【課題を解決するための手段】
【0009】
以下で、本発明の理解を容易にするために、例について説明する。
【0010】
[1]a.複数のセル要素(191;291;391、392)を含む格子構造(110;210;310)と、
b.踵を3次元に取り囲む踵要素(120;220;320)と、
c.踵要素と格子構造とを相互連結するベース部分(130;230;330)であって、格子構造の縁部に沿って位置決めされない複数の隣接するセル要素に連結するように配置された伸長部を有するベース部分とを含む、スポーツシューズ用の付加製造されたソール、特にミッドソール。
【0011】
[2]格子構造(110;210;310)の物理的特性、特に密度および/または剛性および/または通気性が、ソールのリムからソールの中心に向かって低下する、[1]に記載のソール。
【0012】
[3]セル要素(191;291;391)の形状が、ソールの厚さに沿って略一定である、[1]または[2]に記載のソール。
【0013】
[4]格子構造(110;210;310)、踵要素(120;220;320)、および/またはベース部分(130;230;330)が、同じ種類の材料、特にポリエーテルブロックアミドまたは熱可塑性ポリウレタンから製造される、[1]〜[3]のいずれか1つに記載のソール。
【0014】
[5]a.複数のセル部位(390)を含む格子構造(310)を含み、
b.セル部位(390)の大部分が相互連結されたセル要素(392)を含み、
c.セル部位(390)のサブセットが、セル部位の大部分よりも少なくとも1つの隣接するセル部位との連結部が少ない、かつ/またはセル間隙を有するセル要素(391)を含む、スポーツシューズ用の付加製造されたソール、特にミッドソール。
【0015】
[6]サブセットのセル部位の少なくとも1つが、格子構造(310)の表面、特に格子構造の縁部に配置される、[5]に記載のソール。
【0016】
[7]サブセットのセル部位の少なくとも1つが、ソールの踵領域に配置される、[5]または[6]に記載のソール。
【0017】
[8]サブセットの一部でない少なくとも1つかつ30以下のセル部位が、サブセットの2つの最も近接したセル部位間に配置される、[5]〜[7]のいずれか1つに記載のソール。
【0018】
[9]ソールが、1つまたは複数の付加製造された安定化要素(160;260、280)、特に1つまたは複数の側部安定化要素および/または1つまたは複数のねじり安定化要素(160;260、280)をさらに含む、[1]〜[8]のいずれか1つに記載のソール。
【0019】
[10]ソールがレーザ焼結によって少なくとも部分的に作製される、[1]〜[9]のいずれか1つに記載のソール。
【0020】
[11]ソールがポリマー材料、特に海から回収したポリマー材料を含む、[1]〜[10]のいずれか1つに記載のソール。
【0021】
[12]a.付加製造された格子構造(500;610)と、
b.格子構造とは別個に製造された機能要素(600)とを含み、
c.格子構造および/または機能要素が少なくとも1つのレセプタクル(501;608)を含み、
d.機能要素と格子構造とが、少なくとも1つのレセプタクルを介して互いに機械的に取り付けられる、スポーツシューズ用のソール、特にミッドソール。
【0022】
[13]レセプタクルがスナップ嵌めおよび/またはスナップ留め要素(504、505;604)を含む、[12]に記載のソール。
【0023】
[14]格子構造がポリマー材料、特に海から回収したポリマー材料を含む、[12]または[13]に記載のソール。
【0024】
[15]格子構造が複数の格子層を含む、[1]〜[14]のいずれか1つに記載のソール。
【0025】
[16]格子構造が、異なる物理的特性、特に異なる密度、異なる剛性、および/または異なる通気性を有する少なくとも2つの領域(171〜174;271〜275;921、922、930、941、942)を含む、[1]〜[15]のいずれか1つに記載のソール。
【0026】
[17]格子構造が、基本的に足全体にわたって延びるように構成される、[1]〜[16]のいずれか1つに記載のソール。
【0027】
[18]格子構造が、12面体、特に菱形12面体として形成された少なくとも1つのセル要素を含む、[1]〜[17]のいずれか1つに記載のソール。
【0028】
[19]格子構造が、格子構造の上面から格子構造の底面および/または側面へ延びる少なくとも1つの流体チャネルを含む、[1]〜[18]のいずれか1つに記載のソール。
【0029】
[20]格子構造が、異なる形状を有する少なくとも2つのセル要素(491、492、493)を含む、[1]〜[19]のいずれか1つに記載のソール。
【0030】
[21]ソールが、格子構造とともに付加製造された、格子構造のリムに沿って囲む中実リム要素(140;240)をさらに含む、[1]〜[20]のいずれか1つに記載のソール。
【0031】
[22]格子構造が、第1の形状を持つ第1の複数のセル要素を有する第1の領域(171〜174;271〜275)と、第2の形状を持つ第2の複数のセルを有する第2の領域(171〜174;271〜275)とを含む、[1]〜[21]のいずれか1つに記載のソール。
【0032】
[23]格子構造が少なくとも1つの可動要素(750、751)を含む、[1]〜[22]のいずれか1つに記載のソール。
【0033】
[24]アッパーと、[1]〜[23]のいずれか1つに記載のソールとを含むシューズ。
【0034】
[25]中間シュトローベル靴型なしで、ソールとアッパーとが互いに直接連結される、[24]に記載のシューズ。
【0035】
[26]アッパーが中実リム要素(140;240)に連結される、[21]に戻って参照する[24]または[25]に記載のシューズ。
【0036】
[27]アッパーが、ポリマー材料、特に海から回収したポリマー材料を含む糸を含む、[24]〜[26]のいずれか1つに記載のシューズ。
【0037】
[28]アッパーとソールとが、同じ種類の材料、特に熱可塑性ポリウレタンまたはポリエーテルブロックアミドを含む、[24]〜[27]のいずれか1つに記載のシューズ。
【0038】
本発明の態様によれば、この目的は、[1]、[5]、および[12]に記載のソール、特にミッドソールによって少なくとも部分的に達成される。
【0039】
例では、スポーツシューズ用の付加製造されたソール、特にミッドソールが提供される。ソールは、複数のセル要素を含む格子構造を含む。ソールは、踵を3次元に取り囲む踵要素をさらに含むことができる。さらに、ソールは、踵要素と格子構造とを相互連結するベース部分であって、格子構造の縁部に沿って位置決めされない複数の隣接するセル要素に連結するように配置された伸長部を有するベース部分を含むことができる。格子構造、踵要素、およびベース部分を一体に製造してもよいことを理解されたい。
【0040】
付加製造された格子構造は、弾性および/または粘弾性であり、ソールに緩衝性を与えることができる。同時に、踵要素は、足に対して足首支持をもたらし、シューズ内における足の滑りおよび/またはねじれを防止して、高性能のスポーツシューズ、例えばランニングシューズに適した安定したソールを提供できるようにする。
【0041】
ソールの安定性は、踵要素と格子構造とを相互連結するベース部分によって特にもたらすことができ、ベース部分は、格子構造の縁部に沿って位置決めされない複数の隣接するセル要素に連結するように配置された伸長部を有する。したがって、踵要素は、例えば格子構造の後縁部に沿った格子構造のセル要素の1本の線を介して格子構造に相互連結されるのではなく、相互連結部は、例えば格子構造の上面に配置可能な隣接するセル要素を含む。
【0042】
踵要素が(また)、格子の縁部に沿って位置決めされない複数の隣接するセル要素を介して格子構造に連結されることにより、ソールの外側および内側の外側/内側力ならびにトルクの伝達を大幅に向上させることができる。力およびトルクを、2次元に効果的に配置されたセル要素との境界面を介して格子構造に伝達することができる。同様に、踵要素を介してソールの後側で前方/後方への力の伝達を向上させることができる。加えて、踵要素と格子構造との間の力を多数のセル要素を介して伝達して、セル要素ごとの力、したがって破損の危険を低下させるようにする。したがって、踵要素は、格子構造への特定の連結によって、より大きい力を伝達することができる。一部の例では、ベース部分は、格子構造の縁部に沿って位置決めされない少なくとも3、少なくとも5、少なくとも10、または少なくとも20の隣接するセル要素に連結することができる。
【0043】
ベース部分の伸長部を、格子構造の縁部に沿って位置決めされた複数の隣接するセル要素にも連結するように配置してもよいことを理解されたい。一部の例では、格子構造が、例えば、縁部に配置された第1の列のセルと、その縁部には配置されないが、例えば格子構造全体の上面または側面の第1、第2、第3などの列のセルのそれぞれに隣接して配置された、第2、第3、第4などの列のセルとを含むことができる。ベース部分は、第1および第2の列、また場合によって第3、または最大で第4、第5などの列のセルに位置決めされた複数の隣接するセル要素に連結するように配置された伸長部を有してもよい。
【0044】
ソールによって与えられる機械的特性、例えば剛性(例えば圧縮強度、剪断強度および/または曲げ強度および/またはねじり剛性を含む)、密度、重量、緩衝性、エネルギーリターンなどを必要に応じて調整することができるように、格子構造は多数の異なる設計オプションを提供することができる。さらに、格子構造を、金型を必要としない付加製造方法によって作製可能なようにカスタマイズすることができる。したがって、カスタマイズされたソールを、短いリードタイムで提供することができる。例えば、足の幅および/もしくは長さ、着用者の体重、きつめ/ゆるめについての着用者の好み、ならびに/またはソールを使用するシューズのタイプなどに関して、ソールをカスタマイズすることができる。さらに、付加製造を使用するミッドソールの一体製造により、ミッドソールの別個の要素の組立てが不要になる。同様に、付加製造されたミッドソールを、ミッドソールの再利用を容易にすることのできる単一材料から作製してもよい。踵要素を3次元に成形してもよいことに留意されたい。
【0045】
一部の例では、格子構造の物理的特性、特に密度および/または剛性および/または通気性が、ソールのリムからソールの中心に向かって低下してもよい。例えば、ソールは、より高い密度および/または剛性および/またはより低い通気性を外周に沿って備えてもよく、これは足の外周に沿って安定性を与えるのに役立つ。一方、ソールの中心に向かうにつれて、例えば緩衝性が高くなるようにして、良好な着用快適性を提供する。
【0046】
格子構造は、複数のセル要素を形成する複数の支柱を含むことができる。さらに、1つまたは複数のセル要素は、別法として、またはそれに加えて、さらなる要素、例えばオプションの核を含んでもよい。格子構造の物理的特性を、例えば、格子構造の支柱の厚さによって調節することができる。さらに、より高いまたは低い密度を有するセル要素を使用することによって、物理的特性を調節してもよい。その点で、例えば、1つまたは複数の個々のセル要素が、(例えば、セル要素の1つまたは複数の支柱の厚さを変化させることによって、かつ/もしくはオプションの核の寸法を変化させることによって)より高いまたは低い密度を有してもよく、かつ/またはセル要素を、互いにに対してより小さいまたは大きい距離をおいて配置してもよい。
【0047】
一部の例では、セル要素の形状が、ソールの厚さに沿って略一定であってもよい。例えば、幾何デザイン(例えば、立方体、4面体、12面体など)、および/またはセル要素の少なくとも1つの寸法(例えば、横方向、長手方向、および/または垂直方向の寸法)、および/または支柱厚さ、および/または隣接するセル要素間の間隔が、略一定であってよい。これにより、ソールの厚さに沿って均一なソールの特性をもたらすことを強化することができ、格子構造内の均一な力分布によって、格子構造の耐用寿命を長くすることができる。一部の例では、セル要素の形状が、格子構造全体において略一定であってよい。
【0048】
さらなる例によれば、格子構造は、その周囲に保護層を含む。そのような保護層を、格子構造の内側および/または外側および/またはつま先および/または踵領域の側面上、例えば格子構造の外周に沿って作ることができる。さらに、保護層を、格子構造の内側領域および/または外側領域および/または踵領域および/またはつま先領域内に作ることができる。保護層は、格子構造と一体に製造可能なフィルムまたは箔などであってよい。保護層は透明であってよい。
【0049】
さらなる例によれば、格子構造、踵要素および/またはベース部分を、同じ種類の材料、特にポリエーテルブロックアミド(PEBA)または熱可塑性ポリウレタン(TPU)から製造することができる。これにより、ソールの特に効率的な製造を可能にし、かつ/またはソールの再利用を容易にすることができる。あるいは、部品をポリオレフィン、例えばポリエチレン(PE)、ポリスチレン(PS)および/またはポリプロピレン(PP)から製造してもよい。原理上、単一の格子構造について、異なる材料(異なる種類の材料またはわずかに異なる特性を有する同じ種類の材料)の任意の混合物を使用することができる。したがって、すでに異なる材料を組み合わせ、場合により異なるゾーンおよび/または領域について異なる材料を使用することにより、任意の数の異なる機能ゾーンを設けることができる。
【0050】
前述した材料は、再利用された材料であってもよく、例えば再生ポリマー材料、例えば海から、特に海洋廃棄物から再生したポリマー材料であってよい。再生ポリマー材料は、任意のプラスチック材料、例えばTPU、PEBA、PE、PS、PPなどであってよい。格子構造を、新しい/再生されたものでない材料と再生材料との混合物を使用して印刷してもよく、これにより、各成分の割合を変化させることができる。一部の例では、50%超、または90%超の再生材料を使用してもよい。
【0051】
格子構造を付加製造、例えば印刷することにより、構造の異なるゾーンを異なる色で作ることができる。さらなる個別化要素を格子構造に直接印刷してもよい。そのような要素は、例えば名称、デザイン、または数字であってよい。
【0052】
格子構造、踵要素、ベース部分、および/または他の部品を、例えば、1つまたは複数の単一部品の複数の性能の必要性を満たすように組み合わせた1つまたは複数の材料を使用することによって印刷してもよい。いくつかの部品を、付加製造、例えば印刷により互いに直接連結してもよい。これにより、例えば接着剤を用いて部品を互いに結合する必要がなくなる。
【0053】
アウトソールおよび/またはアウトソール部品を、格子構造の底面に直接印刷してもよい。アウトソールおよび/またはアウトソール部品を、格子構造と同じ種類の材料から印刷してもよい。一部の例では、アウトソールに使用する材料は、格子構造の材料と異なる特性を有してもよい。格子構造の印刷に使用されるように、異なる材料をアウトソールの印刷に使用してもよい。使用する材料に関係なく、アウトソールと格子構造とを1つの製造プロセスで印刷してもよい。例えば接着剤を用いた結合は不要であってよい。
【0054】
さらなる例によれば、スポーツシューズ用の付加製造されたソール、特にミッドソールが提供される。ソールは、複数のセル部位を含む格子構造を含む。セル部位の大部分が相互連結されたセル要素を含んでもよい。セル部位のサブセットが、セル部位の大部分よりも少なくとも1つの隣接するセル部位との連結部が少ない、かつ/またはセル間隙を有するセル要素を含む。例えば、サブセットのセル部位で、少なくとも部分的にセル要素が欠けていてもよい(セル間隙)。それに加えて、または別法として、サブセットのセル部位に、例えば、セル部位の大部分よりも少なくとも1つの隣接するセル部位との連結部が少ない(1つまたは複数のセル連結解除部)「不規則な」セル要素を設けてもよい。基本的概念は、意図的なセル連結解除部(例えば、隣接するセル要素間)および/またはセル間隙(例えば、少なくとも部分的に欠けたセル要素)を特定のセル部位の格子構造に導入することであると考えられる。
【0055】
セル部位は、一般にセル要素を設けることのできる位置、例えば体積要素として理解される。例えば、複数のセル部位は、体積要素の3次元アレイを形成することができる。例えば、複数のセル部位を規則正しく配置してもよい。また、大部分のセル要素を、複数のセル部位内に規則正しく配置してもよい。しかしながら、個々のセル部位で、セル要素を少なくとも部分的に省いて、これらのセル部位の各々にセル間隙を作るようにしてもよい。
【0056】
一般に、セル要素は核を含むことができる。隣接するセル要素の核を、1つまたは複数の連結要素、例えば1つまたは複数の支柱を介して互いに連結してもよい。例えば1つまたは複数の位置で互いに交差可能な複数の支柱によってセル要素を形成して、核がこれらの交差の1つまたは複数により形成されるようにしてもよいことに留意されたい。支柱の残りの部分、例えば核の外側の支柱の部分は、隣接するセル要素への連結要素として機能することができる。セル要素の核の少なくとも一部を省いて、そのセル要素を用いることによってセル間隙を形成してもよい。同様に、セル要素の1つまたは複数の連結要素の少なくとも一部、例えば支柱の少なくとも一部を省いて、そのセル要素を用いることによって、セル部位の大部分よりも少なくとも1つの隣接するセル部位との連結部が少ないセル要素を形成してもよい。セル部位にセル要素を全く設けないことにより、そのセル部位にセル間隙を作ってもよいことに留意されたい。
【0057】
隣接するセル要素との連結部が少ない、またはセル間隙を有するセル部位のサブセットを有することにより、格子構造の機械的特性を非常に細かいレベルで、例えばセル要素ごとに変化させることができ、同時に、構造が複雑になることがほとんどない。したがって、例えば、格子全体の形状または格子材料を変化させる必要なく、格子の物理的特性、例えばその剛性、密度、および/または通気性を変化させることができる。同じセル要素のサイズおよび/またはセル部位のサイズおよび/またはセル要素設計および/または同じ材料を、格子構造全体にわたって(または格子構造の少なくともある領域全体にわたって)使用することができる。これにより、製造を大幅に簡略化し、歩留まりを向上させ、同時に格子構造の規則正しい視覚的外観を可能にすることができる。格子構造の特性を、サブセットに属するセル部位の連結解除部および/または間隙によって簡単に変化させることができる。例えば、全体の剛性/緩衝性/通気性などを、サブセットに属さない、それぞれの隣接するセル部位とのある固定数の相互連結部を有することのできるセル部位によって与えることができる。サブセットのセル部位を、格子構造の1つまたは複数の領域に配置して、剛性、緩衝性および/または通気性をこれらの領域で変えてもよい。サブセットのセル部位をある位置に配置することにより、格子構造の物理的特性を、そのセル部位で特に変化させることができる。他方、例えばある領域内でサブセットに属するセル部位の数を変化させることにより、その領域のバルク特性を変えることもできる。一部の例では、サブセットのセル部位を、少なくとも領域またはゾーン内に規則正しく配置してもよい。
【0058】
セル部位の大部分(少なくとも、格子構造のある領域内の大部分)は、隣接するセル部位との固定数の連結部を有するセル要素を含んでもよいことに留意されたい。セル部位の大部分は、連結部の数が変化するセル要素を含んでもよい。その場合、サブセットのセル部位は、平均して、セル部位の大部分のセル要素よりも少なくとも1つの隣接するセルとの連結部が少なくてもよい。
【0059】
サブセットのセル部位の少なくとも1つを、格子構造の表面、特に格子構造の縁部に配置してもよい。例えば、サブセットのセル部位を格子構造の表面、特に縁部に配置することにより、ソールの曲げまたは剪断によって生じる、かつ格子構造の破損を引き起こし得る格子構造内の歪みを少なくすることができることがわかっている。したがって、格子構造の耐久性がより高くなり得る。
【0060】
サブセットのセル部位の少なくとも1つを、ソールの踵領域に配置してもよい。これにより、特にその領域で生じる大きな力および歪みにソールを適応させることができる。
【0061】
サブセットの一部でない(例えば大部分の一部である)少なくとも1つかつ30以下(例えば、少なくとも1つかつ15または10以下)のセル部位を、サブセットの2つの最も近接したセル部位間に配置してもよい。このサブセットのセル部位と、サブセットの一部でないセル部位とを組み合わせることにより、格子構造の全体的な完全性と安定性との妥協なしで、格子構造の物理的特性に最大の効果を与えることがわかっている。
【0062】
ソールは、1つまたは複数の付加製造された安定化要素、特に1つまたは複数の側部安定化要素および/または1つまたは複数のねじり安定化要素をさらに含むことができる。これらの追加の要素により、付加製造されたソールによってもたらされる安定性をさらに高めることができる。例えば、安定化要素を、中実要素、例えば支柱、バー、ストライプなどとして設けてもよい。これらの追加要素を、ソールと一体に作製してもよい。
【0063】
レーザ焼結、例えば選択的レーザ焼結を用いて、ソールを少なくとも部分的に作製してもよい。これにより、特に可撓性のある、費用効率の高い製造が可能になるとともに、耐久性のあるソールを提供することができる。他の例では、他の付加製造方法、例えば選択的レーザ溶解、選択的加熱焼結、ステレオリソグラフィ、熱溶解積層法など、または3D印刷全般を使用してもよい。
【0064】
ソールは、ポリマー材料、特に、例えば海から回収した再生ポリマー材料を含んでもよい。ソールを効率的に製造できるように、ポリマー材料を付加製造に容易に使用することができる。例えば、PEBAおよび/またはTPUを使用してもよい。さらに、例えば海から回収した再生ポリマー材料を使用して、本発明による高品質のソールを提供できることがわかっている。したがって、環境に優しい方法でソールを提供することができる。例えば、これについては、「Parley for the Oceans」の構想から使用可能なポリマー材料を使用してもよい。一部の例では、ソールを、前記材料から基本的に完全に作製してもよい。ソールを、新しい/再生されたものでない材料と再生材料との混合物を使用して印刷してもよく、これにより、各成分の割合を変化させることができる。一部の例では、50%超、または90%超の再生材料を使用してもよい。
【0065】
さらなる例では、スポーツシューズ用の付加製造されたソール、特にミッドソールが提供される。ソールは、複数の相互連結されたセル要素を含む格子構造を含む。複数の相互連結されたセル要素は、規則正しく配置される。格子構造は、2つ以上の複数の相互連結されたセル要素間に配置された少なくとも1つのセル間隙をさらに含むことができる(例えば、複数の相互連結されたセル要素の規則正しい配置に従ってある位置に存在すべきセル要素が、少なくとも部分的に欠けている)。それに加えて、または別法として、格子構造は、複数の規則正しく配置され相互連結されたセル要素の各々よりも少なくとも1つの隣接するセル要素との連結部が少ない、2つ以上の不規則なセル要素をさらに含むことができる。
【0066】
さらなる例によれば、スポーツシューズ用のソール、特にミッドソールが提供される。ソールは、付加製造された格子構造を含む。ソールは、格子構造とは別個に製造された機能要素をさらに含むことができる。格子構造および/または機能要素は、少なくとも1つのレセプタクルを含む。機能要素と格子構造とは、少なくとも1つのレセプタクルを介して互いに機械的に取り付けられる。例えば、格子構造がレセプタクルを含む場合、機能要素をレセプタクルに機械的に取り付けることができる。
【0067】
レセプタクルを用いて機能要素を機械的に取り付けることにより、接着剤および/または粘着剤を使用せずに、ソールに異なる部品を設けることが可能になる。一部の例では、少なくとも1つの機能要素が、粘着剤および/または接着剤なしで少なくとも1つのレセプタクルに取り付けられる。したがって、潜在的に危険な物質を避けることができる。さらに、単一種類の材料から作られたソールを提供することを容易にして、ソールをより容易に再利用できるようにすることができる。加えて、製造中の予想される接着剤の硬化時間を省くことができる。代わりに、付加製造された格子構造は、機能要素の耐久性のある機械的取付けをもたらすように構成可能なレセプタクルを備える。連結された機能要素を有することなくソールを使用できるように1つまたは複数のレセプタクルを構成して、1つまたは複数の機能要素を必要な場合のみソールに連結できるようしてもよい。例えば、クロスカントリー走の間は補強要素を取り付けてもよく、競技用トラック上を走るときには、そのような要素なしでソールを使用してもよい。さらに、機能要素を、1つまたは複数のレースループ、踵要素、横方向支持要素などとして実施してもよい。
【0068】
機械的に取り付けられた機能要素を用いることにより、2つの別個に作製された部品を、化学物質を使用せずに、簡単かつ耐久性のある、場合により解放可能な方法で容易に接合することができる。したがって、例えば、専用の安定化要素を格子構造に取り付けて、その安定性を選択的に高めてもよく、これは、一体に作製された安定化要素では容易に行うことができない。前述した1つまたは複数のレセプタクルを用いて、1つまたは複数の機能要素を、本明細書に記載のソールのいずれかに連結することができる。
【0069】
特に、レセプタクルは、スナップ嵌めおよび/またはスナップ留め要素を含むことができる。したがって、1つまたは複数の機能要素を、格子構造にスナップ嵌めおよび/またはスナップ留めしてもよい。これを、例えば製造業者が行うことができる。しかしながら、これを顧客が行って、個人的な好み/外的特徴および/またはシューズの特定の意図した使用に応じた1つまたは複数の機能要素を1つまたは複数のレセプタクルに連結してもよい。
【0070】
さらに、レセプタクルは、フラップ要素を周りで回転可能な接合部を含むことができる。取付位置(すなわち、機能要素と格子構造とが互いに取り付けられる)で、フラップ要素、特にフラップ要素の表面が、ミッドソールの格子構造に面している。前述した1つまたは複数のスナップ嵌めまたはスナップ留め要素を、フラップ要素、特にミッドソールの格子構造に面したその表面に配置することができる。これらを、取付位置においてフラップ要素に面したミッドソールの格子構造の表面に配置可能な、1つまたは複数の対応するスナップ嵌め要素またはスナップ留め要素に嵌め込むことができる。フラップ要素を、接合部なしでミッドソールの格子構造に連結してもよい。
【0071】
一般に、スポーツシューズ用のソール、特にミッドソールのための付加製造された機能要素を提供することができることに留意されたい。機能要素は、少なくとも1つのレセプタクルを含むことができる。機能要素をソールに機械的に取り付けるように、少なくとも1つのレセプタクルを構成してもよい。
【0072】
格子構造は、少なくとも1つの可動要素を含むことができる。少なくとも1つの可動要素を、格子構造と一体に製造してもよい。可動要素は機能要素であってよい。例えば通気性または安定性などのソールの特性を変えるように、可動要素を操作してもよい。これにより、性能の必要性を満たすか、または強化することができる。可動要素を、例えば、格子構造の底部に配置することができる。可動要素は、調節可能なサイズの、例えば通気用の開口部であってよい。例えば、着用者が開口部のサイズ、したがってソールによりもたらされる通気性を調節することのできる摺動可能な部品、例えばレバーを設けてもよい。可動要素を、ソールをアッパーに取り付けるためのロック機構として設計してもよい。可動要素を、第1の位置から第2の位置へ動かしてもよい。第1の位置および第2の位置を固定してもよい。
【0073】
格子構造は、ポリマー材料、特に、例えば海から回収した再生ポリマー材料を含むことができる。例えば、格子構造を効率的に製造できるように、ポリマー材料を付加製造に容易に使用することができる。例として、例えばポリエーテルブロックアミド(PEBA)および/または熱可塑性ポリウレタン(TPU)を使用してもよい。さらに、例えば海から回収した再生ポリマー材料を使用して、高品質のスポーツシューズの安定性および緩衝性に関する要件を満たす格子構造を設けてもよいことがわかっている。したがって、環境に優しい方法で格子構造を設けることができる。一部の例では、格子構造を、前記材料から基本的に完全に作製してもよい。
【0074】
格子構造は、複数の格子層を含むことができる。各格子層は、複数のセル要素を含むことができる。例えば、3つ以上の格子層を設けることができる。複数の格子層を用いることにより、大きな緩衝性をもたらすことができる。特に、格子層を互いに対して弾性変形可能にして、それぞれの2つの格子層間の距離が、格子構造に加わる圧力に応じて変化し得るようにしてもよい。例えば、格子構造は、互いに少なくとも部分的に積み重ねることのできる複数の基本的に水平な格子層を含むことができる。多層格子構造は、比較的軽量な格子構造に安定性を与えるのに寄与することもできる。
【0075】
格子構造は、異なる物理的特性、特に異なる密度、異なる剛性、および/または異なる通気性などを有する少なくとも2つの領域を含むことができる。
【0076】
格子構造を、基本的に足全体にわたって延びるように構成することができる。したがって、格子構造を使用して、それぞれの着用者の足全体の下にある程度の緩衝性/剛性/通気性をもたらすことができる。
【0077】
格子構造は、12面体、特に菱形12面体として形成された少なくとも1つのセル要素を含むことができる。これらのセル要素設計は、格子構造に良好な安定性および緩衝性とともに耐用寿命をもたらすことがわかっている。これは、12面体の12面という数に起因するものであり、これによって、隣接するセル要素間の滑らかな力分布が可能になるとともに、隣接するセル要素間の連結も可能になるため、セル要素が小型になり過ぎない。さらに、12面体設計の菱形の実施は、この特性にさらに寄与することができる。例えば、セル要素は、隣接するセルに対して8つの相互連結部を含むことができる。
【0078】
格子構造は、格子構造の上面から格子構造の底面および/または側面へ延びる少なくとも1つの流体チャネルを含むことができる。より一般には、流体チャネルは、上面、底面、または側面のいずれかから上面、底面、または側面のいずれかへ延びることができる。特に、流体チャネルは、表面の第1の部分(例えばつま先領域)から表面の第2の部分(例えば踵領域)へ延びてもよい。そのような流体チャネルを使用して、格子構造の上面、底面、および/または側面の間に流体を案内することができる。例えば、空気流をそのように案内することができる。例えば格子構造の底面および/または側面で空気の流入を促すように、流体チャネルを構成してもよい。したがって、ソールは改良された通気特性を備えることができる。格子構造により、内側から外側へ、踵領域からつま先領域へ、かつ/またはアッパーからアウトソールへの空気流が可能になり得る。すべての可能な方向への通気性を保証して、完全に通気されたシューズを提供することができる。
【0079】
格子構造は、異なる形状を有する少なくとも2つのセル要素を含むことができる。例えば、第1の幾何デザイン、例えば菱形12面体として設計されたセル要素を、他の幾何デザイン(例えば、5角12面体、立方体、直方体、角柱、平行6面体など)と組み合わせてもよい。また、異なる寸法を有する少なくとも2つのセル要素を使用してもよく、かつ/またはセル要素間の間隔が第1の領域と第2の領域との間で異なっていてもよい。
【0080】
ソールは、格子構造とともに付加製造された中実リム要素を含むことができ、中実リム要素は格子構造のリムに沿って囲む。中実リム要素により、格子構造の安定性をさらに高めることができる。
【0081】
中実リム要素は、中実リム要素と格子構造との移行部を作る1つまたは複数の穿孔部を含むことができる。穿孔部を、リムに切り込まれた孔として設計してもよい。穿孔部を、格子構造と一体に製造してもよい。穿孔部は、格子構造のネガティブであってもよい。さらに、中実リム要素の幅および厚さ/高さは、異なるゾーンまたは領域で変化してもよい。中実リム要素は、結合代として機能することができ、例えば中実リム要素の幅を変化させることにより、アッパーを格子構造に取り付けるための結合代を調節することができる。
【0082】
格子構造は、第1の形状を持つ第1の複数のセル要素を有する第1の領域と、第2の形状を持つ第2の複数のセル要素を有する第2の領域とを含むことができる。例えば、領域の幾何デザインを、その領域の特定の要件に適応させてもよい。例えば、より密度の低いセル要素の形状(例えば、立方体)を、密度および/または剛性の必要の少ない領域で使用してもよい。それに加えて、または別法として、第1の複数のセル要素の1つまたは複数の寸法は、第2の複数のセル要素の1つまたは複数の寸法と異なっていてもよい。さらに、セル要素間の間隔は、第1の領域と第2の領域との間で異なっていてもよい。
【0083】
さらなる例によれば、アッパーと、本明細書に記載の例のいずれかに記載のソールとを含むシューズを提供することができる。
【0084】
ミッドソールとアッパーとの間に中間層を設けてもよい。そのような中間層を、開放構造の材料、例えば開放構造の布材料から作ってもよい。布材料は、編布、例えば縦編地または横編地であってよい。例えば、横編地は、平編みまたは丸編みされたものであってよい。例えば、縦編地は、工学用編地であってもよい。編布の他に、織布、不織布、撚り合わせた糸および/または他の糸に基づく布材料、および/またはあらゆるタイプの開放セルメッシュを使用してもよい。原理上、シュトローベル靴型を介して中間層をアッパーに取り付ける、例えば縫い付けることができる。
【0085】
あるいは、中間シュトローベル靴型なしで、ソールとアッパーとを互いに直接連結してもよい。例えば、ソールの格子構造を、着用者の足に接触したときに良好な着用快適性を提供するように構成することができる。したがって、中間シュトローベル靴型および/または他の中間層を省くことができる。その結果、より軽量で費用効率の高いシューズを提供することができる。
【0086】
ソールが中実リム要素を有する場合、アッパーを中実リム要素に連結してもよい。言い換えると、中実リム要素を介してアッパーをソールに連結してもよい。例えば、アッパーを、中実リム要素に接着、縫付け、熱結合などすることができる。赤外線(IR)溶着により、アッパーをソールに連結してもよい。
【0087】
アッパーは、ポリマー材料、特に、例えば海から回収した再生ポリマー材料を含むことができる。例えば、アッパーは、ポリマー材料を含む糸を含むことができる。そのような糸を使用して高品質のシューズを提供できることがわかっている。さらに、再生ポリマー材料を使用すると、より環境に優しいシューズを提供することができる。例えば、これについては、「Parley for the Oceans」の構想から使用可能なポリマー材料を使用してもよい。したがって、特に、シューズは、例えば海から回収した再生ポリマー材料を含むか、または再生ポリマー材料から基本的に完全に作られたミッドソールと、再生ポリマー材料、例えばポリマー材料を含む糸を含むアッパーとを含むことができる。
【0088】
アッパーを、ポリマー材料、例えば海から回収した再生ポリマー材料を含む糸を用いる調整された繊維配置を使用して作製してもよい。調整された繊維配置についてのさらなる詳細に関して、参照により組み込まれている同時係属出願DE102015205750.8を参照されたい。繊維自体だけが再生材料を含むか、または再生材料から作られるのではなくてもよい。原理上、DE102015205750.8に記載された基層も再生材料を含むことができる。アッパーを、新しい材料と再生材料との混合物から作ってもよい。一部の例では、50%超、または90%超の再生材料を使用してもよい。
【0089】
アッパーとソールとは、同じ種類の材料、特にTPUまたはPEBAを含むことができる。したがって、シューズの再利用を容易にすることができる。
【0090】
前述した再生ポリマー材料を海から集めるために、網、例えば魚網を使用することができる。また、再生材料を使用して製造可能な前述したソールおよび/またはアッパーの製造に網を使用してもよい。例えば網はナイロンなどを含むことができ、これを、再生ポリマー材料と同様に、最終製品、例えばソールおよび/またはアッパーに組み込んでもよい。したがって、ソールおよび/またはアッパーを製造する方法を提供することができる。方法は、網を使用して海からポリマー材料を回収するステップを含んでもよい。さらなるステップは、再生ポリマー材料および網の材料を、ソールおよび/またはアッパーの基材として使用することであってもよい。一部の例では、50%超、または90%超の再生材料および網材料を基材として使用してもよい。
【0091】
前述し、以下でさらに説明する特徴を互いに組み合わせることができるが、簡潔にするために、すべての組合せを本明細書に明記することはできないことに留意されたい。さらに、前述した例の機能に必須ではない特徴を省いてもよいことに留意されたい。最後に、開示された態様を、スポーツシューズ以外のスポーツ用品に使用してもよいことに留意されたい。
【0092】
以下の図面を参照しながら、本発明の可能な実施形態について、以下の詳細な説明でさらに説明する。