特許第6529891号(P6529891)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ テイ・エス テック株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6529891-車両用内装材 図000002
  • 特許6529891-車両用内装材 図000003
  • 特許6529891-車両用内装材 図000004
  • 特許6529891-車両用内装材 図000005
  • 特許6529891-車両用内装材 図000006
  • 特許6529891-車両用内装材 図000007
  • 特許6529891-車両用内装材 図000008
  • 特許6529891-車両用内装材 図000009
  • 特許6529891-車両用内装材 図000010
  • 特許6529891-車両用内装材 図000011
  • 特許6529891-車両用内装材 図000012
  • 特許6529891-車両用内装材 図000013
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6529891
(24)【登録日】2019年5月24日
(45)【発行日】2019年6月12日
(54)【発明の名称】車両用内装材
(51)【国際特許分類】
   B60R 13/02 20060101AFI20190531BHJP
   B29C 65/20 20060101ALI20190531BHJP
   B29C 65/56 20060101ALI20190531BHJP
   F16B 11/00 20060101ALI20190531BHJP
   F16B 5/08 20060101ALI20190531BHJP
【FI】
   B60R13/02 B
   B60R13/02 A
   B60R13/02 C
   B29C65/20
   B29C65/56
   F16B11/00 E
   F16B5/08 B
【請求項の数】10
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2015-216971(P2015-216971)
(22)【出願日】2015年11月4日
(65)【公開番号】特開2017-87817(P2017-87817A)
(43)【公開日】2017年5月25日
【審査請求日】2018年3月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】000220066
【氏名又は名称】テイ・エス テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088580
【弁理士】
【氏名又は名称】秋山 敦
(74)【代理人】
【識別番号】100111109
【弁理士】
【氏名又は名称】城田 百合子
(72)【発明者】
【氏名】山本 哲久
(72)【発明者】
【氏名】原 拓也
【審査官】 宮地 将斗
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−043500(JP,A)
【文献】 特開2014−162217(JP,A)
【文献】 実開昭52−137057(JP,U)
【文献】 特開平11−301266(JP,A)
【文献】 特開2003−305774(JP,A)
【文献】 特開2012−153008(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 13/01−13/04、13/08
B29C 63/00−63/48
B29C 65/00−65/82
F16B 5/00− 5/12
F16B 9/00−11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれ熱可塑性樹脂製の第1部品、第2部品、及び前記第1部品と前記第2部品の間に配置される1以上の中間部品が溶着により接合される車両用内装材であって、
前記第1部品は、前記第2部品側に突出した第1突出部を有し、
前記中間部品は、
前記第1突出部が挿通される第1の貫通孔と、
前記第1の貫通孔の周囲に設けられ、前記第2部品側に突出した第2突出部と、を有し、
前記第2部品は、前記第1突出部と前記第2突出部とが共に挿通される第2の貫通孔を有し、
前記第1突出部と、前記第2突出部と、前記第2部品が溶着され
前記第2部品は、前記中間部品と対向する面に、前記中間部品に当接する当接部を有することを特徴とする車両用内装材。
【請求項2】
前記第1突出部が前記第2の貫通孔から突出する部分は、前記第2突出部が前記第2の貫通孔から突出する部分よりも長い
ことを特徴とする請求項1に記載の車両用内装材。
【請求項3】
前記第1突出部は、前記第2部品側に延出した1以上の壁部を有する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の車両用内装材。
【請求項4】
前記第2突出部は、前記第2部品側に延出した1以上の壁部を有し、
前記第1突出部の壁部と、前記第2突出部の壁部とが対向する位置に配される
ことを特徴とする請求項3に記載の車両用内装材。
【請求項5】
前記第2突出部の壁部は、前記第2の貫通孔の一部の縁に対して設けられる
ことを特徴とする請求項4に記載の車両用内装材。
【請求項6】
前記第1突出部は、突出方向における断面が略H字形状であり、
前記第2突出部は、突出方向における断面が略コの字形状である
ことを特徴とする請求項5に記載の車両用内装材。
【請求項7】
前記第1突出部は、円筒形状であり、
前記第2突出部の前記第1突出部と対向する面は、前記第1突出部の外周に沿って湾曲している
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の車両用内装材。
【請求項8】
前記第1部品は、前記中間部品と対向する面に設けられ、前記中間部品を支持する支持部を有する
ことを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の車両用内装材。
【請求項9】
前記支持部は、前記中間部品と対向する面と前記第1突出部に接続するとともに、前記中間部品と対向する面の面内方向に延出する
ことを特徴とする請求項8に記載の車両用内装材。
【請求項10】
それぞれ熱可塑性樹脂製の第1部品、第2部品、及び前記第1部品と前記第2部品の間に配置される1以上の中間部品が溶着により接合される車両用内装材であって、
前記第1部品は、前記第2部品側に突出した第1突出部を有し、
前記中間部品は、
前記第1突出部が挿通される第1の貫通孔と、
前記第1の貫通孔の周囲に設けられ、前記第2部品側に突出した第2突出部と、を有し、
前記第2部品は、前記第1突出部と前記第2突出部とが共に挿通される第2の貫通孔を有し、
前記第1突出部と、前記第2突出部と、前記第2部品が溶着され、
前記第1突出部は、前記第2部品側に延出した1以上の壁部を有し、
前記第2突出部は、前記第2部品側に延出した1以上の壁部を有し、
前記第1突出部の壁部と、前記第2突出部の壁部とが対向する位置に配され、
前記第2突出部の壁部は、前記第2の貫通孔の一部の縁に対して設けられ、
前記第1突出部は、突出方向における断面が略H字形状であり、
前記第2突出部は、突出方向における断面が略コの字形状であることを特徴とする車両用内装材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、3以上の熱可塑性樹脂製の樹脂部品を接合してなる車両用内装材に関する。
【背景技術】
【0002】
2つの樹脂部品を接合する方法として、一方の樹脂部品に設けられた突起を他方の樹脂部品に挿通し、突起を熱溶着させて接合することが行われている(下記の特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第8226871号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、3以上の樹脂部品を接合しようとする場合には、上下の樹脂部品の中間に樹脂部品を配置して上下の樹脂部品を熱溶着することで中間の樹脂部品を挟み込んで接合することが考えられる。しかしながら、こうした接合方法では、接合された樹脂部品群が強振されたときには、溶着されていない中間の樹脂部品の位置がずれて、ガタツキや雑音の発生要因となる。
【0005】
一方、タッピングねじを用いて3以上の樹脂部品を接合することも考えられるが、部品点数が増加するため、重量や工数が増加してしまう。
【0006】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、3以上の樹脂部品の強固な接合が可能で且つ軽量化が可能な車両用内装材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題は、それぞれ熱可塑性樹脂製の第1部品、第2部品、及び前記第1部品と前記第2部品の間に配置される1以上の中間部品が溶着により接合される車両用内装材であって、前記第1部品は、前記第2部品側に突出した第1突出部を有し、前記中間部品は、前記第1突出部が挿通される第1の貫通孔と、前記第1の貫通孔の周囲に設けられ、前記第2部品側に突出した第2突出部と、を有し、前記第2部品は、前記第1突出部と前記第2突出部とが共に挿通される第2の貫通孔を有し、前記第1突出部と、前記第2突出部と、前記第2部品が溶着され、前記第2部品は、前記中間部品と対向する面に、前記中間部品に当接する当接部を有することを特徴とする車両用内装材により解決される。
【0008】
上記の車両用内装材では、第1部品と第2部品との間に配される中間部品にも溶着部分を設けたことにより、3部品以上が溶着により融け合うため、各部品を強固に接合でき、がたつきの発生を抑制できる。
また、車両用内装材を構成する各部品の接合に他の部材を要しないため、接合に要する部品点数を削減することができ、軽量化が可能となる。
また、車両用内装材を構成する各部品の接合にタッピングねじ等の他の部材を使用する場合に比べて、各部品の接合作業の工数も削減することができる。
また、車両用内装材を構成する各部品の接合部分の成分が樹脂であるためリサイクル性にも優れている。
また、第2部品と中間部品との当接を安定させ、がたつきを抑えることができる。
【0009】
上記の車両用内装材において、前記第1突出部が前記第2の貫通孔から突出する部分は、前記第2突出部が前記第2の貫通孔から突出する部分よりも長いこととしてよい。
こうすることで、車両用内装材を構成する各部品を溶着する前の組み付け状態を確認することが容易となる。また、溶着後の樹脂溜りの形状を制御できる。
【0010】
上記の車両用内装材において、前記第1突出部は、前記第2部品側に延出した1以上の壁部を有することとしてよい。
こうすることで、第1部品から中間部品と第2部品を貫くように突出する第1突出部の成型を容易とすることができる。
【0011】
上記の車両用内装材において、前記第2突出部は、前記第2部品側に延出した1以上の壁部を有し、前記第1突出部の壁部と、前記第2突出部の壁部とが対向する位置に配されることとしてよい。
こうすることで、第1部品の第1突出部と、中間部品の第2突出部との対向する面を大きくすることにより、溶着後に両者が融け合う量を多くすることができる。これにより、各部品をより強固に接合でき、がたつきの発生を抑制できる。
また、第1部品の第1突出部と、中間部品の第2突出部の位置関係が定まるため、各部品の組み付けを正しく行うことが容易となる。
【0012】
上記の車両用内装材において、前記第2突出部の壁部は、前記第2の貫通孔の一部の縁に対して設けられることとしてよい。
こうすることで、第2突出部の壁部を第2の貫通孔の全縁に渡って設ける場合に比べて、第2突出部の成形時の脱型が容易となる。これにより、第2突出部の成型を容易とすることができる。
【0013】
上記の車両用内装材において、前記第1突出部は、突出方向における断面が略H字形状であり、前記第2突出部は、突出方向における断面が略コの字形状であることとしてよい。
こうすることで、第1突出部と第2突出部とが当接する面を大きくし、さらに第1突出部と第2突出部の強度を高めることで、各部品の接合時のがたつきを抑えることができる。
【0014】
上記の車両用内装材において、前記第1突出部は、円筒形状であり、前記第2突出部の前記第1突出部と対向する面は、前記第1突出部の外周に沿って湾曲していることとしてよい。
こうすることで、第1突出部の強度を高め、第1突出部と第2突出部とが当接する面を大きくすることで、各部品の接合時のがたつきを抑えることができる。
【0015】
上記の車両用内装材において、前記第1部品は、前記中間部品と対向する面に設けられ、前記中間部品を支持する支持部を有することとしてよい。
こうすることで、第1部品と中間部品との当接を安定させ、がたつきを抑えることができる。
【0016】
上記の車両用内装材において、前記支持部は、前記中間部品と対向する面と前記第1突出部に接続するとともに、前記中間部品と対向する面の面内方向に延出することとしてよい。
こうすることで、中間部品を第1部品の広い範囲で支持することで、第1部品と中間部品との当接を安定させ、がたつきを抑えることができる。
また、第1部品において第1突出部と第1部品の面との間に空間を設け、放熱性を高めることができる。
【0017】
前記課題は、それぞれ熱可塑性樹脂製の第1部品、第2部品、及び前記第1部品と前記第2部品の間に配置される1以上の中間部品が溶着により接合される車両用内装材であって、前記第1部品は、前記第2部品側に突出した第1突出部を有し、前記中間部品は、前記第1突出部が挿通される第1の貫通孔と、前記第1の貫通孔の周囲に設けられ、前記第2部品側に突出した第2突出部と、を有し、前記第2部品は、前記第1突出部と前記第2突出部とが共に挿通される第2の貫通孔を有し、前記第1突出部と、前記第2突出部と、前記第2部品が溶着され、前記第1突出部は、前記第2部品側に延出した1以上の壁部を有し、前記第2突出部は、前記第2部品側に延出した1以上の壁部を有し、前記第1突出部の壁部と、前記第2突出部の壁部とが対向する位置に配され、前記第2突出部の壁部は、前記第2の貫通孔の一部の縁に対して設けられ、前記第1突出部は、突出方向における断面が略H字形状であり、前記第2突出部は、突出方向における断面が略コの字形状であることを特徴とする車両用内装材により解決される。
こうすることで、第1部品から中間部品と第2部品を貫くように突出する第1突出部の成型を容易とすることができる。
こうすることで、第1部品の第1突出部と、中間部品の第2突出部との対向する面を大きくすることにより、溶着後に両者が融け合う量を多くすることができる。これにより、各部品をより強固に接合でき、がたつきの発生を抑制できる。
また、第1部品の第1突出部と、中間部品の第2突出部の位置関係が定まるため、各部品の組み付けを正しく行うことが容易となる。
こうすることで、第2突出部の壁部を第2の貫通孔の全縁に渡って設ける場合に比べて、第2突出部の成形時の脱型が容易となる。これにより、第2突出部の成型を容易とすることができる。
こうすることで、第1突出部と第2突出部とが当接する面を大きくし、さらに第1突出部と第2突出部の強度を高めることで、各部品の接合時のがたつきを抑えることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、車両用内装材を構成する各部品が溶着により融け合うため、各部品を強固に接合でき、がたつきの発生を抑制できる。
【0019】
本発明の一態様によれば、車両用内装材を構成する各部品を溶着する前の組み付け状態を確認することが容易となる。
【0020】
本発明の一態様によれば、第1突出部の成型を容易とすることができる。
【0021】
本発明の一態様によれば、車両用内装材を構成する各部品をより強固に接合でき、がたつきの発生を抑制できる。
【0022】
本発明の一態様によれば、第2突出部の成型を容易とすることができる。
【0023】
本発明の一態様によれば、車両用内装材を構成する各部品の接合時のがたつきを抑えることができる。
【0024】
本発明の一態様によれば、車両用内装材を構成する各部品の接合時のがたつきを抑えることができる。
【0025】
本発明の一態様によれば、第1部品と中間部品との当接を安定させ、がたつきを抑えることができる。
【0026】
本発明の一態様によれば、放熱性を高めることができる。
【0027】
本発明の一態様によれば、第2部品と中間部品との当接を安定させ、がたつきを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】第1の実施形態に係る車両用内装材の分解斜視図である。
図2】第1の実施形態に係る車両用内装材の斜視図である。
図3図2のIII-III断面図である。
図4】熱溶着後のIII-III断面図である。
図5】第2の実施形態に係る車両用内装材の分解斜視図である。
図6】第2の実施形態に係る車両用内装材の斜視図である。
図7図6のVII-VII断面図である。
図8】熱溶着後のVII-VII断面図である。
図9】第1の実施形態の変形例に係る車両用内装材の斜視図である。
図10】第2の実施形態の変形例に係る車両用内装材の断面図である。
図11】車両用内装材を適用した車両用ドアの一例である。
図12図11のXII-XII断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図1乃至図12に基づいて、本発明に係る車両用内装材の実施の形態(以下、実施形態)について説明する。
【0030】
なお、本実施形態は、それぞれ熱可塑性樹脂製の第1部品、第2部品、及び前記第1部品と前記第2部品の間に配置される1以上の中間部品が溶着により接合される車両用内装材であって、前記第1部品は、前記第2部品側に突出した第1突出部を有し、前記中間部品は、前記第1突出部が挿通される第1の貫通孔と、前記第1の貫通孔の周囲に設けられ、前記第2部品側に突出した第2突出部と、を有し、前記第2部品は、前記第1突出部と前記第2突出部とが共に挿通される第2の貫通孔を有し、前記第1突出部と、前記第2突出部と、前記第2部品が溶着されることを特徴とする車両用内装材の発明に関するものである。
【0031】
例えば、本発明に係る車両用内装材は、車両のドアライニングやアームレストのパッド等の内装材に適用可能である。
【0032】
[1.第1の実施形態]
まず、図1乃至図4に基づいて、本発明の第1の実施形態について説明する。
【0033】
図1は、第1の実施形態に係る車両用内装材1の分解斜視図であり、図2は、車両用内装材1の斜視図である。また、図3は、図2のIII-III断面図であり、図4は、車両用内装材1を熱溶着により接合した後のIII-III断面図である。
【0034】
図1乃至図3に示されるように、車両用内装材1は、第1部品10、中間部品12、及び第2部品14を含み構成される。
【0035】
第1部品10は、熱可塑性樹脂製の樹脂部品であり、平板状の表面部10aの上に支持部10b、リブ10cが設けられている。
【0036】
支持部10bは、中間部品12を第1部品10の上に載置した場合に、中間部品12の裏面と当接する部分となる。支持部10bは、第1部品10の中心部に設けられたリブ10cの下部と接続されており、リブ10cとの接続部から表面部10aの縦横方向(面内方向)に延出している。
【0037】
また、支持部10bの高さは、支持部10bが中間部品12の裏面に当接した場合において、第1部品10に対し中間部品12が僅かに浮く程度となっている。このように、支持部10bが中間部品12の裏面と当接することで、表面部10aの全体で中間部品12を支持する場合に比べて、支持する部位の高さのばらつきが抑えられるため、ガタツキの発生が抑制される。また、支持部10bにより中間部品12を支持することで、表面部10aと中間部品12の裏面との間に隙間を生じさせることにより、熱溶着時に加熱されるリブ10cから伝達される熱を効果的に放熱させるという効果も奏される。
【0038】
リブ10cは、表面部10aから上に突出しており、対向する一対の壁部10dと、壁部10dのそれぞれの中心部を連結する壁連結部10eとを含み構成される。こうして、リブ10cの上下方向(突出方向)における断面を略H字形状とすることにより、リブ10cの強度を高めている。
【0039】
壁部10dは、先端が上向きの略アーチ型の平板形状となっている。また、壁部10dの下部は支持部10bと連結しており、壁部10dの厚みは、支持部10bの短手方向の幅と略同一となっている。
【0040】
壁連結部10eは、一対の壁部10dの中心部を連結し、壁連結部10eの高さと壁部10dの高さとは略同一となっている。また、壁連結部10eの厚みは、支持部10bの短手方向の幅と略同一となっている。
【0041】
次に、中間部品12の構成について説明する。中間部品12は、熱可塑性樹脂製の樹脂部品であり、平板状の表面部12aの中心部に設けられた貫通孔12cと、貫通孔12cの周りに設けられた壁部12bとを有している。
【0042】
貫通孔12cは、第1部品10のリブ10cが挿通される、略矩形の開口である。貫通孔12cの大きさは、リブ10cの下部の断面よりも僅かに大きいサイズとなっている。
【0043】
壁部12bは、表面部12aから上に突出しており、貫通孔12cの周辺に設けられている。なお、壁部12bは、貫通孔12cの3辺に連結して設けられており、上下方向における断面が略コの字形状となっている。このように、貫通孔12cの一部(本実施形態では一辺)には、壁部12bを設けず、壁部12bを開断面形状としたことにより、壁部12bの脱型が容易となり、壁部12bの成型の安定性を向上させることができる。
【0044】
なお、図2に示されるように、第1部品10と中間部品12との取り付け時において、壁部10dと壁部12bが対向するように配置される。こうして、対向する壁部12bの間に壁部10dが配置されるとともに、対向する壁部10dと壁部12bが僅かに離間して配置されることとなる。
【0045】
次に、第2部品14の構成について説明する。第2部品14は、熱可塑性樹脂製の樹脂部品であり、平板状の表面部14aの中心部に設けられた貫通孔14bと、貫通孔14bの周りであって第2部品14の裏面(すなわち表面部14aと反対側の面)に設けられた当接部14cとを有している。
【0046】
貫通孔14bは、第1部品10のリブ10cと、中間部品12の壁部12bが共に挿通される、略矩形の開口である。貫通孔14bの大きさは、リブ10cと、壁部12bの下部断面の外接矩形よりも僅かに大きいサイズとなっている。
【0047】
当接部14cは、第2部品14を中間部品12の上に載置した場合に、中間部品12の表面部12aと当接する部分となる。このように、当接部14cが中間部品12の表面部12aと当接することで、表面部12aの全体と第2部品14の裏面が当接する場合に比べて、当接する部位の高さのばらつきが抑えられるため、ガタツキの発生が抑制される。
【0048】
図2及び図3に示されるように、第1部品10、中間部品12及び第2部品14の組み付け状態において、第1部品10のリブ10cと、中間部品12の壁部12bとは、第2部品14の貫通孔14bから突出した状態となっている。ここで、第1部品10のリブ10cが貫通孔14bから突出している部分の長さが、中間部品12の壁部12bが貫通孔14bから突出している部分の長さよりも長くなっている。これにより、第2部品14の表面部14aから上の状態を確認するだけで、第1部品10、中間部品12及び第2部品14の組み付けが正しく行われているかを確認することができる。
【0049】
そして、図4には、貫通孔14bから突出しているリブ10c及び壁部12bに対し、加熱された溶着ホーン30を上方から押し付けて溶融させ、第1部品10、中間部品12及び第2部品14を溶着により接合した状態を示している。なお、溶着溜り20は、第1部品10、中間部品12及び第2部品14の溶融した材料が融け合って固まったものである。
【0050】
なお、溶着ホーン30の端面と、リブ10c及び壁部12bが当接するように、溶着ホーン30の端面よりも、リブ10c及び壁部12bが内側に配されるように、リブ10cと壁部12bの大きさを定めることとしてよい。
【0051】
以上説明した本実施形態に係る車両用内装材1では、3部品が溶着により接合されるため、各部品を強固に接合でき、がたつきの発生を抑制できる。また、各部品の接合にタッピングねじ等の他の部材を要しないため、接合に要する部品点数を削減することができ、軽量化が可能となる。また、各部品の接合にタッピングねじを使用する場合に比べて、各部品の接合作業の工数も削減することができる。また、車両用内装材1を構成する各部品の接合部分の成分は樹脂であるためリサイクル性にも優れている。また、貫通孔12c、貫通孔14bを矩形穴とし、さらに壁部12bもコの字形状としたことで樹脂部品を組み付けした際に各樹脂部品の位置が規制されるため、樹脂部品のセットが容易となる。
【0052】
[2.第2の実施形態]
次に、図5乃至図8に基づいて、本発明の第2の実施形態について説明する。
【0053】
図5は、第2の実施形態に係る車両用内装材2の分解斜視図であり、図6は、車両用内装材2の斜視図である。また、図7は、図6のVII-VII断面図であり、図8は、車両用内装材2を熱溶着により接合した後のVII-VII断面図である。
【0054】
図5乃至図7に示されるように、車両用内装材2は、第1部品40、中間部品42、及び第2部品44を含み構成される。
【0055】
第1部品40は、熱可塑性樹脂製の樹脂部品であり、平板状の表面部40aの上に支持部40b、ボス40cが設けられている。
【0056】
支持部40bは、中間部品42を第1部品40の上に載置した場合に、中間部品42の裏面と当接する部分となる。支持部40bは、第1部品40の中心部に設けられたボス40cの下部と接続されており、ボス40cとの接続部から表面部40aの縦横方向に延出している。また、支持部40bの高さは、ボス40cの高さに比べて低くなっている。
【0057】
支持部40bが中間部品42の裏面と当接することで、表面部40aの全体で中間部品42を支持する場合に比べて、支持する部位の高さのばらつきが抑えられるため、ガタツキの発生が抑制される。また、支持部40bにより中間部品42を支持することで、表面部40aと中間部品42の裏面との間に隙間を生じさせることにより、熱溶着時に加熱されるボス40cから伝達される熱を効果的に放熱させるという効果も奏される。
【0058】
ボス40cは、表面部40aから上に突出した円筒形状のボスである。ボス40cの中心部の開口は、スリーブピンを中心部に挿通し抜き取ることにより設けられている。
【0059】
次に、中間部品42の構成について説明する。中間部品42は、熱可塑性樹脂製の樹脂部品であり、平板状の表面部42aの中心部に設けられた貫通孔42cと、貫通孔42cの周りに設けられた壁部42bとを有している。
【0060】
貫通孔42cは、第1部品40のボス40cが挿通される、略円形の開口である。貫通孔42cの大きさは、ボス40cの断面よりも僅かに大きいサイズとなっている。
【0061】
壁部42bは、表面部42aから上に突出しており、貫通孔42cの周辺に設けられている。なお、壁部42bは、貫通孔42cの一部の円弧に連結して設けられており、2つの壁部42bはそれぞれ、対向する位置に配されている。
【0062】
なお、図6に示されるように、第1部品40と中間部品42との取り付け時において、ボス40cと壁部42bが対向するように配置される。また、壁部42bの貫通孔42c側の面は、ボス40cの外周面に沿って湾曲しており、ボス40cと対向する面が大きくなる。こうして、対向する壁部42bの間にボス40cが配置されるとともに、対向するボス40cと壁部42bが僅かに離間して配置されることとなる。
【0063】
次に、第2部品44の構成について説明する。第2部品44は、熱可塑性樹脂製の樹脂部品であり、平板状の表面部44aの中心部に設けられた貫通孔44bを有している。
【0064】
貫通孔44bは、第1部品40のボス40cと、中間部品42の壁部42bが共に挿通される、略矩形の開口である。貫通孔44bの大きさは、ボス40cと、壁部42bの外接矩形よりも僅かに大きいサイズとなっている。
【0065】
図6及び図7に示されるように、第1部品40、中間部品42及び第2部品44の組み付け状態において、第1部品40のボス40cと、中間部品42の壁部42bとは、第2部品44の貫通孔44bから突出している。ここで、第1部品40のボス40cが貫通孔44bから突出している部分の長さが、中間部品42の壁部42bが貫通孔44bから突出している部分の長さよりも長くなっている。これにより、第2部品44の表面部44aから上の状態を確認するだけで、第1部品40、中間部品42及び第2部品44の組み付けが正しく行われているかを確認することができる。
【0066】
そして、図8には、貫通孔44bから突出しているボス40c及び壁部42bに対し、加熱した溶着ホーン30を上方から押し付けて溶融させ、第1部品40、中間部品42及び第2部品44を溶着により接合した状態を示している。なお、溶着溜り22は、第1部品40、中間部品42及び第2部品44の溶融した材料が融け合って固まったものである。
【0067】
なお、溶着ホーン30の端面と、ボス40c及び壁部42bが当接するように、溶着ホーン30の端面よりも、ボス40c及び壁部42bが内側に配されるように、ボス40cと壁部42bの大きさを定めることとしてよい。
【0068】
このように、車両用内装材2において第1部品40から突出する突出部をボス40cとした場合においても、第1の実施形態に係る車両用内装材1と同様の効果を奏することができる。ただし、ボス40cが長くなると、ボス40c成型時のスリーブピンへの負担が増大し、またスリーブピン抜き取り時のヒケが大きくなる虞がある。この点、第1の実施形態に係る車両用内装材1では、第1部品10から突出するリブ10cの成型にスリーブピンを用いる必要がないため、上記の課題が解決されている。また、車両用内装材1のリブ10cは、車両用内装材2のボス40cに比べて長さを短くすることができ、金型構造も簡素化できる点で有利といえる。
【0069】
[3.変形例]
【0070】
本発明は上記の実施形態に限定されるものではない。例えば、上記の実施形態は以下のように変形してもよい。
【0071】
図9には、車両用内装材1の変形例に係る車両用内装材1Aを示した。
【0072】
すなわち、図9に示されるように、車両用内装材1Aに対しては、第2部品14の貫通孔14bの周囲の少なくとも一部に対して、中間部品12と同様に、中間部品12の壁部12bと対向する壁部14dを設けるようにしてもよい。この場合には、第1部品10のリブ10cと、中間部品12の壁部12bと、第2部品14の壁部14dとの溶融量がより多くなるため、車両用内装材1に比べて車両用内装材1Aの接合をより強固とすることができる。
【0073】
また例えば、上記の実施形態においては3部品を溶着により接合する例について説明したが、本発明は4部品以上を溶着により接合する場合に対しても同様に適用可能である。
【0074】
図10には、上記の第2の実施形態に係る車両用内装材2に対し、中間部品42と第2部品44との間に更に中間部品43を配置することにより構成した車両用内装材2Aの断面図(図7に相当する断面図)を示した。
【0075】
図10に示されるように、中間部品43に対しても中間部品42と同様に貫通孔、壁部を設ける。そして、中間部品43の貫通孔にボス40c及び壁部42bを挿通するとともに、中間部品43の壁部と、壁部42bと、ボス40cを貫通孔44bに挿通して、第1部品40、中間部品42、中間部品43、第2部品44を組み付ける。
【0076】
そして、第1部品40、中間部品42、中間部品43、第2部品44の組み付け状態において、第1部品40のボス40cと、中間部品42の壁部42bと、中間部品43の壁部が、第2部品44の貫通孔44bから突出した状態となっている。
【0077】
そして、貫通孔44bから突出しているボス40cと、壁部42bと、中間部品43の壁部に対し、加熱された溶着ホーン30を上方から押し付けて溶融させ、ボス40cと、壁部42bと、中間部品43の壁部を溶着により接合することで、第1部品40、中間部品42、中間部品43、第2部品44を接合することができる。なお、第1の実施形態に係る車両用内装材1のように突出部をリブ形状とした場合においても4以上の部品を溶着により接合可能である。
【0078】
また、上記の実施形態では、溶着ホーン30を樹脂部品の突出部に押し付けて溶着させることとしたが、コテを用いて溶着することとしてもよい。
【0079】
また、第2部品の貫通孔から突出する部分の長さは、接合強度に応じて調整することとしてよい。例えば、より強固な接合が必要な場合には、第2部品の貫通孔からの各部品の突出部の長さがより長くすることとしてよい。
【0080】
また、図11には、本発明に係る車両用内装材を適用した車両用ドアDの一例を示した。そして、図12には、車両用ドアDを構成する第1ドア部品D1、第2ドア部品D2、第3ドア部品D3の接合部分JのXII-XII断面図を示した。
【0081】
第1ドア部品D1は、例えば車両用ドアDの内装部品であるドアトリムアッパー部材であり、上述した車両用内装材1における第1部品10、又は車両用内装材2における第1部品40に相当する。また、第2ドア部品D2は、例えば車両用ドアDの内装部品であるドアトリムオーナメント部材であり、上述した車両用内装材1における中間部品12、又は車両用内装材2における中間部品42に相当する。そして、第3ドア部品D3は、例えば車両用ドアDの内装部品であるドアトリムロアー部材であり、上述した車両用内装材1における第2部品14、又は車両用内装材2における第2部品44に相当する。
【0082】
図12に示されるように、第3ドア部品D3の貫通孔からそれぞれ突出する第1ドア部品D1の突出部、第2ドア部品D2の壁部を熱溶着させることにより、各部品を強固に接合することができる。
【0083】
このように、車両用ドアDを構成する部品に、本発明に係る車両用内装材の接合構造を適用することにより、3部品の接合部分を熱溶着により強固に固定が可能となる。ここでは、車両用ドアDに本発明の車両用内装材の構造を適用した例を説明したが、これに限らず他の3部品以上の車両用内装材の接合にも本発明が適用可能であることはいうまでもない。
【0084】
また、上記の実施形態では溶着には、溶着ホーンによる熱溶着の方式を用いた例を説明したが、超音波溶着、振動溶着、誘導溶着、高周波溶着、半導体レーザー溶着、スピン溶着等の他の溶着方式を用いてもよい。
【符号の説明】
【0085】
1 車両用内装材(第1実施形態)
1A 車両用内装材(変形例)
2 車両用内装材(第2実施形態)
2A 車両用内装材(変形例)
10 第1部品(第1実施形態)
10a 表面部
10b 支持部
10c リブ
10d 壁部
10e 壁連結部
12 中間部品(第1実施形態)
12a 表面部
12b 壁部
12c 貫通孔
14 第2部品(第1実施形態)
14a 表面部
14b 貫通孔
14c 当接部
14d 壁部
20 溶着溜り(第1実施形態)
22 溶着溜り(第2実施形態)
30 溶着ホーン
40 第1部品(第2実施形態)
40a 表面部
40b 支持部
40c ボス
42 中間部品(第2実施形態)
42a 表面部
42b 壁部
42c 貫通孔
43 中間部品
44 第2部品(第2実施形態)
44a 表面部
44b 貫通孔
D 車両用ドア
D1 第1ドア部品
D2 第2ドア部品
D3 第3ドア部品
J 接合部分
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12