特許第6529968号(P6529968)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6529968X線格子位相コントラストイメージング装置及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6529968
(24)【登録日】2019年5月24日
(45)【発行日】2019年6月12日
(54)【発明の名称】X線格子位相コントラストイメージング装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/00 20060101AFI20190531BHJP
   A61B 6/06 20060101ALI20190531BHJP
   G01N 23/041 20180101ALI20190531BHJP
【FI】
   A61B6/00 330Z
   A61B6/00 300J
   A61B6/06 331
   G01N23/041
【請求項の数】16
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2016-528887(P2016-528887)
(86)(22)【出願日】2014年1月22日
(65)【公表番号】特表2016-535642(P2016-535642A)
(43)【公表日】2016年11月17日
(86)【国際出願番号】CN2014071096
(87)【国際公開番号】WO2015066977
(87)【国際公開日】20150514
【審査請求日】2016年5月9日
【審判番号】不服2018-3731(P2018-3731/J1)
【審判請求日】2018年3月15日
(31)【優先権主張番号】201310557196.X
(32)【優先日】2013年11月11日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】505383316
【氏名又は名称】中国科学技▲術▼大学
【氏名又は名称原語表記】UNIVERSITY OF SCIENCE AND TECHNOLOGY OF CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ヤリン・ル
(72)【発明者】
【氏名】ヤンチャオ・ティアン
(72)【発明者】
【氏名】高 昆
(72)【発明者】
【氏名】▲劉▼ ▲剛▼
(72)【発明者】
【氏名】王 志立
【合議体】
【審判長】 伊藤 昌哉
【審判官】 渡戸 正義
【審判官】 三木 隆
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−150875(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/111050(WO,A1)
【文献】 特表2010−502977(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B6/00-6/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
線源発射器(31)、線源格子(G0)、ビームスプリッティング格子(G1)、分析格子(G2)および検出器(32)を備え、
当該線源格子(G0)、ビームスプリッティング格子(G1)、分析格子(G2)及び検出器(32)は、線源発射器(31)の伝搬経路に順に設けられ、
前記ビームスプリッティング格子(G1)は、周期が30〜50μmであり、アスペクト比が20以下であり、
物体(33)を前記ビームスプリッティング格子(G1)の直後に密着して前記分析格子(G2)に向くように置いてイメージングし、
前記ビームスプリッティング格子(G1)のデューティ比は、0.2〜0.4であることを特徴とするX線格子位相コントラストイメージング装置。
【請求項2】
前記線源発射器(31)は、硬X線光源であることを特徴とする請求項1に記載のX線格子位相コントラストイメージング装置。
【請求項3】
前記硬X線光源のエネルギーは、60keVより大きいことを特徴とする請求項2に記載のX線格子位相コントラストイメージング装置。
【請求項4】
前記線源格子(G0)、ビームスプリッティング格子(G1)及び分析格子(G2)は、いずれも吸収格子であることを特徴とする請求項1に記載のX線格子位相コントラストイメージング装置。
【請求項5】
前記ビームスプリッティング格子(G1)のサイズは、100mm×100mmより大きいことを特徴とする請求項1に記載のX線格子位相コントラストイメージング装置。
【請求項6】
前記ビームスプリッティング格子(G1)から前記分析格子(G2)までの距離は、1〜2mであることを特徴とする請求項1に記載のX線格子位相コントラストイメージング装置。
【請求項7】
前記格子(G0、G1、G3)は、いずれも曲面格子であり、イメージングの視野範囲内に正入射条件を常に満たすことを特徴とする請求項1に記載のX線格子位相コントラストイメージング装置。
【請求項8】
前記ビームスプリッティング格子(G1)、分析格子(G2)は、いずれも2次元の格子であることを特徴とする請求項1に記載のX線格子位相コントラストイメージング装置。
【請求項9】
線源格子(G0)、ビームスプリッティング格子(G1)、分析格子(G2)及び検出器(32)を線源発射器(31)の伝搬経路に順に設けるステップと、
物体(33)をビームスプリッティング格子(G1)の直後に密着して、分析格子(G2)に向くように置くステップと、
線源格子(G0)が線源発射器(31)からのビームソースを複数の独立なビームソースに分け、ビームスプリッティング格子(G1)が分析格子(G2)の平面に光強度アレイを生じ、物体(33)のビームソースに対する屈折により強度アレイが横方向に移動し、分析格子(G2)によって検出され、検出器(32)で記録可能な強度変化に変換するステップと、を含み、
前記ビームスプリッティング格子(G1)は、周期が30〜50μmであり、アスペクト比が20以下であり、
前記ビームスプリッティング格子(G1)のデューティ比は、0.2〜0.4であることを特徴とするX線格子位相コントラストイメージング方法。
【請求項10】
前記線源発射器(31)は、硬X線光源であることを特徴とする請求項に記載のX線格子位相コントラストイメージング方法。
【請求項11】
前記硬X線光源のエネルギーは、60keVより大きいことを特徴とする請求項10に記載のX線格子位相コントラストイメージング方法。
【請求項12】
前記線源格子(G0)、ビームスプリッティング格子(G1)及び分析格子(G2)は、いずれも吸収格子であることを特徴とする請求項に記載のX線格子位相コントラストイメージング方法。
【請求項13】
前記ビームスプリッティング格子(G1)のサイズは、100mm×100mmより大きいことを特徴とする請求項に記載のX線格子位相コントラストイメージング方法。
【請求項14】
前記ビームスプリッティング格子(G1)から前記分析格子(G2)までの距離は、1〜2mであることを特徴とする請求項に記載のX線格子位相コントラストイメージング方法。
【請求項15】
前記格子(G0、G1、G3)は、いずれも曲面格子であり、イメージングの視野範囲内に正入射条件を常に満たすことを特徴とする請求項に記載のX線格子位相コントラストイメージング方法。
【請求項16】
前記ビームスプリッティング格子(G1)、分析格子(G2)は、いずれも2次元の格子であることを特徴とする請求項に記載のX線格子位相コントラストイメージング方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医用イメージング、非破壊検査、公共セキュリティチェックなどの技術分野に関し、具体的には、X線格子位相コントラストイメージング装置及び方法に関し、特に、大視野、高コントラスト、低線量の硬X線格子位相コントラストイメージング装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のX線イメージング技術において、画像コントラストは、物体のX線に対する吸収性質の相違から由来する。このため、このような技術は、金属、骨などの重元素からなる物体をイメージングする際に、非常に高い画像コントラストを取得することができる。しかしながら、主に炭素、水素、酸素などの軽元素からなる物体(例えば、人体組織、有機重合体材料など)をイメージングする際に、画像コントラストが低くて、有用な物体情報を取得することができない。
【0003】
伝統的な吸収コントラストイメージングに対して、X線位相コントラストイメージング技術は、主に炭素、水素、酸素などの軽元素からなる物体をイメージングする際に、非常に高い画像コントラストを取得することができる。硬X線の波長帯域(10〜100keV)において、炭素、水素、酸素などの元素について、その屈折率の位相項はその吸収項の約1000倍である(非特許文献1参照)。このため、軟部組織などの弱い吸収物質について、X線が物体を透過するときの位相シフト情報の測定は、振幅の減衰情報の検出よりも効果的である。X線位相コントラストイメージング技術は、X線が物体を透過した後の位相の変化量(即ち、位相シフト)を記録することによって画像コントラストを形成するイメージング技術であり、伝統的な吸収コントラストイメージングに比べて、位相コントラストイメージングは、より高い画像コントラスト、より低い放射線量を取得することができる。1990年代中期以来、理論及び試験方法の発展に伴い、X線位相コントラストイメージング技術は、医学、生物学、材料学などの複数の分野の探索研究に広く適用されている。
【0004】
現在、硬X線位相コントラストイメージング方法は、主として、以下の4つの種類を有する:結晶干渉計イメージング(非特許文献2及び非特許文献3参照)、格子位相コントラストイメージング(非特許文献4及び非特許文献5参照)、回折向上イメージング(非特許文献6及び非特許文献7参照)、位相伝搬イメージング(非特許文献8及び非特許文献9参照)。その中で、結晶干渉計イメージング方法には、同期放射光源が要求され、イメージング視野が数cmのみであり、イメージング装置の安定性が要求されるため(入射X線の波長のレベル)、臨床医学イメージングに適用されることができない。回折向上イメージング方法には、照明X線の単色性およびコリメート性が要求され、現在では主に同期放射光源において行われ、イメージング視野が結晶のサイズによって限られ、数cmのみであるため、臨床医学診断などの分野の要求を満たせない。位相伝搬イメージング方法には、照明X線の空間コヒーレンスが要求され、常用なX線光源を利用できず、イメージング視野も数cmのみであるため、臨床医学イメージングなどの分野に普及されることができない。
【0005】
2006年に、Talbot‐Lau(タルボ・ロー)干渉計の提出によって、硬X線位相コントラストイメージングの臨床適用に希望を持ってきた。Talbot‐Lau干渉計のイメージング原理は、X線位相格子による分数Talbot自己イメージング効果である。図1に示すように、空間部分のコヒーレントX線の照射によって、位相格子G1の後ろのいくつかの特定な距離には、その回折強度分布は横方向に周期的に変化しており、この現象は分数Talbot自己イメージングと呼ばれ、相応的な距離は分数Talbot距離と呼ばれる。その中、空間部分のコヒーレント照明には、位相格子G1の周期が照明X線の空間コヒーレントの長さ以下であることが要求される。
【0006】
図2に示すように、Talbot‐Lau干渉計は、X線光源21、線源格子G0、位相格子G1、吸収格子G2および検出器22から構成されている。位相格子G1の位相シフトはπであり、周期p1が照明X線の空間コヒーレントの長さLsより小さい必要がある。
Ls=λL/s
【0007】
ただし、λは照明X線の波長であり、λ≦0.1nmであり、sは照明X線光源のサイズである。Talbot‐Lau干渉計において、空間コヒーレントの長さLsが数μmのみであるため、位相格子G1の周期p1は数μmのみである。吸収格子G2の周期p2は、位相格子G1自己イメージングの周期と等しく、数μmのみである。G1とG2との間隔は、位相格子G1のある次数の分数Talbot距離Dnと等しい。
【0008】
【数1】
【0009】
ただし、nは1、3、5などの正奇数であり、Talbotの次数と呼ばれる。
【0010】
Talbot‐Lau干渉計には、照明X線の単色性があまり要求されず、多色の常用なX線光源と組み合わせて位相コントラストイメージングを実現することができる。しかしながら、Talbot‐Lau干渉計装置には、原理及び方法の制約性があり、高エネルギー、大視野のイメージングを実現できず、実際に臨床医学診断などの分野に適用されることができない。
【0011】
一方、Talbot‐Lau干渉計装置は、高エネルギー(>60keV)のイメージングを実現することができない。上記のように、Talbot‐Lau干渉計が、分数Talbot自己イメージング原理に基づくものであり、空間部分のコヒーレント照明が要求されるため、格子(G1とG2)の周期は、照明X線の空間コヒーレントの長さによって限られ、数μmのみである(試験的な典型値は2〜8μmである)。臨床医学診断などの応用において、動物、人体などの厚い試料を(数十cm)イメージングする必要があり、照明X線が十分に高いエネルギーを有し、高い透過率を保証することが必要である。例えば、照明X線のエネルギーが30keVである場合、水における透過の深さが3cmのみである。X線のエネルギーが60keVとなると、水における透過の深さが34cmとなる。このため、臨床医学診断には、照明X線のエネルギーが60keV以上であることが必要であり、これにより、十分に高いX線の透過率を保持することができる。このような高いエネルギー範囲において、90%以上のX線の吸収率を実現するために、吸収格子(G2)における強い吸収材料(金、鉛など)の高さが数百μm以上である必要がある。金を例とすれば、照明X線のエネルギーが80keVである場合、格子の刻線高さが545μm以上であることが要求される。これにより、格子のアスペクト比(刻線の高さと幅との比)が数十乃至数百以上である。従来の微細加工技術では、このような設計要求を実現することができない。これは、Talbot‐Lau干渉計イメージング装置が臨床医学診断などの適用に克服できない課題である。
【0012】
また、Talbot‐Lau干渉計には、μm周期の格子が要求され、現在では、数十mmのサイズの物体に対するイメージングのみを実現でき、大視野(>100×100mm)のイメージングを実現することができない。以上のように、現在では、Talbot‐Lau干渉計は実験室研究に限られ、臨床医学イメージングなどの実際な適用分野に普及されることができない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】Momose A、Fukuda J、「Phase contrast radiographs of nonstained rat cerebellar specimen」、Med.Phys.22、375(1995)
【非特許文献2】Bonse U、Hart M、「An X−ray interferometer」、Appl.Phys.Lett.6、155(1965)
【非特許文献3】Momose A、Takeda T、Itai Y、「Phase‐contrast X‐ray computed tomography for observing biological soft tissues」、Nat.Med.2、473(1996)
【非特許文献4】Momose A、Kawamoto S、Koyama I、Hamaishi Y、Takai K、Suzuki Y、「Demonstration of X‐ray Talbot interferometry」、Jpn.J.Appl.Phys.42(7B),L866(2003)
【非特許文献5】Pfeiffer F、Weitkamp T、Bunk O等、「Phase retrieval and differential phase‐contrast imaging with low‐brilliance X‐ray sources」、Nat.Phys.2,258(2006)
【非特許文献6】Davis T J、Gao D、Gureyev T E等、「Phase‐contrast imaging of weakly absorbing materials using hard X‐rays」、Nature 373、595(1995)
【非特許文献7】Chapman D、Thomlinson W、Johnston RE等、「Diffraction enhanced x‐ray imaging」、Phys.Med.Biol.42、2015(1997)
【非特許文献8】Snigirev A、Snigireva I、Kohn V、Kuznetsov S、Schelokov I、「On the possibilities of x‐ray phase contrast microimaging by coherent high‐energy synchrotron radiation」、Rev.Sci.Instrum.66、5486(1995)
【非特許文献9】Wilkins S W、Gureyev T E、Gao D等、「Phase‐contrast imaging using polychromatic hard X‐rays」、Nature 384、335(1996)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、従来のX線格子位相コントラストイメージング装置及び方法が高エネルギー(>60keV)、大視野(>100×100mm)のイメージングを実現できず、臨床医学診断などの分野に適用できないという技術課題を解決しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記技術課題を解決するために、本発明は、線源発射器、線源格子、ビームスプリッティング格子、分析格子および検出器を備え、当該線源格子、ビームスプリッティング格子、分析格子および検出器は、線源発射器の伝搬経路に順に設けられ、ビームスプリッティング格子は、周期が30〜50μmであり、アスペクト比が20以上であるX線格子位相コントラストイメージング装置を提出している。
【0016】
本発明のある好ましい実施形態によれば、前記線源発射器(31)は、硬X線光源である。
【0017】
本発明のある好ましい実施形態によれば、前記硬X線光源のエネルギーは、60keVより大きい。
【0018】
本発明のある好ましい実施形態によれば、前記線源格子(G0)、ビームスプリッティング格子(G1)及び分析格子(G2)は、いずれも吸収格子である。
【0019】
本発明のある好ましい実施形態によれば、前記ビームスプリッティング格子(G1)のデューティ比は、0.5より小さい。
【0020】
本発明のある好ましい実施形態によれば、前記ビームスプリッティング格子(G1)のサイズは、100mm×100mmより大きい。
【0021】
本発明のある好ましい実施形態によれば、前記ビームスプリッティング格子(G1)から前記分析格子(G2)までの距離は、1〜2mである。
【0022】
本発明のある好ましい実施形態によれば、前記格子(G0、G1、G3)は、いずれも曲面格子であり、イメージング視野範囲内に正入射条件を常に満たす。
【0023】
本発明のある好ましい実施形態によれば、前記ビームスプリッティング格子(G1)、分析格子(G2)は、いずれも2次元の格子である。
【0024】
本発明のある好ましい実施形態によれば、前記線源発射器(31)は、中性子発射器である。
【0025】
また、本発明は、線源格子、ビームスプリッティング格子、分析格子及び検出器を線源発射器の伝搬経路に順に設けるステップと、物体をビームスプリッティング格子の直後に密着して、分析格子(G2)に向くように置くステップと、線源格子が線源発射器からのビームソースを複数の独立なビームソースに分け、ビームスプリッティング格子が分析格子の平面に光強度アレイを生じ、物体のビームソースに対する屈折により、強度アレイが横方向に移動し、分析格子によって検出され、検出器で記録可能な強度変化に変換するステップと、を含み、前記ビームスプリッティング格子(G1)は、周期が30〜50μmであり、アスペクト比が20以下であるX線格子位相コントラストイメージング方法を更に提出している。
【0026】
本発明のある好ましい実施形態によれば、前記線源発射器(31)は、硬X線光源である。
【0027】
本発明のある好ましい実施形態によれば、前記硬X線光源のエネルギーは、60keVより大きい。
【0028】
本発明のある好ましい実施形態によれば、前記線源格子(G0)、ビームスプリッティング格子(G1)及び分析格子(G2)は、いずれも吸収格子である。
【0029】
本発明のある好ましい実施形態によれば、前記ビームスプリッティング格子(G1)のデューティ比は、0.5より小さい。
【0030】
本発明のある好ましい実施形態によれば、前記ビームスプリッティング格子(G1)のデューティ比は、0.2〜0.4である。
【0031】
本発明のある好ましい実施形態によれば、前記ビームスプリッティング格子(G1)のサイズは、100mm×100mmより大きい。
【0032】
本発明のある好ましい実施形態によれば、前記ビームスプリッティング格子(G1)から前記分析格子(G2)までの距離は、1〜2mである。
【0033】
本発明のある好ましい実施形態によれば、前記格子(G0、G1、G3)は、いずれも曲面格子であり、イメージング視野範囲内に正入射条件を常に満たす。
【0034】
本発明のある好ましい実施形態によれば、前記ビームスプリッティング格子(G1)、分析格子(G2)は、いずれも2次元の格子である。
【0035】
本発明のある好ましい実施形態によれば、前記線源発射器(31)は、中性子発射器である。
【発明の効果】
【0036】
本発明は、格子周期を増大し、ビームスプリッティング格子のデューティ比、物体から分析格子までの距離を最適化設計することによって、高画像コントラスト、低放射線量、大視野の位相コントラストイメージングの装置及び方法を提供し、そして、本発明は、常用な多色のX線光源及び従来の格子作製プロセスによって、実際な臨床に適用することができる。具体的には、本発明は以下の有益な効果を取得することができる。
1.空間コヒーレント及び単色照明が要求されず、常用な多色のX線光源を利用できる。
2.小さい格子アスペクト比(5〜20)は、従来の格子作製プロセスで満たせるものである。
3.高画像コントラストは、現在の吸収コントラストの5〜10倍である。
4.低放射線量は、現在の吸収コントラストイメージング放射線量の10%〜20%である。
5.高エネルギー、大視野の位相コントラストイメージングを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1】従来技術の分数Talbot自己イメージング効果の模式図である。
図2】従来技術のX線Talbot‐Lau干渉計の模式図である。
図3】本発明の第1の実施例及び第2の実施例のX線格子位相コントラストイメージング装置の模式図である。
図4】本発明の第3の実施例のX線格子位相コントラストイメージング装置の模式図である。
図5】模型試料の画像コントラストが格子デューティ比に伴って変化する図である。
図6A】本発明による試験の結果を示し、空気環境におけるPMMA円柱の伝統的な吸収コントラスト画像である。
図6B】本発明による試験の結果を示し、格子デューティ比が0.2である場合の位相コントラスト画像である。
図6C】本発明による試験の結果を示し、格子デューティ比が0.5である場合の位相コントラスト画像である。
図6D】本発明による試験の結果を示し、上記3つの物体画像の横方向の断面線の比較である。
図7A】本発明による別の試験の結果であり、空気環境におけるPMMA及びPOM円柱の屈折画像である。
図7B】本発明による別の試験の結果であり、試料の屈折画像の横方向の断面線である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
本発明の目的、技術案及び利点をより明らかにするために、以下、具体的な実施例を組み合わせ、図面を参照して、本発明を更に詳細に説明する。
【0039】
ビームスプリッティング格子のデューティ比を向上すると共に、物体から分析格子までの距離を増加することによって、本発明は、大周期の吸収格子を採用するX線格子位相コントラストイメージング装置及び方法を提出している。
【0040】
本発明の第1の態様によれば、ビームスプリッティング格子のデューティ比を向上すると共に、物体から分析格子までの距離を増加することによって、高画像コントラストを取得することができる。大周期の吸収格子を採用することによって、微細加工技術によって広面積の吸収格子を作製することができ、これにより、大視野、高エネルギーのX線格子位相コントラストイメージングを実現することができる。
【0041】
本発明の第2の態様によれば、ビームスプリッティング格子のデューティ比を向上すると共に、物体から分析格子までの距離を増加することによって、画像コントラストを低減せずに、放射線量を低減することができる。
【0042】
本発明の第3の態様によれば、X線格子位相コントラストイメージング装置及び方法は、2次元のイメージングに適用されることができる。
【0043】
本発明の第4の態様によれば、格子位相コントラストイメージング装置及び方法は、中性子格子位相コントラストイメージングに適用されることができる。
【0044】
以下、本発明の発明を実施するための形態を説明する。
【0045】
<第1の実施例>
【0046】
図3は本発明の第1の実施例及び第2の実施例におけるX線格子位相コントラストイメージング装置の模式図である。図面に示すように、本発明のX線格子位相コントラストイメージング装置は、X線光源31、線源格子G0、ビームスプリッティング格子G1、分析格子G2及び検出器32を含む。その中、線源格子G0、ビームスプリッティング格子G1、分析格子G2及び検出器32は、X線光源31のX線の伝搬経路に順に設けられている。
【0047】
本発明のイメージング原理は、X線吸収格子による幾何投影縞メカニズムであり、本質的には幾何光学原理に基づくものであり、波動光学に基づくものではない。図3に示すように、入射X線の照明ビームスプリッティング格子G1は、その後ろの幾何投影領域において、光強度分布が横方向に周期的に変化している。照明X線の空間コヒーレントの長さが数μmのみであり、格子G1の周期(30〜50μm)より十分に小さいため、回折効果は無視出来るほど弱い。ビームスプリッティング格子G1の後ろの長い距離において、光強度の横方向の分布は周期的なものである。算出から分かるように、G1周期が50μmであり、照明X線の空間長さが5μmである場合、G1の後ろの1mにおいて、光強度の分布も周期的なものであり、かつ、その周期はG1周期である。物体33がG1の後ろに置かれた場合、物体の照明X線に対する屈折に起因してG1幾何投影像の局所がずれ、分析格子G2を介して、検出器32で記録可能な光強度変化に変換される。物体の加入する前後の光強度変化を分析することによって、物体33の吸収、位相及び散乱情報を取得することができる。
【0048】
幾何光学原理によれば、吸収格子G1投影像の発生は、回折などの効果に依存していない。このため、本発明には、入射X線の空間コヒーレンスが要求されていない。そして、多色照明において、幾何投影像も現れており、かつ、高い視感度を有し、即ち、幾何投影像は入射X線の多色性にも鈍感している。このため、本発明の第1の実施例における格子位相コントラストイメージング装置のX線光源は、常用なX線光源を採用することができる。
【0049】
本発明の第1の実施例によれば、格子G0、G1、G2はいずれも吸収格子である。吸収格子とは、照明X線が格子刻線によって全て吸収され、透過率が零である、という意味である。吸収格子は、フォトリソグラフィープロセスによってシリコンベースを作製し、金、鉛などの強い吸収材料を電気めっきすることによって得られる。この実施例では、吸収格子G2の代わりに、構造シンチレータを採用することができる。
【0050】
図1に示すように、空間部分のコヒーレントX線の照射において、位相格子G1の後ろのいくつかの特定な距離には、その回折強度分布は横方向に周期的に変化している。この現象は、分数Talbot自己イメージングと呼ばれ、該当する距離は分数Talbot距離と呼ばれる。その中、空間部分のコヒーレント照明には、位相格子G1の周期が照明X線の空間コヒーレントの長さ以下であることが要求される。
【0051】
本発明の第1の実施例によれば、格子G1、G2の周期は30〜50μmであり、アスペクト比は20以下である。本発明のX線格子位相コントラストイメージング装置は、吸収格子の幾何投影縞メカニズムに基づくものであり、即ち、X線の照射において、ビームスプリッティング格子G1の後ろの特定な距離(格子周期に依存する)には、G1投影像の強度分布が光軸に垂直する方向に沿って周期的に変化しており、この現象は幾何投影縞メカニズムと呼ばれる。本発明において、ビームスプリッティング格子G1の周期は、照明X線空間コヒーレントの長さによって限られず、30〜50μmであってもよい。物体33の照明X線に対する屈折に起因して、G1幾何投影像が横方向に局所的に変形してしまう。このような変形は、分析格子G2を介して、光強度の局所的な変化に変換し、G2の直後に密着して置かれる検出器32によって記録されている。表1に示すように、80 keVでは、90%のX線吸収率のために、545μmの吸収層の厚さが要求され、該当する吸収格子(G1、G2)のアスペクト比が20以下であり、それは、従来の微細加工技術によって実現することができる。これに対して、従来のTalbot‐Lau干渉計において、格子の周期は、一般的に5μmより小さく、照明X線の空間コヒーレントの長さ以下である。このため、該当する格子のアスペクト比は100以上であり、これは、従来の微細加工技術によって実現することができない。
【0052】
本発明の第1の実施例によれば、格子周期が30〜50μmであるため、従来の微細加工技術によって、広面積(>100×100mm)の吸収格子を作製でき、例えば、200mm×400mmである吸収格子を本発明のビームスプリッティング格子G1及び分析格子G2として、大視野のイメージングを実現することができる。
【0053】
以上のように、従来の微細加工技術では、本発明は、大視野(例えば、200mm×400mm)、高エネルギー(>60keV)のX線位相コントラストイメージングを実現でき、臨床医学などの実際な適用を実現することができる。
【0054】
【表1】
【0055】
本発明の第1の実施例によれば、ビームスプリッティング格子G1、分析格子G2のデューティ比<0.5であり、さらに、0.2〜0.4であることが好ましい。研究から分かるように、ビームスプリッティング格子G1の周期が30〜50μmである場合、物体画像のコントラストが低減してしまう。物体画像コントラストの低下に補償するために(格子周期にほぼ反比例する)、格子G1のデューティ比を最適化設計している。図5は、物体の画像コントラストがビームスプリッティング格子G1のデューティ比に伴って変化することを示し、空気環境におけるPMMA円柱を例として、格子G1のデューティ比が0.2である場合、画像コントラストは12.86%となる。従来のTalbot‐Lau干渉計方法において、格子G1のデューティ比は0.5であり、この場合、画像コントラストは4.31%のみである。すなわち、G1のデューティ比が0.2である場合、物体画像コントラストは3倍以上になる。このため、本発明は、ビームスプリッティング格子G1のデューティ比を最適化することによって、物体の画像コントラストを向上している。
【0056】
本発明の第1の実施例によれば、ビームスプリッティング格子G1から分析格子G2までの距離は、具体的な適用に応じて選択可能である。具体的な適用要求に応じて、画像コントラスト、露光時間、放射線量などの複数の要素を総合的に考慮し、G1とG2との距離dを最適化し、一般的には1〜2mであってもよい。
【0057】
格子位相コントラストイメージングにおいて、露光時間などの影響が考慮されておらず、物体画像コントラストは、ビームスプリッティング格子G1から分析格子G2までの距離に比例している。従来のTalbot‐Lau干渉計において、ビームスプリッティング格子G1と分析格子G2との間隔は、ビームスプリッティング格子G1のある次数の分数Talbot距離と等しいべきであり、これによって、最高の画像コントラストを取得することができる。ビームスプリッティング格子G1の分数Talbot距離は、数cm〜数十cmのみである。本発明によれば、ビームスプリッティング格子G1から分析格子G2までの距離は、適用の要求に応じて選択可能であり、一般的には1〜2mであり、これによって、画像コントラストは5〜10倍になる。
【0058】
本発明の第1の実施例によれば、格子G0、G1、G3はいずれも曲面格子である。イメージングの視野範囲内に正入射条件を常に満たし、常用なX線光源シリンダ又は球面波の照明において平面格子のエッジ部分の光透過が不均一であるという問題を効果的に解決し、大視野のイメージング(200mm×400mm)を実現し、例えば乳腺イメージングなどの臨床医学イメージングの要求を満たすことができる。
【0059】
本発明の第1の実施例によれば、検出器32は、光強度の変化を記録し、例えば電荷結合装置(CCD)などの間接検出型を採用してもよいし、例えば半導体検出器などの直接検出型を採用してもよい。
【0060】
本発明のX線格子位相コントラストイメージング装置によってイメージングする際に、図3に示すように、物体33はビームスプリッティング格子G1の直後に密着して置かれる。線源格子G0は、常用なX線光源を複数の独立的なスリット光源に分けて、ビームスプリッティング格子G1は、分析格子G2の平面に光強度アレイを生じる。物体33のX線に対する屈折により、光強度アレイが横方向に移動し、分析格子G2によって検出されて、検出器で記録可能な光強度変化に変換される。
【0061】
<第2の実施例>
【0062】
本発明の第2の実施例は、第1の実施例と同様なX線格子位相コントラストイメージング装置及び方法を採用しており、以下の点のみが異なっている。本発明の第2の実施例によれば、伝統的な吸収コントラストイメージングと同じSN比の画像を取得するために、本発明の位相コントラストイメージング装置のX線光源31の放射線量は、伝統的な吸収コントラストイメージングの20%であり、すなわち、物体が受ける放射線量は、伝統的な吸収コントラストイメージングの10%〜20%である。
【0063】
物体が受ける放射線量はイメージング方法のSN比に直接に関連している。伝統的な吸収コントラストイメージング方法に比べて、硬X線位相コントラストイメージング方法の利点の1つは、物体の画像SN比の向上である。物体画像のSN比は、
【0064】
【数2】
【0065】
を満たしている。
【0066】
ただし、SNRはSN比を示し、Nは物体平面の照明X線の光子数を示し、Cは試料画像のコントラストを示す。硬X線の波長帯域において、炭素、水素、酸素、窒素などの人体組織の主要組成元素に対して、その屈折率の位相項は吸収項より少なくとも2桁ほど大きい。このため、硬X線の位相コントラストは、吸収コントラストより十分に大きい。現在の試験結果に基づいて、位相コントラストは少なくとも吸収コントラストの5倍である。即ち、C位相=5*C吸収
【0067】
位相コントラストイメージング方法のSN比が吸収コントラストイメージングのSN比と等しい場合、SNR位相=SNR吸収
【0068】
【数3】
【0069】
ということを取得することができる。
【0070】
高コントラスト、低線量のX線位相コントラストイメージング方法において、物体がビームスプリッティング格子G1の直後に密着して置かれるため、分析格子G2の吸収による光子数の損失のみを考慮すればよい。格子G2のデューティ比が0.2であれば、等価光子数は、
【0071】
【数4】
【0072】
を満たしている。
【0073】
物体が受ける放射線量が等価光子数に比例するため、同じSN比の画像を取得し、位相コントラストイメージングの放射線量は、伝統的な吸収コントラストイメージングの20%である。
【0074】
<第3の実施例>
【0075】
図4は本発明の第3の実施例を示す。本発明に提出されるX線格子位相コントラストイメージング装置及び方法は、1次元の状況に適用されると共に、2次元の状況にも普及されることができる。図4に示すように、第1の実施例を基礎とし、ビームスプリッティング格子G1、分析格子G2はいずれも2次元の吸収格子である。ビームスプリッティング格子G1、分析格子G2は直接に作製され、あるいは、1次元の吸収格子の組み合わせによって得られる。
【0076】
1次元の状況に類似するように、放射線量を低減するために、物体はビームスプリッティング格子G1の直後に密着して置かれる。物体のX線に対する屈折及び散乱によって、2次元の光強度アレイのx方向及びy方向における外乱が起こし、これらの外乱を分析することによって、物体の吸収、x方向の屈折、y方向の屈折、x方向の散乱及びy方向の散乱などの複数の画像を抽出し、物体をより全体的に、正確的に表すことができる。
以下、本発明の試験過程及びデータを説明する。
【0077】
1)試験的には、ビームスプリッティング格子G1と分析格子G2との横方向の相対シフトは、分析格子周期の1/4に固定される。この場合、イメージング装置が記録した物体画像コントラストが最高であり、必要とする放射線量が最低である。提出されるイメージング装置及び方法の可否を証明するために、一連の比較試験を行った。空気環境における直径が4mmであるポリメチルメタクリレート(PMMA)円柱を試料として、X線の等価エネルギーは80keVであり、格子周期は30μmであり、格子G1からG2までの軸方向の距離は2mである。試料に対して、伝統的な吸収コントラストイメージング、格子のデューティ比が0.2である位相コントラストイメージング、および、格子のデューティ比が0.5である位相コントラストイメージングがそれぞれ行われ、結果を図6A図6B図6Cにそれぞれ示している。異なるイメージング方法の画像コントラストを定量的に比較するために、図6Dは、図6A図6Cの横方向の断面線の比較を示す。画像における統計ノイズの影響を除去するために、軸方向に沿って、断面線に対して平均化、背景正規化の処理を行う。図6Dに示すように、格子のデューティ比が0.2である場合、画像コントラストは20.06%となる。従来のTalbot‐Lau干渉計方法において、格子のデューティ比が0.5であり、この場合の画像コントラストは7.83%のみである。伝統的な吸収コントラストイメージングにおいて、画像コントラストは4.30%のみである。すなわち、格子のデューティ比が0.2である場合、伝統的な吸収コントラストイメージングに比べて、物体の画像コントラストは4.67倍となる。従来のTalbot‐Lau干渉計方法に比べて、画像コントラストは2.56倍となる。このため、本発明の重要な利点の1つは、格子のデューティ比を最適化することによって、物体の画像コントラストを向上し、放射線量を低減することである。
【0078】
2)試験に採集される原始画像には、物体の位相シフト情報が含まれると共に、物体の吸収情報及び散乱情報も含まれている。実際的な適用におけるコンピュータ断層再構成(CT)及び定量分析などには、純粋な物体の位相シフト情報を入力とすることが要求されている。このため、原始画像から物体の位相シフト情報を分離して取得する必要がある。本発明に提出される試験装置において、格子を横方向に走査し、異なる格子の相対位置に複数の画像を採集することによって、物体の吸収、位相シフト及び散乱情報の分離を実現することができる。
【0079】
空気環境におけるポリメチルメタクリレート(PMMA)円柱及びポリオキシメチレン(POM)円柱を試料として、直径はそれぞれ5mm及び10mmである。格子の周期は50μmであり、デューティ比は0.33であり、格子G1からG2までの距離は1mである。格子G2を横方向に走査し、それぞれの走査点に1枚の画像を記録する。記録された複数の画像を算出して、図7(a)に示すように、PMMA及びPOM円柱の屈折画像を取得する。本発明のイメージング装置の定量製を説明するために、図7(b)には、試料の屈折画像の横方向の断面線を示す。その中、直径が10mmであるPMMA円柱について、論理的な最大屈折角は1.52μradであり、試験の測定値は1.49μradである。両者は合致しているため、本発明のイメージング装置は物体の屈折情報を定量に取得することができる。
【0080】
物体屈折角を定量的に抽出することを基礎とし、コンピュータ断層再構成(CT)アルゴリズムと組み合わせて、物体の屈折率の実部の3次元の空間分布を取得することができる、
【0081】
【数5】
【0082】
ただし、δは物体の屈折率の実部であり、θ(χ,Θ,z)は投影角Θで抽出される屈折角を示し、ρは空間周波数を示し、F−1は逆フーリエ変換を示す。以上のように、平行ビーム照明における3次元の断層再構成過程を説明している。より普遍的なファンビーム照明状況のために、変量切替方法によって3次元の断層再構成を完成できる。
【0083】
以上に記載される具体的な実施例は、本発明の目的、技術案及び有益な効果を更に詳細に説明している。上記は本発明の具体的な実施例のみであり、本発明を制限しておらず、本発明の主旨および原則内におけるいずれの補正、等価置換、改善などが本発明の保護範囲に含まれることを、理解すべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図6D
図7A
図7B