(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記上面に前記穴形状部を複数設けたフィンプラグであり、複数の前記穴形状部の少なくとも一部に前記発泡体材料を位置付けて、前記発泡体材料を含めて前記上面を構成した前記フィンプラグを有する請求項1に記載の発泡体複合型フィンプラグアセンブリー。
前記フランジの前記上面と反対側の下面から下方に向けて延在し且つ前記フランジより下方に位置するベース部位があり、このベース部位の概ね内部に前記フィンプラグの少なくとも一つのフィンキャビティが在って、前記フィンプラグを構成するこのベース部位が前記発泡体本体部分で概ね取り囲まれている請求項3に記載の発泡体複合型フィンプラグアセンブリー。
前記上面に設けた少なくとも一つの前記穴形状部の中に配置した前記発泡体材料が、前記上面と概ね同一平面の高さまで配置される請求項1乃至7のいずれか1項に記載の発泡体複合型フィンプラグアセンブリー。
前記上面に設けた複数の前記穴形状部の中を満たした前記発泡体材料は、前記上面の上側に盛り上がり上面を横切る方向にはみ出しており、さらに、このはみ出た発泡体材料は、前記フィンプラグに設けた前記フィンキャビティの前記開口部の周りに隣接して取り囲んでいる凸リップすなわち小さな突起部の高さに至るまで、前記上面を越えて突出する請求項1乃至7のいずれか1項に記載の発泡体複合型フィンプラグアセンブリー。
前記フィンプラグは、前記フィンの2つの前記ベース要素を受け入れるための2つのフィンキャビティを有し、この夫々のフィンキャビティは前記上面に設けた2つの開口部の内側を伸延して、そして、前記ベース部位を下方に伸ばして構成した請求項4あるいは請求項7のいずれか1項に記載の発泡体複合型フィンプラグアセンブリー。
この発泡体複合型フィンプラグアセンブリーのベース部位を構成するフィンキャビティの少なくとも一つに隣接した位置で、伸延している少なくとも一つの穴形状部をさらに含める請求項1あるいは請求項2のいずれかに記載の発泡体複合型フィンプラグアセンブリー。
発泡体複合型フィンプラグアセンブリーの少なくとも一つのフィンキャビティに隣接して伸延している前記請求項13に記載の穴形状部の中に、前記発泡体材料が含まれている発泡体複合型フィンプラグアセンブリー。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
以下、主にサーフボードなどのサーフクラフトに対象を絞って説明するが、本発明は、いずれもフィンを有する他のウォータークラフト(およびサーフクラフト)、例示すると、セールボード、パドルボード、カイトサーフボード、レスキューボード、サーフスキー、カヤックなどに同様に適用できるものである。
【0005】
一部のサーフクラフトの場合、フィンをサーフクラフトに一体成形しているが、長年にわたってこれがフィンをこのようなサーフクラフトに組み込む標準的な手段であった。最近の20年前位から、サーフクラフトに着脱式のフィンを組み込むことがより一般的になり、あるいは多数の着脱式フィンを有するフィンシステムを利用することがより一般的になってきている。このようなフィンシステムには数多くの利点があり、例示すると、輸送や移動のためにフィンを取り外すことができ、損傷したフィンの交換が簡単になり、あるいは異なる形状またはスタイルのフィンを選択的に使用することが可能になるなどである。一般的に、このようなフィンシステムの場合、少なくとも一つのフィンプラグをサーフクラフトの下側に埋設する。このフィンプラグの場合、全体として少なくとも一つのキャビティにサーフクラフトフィンのベース部分(即ちベース要素)を受け取るにように構成している。このサーフクラフトフィンをサーフクラフトに取り付けるさいには、フィンのベース部分(即ちベース要素)をフィンプラグの(複数の場合もある)キャビティに固着する。この一般的な構成を取る数多くのフィンシステムが公知である。
【0006】
このようなフィンシステムの一つの公知例は、Fin Control Systems Pty Ltd.を名義人とするUSP5,464,359に記載されている。このシステムは2つの突出するベース要素(即ちタブ)を備えたフィンを有し、フィン毎に2つのフィンプラグをサーフクラフトの下側に装着している。各フィンプラグはベース要素の一つを受け取るキャビティを有するだけでなく、ベース要素をキャビティに固着する手段も有する。
【0007】
別なフィンシステムは、同じくFin Control Systems Pty Ltd.を名義人とするPCT/AU2008/001132に記載されている。このシステムも2つの突出するベース要素を有しているが、これらベース要素は単独のフィンプラグに取り付け可能であり、2つの対応するベース要素を受け取る2つのキャビティを有する。
【0008】
他のフィンシステムの公知例は、単独のフィンプラグを有し、フィン毎に単独のキャビティを有する。一般的に、このようなフィンシステムは十分な大きさのフィンプラグを有し、フィンのベース要素を受け取る細長いフィンキャビティを備えている。このようなシステムのフィンプラグも、一般的に、平坦な上部を有し、この上部にフィンキャビティが内向きに延在する開口およびこの開口を中心にして側方に延在するフランジ部分を有する。このフランジ部分が一定の幅をもつ。平坦な上部の下側から下向きに、フィンキャビティの周囲を取り囲む本体部分が延在する。このようなフィンプラグの形状については、全体として、2つのキャビティがサーフクラフトの下側に2ステップ法で案内されるようにする必要がある。最初に、比較的広く、浅いキャビティを形成する必要があり、このキャビティの寸法をフランジ部分の形状に実質的に対応させる必要がある。従って、この第1キャビティの深さは、フランジ部分の幅に実質的に対応することになる。次に、第1キャビティに狭く深いキャビティを形成する必要があり、このキャビティにフィンプラグの本体部分を受け取る。大半のサーフクラフトの場合3つのフィンに対応するように設計されているため、サーフクラフトに各フィンプラグキャビティを形成するためにこの2ステップ法を採用する必要性があり、装着にかなりの時間がかかる。
【0009】
公知フィンプラグには別な問題もある。即ち一般的にサーフボードブランク材内にフィンプラグを固着するフィンプラグと樹脂材との間の接着力が、特に(使用時フィンプラグに接続される)サーフクラフトフィンに圧力が作用する結果、劣化するか、あるいは劣化状態になる問題である。サーフクラフト内にフィンプラグを固着する手段は、一般的に、フィンプラグの外面とフィンプラグが挿入されるキャビティの壁(複数の場合もある)との間の硬化性液状樹脂材である。
【0010】
USP5,464,359に記載されているフィンシステムでは、各フィンプラグが上面(キャビティに対する開口が設けられる表面である)を有し、サーフクラフトへの装着後、この上面が露出し、サーフクラフトの下側の面と同じ高さになる。
【0011】
WO2009/021267A1として公開されたPCT特許出願第PCT/AU2008/001132に記載されているフィンシステムでは、各フィンプラグが上面(同様に各キャビティに対する開口が設けられる表面である)を有する。サーフクラフトへの装着後、この上面は露出することがなく、むしろガラス繊維層に着座する。フィンプラグ上面上のこのガラス繊維層は、全体として、サーフクラフトの下側のガラス繊維層と連続する。フィンプラグの上面上に着座するガラス繊維層(fibergalss layer)によってフィンプラグのサーフクラフトへの固着状態がレベルアップする。
【0012】
多くの公知フィンプラグ(例えばUSP5,464,359に記載されているフィンプラグなど)にはさらに別な問題がある。即ちサーフクラフトに装着した時に、サーフクラフトの形成材料である比較的低い密度の発泡体(foam)によってフィンプラグの周囲が取り囲まれる問題である。このような発泡体は、全体として強度が十分でないため、取り付けられたフィンに作用する力を理由としてフィンプラグにかかる負荷を支持することができず、経時的に周囲の発泡体の変形、劣化また崩壊が発生することがある。このような発泡体の変形または劣化が生じると、フィンプラグが発泡体に沈み込む原因になり、あるいは発泡体とのアライメントが外れる原因になり、結果として取り付けられたフィンの性能が低下することになる。また、フィンプラグ付近において、ガラス繊維の表面が割れる原因になり、あるいは粉々に破壊される原因にもなる。また、フィンプラグが発泡体に沈み込むと、フィンプラグの上面が隣接するガラス繊維層(fiberglass layer)から分離する原因にもなる。
【0013】
サーフクラフトフィンの場合、サーフクラフトの旋回時、あるいは他の何らかの物体との衝突時にきわめて強い力(特に横力)の作用を受ける傾向があり、これら力は次にフィンが取り付けられている対応するフィンプラグに伝わる。これら力は、フィンプラグとサーフクラフトとの間の(硬化した樹脂材による)接続にきわめて強い歪み作用(strains)を与える傾向がある。これを受けて、これら接続が劣化する傾向が生じ、場合によっては、硬化した樹脂材が割れる傾向が生じる。前記接続に加わるこれら歪み作用は、全体として、フィンプラグの外面の全表面積に反比例する。即ち、この面積が小さくなればなるほど、対応する接続にかかる歪み作用が大きくなる。
【発明の効果】
【0014】
本発明は従来のフィンプラグに関連して説明した 前記問題の少なくとも一部を改善することに関し、従ってフィンプラグの装着方法に関する。より具体的には、本発明の一つの目的は、サーフクラフトに固着するために使用する樹脂材に対してより強力な接着を形成するフィンプラグアセンブリーを提供することである。
【0015】
本明細書で公知例に言及する場合、特に反対のことを言わない限り、これは、本出願の優先権主張日においてこのような公知例が本発明に関係する当業者に共通して知られていることを認めるものではない。
【0016】
本発明の第1態様は、
上面および底面を有し、
フィンのベース要素を受け取るための、 前記上面の少なくとも一つの開口から内向きに延在する少なくとも一つのフィンキャビティを有し、そして、
前記上面と前記底面との間に延在し、発泡体で充填される少なくとも一つの穴を有するウォータークラフト用フィンプラグを提供するものである。
【0017】
複数の前記穴が前記上面と前記底面との間に延在することが好ましい。また、前記フィンプラグが、前記上面および前記底面を有する平面部分を有し、そして、前記底面から延在し、かつ前記の少なくとも一つのフィンキャビティを取り囲むベース部分を有するのが好ましい。前記平面部分については、前記の少なくとも一つの開口から横に外周まで延在するフランジを有するのが好ましい。
【0018】
本発明のこの態様の好ましい実施態様では、前記フィンプラグがサーフクラフトフィンの2つのベース要素を受け取る2つのフィンキャビティを有し、そしてこれらフィンキャビティが前記平面部分(planar portion)の 前記上面の2つの開口から内向きに延在する。
【0019】
前記穴の少なくともいくつかが、前記平面部分の前記フランジを貫通して延在するのが特に好ましい。
【0020】
本発明の別な実施態様では、ウォータークラフト用フィンプラグは、
上面および底面を有し、
フィンのベース要素を受け取るための、前記上面の少なくとも一つの開口から内向きに延在する少なくとも一つのフィンキャビティを有し、そして、
発泡体で充填される少なくとも一つの凹部または開口を前記上面に有する。
【0021】
本発明の第1態様のさらに別な実施態様では、前記フィンプラグはハニカム状構造を取ることができる。即ち、前記フィンプラグはこのフィンプラグの上面からベース部分のベース面まで延在する複数の穴を有する。この実施態様では、前記穴の長さは約2cm以下である。
【0022】
さらに別な実施態様では、前記穴を前記フィンプラグの前記平面部分に設ける。この実施態様では、前記穴の長さは約0.5cm以下である。これら穴の長さは約0.3cmであるのが好ましい。論じるまでもなく、これら穴の有効な長さは前記上面から前記底面までの距離である。
【0023】
さらに、前記フィンプラグの前記ベース部分が外面に複数のリブ要素(rib elements)を有することが好ましい。これらリブ要素の主目的は、前記フィンプラグの強度および/または構造的一体性を強化することである。これらリブ要素によって、前記フィンプラグの周囲の発泡体本体への接着性も強化することができる。このベース部分は壁部および床部を有するのが好ましく、いずれも実質的に均質な厚みを有する。このように厚みを均質にする(uniform tickness)と、(射出成形製造プロセス後の)前記フィンプラグの冷却時に前記フィンプラグの壁部および床部が変形する恐れを軽減できる作用効果がある。
【0024】
一般的に、前記フィンプラグは(目的に応じて)フィンのウォータークラフトへの接続状態を維持するフィン保持手段を有するものである。
【0025】
一つの好ましい実施態様では、前記フィン保持手段は、前記上面から延在し、前記の少なくとも一つのフィンキャビティと連絡するネジ穴内に設けられるグラブネジを有する。前記フィンプラグが2つのフィンキャビティを有する本発明の一つの実施態様では、前記フィンプラグの前記フィン保持手段には、前記上面から延在し、前記の2つのフィンキャビティのうちの一つと連絡するネジ穴に設けられる一つのグラブネジを設けることができる。この実施態様の一つの実施例の場合、2つのネジ穴内に設けられる前記グラブネジのうちの2つを有し、一方のネジが前記上面から延在し、かつ前記の2つのフィンキャビティのうちの一つと連絡し、そして他方のネジが前記上面から延在し、かつ前記の2つのフィンキャビティのうちの他方と連絡するように構成することができる。
【0026】
別な好ましい実施態様では、前記フィン保持手段は、前記フィンキャビティに設けられた前記フィンの前記ベース要素に横力を加えるバイアス作用手段を有する。このバイアス作用手段は弾性バイアス作用ロッドを有し、そしてこのバイアス作用ロッドと協働作用を行う突出部材を有し、この突出部材が、前記フィンキャビティに受け取られたときに前記フィンの前記ベース部分に当接するように構成することができる。前記フィンプラグが2つのフィンキャビティを有する場合、前記バイアス作用手段については、これらフィンキャビティのうちの一つにおける前記フィンの前記ベース要素に前記横力(lateral force)を加えるように構成すればよい(なお、このような横力は両キャビティ内に加えるようにすることも可能である)。また、このバイアス作用ロッドについては、チタン、鋼、船舶用鋼、ガラス繊維、カーボンファイバー、プラスチックおよび強化エンジニアリングプラスチックから選択される任意の好適な材質で形成することができる。
【0027】
前記フィンプラグについては、前記[0025]および[0026]に記載したフィン保持手段と協働作用するように構成すること可能である。
【0028】
さらに好適な実施態様では、前記フィンプラグにはフィン離脱抑制手段を設けることができ、このフィン離脱抑制手段は前記フィンキャビティ内に棚部分(a ledge portion)を有し、この棚部分が前記フィンの前記ベース要素の一部に重なることでフィンの離脱を抑制する。
【0029】
前記フィンプラグは任意の好適な材料から構成することができるが、一般的にはプラスチック材、熱硬化性材や熱可塑性材が好適である。好適な熱可塑性材としては、ポリアミド(ナイロン)、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリウレタンおよびポリエチレンテレフタレート(PET)を例示できる。
【0030】
本発明の第2態様は、
前記のいずれかフィンプラグを有し、そして、
前記フィンプラグの前記上面と前記底面との間に延在する前記の少なくとも一つの穴内に少なくとも一つの発泡体充填体を有するフィンプラグアセンブリーを提供するものである。
【0031】
前記フィンプラグアセンブリーのフィンプラグについては、前記上面と前記底面との間に延在する複数の前記穴を有し、そしてこれら複数の穴の少なくともいくつかに設けられる発泡体充填体を有するのが好ましい。
【0032】
好ましい実施態様の場合、発泡体充填体(foam in-fills)については、前記フィンプラグの 前記平面部分の下に位置する発泡体本体に一体的に形成するか、あるいは一体的に密着させる。この発泡体本体については、前記フィンプラグの前記ベース部分を実質的に取り囲むように構成するのが好ましい。特に好適な実施態様の場合、この発泡体本体は、前記平面部分の前記フランジの前記外周と実質的に同じ形状をもつ側壁を有する。この側壁については、前記発泡体本体の周囲に延在する連続側壁であるのが好ましい。あるいは、この側壁は以下に詳しく説明する形状であってもよい。
【0033】
一般的にいって、前記発泡体本体の厚みは、前記平面部分の前記底面から前記フィンプラグの前記ベース部分のベース面までの距離に実質的に等しいのが好ましい。
【0034】
本発明のこの態様の特に好適な実施態様の場合、各充填体(または充填体の少なくとも大半)の上端については、前記上面と実質的に同じ高さに設定する。この構成を取ると、(サーフボードなどのウォータークラフトに 前記フィンプラグアセンブリーを装着するさいに)このフィンプラグアセンブリーとガラス繊維および樹脂材からなる上に重なる層との接着が強くなる作用効果が得られる。
【0035】
前記発泡体および発泡体充填体については、高密度発泡体または以下にさらに詳しく説明する発泡体から構成するのが好ましい。
【0036】
本発明のさらに別な態様は、前記いずれかの発泡体及びフィンプラグアセンブリーの製造方法であって、
前記いずれかのフィンプラグを用意する工程、
前記フィンプラグの各フィンキャビティを塞いで、流体材料がこのキャビティに流入することを抑制する工程、
前記フィンプラグを射出成形チャンバーに挿入し、液状発泡体をこのチャンバーに射出して液状発泡体を前記フィンプラグの前記穴に流入させることにより発泡体を前記フィンプラグの前記ベース部分の周囲に形成する工程、
前記液状発泡体を発泡かつ硬化させて、(前記フィンプラグおよび硬化発泡体を含む)フィンプラグアセンブリーを形成する工程、および、
前記チャンバーから前記フィンプラグアセンブリーを取り出す工程を有するフィンプラグアセンブリーの製造方法を提供するものである。
【0037】
前記方法の場合、さらに、余分な発泡体を前記フィンプラグおよび発泡体ブロックから切り出し、前記フィンプラグの平面部分の前記上面および前記ベース部分の前記底面を露出させる工程を有するのが好ましい。
【0038】
前記方法の好ましい実施態様の場合、余分な発泡体を前記フィンプラグおよび発泡体ブロックから切り出し、前記平面部分の前記フランジの前記外周と実質的に同じ形状をもつ前記フィンプラグアセンブリーの側壁を形成するさらに好ましい工程を有する。
【0039】
前記方法の別な実施態様の場合、前記射出成形チャンバーが、前記平面部分の前記フランジの前記外周と実質的に同じ形状をもつ前記フィンプラグアセンブリーの側壁を形成する形状を取る。このため、前記フィンプラグの側壁周囲の前記フィンプラグおよび発泡体ブロックから余分な発泡体を切り出す必要がなくなる。
【0040】
本発明のさらに別な態様は、前記いずれかのフィンプラグアセンブリーの製造方法であって、
前記いずれかのフィンプラグを用意する工程、
前記フィンプラグに対応する予め形成しておいた発泡体本体を用意する工程、および、この発泡体本体に前記フィンプラグを接合する工程を有するフィンプラグアセンブリーの製造方法を提供するものである。
【0041】
前記液状発泡体については、ポリウレタン発泡体(polyurethane foam:ポリウレタン・フォーム)、エポキシ発泡体(epoxy foam:エポキシ樹脂フォーム)、EPS発泡体(ESP foam:発泡スチロール)、PVC発泡体(PVC foam:ポリ塩化ビニル発泡体)またはPET発泡体(PET foam:ポリエチレンテレフタート発泡体)から形成するのが好ましい。この液状発泡体については、ほぼ室温まで冷却されたときに固体の発泡体を形成し、この固体発泡体が高密度発泡体か、あるいはウォータークラフトの 前記発泡体ブランク材と実質的に同様な密度をもつ発泡体であることがさらに好ましい。高密度発泡体としては、発泡密度がほぼ50kg/m
3以上のものが好ましく、発泡密度がほぼ70kg/m
3以上のものがより好ましい。
【0042】
本発明の別な態様は、前記いずれかのフィンプラグアセンブリーをウォータークラフトに装着する方法であって、
前記いずれかのフィンプラグを用意する工程、
造形された発泡体ウォータークラフトブランク材を用意する工程、
前記ウォータークラフトブランク材のフィンプラグの目的の位置に対応するウォータークラフトブランク材の下側に位置マークを印す工程、
前記フィンプラグアセンブリーを受け取るプラグ穴であって、前記フィンプラグアセンブリーの形状に実質的に対応する形状のプラグ穴をウォータークラフトブランク材の下側に開ける(cut out)工程、
前記プラグ穴の壁と前記フィンプラグアセンブリーの対応する表面との間に樹脂材の層を形成するのに十分な量の樹脂材を前記プラグ穴に注入する工程、
フィンプラグアセンブリーを前記プラグ穴に挿入して、前記フィンプラグの上面と前記ウォータークラフトブランク材の下側と同じ高さにする工程、
フィンプラグの上面を含むウォータークラフトブランク材の外面にガラス繊維を貼着し、かつ樹脂材を被覆する工程、
必要に応じて、前記ウォータークラフトの表面をサンダー仕上げ処理する工程、および
各フィンキャビティ上のガラス繊維の層および樹脂材、および各フィンキャビティを覆うか塞ぐために使用した材料を除去(route out)する工程を有する装着方法を提供するものである。
【0043】
望ましくない樹脂材が前記フィンプラグアセンブリーのフィンキャビティ(複数の場合もある)に流入するのを抑制するためには、これらキャビティを覆うか、あるいは塞ぐのが好ましい。例えば、このようなキャビティがある場合には、(着脱式)プラスチック充填体を挿入するか、あるいはステッカーシートまたはテープをキャビティの開口に貼着することで塞げばよい。
【0044】
所定量の樹脂材を前記プラグ穴に注入する前記工程の前に、以下の工程を行うのが好ましい。即ち、
装着治具の一つかそれ以上のタブを前記フィンプラグの少なくとも一つのフィンキャビティに挿入することによってこの装着冶具を前記フィンプラグアセンブリーに接続する工程、
目的に応じて前記フィンの傾斜角度および先端角度(つま先角度)を調節し、かつ装着冶具を目的の方向に固定する工程、
樹脂材の硬化後、前記装着冶具を取り外す工程を行うのが好ましい。
【0045】
これらの好ましい工程を行う場合には、これら工程を行った後に前記フィンキャビティを覆うか、あるいは塞げばよい。
【0046】
各キャビティを塞ぐために使用する材料については、フィンプラグと同じ材料から形成することができるキャビティ充填体であることが好ましい。
【0047】
一般的に、前記ウォータークラフトとはサーフボードであり、造形された発泡体ウォータークラフトとは造形された発泡体サーフボードブランク材である。
【0048】
さらに別な本発明は、
上面、底面、およびフィンのベース要素を受け取るための、この上面の少なくとも一つの開口から内向きに延在する少なくとも一つのフィンキャビティを有するフィンプラグを有し、
前記上面に重なり、前記の少なくとも一つのフィンキャビティに対して整合し、かつこれに対して開口を形成する少なくとも一つの開口を有する第1発泡体層を有し、そして、 前記底面の少なくとも一部に重なる第2発泡体層を有するウォータークラフト用フィンプラグアセンブリーを提供するものである。
【0049】
さらに別な本発明は、上面、底面、周辺面、およびフィンのベース要素を受け取るための、この上面の少なくとも一つの開口から内向きに延在する少なくとも一つのフィンキャビティを有するフィンプラグを有し、そして、
前記フィンプラグが設けられる対応するフィンプラグキャビティを有し、このフィンプラグの周辺面の周りに延在する上部周辺リッジを有する発泡体本体を有するウォータークラフト用フィンプラグアセンブリーを提供するものである。
【0050】
本発明のさらに別な形態については、特許請求の範囲に記載する通りであり、また本明細書の記載から理解できるはずである。
【図面の簡単な説明】
【0051】
添付図面の
図1および
図2を参照して、本発明の第1態様および第2態様の好適な実施態様を以下詳しく説明する。
【
図1A-1B】本発明の第1態様による好適な実施態様によるフィンプラグ例を示す上面斜視図である。
【
図3A】本発明の第2態様の好適な実施態様による複合発泡体及びフィンプラグアセンブリー例であって、フィンプラグアセンブリーへ取り付けるためのキャビティインサートを有するフィンプラグアセンブリーを示す展開斜視図である。
【
図3B】
図3Aに示すフィンプラグアセンブリー例であって、同様にフィンプラグアセンブリーへの取り付けるためのキャビティインサートを示す別な展開斜視図である。
【
図4A-4B】は、本明細書に記載するフィンプラグおよび/またはフィンプラグアセンブリーに使用できるキャビティインサート例を示す上面斜視図である。
【
図4G-4H】
図4Aおよび
図4Bのキャビティインサート例を示す正面端面図および後部端面図である。
【
図5A】サーフクラフトに装着する前のキャビティインサートを備えた複合発泡体及びフィンプラグアセンブリー例を示す上面平面図である。
【
図5B】サーフクラフト断面内に装着された
図5Aのフィンプラグアセンブリー例を示す上面平面図である。
【
図5C】複合発泡体及びフィンプラグアセンブリーの別な例のフィンキャビティを横断方向に見た横断面図である。
【
図5D】フィンキャビティに対する開口をもとに戻した後における、
図5Cに示すフィンプラグアセンブリーを示す別な横断面図である。
【
図6】フィンプラグおよびキャビティインサートの別な斜視図である。
【
図7】フィンプラグおよびキャビティインサートの別な斜視図である。
【
図8】
図3A、3Bおよび
図4A〜4Hの埋込みキャビティインサートをフィンキャビティに挿入した
図5Cの長手方向横断側面図である。
【
図9】凸状の上部キャビティインサートをフィンキャビティに挿入した
図8の別な実施態様を示す図である。
【
図10A】本発明の第2態様の一実施態様による別な複合発泡体及びフィンプラグアセンブリー例を示す展開斜視図である。
【
図10G-10H】
図10Aのフィンプラグアセンブリーを示す正面および後面端面図である。
【
図11A】本明細書に記載するさらに別なフィンプラグアセンブリー例を示す展開斜視図である。
【
図11E-11G】は、
図11Aのフィンプラグアセンブリー例を示す側面図である。
【
図12A】本明細書に記載する別なフィンプラグアセンブリー例を示す展開斜視図である。
【
図14A-14G】本発明の第1態様のさらに別な実施態様によるフィンプラグのさらに別な例を示す図である。具体的には、
図14Aは上面斜視図であり、
図14Bは下から見た図であり、
図14Cは正面端面図であり、
図14Dは側面図であり、
図14Eは後面端面図であり、そして
図14Fは平面図である。
【
図17A-17G】(以下に記載するように)状況に応じて本発明の一部の実施態様に使用することができる他のキャビティインサートの実施例を示す図である。具体的には、
図17Aはキャビティインサート例を示す背面斜視図であり、
図17Bは正面斜視図であり、
図17Cは底面図であり、
図17Dは平面図であり、
図17Eは左側面図であり、
図17Fは右側面図であり、そして
図17Gは
図17Aのキャビティインサート例を示す端面図である。
【
図19A-19B】直線状の側壁を有し、フィンプラグフランジの周囲に周辺リッジを備えた複合発泡体及びフィンプラグをそれぞれ示す展開斜視図および組み立て時斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0053】
図1Aおよび
図1Bのフィンプラグ10は上面15を有し、底面20を有する。さらに、フィンプラグ10は(図示を省略した)サーフクラフトフィンのベース要素を受け取る少なくとも一つのフィンキャビティ25を有する。例えば、この少なくとも一つのキャビティ25は上面15の少なくとも一つの開口30から内向きに延在する。また、フィンプラグ10は上面15と底面20との間に延在する少なくとも一つの穴(孔)35を有し、この穴35は、最初に
図3Aを参照して説明するように、そしてさらに
図10A〜
図10Hを参照して説明するように、発泡体40が充填されている。
【0054】
上面15については、フィンプラグ10を装着すべき位置においてウォータークラフトまたはサーフクラフトの発泡体ブランク材の表面形状に対応するように湾曲していてもよく、あるいはそれ以外の形状になっていてもよいことは無論である。フィンプラグの装着や他の細部については以下に詳しく説明する。
【0055】
図1Aおよび
図1Bに図示するように、フィンプラグ10は上面15と底面20との間に延在する複数の穴35を有する。さらに、
図2A〜
図2Cに示すように、フィンプラグ10は上面15および底面20を有する平面部分16を有する。またさらに、フィンプラグ10はベース部分18を有し、このベース部分18は底面20から延在し、少なくとも一つのフィンキャビティ25を取り囲む。
【0056】
一つの具体的な実施例では、平面部分16はフランジ19を有し、このフランジ19は少なくとも一つの開口30から横方向にフィンプラグ10の外周22まで延在する。即ち、この具体的な実施例の場合、一つかそれ以上の穴35が平面部分16のフランジ19を貫通して延在する。これについては、例えば
図2Aおよび
図2Cを参照。
【0057】
さらに図示のように、フィンプラグ10は2つのフィンキャビティ25を有し、これらキャビティ25は平面部分16の上面15の2つの個別の開口30から内向きに延在する。
【0058】
一つの具体的な実施例では、一つかそれ以上の穴35を平面部分に設け、その長さ即ち深さを0.5cm以下に設定する。そしてさらに別な実施例では、穴の長さは約0.3cmに設定できる。図示からわかるように、穴の長さ即ち深さはフランジ19の上面15と底面との間の距離に実質的に等しい。
【0059】
さらに
図2Cおよび
図2Dに図示するように、フィンプラグ10のベース部分18は、このベース部分18の外面26上に複数のリブ要素24を有する。これらリブ要素24については、
図3Aおよび
図3Bを参照して詳細に説明することにする。特にベース部分18には、実質的に均一な厚さをもつ壁および床を設けることも可能である。
【0060】
フィンプラグ10には、フィン保持手段、あるいは固定手段と呼べる手段を設けることができる。一つの具体的な実施例では、
図1A、
図1B、
図2Aおよび
図2Bに示すように、フィン保持手段には(図示を省略した)グラブネジを設けることができ、このグラブネジはネジ穴28に挿入保持できる。このネジ穴は一般的に上面15から延在し、少なくとも一つのフィンキャビティ25と連絡し、サーフクラフトのフィンを保持できる。
【0061】
特に、2つかそれ以上のグラブネジを設けることができ、それぞれ2つかそれ以上のネジ穴28内に設けることができる。この具体的な実施例では、グラブネジのうち一つが上面15から延在し、前記の2つのフィンキャビティ25のうちの一つと連絡し、そしてグラブネジの他方のグラブネジが上面15から延在し、前記の2つのフィンキャビティ25のうちの他方のフィンキャビティと連絡する。
【0062】
前記のように、フィンプラグにネジ穴28(およびグラブネジ)を設けることは適宜行うもので、主にある種の公知サーフクラフトフィンに対処するためである。これら公知サーフクラフトフィンは、フィンキャビティ25に延入し、かつ一般的にグラブネジによって所定位置に保持されるフィンタブを有する。このような公知サーフクラフトフィンをフィンプラグに固着する場合、フィンタブがフィンキャビティに完全に埋設することはなく、結果として対応するフィンキャビティ内に空隙が発生することがある。このような空隙の存在を最小限に抑えるために、あるいはこれを避けるために、(場合に応じて)小さなキャビティインサートをフィンキャビティ内に挿入し、ウォータークラフトまたはサーフクラフトにフィンを取り付けるさいに、および使用時に、このような空隙が存在する場合にはこれを埋める。このような他のキャビティインサートの実施例を
図17A〜
図17Gおよび
図18A〜
図18Gに示す。
図17A〜
図18Gに示すこれらフィンキャビティインサートは、
図3Aおよび
図3Bを参照して以下に説明するキャビティインサート50とは異なるインサートである。これらキャビティインサート50は、対照的にウォータークラフトまたはサーフクラフトを製造するさいに使用するインサートである。
【0063】
さらに別な実施例の場合、具体的には
図1B、
図6および
図7に示すように、フィン保持手段には、バイアス作用手段45を設けることができ、このバイアス作用手段については、キャビティ25内に設けられる(図示を省略した)フィンのベース要素に横力を作用させるように構成する。このバイアス作用手段は、本明細書に援用するPCT特許出願第PCT/AU2013/000738号(発明の名称:ウォータークラフト用フィンプラグ、出願日:2013年7月5日)に記載されている。
【0064】
一般的に、バイアス作用手段45は弾性バイアス作用ロッドを有し、このバイアス作用ロッドと協働する突出部材46(
図6に示す)を有する。この突出部材については、例えば、フィンがフィンキャビティ25内に受け取られたときにフィンのベース部分に当接するように構成する。一つの具体的な実施例では、弾性バイアス作用ロッドはチタン、鋼、船舶用鋼(marine grade steel)、ガラス繊維、炭素繊維、プラスチックおよび強化エンジニアリングプラスチックから選択される材質で形成する。
【0065】
前記出願明細書のさらに別な実施例では、フィンプラグ10には、
図8を参照して以下に説明するように、フィン離脱抑制手段を設けることもできる。フィン離脱抑制手段は 前記フィンキャビティ25内において棚(ledge)部分を有し、この棚部分については、フィンをキャビティ25内に挿入したときにフィンのベース要素の一部に重なるように構成する。このフィン離脱抑制手段が、一旦挿入されたなら、キャビティ25内部からフィンの離脱を実質的に抑制することはいうまでもない。
【0066】
当業者にとっては自明なことであるが、フィンプラグ10については、熱可塑性材、熱硬化性材またはプラスチック材から形成することができ、制限を意図するものではないが例示すると、剛直なプラスチック材、例えばポリアミド(ナイロン)、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリウレタン、ポリブチレンテレフタレート(PBT)やポリエチレンテレフタレート(PET)がある。
【0067】
図3Aおよび
図3Bは、複合発泡体及びフィンプラグアセンブリーを示す展開図である。このフィンプラグアセンブリーはフィンプラグ10を有し、発泡体本体40を有する。既に説明したように、フィンプラグ10は複数の穴35を有し、これら穴は上面15と底面22との間に延在する。
図3Aおよび
図3Bに示すように、発泡体本体は複数の穴充填体(in-fill)42または突出体を有する。これら充填体42については、フィンプラグ10の対応する穴35内に設ける。
【0068】
発泡体本体40については、
図10B〜
図10Hを参照して以下に説明する発泡体射出成形方法および以下に言及する製造方法を利用してフィンプラグ10の周囲に、そして内部に形成することができる。複合発泡体及びフィンプラグアセンブリー90の実施例については、
図10Bに示す。あるいは、発泡体本体はフィンプラグとは別に予備成形することも可能である。次に、好適な手段によって、あるいは接着材を利用して予備成形した発泡体本体40をフィンプラグに接合するか、あるいは接着すると、複合発泡体及びフィンプラグアセンブリーを構成することができる。予備成形した発泡体本体40については、ウォータークラフトの発泡体ブランク材に装着する前に、あるいは以下に詳しく説明するように別体として装着する前に、フィンプラグに接合することができる。
【0069】
リブ要素24の目的は、フィンプラグ10の強度および/または構造的一体性をレベルアップすることにある。これらリブ要素24は、
図3Aおよび
図3Bに示すように、またさらに
図10A〜
図10H、
図15A〜
図15Jおよび
図16A〜
図16Hに示すように、フィンプラグの接着性およびフィンプラグの周囲の発泡体への機械的結合をもレベルアップするものである。これら図から自明なように、リブ要素24を設けると、フィンプラグと発泡体及び発泡体充填体40との間の相互作用を行う表面積が広くなるため、フィン、フィンプラグ、発泡体本体/発泡体充填体およびウォータークラフトまたはサーフクラフトの本体の発泡体ブランク材の間の接着および大きな力の伝達の面において有利になる。
【0070】
またいうまでもなく、サーフクラフト製造の最終段階において、以下に説明するように、キャビティインサート50(例えば
図3A、
図3Bおよび
図4A〜
図4Hを参照)を使用して、樹脂材が製造プロセスの最終段階からキャビティ25に入り込むことを抑制できる。この最終段階の場合、フィンプラグ10または(本明細書で説明する)フィンプラグアセンブリーをサーフクラフトの下側に挿入してから、サーフクラフトの下側の表面、従ってフィンプラグ10またはフィンプラグアセンブリー上に注入することが多い。このように、キャビティインサート50をキャビティ25に挿入してから、樹脂材を注入することによって、樹脂材をキャビティの外側に保持できる。次に、(例えばサンダー処理かルーティング処理によって)キャビティインサート50を取り出し、キャビティを露出させることができる。フィンキャビティ25への挿入時、キャビティインサート50はフィンプラグの上面15と同じ高さになる。
図3Aおよび
図3Bに示すように、キャビティインサートには十字線マーク54を設け、これらは、フィンプラグの装着プロセスに使用する切断工具を位置決めするさいに役に立つ。装着方法の実施例については、以下においてさらに詳しく説明する。
【0071】
キャビティインサートについては、フィンプラグに関して前記した材料と同じ材料または同様な材料で構成することができる。キャビティインサートとしては樹脂材、他の接着材や発泡体に対して接着性の低い材料から構成するのが好ましい。あるいは、当業者ならばキャビティインサートについて、またガラス層60、樹脂、接着材および充填材の使用に関して適当な材料を選択できるはずである。
【0072】
図4A〜
図4Hに各種のキャビティインサート50を示し、そして
図3A〜
図3Bにキャビティ25にキャビティインサート50を挿入する方法の実施例を示す。即ち、この具体的な実施例の場合、キャビティインサート50に脚部51を形成し、例えば摩擦嵌めかスナップ嵌めによってこれら脚部51を対応するキャビティ25に受け取る。
【0073】
さらに、
図3A〜
図4Gに示すように、キャビティインサート50は細長く、2つのキャビティ25に挿入されるもので、さらに首部分52を有し、この首部分52がグラブネジなどを挿入すべき穴に挿入される。(各キャビティ25につき一つの関係で)2つの別々なキャビティインサートも使用できることは論じるまでもない。
【0074】
図5Aに、サーフクラフトに装着する前のフィンプラグアセンブリー10の実施例を示し、そして
図5B、
図5Cおよび
図5Dに装着後のフィンプラグ10の実施例を示す。なお、ガラス層60としてはガラス繊維マットか樹脂含侵繊維からなる層または被覆層を使用できる。
図5Bの平面図に示すキャビティインサート50は、フィンプラグの装着時およびガラス層60の被覆時にフィンキャビティ25を保護するものである。
図5Cは、フィンプラグ10の全体をガラス層60で被覆した装着後のフィンプラグ10のフィンキャビティ25を介して見た横断面図である。マスクテープ55または同様な形状のステッカーをフィンキャビティ25の開口30に貼着してから、
図10A〜
図10Hを参照して後述するように、ガラス層60を覆うことができる。あるいは、キャビティインサート50を使用することも可能である。穴35が発泡体42とともに一つの表面を構成することはいうまでもなく、
図10A〜
図10Hを参照して後述するように、この表面のガラス層60への接着性が向上する。
図5Dは
図5Cの別な横断面図であり、開口30をフィンキャビティ25に設けるガラスルーティングプロセス後のフィンプラグ10の実施例を示す図である。本明細書に記載するように、この装着/製造プロセスを適用すると、フィンプラグの表面と比較して発泡体への接着が増し、フィンプラグ10の上面15を覆うガラス層60の表面積が拡大し、そして平坦な装着(ガラス層60のテント状領域(tenting)64が存在しないか、存在しても限られている)を実現できることはいうまでもない。
【0075】
図8は
図5Cの長手方向側横断面図であり、図示のように、別な実施例として
図3A、
図3B、
図4A〜
図4Hの同じ高さのキャビティインサート50をフィンキャビティ25に挿入した実施例を示す。フィン離脱抑制手段810も図示してある。このフィン離脱抑制手段はこのフィンキャビティ内に設けた棚部分を有し、フィンのベース要素の一部に重なるか、あるいはフィンのベース要素またはタブに係合するものである。
【0076】
図9に、凸状の上部キャビティインサート50Aをフィンキャビティ25に挿入した
図8の別な実施態様を示す。この凸状の上部キャビティインサート50Aは高さがフィンプラグの上面15と同じでないため、凸状の上部キャビティインサート50A全体にわたってガラス層60がわずかにテント状領域64になる。これが、キャビティインサート50A上からガラス層60を取り外すさいにキャビティインサート50Aの位置を示すことになるため有利である。
【0077】
特に、本明細書に記載するフィンプラグ10の場合、キャビティ25の開口30の表面周囲の少なくとも一部に、あるいは全部に形成したランプ(傾斜部)70、リップなどを備える。ランプ70の実施例を
図10D、
図11D、
図11E、
図12Aに示す。即ち、ランプ70はフィンプラグ10の上面15からわずかに突出した表面を有する。ランプ70が各フィンキャビティの周囲に小さな凸部または凸状リップを形成するため、樹脂をガラス繊維マットに注入するか、あるいは含侵して製造プロセス時にガラス層60を形成するさいに、樹脂材がキャビティに入り込むことはない。
【0078】
図10A〜
図10Hにはランプ70をフィンプラグ10に一体化することを示すが、フィンプラグ10の場合、ランプまたは凸状リップ(換言すると、キャビティインサート50、50Aとして)を形成するキャップも有するため、フィンプラグ10がランプ70を形成するキャップまたは凸状の上部キャビティインサート50Aとともに平坦な上面15を有することになる。あるいは、キャップまたは同じ高さのキャビティインサート50を設けた上面を完全に平坦化し、ボードにガラス処理した後、キャビティをルーティングする。あるいは、マスクテープまたは成形したブランク材ステッカーを開口30に貼着し、樹脂材および他の望ましくないものが、ウォータークラフト製造時およびフィンプラグ装着時にフィンキャビティ25に入り込むことがないようにすることも可能である。
【0079】
添付図面に示したフィンプラグの考えられる製造方法および装着方法のさらに別な実施例について以下説明する。
【0080】
図10Aは、本発明の第2態様の好適な実施態様によるフィンプラグアセンブリーの展開図である。このフィンプラグアセンブリーはフィンプラグ10を有し、そして発泡体本体40を有する。既に記載したように、フィンプラグ10は上面15と底面22との間に延在する複数の穴35を有する。
図10Aに示すように、発泡体は複数の穴充填体42または突出体を有する。これら充填体42はフィンプラグ10の対応する穴35に設ける。
【0081】
図10B〜
図10Hに、フィンプラグ10および発泡体本体40を有する複合フィンプラグアセンブリー90の実施例を示す。これら実施例では、発泡体本体40の発泡体充填体42をフィンプラグ10の対応する穴35内に設ける。
【0082】
一般的に、フィンプラグアセンブリー90はフィンプラグ10をモールド(金型)に挿入し、液体発泡体をモールドに射出して発泡体を形成し、これをフィンプラグ10の下側の周囲および穴35内に接着することによって発泡体を形成する。次に、発泡体を加熱して発泡体の硬化を促進し、複合発泡体及びフィンプラグアセンブリー90を形成する。従って、一般的に、発泡体本体40はフィンプラグ10の下側周囲に形成する。即ち、本明細書に記載するように、発泡体本体40とフィンプラグ10が一緒になって(
図10B〜
図10Hに示すように)複合発泡体及びフィンプラグアセンブリー90を形成するものである。
【0083】
発泡体充填体42は穴35を占有し、
図10Bおよび
図10Dに示すように、発泡体充填体42の上端44がフィンプラグ10の上面15と実質的に同じ高さであるため、ガラス層60に対して有効に接着する。
図5Cおよび
図5Dは、穴35を有し、そしてガラス層60に接着する発泡体充填体42を有するフランジ19を示す横断面図である。発泡体充填体の上端44が露出している結果、次の工程でフィンプラグアセンブリー90に設けられる樹脂材との接着性がレベルアップする。これは、樹脂材が全体としてフィンプラグに一般的に用いられる硬質プラスチック系材料に対してよりも発泡体に対する化学的/機械的接着が強くなるからである。また、樹脂材は穴35の内部の発泡体充填体42に少なくとも部分的に浸透するため、貼着されたガラス層60に対する機械的キー結合がさらに強くなる。複合フィンプラグアセンブリーに貼着されるガラス層60を
図5B、
図5C、
図5D、
図8、
図9に示す。従って、ガラス層60によってフィンプラグ10の上面15およびフランジ19のウォータークラフト本体の残り部分に対する接着および機械的接続がさらに強くなる。
【0084】
穴35内部の発泡体42については、上面15と同じ高さになるように穴35を完全に占有する必要はなく、ガラス層60との接着が十分になる程度に穴を充填すればよいことはいうまでもない。ガラス層60については、穴35に部分的に入り込んでいてもよく、あるいは発泡体充填体42が穴35からはみ出していてもよく、この場合には発泡体充填体42が上面15から突出することになる。例えば、発泡体充填体42の上面15からの突出量は約3mm以下であればよく、より好ましくは約1mm以下であればよい。
【0085】
発泡体充填体42が充填されている穴35の形状/寸法についても、変更可能であり、フィンプラグ10、ガラス層60およびウォータークラフト本体の残りの部分間の接着および機械的接続が目的通り得られる程度あればよい。穴の形状、構成および個数については、平面部分16とフランジ19の構造的一体性を維持した状態で、フィンキャビティとガラス層60との間の目的とする接着および機械的接続がレベルアップできるように最適化、変更することができる。例えば、穴の断面形状は添付図面に示す通りである。即ち円形でもよく、半円形でもよく、部分円形でもよく、部分六角形でもよい。さらに横断面形状を例示すると、スロット形、楕円形、矩形、正方形、不規則形状、多角形などを挙げることができ、いずれもガラス層60に接着する発泡体表面を与えるために必要な機能を満足できる。あるいは、平面部分16およびフランジ19について、少なくとも部分的に穴または開口からなる格子として構成してもよく、この場合穴または開口は格子の形状、あるいは格子を形成する枠組みに応じて異なる形状を取ることができる。
【0086】
別な実施例として、上面15には波形加工(rippled or corrugated)を適用することが可能である。波形表面によって形成される凹部(well)にガラス層60に接着する発泡体を設けることができる。
【0087】
またいうまでもなく、以下に詳しく説明するように、第2成形プロセスを使用すると、発泡体を盲孔である穴に貼着することができる。例えば、これら穴は上面15において一端のみが開口する。換言すると、これら穴または開口はフランジ19または平面部分16の厚み分のごく一部に延在するものである。あるいは、盲孔にはフィンプラグの上面に凹部(recess)を形成してもよい。
図19A〜
図20Bにフィンプラグの平面部分16およびフランジ19の盲孔1935を示す。対応する発泡体本体1940、40は発泡体充填体1942を有し、これら充填体が
図19Aおよび
図20Aの発泡体本体に対して図示のように独立している盲孔を充填する。発泡体を予備成形する場合には、即ちフィンプラグの周囲に射出成形しない場合には、盲孔に対する発泡体充填体1942も予備成形した発泡体充填体1942として用意することができる。
【0088】
図10D〜10Hから理解できるように、フィンプラグアセンブリー90の場合、アセンブリーの上部および底部だけでなく発泡体本体40に対応する側壁92の周囲においても発泡体表面が露出する。複合フィンプラグアセンブリー90の底部および側壁92の発泡体表面が露出しているため、フィンプラグアセンブリーの樹脂材に接着する能力がレベルアップする。なお、この樹脂材は、フィンプラグアセンブリー90のサーフクラフトへの装着時に一般的にフィンプラグアセンブリー90の周囲に貼着されるものである。装着方法の実施例については、以下に詳しく説明する。
【0089】
発泡体本体または発泡体充填材(40)を形成するために使用する発泡体材料は、サーフボードおよびウォータークラフトの発泡体ブランク材を使用する発泡体材料と同じか、実質的に同様なものか、あるいは互換性をもつ材料であればよい。例えば、独立気泡ポリウレタン(PU)、独立気泡発泡ポリスチレン(EPS:発泡スチロール)および独立気泡押し出しポリスチレン発泡体(押し出し法ポリスチレン・フォーム)を例示することができる。このような発泡体の密度は、約15〜50kg/m
3の範囲内にある。
【0090】
別な実施態様では、発泡体または発泡体充填材40は、ウォータークラフトまたはサーフクラフトの発泡体ブランク材62に使用する独立気泡発泡材よりも強度が高く、剛さが強ければよい。このように強度が高く、剛さが強い発泡体は、一般的に、ウォータークラフトブランク材およびサーフボードブランク材に使用する発泡体と比較した場合密度がより高い。例えば、発泡体密度としては約50kg/m
3以上、より好ましくは70kg/m
3以上であればよい。
【0091】
密度の高い発泡体については、 前記の発泡体ブランク材と同じタイプか、あるいは類似のタイプであればよく、例示するとエポキシ発泡体、ポリエチレンテレフタレート(PET)発泡体、ポリ塩化ビニル(PVC)発泡体がある。当業者ならば好適な機能の発泡体を選択あるいは設計できるはずである。
【0092】
発泡体ブランク材と比較して高い発泡体または発泡体充填材のより高い密度によってウォータークラフトまたはサーフクラフト内部の複合発泡体及びフィンプラグアセンブリーの性能において多くの作用効果を実現することができる。例えば、上面の穴35内部により剛く、あるいはより強い発泡体が存在すると、ガラス層60と複合発泡体及びフィンプラグアセンブリーとの接着時により強い力を伝達でき、その上この力に対抗できる。発泡体充填材40の発泡体の側壁および底部に関して、その作用効果は、本明細書に援用するPCT特許出願第PCT/AU2008/001132(発明の名称:フィンプラグアセンブリーおよび装着方法、出願日:2008年8月5日)に開示されている通りである。
【0093】
図10A〜
図10Hに示すように、発泡体本体40の側壁92の形状はフィンプラグ10のフランジ19の外周22と実質的に同じである。側壁92の形状については凸状でもよく、鋸歯状(sawtooth)でもよく、波形でもよく、切り欠き状(undercut)でもよく、これら以外の凹状でもよく、これによって側壁の機能および側壁と発泡体ブランク材との相互作用がレベルアップする。
図19Aおよび
図19Bに、直線状の側壁1992をもつ発泡体本体1940を示す。
【0094】
図11A〜11Hに別な実施例の複合フィンプラグアセンブリー100を示す。この実施例のフィンプラグ110は第1発泡体部分40Aまたは第1発泡体層を有し、そして第2発泡体部分40Bまたは第2発泡体層を有する。このように、この具体的な実施例では、剛性を示す(即ち可塑性を示す)フィンプラグ110を発泡体部分40Aと40Bとの間に挟み、接着するか、あるいはこれらによってカプセル化する。第1発泡体部分40Aは穴25Aを有し、これらを介してフィンプラグ110のフィンキャビティ25が整合する。第2発泡体部分40Bは、フィンプラグ110のベース部分を受け取る凹部18Aを有する。フィンプラグ110については、樹脂材(または他の好適な接着材)によって発泡体部分40Aおよび40Bに接着すればよい。
【0095】
図11A〜
図11Hから理解できるように、フィンプラグアセンブリー100はアセンブリーの上部および底部においてだけでなく、アセンブリーの側壁の周囲において発泡体表面が露出する。これら発泡体表面が露出しているため、フィンプラグアセンブリーの、一般にサーフクラフトへの装着時フィンプラグアセンブリー100の周囲に設けられる樹脂材に対する接着性がレベルアップする。
図10〜
図10Dで説明したように、ガラス層60がウォータークラフト本体の残りの部分を、フィンプラグ110を上面にして第1発泡体部分40Aに接着し、これに機械的に接続する。
【0096】
別な実施例では、発泡体部分40A、40Bは、
図10A〜
図10Hで説明したように、フィンプラグ110の周囲に射出成形してもよい。論じるまでもなく、
図11A〜
図11Hに示すフィンプラグアセンブリー100は、発泡体(例えばモールド内において)フィンプラグ110の周囲に形成するか、あるいは好適には2つの予め切断した発泡体片をフィンプラグ10に接着することによって構成することができる。また論じるまでもなく、第1発泡体部分40Aには、穴、スロットを付加することができ、あるいは(図示を省略した)接続構成の凹部を形成することができ、ガラス層60のこの別な実施例のフィンプラグアセンブリー100への接着および機械的キー結合をさらにレベルアップすることができる。
【0097】
図12A〜
図12Gに、さらに別な実施例の複合フィンプラグアセンブリー200を示す。この装置200はフィンプラグ210を有し、そして発泡体本体240を有する。発泡体本体240は、フィンプラグ210を受け取るプラグキャビティ250を有する。
図12Aから理解できるように、プラグキャビティはフィンプラグ210の平面部分16Cを受け取る浅いキャビティ250Aを有し、そしてフィンプラグ210が設けられるベース部分18Cを受け取るより深いキャビティ250Bを有する。フィンプラグ210については、発泡体本体がフィンプラグ210の平面部分16Cの周囲に発泡体244の壁または周辺リッジを形成するように発泡体本体240に設ける。このフィンプラグ210は樹脂材(またはその他の好適な接着性材)によって発泡体本体240に接着すればよい。
図12A〜
図12Gから理解できるように、フィンプラグアセンブリー200は発泡体壁244の上部および装置の底部だけでなく、発泡体本体240の側壁1292の周囲において発泡体表面が露出する。これらの露出した発泡体表面および周辺リッジ244によって、フィンプラグアセンブリーの、一般にサーフクラフトへの装着時フィンプラグアセンブリー200の周囲に設けられる樹脂材に対する接着性がレベルアップする。
【0098】
別な実施例の第1発泡体部分40Aについても
図12A〜
図12Gにおけるフィンプラグ210の平面部分16Cの上面に貼着できることは無論である。フィンプラグ210に対して別な実施例の第1発泡体部分または第1発泡体層があるため、フィンプラグ210、ガラス層60およびウォータークラフトまたはサーフクラフトの本体の残りの部分の間の接着および機械的接続がさらにレベルアップする。
【0099】
図19A、
図19B、
図20Aおよび
図20Bに側壁92、1992の延長としての発泡体の周辺リッジ344を示す。周辺リッジ344は、フィンプラグ10のフランジ19の平面部分16の周囲に発泡体からなる壁を形成する。また、この周辺リッジ344は、ガラス層60と接着し、機械的に接続し、フィン、フィンプラグ10、ウォータークラフトまたはサーフクラフトの本体の間における力の伝達をレベルアップする。
【0100】
図13A〜
図13Gにフィンプラグ310の別な実施例を示す。この具体的な実施例では穴35が、フィンプラグ310を上から見た時に(例えば
図13Bの場合のように)ハニカム状構造を形成する。さらに、この具体的な実施例の場合、フィンプラグ310の外周22の周囲に形成するスカート部分311を有する。このスカート部分311は複数のスカート要素320を有し、そしてこれらスカート要素間に複数の空隙321を有する。図示から理解できるように、スカート部分311は上面15から、(サーフクラフトのフィンを固定する)ベース部分18A内のキャビティ25の長さと同等な長さ下に延在する。いうまでもなく、この具体的な実施例では、発泡体の充填時、発泡体がスカート要素320間の空隙321を充填する。一旦充填されたなら、外周22は(隣接空隙内の)プラスチックスカート要素320と発泡体からなる粗面になる。さらに、発泡体はフィンキャビティ25の周囲においてハニカム状構造の穴も充填することになる。また、発泡体は、
図13Fに示すように、ハニカム状構造の下に延在し、スカート部分311およびベース部分18Aによって境界が設定される部分内に存在することになる。次に、別な実施例の複合発泡体及びフィンプラグアセンブリー310を形成すればよい。
【0101】
さらに別な実施例として、
図14A〜
図14Gに複数の穴35を有するフィンプラグ410の実施例を示す。この実施例では、フィンプラグは画然とした境界即ち外周22を有する。この具体的な実施例では、フィンプラグ410の穴35を発泡体で充填すると、発泡体が見えるのは、複合発泡体及びフィンプラグアセンブリーの上面15および底面20においてのみである。
【0103】
図16A〜
図16Hの実施例では、発泡体本体540の側壁に一つかそれ以上のチャネル541を設ける。チャネル541については、フィンプラグアセンブリー500のサーフクラフトへの挿入時に余分な樹脂がある場合に、この樹脂がチャネル541を抜けて上方かつ外側に流れ、発泡体ブランク材の表面から離脱するように発泡体本体540に成形する。さらに論じるまでもなく、一つかそれ以上のチャネル541を設けると、装置500のサーフクラフトへの挿入が容易になる。チャネル541の空間が、フィンプラグアセンブリー500の挿入時に余分な樹脂の空隙になるからである。実施例に示すように、チャネル541にはランプを形成した部分543を設けることができる。
【0104】
図1A〜図1B、図2A〜図2H、図3A〜図3B、図4A〜図4H、図10A〜図10H、図13A〜図13G、図14A〜図14G、図19A〜図19Bおよび図20A〜図20Bに示す複合発泡体及びフィンプラグアセンブリーの製造方法に関する第1実施例
前記図のフィンプラグの製造するさいには以下の工程(ステップ)を取ることができる。
1)剛直な熱可塑性材の射出成形することによってフィンプラグを形成する工程。
2)先願のPCT/AU2013/000738に開示したように、バイアス作用手段45の工具を使用しない機構を適用するための構成部品を組み立てる工程。
3)射出成形を使用して剛直な熱可塑性材からキャビティインサートを形成する工程。
4)キャビティインサートをフィンプラグにスナップ嵌めする工程。
5)キャビティインサートを設けたフィンプラグを第2の金型(モールド)に挿入し、組み立てたフィンプラグおよびキャビティインサートの周囲に発泡体を吹き込み成形する工程。発泡体がフィンプラグのすべての露出空隙/穴を充填し、フィンプラグの目的の表面に接着する。第2の金型については、好ましくは発泡体がフィンプラグおよびキャビティ充填体の目的でない表面に接着しないように設計する。
6)余分な発泡体がある場合にはフィンプラグから機械的に切り出し、プラグの上下面(例えば上面15および底面20)を露出させる工程。このようにして、前記の複合発泡体及びフィンプラグアセンブリーの形態が使用できる状態になる。
【0105】
論じるまでなく、予め成形した発泡体本体40が望ましい場合にも同様な製造方法を適用することができる。この場合には、次にフィンプラグに発泡体本体40をフィンプラグに接合するか、あるいは接着する。この接合については、
図3Aおよび
図3Bならびに
図10A〜
図10Hに図示し、説明を与えている。
【0106】
前記の複合発泡体及びフィンプラグアセンブリーの装着に関する第1実施例
一般に、フィンプラグをサーフボードに装着する前に、フィン位置をサーフボードの造形装置(shaper)によってボード下側に印した状態でサーフボード発泡体ブランク材を成形しておく。発泡体ブランク材には一つかそれ以上のガラス層を形成してもよいし、あるいは形成しなくてもよい。次に複合発泡体及びフィンプラグアセンブリーを装着するが、その工程は次の通りである。
I.ルーター(router)を使用して、複合発泡体及びフィンプラグアセンブリーの発泡体本体に対応するサーフボード発泡体ブランク材に小穴を開ける。フィン位置マークを参照して、具体的なルーターテンプレートガイドを位置決めし、小穴を開けることができる。また、ルーターを使用して、ルーターを発泡体本体の対応する側壁部分および発泡体本体及びフィンプラグアセンブリーの対応する深さ部分に案内することもできる。
II.(例えばマルチフィンサーフボードの場合には)、装着冶具を複合発泡体及びフィンプラグアセンブリーの各小穴に、そして各小穴周囲に挿入する。この装着冶具を使用して、後工程でフィンプラグに挿入することになるフィンのフィンプラグの傾斜角度および先端角度を調節する。この装着冶具については、複合発泡体及びフィンプラグアセンブリーを固定するために使用する樹脂が硬化するまでテープを所定位置に貼っておくことができる。
III.樹脂と充填材(カボシル“cabosil”、ミルドまたはチョップトガラス繊維マット繊維など)との混合物を小穴キャビティに注入し、フィンプラグの上面15がサーフボードの発泡体ブランク材の外面と同じ高さになるまで複合発泡体及びフィンプラグアセンブリーを小穴にプレスする。
IV.装着冶具を使用してフィンプラグの傾斜角度および先端角度を調節する。
V.樹脂の硬化後、装着冶具を取り外し、サーフボードやウォータークラフトの製造時に通常行われているようにサーフボードにガラス層60を貼着する。例えば、サーフボード全体にガラス繊維ファブリック/マット層を貼着し、樹脂を順次含侵する。次に仕上げ充填またはガラス層の仕上げ被覆を行ってから、サンダー処理および研磨処理を行って仕上げ処理を行う。
VI.フィンキャビティ25の開口30は、次のようにして開けることができる。キャビティインサート50上の十字線マーク54を使用して、第2ルーターテンプレートガイドをフィンプラグにアライメントしてから、ルーターを使用してキャビティインサート50真上のガラス層60を除去する。ガラス層60のテント状領域64を使用する別な実施例では、凸状の上部キャビティ充填体50A上のガラス層60が十分に除去され、凸状キャビティ充填体50Aがきれいに取り除かれるまで、テント状領域64の凸状ガラス層をサンダー処理することができる。
VII.フィンキャビティ25のガラス層60の開口30のエッジを適宜仕上げ処理する。
【0107】
前記実施例および本明細書に記載する複合発泡体及びフィンプラグアセンブリーの製造方法の作用効果に関する第1実施例
以下の作用効果を実現することができる。
(a)フィンキャビティ25の開口30を覆うためのステッカーが必要なくなる。ステッカーやマスクテープの使用は時間を要するものであり、その上これらを使用すると、フィンキャビティに樹脂などが流れ込む劣化状態が発生する。
(b)フィンプラグがサーフボードの発泡体ブランク材表面と同一平面になるので、ガラス層60を複合発泡体及びフィンプラグアセンブリーにその周囲を含めて貼着する時間がより短くなり、また貼着がより簡単になる。気泡を除去し、フィンキャビティに対する開口周囲に凸状リップをもつフィンプラグの周囲にガラス層を設けるさいには注意する点がより多くなる。
(c)ガラス層の貼着時および仕上げサンダー処理/研磨処理時におけるガラス繊維ラップのサンダー処理がより簡単になる。
(d)フィンキャビティ25に対する開口30を除く複合発泡体及びフィンプラグ上面15の前面をガラス層で覆うことができる。この結果、ガラス層60が上面15に接着し、機械的にキー結合する表面積が拡大することによって、上面15とこれ以外のサーフボードとの機械的結合がより強くなる。フィンキャビティに対する開口周囲にランプまたは凸状リップを有する従来のフィンプラグの場合、サンダー処理を行うと、開口周囲のガラス層が開口およびフィンキャビティから後退するか、羽毛化して開口およびフィンキャビティから離間する問題が発生する。
(e)上面において樹脂が発泡体と化学的、機械的に接着するため、従来フィンプラグのプラスチック面やそれ以外の面にのみ接着する場合と比較して接着がレベルアップする。
(f)キャビティインサート50を使用すると、装着冶具を使用してフィンプラグの傾斜角度および先端角度を調節することが容易になる。このためには、同じ平面の参照面に対して角度を調節すればよい。
(g)見た目が良くなる。即ち、好ましい高密度を有し、好ましい構造上の利点もつ発泡体が目を引く特徴になるだけでなく、個々のウォータークラフトまたはサーフボードに優れたフィンプラグおよび装着方法が使用されていることを示すからである。
【0108】
複合発泡体及びフィンプラグアセンブリーの製造方法に関する第2実施例
製造方法の第1実施例の別な実施例では、余分な発泡体を除去するさいに工程6)における第1キャビティインサートを犠牲にする。発泡体で上面15およびキャビティインサート50を覆った状態では、ルーターやその他の工具を使用してキャビティインサート上の発泡体を除去することは経済的にも、また時間的にも効率がよく、キャビティインサートの一体性の維持について前もって留意する必要はない。新規なキャビティインサートを使用すると、発泡成形に使用するキャビティインサートをこれと交換することができる。また、この新規なキャビティインサートには、ルーターを使用してガラス層60を介してフィンキャビティにアクセスするさいに、第2テンプレートガイドの位置決めを案内する十字線マーク54を設定することも可能である。
【0109】
犠牲的なキャビティインサートを使用すると、図示の第1実施例の複合発泡体及びフィンプラグアセンブリーを形成することができる。これは、上面15に対する発泡体の過剰量が多すぎるため、キャビティインサートを見ることができない場合に特に有効である。
【0110】
犠牲的なキャビティインサートの場合、穴25Aがない別な第1発泡体層40Aをフィンプラグの上面に貼着するか、あるいは射出成形する
図11A〜
図11Hおよび
図12A〜
図12Gの複合発泡体及びフィンプラグアセンブリーにも使用することが可能である。次に、フィンキャビティの穴25Aを開口するが、これはキャビティインサートの一体性に対してそれ程注意しなくても行うことができる。発泡体ブランク材へ装着する前に、犠牲にしたキャビティインサートの代わりに第2キャビティインサートを使用することができる。
【0111】
複合発泡体及びフィンプラグアセンブリーの装着方法に関する第2実施例
装着方法の第1実施例の別な実施例では、フィンプラグ10に装着する前に、発泡体ブランク材に予備成形済み発泡体本体40、40B、24、540、1940を個別に装着する。既に説明したように、フィンプラグの発泡体本体はフィンプラグに予備成形することができる。第1実施例の工程II〜IVに記載したように適宜装着冶具を使用して、予備成形済み発泡体本体を個別に発泡体ブランク材に装着することができる。その後、フィンプラグを個別に装着する付加的な工程として、既に発泡体ブランク材に装着されている発泡体に対し、フィンプラグを接合あるいは貼着してもよい。
【0112】
予備成形済み発泡体本体を別に装着する場合、これはフィンプラグ、予備成形済み発泡体本体、接着剤、切断テンプレートまたはルーティングテンプレート、適宜使用する装着冶具および手引書からなるアセンブリーキットの場合と同じように提供されるものである。
【0113】
アセンブリーキットは、複合発泡体及びフィンプラグアセンブリーを組み立てるさいにも好適に適用することができ、次に装着方法に関する第1実施例で説明したように発泡体ブランク材に装着すればよい。
【0114】
本明細書では、垂直、上下、左右などの方向を示す用語、あるいは回転を示す用語は、特に断らない限り、絶対的な方向または回転を示すものではなく、対応する図面における方向または回転であることを理解されたい。
【0115】
また、“有する、なる、あるいはもつ”は“開いた”意味において理解するべきもので、“のみからなる”という“閉じた”意味で解釈すべきものではない。
【0116】
また、以上説明し、請求項に記載した発明は、以前記載し、かつ明細書から明白な個々の特徴のうち2つかそれ以上の特徴からなる実施態様に拡張できるもので、これら異なる実施態様すべては本発明のそれぞれ態様を構成するものである。
【0117】
以上、本発明の具体的な実施態様を記載してきたが、当業者にとっては、発明の本質的な特徴から逸脱することなく、本発明を他の具体的な形態でも実施可能であることは説明するまでもないことである。従って、記載してきた実施態様および実施例はいずれも例示を目的とするもので、制限を意図していない。すべての変更例は当業者には自明なもので、いずれも本発明に包含されるものである。