特許第6529971号(P6529971)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6529971気管支疾患の治療のための胸腔鏡検査方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6529971
(24)【登録日】2019年5月24日
(45)【発行日】2019年6月12日
(54)【発明の名称】気管支疾患の治療のための胸腔鏡検査方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 18/14 20060101AFI20190531BHJP
【FI】
   A61B18/14
【請求項の数】13
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2016-532099(P2016-532099)
(86)(22)【出願日】2014年11月12日
(65)【公表番号】特表2016-538054(P2016-538054A)
(43)【公表日】2016年12月8日
(86)【国際出願番号】US2014065138
(87)【国際公開番号】WO2015077093
(87)【国際公開日】20150528
【審査請求日】2017年9月4日
(31)【優先権主張番号】61/905,971
(32)【優先日】2013年11月19日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】512080321
【氏名又は名称】エシコン・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Ethicon, Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】ウィードック・ケビン・ショーン
【審査官】 木村 立人
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2011/0118725(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 18/00 ― 18/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
肺疾患を治療する装置であって、
a.近位端及び遠位端を有する延長体と、
b.前記遠位端のエンドエフェクタと、
c.前記エンドエフェクタにエネルギーを供給するエネルギー源と、を含み、
前記エンドエフェクタは、患者の胸腔に入り、気管支セグメントの少なくとも一部分上に位置する神経成分に接触し、前記神経成分を治療するために前記気管支セグメントの外面にエネルギーを付与するようにサイズ決めされ、かつ成形されており、
前記エンドエフェクタは、前記延長体の前記遠位端から遠位方向に延在する第1接触要素および前記延長体の前記遠位端から遠位方向に延在する第2接触要素を含み、前記第1接触要素は、前記第1接触要素の内面である第1接触面を含み、前記第2接触要素は、前記第2接触要素の内面である第2接触面を含み、前記第1接触面および前記第2接触面は、前記気管支セグメントの前記外面と接触し、前記エンドエフェクタは、前記延長体に対して前記延長体の長手方向軸の周りに回転することができる、装置。
【請求項2】
前記第1接触要素および前記第2接触要素は、半円形である、請求項に記載の装置。
【請求項3】
前記第1接触面および前記第2接触面の少なくとも1つは、内部に流体が導入されている嚢状接触面である、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記神経成分は、前記気管支セグメントの表面に、又は前記気管支セグメントの前記表面上に位置する神経節又は叢を含む、請求項1〜のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記エンドエフェクタは、前記気管支セグメントの表面に沿うように前記エンドエフェクタの表面上に材料を含む、請求項1〜のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記エンドエフェクタは圧縮可能である、請求項1〜のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記装置は、カテーテル又は送達ポートを介して患者の体内に挿入されるように圧縮される、請求項1〜のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記エンドエフェクタは、前記カテーテル又は前記送達ポートを介して挿入される際に縮小径に圧縮され、かつ前記カテーテル又は前記送達ポートから出る際に拡張する、請求項に記載の装置。
【請求項9】
前記エンドエフェクタは、前記気管支セグメントの前記外面を実質的に包囲する、請求項1〜のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記エンドエフェクタは、加熱素子又は電極、ガス又は液体などの加熱流体、低エネルギー超音波又は高強度集束超音波を含む超音波エネルギー、高調波エネルギー、直流又は焼灼にさらすこと、電磁エネルギー、高周波エネルギー、マイクロ波、プラズマエネルギー、赤外線、パルスレーザ、フラクショナルレーザ、又は高エネルギーレーザ露出を含むレーザ治療などの非電離光エネルギー、アルファ、ベータ、ガンマ、X線、プロトン、ニュートロン、又はイオン放射線を含む他の放射エネルギー、の形態でエネルギーを付与する、請求項1〜のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
前記エネルギーは、前記エンドエフェクタの複数の電極を介して付与される、請求項1〜10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
前記エネルギーの付与は、温度上昇をもたらし、前記温度は約65℃又はそれ以上である、請求項1〜11のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
前記エンドエフェクタは、ニチノールで構成されている、請求項1に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、喘息及び慢性気管支炎を含む気管支疾患の治療のための方法及び装置に関する。本発明は、気管支又は気管支近傍の1つ又は2つ以上の神経にエネルギーを供給する方法、特に胸腔鏡下手段を介してこれら神経にエネルギーを付与する方法に、より直接的に関する。
【背景技術】
【0002】
閉塞性肺疾患は、米国で数百万人に影響を及ぼし、人生の楽しみを制限し、治療に何十億ドルもかかっている。そのような疾患の1つは喘息であり、喘息は、気道過敏と可変的な気流閉塞によって特徴付けられた気道の複雑な炎症性疾患である。最近の推定によると、喘息のみの年間費用は、約180億ドルであると概算される。直接費用は、約100億ドルを占め(入院給付が直接費用の最大の1つの部分となっている)、間接費用は80億ドルである(病気又は死亡のための利益損失)。成人にとって、喘息は、長期欠勤の4番目の主な原因となり、毎年約1500万の欠勤日数をもたらす(これは、上述の「間接費用」の約30億ドルを占める)。5〜17歳の子どもの間では、喘息は、慢性疾患による学校欠席の主な原因である。それは、年間1400万以上の学生時代の日数の年間損失(喘息を伴う各学生につき約8日)と、他の小児疾患以上の入院日数を占める。喘息「発作」を患っている人は、気管支の内側を覆う平滑筋(空気を肺へ取り込む通路)の急性狭窄を経験し、気道が縮小し、空気の流れが制限される。喘息は、伝統的に気管支拡張剤の使用により治療され、気管支を拡張することによって気道を開く。勿論、これは、慢性的な問題に対する短期的な解決である。他の肺疾患は、例えば、肺気腫及び慢性気管支炎を含み、それらは両方とも慢性閉塞性肺疾患(COPD)と見なされる。
【0003】
気管支気道の狭窄は、外部刺激又はアレルゲンへの応答など、神経の興奮又は活性化によって引き起こされることが多い。これらの神経は、自律神経系の部分であり、また肺への神経は、肺神経叢に近い迷走神経に由来する。迷走神経は、食道及び気管に略並行に、又は側方を概して走行し、一方、神経叢は順番に、迷走神経よりも更に側方にある。神経叢は、分岐近傍の主気管支上又はその近傍にあり、神経は、肺実質内の気管支樹の分岐に従う。
【0004】
気管支収縮を治療するために薬剤が提供されているが、あいにくこれらの薬剤は、単に短期的な解決であって、また小児及び高齢者にとって摂取が困難な場合がある。薬剤に加えて、他の治療が試みられている。そのような治療の1つに、気管支への信号を遮断する信号発生器の埋め込みを含み、それは神経トラフィックを阻止し、収縮を緩和する。しかしながら、これは、移植可能装置の使用を含み、移植に伴う合併症及びメンテナンス等を有する場合がある。気管支熱形成術は、最近研究されている別の治療法である。気管支熱形成術は、患者の気道に気管支鏡を挿入し、気道壁に高周波(RF)エネルギーを送達し、それによって喘息収縮に関連する平滑筋の量を減らすことにより、気道平滑筋又は神経を標的とする。気管支壁の特定層へのエネルギーの堆積を制御するのが困難であるため、平滑筋細胞層へ特異的にRFエネルギーを送達する試みは、気管支の表面の粘膜又は神経を不注意に損傷する場合がある。
【0005】
呼吸は自然発生的であり、中枢神経系で制御される。対照的に、末梢神経系は、感覚成分と運動成分の両方を含む。末梢神経系は、環境から中枢神経系へ信号を伝達し統合する。末梢神経系のニューロンは、末梢から中枢神経系へ信号を伝達する。例えば、肺は、末梢神経系によって神経支配され、中枢神経系の制御下にある。1つの特定タイプの刺激は、副交感神経系の刺激(収縮)である。副交感神経系の刺激は、気道狭窄、血管拡張、及び腺分泌物の増加をもたらす。肺の副交感神経支配は、迷走神経を介して脳の髄質に由来する。迷走神経は、下行し、気管支及びその周囲に神経節を形成する。その後、神経節から節後線維は、平滑筋細胞、血管、及び気管支上皮細胞を神経支配することによりネットワークを完成する。迷走神経を介した副交感神経刺激は、通常の静止している肺において僅かに収縮した平滑筋の正常な緊張の任を担う。
【0006】
副交感神経系の刺激は、気管支を収縮させ、一方、交感神経系を刺激することで、反対の反応(拡張)が生じる。一連の副交感神経は、気管支の外面の周囲に配設し、神経節又は叢に集まる。これらの叢は、分岐近くの主気管支又はその近傍にあり、神経は肺実質内で気管支樹の分岐に従う。これらの気管支神経は、迷走神経に関連し、喘息反応に関連する腫脹及び炎症を引き起こす。迷走神経刺激はまた、気道の副交感神経反射制御の活性の増加をもたらし、より大きな粘膜分泌及び気管支平滑筋の収縮に繋がる。したがって、そのような刺激を阻止又は防止する方法及び装置は、喘息及び慢性気管支炎に関連する症状を軽減する付加的な有益効果を有してもよい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
気管支鏡でRFエネルギーを気管支の外面の神経に付与する試みは、粘膜及び平滑筋細胞にも不意に損傷を与える場合がある。したがって、一見成功した気管支熱形成術治療でさえ、患者の回復時間は気管支の粘膜壁への損傷のために延長する。この手順を受けた患者は、軽減し得るまで数週間、頻繁に不快を感じる。本発明は、喘息及び慢性気管支炎など肺疾患を、胸腔鏡下方法を通して気管支の外面の神経にエネルギーを付与する手順と装置の使用を介して治療することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施形態では、肺疾患を治療する装置が供給され、装置は、近位端及び遠位端を有する延長体と、遠位端にエンドエフェクタと、エンドエフェクタにエネルギーを供給するエネルギー源とを含み、エンドエフェクタは、気管支セグメントの少なくとも一部分上にある神経と接触し、かつ気管支セグメントの外面上の神経にエネルギーを付与するようにサイズ決めされ、かつ成形されている。
【0009】
本発明の別の実施形態では、肺疾患を治療する方法が供給され、胸腔鏡下で装置を患者の胸腔に挿入する工程であって、装置がエネルギー源に連結し、かつそこに固定されるエンドエフェクタを有する工程と、エンドエフェクタを、気管支セグメントの外面又は外面近傍にある神経成分の近位又は神経成分に接触して位置合わせする工程と、エンドエフェクタを介して神経成分にエネルギーを付与する工程とを含む。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】気管支の断面図を示す。
図2】気管支に影響を与える際の自律神経系の描写である。
図3】本発明のエネルギー付与装置の一実施形態の描写である。
図4A】本発明のエネルギー付与装置の別の実施形態である。
図4B】本発明のエネルギー付与装置の別の実施形態である。
図4C】本発明のエネルギー付与装置の別の実施形態である。
図5】ヒトの肺系の描写である。
図6】本発明のエネルギー付与装置を用いる外科術手順の描写である。
図7A】気管支の外面上の神経にマイクロ波エネルギーを付与する巻き付け可能なエンドエフェクタを含む本発明の別の実施形態を示す。
図7B】気管支の外面上の神経にマイクロ波エネルギーを付与する巻き付け可能なエンドエフェクタを含む本発明の別の実施形態を示す。
図8】気管支の外面上の神経に高周波エネルギーを付与する巻き付け可能なエンドエフェクタを含む本発明の別の実施形態を示す。
図8A】気管支の外面上の神経に高周波エネルギーを付与する巻き付け可能なエンドエフェクタを含む本発明の別の実施形態を示す。
図9】本発明で有用な典型的な外部パワード装置である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は、気管支の断面図を、参照用に標識付けたその特徴の番号と共に示す。開口内部チャンバ(図ではDと標識付けられた直径を有する)は、人の口又は鼻から肺まで空気が移動する経路を形成する。図に示すように、気管支の壁は、上皮、血管、平滑筋組織、粘液腺、神経線維、間質及び軟骨等、多くの成分を含む。本発明を介して治療される神経又は神経成分は、気管支壁の外面に向けて(例えば、その開口内部チャネルから離れて)位置する。
【0012】
図2は、人の肺系を制御する際の自律神経系の描写である。迷走神経は脳から延在し、気管支表面の副交感神経節でシナプスを形成する。気管支の表面に副交感神経節を形成している一連の副交感神経成分があり、節後線維を含む。
【0013】
本発明は、喘息又は慢性気管支炎を患者に生じさせる場合がある気管支の筋肉の望まない危険な収縮を、少なくとも1つの気管支神経成分の破壊、切除又は切断によって治療することを目的とする。本明細書で用いられる場合、神経成分は、治療される神経の任意の部分であり、気管支の外面又は外面近傍にある神経、神経節又は叢を含み得る。最も望ましくは、治療される神経成分は、叢であり、特に1つの気管支の末梢周囲に位置する叢である。気管支の外面周囲に2つ以上の神経成分があるため、治療は気管支の表面領域の周りへのエネルギーの付与を含んでもよく、また気管支の周囲を完全に覆う領域への治療を含んでもよい。治療は、気管支の領域の周囲の1つの神経、複数の神経成分、又は全ての神経成分へのエネルギーの付与を含んでもよい。
【0014】
本明細書で使用される場合、用語「近位」及び「遠位」は、気管支疾患を治療するのに用いる器具の一端を操縦する臨床医を基準として用いられる。用語「近位」は臨床医に近接する器具の部分を指し、用語「遠位」は臨床医から最も離れた位置にある部分を指す。簡潔に、かつ明白にするために、「垂直」「水平」「上へ」及び「下へ」などの空間的用語は、本明細書において図面に対して使用されてもよいことが更に理解される。しかしながら、外科用器具は、多くの方向及び位置で使用されてもよく、これらの用語は、限定的また絶対的であることを意図するものではない。
【0015】
更に以下に説明するように、本発明は、喘息及び他の関連する呼吸器疾患、例えば、慢性気管支炎を治療する方法及び装置を供給する。装置は、近位端及び遠位端を有する細長い装置を含み、細長い装置の遠位端又は遠位端近傍にエンドエフェクタが位置する。エンドエフェクタは、気管支の外面など、それが接触する表面にエネルギーを供給するように設計される。以下に説明するように、近位端は、ハンドル又は他の制御手段を任意に含んでもよい。本発明のエネルギー供給装置は、患者の体内に挿入されることを意図しており、エンドエフェクタは気管支の外面と接触し、エンドエフェクタが1つ又は2つ以上の気管支神経と接し、1つ又は2つ以上の気管支神経にエネルギーを付与することを可能にする。このエネルギーは、気管支神経の切除、破壊、細胞壊死の達成、又は単に切断を行うのに十分であり得る。
【0016】
神経は、熱及び機械的振動に敏感であり、様々なエネルギータイプが所望する結果を達成するのに使用されてもよい。例えば、加熱先端又は器具など、加熱素子を介した熱の適用、あるいは加熱流体で満たされた嚢の使用が用いられてもよい。加えて、超音波エネルギー又は高周波エネルギーなど機械的振動が、所望する結果を提供するために使用されてもよい。赤外線、マイクロ波、又は他のレベルの放射エネルギーなど放射線も、使用されてもよい。概ね、任意の所望するエネルギータイプは、少なくとも1つの神経、神経節又は叢の表面に付与されてもよい。付与されるエネルギーの非限定的なタイプには、加熱素子又は電極、ガス又は液体など加熱流体、低エネルギー超音波又は高強度集束超音波(HIFU)を含んでいる超音波エネルギー、高調波エネルギー、直流(DC)又は焼灼にさらすこと、電磁エネルギー、高周波エネルギー、マイクロ波、プラズマエネルギー、赤外線、パルスレーザ又はフラクショナルレーザ又は高エネルギーレーザ露出を含んでいるレーザ治療など非電離光エネルギー、アルファ又はベータ又はガンマ又はX線又はプロトン又はニュートロン又はイオン放射線を含んでいる他の放射エネルギーが挙げられる。治療される神経成分に適用される温度レベルは、神経成分は治療されるが、その隣接組織は損傷を受けないか、少なくとも損傷レベルが最小限となるようにするべきである。いくつかの実施形態では、エンドエフェクトによって付与されるエネルギーは、約65℃に神経を加熱するのに十分である。エネルギー付与方法は、凍結手術方法など、低温にさらすことを代替的に含んでもよい。エネルギーはまた、1つ又は複数の神経を切断するためにエンドエフェクタ上又はその近傍に配置される1つ又は複数のブレードの使用など簡単な機械的エネルギーを含んでもよい。エネルギーの標的付与は、血管、組織、筋肉又は粘膜など他の構造体への最小限の損傷で、神経、神経節又は叢を効率的に治療する。
【0017】
いくつかの実施形態では、本明細書に含有される治療方法は、対象領域への特定材料の導入又は堆積を含んでもよく、特定材料には例えば神経毒又は他の類似の神経損傷材料が含まれる。対象神経成分へ送達され得るそのような材料の1つは、A型ボツリヌス毒素(BOTOX(登録商標)として一般に知られている)である。エネルギーの送達用に本明細書で記述されるような制御された送達手段の使用を介して、そのような神経毒の送達は、意図する神経成分(複数も可)の治療に有用であり得る。そのような材料の送達は、本明細書に記述した装置及び方法の使用を介して達成され得る。
【0018】
本発明及び気管支の外面への制御されたエネルギーの付与の方法は、所望された神経、神経節又は叢へ標的エネルギーを付与することで、ユーザに多くの利益を提供する。まず第1に、エネルギーの付与は、気管支鏡下方法の使用を介する視覚能力の欠如に対して、胸腔鏡下手段を介して気管支上の器具及び神経を観察するユーザの視覚能力により、高度に標的化され正確である。更に、所望する神経セグメントへ直接、エネルギーを付与する能力のため、気管支及びその様々な分岐を介して移動し、その後、気管支壁(粘膜、筋肉等)内の異なる組織層を横断してエネルギーを送達しなければならないのに対して、他の組織及び身体成分への付随的な損傷がはるかに少ない。これは、はるかに迅速で痛みの少ない回復過程を提供する。
【0019】
本発明は、装置を患者の気道を通って挿入する従来使用されていた方法に対して、気管支の外面への接触を介して肺病態を治療可能な装置及び方法を提供する。このように、本発明の方法は、外部気管支壁を係合するのに適合する新規胸腔鏡下装置の使用を介して実行されてもよい。このような方法において、少なくとも1つの細長い装置は、患者の胸部、特に患者の1対の肋骨を通って、又は胸骨の上の窪みに挿入される。いくつかの実施形態では、挿入される装置は、トロカールを介して挿入されてもよく、一方、他の実施形態では、装置は、トロカール他のローディング装置を使用することなく患者体内に挿入されてもよい。本明細書に使用される胸腔鏡下方法は、複数の細長い装置の挿入を含んでもよく、またビデオ補助胸腔鏡下手術(VATS)又は縦隔鏡検査として既知の技術を組み込んでもよい。そのような胸腔鏡下方法の使用により、1人又は複数のユーザが患者の胸腔の内部を視覚的に見ることができ、より一層標的化された正確な外科術手技を与えることができる。上述したように、ユーザはエネルギー又は他の媒体を気管支の外側周囲の神経、神経節又は叢に適用することができる。2つ以上の細長い装置が、手順の間に患者に挿入されてもよく、エネルギー付与エンドエフェクタを有する本発明の装置、カメラ、肺の移動及び/又は操縦を補助する非傷害性リトラクタ、及び治療される神経の確認を補助できる他の装置が挙げられる。
【0020】
VATS技術において、挿入される各装置は、その使用のニーズを満足するのに適切な長さと径を備える細長い輪郭であってもよい。例えば、方法は、内視鏡の使用を組み込んでもよい。その使用及び医学分野により、内視鏡は4cm〜200cmの長さであってもよい。内視鏡は、剛性又は可撓性であってもよく、また約2mm〜約15mm、特に約3〜5mmの径であってもよい。細長い装置は、患者の肋骨又は胸壁を介して挿入可能であるために、かつ各肋骨の底縁に沿って走行する神経への重大な損傷を防止するために十分に小さな径を有するべきである。更に、各装置は、肋骨を圧迫することなく、胸部の内側で最大の移動性を可能にするように十分な可撓性を有してもよい。胸腔手術方法は、患者の身体へのより小さな切開を可能にし、術後疼痛の減少、迅速な回復をもたらし、かつ優れた美的結果を提供する。
【0021】
小さな切開は、鎮痛又は麻酔され、かつ快適に横臥している患者に、背中の肩甲骨の先端、又は骨翼付近で形成されてもよい。この切開の中に、細長い装置は挿入されてもよい。例えば、本発明のエネルギー供給装置が挿入されてもよいカテーテル又はトロカールが挿入されてもよく、あるいは導入具が胸腔に設置されてもよく、また空気が肺の周囲のスペースに導入され得る。必要とされていないが、空気を導入することにより、肺の周囲のスペースは拡大され、肺はより小さくなり、治療を容易にできる。肺が胸部の内側で小さくなるため、外科医は、気管支を含む肺及び肺周囲の構造体をより多く見ることができる。適正なスペースが生じると、小さな切開が患者の腋の下に作られ、患者の体内に装置が設置されてもよい。更に、外科用装置及び/又はドレインを患者の体内に挿入するために、別の切開が下部胸壁に作られてもよい。複数の切開の使用及び複数の細長い装置の挿入により、適切な治療が可能になり、かつ患者を治療している外科医(複数も可)に十分な視野を与える。一実施形態では、外科医は肺の頂点を見ることができるように、内視鏡を肩甲骨の先端付近のポートを介して挿入してもよい。肺の頂点を把持するために、把持器を腋の下に挿入してもよい。本発明のエネルギー供給装置は、所望する神経叢へのアクセスを与える任意の所望する切開点に挿入されてもよい。上述のように、装置のいずれかは、体の任意の所望する位置に使用され、かつ挿入されてもよく、肋骨の間で胸骨の上に形成された窪みを通って背中又は肩、あるいは任意の身体位置を通ることを含む。
【0022】
小さな切開の位置、数及びサイズは、患者の体内に挿入される装置の数に応じて変更し得る。
【0023】
本発明のエネルギー付与装置は、様々な形状と構成であってもよい。いくつかの実施形態では、装置は、半円形構成であるエンドエフェクタを含むことができ、その半円形開口部内に気管支の外面を接触するように設計される。いくつかの実施形態では、エンドエフェクタは、互いに対して移動可能な2つの端部要素を含んでもよく、それらの間において気管支の外面に接触する。そのような構成は、例えば、2つの対向するc形端部を含み、c形端部は、各々、蝶番の周囲を関節運動自在であり、共に円形又は楕円形開口部を形成する。別の実施形態では、装置の端部は、螺旋状又は他の構成などで気管支の外面に巻き付くように柔軟又は変形可能であってもよく、巻き付けられた端部の表面は、気管支の外面に接触する。いずれの実施形態においても、装置のエンドエフェクタの少なくとも一部分は、気管支の外面と実質的に接触し、かつ気管支の表面に、またその上の治療される神経成分(複数も可)に順にエネルギーを送達可能である。いくつかの実施形態では、装置にはそのシャフトに沿った少なくとも1つの位置に位置する関節運動手段があり、気管支上の標的神経又は神経節に到達し易くする。例えば、以下に説明するように、装置は、回転及び/又は関節運動を可能にする1つの領域又は複数の領域を含んでもよい。
【0024】
図3を参照すると、本発明のエネルギー付与装置の一実施形態が描写される。見られるように、装置100は、細長いシャフト110を含み、細長いシャフトは、円形又は楕円形断面を含む任意の断面構成を有することができる。シャフト110は、任意の所望する長さに延在するが、近位端120から遠位端130まで概して0.5〜2フィート(0.2〜0.6メーター)の長さである。シャフト110は、遠位端130が、気管支上の標的神経に接触するように患者の体内に挿入され、同時に臨床医による制御及び操縦のために患者の体外にシャフトの十分な長さが残ったままとなり得るのに十分な長さであるべきである。装置100の遠位端130は、エンドエフェクタ140を含み、以下により詳細に記述する。装置100は、所望される場合、関節運動するか、又は回転し得る領域150又は複数の領域をシャフト110に沿って含む。更に、シャフト110は、湾曲又は直線構成において、実質的に剛性であってもよい。一実施形態では、シャフト110の少なくとも一部分は、可撓性であってもよい。この実施形態では、エンドエフェクタ140には、装置100のシャフト110を通り、ハンドル125から出て、電源(図示なし)に連結する、エンドエフェクトの中あるいは上に関連付けられた少なくとも1つの電極がある。装置は、オンオフスイッチ又はボタン135を含んでもよく、あるいは所望により装置を電源オン及び電源オフにする別の手段を含んでもよい。
【0025】
装置100のシャフト110はまた、市販の内視鏡の作業管腔を介して通過できるように構成されサイズ決めされてもよい。しかし、装置はまた、最小限侵襲性手順において、又は開放外科術手順において、内視鏡なしに、かつ様々な視覚システム又は撮像システムのガイダンスと共に、又はガイダンスなしで体内に進められてもよい。
【0026】
図4A及び図4Bは、気管支の表面上の標的神経を治療するのに用いられるエネルギーのタイプに依存する、エンドエフェクタの2つの異なる実施形態を示す(図4Aではエンドエフェクタ140、図4Bではエンドエフェクタ145)。これらの実施形態は、2つの可能な形状、サイズ及びタイプであり、また別の形状、サイズ及び構成が本発明の範囲内であることを理解されたい。一実施形態では、エンドエフェクタは、図4A及び図4Bに描写される様々な実施形態に見られるように、点Rの周りを回転可能であってもよい。例えば、図4Aに見られるように、エンドエフェクタ自体は、点Rの周りを回転可能であってもよく、また図4Bでは、個別の接触要素が独立的に回転可能であってもよい。
【0027】
装置100は、シャフト110及びその遠位端130にエンドエフェクタ140(又は図4Bではエンドエフェクタ145)を含む。図4A及び図4Bの両方では、エンドシャフト140、145は、第1接触要素160A及び第2接触要素160Bを含み、それらは実質的にC形又は半円形要素であるように描写されるが、他の形状及び構成が用いられてもよい。第1及び第2接触要素160A及び160Bは、互いに対して移動可能であり、かつ圧迫されることができ、実質的に円形又は楕円形を形成する。一実施形態では、第1又は第2接触要素の一方はシャフト110に対して固定され、他方の接触要素は、シャフト又はもう一方の接触要素に対して可動式である。装置100は、例えば、蝶番165を含んでもよく、接触要素160A又は160Bが互いに対して関節運動するのを可能にする。2つの接触要素160A及び160Bが互いに対して移動される場合、それらは開放内部を形成し、その中に気管支など身体管腔が係合され得る。各接触要素160A及び160Bは、接触面を含み、接触面は、その上に神経成分(複数も可)の治療のために気管支の外面を実質的に接触するように意図される。
【0028】
いくつかの実施形態では、本明細書に記述されるエネルギー付与装置は、治療される神経成分(複数も可)に電気エネルギーを供給するために電極を利用してもよい。電気エネルギー付与装置において、エンドエフェクタは、導電性部分(例えば、医療用ステンレス鋼)を有する一連の電極を含んでもよく、またエネルギー源に結合してもよい。装置は、気管支の外面に接触する、特に治療される1つ又は2つ以上の神経成分に接触する先鋭化エッジを含んでもよい。これらの鋭利なエッジは、高周波エネルギーなど、エネルギーが付与される際に、ホットカットを送達するように構成され得る。
【0029】
一旦、電極が治療領域の近位に配置されると、通電電位が電極に印加され、治療領域に電流を送達し、神経成分を治療する。電流は、制御ユニット又は発生器を有する外部エネルギー源によって供給されてもよい。その内容全体が本明細書において組み込まれた、米国特許第7,200,445号に記載されたようなエネルギー源が使用されてもよい。通電電位(及び発生した電流)は、周波数、振幅、パルス幅、及び極性の点において、特定の波形によって特徴付けられてもよい。電極はアノード(+)又はカソード(−)のいずれかとして構成されてもよく、又は少なくとも1つがアノード(+)として構成され、他の少なくとも1つがカソード(−)として構成された複数の電極を含んでもよい。当初の配置に関わらず、電極の極性は、エネルギー源の出力の極性を逆転させることにより、逆転させることができる。電極は、DC電圧で通電され、様々な周波数、振幅、パルス幅及び極性で電流を導通してもよい。電極はまた、所望する治療をレンダリングするのに適する振幅及び周波数で、時間変化する電位及び電流で通電されてもよい。適切なエネルギー源は、DC及び/又は、周波数、振幅、パルス幅、及び/又は極性で特徴付けられた時間変化する通電電位を電極に送達するのに適応する電気波形発生器を含んでもよい。電流は、電極間、及び電極に印加される電位(例えば、電圧)に比例して対象神経成分(複数も可)を通って流れる。一実施形態では、エネルギー源は、1つ又は2つ以上のアンテナを介して電極にエネルギーを送達する無線送信機を含むことができる。
【0030】
一実施形態において、エネルギー源は、エネルギー付与装置で神経成分(複数も可)を電気的に治療するために、パルス又は周期的な電気信号を生成するように構成されてもよい。一実施形態において、タイミング回路はエネルギー源の出力を中断し、パルス出力信号を生成するために用いられることができる。タイミング回路は1つ又は2つ以上の好適なスイッチング要素を備え、パルス出力信号を生成できる。例えば、エネルギー源は、パルスエネルギーがエンドエフェクタの電極に付与される場合、神経成分を治療するのに適切な一連のn個のパルス(nは任意の整数)を生成し得る。パルスは、固定又は可変パルス幅を有してもよく、また任意の適切な周波数で送達されてもよい。
【0031】
一実施形態では、エネルギー源は、エネルギー付与装置を用いて神経成分(複数も可)を電気的に治療するために、所定の周波数、振幅、極性及び/又はパルス幅で電気出力波形を生成するように構成され得る。電気出力波形が電極に印加される場合、生じた電位は、(エンドエフェクタで)装置の遠位端へ電流を流し、神経成分(複数も可)を治療する。
【0032】
一実施形態において、エネルギー源は、エネルギー付与装置を用いて神経成分(複数も可)を電気的に治療するために、所定の周波数、振幅、極性及び/又はパルス幅で無線周波数(RF)波形を生成するように構成され得る。エネルギー源は、Erbe社から市販される、Model Number ICC 350などの、市販の従来型双極/単極電気外科用RF発生器を含んでもよい。
【0033】
図4Aにおいて、エンドエフェクタ140は、電気接触面170A及び170Bを含む。第1接触面170Aは、第1接触要素(160A)の内面に位置する。第2接触面170Bは、第2接触成分(160B)の内面に配置される。接触面のサイズは、気管支壁との所望する接触量を可能にするように調節されてもよい。一実施形態では、電気接触面170A及び170Bは、対向極性の電極であり、その結果、双極RFエネルギーが対象神経又は神経節に送達され得る。一実施形態では、電気接触面170A及び170Bは、同様の極性の電極であり、つまり、それらは活性電極を形成する。患者の皮膚の表面に設置される接地パッドの形態にある戻り電極は、電源に連結され、その結果、単極RFエネルギーが標的神経又は神経節に付与され得る。一実施形態では、電気接触面170A及び170Bは、標的神経又は神経節の抵抗加熱を可能にする抵抗素子である。
【0034】
図4Bでは、エンドエフェクタ145は、嚢状接触面175A及び175Bを含み、その中に水、空気、又は他の液体又はガスなどの加熱流体を導入してもよい。この図では、両面175A及び175Bは、嚢状接触面であるが、一方の面のみが嚢状接触面であり、他方の面は嚢状面ではない場合も有用あり得ることが理解される。ガス、水、蒸気、又はオイルなど加熱媒体の導入は、嚢から装置の近位端に連結する加熱媒体源まで流体的に繋がる導管を介して達成される。一実施形態では、流体又は他の媒体の連結及び送達は、嚢状接触面175A及び175Bを、装置のシャフト110内に収容されるチューブ185と連結することで実行され、チューブ185は、装置の近位端のポート186で終端する。ポート186は、ルアーロック取付け具又はチューブと他の区画を介した結合流体の当業者に周知の他の迅速結合手段の形態であり得る。接触面175A及び175Bのサイズは、気管支壁との所望する接触量を可能にするように調節されてもよい。嚢状接触面(複数も可)を含む実施形態において、少なくとも1つの開口部が嚢状接触面175A及び175Bの表面上に存在し、接触面からの神経毒の溶出を可能にする。神経毒源は、装置の近位端に連結され、毒はチューブを介して嚢中に注入され得て、嚢から出て、標的神経又は神経節を治療することができる。
【0035】
図4Cは、本発明の別の実施形態を図示し、接触面195A及び195Bが、治療用に標的化された神経を離断可能な少なくとも1つのブレード197を含む。一実施形態では、ブレードは、硬質高分子バッキング196に埋め込まれる。1つのブレード又は複数のブレード197は、例えばステンレス鋼を含む任意の材料で作製されてもよい。1つのブレード又は複数のブレード197は、高分子バッキングの表面に対して、1〜3mmの高さを有してもよい。対向する表面は、アンビル198、又はブレード197が接合する別の要素を含んでもよく、また所望であれば第2の1つのブレード又は複数のブレードを含んでもよい。
【0036】
装置100は、その近位端120にハンドル190又は他の制御手段を任意で含むことができ、それは装置100及びエンドエフェクタ140を操作する制御機構を含んでもよい。例えば、トリガーが、1つ又は2つ以上の接触要素160A又は160Bを互いに対して1度適所に動かすためにラチェット機構又はケーブル駆動機構に連結されて配設されてもよく、あるいは気管支の周りにエンドエフェクタを巻き付ける機構を含んでもよい。ワイヤ195は、近位端120及び任意でハンドル190を介して延在し、エンドエフェクタ140にエネルギーを付与する。電源は図示されていないが、既知の動力供給源が、上記参照により組み込まれている米国特許第7,200,445号に記載されているものを含めて本発明で使用されてもよい。一実施形態では、電源は、エネルギー発生器、エネルギー発生器に連結する制御器、及び制御器と連通するユーザインターフェース面を含む。装置の多様性は、RFエネルギー送達装置として記載されるが、装置の多様性は、抵抗性加熱システム、赤外線加熱素子、マイクロ波エネルギーシステム、集束超音波、冷凍アブレーション、又は任意の他のエネルギー送達システムを含んでもよい。更に、装置は、そのようなエネルギー送達装置と共通のコネクタを含んでもよい。コネクタは、示すようにケーブルの端に一体化されてもよく、又はコネクタは、個別のケーブルを受容するために取り付けられてもよい。いずれの場合でも、装置は、ある種のコネクタを介して電源に取り付けるために構成され得る。電源は、装置用コネクション、戻り電極(システムが単極RF構成を使用する場合)、及び任意に作動ペダル(複数も可)を有してもよい。電源及びコントローラはまた、双極RFエネルギー送達用に構成された電極を有するエンドエフェクタにRFエネルギーを送達するように構成されてもよい。ユーザインターフェースは、システムのセットアップ又は動作に関するユーザフィードバック用の視覚プロンプトを含むことができる。ユーザインターフェースはまた、システムの要素のグラフ表示、オーディオ音発生器、並びにシステム使用でユーザを支援する他の特徴を用いてもよい。無線エネルギー供給は、装置100の1つ又は2つ以上のアンテナの使用を介して提供されてもよく、又は内部エネルギー供給源が使用されてもよい。
【0037】
再度、図4A図4Cを参照すると、エンドエフェクタ140は、1つのみの接触要素160Aを含んでもよく、また1つのみの接触面170A(あるいは例えば175A)を有してもよい。エンドエフェクタ140は、実質的にC形又は半円形の接触要素160Aを有してもよく、又は任意の所望する形状を有してもよい。
【0038】
エンドエフェクタ140は、折り畳み可能であり得て、狭い輪郭を備える装置100を供給し、したがってトロカールを介して患者の体内への装置の挿入を補助する。例えば、エンドエフェクタ140は、ばね付勢されてもよく、遠位端130がトロカールに挿入される際に圧縮されることができ、またトロカールの遠位端を通って出る際に付勢されて開いてもよい。反対に、エンドエフェクタは、トロカールを介して引き戻される際に収縮し、その後、患者から出る際に再度拡張してもよい。一実施形態において、エンドエフェクタの一方又は両方は、ニチノールなど形状記憶合金を含み得る。その後、エンドエフェクタは、第1構成及び第2構成を有することができる。
【0039】
図4Aに示される接触面170A及び170B、又は図4Bの175A及び175Bは、所望される場合、軟質又は柔軟な表面を含むことができる。軟質又は柔軟面の使用は、エンドエフェクタ140の内部で気管支が不意に圧搾又は圧潰されるのを防止するのに有用となり得る。したがって、エンドエフェクタの接触面は、気管支と非傷害性係合を有し、同時に十分なエネルギーが治療される神経成分に付与されるのを確実にするように構成され得る。上述のように、装置100は、患者の体内に挿入され、かつ気管支が図4Aの接触面170Aと170Bとの間、又は図4Bの175Aと175Bとの間で位置合わせされるように、外科医により操作されてもよい。
【0040】
一実施形態では、装置は、使用時に触覚又はハプティクスフィードバックなどのフィードバック用手段を含んでもよい。例えば、装置は、光源及びカメラを備える内視鏡など別の内視鏡器具と協働して使用することを意図されるが、装置は、物体が1つ又は2つ以上の面170A又は170Bによって接触される際に、フィードバックの形態である感覚を与えてもよい。フィードバックシステムの使用によって、エンドエフェクタ140の制御された閉鎖及び中に配設された気管支の望まない圧潰又は崩壊の防止が可能になり得る。
【0041】
図5及び図6は、個人の肺系及び本明細書で有用な外科術手順の例をそれぞれ示す。肺系は、肺210、気管215、主気管支220、及び二次的な気管支225を含む。気管は、胸骨角の及び第5胸椎又は上下2つの椎骨までのレベルで2つの主気管支に分岐し、気管竜骨の解剖学的点で呼吸に依存する。右主気管支は、左主気管支よりも幅が広く、より短く、更に垂直である。それは、第5胸椎付近で右肺に入る。右主気管支は、3つの二次的な気管支に細分され、それらは右肺の3つの肺葉である上葉、中葉、下葉に空気を送達する。左主気管支は、右主気管支よりも径が小さいが長く、約5cmの長さである。それは、第6胸椎で反対の左肺の根元に入る。
【0042】
本発明は、主気管支220の一方又は両方に存在する神経又は神経節の治療を含む、治療に有用である。上述のように、気管支220の表面は、多くの成分を含み、本発明によって治療される神経及び神経成分が挙げられる。図6は、装置200の本体を図示し、左肺210及びその主気管支220を示している。多くの器具を、患者の体内200に部分的に挿入することができ、図6に示す描写では、2つの細長い器具が挿入される。一方は本発明の装置230のシャフト225であり、エンドエフェクタ240を備え、他方は操縦装置250であり、手順の間、肺210の部分を物理的に動かし操作するのに使用されてもよい。一実施形態では、装置は、光源及びカメラ(図示なし)を有する内視鏡と協働して使用される。本発明の装置230は、本明細書に記載された方法によって患者の体内に挿入され、その結果、エンドエフェクタ240は、所望の位置で主気管支220と実質的に接触する。一旦、エンドエフェクタ240が気管支220の意図する位置に接触されると、エネルギーは、エンドエフェクタ240に付与され、これによってエネルギーが気管支220に供給される。エンドエフェクタの構成及びデザインに依存して、エネルギーは、電気エネルギー、高周波エネルギー、直流エネルギー、機械的エネルギー、マイクロ波エネルギー、及び超音波エネルギーを含んでもよい。
【0043】
図7A図7B及び図8図8Aは、本発明のエンドエフェクタ、特に巻き付けるタイプのエンドエフェクタの別の実施形態を描写する。上述のように、装置のいずれの構成も、エンドエフェクタが治療される気管支の外面の少なくとも一部分に接し、更に望ましくは気管支の周囲の実質的部分に接触するように使用することができる。図7B及び図8Aにおいて、エンドエフェクタは、気管支の外面の周囲を締結されるか、又は挟持される(図4A図4Bのように)のと対照的に、気管支の外面の周囲に巻き付いて描写される。図7A図7Bは、マイクロ波エネルギーを用いる巻き付けるタイプのエンドエフェクタを示し、一方、図8図8Aは、無線周波数エネルギーを用いる巻き付けるタイプのエンドエフェクタを示す。いずれのエネルギー形態でも使用され得ることが理解され、また図7A図7B図8及び図8Aは、2つの位置エネルギー形態のみ描写する。
【0044】
ビデオ補助下胸腔鏡下手術(VATS)による解剖学的肺切除の導入が紹介されて以来、VATSは設備と技術の両方で大きな進歩を遂げ、良性及び悪性肺疾患の両方の外科的治療の技術的な挑戦を導入している。この最小限侵襲性技術の実証された安全性、減少した罹患率、及び同等の有効性は、標準的外科術様相としてVATSの受容に至る。本発明は、標的神経を治療するためにVATSの間に使用されることができ、喘息又は慢性気管支炎の症状が低減され得る。
【0045】
図7Aは、患者の胸壁300を示し、その中にローディング装置310(カテーテル、ポート、又はトロカールなど)が挿入されてもよい。ローディング装置310には中心管腔320があり、その中に、本発明の細長いエネルギー付与装置330が挿入される。装置330の遠位端345の近位は、装置330のエンドエフェクタ340である。装置330の実質的部分に沿って、特に装置330のエンドエフェクタ340又はその近傍は、マイクロ波エネルギー放出装置350である。図7Aは、外科医によって押し進め又は前進される際の、装置330のエンドエフェクタ340を示す。それは、トロカールの管腔内にある間、第1の真っ直ぐな状態として存在し、自己湾曲方法を介して、あるいは湾曲を引き起こすように装置に力を定めることによってのいずれかで、トロカールから出た後に湾曲可能であってもよい。図7Aの実施形態では、装置は力によって湾曲が生じるまで直線のままであるが、装置がトロカールを出て、力が作用しなくなった後に自動的に湾曲を開始してもよいことが理解される。
【0046】
一実施形態では、図7Aの装置の遠位端は、ニチノール又は別の変形可能材料など、可撓性及び成形可能な材料を含む。変形は、近位ハンドル又は体内に挿入可能な別の装置によってなど、外部手段から制御可能であるべきでる。制御はまた、ニチノールを含む遠位端の場合には、トロカールの管腔の内外へ装置の遠位端を単に前進又は後退することによって遂行され得る。遠位端は、トロカールの外部で患者の胸腔内では、第2構成となることができる。この第2構成は、湾曲したC形、コイル、半円、又は螺旋状であってもよく、外科医が装置のエネルギー送達成分を対象神経又は神経節に設置可能とする。更に、これら実施形態のエンドエフェクタは、巻き付けが達成された際に臨床医に注意を喚起する手段、又は気管支に過度あるいは不十分な圧力が与えられる場合に臨床医に警告する手段を含むことができる。視覚手段は、エンドエフェクタの巻き付けるタイプの使用において、特に有用であり得る。図7Bは、第2状態にある装置330を示し、装置330のエンドエフェクタ340は、少なくとも部分的に気管支360の外面の周りに巻き付く。図7Bで見られるように、神経370は、気管支360の外面に沿って配設され、かつ気管支360の周囲をエンドエフェクタ340が巻き付くことにより、神経370の少なくとも一部分はエンドエフェクタ340と接触する。図7Bは、外面の360°を覆う螺旋状構成で気管支360の周囲に巻き付けられたエンドエフェクタ340を示すが、エンドエフェクタ340は、任意の構成で配設されてもよく、かつ気管支360の外面の所望する任意の部分を覆ってもよいことが理解される。一旦、図7Bのように配置されると、本明細書で既に記載された電源によりエネルギーを供給してもよい。一実施形態では、電源はマイクロ波発生器で構成されている。これより、エネルギー放出要素350は、適切なエネルギーが、気管支上の標的神経370又は神経節に付与され得るように作動される。
【0047】
図8及び図8Aは、対象神経又は神経節に無線周波数(RF)エネルギーを付与するために使用される本発明の一実施形態を図示する。図8は、患者の胸壁400、中心管腔420を有するローディング装置410、及び本発明のエネルギー放出装置430(遠位端445で終端する)を図示する。装置430及びそのエンドエフェクタ440は、エネルギー源を含み、この実施形態では、第1電極450及び対向極性の第2電極460を含み、双極RFエネルギーが電極を横断し、かつ対象神経又は神経節の近位に付与され得る。別の実施形態では、電極は同様の極性であり、戻り電極が患者の皮膚上に接地パッドとして存在し、単極RFエネルギーが付与され得る。いずれの実施形態においても、図8Aで見られるように、エンドエフェクタ440は気管支470の外面と接触するようにされ、神経480の少なくとも一部分と実質的に接触する。エンドエフェクタ440は、如何なる構成でも、又は如何なる範囲でも、気管支470の外面に接触するようにされてもよく、その結果、治療される神経成分480の少なくとも一部分を接する。第1及び第2電極450/460は、分離エネルギー源によって動力化され、分離エネルギー源は、ワイヤによって装置430に固定されてもよく、又は装置のハンドル内に位置するバッテリーなど内部源であってもよく、又は無線動力伝送であってもよい。
【0048】
図7A図7B及び図8図8Aの装置330及び430は、装置のコア内にニチノールシャフト(図示なし)を用いることによって、所定の湾曲率を有することができるニチノールコアの湾曲率は、予め設定され、かつトロカールを通過する間に制限される。一実施形態では、ニチノールコアは、装置の全長に沿って延在する。別の実施形態では、装置のシャフトはニチノールよりも小さい径の金属を有してもよい。この金属コアは、湾曲率をカスタマイズするように外科医が望む任意の構成に屈曲又は変形することができ、これによって電極を神経又は神経節と密接させるのを補助する。この使用方法では、トロカールは、装置のシャフトの所望する形状がトロカールを通して一致可能であるか否かに依存して、使用されてもよく、又は使用されなくてもよい。変形は、内視鏡外科医によって通常使用される他の装置、内視鏡クランプ、鉗子など、外部手段から制御されることができ、それは、別のトロカールに挿入可能で、その後シャフトと接触し、外部気管支壁と接することができる所望の構成に屈曲又は湾曲する。更に、これら実施形態のエンドエフェクタは、巻き付けが達成された際に臨床医に注意を喚起する手段、又は気管支に過度あるいは不十分な圧力が与えられる場合に臨床医に警告する手段を含むことができる。いくつかの実施形態では、付与されるエネルギーは、不可逆的エレクトロポレーション(IRE)を誘発するのに十分であり得て、それは長時間、細胞膜を横断して大きな不安定化電位を印加することにより細胞を破壊させるプロセスである。IREは、細胞を破壊する一方で、熱誘発治療の負の合併症を回避する効果的な方法を供給する特に、IREは、熱を用いることなく細胞を破壊し、かつ細胞外マトリクスを破壊しない。大きな不安定化IRE電位は、例えば、比較的長期間、約数mmの範囲にわたって生体膜を横断して印加される、約数百〜約数千ボルトの範囲であってもよい。不安定電位は、細胞膜を横断する電位が、その絶縁耐力を超える場合に、細胞膜に孔を形成し、アポトーシス及び/又は壊死として既知のプロセスにより細胞を死滅させる。
【0049】
一実施形態では、不可逆的エレクトロポレーション(IRE)エネルギーは、双極又は単極パルス直流(DC)出力信号の形態であってもよく、エネルギー付与装置を用いて神経成分(複数も可)を電気的に治療する。エネルギー源は、BTX Molecular Delivery Systems、マサチューセッツ州ボストンから入手可能なモデル番号ECM 830など、市販の従来型双極又は単極パルスDC発生器を含んでもよい。双極モードでは、第1電極は第1極性に電気的に結合してもよく、第2電極は第2(例えば、反対)極性に電気的に結合してもよい。双極又は単極パルスDC出力信号(例えば、DCパルス)は、多様な周波数、振幅、パルス幅、及び極性で生成され得る。例えば、エネルギー源は、意図する神経成分(複数も可)を電気的に治療するため、約1Hz〜約1000Hzの範囲の周波数、約+/−100〜約+/−3000ボルト直流(VDC)の範囲の振幅、及び約1μs〜約100msの範囲のパルス幅(例えば、パルス持続時間)でDCパルスを生成するように構成されてもよい。電極に送達されるエネルギーの極性は、治療の間に極性反転されてもよい。例えば、約+100〜約+3000VDCの範囲の振幅で最初に送達されたDCパルスの極性は、約−100〜約−3000VDCの振幅に極性反転され得る。いくつかの実施形態では、神経成分(複数も可)は、約10Hz〜約100Hzの周波数、約+700〜約+1500VDCの範囲の振幅、及び約10μ.s〜約50μ.sのパルス幅のDCパルスで治療されてもよい。
【0050】
一旦、エネルギー付与装置が位置付けられると、エンドエフェクタは治療される神経成分(複数も可)に少なくとも部分的に接し、電気連結が完成し、神経成分(複数も可)はエネルギー源によって付与されるエネルギーで治療され得る。上述のように、エネルギーは、先述したいずれのエネルギー形態を含んでもよい。エネルギーの付与に続き、エネルギー付与装置は、患者から取り出されてもよく、しかし、神経成分(複数も可)を完全に治療するため、又は更に神経成分(複数も可)を治療するために、エネルギーの後続付与が必要である場合、エネルギー付与装置は患者の体内に、同じ切開位置、あるいは異なる切開位置のいずれか一方を介して再度挿入されてもよい。治療された神経成分(複数も可)は、いずれの後続活動も観察するため、経時的(例えば、日、週、又は月)にモニターされてもよい。
【0051】
付与されるエネルギーのタイプに係わらず、エネルギー源は、有線又は無線接続を介してエンドエフェクタをエネルギー化できる。有線接続では、エネルギー源は、本体を介した1つ又は2つ以上の導電性ワイヤによりエンドエフェクタに結合される。無線接続では、エネルギー源は、1つ又は2つ以上のアンテナによりエンドエフェクタに結合されてもよく、これによりエネルギー付与装置の本体を介して走行する有線接続を備える必要を排除し、又はエネルギー源はエネルギー付与装置の内部に配設されてもよい。無線実施形態では、内部ケーブルは、例えばアンテナに置換され得る。アンテナは、導電性ワイヤ(図示なし)によりエンドエフェクタに結合されてもよい。
【0052】
エンドエフェクタは、エネルギーの標的化及び正確な送達を支援するために、発光手段を更に含み得る。エンドエフェクタは、触覚又はハプティックフィードバックなどフィードバックをユーザに提供する手段を含んでもよい。フィードバックは、装置があまりにも浅く又は深く挿入されたこと、あるいは装置が他の体内器官に接触していることをユーザに警告することができる。更に、エンドエフェクタが気管支の周囲に適用されると、装置は、気管支の外面に印加される圧力についてユーザに注意を喚起するフィードバックを供給してもよい。いくつかの実施形態では、治療される気管支の正確な径は既知であり、エンドエフェクタが意図し、又は所望する径に達した時に、ユーザに注意を喚起するようにエンドエフェクタを設定することができる。フィードバックは、このようにユーザが気管支に望まないレベルの圧力を与えるのを防止することができる。
【0053】
装置は、温度範囲を発生するように治療部位にエネルギーを供給することができ、またいくつかの実施形態では、使用方法は、低エネルギーで開始し、増加温度に達するようにエネルギーレベルを上げることを含み得る。更に、装置は、治療される気管支面の温度又は印加される電流を決定可能な1つ又は2つ以上の器具を含んでもよく、また必要な場合、エネルギーを付与を停止するように構成されてもよい。例えば、装置は、治療部位で温度を測定し、過剰加熱を防止するように構成された1つ又は2つ以上の熱電対を含むことができる。更に、装置は、必要な場合、例えば、冷却水ジャケット又は他の冷却方法を介して対象部位を冷却する機構を含み得る。これは、過剰加熱又は制御不能な温度適用を介するような患者への損傷の危険性を低減又は排除する追加の安全性又は制御機構である。装置は、エネルギー送達を調整し、装置不良を補償し、過電流を補正し、不適切な使用又は不十分な接触を補正し、対象とされる神経成分(複数も可)の組織の不均質又は多様性を補正するために、多くのアルゴリズムを含み、又は利用することができる。
【0054】
コントローラ及び電源を使用することができ、電源は装置の内部にあってもよく、又は外部にあり、ワイヤ又はケーブルの使用を介して装置に接続されてもよい。例示的な外部パワード装置は、図9で見られ、エネルギー発生器500、コントローラ510(プロセッサ520を含む)、及び電源530を含む。電源530は、十分な持続時間、及び所望される方法で、エネルギーを送達するように構成されるべきである。電源530は、タイマーなどプログラム式情報を含んでもよい。電源530はまた、所望される場合、治療前又は治療の間、エネルギー送達を調整する多くのアルゴリズムを用いてもよい。更に、電源530は、例えば、電圧、電流、パワー、インピーダンスを含むエネルギー移送の様々なパラメータをモニター可能であってもよく、また出力を制御するためにこのモニターした情報を使用してもよい。パワーレベルは、1つ又は2つ以上のモニターされたレベルに応答して、ユーザ又は自動的のいずれかで増減されてもよい。戻り電極540は、電源530に接続されてもよく、また任意にアクチュエータ550が更に含まれてもよい。装置は、適切な架線560を介して装置570に接続され、上述したようなエンドエフェクタを含む(例えば、580A、580B)。いくつかの実施形態では、エンドエフェクタは、モジュール式装置の使用を介してなど、取り外し可能及び/又は置換可能であってもよい。摩擦嵌め、スナップオンスナップオフツール、螺合等を含む任意の係合手段が、エンドエフェクタを装置に固定するために使用され得る。本発明は、キットを含み、キットは、装置の本体及び複数のモジュール式エンドエフェクタを収容する。
【0055】
本発明は、神経、神経節又は叢、特に個々の気管支の外面上に位置するこれらにエネルギーを制御下及び標的化して付与する方法を提供する。本発明は、上述のようなエネルギー付与装置の使用を含む。エネルギー付与の一有用方法において、ユーザ(通常外科医)は、少なくとも1つの小さな切開を患者の身体に作製する。切開は、患者の胸部位置又はその近傍に位置し、特に患者の隣接する2つの肋骨間にあるべきである。一旦、切開が完成すると、ユーザはエネルギー付与装置の遠位端を患者の体内に挿入する。いくつかの実施形態では、ポート又はトロカールを切開部位に設置してもよい。エネルギー付与装置は、前述のエンドエフェクタを含む装置の遠位端が気管支の外面の少なくとも一部分に実質的に接することができるように挿入される。
【0056】
所望される場合、VATS技術を可能にする更なる装置が使用されてもよく、例えば、肺、肺葉及び気管支を移動し、又は操作する装置が挙げられる。更に、ビデオ装置を患者の体内の更なる切開位置を介して挿入してもよい。他のツールは、体内の視覚化を補助し、又は適切位置にエンドエフェクタを操作及び/又は配置するのを補助するために挿入されてもよい。
【0057】
一旦、所望する装置が患者の体内に挿入されると、エネルギー付与装置のエンドエフェクタは、気管支の1つに、又は気管支の1つの近位に移動される。その後、エンドエフェクタは、所望する気管支の外面と実質的に接するように置かれ、少なくとも治療される1つの神経成分に接触する。エンドエフェクタは、クランクタイプのエフェクタ(図4A図4Cなど)を含んでもよく、又は巻き付けられるエンドエフェクタ(図7A図8など)を含んでもよく、又は気管支の外面の少なくとも一部分がエンドエフェクタの接触面によって接触される任意の他の構成であってもよい。更に望ましくは、エンドエフェクタの接触面は、周囲の少なくとも一部分、好ましくは45〜360°で気管支に接触する。エンドエフェクタは開かれ、エンドエフェクタのエネルギー付与面が気管支の外面に接するように配置される。神経成分、神経節又は叢は、エンドエフェクタのエネルギー付与面と接触するように置かれ、また所望される場合、エンドエフェクタは、治療される神経成分が位置する気管支の周囲の少なくとも一部分の周りで閉鎖され得る。エネルギーは、同時に1つ又は2つ以上の神経成分に付与されてもよい。このように、エネルギーの付与は、1つの神経成分を含む小領域に供給されてもよく、又は治療される気管支の周囲の少なくとも一部分を覆う複数の領域に適用されてもよい。いくつかの実施形態では、エンドエフェクタは、気管支の全周囲に配設され、気管支のその領域に配設する全ての神経成分へのエネルギー付与を可能にする。エンドエフェクタは、治療される気管支の表面を多少に関わらず覆うように、所望されるサイズを有することができる。複数の領域は、1つの気管支又は気管支セグメント上で治療されてもよい。
【0058】
一旦、治療される神経成分(神経節又は叢)がエンドエフェクタの少なくとも1つのエネルギー付与面と接触すると、ユーザは、エンドエフェクタにエネルギーを導入し、治療される神経成分を治療することができる。エネルギー付与は、神経成分の切断又は切除など、意図する効果が達成されるものであればよい。いくつかの実施形態では、エンドエフェクタのエネルギー付与面は、エンドエフェクタが気管支の周りの位置に配置される時、気管支が圧迫される場合には最小の圧迫となるように、従順する面を有してもよい。いくつかの実施形態では、エンドエフェクタのエネルギー付与面は、少なくとも1つのブレード又は鋭利エッジを含み、機械的エネルギーの付与は、治療される神経成分を切断することを含む。
【0059】
一旦、所望するエネルギーが、治療される神経成分又は複数の成分に付与されると、エネルギー付与装置は取り出されてもよい。光源、カメラ、又は他の内視鏡ツールなどの他の装置が挿入されたならば、それらもまた取り出されてもよい。治療された気管支部位は、薬剤又は他の医薬品の適用を含む追加の治療を与えられてもよく、又は切断又は切除された神経成分の治癒を促進するため、及び/又は再成長又は再結合を抑制するために材料で巻き付けられるか、又は被膜されてもよい。
【0060】
上述のように、本発明は、気管支の外面へのエネルギーの付与を用い、気管支の外面上に位置する1つ又は2つ以上の神経成分に標的化した正確な治療を与える。この方法及び方法を達成するための装置は、従来の方法に対して多大な利益を供給し、従来の方法は、例えば、気管支内方法(気管支鏡下方法)及び気管支に装置を付着又は植え込む方法を含む。本発明は、標的手段を通して肺病態を治療し、痛みの少ない回復及びより迅速な回復時間を与え、同時にまた身体に装置を植え込む必要を回避する方法を提供する。更に、本明細書に記載するような胸腔鏡下方法を通して、視覚方法が意図する神経成分(複数も可)の標的治療を提供するために使用されてもよい。
【0061】
〔実施の態様〕
(1) 肺疾患を治療する方法であって、
a.装置を、患者の隣接する肋骨経由、胸骨上、又は胸壁経由、から選択される位置でその長さの少なくとも一部分を通すことによって患者の胸腔に挿入する工程であって、前記装置はエンドエフェクタ及びそれに固定されるエネルギー源を有する、工程と、前記エンドエフェクタを気管支セグメント上にある神経成分の近位に、又は神経成分と接して位置合わせする工程と、前記エネルギー源からのエネルギーを、前記エンドエフェクタを介して前記神経成分に付与する工程と、を含む、方法。
(2) 前記エンドエフェクタは、中に気管支を収容するようにサイズ決めされた少なくとも1つの半円形を有する、実施態様1に記載の方法。
(3) 前記エンドエフェクタは、中央通路を形成するように位置合わせし、かつ中に気管支を収容するようにサイズ決めされた2つの半円形を有する、実施態様1又は2に記載の方法。
(4) 前記エンドエフェクタは、互いに対して移動可能な2つの要素を含み、前記2つの要素は、それらの間において気管支セグメントの外面に接するように構成されてもよい、実施態様1〜3のいずれかに記載の方法。
(5) 前記エンドエフェクタは、前記気管支セグメントの少なくとも一部分の周りに巻き付けられるように変形可能又は柔軟である、実施態様1に記載の方法。
【0062】
(6) 前記エンドエフェクタは、気管支セグメントの表面に沿うように前記エンドエフェクタの表面上に材料を含む、実施態様1〜5のいずれかに記載の方法。
(7) 前記エンドエフェクタは圧縮可能である、実施態様1〜6のいずれかに記載の方法。
(8) 前記装置を患者の体内に、トロカールを介して、又は送達ポートを介して挿入する工程を更に含む、実施態様1〜7のいずれかに記載の方法。
(9) 前記エンドエフェクタは、前記トロカール又は送達ポートを介して挿入される前に成形され、かつ前記トロカール又は送達ポートから出る際に拡張する、実施態様8に記載の方法。
(10) 前記エンドエフェクタは、前記カテーテル又は送達ポートを介して挿入される際に、縮小径に圧縮され、かつ前記カテーテル又は送達ポートから出る際に拡張する、実施態様8に記載の方法。
【0063】
(11) 前記エンドエフェクタは、前記カテーテル又は送達ポートを介して挿入される際に、縮小径に制限され、かつ前記トロカール又は送達ポートから出る際に拡張する、実施態様10に記載の方法。
(12) 前記方法は、ビデオ補助胸腔鏡下手術手技を含む、実施態様1〜11のいずれかに記載の方法。
(13) 前記エンドエフェクタは、少なくとも2つの神経成分に接触する、実施態様1〜12のいずれかに記載の方法。
(14) 前記神経成分は、神経節又は叢を含む、実施態様1〜13のいずれかに記載の方法。
(15) 前記エンドエフェクタは、実質的に前記気管支セグメントを包囲する、実施態様1〜14のいずれかに記載の方法。
【0064】
(16) 前記エンドエフェクタは、加熱素子又は電極、ガス又は液体などの加熱流体、低エネルギー超音波又は高強度集束超音波を含む超音波エネルギー、高調波エネルギー、直流又は焼灼にさらすこと、電磁エネルギー、高周波エネルギー、マイクロ波、プラズマエネルギー、赤外線、パルスレーザ、フラクショナルレーザ、又は高エネルギーレーザ露出を含むレーザ治療などの非電離光エネルギー、アルファ、ベータ、ガンマ、X線、プロトン、ニュートロン、又はイオン放射線を含む他の放射エネルギー、の形態でエネルギーを付与する、実施態様1〜15のいずれかに記載の方法。
(17) 前記エネルギーは、前記エンドエフェクタに配設される複数の電極を介して付与される、実施態様1〜16のいずれかに記載の方法。
(18) 前記エネルギーの付与は、温度上昇をもたらし、かつ前記温度は約65℃又はそれ以上である、実施態様1〜17のいずれかに記載の方法。
(19) 前記神経成分への前記エネルギーの付与は、前記神経成分の切除をもたらす、実施態様1〜18のいずれかに記載の方法。
(20) 肺疾患を治療する装置であって、
a.近位端及び遠位端を有する延長体と、
b.前記遠位端のエンドエフェクタと、
c.前記エンドエフェクタにエネルギーを供給するエネルギー源と、を含み、
前記エンドエフェクタは、患者の胸腔に入り、気管支セグメントの少なくとも一部分上に位置する神経成分に接触し、前記神経成分を治療するために前記気管支セグメントの外面にエネルギーを付与するようにサイズ決めされ、かつ成形されている、装置。
【0065】
(21) 前記エンドエフェクタは、気管支セグメントを中に収容するようにサイズ決めされた少なくとも1つの半円形を有する、実施態様20に記載の装置。
(22) 前記エンドエフェクタは、中央通路を形成するように位置合わせし、かつ中に気管支セグメントを収容するようにサイズ決めされた2つの半円形を有する、実施態様20又は21に記載の装置。
(23) 前記エンドエフェクタは、互いに対して移動可能な2つの要素を含み、前記2つの要素は、それらの間において気管支セグメントの外面に接するように構成されてもよい、実施態様20〜22のいずれかに記載の装置。
(24) 前記エンドエフェクタは、前記気管支セグメントの少なくとも一部分の周りに巻き付けられるように変形可能又は柔軟である、実施態様23に記載の装置。
(25) 前記神経成分は、気管支セグメントの表面に、又は気管支セグメントの表面上に位置する神経節又は叢を含む、実施態様20〜24のいずれかに記載の装置。
【0066】
(26) 前記エンドエフェクタは、前記気管支セグメントの表面に沿うように前記エンドエフェクタの表面上に材料を含む、実施態様20〜25のいずれかに記載の装置。
(27) 前記エンドエフェクタは圧縮可能である、実施態様20〜26のいずれかに記載の装置。
(28) 前記装置は、カテーテル又は送達ポートを介して患者の体内に挿入されるように圧縮されてもよい、実施態様20〜27のいずれかに記載の装置。
(29) 前記エンドエフェクタは、前記カテーテル又は送達ポートを介して挿入される際に縮小径に圧縮され、かつ前記カテーテル又は送達ポートから出る際に拡張する、実施態様28に記載の装置。
(30) 前記エンドエフェクタは、前記気管支セグメントの外面を実質的に包囲する、実施態様20〜29のいずれかに記載の装置。
【0067】
(31) 前記エンドエフェクタは、加熱素子又は電極、ガス又は液体などの加熱流体、低エネルギー超音波又は高強度集束超音波を含む超音波エネルギー、高調波エネルギー、直流又は焼灼にさらすこと、電磁エネルギー、高周波エネルギー、マイクロ波、プラズマエネルギー、赤外線、パルスレーザ、フラクショナルレーザ、又は高エネルギーレーザ露出を含むレーザ治療などの非電離光エネルギー、アルファ、ベータ、ガンマ、X線、プロトン、ニュートロン、又はイオン放射線を含む他の放射エネルギー、の形態でエネルギーを付与する、実施態様20〜30のいずれかに記載の装置。
(32) 前記エネルギーは、前記エンドエフェクタの複数の電極を介して付与されてもよい、実施態様20〜31のいずれかに記載の装置。
(33) 前記エネルギーの付与は、温度上昇をもたらし、前記温度は約65℃又はそれ以上である、実施態様20〜32のいずれかに記載の装置。
(34) 前記エンドエフェクタは、ニチノールで構成されている、実施態様20に記載の装置。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図5
図6
図7A
図7B
図8
図8A
図9