特許第6530153号(P6530153)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6530153
(24)【登録日】2019年5月24日
(45)【発行日】2019年6月12日
(54)【発明の名称】ペット用サスペンダー
(51)【国際特許分類】
   A01K 23/00 20060101AFI20190531BHJP
   A01K 13/00 20060101ALI20190531BHJP
【FI】
   A01K23/00 Z
   A01K13/00 A
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2019-16626(P2019-16626)
(22)【出願日】2019年2月1日
【審査請求日】2019年2月7日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】513163063
【氏名又は名称】岡峰 正治
(73)【特許権者】
【識別番号】516231305
【氏名又は名称】岡峰 正純
(74)【代理人】
【識別番号】100074251
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 寛
(74)【代理人】
【識別番号】100066223
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 政美
(72)【発明者】
【氏名】岡峰 正治
【審査官】 田辺 義拓
(56)【参考文献】
【文献】 登録実用新案第3166402(JP,U)
【文献】 米国特許第04969419(US,A)
【文献】 米国特許出願公開第2018/0221223(US,A1)
【文献】 特開平09−140287(JP,A)
【文献】 特許第4467512(JP,B2)
【文献】 米国特許第06142105(US,A)
【文献】 実開平04−091665(JP,U)
【文献】 特開2004−254537(JP,A)
【文献】 特開平10−257833(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 13/00,23/00,27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペット用のおむつに装着するペット用サスペンダーにおいて、ペットの前脚を挿通する左右一対の脚掛け部と、各脚掛け部からペットの背中側に配される背中部と、該背中部に着脱自在に連結される長さ調整自在な複数本のベルト体とを備え、該ベルト体でおむつの背中側と腹側とを連結するように構成し、脚掛け部に、ペットの胸に係止する胸掛け部を設け、該胸掛け部と脚掛け部との境界部分に長さ調整具を装着したことを特徴とするペット用サスペンダー。
【請求項2】
前記ベルト体は前記背中部に装着されたバックルに着脱自在に連結され、前記おむつの背中側に連結する背部ベルトと、前記おむつの腹側に連結する左右一対の腹部ベルトと、で構成される請求項1記載のペット用サスペンダー。
【請求項3】
前記背中部に長さ調整具を装着した請求項1記載のペット用サスペンダー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、犬や猫等のペットに穿かせたおむつが外れないように装着するペット用サスペンダーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
犬や猫等のペットでも、高齢化でぼけてしまったり、病気やけがなどで歩行が困難になったりすると、自主的なトイレの使用が困難になるので、ペット用おむつを穿かせて対応することがある。
【0003】
例えば、特許文献1に記載のペット用おむつは、パンツ本体(おむつ)と、該パンツ本体に取り付けられるサスペンダーとを備えた構成である。このサスペンダーは、使用時のおむつがずれないように装着するもので、サスペンダーの構成は、ペットの首部に掛ける首掛け部と、この首掛け部から背中側でおむつに連結する背中側部と、首掛け部から腹側でおむつに連結する腹側部とを備えたものである。
【0004】
また、特許文献2にも、おむつとサスペンダーとから成る動物用パンツが示されている。このサスペンダーは、ペットの首に巻き付ける首輪バンドと、この首輪バンドからペットの背中側でおむつに連結する後部バンドと、腹側でおむつに連結する前部バンドとを備えたものである。
【0005】
一方、ペット用のおむつが一般に市販されており、このおむつに装着する各種のサスペンダーも市販されている。これら市販のサスペンダーの構成においても、特許文献1、2と同様に、ペットの首に掛けるループ状の首掛け部に連結バンドを連結する構成である。特に、市販のサスペンダーには、連結バンドを背中側のみに配置し、腹側の連結バンドは使用しない構成がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第4467512号公報
【特許文献2】特開平9-140287号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、いずれのサスペンダーも、首輪のようにペットの首に巻き付ける構成なので、おむつを連結するサスペンダーとして使用すると、ペットに多くのストレスを与える虞があった。
【0008】
すなわち、ペットがおむつを穿かされると、これを嫌がって外そうとする場合がある。このとき、外そうとするおむつに加わる負荷がサスペンダーを介してペットの首部に加わることになる。そのため、首が締付けられた状態になり、ペットに多くのストレスを与えることになる。
【0009】
しかも、特許文献1、2のようにペットの腹側にバンドを配置すると、おむつを外そうとするペットの足が、このバンドに引っかかってしまい、この足の指や爪を損傷する虞が生じるなどの危険性もある。
【0010】
また、市販のサスペンダーにあるように、腹側に連結バンドが配置されない構成では、腹側の連結バンドに足を絡ませる虞はなくなるが、腹側のおむつがフリーな状態になるので、この腹側のおむつに位置ずれが生じる虞が高くなる。
【0011】
犬や猫のように四つ足で歩く動物にとって、特におむつの腹側はずれやすい状態になり易い。しかも、腹側のおむつがずれてしまうと、排尿時におむつが局部から外れて尿が外に漏れ出る可能性が高くなり、確実なサポートが困難になる虞もある。
【0012】
このように、従来のサスペンダーは、ペットに過重なストレスを与える虞があり、また、ストレスを軽減すると、確実なサポートが困難になる虞が生じる。
【0013】
そこで、本発明は上述の課題を解消すべく創出されたもので、ペットに穿かせたおむつの脱落やずれを確実に防止すると共に、ペットに与えるストレスを軽減することができるペット用サスペンダーの提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上述の目的を達成すべく本発明における第1の手段は、ペット用のおむつPに装着するペット用サスペンダーにおいて、ペットの前脚を挿通する左右一対の脚掛け部1と、各脚掛け部1からペットの背中側に配される背中部3と、該背中部3に着脱自在に連結される長さ調整自在な複数本のベルト体4とを備え、該ベルト体4でおむつPの背中側と腹側とを連結するように構成し、脚掛け部1に、ペットの胸に係止する胸掛け部2を設け、該胸掛け部2と脚掛け部1との境界部分に長さ調整具1Aを装着したことにある。
【0015】
本発明の第2の手段において、前記ベルト体4は前記背中部3に装着されたバックル5に着脱自在に連結され、前記おむつPの背中側に連結する背部ベルト4Aと、前記おむつPの腹側に連結する左右一対の腹部ベルト4Bとで構成されるものである。
【0017】
本発明の第の手段は、前記背中部3に長さ調整具3Aを装着した構成にある。
【発明の効果】
【0018】
本発明の請求項1のように、ペットの前脚を挿通する左右一対の脚掛け部1と、各脚掛け部1からペットの背中側に配される背中部3と、該背中部3に着脱自在に連結される複数本のベルト体4とを備え、該ベルト体4でおむつPの背中側と腹側とを支持するように構成したことにより、ペットがおむつPを取り外そうとしておむつPに荷重を加えたとしても、この荷重はペットの左右の前脚に分散されることになる。したがって、従来のように、おむつPを取り外そうとする荷重がペットの首に集中することがなくなり、ペットのストレスを著しく軽減することができる。
また、脚掛け部1に、ペットの胸に係止する胸掛け部2を設け、該胸掛け部2と脚掛け部1との境界部分に長さ調整具1Aを装着した構成により、ペットの品種や年齢等により異なる体型に応じて、脚掛け部1や胸掛け部2の長さを最適な位置に調整することができる
【0019】
しかも、背中部3に連結されるベルト体4でおむつPの背中側と腹側とに連結する構成なので、おむつPの背中側のベルト体4は勿論のこと、おむつPの腹側に連結するベルト体4の位置においてもペットの足が届き難い位置になる。このため、腹側のベルト体4においてもペットの足がかかり難くなり、足の指や爪を損傷するなどの危険性が軽減した。
【0020】
請求項2のごとく、ベルト体4は背中部3に装着されたバックル5に着脱自在に連結され、おむつPの背中側に連結する背部ベルト4Aと、おむつPの腹側に連結する左右一対の腹部ベルト4Bと、で構成されているので、最低3カ所のベルト体4の連結により、おむつPを確実に支持することが可能になる。
【0021】
更に、ベルト体4をバックル5に着脱自在に連結する構造により、予めおむつPにベルト体4を連結しておき、このおむつPをペットに穿かせた後で各ベルト体4をバックル5に連結することができる。このような作業により、おむつPと本発明サスペンダーとの連結作業を極めて容易に行うことが可能になった。
【0023】
請求項のように、背中部3に長さ調整具3Aを装着した構成によって、ペットの品種や年齢等により異なる体型に応じて、背中部3の長さを最適な位置に調整することができる。
【0024】
このように、本発明によると、ペットに穿かせたおむつの脱落やずれを確実に防止すると共に、ペットに与えるストレスを軽減することができるなどといった当初の目的を達成した。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の一実施例を示す斜視図である。
図2】本発明の一実施例を示す平面図である。
図3】本発明の長さ調整具の一実施例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明は、ペットに穿かせたおむつPが外れないように、ペットとおむつPに装着するペット用のサスペンダーである。
【0027】
本発明サスペンダーの主要構成として、脚掛け部1、背中部3、ベルト体4を備え、該ベルト体4でおむつPの背中側と腹側とを支持するように構成したものである(図1参照)。
【0028】
脚掛け部1は、ペットの前脚を挿通する左右一対の部位である。更に、背中部3は、脚掛け部1からペットの背中側に配される部位である(図1参照)。
【0029】
図示例では、この脚掛け部1にペットの胸に係止する胸掛け部2を設けている。そして、脚掛け部1と胸掛け部2とを1本の紐状物で連続形成し、これら脚掛け部1と胸掛け部2との境界部分に長さ調整具1Aを装着している。また、この紐状物に替えてベルト状の脚掛け部1や胸掛け部2を形成することも可能である。更に、脚掛け部1と胸掛け部2とを別の部材で形成することや、胸掛け部2や長さ調整具1Aを使用しない構成も可能である。この場合、例えば、ペットの大きさに応じた各サイズの脚掛け部1を形成しておき、適したサイズの脚掛け部1を選択することが可能である。
【0030】
更に図示例では、背中部3にも長さ調整具3Aを装着している。図示の背中部3は、背中部3から脚掛け部1と胸掛け部2とに連続するループ状に形成している(図2参照)。そして、長さ調整具3Aで背中部3の長さを調整すると、脚掛け部1や胸掛け部2の位置も相対的に調整できるように構成したものである。図示の長さ調整具3Aは、脚掛け部1に設けた長さ調整具1Aと同じ構成の長さ調整具3Aを使用している。
【0031】
また、この背中部3も、脚掛け部1や胸掛け部2と同様に、紐状物やベルト状物の使用が可能であり、脚掛け部1と別部材で形成することも可能である。更に、長さ調整具3Aを使用せずに、ペットの大きさに応じた各サイズの背中部3を選択使用することも可能である。
【0032】
図示の長さ調整具1A(3A)は、コードストッパー(紐ストッパー、コードエンドストッパーなど)と称する留具を利用している(図3参照)。また、この他、ループエンド(コードエンド)などと称する留具の利用も可能である。更に、紐状物に替えてベルト状物を使用した場合は、ベルトに応じた各種バックルを長さ調整具1Aとして使用する。
【0033】
一方、ベルト体4は、背中部3に着脱自在に連結される複数本のベルト状部材であり、長さ調整自在に形成されている。そして、このベルト体4でおむつPの背中側と腹側とを連結するように構成している(図1参照)。このベルト体4の材質はゴム材、皮革材、布材など任意の材質を選択することができる。また、ベルト体4の本数も任意に変更することができる。
【0034】
図示のベルト体4は背中部3に装着されたバックル5を介して背中部3に着脱自在に連結される(図2参照)。更に、このベルト体4は、おむつPの背中側を連結支持する背部ベルト4Aと、おむつPの腹側を連結支持する左右一対の腹部ベルト4Bとで構成されている。そして、ベルト体4の端部に設けられたクリップ6を介しておむつPに連結する。すなわち、このベルト体4は、サスペンダーに多く使用されているタイプのベルト体4を使用したものである。また、これらベルト体4やクリップ6の構造も任意に変更することができる。
【0035】
図示のバックル5は、サイドリリースバックルと称する構造の合成樹脂製のバックル5を利用している(図2参照)。すなわち、一対の部材が連結自在に設けられたバックル構造で、一方の部材を背中部3に連結し、他方の部材をベルト体4に連結したものである。尚、このバックル5の構造や材質の変更は自由である。
【0036】
本発明の使用方法は、まず、ペットの前脚に一対の脚掛け部1を装着する。この脚掛け部1に胸掛け部2を設けている場合は、長さ調整具1Aにて脚掛け部1と胸掛け部2との位置を調整する。次に、背中側に背中部3を配置して背中部3の長さを調整する。一方、ベルト体4は先におむつPに連結しておく。すなわち、背部ベルト4AをおむつPの背中側に連結し、腹部ベルト4Bを腹側に連結する。
【0037】
そして、ベルト体4を連結したおむつPをペットに穿かせた後で、まず、腹部ベルト4Bを背中部3のバックル5に連結し、腹部ベルト4Bの長さを調整する。このとき、おむつPの腹側の位置が局部を覆っていることを確認する。その後、背部ベルト4Aをバックル5に連結し、この長さを調整すると本発明サスペンダーの装着が完了する。
【0038】
おむつP使用後は、バックル5からベルト体4を外しておむつPを交換する。このとき、脚掛け部1や背中部3の位置はそのままにしておくことで、交換したおむつPの再装着が容易になる。
【0039】
尚、本発明の実施例は図示例に限定されるものではない。脚掛け部1、胸掛け部2、背中部3、ベルト体4、バックル5等の形状や材質などは、本発明の要旨を変更しない範囲で自由に設計変更できるものである。
【符号の説明】
【0040】
P おむつ
1 脚掛け部
1A 長さ調整具
2 胸掛け部
3 背中部
3A 長さ調整具
4 ベルト体
4A 背部ベルト
4B 腹部ベルト
5 バックル
6 クリップ
【要約】
【課題】ペットに穿かせたおむつの脱落やずれを確実に防止すると共に、ペットに与えるストレスを軽減することができるペット用サスペンダーを提供する。
【解決手段】ペットの前脚を挿通する左右一対の脚掛け部1を設ける。各脚掛け部1に連続しペットの胸に係止する胸掛け部2を設ける。各脚掛け部1からペットの背中側に配される背中部3を設ける。該背中部3に着脱自在に連結される長さ調整自在な複数本のベルト体4を設ける。ベルト体4でおむつPの背中側と腹側とを連結するように構成する。
【選択図】 図1
図1
図2
図3