成樹脂製となっており、その胴部12は可撓性を有し、胴部12を圧搾(スクイズ)することにより収容空間Sを減容させ、容器本体10内を加圧することができるようになっている。
【0024】
図1、2に示すように、容器本体10の口部11には装着キャップ20が装着されている。例えば樹脂製とされるこの装着キャップ20は、容器本体10の口部11を取り囲む円筒状の周壁21を有し、この周壁21の内周面に設けられた係合凸部21aが口部11の外周面に設けられた口部係合部11aに係合することにより、容器本体10の口部11に抜け止め保持(固定)されている。周壁21の内側にはフランジ部22を介してシール筒部23が同軸且つ一体に設けられ、このシール筒部23が口部11の内側に嵌め込まれることで、装着キャップ20と口部11との嵌合部分がシールされて当該部分からの液漏れが防止されるようになっている。
【0025】
図示する場合では、装着キャップ20を容器本体10の口部11に打栓によりアンダーカット係合で固定させる構成としているが、装着キャップ20を容器本体10の口部11にねじ係合により固定させる構成とすることもできる。
【0026】
シール筒部23はフランジ部22に対して上方側にまで延びており、その上端部には径方向内側に向けて延びる段差部24が一体に設けられている。この段差部24の図中下方側を向く内面は、平坦且つ環状に形成された下向き段差面24aとなっている。
【0027】
段差部24の内周縁には、当該内周縁から図中上方に向けて延びるストッパ用筒部25が一体に設けられている。ストッパ用筒部25は円筒状に形成され、周壁21と同軸に配置されている。
【0028】
ストッパ用筒部25の内側には流通筒部26が一体に設けられている。流通筒部26はストッパ用筒部25と同軸の円筒状に形成され、フランジ状に拡径した下端部においてストッパ用筒部25の内周面に連結されている。流通筒部26の内側は内容液の流通口26aとなっており、この流通口26aは容器本体10の口部11つまり収容空間Sに連通している。したがって、容器本体10の収容空間S内の内容液や空気は、この流通口26aを通って装着キャップ20の外部に向けて流出することができ、また、外部の空気や後述するノズル36内に残った内容液は、この流通口26aを通って装着キャップ20の外部から収容空間S内に向けて流入することができる。
【0029】
装着キャップ20にはノズルヘッド30が装着されている。例えば樹脂製とされるノズルヘッド30は、装着キャップ20の周壁21を取り囲む円筒状のカバー筒部31と、カバー筒部31にフランジ部32を介して連なる上筒部33とを備えたキャップ状に形成されている。
【0030】
このノズルヘッド30は、装着キャップ20にねじ係合(螺合)している。本実施形態では、装着キャップ20の周壁21の外周面に、互いに周方向に180度ずれて一対の二条ねじ部28が雄ねじ部として設けられ、ノズルヘッド30のカバー筒部31の内周面に互いに周方向に180度ずれて一対の突起対34が雌ねじ部として設けられ、これらの突起対34がそれぞれ対応する二条ねじ部28に係合している。なお、装着キャップ20に設ける雄ねじ部は、二条ねじに限定されるものではなく、一条ねじや他の多条ねじとしてもよいし、これに対応する雌ねじ部は、本実施形態の突起対34に限定されず、雄ねじ部の形状に応じて適宜変更可能である。
【0031】
図4、5に示すように、一対の二条ねじ部28は、それぞれ周壁21の外周面に沿って周方向に180度の角度範囲で延びる上側ねじ山28aと下側ねじ山28bとを備えており、上側ねじ山28aのねじ込み側の先端部から約90度の範囲の部分は周方向に沿って水平に延びる形状に形成されて下側ねじ山28bのねじ込み側の先端部に接続されている。
【0032】
一方、
図1に示すように、カバー筒部31の内周面に設けられる突起対34は、それぞれ上下方向に所定の間隔を空けて並ぶ一対の係合突起34a、34bを備え、各突起対34の上側の係合突起34aはそれぞれ対応する二条ねじ部28の上側ねじ山28aに上側から係合し、各突起対34の下側の係合突起34bはそれぞれ対応する二条ねじ部28の下側ねじ山28bに下側から係合するようになっている。
【0033】
このような構成により、ノズルヘッド30は装着キャップ20にねじ係合により装着されて装着キャップ20に対して回動可能となっているが、その回動範囲はストッパ機構により90度の角度範囲に規制されている。ストッパ機構は、例えば以下の構成とすることができる。
【0034】
図1(a)、
図3(a)に示すように、装着キャップ20のストッパ用筒部25の外周面には、一対のストッパ対29が互いに周方向に180度ずれて設けられている。これらのストッパ対29は、それぞれ周方向に約90度の間隔を空けて配置される一対のストッパ片29aを備えている。一方、ノズルヘッド30の上筒部33の内周面には、一対のストッパ対29に対応する一対の凸片35が一体に設けられている。これらの凸片35は互いに周方向に180度ずれて設けられ、それぞれ上筒部33の内周面から径方向内側に向けて突出して対応するストッパ対29の一対のストッパ片29aの間の移動範囲Rに配置されている。
【0035】
ノズルヘッド30が装着キャップ20に対して回動すると各凸片35が移動範囲R内を周方向に沿って移動し、ノズルヘッド30が装着キャップ20に対して最も締め込まれた閉位置になると各凸片35が対応するストッパ対29の一方のストッパ片29aに当接してそれ以上の回転が規制される。反対に、ノズルヘッド30が閉位置から緩み方向に90度回転して開位置に達すると、各凸片35がそれぞれ対応するストッパ対29のもう一方のストッパ片29aに当接してノズルヘッド30のそれ以上の回転が規制される。
【0036】
このような構成により、ノズルヘッド30は、容器本体10の口部11の軸心を中心として、装着キャップ20に対して
図1(a)、(b)に示す開位置と
図3(a)、(b)に示す閉位置との間の90度の角度範囲で回動可能となっている。なお、ノズルヘッド30は装着キャップ20にねじ係合により装着されているので、閉位置と開位置との間で回動すると装着キャップ20に対して上下に移動することになる。
【0037】
各ストッパ片29aの移動範囲Rとは反対側を向く外面は、それぞれ移動範囲Rから離れるに連れて縮径する湾曲面29bに形成されている。したがって、各凸片35を、各ストッパ片29aの間の移動範囲Rではなく、各ストッパ片29aの湾曲面29bと湾曲面29bとの間の範囲に配置し、この状態で各突起対34を対応する二条ねじ部28に係合させてノズルヘッド30を締め込み方向に回転させることで、各凸片35をストッパ片29aの湾曲面29bに沿って移動させて当該ストッパ片29aを乗り越えさせ、対応するストッパ対29の移動範囲Rに配置することができる。このとき、装着キャップ20のノズル装着筒部27の外周面に設けられるねじ部を、互いに周方向に180度ずれて配置される一対の二条ねじ部28で構成するようにしたので、上側の係合突起34aが上側ねじ山28aの水平な先端部分に当接する位置にまでノズルヘッド30を装着キャップ20に対して下方に落とし込むことで、各凸片35をストッパ片29aに係合可能な位置としてからノズルヘッド30を回動させることができる。
【0038】
ノズルヘッド30にはノズル36が一体に設けられている。ノズル36は、楕円筒状に形成されてノズルヘッド30の内部に設けられた隔壁37の上側からカバー筒部31に対して側方に向けて突出している。隔壁37には一対の流出入孔38が設けられ、ノズル36はこれらの流出入孔38を介して装着キャップ20の流通口26aに連通している。なお、図示する場合では、隔壁37に一対の流出入孔38が設けられるが、その個数や形状は種々変更することができる。
【0039】
また、ノズルヘッド30の隔壁37の下面には円筒状の開閉蓋部39が一体に設けられている。開閉蓋部39は流通筒部26の内径に対応した外径を有する円筒状に形成され、ノズルヘッド30が閉位置とされると流通筒部26の内側に嵌合して流通口26aを閉塞し、ノズルヘッド30が開位置とされると流通口26aに対して上方に離れて流通口26aを開放する。つまり、ノズルヘッド30は、開閉蓋部39が流通口26aを閉塞する閉位置と、開閉蓋部39が流通口26aの上方に離れて該流通口26aを開放する開位置との間で回動可能となっている。
【0040】
なお、符号40は、流通筒部26の外周面に嵌合して、流通口26aとノズル36との間の流路を閉塞するシール筒部である。
【0041】
ノズルヘッド30の隔壁37の開閉蓋部39の内側部分には、開閉蓋部39と同軸に接続筒部41が一体に設けられ、この接続筒部41の内側には、下方に延びる区画部50が固定されている。図示する場合では、区画部50は樹脂製とされるとともに上下2分割構造の筒状に形成され、その上端において接続筒部41に嵌合固定されている。これにより、区画部50は、ノズルヘッド30が開位置と閉位置との間で回動すると、ノズルヘッド30とともに回動するとともにノズルヘッド30とともに装着キャップ20に対して上下に移動する。
【0042】
区画部50の内部の下側には、混合室51が区画形成されている。また、区画部50の底部には、混合室51と収容空間Sとを連通する空気導入口52と液導入口53とが設けられている。図示する場合では、区画部50の底部には、下方に向けて突出する差込み筒部54が一体に設けられ、この差込み筒部54に差し込まれて容器本体10の底部にまで延びるチューブ55により液導入口53が構成されている。
【0043】
また、差込み筒部54の内周面には複数の縦溝が周方向に間隔を空けて設けられ、これらの縦溝によって差込み筒部54の内周面とチューブ55の外周面との間に設けられた隙間で空気導入口52が構成されている。このような構成により、収容空間S内の内容液はチューブ55で構成された液導入口53から混合室51に導入され、収容空間S内の空気は空気導入口52を介して混合室51に導入される。なお、液導入口53から導入された内容液と空気導入口52から導入された空気は、底部の内面に上方に向けて突出して設けられた円錐形状の取入れ部56の側方の開口から混合室51内に導入され、当該混合室51内で混合される。
【0044】
区画部50の内部には、混合室51の上側(下流側)に位置する一対の発泡部材57が装着されている。これらの発泡部材57としては、例えばリングの端面にメッシュを固定した構成のものが用いられ、互いのメッシュを逆側に向けた姿勢で本体部の内側に嵌合固定されている。なお、発泡部材57としてはリングとメッシュを備えた構造のものに限らず、例えば、スポンジ又は多孔質成型品(焼結体)等、内容液の種類等に応じて種々の構成のものを用いることができる。また、発泡部材57の設置個数も内容液の種類等に応じて種々変更することができる。
【0045】
区画部50の発泡部材57の上方側における内部は混合室51に連なる吐出流路58となっており、この吐出流路58を流通口26aに連通させるために区画部50には一対の吐出孔59が設けられている。つまり、混合室51は吐出流路58と吐出孔59とを介して流通口26aに連通し、さらに流通口26aと流出入孔38とを介してノズル36に連通している。なお、区画部50に設けられる吐出孔59や取入れ部56の開口の個数や形状は種々変更することができる。
【0046】
容器本体10の収容空間Sとノズル36との間には、吐出流路58とは別に、装着キャップ20の内周面と区画部50の外周面との間に区画形成される戻し流路60が設けられている。つまり、流通口26aはこの戻し流路60を介して容器本体10の収容空間Sに連通している。
【0047】
戻し流路60には、逆止弁61が設けられている。この逆止弁61は区画部50の外周面に嵌合固定される円筒状の保持部61aと、この保持部61aの外周面から径方向外側に延びる環状且つ膜状のシール膜部61bとを有している。
【0048】
シール膜部61bは、ノズルヘッド30が開位置にあるときに、その外周縁において装着キャップ20の下向き段差面(内面)24aに下方側から弾性的に当接する。つまり、逆止弁61は、ノズルヘッド30が開位置にあるときには逆止弁として機能して、容器本体10の収容空間Sから戻し流路60を通した流通口26aへの空気や内容液の流れを規制するとともに、流通口26aから戻し流路60を通した容器本体10の収容空間Sへの空気や内容液の流れを許容するように作動する。
【0049】
一方、ノズルヘッド30が閉位置とされると、逆止弁61はノズルヘッド30とともに装着キャップ20に対して下方へ移動して、
図3(b)に示すように、シール膜部61bの外周縁は下向き段差面24aから離れ、逆止弁61は機能しない状態とされる。つまり、ノズルヘッド30が閉位置とされると、容器本体10の収容空間Sは戻し流路60を通して流通口26aに連通された状態とされる。
【0050】
次に、このような構成の泡噴出容器1の使用方法について説明する。
【0051】
図1(b)に示すように、ノズルヘッド30を開位置とすることで、開閉蓋部39が流通口26aの上方に離れて流通口26aが開放されるとともに逆止弁61のシール膜部61bの外周縁が装着キャップ20の下向き段差面24aに当接して、泡噴出容器1は胴部12の圧搾(スクイズ)による内容液の噴出が可能な使用可能状態とされる。なお、ノズルヘッド30が開位置のときには、
図1(a)に示すように、ノズル36は楕円断面の容器本体10の胴部12の短径に沿った方向に向けられる。
【0052】
ノズルヘッド30が開位置とされた状態で、容器本体10の胴部12を圧搾することでノズル36から泡状の内容液を噴出させることができる。つまり、胴部12が圧搾されると、容器本体10の収容空間Sに収容された内容液が液導入口53(チューブ55)を介して混合室51に導入されるとともに容器本体10内の空気が空気導入口52を介して混合室51に導入され、混合室51の内部で内容液が空気と混合されて発泡し、泡状化される。また、泡状化された内容液は、発泡部材57を通過することで、さらに発泡、整泡されながら吐出流路58を通って吐出孔59から流通口26aに吐出される。そして、流通口26aに吐出された泡状の内容液は流出入孔38を通ってノズル36に達し、ノズル36の開口から外部に泡状に噴出される。
【0053】
内容液の噴出後に胴部12の圧搾が解除されると、胴部12が元の形状に復元することで容器本体10内に負圧が発生し、この負圧により逆止弁61が開いてノズル36の内部に残留した内容液がノズル36から吸引される空気(外気)とともに戻し流路60を介して容器本体10の内部に引き込まれる。サックバック機能とも呼ばれるこのような機能により、噴出後にノズル36の内部に残留した内容液を空気とともに容器本体10内に向けて引き込んで、当該内容液がノズル36の開口から外部へ垂れ落ちることを防止することができる。
【0054】
一方、不使用時等においては、
図3(a)、(b)に示すように、ノズルヘッド30を装着キャップ20に対して90度回動させて閉位置とすることにより、開閉蓋部39によって流通口26aを閉塞してノズル36と容器本体10の収容空間Sとの連通を遮断し、この泡噴出容器1を使用不能状態とすることができる。なお、ノズルヘッド30が閉位置のときには、ノズル36は楕円断面の容器本体10の胴部12の長径に沿った方向に向けられる。
【0055】
このように、この泡噴出容器1では、ノズルヘッド30を開位置から閉位置にまで回動させる簡単な操作で、この泡噴出容器1を使用不能状態として、不使用時等において胴部12が不意に圧搾される等しても、容器本体10内の内容液がノズル36を通して外部に漏れ出すことを確実に防止することができる。
【0056】
ところで、上記のように、泡噴出容器1は、ノズルヘッド30を閉位置とすることにより開閉蓋部39によって流通口26aを閉塞可能な構成であるので、流通口26aが閉じられた状態で容器本体10が気温の上昇等により温められると、容器本体10内の内圧が上昇する場合がある。しかしながら、この泡噴出容器1では、以下のように当該内圧を外部に逃がすことができる。つまり、ノズルヘッド30が開位置から閉位置に向けて回動されると、ノズルヘッド30とともに逆止弁61が装着キャップ20に対して下方に移動し、そのシール膜部61bの外周縁が装着キャップ20の下向き段差面24aから離れて、容器本体10の収容空間Sが戻し流路60を通して流通口26aに連通される。これにより、容器本体10内の内圧上昇状態において、使用のためにノズルヘッド30が閉位置から開位置に向けて回動操作されたとしても、ノズルヘッド30が閉位置と開位置との間にあるときには、開閉蓋部39が流通口26aの上方に離れて流通口26aが開放されるとともに逆止弁61のシール膜部61bの外周縁が装着キャップ20の下向き段差面24aから離れた状態となって、容器本体10内の内圧を戻し流路60から外部に逃がすことができる。したがって、容器本体10内の内圧上昇状態においてノズルヘッド30を閉位置から開位置に向けて回動操作しても、容器本体10内の内圧を戻し流路60から外部に逃がすことで、収容空間Sに収容された内溶液が内圧によって押されて混合室51、吐出流路58、吐出孔59および流通口26aを通してノズル36に圧送され、ノズル36から外部に漏れ出すことを防止することができる。
【0057】
一方、この泡噴出容器1を再度使用状態にする際には、ノズルヘッド30を閉位置から開位置に回動させるだけの簡単な操作で、この泡噴出容器1を使用可能状態に切り替えることができる。このとき、ノズルヘッド30が閉位置から開位置にまで達すると、
図1(b)に示すように、逆止弁61のシール膜部61bの外周縁が装着キャップ20の下向き段差面24aに当接し、容器本体10内の圧力の戻し流路60から外部への逃げ出しが逆止弁61により規制される。したがって、胴部12の圧搾により収容空間Sに収容された内容液を混合室51、吐出流路58、吐出孔59および流通口26aを通してノズル36に圧送して、ノズル36から泡状に外部に噴出させることができる。
【0058】
ここで、本実施形態では、
図1(b)に示すノズルヘッド30の開位置において、係合突起34bを挟み込む両側の二条ねじ部28のねじ山の側面に、膨出部を設けている。具体的には、
図4、5にも示すように下側ねじ山28bの先端部近傍における下方を向く側面から、対向する上側ねじ山28aに向けて膨出する第1膨出部42が設けられており、第1膨出部42に対向する上側ねじ山28aの側面から、第1膨出部42を設けた下側ねじ山28bの側面に向けて膨出する第2膨出部43が設けられている。
図1(b)の部分拡大図である
図2に示すように、ノズルヘッド30の開位置において、第1膨出部42と第2膨出部43の間に係合突起34bを挟み込む構成としている。
【0059】
ここで、通常、ねじ係合する雄ねじ部と雌ねじ部の間には、軸線方向に隙間が設けられており、これにより、摩擦等に起因する回動時の抵抗力を低減し、スムーズに回動するようにしている。そして、この軸線方向の隙間により、ねじ係合する部材間では軸線方向にがたつきが生じ易い。本実施形態では、逆止弁61が区画部50を介してノズルヘッド30に固定されているため、ノズルヘッド30と装着キャップ20の間で軸線方向(上下方向)にがたつきが大きいと、ノズルヘッド30の開位置において逆止弁61のシール膜部61bと、装着キャップ20の下向き段差面24aとの間の相対的な位置関係が不安定になる虞がある。そして、シール膜部61bが下向き段差面24aに強く当接し過ぎていると、内容物を吐出後、圧搾された容器本体10が復元する際に、シール膜部61bが開き難くなり、戻し流路60から空気を十分に取り込めずに容器本体10が復元しなくなる虞がある。一方、シール膜部61bと下向き段差面24aの間に隙間が生じると、容器本体10をスクイズした際に収容空間S内の空気が戻し流路60を介して抜けてしまい、内容物が吐出され難くなる虞がある。
【0060】
そこで、本実施形態の泡噴出容器1においては、ノズルヘッド30の開位置においてノズルヘッド30の係合突起34b(ねじ山)を挟む、装着キャップ20の下側ねじ山28bと上側ねじ山28aの側面にそれぞれ第1膨出部42と第2膨出部43を設けることにより、軸線方向の隙間を小さくしてがたつきを低減している。これにより、装着キャップ20の開位置において、装着キャップ20とノズルヘッド30の間の上下方向のがたつきが低減するため、逆止弁61のシール膜部61bと、装着キャップ20の下向き段差面24aとの相対的な位置が安定し易くなり、逆止弁61が所期した通りの性能を発揮することができる。
【0061】
なお、本実施形態の装着キャップ20には、ノズルヘッド30が閉位置にあるときに、係合突起34bを挟み込んで軸線方向のがたつきを防止するための第3膨出部44と、補助凸部45が設けられている(
図4、5参照)。これにより、ノズルヘッド30の閉位置における装着キャップ20とノズルヘッド30の相対的な位置関係が安定するため、流通口26aを閉塞する開閉蓋部39のシール性を高めることができる。
【0062】
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【0063】
例えば、区画部50に設けられる空気導入口52や液導入口53の構成等は、その機能を有するものであれば、種々の構成のものとするができる。