(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記吐水ヘッドのテーパー面と前記継手管のテーパー面が互いにその一部または全部が当接した状態で、前記吐水ヘッドは前記水栓本体部に装着されることを特徴とする請求項2に記載の水栓。
前記吐水ヘッドの内部には、端部側に第1の内径を有する第1収容部が形成され、奥側に前記第1の内径よりも小さい第2の内径を有する第2収容部が形成されることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の水栓。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[第1実施形態]
図1は、水栓100の側面図である。
図2は、水栓100の分解斜視図である。
本実施形態における水栓100は、水栓本体部112と吐水ヘッド106を含む。一般ユーザでも交換可能な着脱構造にて、吐水ヘッド106と水栓本体部112は接続される。
図1に示す吐水ヘッド106は浄水機能を持たないタイプである。
【0012】
水栓本体部112は、吐水ハンドル102、回転部104、支柱部108および支柱キャップ114を含む。支柱部108は、台所などに固定され、通水管110(
図2参照)を内蔵する。支柱部108を覆うように回転部104が設置される。回転部104は、支柱部108を中心として水平方向に回転する。回転部104の上にある支柱キャップ114は、支柱部108と接続される。支柱キャップ114により、回転部104は上下に抜けないように位置決めされる。ユーザが支柱キャップ114の上にある吐水ハンドル102を垂直方向に動かすと、吐水ハンドル102は支柱部108の操作突起116を前後させ、これによって支柱部108に内蔵される弁(不図示)が開閉される。
【0013】
回転部104から径方向、好ましくは斜め上方に継手管118が突出する。継手管118は、通水口124を介して通水管110と接続される。継手管118には、更に、筒状部材172が挿入される。吐水ヘッド106は、この継手管118および筒状部材172を収容した状態で、回転部104に着脱可能な構造にて固定される。
図1に示すように、吐水ヘッド106の端部は回転部104の側面部(外周面)と対向する。すなわち、回転部104から継手管118が分岐する箇所、継手管118の根元において、吐水ヘッド106と回転部104(水栓本体部112)が対向する。
【0014】
吐水ヘッド106は、装着時には継手管118の根元部分まで押し込まれる。吐水ヘッド106は、回転部104の外側面と当接することが望ましいが、少なくとも、回転部104と吐水ヘッド106の接合部分が目立たない程度に回転部104の外側面と近接する。より具体的には、「根元部分まで押し込む」とは、吐水ヘッド106が継手管118の全長の90%以上を収容すること、あるいは、吐水ヘッド106の端部と回転部104の外側面の隙間が1.5ミリメートル以内であることを意味する。
【0015】
吐水ヘッド106の下部には周方向に延伸する差込口122が形成されている。吐水ヘッド106に継手管118を挿入したあと、ユーザは差込口122から留め具120を挿入する。留め具120は、クリップ型で一定の強度と弾力性のある部材(樹脂等)によって形成される。水栓本体部112に吐水ヘッド106を装着するとき、吐水ヘッド106に継手管118を収容し、吐水ヘッド106を回転部104に向けて押し込む。次に、差込口122から留め具120を手で押し込む。留め具120が継手管118をクリップのように把持(挟持)することで、吐水ヘッド106は回転部104に固定される。留め具120を外せば、吐水ヘッド106を手で引っ張ることにより、吐水ヘッド106を水栓本体部112から簡単に外すことができる。
【0016】
なお、本実施形態における「着脱可能」は、接着や溶接などにより、吐水ヘッド106と水栓本体部112を完全固定する構造は含まない。家庭で一般ユーザが自ら着脱できる構造を意味し、スクリュードライバーなどの着脱のための専用工具を必須としない構造が好ましい。本実施形態においては、留め具120により、吐水ヘッド106と水栓本体部112を固定しているが、留め具120は工具を使わなくても、指や爪でも挿抜できる。また、任意の金属棒等を使って留め具120をひっかけて取り外してもよいが、着脱のための専用工具は必須ではない。もちろん、留め具120などの付加的な固定部材を使わない構成であってもよい。
【0017】
継手管118の根元部分には、テーパー形状を有し、継手管118の中央部の外径よりも大きな外径を有する外径拡大部174が形成される。ユーザは、通常、吐水ヘッド106を操作することで回転部104を回転させる。このとき、継手管118の根元部分に回転にともなう負荷が集中する。本実施形態においては継手管118の根元部分に外径拡大部174を形成することにより、継手管118と回転部104の接続強度を向上させている。
【0018】
吐水ヘッド106は、少なくとも、外径拡大部174の全部または一部を収容するまで回転部104に向けて押し込んで装着される。吐水ヘッド106は、その端部を回転部104の外側面と当接させ、外径拡大部174を完全に収容してもよい。
【0019】
図3は、第1実施形態における吐水ヘッド106の分解斜視図である。
第1実施形態の吐水ヘッド106は、外殻126、内管128、吐水口部材130および整流部材132を含む。継手管118および継手管118に固定される筒状部材172を収容するのは内管128である。水道水は通水管110から継手管118内の筒状部材172、内管128を経由して、吐水口部材130に至り、整流部材132を通ってシンク(図示せず)に吐水される。通水管110に接続され、支柱部108に内蔵される弁は、吐水ハンドル102および操作突起116によって開閉される。
【0020】
内管128は、外殻126(外管)によって覆われる。すなわち、吐水ヘッド106は、内管128と外殻126の二重構造となっている。回転部104の回転軸となるのは支柱部108であり、吐水ヘッド106は支柱部108ではなく回転部104から分岐する継手管118と接続される。
【0021】
継手管118が吐水ヘッド106によって延長される構造であるため、吐水ヘッド106を水平方向に回転させると、その回転力がそのまま継手管118に伝わるため、ユーザによる回転操作を回転部104の回転力として伝えやすい。継手管118は吐水ヘッド106に収容されるため、継手管118は外観を構成しない。
【0022】
吐水ヘッド106を内管128と外殻126の二重構造にすることで、吐水ヘッド106全体の強度を向上させている。内管128は、外殻126のほぼ全域をカバーできるように、吐水口部材130から外殻126の端部(回転部104と対向する部分)まで延伸する。ここでいう「外殻126の端部」とは、外殻126の先端176から3ミリメートル以内の範囲をいう。このため、内管128の端部と外殻126の端部はほぼ一致している。外殻126だけでなく内管128も、水栓本体部112に装着されるとき、少なくとも、外径拡大部174の全部または一部も収容するまで押し込まれる。あるいは、内管128は外殻126の端部からその一部が飛び出す形状であってもよい。
【0023】
内管128と外殻126は役割が異なる。外殻126は美観が重視されるが、外殻126に内蔵される内管128の美観はそれほど重要ではない。一方、内管128は水の通り道であるとともに継手管118と直接接合するため、特にその内部構造には高い加工精度が求められる。
【0024】
軽量化およびコストダウンのため、外殻126および内管128の双方をABS樹脂やポリアセタール等の樹脂により形成する。外殻126を軽量化できれば、取り換え式の吐水ヘッド106を持ち運びやすいし、安全でもある。樹脂は金属よりも強度が低いため、内管128および外殻126の二重構造により吐水ヘッド106を強化している。また、金属光沢をもたせるため、外殻126は樹脂メッキ加工を施される。樹脂メッキに際しては、先端176付近をその内側から支持した状態で外殻126をメッキ液に浸す。メッキ液は高温であるため、外殻126の支持部分(内側)にストレスがかかりやすい。このストレスは外殻126の内部構造の加工精度を低下させる可能性がある。一方、内管128は樹脂メッキをする必要がないので、このようなストレスとは無縁である。このため、比較的高い加工精度が求められる内管128を外殻126とは別構成にすることで、外殻126の美観と内管128の機能性を両立させている。
【0025】
回転部104の外側面は曲面形状(円筒形状)を有するが、外殻126および内管128の端面も回転部104の曲面形状と一致する形状に加工されている。また、詳細は後述するが、外殻126および内管128の端面は外径拡大部174のテーパー面に一致する形状に加工されている。すなわち、外殻126および内管128の端面は、外径拡大部174および回転部104の外側面の形状と一致する形状を構成している。このため、吐水ヘッド106と回転部104を隙間無く、スムーズな外観にて接続できる。
【0026】
図4は、本実施形態における接合構造の模式図である。
接合構造の特徴を説明するための模式図であるため、
図4,5,6では筒状部材172や外径拡大部174等の細部構造は省略している。本実施形態においては、回転部104の一部として継手管118を設け、これを吐水ヘッド106に収容することで吐水ヘッド106と水栓本体部112を接続している。吐水ヘッド106と回転部104の境界面105(接合部分)は、継手管118の根元に形成される。
【0027】
図5、
図6は、比較例における接合構造の模式図である。
図5は、回転部138ではなく、吐水ヘッド140に継手管142を設けるタイプを示す比較例(第1比較例)である。回転部138の側面には斜め上方に分岐部146が形成される。吐水ヘッド140の一部としての継手管142を分岐部146に挿入することで吐水ヘッド140と回転部138を接続する。吐水ヘッド140と分岐部146の境界面144(接合部分)は、分岐部146の先端に形成される。
図6に示す比較例(第2比較例)においては、分岐部147に継手管118が設けられる。吐水ヘッド141に継手管118を収容する点においては本実施形態と同様であるが、境界面144は
図5と同じく分岐部146の先端176に形成される。
【0028】
図4の構造の場合、本体側面から突出する継手管118を吐水ヘッド106が覆うため、吐水ヘッド106の外径に実質的な制約がない。吐水ヘッド106の内管128は、その内径を継手管118の外径と一致させる必要があるものの、外殻126の内径や外径は比較的自由に設計できる。一方、
図5、
図6の比較例の場合、吐水ヘッド140、141の外径と分岐部146、147の外径を一致させる必要があるため、吐水ヘッド140、141の外径は分岐部146、147の外径に規制される。
【0029】
図4に示したように回転部138の外側面から突出する継手管118を吐水ヘッド106に収容する場合、回転部104の表面を境界面105にできるため、第1、第2比較例に比べて接合部分が目立たないというメリットもある。第1、第2比較例のような接続構造の場合には境界面144が目立つため、ユーザは吐水ヘッド140を引っ張ることで接合部分からホースを引き出せるのではないかと誤解してしまう可能性も考えられる。
【0030】
第1、第2比較例の場合、境界面144に隙間ができると埃などの異物が分岐部146の中に入り込みやすい。これに対して、本実施形態の境界面105に隙間ができてそこに異物が入りこんでもそれが継手管118や吐水ヘッド106の中にまで入り込む可能性はほとんどない。吐水ヘッド106が斜め上方に延びるためである。
【0031】
特に、第1比較例における継手管142は吐水ヘッド140からの突起となるため、吐水ヘッド140の突起部分(継手管142)が回転部138の側面等に不意に接触することで水栓本体部を傷つけてしまうリスクがある。
【0032】
本実施形態の場合、継手管118の長さに多少のばらつきがあっても、吐水ヘッド106への継手管118の挿入深度を調整することで長さのばらつきを吸収しやすい。これに対して、第1比較例の場合には、継手管142の長さは分岐部146の長さに制約されやすい。
【0033】
本実施形態においては、内管128は回転部104との接続に関与するが、外殻126は直接的には関与しない。接続にともなう負荷が外殻126にかかりにくいので、外殻126の材質を比較的自由に選ぶことができる。
【0034】
図7は、継手管118の側面図である。
継手管118は、その先端により小さい径の筒状部材172が差し込まれ、回転部104との接続部分(根元部分)にはより大きな径に拡大するテーパー状の外径拡大部174が形成される。継手管118と回転部104は樹脂で一体成型される。回転部104および継手管118に対応した型枠に樹脂を流し、固定化したあと型枠から回転部104等を外す。このときには、外部に露出する回転部104の部分ではなく、外部に露出しない継手管118の部分に荷重をかけて型枠から外せばよい。
【0035】
継手管118の先端部には、切欠178(第1の回転規制部)が形成される。内管128の内壁には突起182(
図9,11で後述,第2の回転規制部)が形成され、装着時には突起部分と切欠178が係合する。突起182と切欠178の係合により、吐水ヘッド106の周方向回転が規制される。
【0036】
図8は、吐水ヘッド106と継手管118の接合構造を示す模式図である。
まず、外径拡大部174に対し、外殻126および内管128の双方の端面が対向する。外殻126および内管128はテーパー状の端面(以下、「吐水ヘッド端面180」とよぶ)を形成し、吐水ヘッド端面180(第1のテーパー面)は外径拡大部174のテーパー状の外側面(第2のテーパー面)と少なくとも同方向の傾斜を有し、お互いに略平行となる角度にて対向する。ほぼ同一形状のテーパー面同士で対向するため、境界面105の隙間(溝)が目立ちにくい構造となる。吐水ヘッド端面180は外径拡大部174や回転部104と当接してもよい。吐水ヘッド端面180は外径拡大部174または回転部104と全周に渡って当接してもよいし、その一部を当接させてもよい。一部当接の場合には、ユーザから視認されやすい上面側を優先的に当接させることが望ましい。同様に、当接ではなく対向(非当接)させる場合にも、上面側を優先的に近接させることが望ましい。
【0037】
内管128の内側面は、通水路としての小収容部184、筒状部材172に対応する中収容部186(第2収容部)、継手管118に対応する大収容部188(第1収容部)を有する。中収容部186の内径(第2の内径)よりも大収容部188の内径(第1の内径)は大きい。比較的小さな外径を有する筒状部材172には、小さな第1Oリング152が取り付けられ、継手管118には比較的大きな第2Oリング150が取り付けられる。第1Oリング152および第2Oリング150はいずれもゴム製である。第1Oリング152の主たる役割は、筒状部材172から吐出される水が逆流して、留め具120や境界面105から漏れないようにすることである。第1Oリング152は小さいため、確実に取り付けやすく「よれ」が生じにくい。筒状部材172の正しいポジションに第1Oリング152を取り付けやすいため、確実に止水しやすい。
【0038】
一方、第2Oリング150の主たる役割は、吐水ヘッド106のがたつきを防止することである。第2Oリング150は大きいため、第1Oリング152よりも継手管118と内管128との接着性を高めやすい。また、吐水ヘッド106の装着時に第2Oリング150が押しつぶされるため、その復元力が吐水ヘッド106を回転部104に押しつける力として作用する。
【0039】
以上のように、吐水ヘッド106は着脱可能(交換可能)に水栓本体部112に取り付けられる。家庭で着脱可能であるため、取り付け状況によっては接合部分の溝が大きくなってしまう可能性もある。そこで、
図5の第1比較例のように分岐部146に吐水ヘッド140を差し込むのではなく、吐水ヘッド106(外殻126および内管128)を継手管118の根元部分まで押し込む構造としている。この結果、回転部104の表面がそのまま境界面105となるため、第1、第2比較例に比べると境界面105が目立ちにくい。
【0040】
また、継手管118と回転部104の接合強化のため、継手管118の根元に外径拡大部174を形成している。外径拡大部174を曲面形状で形成し、それに対応して吐水ヘッド端面180も同一の曲面形状とすることで、境界面105がいっそう目立ちにくくなる。吐水ヘッド端面180の形状と外径拡大部174(または回転部104)の曲面形状は一致する。ここでいう「一致」とは、吐水ヘッド106と外径拡大部174の対向部分に大きな隙間、たとえば、1.0ミリメートル以上の隙間が生じない程度に吐水ヘッド端面180の形状を外径拡大部174の曲面形状に近づけることをいう。
【0041】
外径拡大部174の形状と同一形状となるように吐水ヘッド端面180を形成しているため、吐水ヘッド端面180の向きを外径拡大部174に合わせながら吐水ヘッド106を差し込むことで正しく接続できる。更に、切欠178と内管128の内側面に形成される突起(後述)がきちんと係合しなければ、吐水ヘッド106が正しくセットされないようにすれば、いっそう接続を確実にできる。吐水ヘッド端面180が広口であることも、吐水ヘッド106の装着容易化に寄与する。
【0042】
まとめると、継手管118と回転部104の接合強度を向上させるためにテーパー状の外径拡大部174を形成しているが、この外径拡大部174の外側面と同一形状にて吐水ヘッド端面180を形成することで、境界面105を目立たなくできる。また、外径拡大部174の外側面形状と吐水ヘッド端面180の形状が同一であるため、吐水ヘッド106を正しい位置に装着しやすくなる。
【0043】
継手管118には比較的大きな第2Oリング150を嵌めることで、継手管118と吐水ヘッド106の接続を確実にしている。また、筒状部材172には比較的小さな第1Oリング152を嵌めることで止水を確実にしている。
【0044】
図9は、浄水機能のない吐水ヘッド106の断面図である。
図10は、吐水ヘッド106を水栓本体部112に取り付けた水栓100aの断面図である。
上述のように、吐水ヘッド106は、内管128と外殻126の二重構造となっており、内管128は第3Oリング154を挟んで吐水口部材130に接続される。吐水口部材130の出口は整流部材132によってキャップされる。整流部材132は、内管128からの流水を整流して泡沫水に変える。
【0045】
継手管118の内部には筒状部材172がねじ込まれ、内管128(中収容部186)と筒状部材172との間を第1Oリング152で止水している。通水口124と筒状部材172の間は別の第4Oリング155により止水される。内管128に継手管118が挿入され、吐水ヘッド106は回転部104(外径拡大部174)と対向または当接する。内管128(大収容部188)と継手管118の間には第2Oリング150が嵌められ、がたつきを防止している。内管128に継手管118が挿入されたあと、留め具120が継手管118を把持することで、吐水ヘッド106は継手管118にしっかりと固定される。
【0046】
また、
図10に付記されているように、内管128の内側面には突起182(第2回転規制部)が形成される。この突起182と継手管118の切欠178を位置合わせして、吐水ヘッド106を挿入すると、突起182と切欠178が係合し、吐水ヘッド106の周方向回転が防止される。なお、内管128に切欠178、継手管118に突起182を形成してもよい。また、切欠178および突起182の加工性を考慮し、内管128および継手管118の全体を樹脂により形成してもよいが、切欠178および突起182の部分だけを樹脂により形成してもよい。
【0047】
図11は、浄水機能を有する吐水ヘッド148の断面図である。
図12は、吐水ヘッド148を水栓本体部112に取り付けた水栓100bの断面図である。
浄水機能を有する吐水ヘッド148も、内管170と外殻164の二重構造を有し、先端には吐水部材160が取り付けられる。吐水部材160に設けられる浄水ハンドル162は、原水と浄水を切り替えるための操作部材である。吐水ヘッド148の吐水ヘッド端面180も、外径拡大部174の外周形状に合わせた曲面として形成される(
図11参照)。
【0048】
図11に示す構造においては、内管170はカートリッジ保持部156と嵌合し、その一部としてカートリッジ保持部156を含む。内管170に継手管118が挿入される。内管170とカートリッジ保持部156の間には第5Oリング166が挿入される。カートリッジ保持部156はまた、浄水カートリッジ158を内蔵し、吐水部材160を外せば浄水カートリッジ158は交換可能である。カートリッジ保持部156の内部には弁168がある。浄水カートリッジ158をセットするときには、浄水カートリッジ158が弁168を押し出し、内管170とカートリッジ保持部156(浄水カートリッジ158)は連通する。一方、浄水カートリッジ158が取り外されたときには、内管170内の水圧で弁168は閉じられる。弁168は、通水状態のまま浄水カートリッジ158を取り外した時に、内管170の中の水をそのまま吐水ヘッド148の先端から噴射させないための安全装置である。
【0049】
図12に付記されているように、内管170の内側面には突起182(第2回転規制部)が形成される。この突起182と継手管118の切欠178を係合させることで、吐水ヘッド106が周方向に回転するのを防いでいる。
【0050】
[第2実施形態]
図13は、第2実施形態における吐水ヘッド106の分解斜視図である。
吐水ヘッド106は、外殻126、内管128、吐水口部材130、整流部材132に加えて内管128の一部としての緩衝部材134を含む。第2実施形態は、緩衝部材134を有する点以外は、第1実施形態と同様である。緩衝部材134は、内管128の端部に接続されるゴム製のスペーサであり、吐水ヘッド106の接続時に回転部104と当接する。緩衝部材134は外殻126の端面を覆う形状を有する。緩衝部材134は内管128と一体形成されてもよいし、内管128と接着されることで内管128と一体化させてもよい。第2実施形態においては、吐水ヘッド106の外殻126は水栓本体部112と直接接触することはなく、緩衝部材134を介して水栓本体部112と当接する。緩衝部材134は、その端面がテーパー面として形成されており、継手管118の外径拡大部174のテーパー面と当接する。
図14に第2実施形態における吐水ヘッド106の断面図、
図15に第2実施形態における吐水ヘッド106を水栓本体部112に取り付けた水栓100aの断面図を示す。いずれも、緩衝部材134が追加されている以外は
図9,10と同様である。浄水機能付きの場合も同様である。
【0051】
緩衝部材134はゴム製であるため、吐水ヘッド106の装着時において水栓本体部112を傷つけにくい。また、緩衝部材134によって境界面105(接合部分)が塞がれるため、吐水ヘッド106のがたつきを防止しやすくなる。
【0052】
図16は、緩衝部材134の周辺の拡大斜視図である。
緩衝部材134は、外殻126の水栓本体部112側の端面をカバーする。緩衝部材134は、外殻126よりは弾性率の高い部材であってもよい。緩衝部材134の当接面136の当接幅Tは、少なくとも外殻126の厚みよりも大きい。本実施形態における回転部104の側面は曲面形状(円筒形状)を有するが、緩衝部材134の当接面136も回転部104の曲面形状と一致する形状に加工されている。このため、吐水ヘッド106と回転部104を隙間無く、スムーズな外観にて接続できる。
【0053】
更に、弾力性のある緩衝部材134を介して、吐水ヘッド106と回転部104を接続するため、吐水ヘッド106と水栓本体部112をいっそう隙間無く密着させることができる。また、当接幅Tを大きくすることで当接面136を拡大しているため、接続にともなう圧力が分散されやすく、吐水ヘッド106の接続によって回転部104に傷が付きにくくなる。
【0054】
第1実施形態のように緩衝部材134を設置しない場合には、外殻126が回転部104(外径拡大部174)と直接当接または対向することになる。この場合にも、外殻126の端面を拡大することで、たとえば、端部において外殻126を肉厚にすることで接続にともなう圧力を小さくしてもよい。
【0055】
以上、実施形態に基づいて、水栓100の構造、特に、吐水ヘッド106,148と、水栓本体部112との接続構造を中心として説明した。
本実施形態によれば、吐水ヘッド106,148を水栓本体部112に着脱可能でありながら、吐水ヘッド106,148の外殻126,164のサイズを比較的自由に設定できる。吐水ヘッド106,148と水栓本体部112の境界面105が目立たないため、取替式でありながらすっきりとしたデザインを維持できる。また、切欠178と突起182を係合させることにより、吐水ヘッド106が回転方向にずれるのを防止している。
【0056】
以上、本発明をいくつかの実施の形態をもとに説明した。これらの実施の形態は例示であり、いろいろな変形および変更が本発明の特許請求範囲内で可能なこと、またそうした変形例および変更も本発明の特許請求の範囲にあることは当業者に理解されるところである。従って、本明細書での記述および図面は限定的ではなく例証的に扱われるべきものである。
【0057】
本実施形態においては、浄水機能を持たない吐水ヘッド106と浄水機能を有する吐水ヘッド148の取り替えを想定して説明したが、本発明はこれに限られるものではない。たとえば、シャワー機能を持たない吐水ヘッドとシャワー機能を有する吐水ヘッドを交換してもよいし、ユーザの身体の大きさ(たとえば、大人と子ども)に合わせて長さの異なる吐水ヘッドを用意してもよい。また、腕時計のリストバンドを取り替えて気分を変えるときのように、機能に違いはなくてもデザインが違う吐水ヘッドに取り替えれば、キッチンの雰囲気を気軽に変化させることもできる。
【0058】
本実施形態においては、吐水ヘッド106および回転部104はどちらも円筒形状であるとして説明したが、楕円や矩形など任意の断面形状を有する筒状部材であってもよいし、筒状でない筐体であってもよい。同様に、吐水ヘッド106が二重構造であることも必須構成要件ではない。継手管118は、水栓本体部112に取り付けられる別部品であってもよい。吐水ヘッド106は装着時に継手管118の根元まで押し込まれる例を示したが、第1比較例や第2比較例のような分岐部146を有するタイプであっても本発明の主要構成は実現可能である。
【0059】
以上の記載から、下記の発明が認識される。
本発明のある態様における水栓は、本体側面から突出する継手管を有する水栓本体部と、継手管を着脱可能に収容した状態で、水栓本体部に取り付けられる吐水ヘッドを備える。継手管の外側面にはテーパー面が形成される。吐水ヘッドはその端部を継手管のテーパー面に対向させた状態で、水栓本体部に装着される。
【0060】
継手管にテーパー面を形成し、継手管を収容する吐水ヘッドの端部をそのテーパー面と対向させる。家庭で自由に吐水ヘッドを着脱する場合、吐水ヘッドと水栓本体部との接合部分が目立ってしまう可能性がある。接合部分に継手管のテーパー面を対応させることにより、接合部分の溝の深度を浅くできるため、接合部分が目立ちにくくなる。また、継手管にテーパー面を形成すれば、継手管と水栓本体部の接合を強化しやすくなる。
【0061】
吐水ヘッドの端部にもテーパー面が形成されてもよい。
【0062】
吐水ヘッドのテーパー面と継手管のテーパー面が互いにその一部または全部が当接した状態で、吐水ヘッドは水栓本体部に装着されてもよい。
【0063】
吐水ヘッドは継手管と直接当接してもよいし、緩衝部材等の中間材を介して継手管と当接してもよい。吐水ヘッドと継手管の当接により、吐水ヘッドのがたつきを防止しやすくなる。
【0064】
吐水ヘッドは、継手管の根元部分まで継手管を収容した状態で水栓本体部に装着されてもよい。
吐水ヘッドを継手管の根元まで差し込む構造の場合、水栓本体部と吐水ヘッドの分岐点が接合部分になるため、接合部分が目立ちにくくなる。
【0065】
吐水ヘッドの内部には、端部側に第1の内径を有する第1収容部が形成され、奥側に前記第1の内径よりも小さい第2の内径を有する第2収容部が形成されてもよい。
【0066】
本発明のある態様における吐水ヘッドは、本体側面から突出する継手管を有する水栓本体部に着脱可能に接続される。端部には第1のテーパー面が形成され、継手管の外側面には第2のテーパー面が形成される。第1のテーパー面を第2のテーパー面に対向させた状態で、吐水ヘッドは水栓本体部に装着される。