(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
塩類またはイオンを含む添加剤を地熱熱水の一部へ添加しながら、または前記地熱熱水の一部へ添加した後、冷却して、析出した過飽和シリカを含むシード液を得るシード形成工程と、
前記地熱熱水の別の一部と前記シード液とを混合してシリカの粒径を成長させ、その後濾過・濃縮することで、濾液および粒径が成長したシリカ粒子を含む高濃度シリカゾルを得る粒子成長・濃縮工程と、
前記濾液を逆浸透膜を用いて濾過し、濃縮塩含有液および精製水を得るRO処理工程と
を備え、前記粒子成長・濃縮工程において、前記地熱熱水の別の一部を前記塩類またはイオンを含む添加剤の代わりに、および/もしくは同時に使用して、前記シード液とする共に、成長したシリカゾルに前記精製水も混合する、地熱熱水を利用したシリカの製造方法。
前記添加剤が、シリカの溶解度を低下させる金属酸化物、そのイオン、および陰イオンからなる群から選ばれる少なくとも1つを含む、請求項1または2に記載のシリカの製造方法。
前記シード形成工程において、前記地熱熱水を、前記地熱熱水またはその採取地の温度をXとした場合、{X−{(X/100―1)×100}}℃以下に冷却する、請求項1〜5のいずれかに記載のシリカの製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来法では核生成、粒子成長、濃縮が同時になされるため、品質に安定性がなかった。また、シリカが凝集したり、過飽和度の制御が困難なために粒子径分布が大きくなったり、濃縮すると増粘する場合があった。また、シリカを高濃度化することは困難であった。
【0005】
本発明は上記のような課題を解決することを目的とする。
すなわち、本発明は、核生成と粒子成長とが分離することで、シリカの粒子成長を促すために、シリカ粒子の凝集を防止し、粒径が比較的均一となり、濾過膜が閉塞し難いために濾水の通過速度の低下速度を低減でき、さらに、逆浸透膜を用いた濾過によって得られた精製水を粒子成長、濃縮工程において用いることで、塩類が低減化された高濃度のコロイダルシリカが得られるシリカの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は上記課題を解決するため鋭意検討し、本発明を完成させた。
本発明は以下の(1)〜(6)である。
(1)塩類またはイオンを含む添加剤を地熱熱水の一部へ添加しながら、または前記地熱熱水の一部へ添加した後、冷却して、析出した過飽和シリカを含むシード液を得るシード形成工程と、
前記地熱熱水の別の一部と前記シード液とを混合してシリカの粒径を成長させ、その後濾過することで、濾液および粒径が成長したシリカ粒子を含む高濃度シリカゾルを得る粒子成長・濃縮工程と、
前記濾液を逆浸透膜を用いて濾過し、濃縮塩含有液および精製水を得るRO処理工程と、
を備え、前記粒子成長・濃縮工程において、前記地熱熱水の別の一部と前記シード液と共に前記精製水も混合する、地熱熱水を利用したシリカの製造方法。
(2)前記濃縮塩含有液を前記添加剤として用いる、上記(1)に記載のシリカの製造方法。
(3)前記添加剤が、シリカの溶解度を低下させる金属酸化物、そのイオン、および陰イオンからなる群から選ばれる少なくとも1つを含む、上記(1)または(2)に記載のシリカの製造方法。
(4)前記添加剤が、Na、Ca、Mg、Al、Ti、Si、ClおよびSO
4からなる群から選ばれる少なくとも1つを含む、上記(1)〜(3)のいずれかに記載のシリカの製造方法。
(5)前記粒子成長・濃縮工程において、分画分子量4000〜10万の範囲の限外濾過膜を用いて濾過する、上記(1)〜(4)のいずれかに記載のシリカの製造方法。
(6)前記シード形成工程において、前記地熱熱水を、前記地熱熱水またはその採取地の温度をXとした場合、{X−{(X/100−1)×100}}℃以下に冷却する、上記(1)〜(5)のいずれかに記載のシリカの製造方法。
【0007】
[従来技術との比較]
従来プロセスでは、核生成と粒子成長が同時に起こることや塩類が多い系で濃縮されたりすることから、シリカの凝集し易く、減濾過膜の入口及び膜面にシリカが堆積して、逆洗しても除去できなくなるために、濾水の透過速度が低下し、最終的には、膜閉塞が起きる。
従って、本発明のように均一なシリカ粒子に成長すると、膜面に堆積したシリカが、逆洗で容易に除去できるために、濾水の透過速度を高く、あるいは高い状態を維持し、長期間にわたる使用に耐えられる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、核生成と粒子成長とが分離することでシリカ粒子の成長を促し、凝集を防止し、粒径が比較的均一となり、濾過膜が閉塞し難いために濾水の通過速度を増加でき、さらに、逆浸透膜を用いた濾過によって得られた精製水を粒子成長において用いることで、塩類が低減化された高濃度のコロイダルシリカが得られるシリカの製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明について説明する。
本発明は、塩類またはイオンを含む添加剤を地熱熱水の一部へ添加しながら、または前記地熱熱水の一部へ添加した後、冷却して、析出した過飽和シリカを含むシード液を得るシード形成工程と、前記地熱熱水の別の一部と前記シード液とを混合してシリカの粒径を成長させ、その後濾過することで、濾液および粒径が成長したシリカ粒子を含む高濃度シリカゾルを得る粒子成長、濃縮工程と、前記濾液を逆浸透膜を用いて濾過し、濃縮塩含有液および精製水を得るRO処理工程と、を備え、前記粒子成長、濃縮工程において、前記地熱熱水の別の一部と前記シード液と共に前記精製水も混合する、地熱熱水を利用したシリカの製造方法である。
このようなシリカの製造方法を、以下では「本発明の製造方法」ともいう。
【0011】
本発明の製造方法について
図1を用いて説明する。
図1は、本発明の製造方法の好適例を行うことができる、シリカの製造装置20(以下、単に「装置20」ともいう)である。
図1に示すように装置20は、シードタンク12、粒子成長タンク22,濃縮タンク24,29、濾過装置25,30およびRO膜18を有する。
【0012】
装置20では、地熱熱水1を処理する。地熱熱水1は例えば従来公知のものであってよく、例えば温度が60〜100℃程度であり、シリカを0.04〜0.15質量%含み、さらにイオン(金属イオン又は陰イオン(例えば、Na、Ca、Mg、Al、Ti、Si、ClおよびSO
4))を、合計で0.05〜1質量%含むものが挙げられる。
【0013】
装置20では、地熱熱水1の一部(1a)へ添加剤2を添加する。添加剤2は塩類またはイオン(金属イオンもしくは陰イオン)を含むものであり(もちろん両方を含んでもよい)、地熱熱水1の一部(1a)に含まれるシリカ成分を析出させたり、凝集させたりする機能を有する。添加剤2を添加することで地熱熱水1に含まれる塩濃度が上昇するとシリカの溶解度が下がり(シリカの過飽和度が上昇して)シリカが析出しやすくなる。
【0014】
添加剤2はNa、Ca、Mg、Al、Ti、Si、ClおよびSO
4からなる群から選ばれる少なくとも1つを含むことが好ましい。このような添加剤2としてはCaCl
2、
MgCl
2、AlCl
3、Ti(SO
4)
2が挙げられる。
【0015】
また、添加剤2はアルミナゾルやカチオンシリカゾル等の無機カチオン系添加剤や、(CH
3)
4NOH等の有機カチオン系添加剤であってもよい。
【0016】
また、後述するRO処理によって得られる濃縮塩含有液7を添加剤2として用いることが好ましい。この場合、添加剤を使用しないことと塩類を希釈する装置も不要なので、低コストである。また、濃縮塩含有液へ新たに添加剤を併用して行っても良い。
添加剤2は後述するRO処理によって得られる濃縮塩含有液7のみであってもよいし、他の添加剤2と濃縮塩含有液7とを共に用いてもよい。
【0017】
装置20では、添加剤2を地熱熱水1の一部(1a)にフラッシュ時若しくはフラッシュの後に添加しても良い。
また、装置20では、添加剤2を地熱熱水1の一部(1a)へ添加した後に冷却装置11を用いて冷却する。
冷却装置11は特に限定されず、例えば水冷あるいは風冷熱交換器等を用いて冷却することができる。また、冷却は冷却前の地熱熱水(地熱貯留層)1の温度(X)に対して{X−{(X/100−1)×100}}℃以下に冷却することが好ましい。また、冷却前の地熱熱水1の採取地の温度(X)よりも{X−{(X/100−1)×100}}℃以下に冷却することが好ましい。冷却することにより、シリカの過飽和度が高くなるために、シリカが液相から析出し、核として生成する。ここで予め核の役割を果たす難溶性の塩類等共存すれば、それが核となり、その核へシリカが析出しやすくなる。
【0018】
なお、
図1に示した装置20では、添加剤2を地熱熱水1の一部(1a)へ添加した後に冷却装置11を用いて冷却しているが、添加剤2を地熱熱水1の一部(1a)へ添加しながら、冷却装置11を用いて冷却してもよい。
また、冷却装置11を用いず、例えば冷却した添加剤2や濃縮塩含有液7を地熱熱水1の一部(1a)へ添加することで冷却することもできる。
さらに、濃縮塩含有液7は、地熱熱水1より、温度が低くなっているために、地熱熱水1の一部へ添加することで、地熱熱水の温度が低下し、シリカの過飽和度が高くなるために、シリカが液相から析出し、核として生成し易くなる。
【0019】
上記のような添加剤2を地熱熱水1の一部(1a)へ添加した後(または、添加しながら)、冷却し、その後、シードタンク12へ導入する。シードタンク12の内部ではシリカ粒子が析出し、シードが形成される。シードタンク12における滞留時間は0.1〜1.0時間であることが好ましい。
【0020】
一定の滞留時間が経過した後、シードタンク12からシード液3が排出される。
【0021】
このようにしてシードタンク12において、塩類またはイオンを含む添加剤を地熱熱水の一部へ添加しながら、または添加した後、冷却して、析出した過飽和シリカを含むシード液3を得るシード形成工程を行うことができる。
【0022】
次に、シード液3は、粒子成長タンク22へ送られる。
【0023】
さらに、後述するRO膜による処理によって得られる濃縮塩含有水7も、地熱熱水1の別の一部(1a)とあわせることで、シード液(3)とすることもできる。また、後述するRO膜による処理によって得られる精製水6共に、合わせて濃縮タンク29内で混合することでシリカ粒子を精製させることができる。これによって、得られる高濃度シリカゾル5におけるシリカ粒子をより安定化出来、高純度化することができる。
【0024】
装置20において、シード液3は粒子成長タンク22にて地熱熱水1の一部(1b)と混合される。そして、シリカ粒子の粒径が成長する。粒子成長タンク1での滞留時間は0.25〜3.0時間であることが好ましく、1.0時間程度であることがより好ましい。
【0025】
その後、粒子成長タンク22の下部から排出されたシリカゾル23は、濃縮タンクA(24)へ送られる。
濃縮タンクA(24)で生成されたシリカはタンクの下部から抜き出され、限外濾過装置25にて濾過される。そして、濃縮液26については再度、濃縮タンクA(24)へ戻され濾液は、還元井27へ排出される。
【0026】
ゾルが濃縮された部分(28)については、次の濃縮タンクB(29)へ送られる。濃縮タンクB(29)へ送られた液(28)におけるシリカ濃度を0.5〜9質量%とすることが好ましく、2質量%程度とすることがより好ましい。
【0027】
ここで濃縮タンクB(29)では、濃縮タンクA(24)から送られてきた液(28)が貯留され、生成されたシリカはタンクの下部から抜き出され、限外濾過装置30にて濾過される。そして、濃縮液部分31については再度、濃縮タンクB(29)へ戻される。濾液4として一部(濾液32)は次工程(RO膜による処理)へ、残部(濾液33)は還元井(34)へ排出される。
【0028】
そして、その後、濾過装置25および30を用いて濾過・濃縮することで、濾液4および粒径が成長したシリカ粒子を含む高濃度シリカゾル5を得ることができる。
回収された高濃度シリカゾルにおけるシリカ濃度を10〜40質量%とすることが好ましく、15質量%程度とすることがより好ましい。
ここで濾過は限外濾過膜を用いることが好ましく、分画分子量4000〜10万の範囲の限外濾過膜を用いて濾過することがより好ましい。
【0029】
このようにして粒子成長タンク22、濃縮タンク24、29および濾過装置25、30において、前記地熱熱水の別の一部と前記シード液とを混合してシリカの粒径を成長させ、その後濾過・濃縮することで、粒径が成長したシリカ粒子を含む高濃度シリカゾルを得る粒子成長・濃縮工程を行うことができる。
【0030】
次に、濾液4を逆浸透膜(RO膜)18を用いて濾過し、濃縮塩含有液7および精製水6を得る。
逆浸透膜18は特に限定されず、例えば従来公知の耐熱性のものを用いることができる。
【0031】
ここで得られた精製水6は、前述のように、粒子成長・濃縮タンク29へ導入される。
また、濃縮塩含有液7は、前述のように、添加剤2の少なくとも一部あるいはすべてとして用いられて地熱熱水1の一部(1a)へ添加されることが好ましい。
【0032】
このようにして逆浸透膜18において、濾液を逆浸透膜を用いて濾過し、濃縮塩含有液および精製水を得るRO処理工程を行うことができる。
【実施例】
【0033】
<実施例1>
図1に示した装置を用いて、地熱熱水1から高濃度シリカゾル5を得た。
以下に具体的に説明する。
地熱熱水1は1000L当たり、SiO
2を580g、塩類(Na、K、Ca、Al、Clの合計量)を3000g含み、冷却された地熱水温度が99℃のものである。(地熱貯留層温度Xは、200℃)なお、地熱熱水1の組成等は、大岳地熱熱水の組成等を参考にした。
このような地熱熱水1を1000L/Hrの量で、
図1に示した装置20へ供給した。
そして、このうち10%(1a:100L/Hr)がシードタンク12へ供給されるように調整した。また、残り(90%:1b:900L/Hr)は、粒子成長タンク22へ供給されるように調整した。
【0034】
次に、シードタンク12へ供給される地熱熱水1の一部(1a)へ添加剤としてCaCl
2を150ppmとなるように添加した。また、後述する逆浸透膜18を用いた濾過によって得た濃縮塩含有水7も供給した。
そして、大型扇風機(冷却装置11)を用いて80℃となるように冷却した。
添加剤2(塩濃度:約3%)が、0.6L/Hrで添加され、冷却された地熱熱水1は、シードタンク12にて滞留する。滞留時間は0.5時間である。その後、シードタンク12から排出されたシード液3は、粒子成長タンク22へ供給される。
【0035】
シード液3は粒子成長タンク22にて地熱熱水1の別の一部(1b)と混合される。そして、シリカ粒子の粒径が成長する。粒子成長タンク22での滞留時間は1.0時間である。
【0036】
その後、濃縮タンクA(24)で生成されたシリカはタンクの下部から抜き出され、限外濾過装置25にて濾過される。濃縮タンクA(24)へ戻される量(循環流量)は5m
3/Hr、還元井(27)へ排出される量(濾水流量)は0.99m
3/Hrとした。また、粒径が成長した部分については、次の濃縮タンクBへ送られる。濃縮タンクBへ送られた液(シリカゾル)におけるシリカ濃度は2質量%であり、その量は991L/Hrであった。
【0037】
濃縮タンクB(29)では、濃縮タンクA(24)から送られてきた液(シリカゾル28)が貯留され、その後、限外濾過装置30にて濾過される。そして、濃縮液は再度、濃縮タンクB(29)へ戻される。濾液4として一部(32)は次工程であるRO膜18へ、残部(33)は還元井(34)へ排出される。濃縮タンクB(29)へ戻される液(31)の量(循環流量)は5m
3/Hrとした。また、次工程へ排出される、濾液4の一部(32)の量は5.9L/Hr、還元井(34)へ排出される、濾液4の残部(33)の量(濾水流量)は1.9L/Hrとした。
また、粒径が成長した部分については、高濃度シリカゾル5として回収される。回収された高濃度シリカゾル5におけるシリカ濃度は15質量%であり、その量は1.2L/Hrであった。
また、濃縮タンクB(29)へは、後述する逆浸透膜18を用いた濾過によって得た精製水6も供給された。
【0038】
濾液の一部(32)は逆浸透膜で処理される。そして、濃縮塩含有水7と、脱塩された精製水6とに分離される。
濃縮塩含有水7は、前述のように、添加剤7の一部として地熱熱水1へ、0.6L/Hrの添加量で添加した。そして、精製水6は、前述のように、濃縮タンクB(29)へ、5.3L/Hrの供給量で供給した。
【0039】
このような方法で高濃度シリカゾル5を製造したが、このような製造方法における回収ゾル(高濃度シリカゾル)の安定性を評価した。評価は、高濃度シリカゾルを200gガラス容器へ150g採取し、蒸発水が揮発しないように密閉して、70℃恒温槽へ浸漬し、12日間浸漬して冷却した後の粘度を測定して行った。なお、恒温槽に浸漬するに際しては、シリカゾルの乾燥によるスケ−ル防止のために、恒温槽の液面より、ガラス容器内のシリカゾル液面を高くした。そして、その結果、未浸漬シリカゾルの粘度と比較して粘度変化率が30%以内のものを「○」、30〜100%のものを「△」、100%以上のものを「×」と評価した。なお、粘度は、毛細管粘度計法という方法で測定した。
各処理条件等および評価結果を第1表に示す。
【0040】
<実施例2>
実施例1では、地熱熱水へ添加剤(CaCl
2)を150ppmとなるように添加したが、実施例2では、これを500ppmとなるように添加し、その他については全て実施例1と同じとした処理を行い、評価を行った。
各処理条件等および評価結果を第1表に示す。
【0041】
<実施例3>
実施例1では、地熱熱水へ添加剤としてCaCl
2を用い、これを150ppmとなるように添加したが、実施例3では、添加剤としてAlCl
3を用い、これを10ppmとなるように添加し、その他については全て実施例1と同じとした処理を行い、評価を行った。
各処理条件等および評価結果を第1表に示す。
【0042】
<実施例4>
実施例1では、地熱熱水へ添加剤としてCaCl
2を用い、これを150ppmとなるように添加したが、実施例4では、添加剤としてTi(SO
4)
2を用い、これを3ppmとなるように添加し、その他については全て実施例1と同じとした処理を行い、評価を行った。
各処理条件等および評価結果を第1表に示す。
【0043】
<実施例5>
実施例1では、地熱熱水へ添加剤としてCaCl
2を用い、これを150ppmとなるように添加したが、実施例3では、添加剤として10%アルミナゾルを用い、これを100ppmとなるように添加し、その他については全て実施例1と同じとした処理を行い、評価を行った。
各処理条件等および評価結果を第1表に示す。
【0044】
<実施例6>
実施例1では、地熱熱水へ添加剤としてCaCl
2を用い、これを150ppmとなるように添加したが、実施例6では、添加剤として20%カチオンシリカゾルを用い、これを50ppmとなるように添加し、その他については全て実施例1と同じとした処理を行い、評価を行った。
各処理条件等および評価結果を第1表に示す。
【0045】
<実施例7>
実施例1では、地熱熱水へ添加剤としてCaCl
2を用い、これを150ppmとなるように添加したが、実施例7では、添加剤として(CH
3)
4NOHを用い、これを10ppmとなるように添加し、その他については全て実施例1と同じとした処理を行い、評価を行った。
各処理条件等および評価結果を第1表に示す。
【0046】
<実施例8>
実施例1では、地熱熱水へ添加剤としてCaCl
2を用い、これを150ppmとなるように添加したが、実施例8では、添加剤を用いず、その他については全て実施例1と同じとした処理を行い、評価を行った。
各処理条件等および評価結果を第1表に示す。
【0047】
<比較例1>
実施例1では、地熱熱水へ添加剤としてCaCl
2を用い、これを150ppmとなるように添加したが、比較例1では、添加剤を用いず、さらに逆浸透膜を用いた濾過によって得た濃縮塩も供給しなかった。また、実施例1では精製水を濃縮タンクBへ5.3L/Hrの供給量で供給したが、比較例1では、これを供給しなかった。
そして、その他については全て実施例1と同じとした処理を行い、評価を行った。
各処理条件等および評価結果を第1表に示す。
【0048】
<比較例2>
実施例1では、地熱熱水へ添加剤(CaCl
2)を150ppmとなるように添加したが、比較例2では、これを500ppmとなるように添加したが、逆浸透膜を用いた濾過によって得た濃縮塩も供給しなかった。また、実施例1では精製水を濃縮タンクBへ5.3L/Hrの供給量で供給したが、比較例2では、これを供給しなかった。
そして、その他については全て実施例1と同じとした処理を行い、評価を行った。
各処理条件等および評価結果を第1表に示す。
【0049】
【表1】
【0050】
実施例1〜8については、いずれも回収ゾルの安定性は良好であった。
【0051】
比較例1は回収ゾルの安定性が△となった。これは、添加剤および濃縮塩を用いなかったため、また、精製水を濃縮タンクBへ供給しなかったためと考えられる。
【0052】
比較例2は回収ゾルの安定性が△となった。これは、添加剤を用いなかったため、また、精製水を濃縮タンクBへ供給しなかったためと考えられる。