特許第6529525号(P6529525)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6529525保護管カバー、保護管連結具カバー、及び、電線又は導光線の耐火性向上方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6529525
(24)【登録日】2019年5月24日
(45)【発行日】2019年6月12日
(54)【発明の名称】保護管カバー、保護管連結具カバー、及び、電線又は導光線の耐火性向上方法
(51)【国際特許分類】
   H02G 3/04 20060101AFI20190531BHJP
   B27M 3/08 20060101ALI20190531BHJP
【FI】
   H02G3/04 062
   B27M3/08
【請求項の数】8
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2017-11840(P2017-11840)
(22)【出願日】2017年1月26日
(65)【公開番号】特開2018-121460(P2018-121460A)
(43)【公開日】2018年8月2日
【審査請求日】2017年10月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】517028225
【氏名又は名称】北静木材株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096770
【弁理士】
【氏名又は名称】四宮 通
(72)【発明者】
【氏名】櫛田 眞司
【審査官】 北嶋 賢二
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭57−150689(JP,U)
【文献】 特開2004−036869(JP,A)
【文献】 特開昭63−019778(JP,A)
【文献】 特開昭61−294042(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 3/04
B27M 3/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建築構造要素を構成しない電線用又は導光線用の金属製又は樹脂製の保護管であって屈曲部を有しない保護管を、覆う円筒状の保護管カバーであって、無垢材又はその他の木質系材料からなる木材で構成されたことを特徴とする保護管カバー。
【請求項2】
前記木材は、全体として円筒状をなしかつ各々が前記円筒状の断面形状の全周の一部となる断面形状を有する複数の構成部材を有することを特徴とする請求項1記載の保護管カバー。
【請求項3】
前記複数の構成部材の接合面には、互いに嵌合する凹凸をなす段差が形成されたことを特徴とする請求項記載の保護管カバー。
【請求項4】
前記木材は不燃化、準不燃化又は難燃化の処理が施されたものであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の保護管カバー。
【請求項5】
建築構造要素を構成しない金属製又は樹脂製の既設の保護管で保護された電線又は導光線の耐火性を高める電線又は導光線の耐火性向上方法であって、
前記既設の保護管を覆うように、前記既設の保護管に対して請求項1乃至4のいずれかに記載の保護管カバーを装着することを特徴とする電線又は導光線の耐火性向上方法。
【請求項6】
建築構造要素を構成しない電線用又は導光線用の複数の保護管を、連結する金属製又は樹脂製の中空状の保護管連結具を覆う保護管連結具カバーであって、無垢材又はその他の木質系材料からなる木材で構成されたことを特徴とする保護管連結具カバー。
【請求項7】
前記木材は不燃化、準不燃化又は難燃化の処理が施されたものであることを特徴とする請求項6記載の保護管連結具カバー。
【請求項8】
建築構造要素を構成しない電線用又は導光線用の複数の保護管を、連結する金属製又は樹脂製の中空状の既設の保護管連結具の内部における、前記電線又は前記導光線の耐火性を高める電線又は導光線の耐火性向上方法であって、
前記既設の保護管連結具を覆うように、前記既設の保護管連結具に対して請求項6又は7記載の保護管連結具カバーを装着することを特徴とする電線又は導光線の耐火性向上方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力用や通信用などの各種の電線(ケーブル等を含む)又はエネルギー伝送用や通信用などの各種の導光線(光ファイバ等を含む)を内部に収容して保護する電線用又は導光線用の保護管、複数の保護管を連結する中空状の保護管連結具、保護管を覆う保護管カバー、及び、保護管連結具を覆う保護管連結具カバーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、電力用や通信用などの各種の電線を内部に収容して保護する電線用の保護管である電線管が、提供されている(例えば、下記特許文献1,2)。電線管は、柱や框などの建材を兼ねるものではなく、各種の電線を内部に収容して保護するための専用の保護管である。また、複数の電線管を連結する中空状の電線管連結具も、提供されている(例えば、下記特許文献3の図3)。
【0003】
従来の電線管は、金属製又は樹脂製であった。また、従来の電線管連結具も金属製又は樹脂製であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015−012724号公報
【特許文献2】特開2013−183589号公報
【特許文献3】特開平7−143641号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記従来の金属製の電線管では、金属の熱伝導率は著しく高いため、火災による高熱が電線管の外部から内部の電線に伝わり易く、これにより電線の被覆部分が短時間で溶けて当該電線が損傷を受けてしまい、電線が短時間で断線又は短絡してしまう。また、前記従来の樹脂製の電線管では、耐熱性樹脂を用いたとしてもその耐熱性には限界があるため、火災による高熱が短時間で電線に伝わってしまい、やはり電線が短時間で断線又は短絡してしまう。
【0006】
また、前記従来の電線管連結具も金属製又は樹脂製であるので、当該電線管連結具に連結された電線管を介して当該電線管連結具内に導かれている電線に対して、火災による高熱が当該電線管連結具の外部から短時間で伝わってしまい、これにより電線の被覆部分が短時間で溶けて当該電線が損傷を受けてしまい、電線管連結具内の箇所においてやはり電線が短時間で断線又は短絡してしまう。
【0007】
例えば、公共施設やその他のビル等においては、火災により電線が断線又は短絡して停電が生ずると、非常灯が点灯して避難路を示すようになっている。しかし、停電により通常照明が消灯してしまうと、かなり暗くなってしまい、通常照明が点灯している場合に比べて、避難に支障を来たし易くなるとともに、避難者の不安感が増大してしまう。火災により断線又は短絡する電線が通信線等である場合には、館内放送や外部との間の通信や警報等が作動不能となってしまい、避難に支障を来したり消火活動等が遅れたりしてしまう。
【0008】
以上説明した事情は、電線管や電線管連結具に限らず、エネルギー伝送用や通信用などの各種の導光線(光ファイバ等を含む)を内部に収容して保護する導光線用の保護管や、このような保護管を連結する保護管連結具についても、同様である。
【0009】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、火災に対する電線又は導光線の耐性を高めることができ、これにより、火災により電線又は導光線が断線又は短絡してしまうまでの時間を延ばすことができる、保護管、保護管連結具、保護管カバー及び保護管連結具カバーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するための手段として、以下の各態様を提示する。第1の態様による電線用又は導光線用の保護管は、無垢材又はその他の木質系材料からなる木材で構成されたものである。
【0011】
前記その他の木質系材料としては、無垢材から得られるその構成要素(例えば、木片、木粉、板状物、繊維状物等)を再構成した材料を挙げることができる。具体的には、前記その他の木質系材料として、パーチクルボード、中密度繊維板(MDF)、合板、集成材、単板積層材(LVL)、クロス・ラミネーティッド・ティンバー(CLT)、配向性ストランドボード(OSB)等の材料などを挙げることができる。また、具体的には、前記その他の木質系材料として、木粉や木片や木の繊維状物や木の板状物を樹脂や不燃剤や難燃剤等で固めて成形した材料なども挙げることができる。この点は、後述する第4、第6及び第9の態様についても同様である。
【0012】
木材の熱伝導率は金属の熱伝導率に比べると著しく低い上に、木材は樹脂に比べて耐熱性も高い。したがって、前記第1の態様による保護管は木材で構成されているので、金属製や樹脂製の保護管に比べて、火災による高熱が内部の電線又は導光線に伝わり難くなる。このため、前記第1の態様によれば、火災に対する電線又は導光線の耐性を高めることができ、これにより、火災により電線又は導光線が断線又は短絡してしまうまでの時間を延ばすことができる。
【0013】
第2の態様による保護管は、前記第1の態様において、前記木材は、全体として筒状をなしかつ各々が前記筒状の断面形状の全周の一部となる断面形状を有する複数の構成部材を有するものである。
【0014】
この第2の態様は、保護管を複数の構成部材で構成する例を挙げたものである。もっとも、前記第1の態様よる保護管は、単一部材をなす筒状部材で構成してもよい。この場合、当該保護管は、例えば、表皮を取り除いた間伐材の中心部をくり抜いた無垢材で構成することができる。
【0015】
第3の態様による保護管は、前記第1又は第2の態様において、前記木材が不燃化、準不燃化又は難燃化の処理が施されたものである。
【0016】
不燃、準不燃、難燃の差は不燃の程度の差であり、難燃、準不燃、不燃の順で理想的な不燃に近づく。前記処理としては、種々の処理や処理剤を採用することができ、例えば、不燃剤や難燃剤等を木材に減圧状態で含浸させる処理や、不燃剤や難燃剤等を前記木材の表面に塗布する処理などを挙げることができる。不燃剤や難燃剤としては、例えば、リン酸系やホウ酸系の処理剤を用いることができる。これらの点は、後述する第5、第8及び第10の態様についても同様である。
【0017】
この第3の態様によれば、前記木材が不燃化、準不燃化又は難燃化の処理が施されているので、前記木材が燃え難くなることから、火災に対する電線又は導光線の耐性をより高めることができ、これにより、火災により電線又は導光線が断線又は短絡してしまうまでの時間をより延ばすことができる。もっとも、前記第1及び第2の態様では、前記木材は、必ずしも不燃化、準不燃化又は難燃化の処理を施さなくてもよい。
【0018】
第4の態様による保護管連結具は、電線用又は導光線用の複数の保護管を連結する中空状の保護管連結具であって、無垢材又はその他の木質系材料からなる木材で構成されたものである。前記複数の保護管の各々は、前記第1乃至第3のいずれかの態様による保護管であってもよい。第4の態様による保護管連結具は、使用に際して、電線又は導光線が、前記複数の保護管のうちの少なくとも1つの保護管内から前記保護管連結具内へ導出されて、そこから他の少なくとも1つの保護管内へ導入されることになる。
【0019】
この第4の態様による保護管連結具は木材で構成されているので、金属製や樹脂製の保護管連結具に比べて、火災による高熱が内部の電線又は導光線に伝わり難くなる。したがって、前記第4の態様によれば、火災に対する電線又は導光線の耐性を高めることができ、これにより、火災により電線又は導光線が断線又は短絡してしまうまでの時間を延ばすことができる。
【0020】
第5の態様による保護管連結具は、前記第4の態様において、前記木材が不燃化、準不燃化又は難燃化の処理が施されたものである。
【0021】
この第5の態様によれば、前記木材が不燃化、準不燃化又は難燃化の処理が施されているので、前記木材が燃え難くなることから、火災に対する電線又は導光線の耐性をより高めることができ、これにより、火災により電線又は導光線が断線又は短絡してしまうまでの時間をより延ばすことができる。もっとも、前記第4の態様では、前記木材は、必ずしも不燃化、準不燃化又は難燃化の処理を施さなくてもよい。
【0022】
第6の態様による保護管カバーは、電線用又は導光線用の金属製又は樹脂製の保護管を覆う保護管カバーであって、無垢材又はその他の木質系材料からなる木材で構成されたものである。
【0023】
この第6の態様による保護管カバーは木材で構成されて金属製や樹脂製の保護管を覆うので、火災による高熱が内部の保護管に伝わり難くなり、ひいては、火災による高熱が内部の電線又は導光線に伝わり難くなる。したがって、前記第6の態様によれば、金属製又は樹脂製の保護管が用いられているにも拘わらず、火災に対する電線又は導光線の耐性を高めることができ、これにより、火災により電線又は導光線が断線又は短絡してしまうまでの時間を延ばすことができる。
【0024】
なお、前記第6の態様による保護管カバーは、例えば、既設の金属製や樹脂製の保護管に対して装着してもよい。
【0025】
第7の態様による保護管カバーは、前記第6の態様において、前記木材は、全体として筒状をなしかつ各々が前記筒状の断面形状の全周の一部となる断面形状を有する複数の構成部材を有するものである。
【0026】
この第7の態様による保護管カバーは、複数の構成部材で構成されているので、既設の金属製や樹脂製の保護管に対して容易に装着することができる。
【0027】
第8の態様による保護管カバーは、前記第6又は第7の態様において、前記木材が不燃化、準不燃化又は難燃化の処理が施されたものである。
【0028】
この第8の態様によれば、前記木材が不燃化、準不燃化又は難燃化の処理が施されているので、前記木材が燃え難くなることから、火災に対する電線又は導光線の耐性をより高めることができ、これにより、火災により電線又は導光線が断線又は短絡してしまうまでの時間をより延ばすことができる。もっとも、前記第6及び第7の態様では、前記木材は、必ずしも不燃化、準不燃化又は難燃化の処理を施さなくてもよい。
【0029】
第9の態様による保護管連結具カバーは、電線用又は導光線用の複数の保護管を連結する金属製又は樹脂製の中空状の保護管連結具を覆う保護管連結具カバーであって、無垢材又はその他の木質系材料からなる木材で構成されたものである。
【0030】
この第9の態様による保護管連結具カバーは木材で構成されて金属製や樹脂製の保護管連結具を覆うので、火災による高熱が内部の保護管連結具に伝わり難くなり、ひいては、火災による高熱が内部の電線又は導光線に伝わり難くなる。したがって、前記第9の態様によれば、金属製又は樹脂製の保護管連結具が用いられているにも拘わらず、火災に対する電線又は導光線の耐性を高めることができ、これにより、火災により電線又は導光線が断線又は短絡してしまうまでの時間を延ばすことができる。
【0031】
なお、前記第9の態様による保護管連結具カバーは、例えば、既設の金属製や樹脂製の保護管連結具に対して装着してもよい。
【0032】
第10の態様による保護管連結具カバーは、前記第9の態様において、前記木材が不燃化、準不燃化又は難燃化の処理が施されたものである。
【0033】
この第10の態様によれば、前記木材が不燃化、準不燃化又は難燃化の処理が施されているので、前記木材が燃え難くなることから、火災に対する電線又は導光線の耐性をより高めることができ、これにより、火災により電線又は導光線が断線又は短絡してしまうまでの時間をより延ばすことができる。もっとも、前記第9の態様では、前記木材は、必ずしも不燃化、準不燃化又は難燃化の処理を施さなくてもよい。
【発明の効果】
【0034】
本発明によれば、火災に対する電線又は導光線の耐性を高めることができ、これにより、火災により電線又は導光線が断線又は短絡してしまうまでの時間を延ばすことができる、保護管、保護管連結具、保護管カバー及び保護管連結具カバーを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】本発明の第1の実施の形態による電線管を示す概略図である。
図2図1に示す電線管同士の連結前後の様子を示す概略断面図である。
図3】本発明の第2の実施の形態による電線管同士の連結前後の様子を示す概略断面図である。
図4】本発明の第3の実施の形態による電線管を示す概略図である。
図5】本発明の第4の実施の形態による電線管連結具の使用状態を示す概略平面図である。
図6図5中のJ−J’矢視図である。
図7図6中のK−K’矢視図である。
図8図5中のL−L’線に沿った概略断面図である。
図9】本発明の第5の実施の形態による電線管連結具の使用状態を示す概略平面図である。
図10図9中のM−M’矢視図である。
図11図10中のN−N’矢視図である。
図12図9中のO−O’線に沿った概略断面図である。
図13】比較例による電線管連結具を模式的に示す概略斜視図である。
図14図13中のR部付近を拡大して示す概略縦断面図である。
図15】本発明の第6の実施の形態による電線管カバー及び本発明の第7の実施の形態による電線管連結具カバーの使用状態を模式的に示す概略斜視図である。
図16図15中のS部付近を拡大して示す概略縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、本発明による保護管、保護管連結具、保護管カバー及び保護管連結具カバーについて、図面を参照して説明する。
【0037】
[第1の実施の形態]
【0038】
図1(a)は、本発明の第1の実施の形態による電線用の保護管である電線管1を示す概略正面図である。図1(b)は、図1(a)中のA−A’矢視図である。図1(c)は、図1(a)中のB−B’矢視図である。図1(d)は、図1(a)中のC−C’矢視図である。図1(e)は、図1(a)中のD−D’矢視図である。
【0039】
本実施の形態による電線管1は、木材で構成された単一部材をなす円筒状部材11で構成されている。円筒状部材11の中心部の穴11aには、電力用や通信用などの各種の電線(図示せず)が挿通される。これにより、電線管1は、電線を内部に収容して保護する。電線管1は、柱や框などの建材を兼ねるものではなく、各種の電線を内部に収容して保護するための専用の保護管である。この点は、後述する各電線管についても同様である。
【0040】
本実施の形態では、円筒状部材11の図1(a),(e)の図中左側部分に、外径が他所よりも小さくされた凸部11bが形成されている。円筒状部材11の図1(a),(e)の図中右側部分に、内径が他所よりも大きくされた凹部11cが形成されている。凸部11b及び凹部11cは、互いに嵌合する寸法で形成されている。
【0041】
本実施の形態では、円筒状部材11は、木材としての無垢材で構成されており、例えば、表皮を取り除いた杉・檜等の間伐材の中心部をガンドリル等でくり抜いて穴11aを形成した無垢材で構成することができる。この場合、例えば、長さは約100cm、凸部11b以外の箇所の外径は約10cm、凹部11c以外の箇所の内径は約5cmとすることができる。前記間伐材の場合には、その木の種類が杉・檜のように中心側の心材と周辺側の辺材との区別が付く種類であれば、穴11aによって心材が取り除かれることが好ましい。その理由は、円筒状部材11に不燃化、準不燃化又は難燃化の処理を施す場合において、その処理として液状の不燃剤や難燃剤等を木材に含浸させる場合には、心材よりも辺材の方が不燃剤や難燃剤等が浸透し易いことから、円筒状部材11の内側からも不燃剤や難燃剤等が浸透し易くなり、不燃化等をより良好に進行させることができるからである。また、円筒状部材11に節穴が存在する場合には、節穴を節以外の木材で埋め込んでおくことが好ましく、円筒状部材11に節が存在する場合には、当該節を取り除いてそこを節以外の木材で埋め込んでおくことが好ましい。そのような埋め込み処理は、不燃化、準不燃化又は難燃化の処理を施す前に行うことが好ましい。
【0042】
もっとも、本発明では、電線管1を構成する木材は、無垢材に限らず、その他の木質系材料でもよい。その他の木質系材料としては、無垢材から得られるその構成要素(例えば、木片、木粉、板状物、繊維状物等)を再構成した材料を挙げることができる。具体的には、前記その他の木質系材料として、パーチクルボード、中密度繊維板(MDF)、合板、集成材、単板積層材(LVL)、クロス・ラミネーティッド・ティンバー(CLT)、配向性ストランドボード(OSB)等の材料などを挙げることができる。また、具体的には、前記その他の木質系材料として、木粉や木片や木の繊維状物や木の板状物を樹脂や不燃剤や難燃剤等で固めて成形した材料なども挙げることができる。木粉や木片や木の繊維状物や木の板状物を樹脂や不燃剤や難燃剤等で固めて成形した材料からなる部材も、不燃化、準不燃化又は難燃化の処理が施された部材の一つである。これらの点は、後述する木材についても同様である。
【0043】
本実施の形態では、円筒状部材11は、不燃化、準不燃化又は難燃化の処理が施されている。この処理としては、種々の処理や処理剤を採用することができ、例えば、液状の不燃剤や難燃剤等を木材に減圧状態で含浸させる処理や、不燃剤や難燃剤等を前記木材の表面に塗布する処理などを挙げることができる。不燃剤や難燃剤としては、例えば、リン酸系やホウ酸系の処理剤を用いることができる。これらの点は、後述する木材の不燃化、準不燃化又は難燃化の処理についても同様である。なお、電線管1の外側となる面(本実施の形態では、外側面)の側のみに前記処理を施してもよいが、電線管1の内側となる面(本実施の形態では、穴11a内の面)の側にも前記処理を施すことが好ましい。この場合、液状の不燃剤や難燃剤等を円筒状部材11に含浸させる場合には、穴11aを形成した後に当該含浸を行えばよい。液状の不燃剤や難燃剤等を円筒状部材11に浸透した後には、乾燥させた後に、必要に応じて、サンダー等で表面を整えてもよい。
【0044】
図2(a)は、図1に示す電線管1同士を直管状に直接に連結する前の様子を模式的に示す概略断面図である。図2(b)は、図1に示す電線管1同士を直管状に直接に連結した後の様子を模式的に示す概略断面図である。図2(a),(b)は、図1(e)に対応している。
【0045】
図2(b)に示すように、1つの電線管1の凸部11bを他の1つの電線管1の凹部11cに嵌合することで2つの電線管1同士を直管状に直接に連結することができる。このとき、2つの電線管1同士の固定は、例えば、凸部11bを凹部11cに圧入することによって行ってもよいし、接着剤によって行ってもよいし、図2(b)中の矢印Y1で示す位置から当該矢印Y1で示す方向に木ねじ(図示せず)をねじ込むことによって行ってもよい。
【0046】
木材の熱伝導率は金属の熱伝導率に比べると著しく低い上に、木材は樹脂に比べて耐熱性も高い。したがって、本実施の形態による電線管1は木材で構成されているので、金属製や樹脂製の電線管に比べて、火災による高熱が内部の電線に伝わり難くなる。このため、本実施の形態によれば、火災に対する電線の耐性を高めることができ、これにより、火災により電線が断線又は短絡してしまうまでの時間を延ばすことができる。
【0047】
また、電線管1の内部の電線自体が故障して短絡してしまったような場合、その短絡による生ずる高熱は木材で構成された電線管1により断熱されて外部に伝わり難くなる。したがって、電線管1の外側に燃え易い物が存在していても、電線管1の外側に燃え広がってしまうことがなくなり、電線短絡に起因する火災を防止することができる。なお、電線管1内で電線短絡により一旦発火しても、電線管1内部の酸素がやがてなくなって自動消火されることになる。
【0048】
さらに、本実施の形態では、電線管1を構成する木材である円筒状部材11は、不燃化、準不燃化又は難燃化の処理が施されている。したがって、前記木材が燃え難くなることから、火災に対する電線の耐性をより高めることができ、これにより、火災により電線が断線又は短絡してしまうまでの時間をより延ばすことができる。もっとも、本発明では、前記木材は、必ずしも不燃化、準不燃化又は難燃化の処理を施さなくてもよい。
【0049】
[第2の実施の形態]
【0050】
図3(a)は、本発明の第2の実施の形態による電線管21同士を直管状に直接に連結する前の様子を模式的に示す概略断面図であり、図2(a)に対応している。図3(b)は、本発明の第2の実施の形態による電線管21同士を直管状に直接に連結した後の様子を模式的に示す概略断面図であり、図2(b)に対応している。図3(a),(b)において、図2(a),(b)中の要素と同一又は対応する要素には同一符号を付し、その重複する説明は省略する。
【0051】
本実施の形態による電線管21が前記第1の実施の形態による電線管1と異なる所は、円筒状部材11の凸部11bの外周に雄ねじ部11dが形成され、円筒状部材11の凹部11cの内周に雌ねじ部11eが形成され、2つの電線管1同士の固定は、雄ねじ部11dと雌ねじ部11eとが螺合することにより行われている点である。
【0052】
本実施の形態によっても、前記第1の実施の形態と同様の利点が得られる。
【0053】
[第3の実施の形態]
【0054】
図4(a)は、本発明の第3の実施の形態による電線管31を示す概略正面図であり、図1(a)に対応している。図4(b)は、図4(a)中のE−E’矢視図であり、図1(b)に対応している。図4(c)は、図4(a)中のF−F’矢視図であり、図1(c)に対応している。図4(d)は、図4(a)中のG−G’矢視図であり、図1(d)に対応している。図4(e)は、図4(a)中のH−H’矢視図であり、図1(e)に対応している。
【0055】
本実施の形態による電線管31は木材で構成され、その木材は、全体として筒状をなしかつ各々が前記筒状の断面形状の全周の一部となる断面形状を有する複数の構成部材を有している。具体的には、本実施の形態による電線管31を構成する木材は、全体として円筒状をなす2つの断面円弧状部材11A,11Bを、前記複数の構成部材として有している。本発明では、前記木材は、全体として円筒状をなす3つ以上の断面円弧状部材を有していてもよい。また、本発明では、木材は円筒状以外の筒状(例えば、四角筒状)をなしてもよい。さらに、本発明では、全体として筒状をなしかつ各々が前記筒状の断面形状の全周の一部となる断面形状を有する複数の構成部材の数は、2つ以上であればよい。
【0056】
本実施の形態では、2つの断面円弧状部材11A,11Bは、図4に示すように、図1中の円筒状部材11をほぼ2つ割りしたものとなっており、両者を接合することで図1中の円筒状部材11と同様となる。本実施の形態では、図4(b)〜(d)に示すように、2つの断面円弧状部材11A,11Bの接合面には互いに嵌合する凹凸をなす比較的小さい段差が形成されている。もっとも、このような段差は必ずしも形成する必要はない。
【0057】
断面円弧状部材11A,11Bの筒状形態の保持は、例えば、接着剤によって断面円弧状部材11A,11B間を接合することによって行ってもよいし、図4(c)中の矢印Y2で示す位置から当該矢印Y2で示す方向に木ねじ(図示せず)をねじ込むことにより断面円弧状部材11A,11B間を接合することによって行ってもよし、断面円弧状部材11A,11Bの外周を金属製等の図示しないバンド(例えば、ホースバンドのようなバンド)で結束することによって行ってもよい。
【0058】
2つの断面円弧状部材11A,11Bが全体として図1中の円筒状部材11に相当し、断面円弧状部材11Aの内側空間11Aa及び断面円弧状部材11Bの内側空間11Baが全体として図1中の円筒状部材11の中心部の穴11aに相当し、断面円弧状部材11Aの凸部11Ab及び断面円弧状部材11Bの凸部11Bbが全体として図1中の円筒状部材11の凸部11bに相当し、断面円弧状部材11Aの凹部11Ac及び断面円弧状部材11Bの凹部11Bcが全体として図1中の円筒状部材11の凹部11cに相当している。
【0059】
本実施の形態によっても、前記第1の実施の形態と同様の利点が得られる。
【0060】
また、本実施の形態では、電線管31が2つの断面円弧状部材11A,11Bで構成されているので、例えば、ガンドリル等では中心部をくり抜くのが困難なほど長尺の間伐材等であっても、2つ割りにすれば、各2つ割り部材毎に内側空間11Aa,11Baに相当する箇所を削り取ることができるので、1つ1つの電線管31を長尺に構成することができる。
【0061】
[第4の実施の形態]
【0062】
図5は、本発明の第4の実施の形態による電線管連結具41の使用状態を示す概略平面図である。図6は、図5中のJ−J’矢視図である。図7は、図6中のK−K’矢視図である。図8は、図5中のL−L’線に沿った概略断面図である。なお、図5乃至図8では、電線の図示は省略している。
【0063】
本実施の形態による電線管連結具41は、複数の電線管1を連結する中空状の電線管連結具であって、無垢材又はその他の木質系材料からなる木材で構成されたものである。
【0064】
具体的には、本実施の形態による電線管連結具41は、図1に示す2つの電線管1を連結する。本実施の形態による電線管連結具41は、木材からなる4枚の側板42〜45、上板46及び底板47で直方体状の箱形に構成されている。図面には示していないが、側板42〜45、上板46及び底板47は、接着剤又は木ねじ等で互いに固定されて、箱形をなしている。側板42には、電線管1の円筒状部材11の凸部11bが嵌合する取り付け穴42aが形成されている。側板42と直交する側板43には、もう1つの電線管1の円筒状部材11の凸部11bが嵌合する取り付け穴43aが形成されている。取り付け穴42a,43aには、各電線管1の円筒状部材11の凸部11bがそれぞれ嵌合され、接着剤等により各電線管1が側板42,43にそれぞれ固定されている。
【0065】
本実施の形態による電線管連結具41は、使用前においては、側板42〜45、上板46及び底板47のうち、上板46(又は底板47)を除く5枚の板を互いに固定しておき、上板46(又は底板47)のみを蓋として5枚の板から取り外しておく。本実施の形態による電線管連結具41は、使用に際して、2つの電線管1が取り付け穴42a,43aにそれぞれ取り付けられ、電線(図示せず)が、一方の電線管1内から電線管連結具41内へ導出されて、そこから他方の電線管内へ導入される。これにより、電線は電線管連結具41内で90゜曲げられることになる。その後、上板46(又は底板47)が他の5枚の板に対して固定されることにより蓋され、本実施の形態による電線管連結具41が使用状態となる。このように、本実施の形態による電線管連結具41は、例えば、電線を90゜曲げる箇所において用いられる。
【0066】
本実施の形態では、側板42〜45、上板46及び底板47は、不燃化、準不燃化又は難燃化の処理が施されている。側板42〜45、上板46及び底板47の外側面の側のみに前記処理を施してもよいが、側板42〜45、上板46及び底板47の内側面の側にも前記処理を施すことが好ましい。
【0067】
本実施の形態による電線管連結具41は木材で構成されているので、金属製や樹脂製の電線管連結具に比べて、火災による高熱が内部の電線に伝わり難くなる。したがって、本実施の形態によれば、火災に対する電線の耐性を高めることができ、これにより、火災により電線が断線又は短絡してしまうまでの時間を延ばすことができる。
【0068】
また、本実施の形態によれば、電線管連結具41を構成する木材である側板42〜45、上板46及び底板47は、不燃化、準不燃化又は難燃化の処理が施されている。したがって、前記木材が燃え難くなることから、火災に対する電線の耐性をより高めることができ、これにより、火災により電線が断線又は短絡してしまうまでの時間をより延ばすことができる。もっとも、本発明では、前記木材は、必ずしも不燃化、準不燃化又は難燃化の処理を施さなくてもよい。
【0069】
なお、本実施の形態において、図1に示す電線管1に代えて、図3に示す電線管21を連結するように変形してもよい。この場合、取り付け穴42a,43aには、電線管21の凸部11bに形成された雄ねじ部11dが螺合される雌ねじ部が形成される。各電線管21の凸部11bの雄ねじ部11dを取り付け穴42a,43aの雌ねじ部に螺合することで、各電線管21を側板42,43に固定することができる。
【0070】
[第5の実施の形態]
【0071】
図9は、本発明の第5の実施の形態による電線管連結具51の使用状態を示す概略平面図である。図10は、図9中のM−M’矢視図である。図11は、図10中のN−N’矢視図である。図12は、図9中のO−O’線に沿った概略断面図である。図9中のP−P’線に沿った概略断面図及び図9中のQ−Q’線に沿った概略断面図は、図12と同様となる。なお、図9乃至図12では、電線の図示は省略している。
【0072】
本実施の形態による電線管連結具51も、複数の電線管1を連結する中空状の電線管連結具であって、無垢材又はその他の木質系材料からなる木材で構成されたものである。
【0073】
具体的には、本実施の形態による電線管連結具51は、図1に示す6つの電線管1を連結する。本実施の形態による電線管連結具51は、木材からなる6枚の側板52〜57、上板58及び底板59で正六角柱状の箱形に構成されている。図面には示していないが、側板52〜57、上板58及び底板59は、接着剤又は木ねじ等で互いに固定されて、箱形をなしている。側板52〜57には、電線管1の円筒状部材11の凸部11bが嵌合する取り付け穴52a,53a,54a,55a,56a,57aがそれぞれ形成されている。取り付け穴52a,53a,54a,55a,56a,57aには、各電線管1の円筒状部材11の凸部11bがそれぞれ嵌合され、接着剤等により各電線管1が側板52〜57にそれぞれ固定されている。
【0074】
本実施の形態による電線管連結具51は、使用前においては、側板52〜57、上板58及び底板59のうち、上板58(又は底板59)を除く7枚の板を互いに固定しておき、上板58(又は底板59)のみを蓋として7枚の板から取り外しておく。本実施の形態による電線管連結具51は、使用に際して、6つの電線管1が取り付け穴52a,53a,54a,55a,56a,57aにそれぞれ取り付けられ、1つの電線管1内から5本の電線(図示せず)が電線管連結具51内へ導出されて、その5本の電線がそこから他の5つの電線管1内へそれぞれ1本ずつ導入される。これにより、1つの電線管1から電線管連結具51内へ導出された5本の電線が5つの電線管1へそれぞれ分岐されることになる。その後、上板58(又は底板59)が他の7枚の板に対して固定されることにより蓋され、本実施の形態による電線管連結具51が使用状態となる。このように、本実施の形態による電線管連結具51は、例えば、電線を分岐する箇所において用いられる。
【0075】
本実施の形態では、側板52〜57、上板58及び底板59は、不燃化、準不燃化又は難燃化の処理が施されている。側板52〜57、上板58及び底板59の外側面の側のみに前記処理を施してもよいが、側板52〜57、上板58及び底板59の内側面の側にも前記処理を施すことが好ましい。
【0076】
本実施の形態による電線管連結具51は木材で構成されているので、金属製や樹脂製の電線管連結具に比べて、火災による高熱が内部の電線に伝わり難くなる。したがって、本実施の形態によれば、火災に対する電線の耐性を高めることができ、これにより、火災により電線が断線又は短絡してしまうまでの時間を延ばすことができる。
【0077】
また、本実施の形態によれば、電線管連結具51を構成する木材である側板52〜57、上板58及び底板59は、不燃化、準不燃化又は難燃化の処理が施されている。したがって、前記木材が燃え難くなることから、火災に対する電線の耐性をより高めることができ、これにより、火災により電線が断線又は短絡してしまうまでの時間をより延ばすことができる。もっとも、本発明では、前記木材は、必ずしも不燃化、準不燃化又は難燃化の処理を施さなくてもよい。
【0078】
なお、本実施の形態において、図1に示す電線管1に代えて、図3に示す電線管21を連結するように変形してもよい。この場合、取り付け穴52a,53a,54a,55a,56a,57aには、電線管21の凸部11bに形成された雄ねじ部11dが螺合される雌ねじ部が形成される。各電線管21の凸部11bの雄ねじ部11dを取り付け穴52a,53a,54a,55a,56a,57aの雌ねじ部に螺合することで、各電線管21を側板52〜57に固定することができる。
【0079】
また、本実施の形態において、例えば、側板53,55,57には取り付け穴53a,55a,57aを形成せずに、側板53,55,57には電線管1を取り付けないように変形してもよい。この場合、例えば、1つの電線管1から電線管連結具51内へ導出された2本の電線を他の2つの電線管1へそれぞれ分岐するために用いることができる。
【0080】
さらに、本実施の形態において、例えば、正四角柱状、正五角柱状をなすように構成し、各側板に取り付け穴を設けてそこに電線管1を固定するように変形してもよい。
【0081】
[比較例]
【0082】
図13は、前述した本発明の第4の実施の形態による電線管連結具41と比較される比較例による電線管連結具61を、模式的に示す概略斜視図である。図14は、図13中のR部付近を拡大して示す概略縦断面図である。図14には、前述した本発明の第1の実施の形態による電線管1と比較される比較例による電線管71も、併せて想像線で示している。
【0083】
この比較例による電線管連結具61は、直方体状の箱形の金属製の本体62と、電線管接続のための2つの金属製の接続管63とを有している。接続管63は、本体62の開口62aに接続されている。接続管63には、接続管63に金属製の電線管71を固定するための管止め64が設けられている。
【0084】
この比較例による電線管連結具61は、前述した本発明の第4の実施の形態による電線管連結具41と同様に、例えば、電線を90゜曲げる箇所において用いられる。
【0085】
なお、管止め64は先端にねじが設けられており、接続管63のねじ穴にねじ込んで電線管71を固定するためのものであるが、ねじ込みが行なわれた後さらにその頭部を強くねじると細首部64aのところでねじ切られるように使用される。頭部がないのを離れた位置から確認することによって電線管71の固定が完了しているのを確認できるようにするため設けられている。なお、接続管63の内側にねじを刻設し、電線管71をこれにねじ込む形式のときは管止め3は不要である。
この比較例による電線管71は金属製であるので、火災による高熱が電線管の外部から内部の電線に伝わり易く、電線が短時間で断線又は短絡してしまう。
【0086】
また、この比較例による電線管連結具61は金属製であるので、当該電線管連結具に連結された電線管を介して当該電線管連結具内に導かれている電線に対して、火災による高熱が当該電線管連結具の外部から短時間で伝わってしまい、電線管連結具内の箇所においてやはり電線が短時間で断線又は短絡してしまう。
【0087】
[第6及び第7の実施の形態]
【0088】
図15は、本発明の第6の実施の形態による電線管カバー81及び本発明の第7の実施の形態による電線管連結具カバー91の使用状態を模式的に示す概略斜視図である。図16は、図15中のS部付近を拡大して示す概略縦断面図である。
【0089】
本発明の第6の実施の形態による電線管カバー81は、前記比較例による金属製の電線管71を覆う電線管カバーであって、無垢材又はその他の木質系材料からなる木材で構成されたものである。本実施の形態による電線管カバー81は、図4に示す電線管31と同様に構成されているので、その詳細な説明は省略する。ただし、本実施の形態による電線管カバー81は、電線管71を覆うように寸法等が定められている。
【0090】
本発明の第7の態様による電線管連結具カバー91は、前記比較例による金属製の電線管連結具61を覆う電線管連結具カバーであって、無垢材又はその他の木質系材料からなる木材で構成されたものである。本実施の形態による電線管連結具カバー91は、図5乃至図8に示す電線管連結具41と同様に構成されているので、その詳細な説明は省略する。ただし、本実施の形態による電線管連結具カバー91は、電線管連結具61を覆うように寸法等が定められている。
【0091】
本発明の第6の実施の形態による電線管カバー81は木材で構成されて金属製の電線管71を覆うので、火災による高熱が内部の電線管71に伝わり難くなり、ひいては、火災による高熱が内部の電線に伝わり難くなる。したがって、本実施の形態によれば、金属製の電線管71が用いられているにも拘わらず、火災に対する電線の耐性を高めることができ、これにより、火災により電線が断線又は短絡してしまうまでの時間を延ばすことができる。
【0092】
また、本発明の第7の実施の形態による電線管連結具カバー91は木材で構成されて金属製の電線管連結具61を覆うので、火災による高熱が内部の電線管連結具61に伝わり難くなり、ひいては、火災による高熱が内部の電線に伝わり難くなる。したがって、本実施の形態によれば、金属製の電線管連結具が用いられているにも拘わらず、火災に対する電線の耐性を高めることができ、これにより、火災により電線が断線又は短絡してしまうまでの時間を延ばすことができる。
【0093】
なお、本実施の形態による電線管カバー81は、金属製の電線管71に代えて、樹脂製の電線管を覆ってもよい。また、本実施の形態による電線管連結具カバー91は、金属製の電線管連結具61に代えて、樹脂製の電線管連結具を覆ってもよい。
【0094】
以上、本発明の各実施の形態について説明したが、本発明はこれらの実施の形態に限定されるものではない。
【0095】
例えば、前述した実施の形態では、電線管及び電線管カバーは円筒状をなすように構成されているが、電線管及び電線管カバーは円筒状以外の他の筒状(例えば、四角筒状)をなすように構成してもよい。
【0096】
また、前述した実施の形態では、電線管は直線状に延びた直管として構成されているが、電線管は所定の曲率でなだらかに所定角度(例えば、90゜)曲がる曲がり管として構成してもよい。このような曲がり管は、例えば、木粉を樹脂や不燃剤や難燃剤等で固めて成形することにより製造することができる。
【0097】
さらに、前述した実施の形態は、電線管、電線管連結具、電線管カバー及び電線管連結具カバーの例であったが、本発明は、例えば、前述した実施の形態において内部に収容して保護する対象を電線に代えてエネルギー伝送用や通信用などの各種の導光線(光ファイバ等を含む)とした、導光線管(導光線用の保護管)、複数の導光線管を連結する中空状の導光線管連結具、導光線管を覆う導光線管カバー、導光線管連結具を覆う導光線管連結具カバーにも、適用することができる。
【符号の説明】
【0098】
1,21,31 電線管(保護管)
41,51 電線管連結具(保護管連結具)
81 電線管カバー(保護管カバー)
91 電線管連結具カバー(保護管連結具カバー)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16