(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1空調ダクトを流れる空調空気の吹出口として、前記第1居住空間に空調空気を吹き出す第1居住吹出口と、前記共用空間に空調空気を吹き出す第1共用吹出口とが設けられ、
前記第2空調ダクトを流れる空調空気の吹出口として、前記第2居住空間に空調空気を吹き出す第2居住吹出口と、前記共用空間に空調空気を吹き出す第2共用吹出口とが設けられ、
前記第1共用吹出口と前記第2共用吹出口とはそれぞれ複数ずつ設けられていることを特徴とする請求項2に記載の二世帯住宅の空調システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上述した特許文献1の空調システムにおいて、例えば第1空調装置だけが運転中である場合(すなわち片側運転時)には、同空調装置により子世帯の居住空間に供給された空調空気が共用空間に流れ込み、その後共用空間に供給された空調空気とともに機械室へ流れる(還流する)。
【0007】
ここで、このような共用空間から機械室(ひいては空調装置)へ向けた空気の流れが生じる場合には、共用空間に隣接する親世帯の居住空間の空気が上記空気の流れによって共用空間に引き込まれるおそれがある。その場合、共用空間に引き込まれる親世帯の居住空間の空気は空調装置により空調(冷暖房)されていない空気であるため、空調効率の低下を招くおそれがある。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、空調効率の低下を抑制することができる二世帯住宅の空調システムを提供することを主たる目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決すべく、第1の発明の二世帯住宅の空調システムは、第1世帯が居住する第1居住部と、第2世帯が居住する第2居住部と、前記第1居住部と前記第2居住部とにそれぞれ隣接し、前記第1世帯と前記第2世帯とで共用される共用空間とを備える二世帯住宅において、前記第1居住部に設けられた第1居住空間と前記共用空間とを空調対象として空調を行う第1空調装置と、前記第2居住部に設けられた第2居住空間と前記共用空間とを空調対象として空調を行う第2空調装置とを備え、前記第1空調装置は前記第1居住部に設けられ、その第1居住部内の空気を取り込み空調空気を生成するとともに、その空調空気を前記第1居住空間及び前記共用空間に供給するものであり、前記第1居住空間及び前記共用空間に供給された空調空気は前記第1空調装置に還流する構成となっており、前記第2空調装置は前記第2居住部に設けられ、その第2居住部内の空気を取り込み空調空気を生成するとともに、その空調空気を前記第2居住空間及び前記共用空間に供給するものであり、前記第2居住空間及び前記共用空間に供給された空調空気は前記第2空調装置に還流する構成となっていることを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、第1居住部の第1居住空間と共用空間とを空調対象とする第1空調装置が第1居住部に設けられ、第2居住部の第2居住空間と共用空間とを空調対象とする第2空調装置が第2居住部に設けられている。この場合、第1空調装置により共用空間に供給された空調空気は第1居住部内の第1空調装置へ還流し、第2空調装置により共用空間に供給された空調空気は第2居住部内の第2空調装置へ還流する。
【0011】
このような構成では、第1空調装置及び第2空調装置のいずれか一方だけが運転している片側運転時においては、共用空間に供給された空調空気が、同空間から運転中の空調装置が設けられている居住部の方へ流れることになる。この場合、かかる空気の流れについては、上記従来技術(特許文献1の技術)の構成において生じる共用空間から空調装置へ向かう空気の流れと比べ、弱い流れとすることができる。このため、かかる空気の流れによって、空調装置が運転していない他方の居住部内の空気を共用空間に引き込んでしまうことを抑制することができ、その結果、当該空気の引き込みに伴う空調効率の低下を抑制することができる。
【0012】
第2の発明の二世帯住宅の空調システムは、第1の発明において、前記共用空間は、その床部が通常高さの床部よりも低い位置にあるスキップ床部とされた第1空間部を有しており、前記第1空調装置により生成された空調空気を前記第1居住空間及び前記共用空間へ搬送する第1空調ダクトと、前記第2空調装置により生成された空調空気を前記第2居住空間及び前記共用空間へ搬送する第2空調ダクトとを備え、前記第1空調ダクト及び前記第2空調ダクトはいずれも天井裏に配設されていることを特徴とする。
【0013】
本発明によれば、共用空間がスキップ床部を有する第1空間部を備えているため、共用空間を開放感あふれる空間とすることができる。そのため、各世帯のコミュニケーションを快適に図ることが可能となる。また、共用空間(詳しくは第1空間部)にスキップ床部が設けられた構成では、空調装置から居住空間及び共用空間に空調空気を空調ダクトにより搬送するにあたり、その空調ダクトを床下に配設すると、空調ダクトの高さ位置を途中で変える必要が生じる等、ダクトの配設態様が複雑になるおそれがある。この点、本発明では、空調ダクトを床下ではなく、天井裏に配設したため、かかる不都合が生じるのを回避しつつ空調ダクトを配設することができる。
【0014】
第3の発明の二世帯住宅の空調システムは、第2の発明において、前記第1空調ダクトを流れる空調空気の吹出口として、前記第1居住空間に空調空気を吹き出す第1居住吹出口と、前記共用空間に空調空気を吹き出す第1共用吹出口とが設けられ、前記第2空調ダクトを流れる空調空気の吹出口として、前記第2居住空間に空調空気を吹き出す第2居住吹出口と、前記共用空間に空調空気を吹き出す第2共用吹出口とが設けられ、前記第1共用吹出口と前記第2共用吹出口とはそれぞれ複数ずつ設けられていることを特徴とする。
【0015】
本発明によれば、第1共用吹出口と第2共用吹出口とがそれぞれ複数ずつ設けられているため、第1空調装置及び第2空調装置のいずれか一方だけが運転している片側運転時においても、複数の吹出口から空調空気を共用空間に吹き出すことができる。これにより、空調装置の片側運転時においても、スキップ床部を有することで気積が大きくされた共用空間を好適に空調することができる。
【0016】
第4の発明の二世帯住宅の空調システムは、第2又は第3の発明において、前記第1居住部と前記第2居住部とは互いに離間して配置され、それら各居住部の間に前記共用空間が配置され、前記第1空調ダクト及び前記第2空調ダクトの下方には下がり天井が設けられ、その下がり天井上方の天井裏空間に前記第1空調ダクト及び前記第2空調ダクトが配設されており、前記第1空調ダクトは、前記天井裏空間において前記第1居住部から前記共用空間へ向けて延びており、その末端部となる第1末端部が前記共用空間上方に位置しており、前記第1末端部の側面部には、前記第1空調ダクトを流れる空調空気を前記共用空間に横向きに吹き出す第1吹出部が接続され、前記第1吹出部は、前記第1居住部と前記第2居住部とが並ぶ方向である第1方向と直交する第2方向に空調空気を吹き出すよう配置され、前記第2空調ダクトは、前記天井裏空間において前記第2居住部から前記共用空間へ向けて延びており、その末端部となる第2末端部が前記共用空間上方に位置しており、前記第2末端部の側面部には、前記第2空調ダクトを流れる空調空気を前記共用空間に横向きに吹き出す第2吹出部が接続され、前記第2吹出部は、前記第2方向に空調空気を吹き出すよう配置されていることを特徴とする。
【0017】
本発明によれば、下がり天井上方の天井裏空間を利用して第1空調ダクト及び第2空調ダクトが配設されている。第1空調ダクトと第2空調ダクトとはいずれもその末端部が共用空間上方に位置しており、それら各空調ダクトの末端部にはそれぞれ第1吹出部及び第2吹出部が接続されている。これら各吹出部は、第1居住部と第2居住部との並び方向(第1方向)と直交する第2方向に空調空気を吹き出すものとなっている。この場合、共用空間が第2方向に長い空間となっている場合等においても、共用空間を好適に空調することが可能となる。
【0018】
第5の発明の二世帯住宅の空調システムは、第4の発明において、前記共用空間は、前記第1空間部に加えて、その床部が通常高さの床部と同じ高さにある第2空間部を有し、前記第1空間部と前記第2空間部とは前記第2方向に並んで配置され、前記第1末端部及び前記第2末端部はいずれも、前記第2空間部の上方に配置され、前記第1吹出部及び前記第2吹出部はいずれも、空調空気を前記第1空間部に向けて吹き出すよう配置されていることを特徴とする。
【0019】
本発明によれば、第1吹出部と第2吹出部とがそれぞれ第1空間部に向けて空調空気を吹き出すよう配置されているため、スキップ床部を有することで気積の大きくされた第1空間部を好適に空調することができる。
【0020】
また、第1末端部と第2末端部とが第2空間部の上方に配設されていることから、共用空間の天井部においては第2空間部の天井部にのみ下がり天井を配置すればよく、第1空間部の天井部には下がり天井を配置しなくても済む。これにより、下がり天井を用いて空調ダクトを配設する構成にあって、下がり天井により共用空間(詳しくは第1空間部)の開放感が低下してしまうのを抑制することができる。
【0021】
第6の発明の二世帯住宅の空調システムは、第4又は第5の発明において、前記共用空間は、前記第2方向の両側で屋外空間又は半屋外空間と隣接していることを特徴とする。
【0022】
共用空間が第2方向の両側でそれぞれ屋外空間又は半屋外空間と隣接している構成では、第2方向における共用空間を挟んだ両側に、空調ダクトを配設できる天井部が存在しないため、それらの側から共用空間に空調空気を吹き出すことが、詳しくはそれらの側から空調空気を第2方向に吹き出すことが実際上不可能となる。その点、本発明では、かかる構成に上記第4の発明を適用しているため、このような構成にあっても、共用空間に空調空気を第2方向に向けて吹き出すことが可能となる。なお、半屋外空間としては、バルコニー空間やベランダ空間、テラス空間等が挙げられる。
【0023】
第7の発明の二世帯住宅の空調システムは、第4乃至第6のいずれかの発明において、前記第1末端部と前記第2末端部とは前記第2方向において同位置に配置され、前記第1吹出部と前記第2吹出部とは前記第1方向における前記共用空間の中心線に対し互いに対称となる位置に配置され、かつ、前記第2方向における同じ側に向けて空調空気を吹き出すことを特徴とする。
【0024】
本発明によれば、第1空調装置及び第2空調装置のいずれを片側運転させる場合にも共用空間を同じように空調することができる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下に、本発明を具体化した一実施の形態について図面を参照しつつ説明する。本実施形態では、子世帯と親世帯とが居住する二世帯住宅について具体化している。なお、
図1は、その二世帯住宅を示す斜視図であり、その左側が住宅正面側、右側が住宅奥側となっている。以下では、この住宅正面側から住宅奥側へ延びる方向を住宅奥行き方向(住宅前後方向)とし、それと直交する方向を住宅幅方向として説明する。
【0027】
図1に示すように、二世帯住宅10は、一階部分11と二階部分12と三階部分13とを有する三階建てとなっている。二世帯住宅10は、子世帯が居住する第1建物部15と、親世帯が居住する第2建物部16とを備えている。第1建物部15は、一階部分11、二階部分12及び三階部分13を有する三階建てとなっている。これに対し、第2建物部16は、一階部分11と二階部分12とを有する二階建てとなっている。また、第1建物部15及び第2建物部16は、屋根がいずれも陸屋根(フラットルーフ)となっている。
【0028】
なお、子世帯が第1世帯に相当し、親世帯が第2世帯に相当する。また、第1建物部15が第1居住部に相当し、第2建物部16が第2居住部に相当する。
【0029】
第1建物部15の一階部分11には、子世帯用の玄関口21が設けられている。この玄関口21を通じて第1建物部15への出入りが可能となっている。また、
図1での図示では隠れているが、第2建物部16の一階部分11には、親世帯用の玄関口が形成されている。この玄関口を通じて第2建物部16への出入りが可能となっている。
【0030】
第1建物部15と第2建物部16とは、互いに離間しかつ対向した状態で配置されている。この場合、第1建物部15と第2建物部16とは住宅幅方向に並んで配置されている。したがって、二世帯住宅10の住宅幅方向が「第1方向」に相当し、住宅幅方向と直交する方向である住宅奥行き方向が「第2方向」に相当する。
【0031】
二世帯住宅10の二階部分12において、第1建物部15と第2建物部16との間には中間建物部17が設けられている。中間建物部17は、第1建物部15と第2建物部16とを互いに連結した状態で設けられている。この場合、二世帯住宅10の内部において、第1建物部15と第2建物部16とが中間建物部17の内部を通じてつながっている。
【0032】
中間建物部17において住宅正面側には、子世帯及び親世帯に共用される共用バルコニー18が設けられている。共用バルコニー18には、第1建物部15及び第2建物部16からそれぞれ出入りが可能となっている。また、共用バルコニー18の上方には、バルコニー屋根部19が設けられている。
【0033】
第1建物部15と第2建物部16との間において中間建物部17の下方には車両Cを駐車可能なインナガレージ25が設けられている。インナガレージ25は、各建物部15,16の間において住宅奥側に配置され、1台分の車両Cを駐車可能な駐車スペースを有している。
【0034】
第1建物部15と第2建物部16との間においてインナガレージ25の住宅正面側には共用エントランス空間26が設けられている。共用エントランス空間26は、住宅正面側にて開口されており、インナガレージ25よりも幅広に形成されている。共用エントランス空間26には、各建物部15,16の玄関口21がそれぞれ面して配置されている。
【0035】
続いて、二世帯住宅10の二階部分12の間取りについて
図2を参照しながら説明する。
図2は、二階部分12の間取りを示す平面図である。
【0036】
図2に示すように、二階部分12において、第1建物部15には、子世帯の居住空間として、ホール31、リビング32、ダイニング33、キッチン34等が設けられている。ホール31は、一階部分11へ延びる階段37に通じているとともに、三階部分13へ延びる階段38に通じている。リビング32、ダイニング33及びキッチン34は、互いに連続した連続空間となっており、その連続空間がLDK空間35となっている。LDK空間35はホール31に通じている。
【0037】
一方、二階部分12において、第2建物部16には、親世帯の居住空間として、ホール41、寝室42、収納室43、浴室44、サニタリ45等が設けられている。ホール41は、一階部分11へ延びる階段47に通じており、さらに、寝室42及びサニタリ45に通じている。
【0038】
ホール41と寝室42との間には、それら両空間41,42の間の出入りを行うための出入口51が設けられている。出入口51には、引き戸からなるドア52が設けられている。ドア52には、ホール41と寝室42とを連通する通気部53が設けられ、その通気部53は、例えばドア52に形成されたガラリからなる。
【0039】
ホール41とサニタリ45との間には、それら両空間41,45の間の出入りを行うための出入口55が設けられている。出入口55には、開き戸からなるドア56が設けられている。ドア56には、ホール41とサニタリ45とを連通する通気部57が設けられ、その通気部57は、例えばドア56下に形成されたアンダーカットからなる。
【0040】
二階部分12において、中間建物部17には、上述した共用バルコニー18の他に、共用リビング60が設けられている。共用リビング60は、子世帯と親世帯とが共用する共用空間に相当する。これにより、本二世帯住宅10では、子世帯と親世帯とが共用リビング60にて互いに交流を図ることが可能となっている。また、共用リビング60には、第1建物部15及び第2建物部16からそれぞれ出入りが可能となっている。
【0041】
中間建物部17では、共用バルコニー18と共用リビング60とが住宅奥行き方向に並んで配置され、共用バルコニー18が住宅正面側、共用リビング60が住宅奥側に位置している。共用バルコニー18と共用リビング60との間には、それら両空間18,60の間の出入りを行うための出入口61が設けられている。出入口61は掃き出し窓として形成され、その出入口61にはガラス戸62が設けられている。なお、共用バルコニー18が半屋外空間に相当する。また、共用リビング60を挟んで共用バルコニー18とは反対側は屋外空間となっている。この場合、共用リビング60は、住宅奥側で屋外空間と隣接している。
【0042】
続いて、共用リビング60周辺の構成について
図2に加え
図3を用いながら説明する。なお、
図3は、共用リビング60及びその周辺の構成を示す縦断面図であり、
図2のA−A線断面図に相当する。
【0043】
図2及び
図3に示すように、共用リビング60は、平面視にて住宅奥行き方向に長い長方形状をなしている。したがって、共用リビング60は、住宅奥行き方向が長辺方向、住宅幅方向が短辺方向とされた空間となっている。この場合、共用リビング60の長辺方向が「第2方向」に相当し、共用リビング60の短辺方向が「第1方向」に相当する。
【0044】
共用リビング60には、その床部として、互いに床高さが異なる上床部65及び下床部66が設けられている。上床部65と下床部66とは、共用リビング60の長辺方向(住宅奥行き方向)に並んで配置され、上床部65が住宅正面側(共用バルコニー18側)、下床部66が住宅奥側(共用バルコニー18とは反対側)に位置している。また、上床部65と下床部66とはいずれも共用リビング60の短辺方向全域に亘って設けられている。
【0045】
上床部65は、その床面高さが二階部分12の床面高さと同じとされている。共用リビング60において、上床部65の上方空間は二階床空間60aとなっている。二階床空間60aの天井部では、その天井面が二階部分12の(通常高さの)天井面よりも低い位置に設定されている。詳しくは、二階床空間60aの天井部には、後述する下がり天井101が設けられ(
図5参照)、その下がり天井101により天井面が二階部分12の天井面よりも低い位置に設定されている。なお、二階床空間60aが第2空間部に相当する。
【0046】
下床部66は、その床面高さが上床部65の床面高さよりも低くされている。すなわち、下床部66は、その床面高さが二階部分12の床面高さよりも低くされたスキップ床部となっている。共用リビング60において、下床部66の上方空間はスキップ床空間60bとなっている。スキップ床空間60bの天井部では、その天井面が二階部分12の天井面と同じ高さ位置に設定されている。つまり、スキップ床空間60bの天井部には、二階床空間60aの天井部とは異なり、下がり天井101が設けられておらず(
図5参照)、それにより天井面が二階部分12の(通常高さの)天井面と同じ高さとなっている。
【0047】
このように、スキップ床空間60bでは、床面が二階部分12の床面よりも低い位置に設定され、かつ、天井面が二階部分12の天井面と同じ高さ位置に設定されていることから、床面から天井面までの上下寸法(天井高さ)が二階部分12における床面から天井面までの上下寸法(天井高さ)よりも大きくなっている。なお、スキップ床空間60bが第1空間部に相当する。
【0048】
共用リビング60では、上記のように、上床部65と下床部66とで床高さが相違することから、これら各床部65,66の間には両床部65,66をつなぐ段差床部67が設けられている。段差床部67は、下床部66側から上床部65側に向かうにつれて段々に床高さが高くなる階段状に形成されている。段差床部67は、各床部65,66と同様、共用リビング60において短辺方向全域に亘って設けられており、それら各床部65,66とともに長辺方向に並んで配置されている。
【0049】
上記のように構成された共用リビング60には、その壁際に机天板68と複数の椅子69とが設けられている。これにより、これら机天板68及び椅子69を利用して親世帯と子世帯との交流を図ることが可能となっている。また、二階床空間60aの天井部が下がり天井となっていることで、二階床空間60a及びスキップ床空間60bの各天井部間には段差が形成されており、その段差を利用してプロジェクタ(映写装置、図示略)を設置することも可能である。この場合、スキップ床空間60bの奥側壁面79をスクリーンとしたり、その奥側壁面79にスクリーン装置(図示略)を設置したりすることで、共用リビング60をシアタールームとして利用することもできる。また、この場合、段差床部67を視聴席として利用することも可能である。
【0050】
ちなみに、共用リビング60の床部の一部が下床部66とされていることで、共用リビング60の下方に設けられたインナガレージ25の天井部64は下がり天井となっている。そのため、インナガレージ25の天井面は第1建物部15及び第2建物部16の一階部分11の天井面よりも低い位置に設定されている。
【0051】
共用リビング60は、第1建物部15のホール31と隣接している。共用リビング60とホール31との間には出入口71が設けられ、この出入口71を通じてホール31と共用リビング60との間の出入りが可能となっている。出入口71には、引き戸からなるドア72が設けられている。ドア72は、例えばスリットドアからなる。ドア72には、ホール31と共用リビング60とを連通する通気部73が設けられ、その通気部73は、例えばドア72のスリット部分により形成されている。
【0052】
共用リビング60は、第2建物部16における階段47上方の階段上空間74と隣接している。階段上空間74は、階段47の設置された階段室のうち当該階段47よりも上方の空間となっている。階段上空間74と共用リビング60とは仕切壁75により仕切られており、その仕切壁75の一部には階段上空間74と共用リビング60とを通気可能に連通する通気部76が設けられている。この通気部76は、例えば仕切壁75に形成された開口部に縦格子が配されることにより形成されている。
【0053】
階段47は、その途中に踊り場47aを有する廻り階段からなる。階段47の踊り場47aは、その高さが共用リビング60の下床部66の床高さと同じとされており、その下床部66と隣接して配置されている。仕切壁75には、階段上空間74(詳しくは踊り場47aの上方空間)と共用リビング60(詳しくはスキップ床空間60b)との間の出入りを行うための出入口77が設けられている。出入口77には、引き戸からなるドア78が設けられている。このドア78には、アンダーカット等の通気部が設けられておらず、ドア78の閉鎖状態においては出入口77を通じた階段上空間74と共用リビング60との間の通気が遮断される。
【0054】
ところで、二世帯住宅10には、二階部分12に全館空調システムが設けられている。以下においては、その全館空調システムの構成について
図4に基づいて説明する。
図4は、二階部分12の全館空調システムの構成を示す平面図である。
【0055】
図4に示すように、二階部分12の全館空調システムは、第1空調システム80と第2空調システム90とを備えている。第1空調システム80は、第1建物部15に設けられたLDK空間35と、中間建物部17に設けられた共用リビング60とを空調対象として空調(冷暖房)を行うものである。一方、第2空調システム90は、第2建物部16に設けられた寝室42、サニタリ45及び階段上空間74と、中間建物部17に設けられた共用リビング60とを空調対象として空調(冷暖房)を行うものである。以下においては、これら第1空調システム80及び第2空調システム90の構成について順に説明する。なおここでは、LDK空間35が第1居住空間に相当し、寝室42、サニタリ45及び階段上空間74が第2居住空間に相当する。
【0056】
まず、第1空調システム80の構成について説明する。
【0057】
第1空調システム80は、空調空気(暖気及び冷気)を生成する空調装置81と、空調装置81に接続された空調ダクト82と、空調ダクト82に接続された吹出チャンバ83とを備える。空調装置81は、第1建物部15に設けられた機械室85に設置されている。機械室85は、LDK空間35に隣接して設けられており、機械室85とLDK空間35との間には、空調装置81をメンテナンスする際に用いられるメンテナンス用の開口部86が設けられている(
図2参照)。この開口部86には開閉扉87が設けられ、その開閉扉87には機械室85とLDK空間35とを連通する通気部88が設けられている。通気部88は、開閉扉87のアンダーカットやガラリ等により構成されている。
【0058】
空調装置81は冷房機能及び暖房機能を有する室内機として構成されている。空調装置81は、機械室85内の空気を取り込む取込部(図示略)を有しており、その取込部より取り込んだ空気を温度調整することで空調空気(冷房空気又は暖房空気)を生成する。そして、空調装置81は、その生成した空調空気を空調ダクト82へ供給する。
【0059】
空調ダクト82は、接続ダクト89を介して空調装置81と接続されている。接続ダクト89は、機械室85において空調装置81から上方に延びており、その上端部が空調ダクト82に接続されている。空調ダクト82は、二階部分12の天井裏に設置され、その天井裏においてLDK空間35と共用リビング60とに跨がるように延びている。
【0060】
ここで、空調ダクト82の設置構成について
図5を参照しながら説明する。
図5において、(a)は空調ダクト82の設置構成を拡大して示す縦断面図であり、(b)は(a)のC−C線断面図である。なお、
図5(a)は、
図3の領域B内を拡大して示した縦断面図となっている。
【0061】
図5(a)及び(b)に示すように、二階部分12の天井部には空調ダクト82の配設経路に沿って下がり天井101が設けられている。下がり天井101は石膏ボードからなる天井面材であり、二階部分12において通常高さに配設された天井102よりも低い位置に配置されている。なお、天井102も、下がり天井101と同様、石膏ボードからなる天井面材である。下がり天井101の上方には天井裏空間103が形成されている。この天井裏空間103に空調ダクト82が配設されている。なお、
図4では便宜上、下がり天井101を含む天井部の図示を省略している。
【0062】
空調ダクト82は、その長手方向(換言するとダクト配設経路)に沿って分割された複数のダクト部82aを有している。空調ダクト82は、それら各ダクト部82aが互いに連結されることで構成されている。各ダクト部82aは、いずれも同じ大きさを有する直方体状に形成され、その内部に空調空気が流れる内部通路を有する。これら各ダクト部82aの内部通路が互いに連通されることで、空調ダクト82のダクト内通路が構成されている。また、各ダクト部82aは、例えば断熱性能に優れたポリスチレンフォーム等の発泡スチロールにより形成され、その平面視形状が正方形状となっている。
【0063】
なお、空調ダクト82は、必ずしも分割された複数のダクト部82aを有して構成する必要はなく、長尺状をなす一のダクト部材により構成してもよい。
【0064】
空調ダクト82(詳しくはダクト部82a)の側面部には、吹出チャンバ83が接続されている。吹出チャンバ83は、空調ダクト82において複数箇所に設けられている。吹出チャンバ83には、LDK空間35に対して設けられた複数(具体的には4つ)の吹出チャンバ83a〜83dと、共用リビング60に対して設けられた一の吹出チャンバ83eとがある。なお、吹出チャンバ83eが第1吹出部に相当する。
【0065】
各吹出チャンバ83a〜83eは、下がり天井101と天井102とを上下に繋ぐ段差壁部104に設けられている(
図5参照)。段差壁部104には厚み方向に貫通する開口部105が形成され、その開口部105に吹出チャンバ83が挿通された状態で設けられている。また、各吹出チャンバ83は、空調空気を吹き出す吹出口84を有している。吹出チャンバ83は、その吹出口84を横向きに開口させた状態で段差壁部104に設けられている。
【0066】
空調ダクト82を流れる空調空気は各吹出チャンバ83a〜83eの吹出口84より空調対象であるLDK空間35及び共用リビング60にそれぞれ吹き出される。これにより、その吹き出された空調空気により、LDK空間35及び共用リビング60の空調(冷暖房)が行われる。
【0067】
また、共用リビング60に設けられた吹出チャンバ83eには吹出口84が上下に複数(具体的には2つ)設けられており(
図5参照)、それら各吹出口84よりそれぞれ空調空気が吹き出される。一方、図示は省略するが、その他の吹出チャンバ83a〜83dには吹出口84が1つだけ設けられており、その一の吹出口84より空調空気が吹き出される。但し、これらの吹出チャンバ83a〜83dにも吹出口84を複数設けるようにしてもよい。
【0068】
なお、各吹出チャンバ83a〜83dの吹出口84がそれぞれ第1居住吹出口に相当し、吹出チャンバ83eの各吹出口84がそれぞれ第1共用吹出口に相当する。
【0069】
ここで本空調システムでは、第1空調システム80として循環式の空調システムが採用されており(後述する第2空調システム90も同様)、LDK空間35及び共用リビング60へ供給された空調空気が機械室85に還気として還流する(戻る)ようになっている。以下、かかる空調空気の流れについて
図6に基づいて説明する。なお、
図6は、二階部分12における空気の流れを示す平面図である。また、
図6では便宜上、空調ダクト82(及び後述する空調ダクト92)の図示を省略している。
【0070】
図6に示すように、吹出チャンバ83eより共用リビング60に供給された空調空気は、通気部73を通じてホール31に流れ込み、その後ホール31からLDK空間35へと流れる。LDK空間35へ流れた空気は、各吹出チャンバ83a〜83dよりLDK空間35に供給された空調空気とともに、通気部88を通じて機械室85に流れ込む。そして、空調装置81は、その機械室85へ流れ込んだ空気を取り込み空調空気を生成する。このように、第1空調システム80は、住宅内の空気を循環させながら空調を行うシステムとなっている。
【0071】
続いて、第2空調システム90の構成について説明する。
【0072】
図4に示すように、第2空調システム90は、第1空調システム80と同様、空調空気を空調空気(暖気及び冷気)を生成する空調装置91と、空調装置91に接続された空調ダクト92と、空調ダクト92に接続された吹出チャンバ93とを備える。空調装置91は、第2建物部16に設けられた機械室95に設置されている。機械室95は、サニタリ45に隣接して設けられており、機械室95とサニタリ45との間には、空調装置91をメンテナンスする際に用いられるメンテナンス用の開口部96が設けられている(
図2参照)。この開口部96には開閉扉97が設けられ、その開閉扉97には機械室95とサニタリ45とを連通する通気部98が設けられている。通気部98は、開閉扉97のアンダーカットやガラリ等により構成されている。
【0073】
空調装置91は冷房機能及び暖房機能を有する室内機として構成されている。空調装置91は、機械室95内の空気を取り込む取込部(図示略)を有しており、その取込部より取り込んだ空気を温度調整することで空調空気(冷房空気又は暖房空気)を生成する。そして、空調装置91は、その生成した空調空気を空調ダクト92へ供給する。
【0074】
空調ダクト92は、接続ダクト99を介して空調装置91と接続されている。接続ダクト99は、機械室95において空調装置91から上方に延びており、その上端部が空調ダクト92に接続されている。空調ダクト92は、二階部分12の天井裏に設置され、その天井裏においてサニタリ45と寝室42と階段上空間74と共用リビング60とに跨がるよう延びている。
【0075】
空調ダクト92は、第1空調システム80の空調ダクト82と同様、二階部分12の天井部に設けられた下がり天井101の上方に配設されている。すなわち、二階部分12の天井部には、空調ダクト92の配設経路に沿って下がり天井101が設けられ、その下がり天井101上方の天井裏空間103に空調ダクト92が配設されている。
【0076】
空調ダクト92は、空調ダクト82と同様、直方体状に形成された複数のダクト部92aを備え、それら各ダクト部92aが互いに連結されることで構成されている。また、ダクト部92aは、例えば断熱性能に優れたポリスチレンフォーム等の発泡スチロールにより形成され、その平面視形状が正方形状となっている。なお、空調ダクト92は、必ずしも分割された複数のダクト部92aを有して構成する必要はなく、長尺状をなす一のダクト部材により構成してもよい。
【0077】
空調ダクト92(詳しくはダクト部92a)の側面部には、吹出チャンバ93が接続されている。吹出チャンバ93は、空調ダクト92において複数箇所に設けられている。吹出チャンバ93には、サニタリ45に対して設けられた吹出チャンバ93aと、寝室42に対して設けられた吹出チャンバ93bと、階段上空間74に対して設けられた吹出チャンバ93cと、共用リビング60に対して設けられた吹出チャンバ93dとがある。これらの吹出チャンバ93a〜93dは各空間42,45,60,74に対してそれぞれ1つずつ設けられている。なお、吹出チャンバ93dが第2吹出部に相当する。
【0078】
吹出チャンバ93は、第1空調システム80の吹出チャンバ83と同様、下がり天井101と通常高さの天井102との間の段差壁部104に設けられている(
図5(b)参照)。吹出チャンバ93は、段差壁部104に形成された開口部106に挿通された状態で設けられている。吹出チャンバ93は、空調空気を吹き出す吹出口94を有しており、その吹出口94を横向きに開口させた状態で段差壁部104に設けられている。
【0079】
空調ダクト92を流れる空調空気は各吹出チャンバ93a〜93dの吹出口94より空調対象であるサニタリ45、寝室42、階段上空間74及び共用リビング60にそれぞれ吹き出される。これにより、その吹き出された空調空気により、これら各空間42,45,60,74の空調(冷暖房)が行われる。
【0080】
また、共用リビング60に設けられた吹出チャンバ93dには、上記吹出チャンバ83eと同様、吹出口94が上下に複数(具体的には2つ)設けられており、それら各吹出口94よりそれぞれ空調空気が吹き出される(
図5(b)参照)。一方、図示は省略するが、その他の吹出チャンバ93a〜93cには吹出口94が1つだけ設けられており、その一の吹出口94より空調空気が吹き出される。但し、これらの吹出チャンバ93a〜93cにも吹出口94を複数設けるようにしてもよく、例えば気積が比較的大きい寝室42の吹出チャンバ93bに吹出口94を複数設けることが考えられる。
【0081】
なお、各吹出チャンバ93a〜93cの吹出口94がそれぞれ第2居住吹出口に相当し、吹出チャンバ93dの各吹出口94がそれぞれ第2共用吹出口に相当する。
【0082】
続いて、各吹出チャンバ93a〜93dより空調空気が供給された後の空気の流れについて
図6を参照しながら説明する。
【0083】
図6に示すように、吹出チャンバ93dより共用リビング60に供給された空調空気は、通気部76を通じて階段上空間74に流れ込み、その後吹出チャンバ93cより階段上空間74に供給された空調空気とともにホール41に流れる。また、吹出チャンバ93bより寝室42に供給された空調空気は通気部53を通じてホール41に流れ込み、上記ホール41に流れた空調空気とともに通気部57を通じてサニタリ45へ流れ込む。そして、サニタリ45に流れ込んだ空調空気は、吹出チャンバ93aよりサニタリ45に供給された空調空気とともに通気部98を通じて機械室95に流れ込む。そして、空調装置91は、その機械室95へ流れ込んだ空気を取り込み空調空気を生成する。このように、第2空調システム90は、上記第1空調システム80と同様、住宅内の空気を循環させながら空調を行う循環式の空調システムとなっている。
【0084】
次に、共用リビング60の天井部における空調ダクト82,92及び吹出チャンバ83,93の設置構成について詳しく説明する。
【0085】
図4に示すように、第1空調ダクト82は、下がり天井101上の天井裏空間103において、第1建物部15から共用リビング60に向けて延びており、その末端部(下流側端部)が共用リビング60の上方に位置している。詳しくは、第1空調ダクト82を構成する各ダクト部82aのうち末端部に配置されたダクト部82aが共用リビング60の上方に位置している。なお、以下では、この末端部に配置されたダクト部82aを他のダクト部82aと区別するためダクト部108という。この場合、ダクト部108が第1末端部に相当する。
【0086】
一方、第2空調ダクト92は、下がり天井101上の天井裏空間103において、第2建物部16から共用リビング60に向けて延びており、その末端部(下流側端部)が共用リビング60の上方に位置している。詳しくは、第2空調ダクト92を構成する各ダクト部92aのうち末端部に配置されたダクト部92aが共用リビング60の上方に位置している。なお、以下では、この末端部に配置されたダクト部92aを他のダクト部92aと区別するためダクト部109という。この場合、ダクト部109が第2末端部に相当する。
【0087】
ダクト部108とダクト部109とはいずれも共用リビング60の二階床空間60aの上方に配置されている。これらのダクト部108、109はいずれも共用リビング60の長辺方向において同じ位置に配置され、詳しくは共用リビング60における共用バルコニー18との境界部付近に配置されている。また、各ダクト部108、109は、共用リビング60の短辺方向においては互いに離間して配置され、それにより、それら各ダクト部108,109の間には換気設備等の機器類を設置可能な設置スペースが形成されている。そして、ダクト部108に対して吹出チャンバ83eが接続され、ダクト部109に対して吹出チャンバ93dが接続されている。
【0088】
図5に示すように、これら各ダクト部108,109の下方には、上述した下がり天井101が設けられている。この下がり天井101は、各ダクト部108,109に跨がって設けられ、共用リビング60の短辺方向全域に亘って配設されている。また、共用リビング60の天井部においては、この下がり天井101と天井102とを繋ぐ段差壁部104も共用リビング60の短辺方向全域に亘って延びている。この段差壁部104はその壁面をスキップ床空間60bの側に向けて配設されており、天井裏空間103と共用リビング60とを互いに区画している。
【0089】
段差壁部104には、上記各吹出チャンバ83e,93dがそれぞれ設けられている。これらの吹出チャンバ83e,93dはいずれも吹出口84,94をスキップ床空間60b側に向けて配置されている。したがって、これらの吹出チャンバ83e,93dからは空調空気が(共用リビング60の長辺方向における)スキップ床空間60b側に向けて吹き出される。また、これらの吹出チャンバ83e,93dはいずれも同じ高さ位置に配置され、より詳しくは共用リビング60の短辺方向の中央線を基準として互いに対象となる位置に配置されている。
【0090】
以上、詳述した本実施形態の構成によれば、以下の優れた効果が得られる。
【0091】
第1空調システム80の空調装置81を第1建物部15に設け、第2空調システム90の空調装置91を第2建物部16に設けた。かかる構成では、これら各空調装置81,91のいずれか一方だけが運転している片側運転時において、その運転中の空調装置81(91)により共用リビング60に供給される空調空気が、同リビング60から当該運転中の空調装置81(91)が設けられている建物部15(16)の方へ流れることになる。この場合、かかる空気の流れについては、上記従来技術(特許文献1の技術)の構成において生じる共用空間から空調装置へ向かう空気の流れと比べ、弱い流れとすることができる。このため、かかる空気の流れによって、空調装置が運転していない他方の建物部16(15)内の空気を共用リビング60に引き込んでしまうことを抑制することができ、その結果、当該空気の引き込みに伴う空調効率の低下を抑制することができる。
【0092】
共用リビング60の一部を下床部66を有するスキップ床空間60bとしたため、共用リビング60を開放感あふれる空間とすることができる。そのため、各世帯のコミュニケーションを快適に図ることが可能となる。また、共用リビング60に下床部66が設けられた構成では、空調装置81,91から居住空間及び共用リビング60に空調空気を空調ダクト82,92により搬送するにあたり、空調ダクト82,92を床下に配設すると、空調ダクト82,92の高さ位置を途中で変える必要が生じる等、ダクト82,92の配設態様が複雑になるおそれがある。この点、上記の実施形態では、空調ダクト82,92を床下ではなく、天井裏に配設したため、かかる不都合が生じるのを回避しつつ空調ダクト82,92を配設することができる。
【0093】
第1空調システム80及び第2空調システム90のいずれにおいても、共用リビング60に設けられた吹出チャンバ83e,93dには空調空気の吹出口84,94を複数(具体的には2つ)設けた。この場合、各空調システム80,90(各空調装置81,91)のいずれか一方だけが運転している片側運転時においても、複数の吹出口84,94から空調空気を共用リビング60に吹き出すことができる。これにより、空調システム80,90の片側運転時においても、スキップ床空間60bを有する共用リビング60を好適に空調することができる。
【0094】
下がり天井101上方の天井裏空間103に各空調ダクト82,92を配設し、それら各空調ダクト82,92の末端部を構成するダクト部108,109をそれぞれ共用リビング60の上方に位置させた。そして、各ダクト部108,109の側面部に吹出チャンバ83e,93dを接続し、それら各吹出チャンバ83e,93dより空調空気を共用リビング60の長辺方向(第2方向に相当)に吹き出すようにした。この場合、平面視長方形状の共用リビング60を好適に空調することが可能となる。
【0095】
各空調ダクト82,92のダクト部108,109を二階床空間60aの上方に配設し、それらダクト部108,109に接続される各吹出チャンバ83e,93dより空調空気をスキップ床空間60bに向けて吹き出すようにした。この場合、気積の大きいスキップ床空間60bを好適に空調することができる。
【0096】
また、各空調ダクト82,92のダクト部108,109を二階床空間60aの上方に配設したため、共用リビング60の天井部においては二階床空間60aの天井部に対して下がり天井101を配置すればよく、スキップ床空間60bの天井部には下がり天井101を配置しなくても済む。これにより、下がり天井101を用いて空調ダクト82,92を配設する構成にあって、下がり天井101により共用リビング60(詳しくはスキップ床空間60b)の開放感が低下してしまうのを抑制することができる。
【0097】
共用リビング60が住宅奥行き方向(第2方向に相当)の両側でそれぞれ屋外空間及び共用バルコニー18(半屋外空間に相当)と隣接している上記実施形態の構成では、住宅奥行き方向における共用リビング60を挟んだ両側に、空調ダクト82,92を配設できる天井部が存在しない。そのため、それらの側から共用リビング60に空調空気を吹き出すことが、詳しくはそれらの側から空調空気を住宅奥行き方向(つまりは共用リビング60の長辺方向)に吹き出すことが実際上不可能となる。その点、上記の実施形態では、かかる構成に、共用リビング60の上方に各ダクト部108,109を位置させ、それらダクト部108,109に接続した吹出チャンバ83e,93dより空調空気を共用リビング60の長辺方向に吹き出す構成を適用しているため、このような構成にあっても、共用リビング60に空調空気を長辺方向に吹き出すことが可能となる。
【0098】
なお、共用リビング60が住宅奥行き方向の両側でそれぞれ屋外空間と隣接している構成や、住宅奥行き方向の両側でそれぞれ半屋外空間と隣接している構成においても、住宅奥行き方向における共用リビング60を挟んだ両側に、空調ダクト82,92を配設できる天井部が存在しないため、それらの側から共用リビング60に空調空気を長辺方向に吹き出すことが不可能となる。そのため、これらの構成に対しても、上述した構成を適用することで、共用リビング60に空調空気を長辺方向に吹き出し可能としてもよい。
【0099】
各空調ダクト82,92のダクト部108,109を共用リビング60の長辺方向において同位置に配置するとともに、それらダクト部108,109に接続される各吹出チャンバ83e,93dを共用リビング60の短辺方向の中心線に対して互いに対称となる位置に配置した。この場合、各空調装置81,91のいずれを片側運転させる場合にも、共用リビング60を同じように空調することが可能となる。
【0100】
本発明は上記実施形態に限らず、例えば次のように実施されてもよい。
【0101】
(1)上記実施形態では、空調ダクト82のダクト部108(第1末端部)を共用リビング60の上方に位置させ、このダクト部108に吹出チャンバ83eを接続したが、これを変更してもよい。例えば、空調ダクト82においてダクト部108を不具備とし、そのダクト部108の手前のダクト部82aに吹出チャンバ83eを接続するようにしてもよい。その場合、このダクト部82aは第1建物部15に配置されているため、それに接続される吹出チャンバ83eは例えば空調空気を共用リビング60の短辺方向に吹き出すよう配置することが考えられる。
【0102】
また、これと同様に、空調ダクト92においてもダクト部109を不具備として、そのダクト部109の手前のダクト部92aに吹出チャンバ93dを接続するようにしてもよい。
【0103】
(2)上記実施形態では、第1空調システム80において、共用リビング60に設けた一の吹出チャンバ83eに複数の吹出口84を設けたが、これを変更して、共用リビング60に一の吹出口84を有する吹出チャンバ83を複数設けるようにしてもよい。その場合にも、共用リビング60に空調空気を吹き出す吹出口84を複数設けることができるため、空調装置81の片側運転時においても共用リビング60を好適に空調することができる。また、これと同様に、第2空調システム90においても、共用リビング60に一の吹出口94を有する吹出チャンバ93を複数設けるようにしてもよい。
【0104】
(3)上記実施形態では、二階部分12の天井裏空間103に空調ダクト82,92を配設したが、これを変更して、二階部分12の床下空間(換言すると、一階部分11と二階部分12との間の階間空間)に空調ダクトを配設してもよい。その場合、吹出チャンバは床側に設けられることになり、その床側の吹出チャンバより空調空気が吹き出される。但し、上記実施形態の構成では、空調ダクト82,92による空調空気の供給先である共用リビング60とそれ以外の空間との間で床高さが互いに相違しているため、床下に空調ダクトを配設しようとすると、空調ダクトの高さを途中で変える必要が生じる等、ダクトの配設態様が複雑になるおそれがある。そのため、この点を鑑みると、空調ダクトを天井裏空間103に配設するのが望ましいといえる。
【0105】
(4)上記実施形態では、空調装置81の機械室85がLDK空間35に隣接して設けられていたが、例えばホール31に隣接して設けられる等、他の位置に設けられていてもよい。要するに、機械室85は、第1建物部15の二階部分12に設けられていればよい。
【0106】
また、上記実施形態では、空調装置91の機械室95がサニタリ45に隣接して設けられていたが、例えばホール41や寝室42に隣接して設けられる等、他の位置に設けられていてもよい。要するに、機械室95は、第2建物部16の二階部分12に設けられていればよい。
【0107】
(5)上記実施形態では、共用リビング60の一部をスキップ床空間60bとし、残りの一部を二階床空間60aとしたが、これを変更して、共用リビング60全体をスキップ床空間としてもよい。その場合、共用リビング60をより一層開放感あふれる空間とすることができる。また、共用リビング60の全部を二階床空間60aとしてもよい。その場合、共用リビング60に設けられた吹出チャンバ83e,93dの吹出口84,94の数を1つにしてもよい。
【0108】
また、空調対象となる共用空間は必ずしも共用リビング60である必要はなく、共用のダイニングや玄関ホール等、他の共用空間であってもよい。
【0109】
(6)上記実施形態では、第1建物部15と第2建物部16との間に中間建物部17(共用リビング60)を有する二世帯住宅10に本発明の空調システムを適用したが、それ以外の構成からなる二世帯住宅10に本発明を適用してもよい。例えば、第1建物部15及び第2建物部16の住宅奥側でこれら各建物部15,16に跨がって共用リビング60が設けられる構成に本発明を適用することが考えられる。要するに、第1建物部15及び第2建物部16にそれぞれ隣接して共用リビング60が設けられる構成であれば、本発明の空調システムを適用することが可能である。