特許第6529940号(P6529940)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6529940
(24)【登録日】2019年5月24日
(45)【発行日】2019年6月12日
(54)【発明の名称】インフォメーションシステム
(51)【国際特許分類】
   G16H 40/20 20180101AFI20190531BHJP
   G06Q 50/22 20180101ALI20190531BHJP
   G06Q 20/28 20120101ALI20190531BHJP
   G06Q 20/32 20120101ALI20190531BHJP
【FI】
   G16H40/20
   G06Q50/22
   G06Q20/28
   G06Q20/32
【請求項の数】3
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2016-157533(P2016-157533)
(22)【出願日】2016年8月10日
(65)【公開番号】特開2018-25974(P2018-25974A)
(43)【公開日】2018年2月15日
【審査請求日】2018年3月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】515140093
【氏名又は名称】株式会社ワールドテック
(74)【代理人】
【識別番号】100080089
【弁理士】
【氏名又は名称】牛木 護
(74)【代理人】
【識別番号】100161665
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 知之
(74)【代理人】
【識別番号】100188994
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 裕介
(72)【発明者】
【氏名】野々村 二三夫
【審査官】 ▲高▼瀬 健太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−281271(JP,A)
【文献】 特開2000−181468(JP,A)
【文献】 特開2003−051065(JP,A)
【文献】 国際公開第2004/047382(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 40/20
G06Q 50/22
G06Q 20/28
G06Q 20/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯可能な遠隔操作体と、
診察券から読み出した利用者を特定する利用者情報を、前記遠隔操作体に記憶させる利用者情報転送機と、
前記利用者情報を一元管理するセンター装置に対して各々が通信可能に設置され、制御対象として少なくとも報知装置を有する複数の端末装置と、を備え、
前記遠隔操作体は、当該遠隔操作体に固有の識別子に加えて、前記端末装置からの固有の端末識別情報を記憶する第1の識別子記憶部と、
当該遠隔操作体への操作により、通信が確立した前記端末装置に固有の端末識別情報を読み込んで、この固有の端末識別情報を前記第1の識別子記憶部に記憶させ、当該固有の端末識別情報がクリアされるまでは、その固有の端末識別情報を有する前記端末装置だけとデータのやり取りを許可する第1の識別子制御処理部と、を有し、
前記端末装置は、当該端末装置に固有の端末識別情報に加えて、前記遠隔操作体からの固有の識別子を記憶する第2の識別子記憶部と、
前記遠隔操作体の操作により、通信が確立した前記遠隔操作体に固有の識別子を読み込んで、この固有の識別子を前記第2の識別子記憶部に記憶させ、当該固有の識別子がクリアされるまでは、その固有の識別子を有する前記遠隔操作体だけとデータのやり取りを許可する第2の識別子制御処理部と、
前記第2の識別子制御処理部が前記遠隔操作体からの固有の識別子を前記第2の識別子記憶部に記憶させると、当該遠隔操作体に記憶する前記利用者情報を取り込んで、その利用者情報と、前記第2の識別子記憶部に記憶される前記固有の端末識別情報および前記固有の識別子とを、前記センター装置に新たな認証情報として送出する第1送出部と、
前記新たな認証情報を受けて、前記センター装置が前記利用者情報と前記端末識別情報と前記識別子の関連付けを行なった後に、前記センター装置から特定の前記端末装置に告知情報が送出されると、当該端末装置が制御する前記報知装置に前記告知情報を出力させる報知制御部と、を有することを特徴とするインフォメーションシステム。
【請求項2】
前記遠隔操作体は、利用者の利用金額に相当する電子マネーをチャージする第1の電子マネー記憶部を有し、
前記端末装置は、前記電子マネーを記憶する第2の電子マネー記憶部と、
前記第1送出部が前記センター装置に新たな認証情報を送出すると、前記遠隔操作体の前記第1の電子マネー記憶部にチャージされた前記電子マネーを、前記端末装置の前記第2の電子マネー記憶部に移行させて、前記第2の電子マネー記憶部に前記電子マネーが更新記憶される毎に、当該電子マネーと前記端末識別情報とを、前記センター装置に利用者課金情報として送出し、前記電子マネーの額が0になるまで前記端末装置の課金対象機器を利用可能にする第2送出部と、
をさらに備えたことを特徴とする請求項1記載のインフォメーションシステム。
【請求項3】
前記センター装置および複数の前記端末装置の間で、ダイナミックルーティングによる通信を可能にする通信手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1または2記載のインフォメーションシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センター装置から端末装置を通して、利用者毎に告知情報を報知する病院などのインフォメーションシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば病院では、ナースステーションに設置したセンター装置(看護支援システムが導入済みの場合は、その装備がセンター装置となる)から、病床テレビを備えたタイマーを通じて、各種の案内を決められた時間にテレビ画面に映し出すインフォメーションシステムが知られている。こうしたインフォメーションシステムでは、テレビを通して各患者に必要事項を告知する目的で、どの病床にどの患者がいるのかを特定する必要があり、従来は病床毎に設置されたタイマー固有の番号と、そのタイマーを利用する患者固有の識別子とを関連付けて、システムに登録する患者確認方式が採用されていた。
【0003】
ところが実際には、入院中に患者が別な病床に移動することが頻繁に行われており、タイマーの番号と患者の識別子との関連付けをその都度速やかに変更して登録しなければ、各患者に告知情報を誤りなく伝達できない。そのため病院側では、入院患者の病床移動時に上記関連付けを迅速に変更できるような登録管理が必要とされていた。
【0004】
そこで、こうした登録管理を不要にして、業務を簡素化するために、例えば特許文献1には、入院患者が予め保有する会員カードを、各病床に設置した端末装置のカード挿入口に挿入すると、会員カードに記憶される固有の会員情報と、各端末装置に割り当てられた固有の端末識別情報が、センター装置に新たな認証情報として自動的に送出され、これを受けたセンター装置が、新たな認証情報に含まれる会員情報と端末識別情報との関連付けを、その都度更新して記憶するシステムが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−276622号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1では、端末装置の利用開始時に予め用意しておいた会員カードを、端末装置のカード挿入口にいちいち挿入しなければならず、会員カードの挿入を忘れると、会員情報と端末識別情報の関連付けが正しく行われなくなる。さらに、各端末装置にカード挿入口を含む会員カードの読取装置が必要となり、特に病床数の多い病院では、コストの上昇および読取装置のメンテナンスなどが無視できなくなる。
【0007】
また、患者が各種サービスを利用したときの対価として、現金の代わりにプリペイド式の電子マネーで決済する場合、法律上の規制の関係で、病院側では未利用残高を年2回集計して、その50%を超える金額を供託する必要があるが、従来のシステムでは、実際に個々の患者が電子マネーをどの程度残しているのかを把握できず、現段階の未利用残高を正確に集計できない不満があった。
【0008】
そこで、本発明は上記問題点に鑑み、利用者情報と端末識別情報の関連付けを、簡単かつ確実に行なうことができるインフォメーションシステムを提供することを第1の目的とする。
【0009】
また、現段階の未払い残高を速やかに、かつ確実に集計できるインフォメーションシステムを提供することを第2の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のインフォメーションシステムは、患者毎の診察券に書き込まれた患者情報が、センター装置にも一元管理されていることに着目し、診察券を利用して取り込んだ個々の患者情報と、センター装置と通信可能な端末装置とを、遠隔操作体を介して関連付けすることを特徴とする。
【0011】
すなわち本発明は、第1の目的を達成するために、携帯可能な遠隔操作体と、診察券から読み出した利用者を特定する利用者情報を、前記遠隔操作体に記憶させる利用者情報転送機と、前記利用者情報を一元管理するセンター装置に対して各々が通信可能に設置され、制御対象として少なくとも報知装置を有する複数の端末装置と、を備え、前記遠隔操作体は、当該遠隔操作体に固有の識別子に加えて、前記端末装置からの固有の端末識別情報を記憶する第1の識別子記憶部と、当該遠隔操作体への操作により、通信が確立した前記端末装置に固有の端末識別情報を読み込んで、この固有の端末識別情報を前記第1の識別子記憶部に記憶させ、当該固有の端末識別情報がクリアされるまでは、その固有の端末識別情報を有する前記端末装置だけとデータのやり取りを許可する第1の識別子制御処理部と、を有し、前記端末装置は、当該端末装置に固有の端末識別情報に加えて、前記遠隔操作体からの固有の識別子を記憶する第2の識別子記憶部と、前記遠隔操作体の操作により、通信が確立した前記遠隔操作体に固有の識別子を読み込んで、この固有の識別子を前記第2の識別子記憶部に記憶させ、当該固有の識別子がクリアされるまでは、その固有の識別子を有する前記遠隔操作体だけとデータのやり取りを許可する第2の識別子制御処理部と、前記第2の識別子制御処理部が前記遠隔操作体からの固有の識別子を前記第2の識別子記憶部に記憶させると、当該遠隔操作体に記憶する前記利用者情報を取り込んで、その利用者情報と、前記第2の識別子記憶部に記憶される前記固有の端末識別情報および前記固有の識別子とを、前記センター装置に新たな認証情報として送出する第1送出部と、前記新たな認証情報を受けて、前記センター装置が前記利用者情報と前記端末識別情報と前記識別子の関連付けを行なった後に、前記センター装置から特定の前記端末装置に告知情報が送出されると、当該端末装置が制御する前記報知装置に前記告知情報を出力させる報知制御部と、を有している。
【0012】
本発明のインフォメーションシステムは、第2の目的を達成するために、前記遠隔操作体は、利用者の利用金額に相当する電子マネーをチャージする第1の電子マネー記憶部を有し、前記端末装置は、前記電子マネーを記憶する第2の電子マネー記憶部と、前記第1送出部が前記センター装置に新たな認証情報を送出すると、前記遠隔操作体の前記第1の電子マネー記憶部にチャージされた前記電子マネーを、前記端末装置の前記第2の電子マネー記憶部に移行させて、前記第2の電子マネー記憶部に前記電子マネーが更新記憶される毎に、当該電子マネーと前記端末識別情報とを、前記センター装置に利用者課金情報として送出し、前記電子マネーの額が0になるまで前記端末装置の課金対象機器を利用可能にする第2送出部と、をさらに備えている。
【0013】
上記構成では、前記センター装置および複数の前記端末装置の間で、ダイナミックルーティングによる無線通信を可能にする通信手段をさらに備えるのが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
請求項1の発明によれば、予め利用者情報転送機を利用して、利用者の診察券から読み出した利用者情報を遠隔操作体に転送記憶させておけば、後は利用者が端末装置の利用開始時に遠隔操作体を操作するだけで、遠隔操作体からの利用者情報と端末装置に固有の端末識別情報が、新たな認証情報として端末装置の第1送出部からセンター装置に自動的に送出され、センター装置側で利用者情報と端末識別情報の関連付けが迅速に行われる。そのため、利用者が病床などを移動する場合でも、自身の利用者情報が記憶された遠隔操作体を、移動先の端末装置に対して操作すれば、端末装置にカードを挿入する手間を省いて、利用者情報と端末識別情報の関連付けを簡単かつ確実に行なうことができ、センター装置から特定の患者に対して告知情報を正確に通知することが可能になる。
【0015】
請求項2の発明によれば、利用者が使用する電子マネーの未払い残高が、端末装置の記憶部に記憶更新される毎に、その電子マネーと端末装置を特定する端末識別情報がセンター装置に送出されるため、センター装置側では新たな認証情報に含まれる利用者情報と端末識別情報との関連付けから、全ての利用者について、現段階で個人毎にどの程度の未払い残高があるのかを速やかに、かつ確実に集計できる。
【0016】
請求項3の発明によれば、センター装置および複数の端末装置の相互間で、通信に微弱な電波を使用した場合でも、通信手段がダイナミックルーティング方式により最適な経路を自動的に選択して、全体に通信が可能となる。また、端末装置の電源を遮断した場合でも、残っている通信可能な端末装置間で自動的に別な経路を作成することができ、より確実な通信が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施形態におけるリモコン電子マネー方式床頭台のインフォメーションシステムについて、貸出機とリモコンの外観図である。
図2】同上、床頭台とリモコンの外観図である。
図3】同上、リモコン入金/精算機とリモコンの外観図である。
図4】同上、各床頭台の課金装置およびセンター装置の間での通信のやり取りを示す説明図である。
図5】同上、リモコンの正面図である。
図6】同上、リモコンの電気的構成を示すブロック図である。
図7】同上、課金装置の電気的構成を示すブロック図である。
図8】同上、リモコン貸出機の電気的構成を示すブロック図である。
図9】同上、リモコン入金/精算機の電気的構成を示すブロック図である。
図10】同上、入金時における動作手順を示す説明図である。
図11】同上、出金時における動作手順を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明におけるリモコン電子マネー方式床頭台のインフォメーションシステム(以下、単にインフォメーションシステムという)の好ましい実施形態について、添付図面を参照しながら説明する。なおここでは、特に病院に設置されたインフォメーションシステムについて詳しく説明する。
【0019】
図1図3は、病院向けインフォメーションシステム1の主な構成要素を示したものである。図1において、2は病室の外部に単独で設置されるリモコン貸出機であり、これはインフォメーションシステム1の利用者である患者が、最初の利用開始時にリモコン3を借りる際に利用する機器である。リモコン貸出機2の正面には、カード状の診察券5を着脱自在に挿入できる診察券挿入口6や、患者に貸出すリモコン3を排出するリモコン貸出口7や、リモコン3の排出時に貸出レシート(図示せず)を排出するレシート出口8などが各々配設される。
【0020】
リモコン3は詳細な構成を後程説明するが、遠隔操作体として専用のIR送受信機機能を有する。また、診察券5は周知のように、患者が病院を利用する際に携帯するもので、記憶媒体となる磁気ストライプ9を備えている。磁気ストライプ9には、病院側で患者を個々に特定するための患者情報が予め記憶保持される。利用者情報となる患者情報は、例えば患者の氏名や、診察券番号となる固有のID番号や、生年月日や、性別などを含む。なお、記憶媒体として磁気ストライプ9の代わりにICチップなどを用いてもよい。
【0021】
リモコン貸出機2の内部には、初期化された複数台のリモコン3と、貸出レシートとなるロール紙とを各々収納する収納部が設けられる。これにより本実施形態では、前記診察券挿入口6に診察券5を挿入すると、磁気ストライプ9から読み取られた患者情報が、初期化された複数台のリモコン3の中から一台のリモコン3に自動的に入力記憶され、その一台のリモコン3がリモコン貸出口7から排出されると共に、リモコン3を貸し出したことを示す貸出レシートが、レシート出口8から排出される構成となっている。
【0022】
図2は、病室内部の各病床に設置される床頭台11と、そこで使用する患者情報を入力記憶したリモコン3を示している。床頭台11には、表示器となるテレビ12の上部に課金装置(病床タイマー)13を一体的に装着した状態で、テレビ12と、課金装置13と、冷蔵庫14が収容保持される。ここでのテレビ12や冷蔵庫14は、課金装置13の制御対象として、当該課金装置13によりその動作が制御される。
【0023】
床頭台11は、リモコン3を収容可能なリモコン収容部16と、リモコン収容部16の前面開口を開閉する出し入れ可能な引き出し17とを備え、引き出し17には錠前機構18や、リモコン収容部16に臨むアクリルなどの透明窓板19が配設される。これにより、リモコン3を収容したリモコン収容部16の前部開口を引き出し17で閉じた状態で、図示しない鍵を用いて錠前機構18を施錠すると、引き出し17がロックされてリモコン3がリモコン収容部16から取り出せなくなる。また、リモコン収容部16にはリモコン充電部(図示せず)が装備され、リモコン収容部16にリモコン3を正しく挿入収容した際に、リモコン3が充電できるように構成される。
【0024】
インフォメーションシステム1の報知装置となるテレビ12は、リモコン3からの赤外線信号を受信するIR(赤外線)受信部を備え、テレビ12と課金装置13は無線または有線の通信手段(図示せず)で直接接続される。また本実施形態のテレビ12は、テレビ12の動作状態を検出するテレビ動作検出部21と、課金装置13からの制御信号に応じて、リモコン3からの赤外線信号の受入れを許可または禁止するテレビ動作制御部22を、それぞれ内蔵する。なお、テレビ12自体にテレビ動作検出部21が組み込まれていない場合、図示しない電源コンセントとテレビ12の電源プラグとの間に、テレビ12に流れ込む電流値を検出する負荷電流検出手段を、テレビ12に外付けのテレビ動作検出部21として設けてもよい。その詳細は、特許第3760466号公報に開示されている。
【0025】
冷蔵庫14は周知のように、庫内に収容した物品を低温で保管するもので、課金装置13からの制御信号を受けて、その動作が制御される。なお課金装置13は、テレビ12や冷蔵庫14以外の様々な負荷を制御対象として制御することが可能である。
【0026】
課金装置13は、リモコン3やテレビ12との双方向通信を可能にするIR送受信部24を備え、他に表示部として、冷蔵庫14の使用可能な期間を日数で表示する日数表示器25や、テレビ12の視聴可能な期間を電子マネーの残金額として表示する残金表示器26などを備えている。本実施形態では、リモコン3と課金装置13との間で、赤外線信号による各種データの送受信が行われる構成となっており、リモコン3はテレビ12のみならず、課金装置13との間でも赤外線通信を可能とする専用リモコンとなっている。
【0027】
図3は、病室外部に設置されるリモコン入金/精算機31と、そこで入金や精算が行われるリモコン3を示している。リモコン入金/精算機31は、患者がリモコン3を用いて現金を電子マネーに交換する際に利用し、また患者の退院時などに、リモコン3にチャージされた電子マネーを精算して現金に交換する際に利用する現金と電子マネーの交換機である。リモコン入金/精算機31の正面には、リモコン3を着脱自在に挿入できるリモコン挿入口32や、入金時に押動操作される入金ボタン33や、精算時に押動操作される精算ボタン34や、入金あるいは精算の決定時に押動操作される決定ボタン35や、現金の投入口となる紙幣入口36や、残金額を硬貨として払出出力する硬貨払出口37や、入金や精算時にレシートを排出するレシート出口38が配設される。また表示部として、リモコン3に記憶された電子マネーに相当する残金額を表示するリモコン金額表示器39や、紙幣入口36に投入された紙幣の総額を表示する入金金額表示器40や、精算時に払出金額を表示する払出金額表示器41が配設される。
【0028】
図4は、病院内において、n(nは1から始まる自然数)台の床頭台11−1〜11−nに各々設置した課金装置13−1〜13−nが、ナースステーションなどに設置したセンター装置45と、無線で双方向通信を行なう場合の通信経路を示している。センター装置45は、各患者の患者情報を一元管理するために、病院側の管理担当者が使用する機器である。センター装置45は、汎用のパーソナルコンピュータを使用することができ、これは周知のように、案内用管理サーバーとしても使用され、制御処理部を内蔵する装置本体46や、マウスやキーボードなどの操作部47や、液晶モニターなどの表示部48で構成される。なお本実施形態では、装置本体46を案内用管理サーバーとしても使用しているが、別個に案内用管理サーバーを設けてもよい。
【0029】
インフォメーションシステム1は、上述したリモコン貸出機2と、リモコン3と、テレビ12と、課金装置13と、リモコン入金/精算機31と、センター装置45とにより構成され、図4に示すように、センター装置45と各課金装置13−1〜13−nとの間で、双方向通信を可能にする通信手段49Aが配設される。但し、病院に看護支援システムが既に導入されている場合は、その装備をセンター装置45として、インフォメーションシステム1に通信手段49Aで接続してもよい。
【0030】
また変形例として、リモコン貸出機2とセンター装置45との間を、有線や無線の通信手段49Bで接続し、リモコン貸出機2とリモコン入金/精算機31との間を有線や無線の通信手段49Bで接続するのが好ましい。センター装置45の装置本体46には、各患者に対する診療の経過を記入する電子情報として、患者情報と関連付けられた電子カルテを記憶蓄積する電子カルテ記憶部(図示せず)が設けられる。
【0031】
前記通信手段49Aとして、課金装置13−1〜13−nおよびセンター装置45との間の通信のネットワークは、有線のLAN回線を利用する他に、無線LANの一種であるWi−Fiネットワークが有る場合はそれを利用するのが好ましい。また、Wi−Fiネットワークの設備がない場合は、厚生労働省で問題がないと認めている2.4GHzの微弱電波を使用して無線通信を行なう。何れにせよ、こうした通信は微弱電波で、例えば国際公開第2004/047382号で開示されるようなダイナミックルーティング方式で行なっており、これは一台のセンター装置45と、複数の端末装置からなる課金装置13−1〜13−nのそれぞれに、ダイナミックルーティングを可能にするルータ機能を備えることで実現する。そのため、ここでの通信手段49Aは、相互に通信可能な各課金装置13−1〜13−nの間で自動的に最適な通信の流れの道筋(経路)を作り、その道筋にある課金装置13で、或る床頭台11の電源が抜かれて課金装置13の電源が遮断された状態でも、別ルートを作成し通信を行なう構成となっている。
【0032】
図5は、図1に示すリモコン3単体の正面図である。本実施形態におけるリモコン3は、主にテレビ12を遠隔操作するためのテレビ操作体として、電源キー51、地上デジタル放送チャンネルの選局切替キー52、SD切替キー53、衛星デジタル放送チャンネルの選局切替キー54、音量調整キー55、外部入力切替キー56、字幕キー57、画面表示キー58、音声切替キー59、カーソルキー60、決定キー61、番組表キー62、戻るキー63をそれぞれ備え、主に課金装置13を遠隔操作するための課金装置操作体として、退院キー64、返金キー65、送金キー66、冷蔵庫予約キー67、冷蔵庫予約戻しキー68をそれぞれ備えている。この中で、選局切替キー52,54や、SD切替キー53は、何れも表面に「△」なる記号を形成した上キーと、「▽」なる記号を形成した下キーとを上下に配置して構成され、音量調整キー55は、表面に「+」なる記号を形成した+キーと、「−」なる記号を形成した−キーとを上下に配置して構成される。その他にリモコン3は、リモコン3にチャージされた電子マネーを、リモコン残金として表示する残金表示器69や、赤外線通信のための受光素子や発光素子を含むIR送受信部70などを備えている。なお、図5に示すリモコン3の各部の配置や形状は、適宜変更が可能である。
【0033】
図6は、リモコン3の電気的構成を示したものである。リモコン3は、例えばマイクロコンピュータのCPUにより構成されるリモコン制御部75を備え、このリモコン制御部75に、操作部77と、表示部78と、計時部79と、IR送受信部70と、外部機器接続部80と、電子マネー記憶部81と、履歴情報記憶部82と、識別子記憶部83と、患者情報記憶部84がそれぞれ接続される。操作部77は、図5に示すリモコン3の各種キー51〜68に相当するもので、表示部78は、図2に示す残金表示器69に相当するものである。外部機器接続部80は、リモコン貸出機2やリモコン入金/精算機31との間で、各種データをやり取りするためのものである。計時部79は、時刻をカウントした時刻データをリモコン制御部75に出力するもので、この時刻データは、例えばリモコン3により電子マネーの入出金処理を行なった日付時刻を決定するのに用いられる。
【0034】
リモコン記憶部を構成する電子マネー記憶部81と、履歴情報記憶部82と、識別子記憶部83と、患者情報記憶部84は、電子マネーと、履歴情報と、識別子と、患者情報をそれぞれ記憶するものである。電子マネーは、インフォメーションシステム1において現金と同等の価値を有する数値データで、ここでは便宜上、現金と同じ金額単位(円)であるとして説明する。履歴情報は、テレビ12や冷蔵庫14を含む課金対象の全ての機器の使用履歴をデータ化した機器履歴情報の他に、そのリモコン3自体の使用履歴をデータ化したリモコン履歴情報を含んだデータである。機器履歴情報には、各機器の項目別に利用した金額や日時が含まれており、リモコン履歴情報には、リモコン3で入出金処理を行なった時の金額や日付時刻が含まれている。識別子は、複数の課金装置13やリモコン3を個々に識別するためのデータで、リモコン3の識別子記憶部83には、そのリモコン3に固有の識別子であるリモコン識別子と、IR送受信部70を通して通信が確立された課金装置13の識別子である課金装置識別子が、それぞれ記憶保持される。患者情報は、前述のように患者の氏名や、診察券番号となる固有のID番号や、生年月日や、性別などを含み、リモコン貸出機2を通して入力されたものがそのまま記憶される。
【0035】
リモコン記憶部にはその他に、コンピュータによるリモコン制御部75を、電子マネー制御処理部85と、履歴情報制御処理部86と、識別子制御処理部87と、患者情報制御処理部88の各手段として機能させるためのプログラムが記憶保持される。
【0036】
電子マネー制御処理部85は、課金装置13やリモコン入金/精算機31との間で電子マネーを受け渡す機能や、リモコン3内部で電子マネーを演算処理する機能を有する。また電子マネー制御処理部85は、電子マネー記憶部81に記憶する電子マネーから換算した金額を、残金表示器69に表示させる表示制御部としての機能も備えている。
【0037】
履歴情報制御処理部86は、課金装置13やリモコン入金/精算機31との間で機器履歴情報を受け渡す機能や、計時部79からの時刻データと、前述した電子マネーの受け渡しに基づいて、リモコン3自体のリモコン履歴情報を生成し、これを履歴情報記憶部82に記憶させる機能を有する。
【0038】
識別子制御処理部87は、課金装置13との間でリモコン識別子を受け渡す機能や、IR送受信部70を通して受信した課金装置13からの課金装置識別子と、識別子記憶部83に記憶した課金装置識別子との比較により、その課金装置13との間でデータのやり取りを行なうか否かを判別する機能を有する。
【0039】
患者情報制御処理部88は、リモコン貸出機2により診察券5から読み出した患者情報を、外部機器接続部80から取り込んで患者情報記憶部84に記憶させる機能と、リモコン3の操作部77の中で、例えば電源キー51や送金キー66が押動操作されたときに、患者情報記憶部84に記憶する患者情報を、IR送受信部70を通して課金装置13に送出する機能を有する。
【0040】
図7は、課金装置13の電気的構成を示したものである。課金装置13は、例えばマイクロコンピュータのCPUにより構成される課金装置制御部91を備え、この課金装置制御部91に、表示部92と、計時部93と、IR送受信部24と、課金対象機器接続部95と、電子マネー記憶部96と、履歴情報記憶部97と、識別子記憶部98と、患者情報記憶部99と、無線送受信部100がそれぞれ接続される。
【0041】
表示部92は、前述の日数表示器25と残金表示器26に相当するものである。課金対象機器接続部95は、テレビ12や冷蔵庫14との接続を可能にするもので、ここではテレビ動作検出部21からの動作検出信号を受け取り、またテレビ12や冷蔵庫14の動作を制御する制御信号を送り出すのに設けられる。計時部93は、時刻をカウントした時刻データを課金装置制御部91に出力するもので、その時刻データは、例えばテレビ12や冷蔵庫14を利用した日時を決定するのに用いられる。前述の通信手段49Aを構成する無線送受信部100は、センター装置45や他の課金装置13との間で双方向通信を行なうのに設けられる。
【0042】
課金装置記憶部を構成する電子マネー記憶部96と、履歴情報記憶部97と、識別子記憶部98と、患者情報記憶部99は、リモコン3と同様に、電子マネーと、履歴情報と、識別子と、患者情報とをそれぞれ記憶するものである。但し履歴情報記憶部97には、機器履歴情報だけが記憶保持され、リモコン履歴情報は記憶されない。また識別子記憶部98には、その課金装置13に固有の課金装置識別子と、IR送受信部24を通して通信が確立されたリモコン3に固有のリモコン識別子が、それぞれ記憶保持される。
【0043】
課金装置記憶部にはその他に、コンピュータによる課金装置制御部91を、機器制御処理部101と、電子マネー制御処理部102と、履歴情報制御処理部103と、識別子制御処理部104と、患者情報制御処理部105の各手段として機能させるためのプログラムが記憶保持される。
【0044】
機器制御処理部101は、電子マネー記憶部96に記憶する電子マネーの値に基づいて、課金装置13に接続するテレビ12や冷蔵庫14の動作を制御するものである。機器制御処理部101から動作許可信号が送出されると、テレビ12や冷蔵庫14は動作可能な状態となる一方、機器制御処理部101から動作禁止信号が送出されると、テレビ12や冷蔵庫14は動作不可能な状態となる。また機器制御処理部101は、センター装置45から決められた時間に送信され、無線送受信部100で受信した精算要求や消灯時間案内などの他に、患者毎に検査の時間や内容などをお知らせする告知情報を、テレビ12の画面に映し出す報知制御部としての機能や、無線送受信部100を通じた双方向通信により、各病床でリモコン3の操作によるテレビ12の視聴確認の有無を、センター装置45で把握できるようにする機能も備えている。
【0045】
電子マネー制御処理部102は、課金装置13との間で電子マネーを受け渡す機能や、課金装置13内部で電子マネーを演算処理する機能を有する。特に電子マネーの演算処理では、計時部93からの時刻データで得られるテレビ12や冷蔵庫14の動作する使用時間が、一定値(例えばテレビ12では1分、冷蔵庫では1日)に達する毎に、電子マネー記憶部96に記憶する電子マネーを減算して書き換え更新させ、その減算した電子マネーの残額と、識別子記憶部98から読み出した課金装置識別子とを、無線送受信部100を通してセンター装置45に利用者課金情報として送出する第2送出部としての機能を有する。また電子マネー制御処理部102は、その減算した電子マネーから換算した冷蔵庫14の使用可能日数と金額を、日数表示器18と残金表示器19にそれぞれ表示させる表示制御部としての機能も備えている。
【0046】
履歴情報制御処理部103は、計時部93からの時刻データと、電子マネー制御処理部102による電子マネーの演算結果から、課金装置13により制御されるテレビ12や冷蔵庫14の個別の利用金額や利用日時を機器履歴情報として生成し、これを履歴情報記憶部97に記憶させる機能を有する。また、リモコン3との電子マネーの入出金の情報を履歴情報として生成し、これを履歴情報記憶部97に記憶させる機能も有する。
【0047】
識別子制御処理部104は、リモコン3との間で識別子を受け渡す機能や、IR送受信部24を通して受信したリモコン3からのリモコン識別子と、識別子記憶部98に記憶したリモコン識別子との比較により、そのリモコン3との間でデータのやり取りを行なうか否かを判別する機能を有する。
【0048】
患者情報制御処理部105は、リモコン3からIR送受信部24を通して取り込んだ患者情報を患者情報記憶部99に記憶させると共に、その患者情報と識別子記憶部98から読み出した課金装置識別子およびリモコン識別子とを、無線送受信部100を通してセンター装置45に新たな認証情報として送出する第1送出部としての機能を有する。
【0049】
図8は、リモコン貸出機5の電気的構成を示したものである。リモコン貸出機5は、例えばマイクロコンピュータのCPUにより構成されるリモコン貸出制御部111を備え、このリモコン貸出機5の記憶部(図示せず)には、コンピュータによるリモコン貸出制御部111を、患者情報制御処理部112として機能させるためのプログラムが記憶保持される。また、このリモコン貸出制御部111に、診察券読取部114と、計時部115と、リモコン接続部116と、プリンタ接続部117がそれぞれ接続される。
【0050】
患者情報入力部としての診察券読取部114は、診察券挿入口21に挿入した診察券5の磁気ストライプ9から患者情報のデータを読取り、リモコン貸出制御部111に送出する機能を有する。患者情報制御処理部112は、診察券読取部114からの患者情報を、リモコン貸出機5の内部に収納されている初期化されたリモコン3に、リモコン接続部116を通して送出して患者情報記憶部84に入力させ、そのリモコン3をリモコン貸出口7から排出させる機能を有する。計時部115は、時刻をカウントしてリモコン貸出制御部111に出力するもので、計時部115からの時刻データは、リモコン3が貸出されたときの日時をリモコン貸出制御部111が決定するのに用いられる。プリンタ接続部117は、リモコン貸出制御部111とプリンタ(図示せず)とを電気的に接続するもので、このプリンタ接続部117を通して、診察券5から読み取った患者情報やリモコン3の貸出日時を、プリンタでロール紙から引き出された貸出レシートに印刷出力することが可能になる。リモコン接続部116は、リモコン3の外部機器接続部80と電気的に接続するものである。
【0051】
図9は、リモコン入金/精算機31の電気的構成を示したものである。リモコン入金/精算機31は、例えばマイクロコンピュータのCPUにより構成される入金/精算機制御部121を備え、この入金/精算機制御部121に、紙幣入金部123と、残金出金部124と、ボタン33〜35からなる操作部125と、表示器39〜41からなる表示部126と、計時部127と、リモコン接続部128と、プリンタ接続部129と、全履歴情報記憶部130がそれぞれ接続される。
【0052】
代替品入力部としての紙幣入金部123は、入金ボタン33が操作されると紙幣投入口35から投入された紙幣を計数し、その計数データを入金/精算機制御部121に出力するもので、投入された紙幣はリモコン入金/精算機31の内部に収容保管される。代替品出力部としての残金出金部124は、精算ボタン34が操作され、リモコン3をリモコン挿入口32に装着すると、そのリモコン3の電子マネー記憶部82に記憶される電子マネーから、入金/精算機制御部121で算出される残金額に相当する金額を払出金額表示器41に表示するもので、リモコン入金/精算機31の内部には、残金出金部175で排出可能な複数種類の硬貨が予め収容保管される。なお、残金出金部124は硬貨だけでなく、紙幣を排出できる構成としてもよい。
【0053】
計時部127は、時刻をカウントして入金/精算機制御部121に出力するもので、計時部127からの時刻データは、紙幣から電子マネーに演算で交換されたときの日時や、電子マネーから現金に演算で交換されたときの日時を決定するのに用いられる。リモコン接続部128は、リモコン3をリモコン挿入口32に装着すると、そのリモコン3の外部機器接続部80と電気的に接続するものである。プリンタ接続部129は、入金/精算機制御部121とプリンタ(図示せず)とを電気的に接続するもので、このプリンタ接続部129を通して、入金額や精算金額などをプリンタでロール紙から引き出されたレシートに印刷出力することが可能になる。
【0054】
全履歴情報記憶部130は、リモコン3をリモコン挿入口32に装着した状態で、入金ボタン33や精算ボタン34が操作された後に、決定ボタン35が操作される毎に、そのリモコン3の履歴情報記憶部82に保存されている履歴情報を蓄積記憶するもので、履歴情報には前述の機器履歴情報やリモコン履歴情報が含まれる。したがって全履歴情報記憶部130には、病床毎に設置された全てのリモコン3からの履歴情報が蓄積されることになる。
【0055】
リモコン入金/精算機31の記憶部にはその他に、コンピュータによる入金/精算制御部121を、電子マネー制御処理部133および履歴情報制御処理部134として機能させるためのプログラムが記憶保持される。電子マネー制御処理部133は、紙幣入金部123からの計数データに基づき、紙幣入口36に投入された紙幣の額から、その額に応じた電子マネーを算出する機能を有する。算出された電子マネーは、入金金額表示器40に表示される。履歴情報制御処理部134は、リモコン3をリモコン挿入口32に装着した状態で、精算ボタン34が操作されると、そのリモコン3の履歴情報記憶部82に保存される履歴情報を全履歴情報記憶部130に転送する機能を有する。
【0056】
次に、上記インフォメーションシステム1の構成について、その作用を図7図8の説明図を参考にして詳しく説明する。
【0057】
先ず、患者の入院時に利用するリモコン貸出機2の動作手順から説明する。リモコン貸出機2には初期化された複数のリモコン3が収納されるが、これらのリモコン3は何れも、予めリモコン識別子として個別のID番号が各々割り当てられ、患者情報記憶部84は誰の患者情報も記憶されていない状態となっている。また、全ての課金装置13にも、予め課金装置識別子として個別のID番号が各々割り当てられている。リモコン3の識別子記憶部83に記憶されるリモコン識別子や、課金装置13の識別子記憶部98に記憶される課金装置識別子は、容易に書き換えできない構成となっている。
【0058】
ここで、患者が自身の携帯する診察券5を診察券挿入口6に挿入すると、リモコン貸出機2の患者情報制御処理部112により、その患者の患者情報が磁気ストライプ9から読み取られ、初期化された複数台のリモコン3の中から、選択した一台のリモコン3の患者情報記憶部84に患者情報が入力記憶される。その後、この患者情報が書き込まれたリモコン3は、これから入院する患者が利用する携帯可能な遠隔操作体として、リモコン貸出口7から排出され、診察券5も診察券挿入口6から排出される。
【0059】
次に、入金時の動作手順を説明すると、図10のステップS0に示すように、リモコン識別子として例えば「001」のID番号を有するリモコン3がリモコン貸出機2から排出され、これを患者が受け取ったとする。ここで受け取られたリモコン3は患者情報記憶部84以外が初期化されており、履歴情報記憶部82に記憶される履歴情報や、識別子記憶部83に記憶される課金装置識別子の値はクリアされ、電子マネー記憶部81に記憶される電子マネーの値は0になっている。なおこれらは、リモコン3が初期状態であると認識できる別な値でも構わない。
【0060】
この後、患者がリモコン入金/精算機31でリモコン3に必要な電子マネーを入金記憶させ、病床の課金装置13にその電子マネーを移行させる。具体的には、リモコン入金/精算機31のリモコン挿入口32にリモコン3を挿入し、リモコン3がリモコン入金/精算機31に装着されたのを入金/精算機制御部121が認識した状態で、紙幣入口36に紙幣として1000円札を投入すると、その投入枚数に応じた計数データが紙幣入力部123から入金/精算機制御部121に出力され、紙幣の投入金額が入金金額表示器40に表示される。また電子マネー制御処理部133は、紙幣入力部123からの計数データに基づき、投入金額を電子マネーに変換する計算を行ない、その電子マネーの額をリモコン金額表示器39に表示させる。リモコン入金/精算機31からリモコン3に計算された電子マネーが送出されると、リモコン3の電子マネー制御処理部85は、電子マネー記憶部96に記憶される電子マネーの額と、リモコン入金/精算機31からの電子マネーの額を加算し、その結果を新たな電子マネーの額として電子マネー記憶部96に記憶保持(チャージ)させる。
【0061】
例として、ステップS0に示すような初期状態のリモコン3をリモコン入金/精算機31のリモコン挿入口32に挿入して、紙幣入口36に千円札を5枚投入すると、次のステップS1のように、リモコン3の電子マネー記憶部81に5000円分の電子マネーがそのままチャージされる。また、電子マネー記憶部81に記憶される電子マネーの額が0以外の場合も、その額とリモコン入金/精算機31からの電子マネーの額とを加算した新たな額が、電子マネー記憶部81にチャージされる。このときのリモコン入金/精算機31への最大入金金額は紙幣入力部123で任意に設定でき、必要以上の電子マネーがリモコン3にチャージできない構成になっている。
【0062】
この後、電子マネーをチャージしたリモコン3を病床の課金装置13に向けて、送金キー66を押動操作すると、通信を確立したリモコン3と課金装置13の双方で識別子による認証が行われる。リモコン3の識別子制御処理部87は、識別子記憶部83に記憶される課金装置識別子の値がクリアされている初期状態で、課金装置13の識別子記憶部88から課金装置識別子の値を読み込み、この値を識別子記憶部83に上書き更新して記憶させる。同様に課金装置13の識別子制御処理部104は、識別子記憶部98に記憶されるリモコン識別子の値がクリアされている初期状態で、リモコン3の識別子記憶部83からリモコン識別子の値を読み込み、この値を識別子記憶部98に上書き更新して記憶させる。これ以降、リモコン制御部75は、識別子記憶部83に記憶される課金装置識別子の値がクリアされるまで、認証した特定の課金装置13だけとデータのやり取りを許可し、それ以外の課金装置13との間のデータのやり取りを禁止する。また、課金装置制御部91も、識別子記憶部98に記憶されるリモコン識別子の値がクリアされるまで、認証した特定のリモコン3だけとデータのやり取りを許可し、それ以外のリモコン3との間のデータのやり取りを禁止する。
【0063】
次いで、課金装置13の患者情報制御処理部105は、患者情報記憶部99に患者情報が記憶されていない初期状態で、リモコン3の患者情報記憶部84から、そのリモコン3を使用する患者固有の患者情報を読み込み、これを患者情報記憶部99に上書き記憶させる。このとき患者情報制御処理部105は、識別子記憶部83に記憶される課金装置識別子と、患者情報記憶部99に記憶される患者情報と、好ましくは識別子記憶部83に記憶されるリモコン識別子とを、無線送受信部100を通してセンター装置45に新たな認証情報として送出する。これを受けてセンター装置45では、センター装置45に既に登録記憶される複数の患者情報の中に、送られてきた新たな認証情報に含まれる患者情報が存在するか否かを確認し、その存在を確認した患者情報と、新たな認証情報に含まれる課金装置識別子およびリモコン識別子とを関連付けたデータ(関連付けデータ)を記憶保存する。これ以降、センター装置45は、現時点で病床にいる患者がどの課金装置13とリモコン3を利用しているのかを、関連付けデータから正しく把握することができる。
【0064】
こうして、リモコン3と課金装置13との間で認証が行われ、続いてリモコン3に記憶された患者情報がセンター装置45側で照合されると、リモコン3の電子マネー記憶部81にチャージされる電子マネーが課金装置2に移行される。これを受けて課金装置13の電子マネー制御処理部102は、電子マネー記憶部96に記憶される電子マネーの額と、リモコン3からの電子マネーの額を加算し、その結果を新たな電子マネーの額として電子マネー記憶部96に記憶保持させる。またリモコン3の電子マネー制御処理部85は、この加算した分をそれまで電子マネー記憶部81にチャージされていた電子マネーから減算し、その結果を新たな電子マネーとして電子マネー記憶部81に記憶保持させる。
【0065】
例としてステップS1では、識別装置識別子の値がクリアされた初期状態のリモコン3に、5000円分の電子マネーがチャージされている。このリモコン3を、リモコン識別子の値がクリアされた初期状態の課金装置13に向け、電子マネーの移行のために送金キー66を押動操作すると、ステップS1’において、リモコン3と課金装置13の双方で識別子の確認が行われ、課金装置2に固有の課金装置識別子として、その課金装置2から読み出したID番号「101」がリモコン3の識別子記憶部83に記憶される一方で、リモコン3に固有のリモコン識別子として、そのリモコン3から読み出したID番号「001」が、課金装置13の識別子記憶部98に記憶される。
【0066】
また、初期状態では課金装置13の電子マネー記憶部96に記憶される電子マネーの額は0なので、課金装置13の電子マネー制御処理部102は、リモコン3にチャージされている電子マネーの額である5000円を、そのまま新たな電子マネーの額として加算し、電子マネー記憶部96に記憶保持させる。これと共に、リモコン3にチャージされる電子マネーの額は減算されて0円となる。
【0067】
こうして、課金装置13の電子マネー記憶部96に必要な額の電子マネーが記憶保持されると、課金装置13の機器制御処理部101からテレビ12のテレビ動作制御部22に動作許可信号が送出され、その電子マネーの額が0になるまでテレビ12を利用できる。これにより、オフ状態のテレビ7に向けてリモコン3の電源キー51を押動操作すると、テレビ12は機器制御処理部101からの動作許可信号により直ちに起動し、テレビ放送の視聴が可能になる。また課金装置13の電子マネー制御処理部102は、テレビ動作検出部21からの検出信号を受けて、テレビ12の動作する使用時間を算出し、その使用時間に応じて電子マネー記憶部96に記憶される電子マネーの値を減算する。この新たな電子マネーの値は電子マネー記憶部96にその都度上書き更新され、残金表示器26に常時表示される。電子マネーの値が0になると、機器制御処理部101からテレビ動作制御部21に動作禁止信号が送出され、リモコン3やテレビ12をいかに操作しても、テレビ12は動作不可能になる。
【0068】
冷蔵庫14の利用は、リモコン3の冷蔵庫予約キー67と冷蔵庫予約戻しキー68を用いる。課金装置13の電子マネー制御処理部102は、冷蔵庫予約キー67が押動操作される毎に、冷蔵庫14の所定期間(例えば1日)の利用料金(例えば200円)に相当する額を、電子マネー記憶部96にチャージされる電子マネーから差し引いて更新記憶する。これにより、冷蔵庫予約キー67の押動回数に比例した利用料金が先に差引かれ、その利用料金に応じた所定期間中に、冷蔵庫14への電源供給が可能となる。一方、冷蔵庫予約戻しキー68を押動操作すると、残った利用料金が電子マネーに戻されて、電子マネー記憶部96に更新記憶される。冷蔵庫14を利用できる期間は、課金装置14の日数表示器25に常時表示され、機器制御処理部101は利用料金が0になるまで、冷蔵庫14の利用を可能にする動作許可信号を送出し、利用料金が0になると、冷蔵庫14の利用を禁止する動作禁止信号を送出する。なお、ここでの冷蔵庫14は、先に利用料金を差し引く予約課金としているが、テレビ12のように実際の動作時間に応じて利用料金を決定する従量課金としてもよい。逆に、テレビ7を予約課金としてもよい。
【0069】
こうした課金対象機器の利用に伴い、電子マネー記憶部96の電子マネーが更新記憶される毎に、課金装置13の電子マネー制御処理部102は、その更新された電子マネーと、当該課金装置13を特定する課金装置識別子とを、無線送受信部100を通してセンター装置45に利用者課金情報として送出する。各課金装置13の電子マネー記憶部96に記憶される電子マネーは、患者がリモコン入金/精算機31でチャージした額から使用していない現時点の未払い残高に相当するので、これを課金装置識別子と共にセンター装置45にその都度送出すれば、センター装置45側では新たな認証情報に含まれる患者情報と課金装置識別子との関連付けから、全ての患者について、現段階で個人毎にどの程度の未払い残高があるのかを速やかに、かつ確実に集計できる。
【0070】
課金装置13の電子マネー残金が不足した場合は、再度リモコン入金/精算機31を利用してリモコン3に電子マネーを補充する。例えばステップS2に示すように、リモコン入金/精算機31によりリモコン3に3000円分の電子マネーをチャージし、このリモコン3を病床の課金装置13に向けて送金キー56を押動操作すると、ステップS1,S1’において認証済のリモコン3と課金装置13との間で、電子マネーのデータ移行が可能になる。この場合、例として課金装置13に1000円の電子マネーが残っていれば、ステップS2’のように、課金装置13の電子マネー記憶部86に記憶保持される電子マネーの額は4000円となる一方で、リモコン3にチャージされる電子マネーの額は3000円減算されて0円となる。
【0071】
一方、ステップS3のように、リモコン識別子として例えば「004」のID番号を有する別なリモコン3を、「001」のID番号を有するリモコン3との間で認証が行われた後の課金装置13に向けて、送金キー66を押動操作しても、リモコン3と課金装置13の双方に記憶されるリモコン識別子と課金装置識別子が共に一致しない限り、その間でデータのやり取りは行われない。またステップS4のように、「101」のID番号を有する課金装置13との間で認証が行われた後のリモコン3を、別な病床に設置された「102」のID番号を有する課金装置13に向けて、送金キー66を押動操作しても、やはりリモコン3と課金装置13の双方に記憶されるリモコン識別子と課金装置識別子が共に一致せず、その間でデータのやり取りは行われない。したがって、これらの場合はリモコン3と課金装置13との間で電子マネーの移行は不可能となる。
【0072】
本実施形態では、電子マネーによるテレビ12の有料視聴とは別に、センター装置45からの告知情報として、決められた時間に送信される精算要求や消灯時間案内の他に、不定期な緊急時の一斉告知や、患者毎に検査の時間や内容などを知らせる必要事項が、無線手段49を利用してテレビ12から無料視聴できる。例えば図2では、患者に対する必要事項として、患者の氏名を知らせる「ヤマダ ハナコ様」と、検査時間や内容を知らせる「本日午後3時より胃カメラの検査があります。」を、テレビ12の画面上に文字表示させている。
【0073】
こうした必要事項を告知するために、センター装置45は、装置本体46に記憶する全ての患者情報の中で、患者名が「ヤマダ ハナコ」である患者情報を選択し、その患者情報と関連付けられた課金装置識別子から、「ヤマダ ハナコ様」が使用する課金装置13を特定する。そして、センター装置45からこの特定した課金装置13にのみ、上述の必要事項のデータが送出され、記憶部に記憶される。課金装置13は、センター装置45からの必要事項のデータを、記憶部にその都度記憶することができ、リモコン3のSD切替キー53を押動操作することで、記憶部の中から選択した一つの必要事項を、テレビ12に表示させることができる。
【0074】
変形例として、上述のテレビ12から告知情報を報知するインフォメーションサービス時に、センター装置45から必要に応じて、テレビ12の電源を課金装置13に優先して制御することも可能である。これは、地震や火災などの緊急時の一斉告知に有効であり、センター装置45からの制御信号により、リモコン3の操作なしにテレビ12の電源を強制的にオンにして、緊急性の高い告知情報をテレビ12の画面に優先的に表示させることができる。
【0075】
また、緊急性のない告知情報は課金装置13の記憶部に一旦記憶させて、リモコン3の電源キー51を押してテレビ12の視聴を開始したときに、そこからテレビ12の画面に告知情報を一定時間表示させてもよい。告知情報の視聴確認は、リモコン3の決定キー61を押せばよく、それによりテレビ12の表示を以前のリモコン3による設定状態に戻すことができる。この場合、モコン3の電源キー51を再度押して、テレビ12の電源をオフにすれば、告知情報の表示もオフになり、視聴中は視聴画面となる。代わりに、リモコン3の電源キー51を再度押して、テレビ12の電源をオフすることで、前述した告知情報の視聴確認と見なすことも可能である。
【0076】
なお、入院中に患者が床頭台11を残したまま、リモコン3を持って別の病床に移動する場合や、退院する場合は、リモコン3をそれまで使用した課金装置13に向けて、退院キー64を押動操作すると、電子マネー記憶部96に記憶する電子マネーの残額がリモコン3に戻される。つまり、図11のステップS11に示すように、課金装置13の電子マネー制御処理部102は、電子マネー記憶部96に記憶する電子マネーの残額(1500円)をリモコン3に送り出して、電子マネー記憶部96を0円に更新記憶させ、これを受けてリモコン3の電子マネー制御処理部85は、電子マネー記憶部81に記憶される電子マネーの額(0円)と、課金装置13からの電子マネーの残額を加算し、その結果である1500円を新たな電子マネーの額として電子マネー記憶部81に記憶保持させる。また、このときに電子マネー制御処理部102は、更新された電子マネーの額(=0円)と、当該課金装置13を特定する課金装置識別子とを、センター装置45に利用者課金情報として送出する。
【0077】
さらに、センター装置45側で課金装置13と患者情報との関連付けを解除して初期化するために、当該課金装置13の患者情報制御処理部105は、患者情報記憶部99に記憶される患者情報と、識別子記憶部98に記憶される課金装置識別子およびリモコン識別子との関連付けを解除する指令信号を、無線送受信部100を通してセンター装置45に送出する。
【0078】
それに加えてリモコン3と課金装置13は、互いの認証を解除するのに、リモコン3の識別子記憶部83に記憶される課金装置識別子の値を、識別子制御処理部87によってクリアし、また課金装置13の識別子記憶部98に記憶されるリモコン識別子の値を、識別子制御処理部104によってクリアし、患者情報記憶部99に記憶される患者情報を、患者情報制御処理部105によってクリアする。これによりそれまで使用した課金装置13は、リモコン識別子のID番号と電子マネーの残額と患者情報が何れも初期化クリアされ、次の患者の利用が可能になる。ステップS11’は、課金装置13からリモコン3に電子マネーが戻され、リモコン3に記憶される課金装置識別子と、課金装置13に記憶されるリモコン識別子が共にクリアされた状態が示されている。
【0079】
上述した動作は、退院キー64を短時間で押した場合には受け付けず、長押しした場合にのみ受け付ける構成としてもよい。これにより、退院キー64の誤操作を防ぐことができる。また、リモコン3と課金装置13との認証を解除せず、課金装置13からリモコン3の電子マネーの残額だけを戻す場合には、返金キー65を押動操作する。この場合、返金キー65を短時間で押す毎に、テレビ7と冷蔵庫8の利用可能残時間に対応した電子マネーの全残額から、一定額(例えば100円)の電子マネーがリモコン3に戻され、返金キー65を長押しすると、電子マネーの全残額がリモコン3に戻される。こうしてリモコン3に戻された電子マネーは、テレビ12や冷蔵庫14以外の例えばコインランドリーに設置した課金対象機器に利用できる。
【0080】
なおステップS11で、別の認証されていないリモコン3を課金装置13に向けて、退院キー64を押動操作しても、上述したようにリモコン3と課金装置13との間でデータのやり取りは行われず、課金装置13の残金をリモコン3に戻すことは不可能となる。このように、課金装置13の残金は他の病床で使用するリモコン3では使用できないので、患者が病床を離れる場合に、リモコン3の保管さえ注意すれば、カード式のような盗難を防ぐことができる。
【0081】
こうして、電子マネー以外でリモコン3や課金装置13やセンター装置45の初期化を行なった後に、患者が別な病床に移動する場合は、そのリモコン3を持って行くだけでよい。つまり、別な病床の課金装置13に、それまで使用していたリモコン3を向けて、送金キー66を押すだけで、上述した手順で移動後の課金装置13とリモコン3との関連付けがなされ、リモコン3に残っている電子マネーで、テレビ12や冷蔵庫14を引き続き利用できる。こうして、患者が病床を移動する場合でも、自身の患者情報が記憶されているリモコン3を、移動先の課金装置13に向けてキー操作すれば、センター装置45で患者情報と新たな課金装置識別子との関連付けが簡単かつ確実に行なわれ、引き続き移動先でもセンター装置45から特定の患者に対して、患者への必要事項などの告知情報を、新たな課金装置13に制御されるテレビ12を通して正確に視聴できる。
【0082】
また、退院時には患者がリモコン3をリモコン入金/精算機31のリモコン挿入口32に挿入し、精算ボタン34を押動操作すると、そのリモコン3の電子マネー記憶部81に記憶される電子マネーから、現金として支払うべき残金額が電子マネー制御処理部133で算出され、その残金額に相当する硬貨が、残金出金部124を通して硬貨払出口37に排出される。そしてステップS12に示すように、リモコン3の電子マネー記憶部81に記憶される電子マネーは0になり、リモコン3は電子マネーを含めて前記ステップS0における初期状態に戻る。こうして患者は、リモコン入金/精算機31を利用して、リモコン3内の電子マネーを現金化することができ、その後の初期化されたリモコン3は、再びリモコン入金/精算機31の内部に収納される。
【0083】
上述した入金から出金までの一連の動作で、リモコン3の履歴情報記憶部82には、課金装置13や、リモコン入金/精算機31との間の電子マネーによる入出金処理の日付時刻や金額が、そのリモコン3のリモコン履歴情報として記憶される。なお、リモコン履歴情報の記憶件数は適宜変更可能である。これにより、各リモコン3を通した電子マネーの入出金履歴が個別に確認できる。
【0084】
また課金装置13の履歴情報制御処理部97は、特定のリモコン3との間でデータのやり取りができる間に、テレビ12や冷蔵庫14が何時どの程度の金額利用されたのかを機器履歴情報として履歴情報記憶部97に記憶させており、この機器履歴情報は前記ステップS11’で課金装置13からリモコン3の履歴情報記憶部82に転送され、さらにステップS12でリモコン入金/精算機31の全履歴情報記憶部130に転送される。特にリモコン入金/精算機31の履歴情報制御処理部134は、リモコン3をリモコン挿入口32に装着した状態で、精算ボタン34が操作される毎に、そのリモコン3の履歴情報記憶部82に保存される履歴情報を全履歴情報記憶部130に転送するので、各病床に設置した課金装置13の全ての売り上げがリモコン入金/精算機31で把握でき、リモコン入金/精算機31によるインフォメーションシステム1の統合管理が可能となる。
【0085】
なお、患者が上述した出金処理を行なわずに退院した場合には、課金装置13が初期化されず、そのままでは次の利用が不可能になる。そこで、どの課金装置2にもデータのやり取りが可能な保守リモコン(図示せず)を備え、この保守リモコンで課金装置13の電子マネーを回収し、且つ課金装置13を初期化させることで、次の利用を可能にする。
【0086】
その他、図4に示す変形例では、入院患者以外の外来患者にリモコン3が貸出されないように、リモコン貸出機2の患者情報制御処理部112が診察券5から患者固有の患者情報を読取る毎に、通信手段49Bを通してその患者情報をセンター装置45に送出する。センター装置45がデータ保持する電子カルテには、各患者について入院を要する患者(入院患者)であるか否かが記録されており、リモコン貸出機2から送られてきた患者情報と電子カルテとの比較から、その患者情報に対応する患者が入院患者であれば、通信手段49Bを通してリモコン貸出機2に許可信号を送出し、そうでなければ(例えば外来患者であれば)、通信手段49Bを通してリモコン貸出機2に禁止信号を送出する。これを受けてリモコン貸出機2の患者情報制御処理部112は、許可信号を受け取った場合にのみ、患者情報を書き込んだリモコン3を排出させる一方で、禁止信号を受け取った場合は、リモコン3を排出させないようにすることで、外来患者などがリモコン3を利用するのを確実に防止できる。
【0087】
また、別な通信手段49Cを利用して、患者が入院する毎にリモコン貸出機2からリモコン3を一台だけ貸出すこともできる。この場合、患者情報制御処理部112は、リモコン貸出機2で診察券5から患者固有の患者情報を読取ると、若しくはセンター装置45からの許可信号を受けて、その患者情報が記憶部(図示せず)に既に記憶されているか否かを判定する。仮に記憶部に同じ患者情報が記憶されていなければ、その患者は他にリモコン3を貸し出していないと判断して、当該患者情報を書き込んだリモコン3を排出させ、当該患者情報をリモコン貸出済情報として記憶部に記憶する。一方、記憶部に同じ患者情報すなわちリモコン貸出済情報が記憶されていれば、既に別なリモコン3が貸し出されていると判断して、リモコン3を排出させない。これにより、既にリモコン3を貸出した患者に対して、別なリモコン3が貸出されるのを確実に防止できる。
【0088】
その後、退院時にリモコン入金/精算機31を利用して出金処理を行なうと、リモコン3に記憶されていた患者固有の患者情報が、通信手段49Cを通してリモコン貸出機2に送出され、リモコン貸出機2の患者情報制御処理部112は、リモコン入金/精算機31からの患者情報と同じ患者情報すなわちリモコン貸出済情報を記憶部から削除する。これにより、次にその患者が再入院する際に、リモコン貸出機2を利用して患者情報が書き込まれたリモコン3を貸出すことが可能となる。
【0089】
その他、本実施形態のインフォメーションシステム1では、リモコン3や課金装置13にチャージされた電子マネーを利用して、売店やコンビニエンスストアなどに物品を注文する際に、入院患者がどの課金装置13ひいては病床にいるのかを個々に特定できるため、その都度手入力などを行なわなくても、誰が何を注文したのかを一元的に管理できる。また、注文された物品を病床にいる患者の元に配達することもできる。
【0090】
以上のように、本実施形態のインフォメーションシステム1は、携帯可能な遠隔操作体であるリモコン3と、診察券5から読み出した利用者となる患者を特定する利用者情報としての患者情報を、リモコン3に記憶させて、そのリモコン3を外部に排出する利用者情報転送機としてのリモコン貸出機2と、各患者の患者情報を一元管理するセンター装置45に対して、病院施設内で各々が通信可能に設置され、制御対象として少なくとも報知装置となるテレビ12を有する複数の端末装置に相当する課金装置13と、を備えている。そしてリモコン3は、リモコン3に固有の識別子であるリモコン識別子に加えて、課金装置13からの固有の端末識別情報である課金装置識別子を記憶する第1の識別子記憶部としての識別子記憶部83と、リモコン3への操作により、通信が確立した課金装置13に固有の課金装置識別子の値を読み込んで、この課金装置識別子の値を識別子記憶部83に記憶させ、当該課金装置識別子の値がクリアされるまでは、その課金装置識別子の値を有する課金装置13だけとデータのやり取りを許可する第1の識別子制御処理部としての識別子制御処理部87と、を有し、課金装置13は、課金装置識別子に加えて、リモコン3からのリモコン識別子を記憶する第2の識別子記憶部としての識別子記憶部98と、リモコン3の操作により、通信が確立したリモコン3に固有のリモコン識別子の値を読み込んで、このリモコン識別子の値を識別子記憶部98に記憶させ、当該リモコン識別子の値がクリアされるまでは、そのリモコン識別子の値を有するリモコン3だけとデータのやり取りを許可する第2の識別子制御処理部としての識別子制御処理部104と、識別子制御処理部104がリモコン3からのリモコン識別子を識別子記憶部98に記憶させると、そのリモコン3の患者情報記憶部84に記憶された患者情報を取り込んで、その患者情報と、識別子記憶部98に記憶される課金装置識別子およびリモコン識別子とを、センター装置45に新たな認証情報として送出する第1送出部としての患者情報制御処理部105と、この新たな認証情報を受けて、センター装置45が当該新たな認識情報に含まれる患者情報と課金装置識別子およびリモコン識別子との関連付けを行なった後に、センター装置45から特定の課金装置13に告知情報が送出されると、その課金装置13が制御するテレビ12に告知情報を出力させる報知制御部としての機器制御処理部101と、を有して構成される。
【0091】
この場合、予めリモコン貸出機2を利用して、利用者の診察券5から読み出した患者情報をリモコン3に転送記憶させておけば、後は患者が課金装置13の利用開始時にリモコン3を操作するだけで、リモコン3からの患者情報とその課金装置13に固有の課金装置識別子が、新たな認証情報として課金装置13の患者情報制御処理部105からセンター装置45に自動的に送出され、センター装置45側で利用者情報と課金装置識別子の関連付けが迅速に行われる。そのため、患者が病床などを移動する場合でも、自身の患者情報が記憶されたリモコンを、移動先の課金装置13に対して操作すれば、課金装置13にカードを挿入する手間を省いて、患者情報と課金装置識別子の関連付けを簡単かつ確実に行なうことができ、センター装置45から特定の患者に対して告知情報を正確に通知することが可能になる。
【0092】
また、本実施形態のリモコン3は、患者の例えばテレビ12や冷蔵庫14の利用金額に相当する電子マネーをチャージする第1の電子マネー記憶部としての電子マネー記憶部81を有し、課金装置13は、電子マネーを記憶する第2の電子マネー記憶部としての電子マネー記憶部96と、患者情報制御処理部105がセンター装置45に新たな認証情報を送出すると、リモコン3の電子マネー記憶部81にチャージされた電子マネーを、課金装置13の電子マネー記憶部96に移行させて、その電子マネー記憶部96に電子マネーが更新記憶される毎に、当該電子マネーと識別子記憶部98に記憶する課金装置識別子とを、センター装置45に利用者課金情報として送出し、電子マネーの額が0になるまで課金装置13の課金対象機器としての、例えばテレビ12や冷蔵庫14を利用可能にする第2送出部としての電子マネー制御処理部102をさらに備えている。
【0093】
この場合、患者が使用する電子マネーの未払い残高が、課金装置13の記憶部に記憶更新される毎に、その電子マネーと課金装置13を特定する課金装置識別子がセンター装置45に送出されるため、センター装置45側では新たな認証情報に含まれる利用者情報と課金装置識別子との関連付けから、全ての利用者について、現段階で個人毎にどの程度の未払い残高があるのかを速やかに、かつ確実に集計できる。
【0094】
また本実施形態では、センター装置45および複数の課金装置13−1〜13−nの間で、ダイナミックルーティングによる有線や無線での通信を可能にする通信手段49Aをさらに備えている。センター装置45および複数の課金装置13−1〜13−nの相互間で、通信に微弱な電波を使用した場合でも、通信手段49がダイナミックルーティング方式により最適な経路を自動的に選択して、どの課金装置13−1〜13−nであっても全体にセンター装置45と通信が可能となる。また、課金装置13の電源を遮断した場合でも、残っている通信可能な課金装置13間で自動的に別な経路を作成することができ、より確実な通信が可能になる。
【0095】
以上、本発明の実施形態について説明したが、当該実施形態はあくまでも一つの例示に過ぎず、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置換、変更が可能である。例えば、上述した課金システム1を、例えば病院以外の診察券5を必要とする診療所や各種施設に適用させることも可能である。また、告知情報を報知出力する報知装置として、テレビ12以外に音声出力装置などを利用してもよい。さらに、課金装置13と通信が可能なリモコン3以外の遠隔操作体を用いてもよく、第1送出部や第2送出部の名称なども、適宜変更して構わない。
【符号の説明】
【0096】
2 リモコン貸出機(利用者情報転送機)
3 リモコン(遠隔操作体)
5 診察券
12 テレビ(報知装置、課金対象機器
13 課金装置(端末装置)
14 冷蔵庫(課金対象機器)
45 センター装置
49A 通信手段
81 電子マネー記憶部(第1の電子マネー記憶部
83 識別子記憶部(第1の識別子記憶部)
87 識別子制御処理部(第1の識別子制御処理部)
96 電子マネー記憶部(記憶部、第2の電子マネー記憶部
98 識別子記憶部(第2の識別子記憶部)
101 機器制御処理部(報知制御部)
102 電子マネー制御処理部(第2送出部)
104 識別子制御処理部(第2の識別子制御処理部)
105 患者情報制御処理部(第1送出部)
図1
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図11