特許第6530108号(P6530108)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6530108情報処理装置、情報処理方法、および情報処理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6530108
(24)【登録日】2019年5月24日
(45)【発行日】2019年6月12日
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、および情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/02 20120101AFI20190531BHJP
   G06Q 40/08 20120101ALI20190531BHJP
   G06Q 50/12 20120101ALI20190531BHJP
【FI】
   G06Q10/02
   G06Q40/08
   G06Q50/12
【請求項の数】9
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2018-96645(P2018-96645)
(22)【出願日】2018年5月18日
【審査請求日】2018年7月18日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】500257300
【氏名又は名称】ヤフー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】阿部 泰芳
【審査官】 池田 聡史
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−081626(JP,A)
【文献】 特開2001−326151(JP,A)
【文献】 特開2004−227072(JP,A)
【文献】 特表2018−511855(JP,A)
【文献】 特開2013−015927(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 − 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザによる過去の施設の予約に対するキャンセルの有無を教師とし、前記ユーザの過去の予約情報を素性とする機械学習によって、予約のキャンセルが発生するリスクの度合いを示すスコアを出力するモデルを生成し、生成した前記モデルを記憶部に記憶する生成部と、
施設の予約に関する情報である予約情報を取得する取得部と、
前記取得部によって取得された前記予約情報を前記記憶部に記憶される前記モデルに入力して、前記予約のキャンセルが発生するリスクを推定する推定部と、を備える
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記推定部は、
前記施設を予約したユーザの属性、前記予約の内容、前記ユーザの他の施設の予約状況、および前記施設の利用日までの期間のうち少なくとも一つを前記モデルへの入力として、前記スコアを演算する
ことを特徴とする請求項に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記施設を提供する事業者に前記スコアに応じた補償料の情報を提供する提供部と、
前記事業者から前記キャンセルに対する補償を行う補償サービスへの加入申請を受け付ける受付部と、を備える
ことを特徴とする請求項またはに記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記受付部は、
前記予約毎に前記補償サービスへの加入申請を受け付ける
ことを特徴とする請求項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記施設の利用日時が近いほど高くなるように前記補償料を決定する決定部を備え、
前記提供部は、
前記決定部によって決定された前記補償料の情報を前記事業者に提供する
ことを特徴とする請求項またはに記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記キャンセルが発生した場合に、前記キャンセルに対する補償を実行するための処理を行う補償処理部を備える
ことを特徴とする請求項のいずれか一つに記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記提供部は、
前記受付部によって前記補償サービスへの加入申請が受け付けられた場合に、前記補償サービスとして保険サービスを提供する保険業者の装置へ前記保険サービスへの加入申請を示す情報を提供する
ことを特徴とする請求項のいずれか一つに記載の情報処理装置。
【請求項8】
コンピュータが実行する情報処理方法であって、
ユーザによる過去の施設の予約に対するキャンセルの有無を教師とし、前記ユーザの過去の予約情報を素性とする機械学習によって、予約のキャンセルが発生するリスクの度合いを示すスコアを出力するモデルを生成し、生成した前記モデルを記憶部に記憶する生成工程と、
施設の予約に関する情報である予約情報を取得する取得工程と、
前記取得工程によって取得された前記予約情報を前記記憶部に記憶される前記モデルに入力して、前記予約のキャンセルが発生するリスクを推定する推定工程と、を含む
ことを特徴とする情報処理方法。
【請求項9】
ユーザによる過去の施設の予約に対するキャンセルの有無を教師とし、前記ユーザの過去の予約情報を素性とする機械学習によって、予約のキャンセルが発生するリスクの度合いを示すスコアを出力するモデルを生成し、生成した前記モデルを記憶部に記憶する生成手順と、
施設の予約に関する情報である予約情報を取得する取得手順と、
前記取得手順によって取得された前記予約情報を前記記憶部に記憶される前記モデルに入力して、前記予約のキャンセルが発生するリスクを推定する推定手順と、をコンピュータに実行させる
ことを特徴とする情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法、および情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、旅館、ホテル、飲食店などの施設を利用しようとするユーザは、一般にインターネットや電話などを通じて施設を予約することができる。施設事業者は、予約を行ったユーザに対して規約として前受金や解約料を要求する場合もあるが、ユーザが前受金や解約料を支払わずにキャンセルすることも多く、施設事業者側に損害が発生することがある。
【0003】
そこで、特許文献1には、施設利用予約システムへユーザから施設の予約があったときは、ユーザから前受金をカードによって徴収し、予約がキャンセルされたときは前受金を施設事業者側に解約料として支払う技術が提案されている。かかる施設利用予約システムでは、ユーザから前受金を徴収することから、予約がキャンセルされた場合において損害の発生を防止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−196406号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、一律に前受金や解約料を要求すると、キャンセルを行わないようなユーザであっても上記施設利用予約システムを利用した予約を躊躇し予約を控えるといった事態が発生する可能性がある。
【0006】
本願は、上記に鑑みてなされたものであって、予約のキャンセルに対する新たな仕組みの構築を可能とする情報処理装置、情報処理方法、および情報処理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願に係る情報処理装置は、取得部と、推定部とを備える。前記取得部は、施設の予約に関する情報である予約情報を取得する。前記推定部は、前記取得部によって取得された前記予約情報に基づいて、前記予約のキャンセルが発生するリスクを推定する。
【発明の効果】
【0008】
実施形態の一態様によれば、予約のキャンセルに対する新たな仕組の構築を可能とする情報処理装置、情報処理方法、および情報処理プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施形態に係る情報処理の説明図である。
図2図2は、実施形態に係る情報処理システムの構成の一例を示す図である。
図3図3は、実施形態に係る情報処理装置の構成の一例を示す図である。
図4図4は、実施形態に係るユーザ情報テーブルの一例を示す図である。
図5図5は、実施形態に係る予約情報テーブルの一例を示す図である。
図6図6は、実施形態に係る補償関連情報テーブルの一例を示す図である。
図7図7は、実施形態に係る情報処理装置における情報処理の一例を示すシーケンス図である。
図8図8は、実施形態に係る情報処理装置における情報処理の他の例を示すシーケンス図である。
図9図9は、実施形態に係るプログラムを実行するコンピュータのハードウェア構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本願に係る情報処理装置、情報処理方法、および情報処理プログラムを実施するための形態(以下、「実施形態」と呼ぶ)について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施形態により本願に係る情報処理装置、情報処理方法、および情報処理プログラムが限定されるものではない。
【0011】
〔1.情報処理〕
図1を用いて、実施形態に係る情報処理について説明する。図1は、実施形態に係る情報処理の説明図である。
【0012】
図1に示すように、ユーザが予約サーバに対し施設利用の予約を要求する予約要求を行うと(ステップS1)、予約サーバは、ユーザからの予約要求を受け付けて、予約要求に基づいて、予約要求にかかる予約を登録する(ステップS2)。また、予約サーバは、施設利用の予約に関する情報である予約情報を情報処理装置へ送信する(ステップS3)。
【0013】
情報処理装置は、予約サーバから予約情報を取得すると、取得された予約情報に基づいて、予約のキャンセルが発生するリスク(以下、キャンセルリスクと記載する)を推定するリスク推定処理を行う(ステップS4)。かかるリスク推定処理は、予約毎に行われる。
【0014】
情報処理装置は、リスク評価モデルを記憶している。情報処理装置は、かかるリスク評価モデルによってキャンセルリスクのスコア(以下、キャンセルスコアScと記載する)を演算することができる。かかるキャンセルスコアScがキャンセルリスクの推定値である。
【0015】
リスク評価モデルは、例えば、過去の予約情報を説明変数とし、過去のキャンセルの有無を教師データ(目的変数)として生成される。予約情報には、例えば、予約された施設の地域、予約された施設の利用期間、利用価格、利用される部屋の数や広さの情報が含まれており、これらの情報を説明変数としてリスク評価モデルを生成することができる。
【0016】
さらに、予約情報から得られる特徴情報に加え、予約したユーザの情報から得られる特徴情報を説明変数としてリスク評価モデルを生成することができる。予約情報には、ユーザの識別情報が含まれており、情報処理装置は、ユーザの識別情報に基づいて、ユーザの属性や行動履歴の情報を取得し、取得したユーザの属性や行動履歴を説明変数とすることができる。なお、予約情報に含まれるユーザの情報に、ユーザの属性や行動履歴の情報が含まれていてもよい。
【0017】
情報処理装置は、ステップS4で推定したキャンセルリスクに基づいて、予約がキャンセルされた場合に生じる損害の補填額と補償料を演算する(ステップS5)。情報処理装置は、例えば、キャンセルリスクと、補填額および補償料との関係を示す演算式またはテーブルを有しており、かかる演算式またはテーブルを用いて補償サービスにおける補填額および補償料を求めることができる。
【0018】
情報処理装置は、補償サービスにおける補填額および補償料の情報を含む補償情報を、予約サーバを介して施設を提供する事業者(以下、施設事業者と記載する)へ送信する(ステップS6)。施設事業者は、補填額および補償料を確認し、補償サービスへの加入の可否の判断を行う。施設事業者は、補償サービスへの加入を決定すると、予約サーバを介して情報処理装置へ補償サービスへの加入申請を行う(ステップS7)。
【0019】
情報処理装置は、補償サービスへの加入申請を受け付けると、ステップS1の予約要求に対する補償サービスへの施設事業者の加入処理を行う(ステップS8)。これにより、施設事業者は、補償料を支払った後、ユーザによって予約がキャンセルされた場合に、かかるキャンセルで発生した損害の補償を受けることができる。
【0020】
このように、実施形態に係る情報処理装置は、予約に関する情報である予約情報を取得し、かかる予約情報に基づいて、個々の予約に対するキャンセルリスクを推定することができる。そのため、予約のキャンセルのための補償サービスなどの提供が可能となり、予約のキャンセルが発生するリスクに応じた新たなサービスを施設事業者に提供することができる。
【0021】
なお、上述した例では、推定されたキャンセルリスクを補填額と補償料の演算に用いたが、推定されたキャンセルリスクの利用方法は、かかる例に限定されない。例えば、情報処理装置は、ユーザが予約を施設事業者へ申請した場合に、申請された予約のキャンセルリスクを推定することができる。
【0022】
そして、情報処理装置は、推定したキャンセルリスクの情報を施設事業者へ提供することで、施設事業者は、申請された予約を受け付けるかどうかの判断を行うことができ、また、前受金や解除料をユーザに課すかどうか判断することもできる。例えば、キャンセルリスクが低いユーザに対しては、前受金や解約料の支払いを要求しないようにすることで、予約を促進することができる。
【0023】
〔2.情報処理システム〕
図2は、実施形態に係る情報処理システムの構成の一例を示す図である。図2に示すように、実施形態に係る情報処理システム100は、情報処理装置1と、複数の端末装置2〜2(nは2以上の整数)と、予約サーバ3と、複数の施設装置4〜4(mは2以上の整数)と、保険業者サーバ5とを備える。保険業者サーバ5は、保険業者の装置である。
【0024】
これら情報処理装置1、複数の端末装置2〜2、予約サーバ3、複数の施設装置4〜4、および保険業者サーバ5は、ネットワーク6を介して有線または無線により互いに通信可能に接続される。ネットワーク6は、例えば、LAN(Local Area Network)や、インターネットなどのWAN(Wide Area Network)である。端末装置2〜2は、ユーザU〜Uによって操作される。
【0025】
以下においては、端末装置2〜2の各々を区別せずに示す場合、端末装置2と記載する。また、施設装置4〜4の各々を区別せずに示す場合、施設装置4と記載し、ユーザU〜Uの各々を区別せずに示す場合、ユーザUと記載する。
【0026】
端末装置2は、ユーザUの端末装置であり、スマートフォン、タブレット型端末、PDA(Personal Digital Assistant)、パーソナルコンピュータなどのスマートデバイス(通信端末)である。端末装置2は、ブラウザ、施設予約アプリケーションなどの各種のアプリケーションが実行可能である。端末装置2は、ブラウザ、施設予約アプリケーションなどのアプリケーションから、予約サーバ3にネットワーク6を介してアクセスし、各施設事業者が提供する施設を予約することができる。
【0027】
施設装置4は、施設事業者の装置であり、図2に示す例では、施設事業者毎に設けられる。施設事業者は、例えば、旅館、ホテル、ペンション、飲食店、マッサージ店、歯科医院、美容院などの施設を運営する事業者である。
【0028】
〔3.予約サーバ〕
図2に示すように、予約サーバ3は、通信部50と、記憶部51と、制御部52とを備える。通信部50は、ネットワーク6との間で情報の送受信を行う通信インターフェイスである。制御部52は、通信部50およびネットワーク6を介して、情報処理装置1、端末装置2、および施設装置4の各々との間で各種の情報を送受信することができる。
【0029】
記憶部51は、施設予約サービスに必要な各種の情報を記憶する。記憶部51は、例えば、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、または、HDD(Hard Disk Drive)、光ディスク等の記憶装置である。
【0030】
制御部52は、施設装置4から施設情報を取得し、記憶部51に記憶する。施設装置4の施設情報には、予約可能な施設の情報が含まれる。予約可能な施設の情報は、例えば、施設が宿泊施設である場合、予約可能な部屋の数、各部屋の広さ、各部屋の利用可能人数、各部屋の利用価格などの情報が含まれる。
【0031】
制御部52は、端末装置2からアクセスがあった場合、施設の予約をするための施設情報画面の情報を端末装置2へ提供する。端末装置2は、施設情報画面の情報を不図示の表示部に表示する。施設情報画面には、例えば、上述した予約可能な施設の情報が含まれる。ユーザUは、表示部に表示される施設情報画面を見ながら不図示の入力部への入力によって、施設の予約申請を予約サーバ3へ送信することができる。
【0032】
制御部52は、予約申請があった場合、予約申請の対象となる施設の施設装置4へ予約申請の情報を送信する。施設装置4は、予約サーバ3から送信された予約申請の情報に基づいて、予約の可否を判定し、予約が可能であると判定した場合、予約が可能であることを示す情報を予約サーバ3へ送信する。制御部52は、施設装置4から予約が可能であることを示す情報を取得すると、予約を確定するか否かを問い合わせる情報を端末装置2へ送信する。これにより、端末装置2の表示部には、予約確定ボタンが表示される。
【0033】
端末装置2のユーザUが予約確定ボタンを操作すると、端末装置2から予約要求が予約サーバ3へ送信される。制御部52は、予約要求を受け付けると、施設装置4へ予約要求があったことを示す情報を送信する。施設装置4は、予約要求があったことを示す情報を予約サーバ3から取得すると、予約を確定する。
【0034】
また、制御部52は、予約要求を受け付けると、予約情報を情報処理装置1へ送信する。情報処理装置1へ送信される予約情報には、例えば、予約を行ったユーザUのユーザID(identifier)、予約ID、予約の受付日時、および予約内容の情報が含まれる。予約内容の情報には、例えば、利用期間、施設名、施設の地域、利用人数、利用価格、利用部屋数、および利用する部屋の広さなどの情報が含まれる。
【0035】
また、制御部52は、情報処理装置1から補償情報を取得すると、取得した補償情報を施設装置4へ送信する。また、制御部52は、施設装置4から補償の申請があった場合に補償申請情報を情報処理装置1へ送信する。
【0036】
また、制御部52は、端末装置2から予約のキャンセルがあった場合、キャンセル要求を施設装置4へ送信し、その後、予約がキャンセル済であることを示すキャンセル済情報を取得すると、情報処理装置1へキャンセル情報を送信する。
【0037】
〔4.情報処理装置〕
図3は、実施形態に係る情報処理装置の構成の一例を示す図である。図3に示すように、情報処理装置1は、通信部10と、記憶部11と、制御部12(コントローラ)とを備える。以下、通信部10、記憶部11および制御部12を具体的に説明する。
【0038】
〔4.1.通信部〕
通信部10は、ネットワーク6との間で情報の送受信を行う通信インターフェイスである。制御部12は、通信部10およびネットワーク6を介して、端末装置2、予約サーバ3、および保険業者サーバ5の各々との間で各種の情報を送受信することができる。
【0039】
〔4.2.記憶部〕
記憶部11は、ユーザ情報DB20と、予約情報DB21と、補償情報DB22とを有する。記憶部11は、例えば、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、または、HDD、光ディスク等の記憶装置である。
【0040】
〔4.2.1.ユーザ情報DB〕
ユーザ情報DB20は、ユーザUの情報であるユーザ情報を複数含むユーザ情報テーブルを有する。ユーザUは、情報処理装置1の運営および管理を行う事業者が提供するサービスのユーザである。かかる事業者が提供するサービスは、ユーザUに対してオンラインでサービスを提供するオンラインサービスであり、例えば、予約サーバ3の施設予約サイトで提供される施設予約サービス、電子商取引サイトで提供される電子商取引サービス、オークションサイトで提供されるオークションサービス、動画配信サイトで提供される動画配信サービス、ニュースサイトで提供されるニュース配信サービスなどが含まれる。
【0041】
図4は、実施形態に係るユーザ情報テーブルの一例を示す図である。図4に示すユーザ情報テーブル41は、「ユーザID」、「デモグラフィック属性」、「サイコグラフィック属性」、および「行動履歴」などの情報が互いに関連付けられた情報である。
【0042】
「ユーザID」は、ユーザUの識別情報であり、図4に示す例では、ユーザU、U、UのユーザIDとして「U1」、「U2」、「U3」が設定される。かかるユーザIDは、上述したオンラインサービスに対するユーザUのアカウントである。なお、ユーザIDは、ユーザUを識別する情報であればよく、ユーザUが使用する端末装置2の識別情報をユーザIDとしてもよい。例えば、ユーザIDは、HTTP(Hypertext Transfer Protocol)クッキーで特定される識別情報であってもよい。
【0043】
「デモグラフィック属性」は、ユーザUの人口統計学的な属性の情報である。かかる「デモグラフィック属性」は、例えば、ユーザUの「性別」、「年齢」などの情報である。「性別」には、ユーザUが女性である場合には「1」が設定され、ユーザUが男性である場合には「2」が設定される。また、「年齢」には、ユーザUの年齢が設定される。なお、「デモグラフィック属性」は、図4に示した属性の例に限られず、ユーザUの職業、家族構成、年収、住所、出身地、学歴など様々な属性を含んでいてもよい。
【0044】
「サイコグラフィック属性」は、ユーザUの心理学的な属性の情報であり、例えば、ユーザUの価値観、ライフスタイル、性格、嗜好などの情報である。図4に示す例では、属性要素毎に、ユーザUの嗜好が相対的に高い場合に「1」が設定され、それ以外の場合には「0」が設定される。また、「サイコグラフィック属性」は、図4に示した属性の例に限られず、経済、政治、野球、サッカー、その他スポーツ、スイーツ、パソコン、白物家電、家具など様々な属性を含んでいてもよい。なお、属性の情報は、0と1の2段階に限定されず、3段階以上の値であってもよい。
【0045】
「行動履歴」は、上述した各種サイトでのユーザUの行動履歴の情報である。「行動履歴」は、例えば、施設予約サイトでの施設の予約の履歴、電子商取引サイトやオークションサイトでの商品またはサービスの購入履歴、動画配信サイトでの動画の視聴履歴、ニュースサイトで閲覧したニュースの履歴などである。また、「行動履歴」には、各サイトで提供される広告に対するアクション(例えば、クリック)などの情報が含まれる。
【0046】
〔4.2.2.予約情報DB〕
予約情報DB21は、施設事業者の施設の予約に関する情報である予約情報を複数含む予約情報テーブルを有する。図5は、実施形態に係る予約情報テーブルの一例を示す図である。図5に示す予約情報テーブル42は、「予約ID」、「ユーザID」、「受付日時」、「予約内容」、および「キャンセル情報」などの情報が互いに関連付けられた情報である。
【0047】
「予約ID」は、予約毎に割り当てられる固有の識別情報である。「ユーザID」は、ユーザU毎に割り当てられる固有の識別情報である。「受付日時」は、予約サーバ3によってユーザUから予約を受け付けた日時を示す情報である。
【0048】
「予約内容」は、予約サーバ3によってユーザUから受け付けられた予約の内容を示す情報である。「予約内容」には、利用期間、施設名、利用人数、施設の地域、利用価格、利用部屋数、利用する部屋の広さなどの情報が含まれる。
【0049】
利用期間は、ユーザUが施設を利用する期間である。施設名は、ユーザUが予約した施設の名称である。利用人数は、施設を利用する人数である。施設の地域は、ユーザUが予約した施設が位置する地域である。
【0050】
利用価格は、予約内容に従って施設を利用した場合にユーザUが施設事業者に支払う額である。例えば、予約された施設が宿泊施設である場合、予約の内容に飲食やマッサージなどが含まれる場合には、利用価格には、宿泊料に加え、食事やマッサージなどの料金が含まれる。また、予約された施設が飲食店の場合、利用価格は、施設内での飲食に必要な価格である。
【0051】
利用部屋数は、ユーザUが予約した部屋の数である。利用する部屋の広さは、ユーザUが予約した部屋の広さである。なお、予約された施設が飲食店の場合、利用部屋数に代えて、利用場所の種別(テーブル席、カウンター席、座敷など)の情報や、利用場所の広さなどが含まれる。
【0052】
「キャンセル情報」は、予約のキャンセルに関する情報であり、予約のキャンセルの有無を示す情報、および予約のキャンセルが受け付けられた日時であるキャンセル日時の情報を含む。
【0053】
〔4.2.3.補償情報DB〕
補償情報DB22は、予約に対する補償サービスに関する情報である補償関連情報を複数含む補償関連情報テーブルを有する。図6は、実施形態に係る補償関連情報テーブルの一例を示す図である。図6に示す補償関連情報テーブル43は、「予約ID」、「補償サービスの加入の有無」、「キャンセルスコア」、「補償料」、および「補填額」などの情報が互いに関連付けられた情報である。
【0054】
「予約ID」は、予約毎に割り当てられる固有の識別情報である。「キャンセルスコア」は、制御部12によって演算されるキャンセルスコアScの情報である。図6に示す例では、キャンセルスコアScを便宜上「Sc1」、「Sc2」、「Sc3」などと表しているが、キャンセルスコアScは数値化されたスコアである。
【0055】
「補償サービスの加入の有無」は、予約に対して施設事業者が補償サービスに加入しているか否かを示す情報である。図6に示す例では、予約ID「C1」の予約および予約ID「C3」の予約に対して各々施設事業者が補償サービスに加入しており、予約ID「C2」の予約に対して施設事業者が補償サービスに加入していないことを示している。「補償料」は、補償サービスの補償料の情報である。また、「補填額」は、補償サービスの補填額の情報である。
【0056】
〔4.3.制御部〕
制御部12は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、入出力ポートなどを有するマイクロコンピュータや各種の回路を含む。
【0057】
図3に示すように、制御部12は、取得部30と、生成部31と、推定部32と、決定部33と、受付部34と、提供部35と、補償処理部36とを備える。かかる取得部30、生成部31、推定部32、決定部33、受付部34、提供部35、および補償処理部36の機能は、例えば、制御部12のCPUが制御部12のRAM、ROM、または記憶部11に記憶されているプログラムを読み出して実行することにより実現される。
【0058】
なお、取得部30、生成部31、推定部32、決定部33、受付部34、提供部35、および補償処理部36は、それぞれ一部または全部がASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアで構成されてもよい。
【0059】
制御部12は、第1補償モードおよび第2補償モードのうち設定された補償モードで動作することができる。制御部12は、第1補償モードでは、情報処理装置1の運営者側によって補償を行う処理を行い、第2補償モードでは、保険業者の保険による補償を仲介する処理を行う。補償モードは、情報処理装置1の管理者によって設定されてもよく、また、施設事業者が予約サーバ3を介して情報処理装置1に施設事業者毎に設定してもよい。
【0060】
〔4.3.1.取得部〕
取得部30は、予約サーバ3から予約情報、補償申請情報、保険申請情報、およびキャンセル情報などを取得する。また、取得部30は、保険業者サーバ5から保険情報および保険金支払情報などを取得する。
【0061】
取得部30は、予約サーバ3から予約情報を取得すると、取得した予約情報を予約情報テーブル42に追加する。予約情報には、予約ID、ユーザID、受付日時、および予約内容の情報が含まれており、これらの情報が予約情報テーブル42に追加される。
【0062】
また、取得部30は、予約サーバ3からキャンセル情報を取得すると、取得したキャンセル情報を予約情報テーブル42に追加する。キャンセル情報には、予約ID、およびキャンセル日時の情報が含まれており、これらの情報に基づいて、予約のキャンセルが有りを示す情報、およびキャンセル日時の情報が予約情報テーブル42に追加される。
【0063】
また、取得部30は、不図示のサーバからユーザUのユーザ情報を取得することができる。取得部30は、ユーザ情報を取得すると、取得したユーザ情報をユーザ情報テーブル41へ追加する。なお、取得部30は、端末装置2からユーザ情報を取得することもでき、この場合も、取得したユーザ情報をユーザ情報テーブル41へ追加することができる。
【0064】
〔4.3.2.生成部〕
生成部31は、記憶部11に記憶されたユーザ情報および予約情報を用いた機械学習を実行し、予約に対するキャンセルのリスクを評価する学習モデルであるリスク評価モデルを生成する。生成部31は、生成したリスク評価モデルの情報を記憶部11に記憶する。
【0065】
例えば、生成部31は、予約に対するキャンセルの有無を目的変数(正解データ)とし、予約情報およびユーザ情報から抽出される各特徴情報を説明変数(素性)とする回帰モデルを学習モデルとして求めることができる。予約情報から抽出される特徴情報には、例えば、施設の利用期間、施設名、施設の地域、利用人数、利用価格、利用部屋数、利用する部屋の広さなどがある。
【0066】
また、ユーザ情報から抽出される特徴情報には、例えば、予約者であるユーザUの各属性、予約者であるユーザUの行動履歴などがある。ユーザUの属性は、上述したデモグラフィック属性やサイコグラフィック属性である。ユーザUの行動履歴は、サイトへのアクセス履歴、サイトでのサービスや商品の購入履歴などである。
【0067】
また、生成部31は、記憶部11に記憶した予約情報に基づいて、ユーザUの予約履歴やユーザUの他の施設の予約状況を説明変数とすることもできる。例えば、ユーザUによる過去の施設予約のキャンセル率、ユーザUが同じ期間に複数の施設を重複予約しているか否かの情報などである。
【0068】
生成部31は、例えば、予約に対するキャンセルの有無を目的変数(正解データ)とし、予約情報およびユーザ情報から抽出される各特徴情報を説明変数(素性)とする回帰モデルをリスク評価モデルとして求める。例えば、生成部31は、下記式(1)に示すような回帰モデルをリスク評価モデルとして求める。
y=ω・x+ω・x+・・・+ω・x ・・・(1)
【0069】
上記式(1)において、「x」は、予約情報およびユーザ情報から抽出される各特徴情報に対応する説明変数である。「y」は、予約に対するキャンセルの有無であり、予約に対するキャンセルがある場合には、「y」=「1」になり、予約に対するキャンセルがない場合には、「y」=「−1」または「0」になる。
【0070】
また、上記式(1)において、「ω」は、「x」の係数であり、所定の重み値を示す。具体的には、「ω」は、「x」の重み値であり、「ω」は、「x」の重み値であり、「ω」は、「x」の重み値である。このように、上記式(1)は、予約情報およびユーザ情報から抽出された特徴情報に対応する説明変数「x」と、所定の重み値「ω」とを含む変数(例えば、「ω・x1」)を組合せることにより作成される。
【0071】
なお、生成部31は、説明変数として扱う情報は、上述した例に限定されない。例えば、生成部31は、施設の利用日の予測される天候、および施設の利用日の曜日といった情報も説明変数として扱うことができる。例えば、施設の利用日で予測される天候が悪い(例えば、暴風、台風、寒波など)とキャンセルの可能性が高くなるため、施設の利用日で予測される天候を説明変数とすることで、キャンセルリスクの推定精度を高めることができる。
【0072】
また、生成部31は、受付日時と利用日時との差を説明変数とすることもできる。これは、受付日時と利用日時との差でキャンセルの確率が変わることがあるためである。例えば、受付日時が利用日時の直前である場合、受付日時が利用日時から離れている場合に比べて、予約がキャンセルされる可能性は低い。そのため、受付日時と利用日時との差を説明変数とすることで、キャンセルリスクの推定精度を高めることができる。
【0073】
また、生成部31は、周辺の施設の予約状況(例えば、予約率)、利用日時におけるイベント(音楽イベント、スポーツイベント、コミックマーケットなど)の種類毎の開催の有無などをそれぞれ説明変数とすることもできる。
【0074】
なお、生成部31は、全ての施設に共通のリスク評価モデルを生成することもでき、n(nは自然数)以上の施設毎や施設の種別(例えば、ホテル、旅館、ペンションなどの宿泊施設の種別、中華、和食、イタリアンなどの飲食店の種別)毎にリスク評価モデルを生成することもできる。また、生成部31は、季節毎にリスク評価モデルを生成することもできる。また、生成部31は、ユーザ情報を用いずにリスク評価モデルを生成することもできる。
【0075】
また、生成部31は、SVM(Support Vector Machine)やその他の機械学習法を用いて、リスク評価モデルを生成することもできる。また、生成部31は、深層学習(ディープラーニング)の技術を用いてリスク評価モデルを生成することもできる。例えば、生成部31は、DNN(Deep Neural Network)やRNN(Recurrent Neural Network)やCNN(Convolutional Neural Network)等の種々のディープラーニングの技術を適宜用いてリスク評価モデルを生成することができる。
【0076】
〔4.3.3.推定部〕
推定部32は、取得部30によって取得された予約情報に基づいて、キャンセルリスクを推定する。例えば、推定部32は、取得部30によって取得された予約情報に含まれるユーザIDに関連付けられたユーザUの属性情報や行動履歴を含むユーザ情報を記憶部11から抽出する。
【0077】
そして、推定部32は、抽出したユーザ情報と取得部30によって取得された予約情報から抽出される複数の特徴情報を説明変数とする上記式(1)のリスク評価モデルを用いて、キャンセルスコアScを演算することができる。具体的には、推定部32は、下記式(2)の演算によって、キャンセルスコアScを演算することができる。推定部32は、演算した結果を補償関連情報テーブル43に追加する。
Sc=ω・x+ω・x+・・・+ω・x ・・・(2)
【0078】
〔4.3.4.決定部〕
決定部33は、補償モードが第1補償モードに設定されている場合に、推定部32によって推定されたキャンセルスコアScに基づいて、予約のキャンセルに対する補填額および補償料を決定する。
【0079】
決定部33は、キャンセルスコアScと、補填額および補償料との関係を示す演算式またはテーブルを有しており、かかる演算式またはテーブルを用いて補償サービスにおける補填額および補償料を求めることができる。
【0080】
なお、決定部33は、キャンセルスコアScと予約された施設の利用価格とに基づいて、補償サービスにおける補填額および補償料を求めることもできる。例えば、決定部33は、キャンセルスコアScと補償料との関係を示す演算式またはテーブルを有しており、かかる演算式またはテーブルを用いてキャンセルスコアScに対応する補償料を求める。そして、決定部33は、キャンセルスコアに対応する補償料に、予約された施設の利用価格を乗算することで、補償サービスにおける補償料を演算することができる。この場合、施設の利用価格が補填額となる。
【0081】
また、施設事業者から補填額の指定がある場合、決定部33は、「予約された施設の利用価格」に代えて「指定された補填額」を用いることができる。この場合、決定部33は、キャンセルスコアScに対応する補償料に、指定された補填額を乗算することで、補償サービスにおける補償料を演算することができる。なお、補償サービスにおける補償料の演算は、上述した例に限定されず、キャンセルスコアScに基づいて算出される補償料であればよい。また、決定部33は、補償サービスにおける補償料のみを決定することもできる。
【0082】
また、決定部33は、利用日時が受付日時に近いほど補償料が高くなるように補償料を決定することができる。これは、利用日時が受付日時に近いほど予約がキャンセルされたことによる損害の発生確率が高くなるからである。この場合、決定部33は、上述のように演算した補償料を基本補償料として求め、基本補償料に利用日時が受付日時に近いほど大きくなる係数を乗算することで、補償サービスにおける補償料を求めることができる。
【0083】
また、決定部33は、一括補償サービスに加入している施設の予約のキャンセルに対する補償の補償料を低くすることができる。一括補償サービスとは、予約毎に補償サービスへの加入申請をすることなく、施設の予約のキャンセルに対する補償を行うサービスであり、施設事業者によって予約サーバ3を介して情報処理装置1へ事前に加入申請が行われる。
【0084】
決定部33は、一括補償サービスに加入している施設の予約に対し、上述のように演算した補償料を基本補償料として求め、基本補償料に割引係数(1より小さい値)を乗算することで、補償サービスにおける補償料を求めることができる。
【0085】
〔4.3.5.受付部〕
受付部34は、予約毎に補償サービスへの加入申請を受け付ける。具体的には、受付部34は、予約サーバ3から送信される補償申請情報を取得し、補償関連情報テーブル43において、予約サーバ3から取得した補償申請情報に含まれる予約IDに関連付けられる「補償サービスの加入の有無」を「有」に設定する。これにより、補償サービスへの加入申請が受け付けられる。なお、補償モードが第2補償モードに設定されている場合、補償申請情報は、保険申請情報である。
【0086】
〔4.3.6.提供部〕
提供部35は、補償モードが第1補償モードに設定されている場合に、決定部33によって決定された補填額および補償料の情報である補償情報を予約サーバ3へ送信する。これにより、予約サーバ3から端末装置2へ補償情報が送信される。
【0087】
また、提供部35は、補償モードが第2補償モードに設定されている場合、受付部34によって取得された保険申請情報を保険業者サーバ5へ送信することで、保険申請情報を保険業者に提供する。保険申請情報は、補償申請情報の一例である。
【0088】
また、提供部35は、補償モードが第2補償モードに設定されている場合、保険業者サーバ5から取得部30で取得された保険情報を予約サーバ3へ送信する。これにより、予約サーバ3から端末装置2へ補償情報が送信される。保険情報は、補償情報の一例であり、保険情報には、推定部32によって演算されたキャンセルスコアScに基づいて保険業者によって決定された保険額および保険料の情報が含まれる。保険額は、補償額の一例であり、保険料は、補償料の一例である。
【0089】
また、提供部35は、補償モードが第2補償モードに設定されている場合、推定部32によって演算されたキャンセルリスクの情報を含むリスク情報を保険業者サーバ5へ送信する。キャンセルリスクの情報は、例えば、キャンセルスコアScの情報である。なお、キャンセルリスクの情報には、予約情報に含まれる利用価格の情報を含んでいてもよい。
【0090】
〔4.3.7.補償処理部〕
補償処理部36は、取得部30によってキャンセル情報を取得した場合、キャンセルに対する補償を実行するための処理を行う。
【0091】
例えば、補償処理部36は、補償モードが第1補償モードに設定されている場合、取得部30によって取得されたキャンセル情報に基づいて、補填額に対応する補償金を支払うか否かの判定を行う。補償処理部36は、予約に対するキャンセルが補償規約の条件を満たす場合に、補償金を支払うと判定し、予約に対するキャンセルが補償規約の条件を満たさない場合に、補償金を支払わないと判定する。
【0092】
補償処理部36は、例えば、補償料の支払いが予め設定された期間に行われていない場合や、予約に対するキャンセルによって損害が発生したことを証明することができない場合に、補償規約の条件を満たさないと判定する。なお、予約に対するキャンセルによって発生する損害は、例えば、予約に対するキャンセルが発生した場合に空き状態になった客室や席などが、キャンセルされた利用日時に利用されない場合に発生する。
【0093】
補償処理部36は、補填額に対応する補償金を支払うと判定した場合、キャンセル情報に含まれる予約IDに基づいて、補償情報DB22に記憶された補填額の情報を取得する。補償処理部36は、取得した補填額の情報に基づいて、補填額の補償金を金融機関のサーバを介して施設事業者へ送金することができる。
【0094】
また、補償処理部36は、補償モードが第2補償モードに設定されている場合、取得部30によって取得されたキャンセル情報を保険業者サーバ5へ送信する。これにより、保険業者サーバ5によってキャンセルに対する補償処理が実行される。
【0095】
〔5.情報処理システムの処理手順〕
図7を用いて、情報処理装置1において補償モードが第1補償モードに設定されている場合における情報処理の手順の一例について説明する。図7は、実施形態に係る情報処理装置における情報処理の一例を示すシーケンス図である。
【0096】
図7に示すように、端末装置2から施設の予約申請が予約サーバ3へ送信されると(ステップS10)、予約サーバ3の制御部52は、予約受入確認を施設装置4に要求する(ステップS11)。施設装置4は、施設の予約を受け入れ可能か否かを判定し(ステップS12)、施設の予約を受け入れ可能と判定した場合、受入可を示す情報を予約サーバ3へ送信する(ステップS13)。
【0097】
予約サーバ3の制御部52は、予約を確定するか否かを問い合わせる情報を端末装置2へ送信する(ステップS14)。端末装置2は、予約を確定するか否かを問い合わせる情報を取得した場合、例えば、予約確定ボタンを表示する。端末装置2のユーザUは、予約を確定する場合、例えば、予約確定ボタンを操作することで、端末装置2から予約要求が送信される(ステップS15)。予約サーバ3の制御部52は、端末装置2から予約要求を取得すると、予約情報を施設装置4および情報処理装置1へ送信する(ステップS16,S18)。施設装置4は、予約サーバ3から取得した予約情報に基づいて、予約処理を行って予約内容などを登録する(ステップS17)。
【0098】
情報処理装置1の制御部12は、予約サーバ3から予約情報を取得すると、取得した予約情報に基づいて、キャンセルリスクを推定し(ステップS19)、推定したキャンセルリスクに基づいて、予約のキャンセルに対する補填額と補償料を決定する(ステップS20)。そして、情報処理装置1の制御部12は、補填額の情報および補償料の情報を含む補償情報を予約サーバ3へ送信する(ステップS21)。
【0099】
予約サーバ3の制御部52は、情報処理装置1から補償情報を取得すると、かかる補償情報を施設装置4へ送信する(ステップS22)。施設装置4の施設事業者は、補償情報を確認し、補償情報で特定される補償料および補填額での補償サービスに加入するか否かを決定する。施設事業者は、補償サービスに加入すると決定した場合(ステップS23)、補償サービスへの加入申請を示す情報を予約サーバ3へ送信する(ステップS24)。
【0100】
予約サーバ3の制御部52は、補償サービスへの加入申請を示す情報を取得すると、加入申請の対象となる予約の予約IDを含む補償申請情報を情報処理装置1へ送信する(ステップS25)。情報処理装置1の制御部12は、予約サーバ3から補償申請情報を取得すると、補償申請情報に基づいて、補償サービスへの加入処理を実行する(ステップS26)。
【0101】
その後、端末装置2のユーザUが端末装置2からステップS15で行った施設の予約のキャンセルを予約サーバ3へ要求すると(ステップS27)、予約サーバ3の制御部52は、施設装置4へキャンセル要求を行う(ステップS28)。施設装置4は、予約サーバ3からのキャンセル要求に基づいてキャンセル処理を実行する(ステップS29)。キャンセル処理は、例えば、ステップS17で行った予約内容の登録を取り消すことによって行われる。
【0102】
施設装置4は、キャンセル処理をした後、予約がキャンセル済であることを示すキャンセル済情報を予約サーバ3へ送信する(ステップS30)。予約サーバ3の制御部52は、施設装置4からキャンセル済情報を取得すると、キャンセルされた予約の予約IDを含むキャンセル情報を情報処理装置1へ送信する(ステップS31)。
【0103】
情報処理装置1の制御部12は、キャンセル情報を取得すると、補償金を支払うか否かを判定する(ステップS32)。情報処理装置1の制御部12は、補償金を支払うと判定すると、補償情報DB22に記憶された補填額の情報に基づいて、補填額を金融機関のサーバを介して施設事業者へ送金することで、施設事業者への補償金の支払いを行う(ステップS33)。
【0104】
次に、図8を用いて、情報処理装置1において補償モードが第2補償モードに設定されている場合における情報処理の手順の一例について説明する。図8は、実施形態に係る情報処理装置における情報処理の他の例を示すシーケンス図である。なお、図8では、図7に示すステップS10〜14の処理は省略している。また、図8に示すステップS40〜S44,S55〜S59の処理は、図7に示すステップS15〜S19,S27〜S31の処理と同様であり、説明を省略する。
【0105】
図8に示すように、情報処理装置1の制御部12は、ステップS44においてキャンセルリスクを推定した後、キャンセルリスクの情報を含むリスク情報を保険業者サーバ5へ送信する(ステップS45)。保険業者サーバ5は、情報処理装置1からリスク情報を取得すると、リスク情報に含まれるキャンセルリスクに基づいて、予約のキャンセルに対する保険額(補填額の一例)および保険料(補償料の一例)を決定する(ステップS46)。
【0106】
そして、保険業者サーバ5は、決定した保険額の情報および保険料の情報を含む保険情報(補償情報の一例)を情報処理装置1へ送信する(ステップS47)。情報処理装置1の制御部12は、保険業者サーバ5から取得した保険情報を予約サーバ3へ送信する(ステップS48)。予約サーバ3の制御部52は、保険業者サーバ5から情報処理装置1を介して取得した保険情報を施設装置4へ送信する(ステップS49)。
【0107】
施設装置4の施設事業者は、保険情報を確認し、保険情報で特定される保険額および保険料での保険サービス(補償サービスの一例)に加入するか否かを決定する。施設事業者は保険サービスに加入すると決定した場合(ステップS50)、保険サービスへの加入申請を示す情報を予約サーバ3へ送信する(ステップS51)。
【0108】
予約サーバ3の制御部52は、保険サービスへの加入申請を示す情報を取得すると、加入申請の対象となる予約の予約IDを含む保険申請情報(補償申請情報の一例)を情報処理装置1へ送信する(ステップS52)。情報処理装置1の制御部12は、予約サーバ3から取得した保険申請情報を保険業者サーバ5へ送信する(ステップS53)。保険業者サーバ5は、情報処理装置1から取得した保険申請情報に基づいて、保険サービスへの加入処理を実行する(ステップS54)。
【0109】
また、情報処理装置1の制御部12は、ステップS59にて予約サーバ3からキャンセル情報を取得すると、かかるキャンセル情報を保険業者サーバ5へ送信する(ステップS60)。保険業者サーバ5は、キャンセル情報を取得すると、保険金(補償金の一例)を支払うか否かを判定する(ステップS61)。保険業者サーバ5は、保険金を支払うと判定すると、保険金を金融機関のサーバを介して施設事業者へ送金することで、施設事業者への保険金の支払いを行う(ステップS62)。また、保険業者サーバ5は、施設事業者への保険金を支払ったことを示す保険金支払情報を情報処理装置1へ送信する(ステップS63)。
【0110】
〔6.その他〕
上述した情報処理システム100では、施設の予約が行われた後に、キャンセルリスクを演算し、演算したキャンセルリスクに基づく補償料(保険料を含む)や補填額(保険額を含む)を決定するが、かかる例に限定されない。
【0111】
例えば、情報処理装置1は、施設の予約が申請された場合に、キャンセルリスクを演算することができる。例えば、情報処理装置1の制御部12は、予約処理が完了する前の予約に関する情報を予約情報として予約サーバ3から取得することができる。この場合、情報処理装置1の制御部12は、予約処理が完了する前の予約に関する情報を予約情報としてキャンセルリスクを推定することができる。
【0112】
そして、情報処理装置1または保険業者サーバ5は、演算されたキャンセルリスクに基づく補償料や補填額を決定することができる。情報処理装置1は、決定された補償料や補填額の情報を含む補償情報を予約サーバ3へ提供する。予約サーバ3は、情報処理装置1から取得した補償情報を施設装置4へ送信する。これにより、施設装置4の施設事業者は、補償情報に基づいて、補償サービスに加入するか否かに加え、予約を受け付けるかどうかも判断することができる。
【0113】
また、上述した情報処理システム100では、キャンセルリスクを補償サービスに用いるが、キャンセルリスクを補償サービス以外に用いることもできる。例えば、情報処理装置1の制御部12は、予約処理が完了する前の予約に関する情報を予約情報としてキャンセルリスクを推定する。情報処理装置1の制御部12は、推定したキャンセルリスクの情報を予約サーバ3へ送信する。なお、情報処理装置1の制御部12は、キャンセルリスクが所定値以上の場合に、キャンセルリスクの情報を予約サーバ3へ送信することもできる。
【0114】
予約サーバ3の制御部52は、キャンセルリスクの情報を取得した場合、施設装置4へキャンセルリスクの情報を送信することができる。これにより、施設事業者は、キャンセルリスクの情報に基づいて、予約を受け付けるかどうかを判断することができる。なお、予約サーバ3の制御部52は、キャンセルリスクが所定値以上の場合、予約を受け付けないこともできる。
【0115】
また、予約サーバ3の制御部52または施設装置4は、キャンセルリスクの情報に基づいて、利用価格を変更することもできる。例えば、予約サーバ3の制御部52または施設装置4は、キャンセルリスクが低いほど利用価格を下げることができる。また、予約サーバ3の制御部52または施設装置4は、キャンセルリスクが高いほど利用価格を上げることができる。
【0116】
〔7.ハードウェア構成〕
上述した実施形態における情報処理装置1は、それぞれ例えば図9に示すような構成のコンピュータ200がプログラムを実行することによって実現される。
【0117】
図9は、実施形態に係るプログラムを実行するコンピュータのハードウェア構成の一例を示す図である。コンピュータ200は、CPU201、RAM202、ROM203、HDD204、通信インターフェイス(I/F)205、入出力インターフェイス(I/F)206、およびメディアインターフェイス(I/F)207を備える。
【0118】
CPU201は、ROM203またはHDD204に格納されたプログラムに基づいて動作し、各部の制御を行う。ROM203は、コンピュータ200の起動時にCPU201によって実行されるブートプログラムや、コンピュータ200のハードウェアに依存するプログラム等を格納する。
【0119】
HDD204は、CPU201によって実行されるプログラムによって使用されるデータ等を格納する。通信インターフェイス205は、通信部10に対応し、ネットワーク6を介して他の機器からデータを受信してCPU201へ送り、CPU201が生成したデータを、ネットワーク6を介して他の機器へ送信する。
【0120】
CPU201は、入出力インターフェイス206を介して、ディスプレイやプリンタ等の出力装置、および、キーボードやマウス等の入力装置を制御する。CPU201は、入出力インターフェイス206を介して、入力装置からデータを取得する。また、CPU201は、生成したデータを、入出力インターフェイス206を介して出力装置へ出力する。
【0121】
メディアインターフェイス207は、記録媒体208に格納されたプログラムまたはデータを読み取り、RAM202を介してCPU201に提供する。CPU201は、当該プログラムを、メディアインターフェイス207を介して記録媒体208からRAM202上にロードし、ロードしたプログラムを実行する。記録媒体208は、例えばDVD(Digital Versatile Disc)、PD(Phase change rewritable Disk)等の光学記録媒体、MO(Magneto-Optical disk)等の光磁気記録媒体、テープ媒体、磁気記録媒体、または半導体メモリ等である。
【0122】
コンピュータ200のCPU201は、RAM202上にロードされたプログラムを実行することにより、上述した取得部30、生成部31、推定部32、決定部33、受付部34、提供部35、および補償処理部36の機能を実現することができる。また、かかる取得部30、生成部31、推定部32、決定部33、受付部34、提供部35、および補償処理部36は、それぞれ一部または全部がハードウェアのみで構成されてもよい。
【0123】
コンピュータ200のCPU201は、プログラムを、記録媒体208から読み取って実行するが、他の例として、他の装置から、ネットワーク6を介してこれらのプログラムを取得してもよい。なお、HDD204は、記憶部11に対応し、記憶部11と同様のデータを記憶する。また、HDD204に代えて、RAM、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、または、光ディスク等の記憶装置を用いてもよい。
【0124】
〔8.効果〕
実施形態に係る情報処理装置1は、取得部30と、推定部32とを備える。取得部30は、施設の予約に関する情報である予約情報を取得する。推定部32は、取得部30によって取得された予約情報に基づいて、予約のキャンセルが発生するリスクであるキャンセルリスクを推定する。これにより、予約のキャンセルに対する新たな仕組の構築を可能とすることができる。例えば、予約のキャンセルのための補償サービスなどの提供が可能となり、キャンセルリスクに応じた新たなサービスを施設事業者に提供することができる。
【0125】
また、推定部32は、施設の予約のキャンセルの有無に基づいて生成されるモデルであって取得部30によって取得された予約情報が入力された場合に予約のキャンセルが発生するリスクの度合いを示すスコアを出力するリスク評価モデルを用いて、キャンセルリスクを推定する。このように、リスク評価モデルを用いてキャンセルスコアScを演算することで、キャンセルリスクを精度よく推定することができる。
【0126】
また、推定部は、施設を予約したユーザの属性、予約の内容、ユーザの他の施設の予約状況、および施設の利用日までの期間のうち少なくとも一つをリスク評価モデルへの入力として、キャンセルスコアScを演算する。これにより、キャンセルリスクを精度よく推定することができる。
【0127】
また、情報処理装置1は、提供部35と、受付部34とを備える。提供部35は、施設を提供する事業者にキャンセルスコアScに応じた補償料の情報を提供する。受付部34は、施設事業者からキャンセルに対する補償を行う補償サービスへの加入申請を受け付ける。これにより、施設のキャンセルに対する補償を行う補償サービスを施設事業者に提供することができる。
【0128】
また、受付部34は、予約毎に補償サービスへの加入申請を受け付ける。これにより、補償サービスに加入する施設事業者の利便性を向上させることができる。
【0129】
また、情報処理装置1は、施設の利用日時が近いほど高くなるように補償料を決定する決定部33を備える。提供部35は、決定部33によって決定された補償料の情報を施設事業者に提供する。これにより、損害の発生確率が高くなるほど補償料を高くすることができる。例えば、決定部33は、予約の受付日時と施設の利用日時との差が閾値(例えば、2時間前や当日)以上である場合には、施設の利用日時が近いほど高くなるように補償料を決定する。また、決定部33は、予約の受付日時と施設の利用日時との差が閾値未満である場合、予約の受付日時と施設の利用日時との差が閾値である場合よりも、補償料を低くすることもできる。
【0130】
また、情報処理装置1は、キャンセルが発生した場合に、キャンセルに対する補償を実行するための処理を行う補償処理部36を備える。これにより、例えば、保険業者を介さない補償サービスを施設事業者に提供することができる。
【0131】
また、提供部35は、受付部34によって補償サービスへの加入申請が受け付けられた場合に、補償サービスとして保険サービスを提供する保険業者の装置へ保険サービスへの加入申請を示す情報を提供する。これにより、保険業者と連携した補償サービスを施設事業者に提供することができる。
【0132】
また、上述した情報処理装置1は、それぞれ複数のサーバコンピュータで実現してもよく、また、機能によっては外部のプラットフォーム等をAPI(Application Programming Interface)やネットワークコンピューティングなどで呼び出して実現するなど、構成は柔軟に変更できる。
【0133】
また、上記してきた「部(section、module、unit)」は、「手段」や「回路」などに読み替えることができる。例えば、取得部は、取得手段や取得回路に読み替えることができる。
【0134】
以上、上記実施形態を用いて本発明を説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されない。上記実施形態に多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者には明らかである。また、そのような変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0135】
1 情報処理装置
2,2〜2 端末装置
3 予約サーバ
4,4〜4 施設装置
5 保険業者サーバ
6 ネットワーク
10,50 通信部
11,51 記憶部
12,52 制御部
20 ユーザ情報DB
21 予約情報DB
22 補償情報DB
30 取得部
31 生成部
32 推定部
33 決定部
34 受付部
35 提供部
36 補償処理部
41 ユーザ情報テーブル
42 予約情報テーブル
43 補償関連情報テーブル
100 情報処理システム
【要約】
【課題】予約のキャンセルに対する新たな仕組みの構築を可能とする情報処理装置、情報処理方法、および情報処理プログラムを提供すること。
【解決手段】実施の形態に係る情報処理装置は、取得部と、推定部とを備える。取得部は、施設の予約に関する情報である予約情報を取得する。推定部は、取得部によって取得された予約情報に基づいて、予約のキャンセルが発生するリスクを推定する。
【選択図】図3
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9