(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
断熱庫内に収納された商品を冷却するための冷却装置を有し、電力需要が増大する需要増大時間帯を含んで少なくとも一つ設定される第1設定時間帯に先行して連続する第2設定時間帯には、前記冷却装置を駆動させて前記断熱庫の庫内温度が所定の温度範囲内に維持されるように庫内空気を冷却し、前記第1設定時間帯には、前記庫内温度が所定の停止解除温度以上になるまで前記冷却装置を強制的に停止させるピークカット運転を実行し、商品を販売する自動販売機であって、
外部電源から供給される電力を蓄電する蓄電部と、
前記第2設定時間帯には、前記外部電源からの電力を前記冷却装置及び前記蓄電部へ供給させると共に、前記外部電源を電力源として商品の販売動作を実行させ、前記第1設定時間帯における少なくとも前記冷却装置の停止中には、前記蓄電部を電力源として商品の販売動作を実行させるように指令する制御部と、
を含み、
前記需要増大時間帯は、所定時間間隔離れて複数存在し、
前記第1設定時間帯は、各需要増大時間帯に対応してそれぞれ設定され、
前記第2設定時間帯は、各第1設定時間帯に対応してそれぞれ設定される、
自動販売機。
前記第1設定時間帯における少なくとも前記冷却装置の停止中には、少なくとも、利用者等により投入される金銭及び/又は使用される電子マネーを処理する金銭処理部、利用者等が商品を選択するための商品選択ボタン、前記商品を搬出する商品搬出部、及び、前記制御部を有してなる販売負荷機器は、前記蓄電部を電力源として作動している、請求項1〜3のいずれか1つに記載の自動販売機。
断熱庫内に収納された商品を加温するための加温装置を有し、電力需要が増大する需要増大時間帯を含んで少なくとも一つ設定される第1設定時間帯に先行して連続する第2設定時間帯には、前記加温装置を駆動させて前記断熱庫の庫内温度が所定の温度範囲内に維持されるように庫内空気を加温し、前記第1設定時間帯には、前記庫内温度が所定の停止解除温度以下になるまで前記加温装置を強制的に停止させるピークカット運転を実行し、商品を販売する自動販売機であって、
外部電源から供給される電力を蓄電する蓄電部と、
前記第2設定時間帯には、前記外部電源からの電力を前記加温装置及び前記蓄電部へ供給させると共に、前記外部電源を電力源として商品の販売動作を実行させ、前記第1設定時間帯における少なくとも前記加温装置の停止中には、前記蓄電部を電力源として商品の販売動作を実行させるように指令する制御部と、
を含み、
前記需要増大時間帯は、所定時間間隔離れて複数存在し、
前記第1設定時間帯は、各需要増大時間帯に対応してそれぞれ設定され、
前記第2設定時間帯は、各第1設定時間帯に対応してそれぞれ設定される、
自動販売機。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
【0015】
図1は、本発明の第1実施形態における自動販売機の外観図を示す。
図2は、自動販売機の垂直断面のイメージ図である。
図3は、
図1に示す自動販売機の電気機器の概略ブロック図及び電力系統の概略回路図である。
【0016】
本実施形態による自動販売機100は、商品として容器入り飲料(ここではペットボトルに入った飲料)Cを冷却して販売可能に構成され、前面を開口した自動販売機本体1と、自動販売機本体1の前面を開閉する外扉2と、後述する商品収納庫1aの前面を開閉する内扉3とを備えている。
【0017】
前記自動販売機本体1は、容器入り飲料Cを収納するための商品収納庫1aと、各種機器を収容する機械室1bとに区分されている。自動販売機本体1は、前面が開口され、商品収納庫1aを囲む断熱壁1cを有して形成されている。なお、本実施形態において、前記商品収納庫1aが本発明に係る「断熱庫」に相当する。
【0018】
前記商品収納庫1aは、前面が開口され、残りの壁面が断熱壁1cによって囲まれた断熱構造を有して形成されている。この商品収納庫1a内は、図示を省略するが、前後方向に複数(
図2の断面では五つ)の商品収納コラムを有した商品収納装置4が配設されている。商品収納装置4の下方には、商品シュータ5が設けられている。また、
図2に示すように、商品収納庫1aの下部には、後述する冷却装置30の冷却ユニット10等が設けられている。そして、商品収納庫1a内の背面側には背面ダクト6が設けられている。
【0019】
前記機械室1bは、商品収納庫1aの下方に位置している。この機械室1b内には、後述する冷却装置30のコンデンシングユニット20や蓄電部40や結露水を貯留するトレイ(図示省略)等が設けられている。機械室1bは、その前面及び背面を開口して形成されている。商品収納装置4、商品シュータ5、背面ダクト6、冷却装置30及び蓄電部40については、後に詳述する。
【0020】
前記外扉2は、内部に断熱材が設けられ、前面に商品サンプルSを配置するための商品サンプル室2a、利用者等が商品を選択するための商品選択ボタン2b、利用者等により投入される金銭(硬貨や紙幣)及び/又は使用される電子マネーを処理する金銭処理部2c、商品受部2d(
図2参照)、商品取出し口2e、機械室1b内に外気を導入するための外気導入口2f等を備え、その幅方向一端側が自動販売機本体1に回動自在に支持されている。また、外扉2には、
図2に示すように、自動販売機100全体の制御を行う後に詳述する制御部50が内蔵されている。商品サンプル室2a内には、商品サンプルSが適宜配列されると共に、商品サンプルS等を照明するための照明装置2a1が適宜箇所に取り付けられている。照明装置2a1は、例えば、LED等からなり、制御部50等により適宜ON/OFF可能に構成されている。金銭処理部2cは、例えば、硬貨投入部2c1、紙幣投入/返却部2c2、投入金額表示部2c3、金銭返却レバー2c4、硬貨返却部2c5、図示を省略した金銭計算部及び電子マネー用カードの読み取り部を有して構成されている。また、商品取出し口2eには、例えば、断熱層を内部に備えて形成された外側フラップ2e1が開閉可能に取り付けられている。
利用者等により金銭の投入や電子マネーの使用及び商品選択ボタン2bの押下等の商品購入操作が行われると、例えば、商品選択ボタン2bは、制御部50及び金銭計算部に商品が選択されたことを示す信号を出力する。そして、金銭処理部2cは、投入された金銭及び釣り銭の額や使用された電子マネーの額を金銭計算部により計算し、投入金額等を投入金額表示部2c3により表示し、必要な場合は釣り銭を硬貨返却部2c5から返却する。また、硬貨や紙幣が投入された後、商品選択ボタン2bが押下されることなく、金銭レバー2c4が操作されると、金銭処理部2cは、硬貨や紙幣を硬貨返却部2c5や紙幣投入/返却部2c2から返却する。
【0021】
前記内扉3は、例えば、断熱層を内部に備えて形成されている。この内扉3の下部には、商品収納庫1aと商品取出し口2eとを連通する商品搬出口3aが開設されている。商品搬出口3aには、例えば、断熱層を内部に備えて形成された内側フラップ3a1が開閉可能に取り付けられている。
このように、自動販売機本体1、外扉2、外側フラップ2e1、内扉3及び内側フラップ3a1を、それぞれ断熱構造を有して形成することで、商品収納庫1a内と商品収納庫1a外との間で出入りする熱量を効果的に低減させ、断熱性能を向上させている。
【0022】
前記商品収納装置4は、商品収納コラムに同種の複数の容器入り飲料Cを上下方向に並べて収納すると共に最下部に位置する容器入り飲料Cから順次搬出可能に構成されている。各商品収納コラムの下端側には、容器入り飲料Cを搬出する商品搬出部4aがそれぞれ設けられている。この商品搬出部4aが
図2に点線で示すように開動作すると、その度に、最下端に位置する容器入り飲料Cが商品シュータ5側に落下搬出される。利用者等により前記商品購入操作が行われると、制御部50からの指令により、商品選択ボタン2bに対応する容器入り飲料Cを収納しているいずれかの商品収納コラムの商品搬出部4aが開動作し、容器入り飲料Cが下方に落下し、その後、その商品搬出部4aは閉動作する。そして、落下した容器入り飲料Cは、商品シュータ5の斜面に沿って転動し、内側フラップ3a1を押し開いて、商品受部2d内に払出される。利用者は、外側フラップ2e1を開いて、商品受部2d内に払出されている容器入り飲料Cを取出す。その後、商品取出し口2eは外側フラップ2e1により塞がれる。
このようにして、自動販売機100は、照明装置2a1により、商品サンプルSの照明動作を実行し、商品選択ボタン2bにより、商品が選択されたことを示す信号出力動作を実行し、金銭処理部2cにより、投入された金銭や使用された電子マネーを処理する金銭処理動作を実行し、商品搬出部4aにより、選択された商品の搬出動作を実行し、制御部50により、商品搬出部4aへの動作指令等の適宜の制御動作を実行する。つまり、本実施形態において、本発明に係る「商品の販売動作」とは、上記各機器(2a1,2b,2c,4a,50)による上記の各動作のことをいう。
【0023】
前記商品シュータ5は、商品収納装置4の下方に設けられ、多数の通気孔を有する平板状の部材であり、自動販売機100の前面側に向って下降するように傾斜して配設されている。
【0024】
前記背面ダクト6は、商品収納庫1a内の背面側に配設されて商品収納庫1aの高さ方向に延びて設けられているものであり、冷却装置30の後述する庫内送風ファン12により送風された空気が流通する。
背面ダクト6は、具体的には、商品収納庫1aの内底部近傍から天井部近傍まで延在しており、商品収納庫1a内の上部にて開口する上部開口部7と、商品収納庫1a内の下部にて開口する下部開口部8とを有する。
本実施形態において、上部開口部7は、商品収納装置4内の最上部に収容された容器入り飲料Cの上方に位置するように形成され、下部開口部8は、商品シュータ5の下方に位置するように形成されている。
【0025】
前記冷却装置30は、商品収納庫1aに収納された複数の容器入り飲料Cを冷却するものであり、冷却ユニット10とコンデンシングユニット20とを有し、商品収納庫1aの庫内空気を冷却すると共に背面ダクト6を介して循環させることによって複数の容器入り飲料Cを冷却可能に構成されている。冷却ユニット10とコンデンシングユニット20とは、冷媒配管Pを介して接続され、冷媒を循環させることによって商品収納庫1a内を冷却可能な冷却装置30を構成している。
【0026】
前記冷却ユニット10は、商品収納庫1a内の下部、具体的には、商品シュータ5の下方に設けられており、庫内熱交換器(蒸発器)11及び庫内送風ファン12を有する。
前記庫内熱交換器11は、冷媒を蒸発させ周囲空気を冷却するものであり、背面ダクト6の下部開口部8の近傍に配設されている。
前記庫内送風ファン12は、庫内熱交換器11の近傍に配設され、商品収納庫1aの庫内空気を循環させるものである。
【0027】
前記コンデンシングユニット20は、機械室1b内に設けられており、冷媒を圧縮する圧縮機21と、圧縮された冷媒を凝縮する庫外熱交換器(凝縮器)22と、凝縮された冷媒を膨張させる膨張機構23とを有する。庫内熱交換器11、圧縮機21、庫外熱交換器22、及び膨張機構23は、冷媒を循環させる冷媒配管Pによって接続され、庫外熱交換器22の近傍には、庫外送風ファン24が配設されている。圧縮機21は、具体的には、機械室1bの背面側に寄せて配置され、庫外熱交換器22及び庫外送風ファン24は、圧縮機21と機械室1bの前面との間に配置されている。庫外送風ファン24は、機械室1b内の空気を前面側から背面側に向って送風可能に構成されている。
【0028】
冷却装置30は、庫内送風ファン12によって商品収納庫1a内の空気を、背面ダクト6を介して循環させると共に、前記冷媒を圧縮機21、庫外熱交換器22、膨張機構23、及び庫内熱交換器11に循環させる。商品収納庫1aの庫内空気は、庫内熱交換器11の周囲を通過する際に前記冷媒と熱交換して冷却され、これにより、商品収納庫1a内、ひいては、各商品収納装置4内に収納された多数の容器入り飲料Cが冷却される。
また、庫外送風ファン24の駆動により、外気導入口2fを介して外部から機械室1b内に導入された空気は、機械室1b内を流通して、背面の開口を介して排気される。機械室1b内の空間温度は、前面側では外気温度と略等しく、庫外熱交換器22の周辺では熱交換により若干高くなり、圧縮機21の周辺で一番高くなる。つまり、機械室1b内の空間温度は、前面側から背面側に向うにしたがって高くなり、前面側が常温領域であり、背面側が高温領域となっている。また、庫外送風ファン24は、機械室1b内に設けられたトレイ内の結露水を蒸発させ、結露水のオーバーフローを防止する機能も有している。
【0029】
また、商品収納庫1a内の適宜箇所には、庫内空間の温度を検出するための温度センサS1が設けられている。この温度センサS1による検出温度に応じた検知信号は、例えば、制御部50に出力されるように構成されている。
【0030】
前記蓄電部40は、外部電源(商用電源)から供給される電力を蓄電し、後述するピークカット運転中の電力源となるものである。蓄電部40は、例えば、ニッケル水素電池、鉛蓄電池等の適宜の二次電池を有して構成されている。また、蓄電部40は、例えば、機械室1b内に設けられている。機械室1b内の空間温度は、前面側が低い。したがって、蓄電部40を機械室1b内に配置する場合は、庫外熱交換器22と外扉2との間、つまり、庫外送風ファン24の風上側に配置することが望ましい。なお、蓄電部40は、外扉2内の適宜箇所に配置させてもよい。また、蓄電部40の蓄電及び放電のタイミング等については、後に詳述する。
【0031】
また、冷却装置30等の動作は、制御部50によって制御される。
本実施形態において、商品収納庫1aは、その内部の庫内空気が冷却装置30によって冷却されて商品収納装置4内に収容された容器入り飲料Cを冷蔵状態に冷却する冷蔵庫室として機能するように構成されている。そのため、制御部50は、例えば、温度センサS1からの検知信号に基づき、商品収納庫1aの庫内温度が容器入り飲料Cの凝固点よりも高い温度に保持されるように、冷却装置30の動作を適宜制御する。本実施形態において、商品収納庫1aの庫内設定温度は、0℃よりも高くなるように設定されている。
【0032】
ここで、本実施形態において、自動販売機100は、
図3に示すように、電力を必要とする電気機器として、冷却装置30と、蓄電部40と、前述した商品の販売動作に必要な機器(つまり、照明装置2a1、商品選択ボタン2b、金銭処理部2c、商品搬出部4a及び制御部50)とを有している。なお、
図3において点線は信号配線を示している。
本実施形態において、照明装置2a1、商品選択ボタン2b、金銭処理部2c、商品搬出部4a及び制御部50を有してなる一群の機器と、冷却装置30及び蓄電部40とを区別する必要がある場合は、上記一群の機器を販売負荷機器60という。
【0033】
図3に示すように、自動販売機100の電源入力用の差込プラグPLは、例えば、外部電源と接続されて壁面等に設けられた電源コンセント(アウトレット)Wに差し込まれる。
また、自動販売機100は、冷却装置30への電力供給のON/OFF機能を有する冷却装置用スイッチ部SW1と、販売負荷機器60への電力の供給元を選択的に切替える電源供給元切替機能を有する販売負荷機器用スイッチ部SW2とを備えている。これら各スイッチ部SW1,SW2は、制御部50からの指令により作動する。また、各スイッチ部SW1,SW2の作動電力は、例えば、外部電源から供給されている。
【0034】
前記冷却装置用スイッチ部SW1は、例えば、差込プラグPLと冷却装置30との間の電力配線L1上に設けられ、一般的なリレースイッチからなる。冷却装置用スイッチ部SW1は、例えば、初期状態(作動していない状態)ではOFF状態であり、このOFF状態で、外部電源から冷却装置30への電力供給が遮断されており、ON状態で、外部電源からの電力を冷却装置30へ供給可能となっている。つまり、冷却装置用スイッチ部SW1自体は、OFF状態では作動電力を消費していない。
【0035】
前記販売負荷機器用スイッチ部SW2は、それぞれ一般的なリレースイッチからなる第1スイッチ部SW2aと第2スイッチ部SW2bとを備える。
前記第1スイッチ部SW2aは、例えば、差込プラグPLと冷却装置用スイッチ部SW1との間の電力配線L1から分岐して販売負荷機器60に接続される電力配線L2上に設けられる。電力配線L2は、
図3では、図示を省略したが、各機器(2a1,2b,2c,4a)にそれぞれ接続されている。また、第1スイッチ部SW2aは、例えば、初期状態ではOFF状態であり、このOFF状態で、外部電源から販売負荷機器60への電力供給が遮断され、ON状態で、外部電源からの電力を販売負荷機器60へ供給可能となっている。つまり、第1スイッチ部SW2a自体は、OFF状態では作動電力を消費しない。
前記第2スイッチ部SW2bは、第1スイッチ部SW2aをバイパスする電力配線L3上に設けられている。この電力配線L3上には、前記蓄電部40も設けられている。第2スイッチ部SW2bは、具体的には、蓄電部40の出力側に接続される電力配線L3上に設けられる。また、第2スイッチ部SW2bは、例えば、初期状態(作動していない)ではON状態であり、このON状態で、蓄電部40からの電力を販売負荷機器60へ供給可能となっており、OFF状態で、蓄電部40から販売負荷機器60への電力供給が遮断される。つまり、第2スイッチ部SW2b自体は、ON状態では作動電力を消費しない。
したがって、外部電源から冷却装置30及び販売負荷機器60への電力供給が遮断され、かつ、蓄電部40から販売負荷機器60へ電力が供給可能なスイッチ状態(SW1及びSW2a:OFF、SW2b:ON)では、各スイッチ部SW1,SW2は電力を消費していない。
【0036】
また、本実施形態において、自動販売機100は、電力需要が増大する需要増大時間帯の消費電力を抑制するため、需要増大時間帯に冷却装置を強制的に停止するピークカット機能を備えている。本実施形態において、自動販売機100は、夏季に使用されており、前記需要増大時間帯は、一日のうちの特定の時間帯、つまり、一つであるものとする。以下において、上記一日のうちの特定の時間帯を、一日のうちで電力需要が最大となる瞬間を含み得る時間帯であるピーク時間帯(例えば、13時から16時)といい、上記ピークカット機能について詳述する。
【0037】
自動販売機100は、需要増大時間帯を含んで少なくとも一つ設定される第1設定時間帯と、この第1設定時間帯以外の時間帯であり当該第1設定時間帯に先行して連続するように設定される第2設定時間帯とで、それぞれ異なる制御を、制御部50を介して実行する。本実施形態では、需要増大時間帯は一つであるため、第1設定時間帯及び第2設定時間帯も一つである。
本実施形態においては、第1設定時間帯が上記ピーク時間帯と一致するように、第1設定時間帯の開始時刻はピーク時間帯(需要増大時間帯)の始まりの時刻に合わせて設定され、第1設定時間帯の終了時刻はピーク時間帯の終わりの時刻に合わせて設定されている。具体的には、第1設定時間帯は、13時から16時であり、第2設定時間帯は、第1設定時間帯(つまり、後述するピークカット運転)に先行する同日の10時から13時までであるものとする。
なお、第2設定時間は、10時から13時であるものとして以下説明するが、これに限らず、第1設定時間帯以外の時間帯内で第1設定時間帯に先行して連続するように適宜設定すればよい、言い換えると、少なくとも第2設定時間帯の終了と第1設定時間帯の開始とが連続するように設定すればよい。具体的には、第2設定時間帯の開始時刻を第1設定時間帯以外の時間帯内の適宜時刻に設定すると共に、第2設定時間帯の終了時刻を第1設定時間帯の開始時刻と合わせて、第2設定時間帯を設定してもよいし、第1設定時間帯以外の全時間帯を第2設定時間帯としてもよい。以下においては、第2設定時間帯の開始時刻を動作説明の起点として説明する。
【0038】
まず、自動販売機100は、第2設定時間帯には、制御部50により冷却装置30を駆動させて商品収納庫1aの庫内温度が所定の温度範囲内に維持されるように庫内空気を冷却するピークシフト運転を実行する。また、自動販売機100は、この第2設定時間帯において、利用者等により金銭の投入や電子マネーの使用及び商品選択ボタン2bの押下等の商品購入操作が行われると、容器入り飲料Cを販売する。自動販売機100は、第2設定時間帯には、外部電源を電力源として販売負荷機器60を動作させて、前述した商品(容器入り飲料C)の販売動作を実行するように構成されている。
ここで、一般的に、冷蔵庫室として機能する商品収納庫1aの庫内設定温度は、例えば5℃±2℃であるが、本実施形態における庫内設定温度は、第2設定時間帯では、3℃前後に設定されている。このように、第2設定時間帯では、商品収納庫1aの庫内温度は、通常の温度範囲(5℃±2℃)よりも全体的に低く、詳しくは、3℃±2℃(つまり、1℃から5℃)の温度範囲内に維持されるように冷却されている。これにより、第1設定時間帯に先行して連続する第2設定時間帯において、商品収納庫1a内全体を予め十分(過剰)に冷却することで、容器入り飲料Cを十分に冷やし込むことができる。
【0039】
次に、自動販売機100は、第2設定時間帯に後続する第1設定時間帯には、制御部50により、庫内温度が所定の停止解除温度以上になるまで冷却装置30を強制的に停止させるピークカット運転を実行する。また、自動販売機100は、この第1設定時間帯において、利用者等により商品購入操作が行われると、容器入り飲料Cを販売する。自動販売機100は、第1設定時間帯においても、販売負荷機器60を動作させて、容器入り飲料Cの販売動作を実行するように構成されている。上記停止解除温度は、例えば、上記通常の温度範囲(5℃±2℃)の上限値より高い温度に適宜設定すればよい。
ここで、第1設定時間帯の開始時刻における庫内温度は、停止解除温度より低いため、冷却装置30は強制停止される。その後、庫内温度は上昇傾向を示す。しかし、商品収納庫1a内は第1設定時間帯の開始時刻直前まで十分に冷やし込まれていると共に、商品収納庫1a内の複数の容器入り飲料C自体が保冷材として機能する上、自動販売機100の前述した種々の断熱構造により商品収納庫1a内と商品収納庫1a外との間で出入りする熱量が効果的に低減されている。そのため、第1設定時間帯における温度上昇は緩やかである。そして、この停止解除温度の設定値を上げるほど、冷却装置30が連続して停止する連続停止時間は長くなる。したがって、この連続停止時間が第1設定時間帯の時間長さより長ければ、第1設定時間帯において、冷却装置30は常に停止される。第1設定時間帯において、仮に、庫内温度が停止解除温度以上になった場合は、冷却装置30を再起動させ、その後、例えば、庫内温度が5℃±2℃の温度範囲の上限値(つまり7℃)以下になったところで冷却装置30を強制的に停止させる。このように、第1設定時間帯に冷却装置30を再起動させる場合もあり得る。しかし、容器入り飲料C自体が保冷材となり、商品収納庫1a内には十分な冷気が残存している上、商品収納庫1aの周囲には十分な断熱構造が形成されているため、第1設定時間帯における冷却装置30の起動時間を短くすることができる。
【0040】
次に、自動販売機100は、第1設定時間帯の終了時刻(16時)から次(翌日)の第2設定時間帯の開始時刻(翌日の10時)までの間の時間帯である中間時間帯には、制御部50により、庫内温度が通常の温度範囲(5℃±2℃)の範囲内に維持されるように冷却装置30の運転を制御する。つまり、自動販売機100は、上記中間時間帯においては、通常の冷却運転をする。また、自動販売機100は、中間時間帯においても、販売負荷機器60を動作させて、容器入り飲料Cの販売動作を実行するように構成されている。そして、自動販売機100は、第2設定時間帯の開始時刻になると前述のピークシフト運転を開始し、以降、各運転(ピークカット運転、通常の冷却運転、ピークシフト運転)を順次実行する。なお、前述したように、第1設定時間帯以外の全時間帯を第2設定時間帯とした場合は、上記中間時間帯は存在しない。
【0041】
ところで、冷却装置30が停止中であっても容器入り飲料Cを販売しなければならないため、従来の自動販売機においては、ピーク時間帯においても上記販売負荷機器60は外部電源を電力源として作動していた。そのため、ピーク時間帯における電力需要の集中をさらに抑制する余地がある。
【0042】
そこで、本実施形態において、自動販売機100は、蓄電部40を備え、以下に説明するように、冷却装置30及び蓄電部40への電力供給を制御部50により制御し、蓄電部40を冷却装置30の停止中の電力源となるように構成している。
【0043】
まず、制御部50は、第1設定時間帯以外の時間帯内で第1設定時間帯に先行して連続する第2設定時間帯には、外部電源からの電力を冷却装置30及び蓄電部40へ供給させると共に、外部電源を電力源として容器入り飲料Cの販売動作を実行させるように指令する。
次に、制御部50は、第1設定時間帯における冷却装置30の停止中には、蓄電部40を電力源として容器入り飲料Cの販売動作を実行させるように指令する。また、制御部50は、第1設定時間帯において庫内温度が仮に停止解除温度以上になった場合には、例えば、外部電源からの電力を冷却装置30へ供給し、外部電源を電力源として冷却装置30を駆動させて商品収納庫1a内を冷却する。一方、蓄電部40から販売負荷機器60への電力供給は継続して実行し、蓄電部40を電力源として販売負荷機器60を作動させて容器入り飲料Cの販売動作を実行可能にする。
次に、制御部50は、中間時間帯には、例えば、外部電源を電力源として、冷却装置30及び販売負荷機器60を作動させるように制御する。なお、制御部50は、これに限らず、中間時間帯において、販売負荷機器60については、蓄電部40に蓄電されている残電力を優先的に用いて作動させ、蓄電部40の電力を全て消費した後は、外部電源を電力源として作動させるように制御してもよい。これにより、蓄電部40の残電力を有効利用することができる。
本実施形態においては、このようにして、販売負荷機器60は、少なくとも第1設定時間帯においては、蓄電部40を動力源として作動している。
【0044】
また、制御部50は、蓄電部40の蓄電及び放電の制御を実行している。
本実施形態において、制御部50は、第1設定時間帯の開始時(開始時刻)に完了するように、蓄電部40の蓄電を開始させ、第1設定時間帯に入ると、蓄電部40に対して放電を開始するように指令する。
【0045】
より具体的には、制御部50は、冷却装置用スイッチ部SW1を作動させて、冷却装置30への電力供給のON/OFFを実行し、販売負荷機器用スイッチ部SW2を作動させて、販売負荷機器60への電力の供給元を選択的に切替えている。
【0046】
次に、本実施形態に係る自動販売機100における冷却装置30への電力供給のON/OFF動作と販売負荷機器60への電力供給元の切替動作の一例について、
図4〜
図6を参照して詳述する。
図4は、第2設定時間帯(ピークシフト運転中)の回路状態を示す図であり、
図5は、第1設定時間帯におけるピークカット運転中の回路状態を示す図である。
図6は、第1設定時間帯における別の回路状態を示す図である。
【0047】
まず、第2設定時間帯において、各スイッチ部SW1,SW2は、
図4に示すように、制御部50からの指令によりそれぞれ作動している。つまり、冷却装置用スイッチ部SW1は、ON状態となり、外部電源からの電力を、図中太線で示すように電力配線L1を介して冷却装置30へ供給する。また、販売負荷機器用スイッチ部SW2の第1スイッチ部SW2aは、ON状態となり、外部電源からの電力を、太線で示すように電力配線L2を介して販売負荷機器60へ供給する。一方、販売負荷機器用スイッチ部SW2の第2スイッチ部SW2bは、OFF状態となり、蓄電部40と販売負荷機器60との間の電力配線L3を遮断している。これにより、ピーク時間帯とずらして設定された第2設定時間帯においては、外部電源を電力源として冷却装置30及び販売負荷機器60を作動させると共に、外部電源から供給される電力の一部を蓄電部40に蓄電している。なお、第2設定時間帯における各スイッチ部SW1,SW2の作動電力は外部電源から供給されている。
【0048】
次に、第1設定時間帯の開始時刻になると、各スイッチ部SW1,SW2は、
図5に示すように、制御部50からの指令によりそれぞれ初期状態になる。つまり、冷却装置用スイッチ部SW1はOFF状態となる。これにより、冷却装置30を強制的に停止させる。また、販売負荷機器用スイッチ部SW2は、第1スイッチ部SW2aがOFF状態になると共に、第2スイッチ部SW2bがON状態となる。これにより、蓄電部40に蓄電された電力を、図中太線で示すように電力配線L3を介して販売負荷機器60へ供給する。このとき、各スイッチ部SW1,SW2は、いずれも初期状態であるため、外部電源からの作動電力を消費していない。また、第1設定時間帯において、仮に、庫内温度が停止解除温度以上になった場合、
図6に示すように、冷却装置用スイッチ部SW1はON状態となり、冷却装置30が起動する。一方、販売負荷機器用スイッチ部SW2はOFF状態に維持される。これにより、販売負荷機器60は、蓄電部40を電力源として容器入り飲料Cの販売動作を実行することができる。
【0049】
次に、中間時間帯の開始時刻になると、例えば、各スイッチ部SW1,SW2は、制御部50からの指令により、それぞれ
図4に示す状態になる。これにより、中間時間帯においては、外部電源を電力源として、冷却装置30及び販売負荷機器60を作動させる。
なお、
図4において、蓄電部40は電力配線L3を介して外部電源に接続されているが、中間時間帯においては、蓄電部40の蓄電は制御部50からの指令により第2設定時間帯の開始時刻まで停止されている。これにより、蓄電部40への蓄電は第2設定時間帯の開始時刻から開始される。
また、蓄電部40に蓄電されている残電力を有効利用する場合は、中間時間帯の開始時刻になると、各スイッチ部SW1,SW2は、制御部50からの指令により、それぞれ
図6に示す状態となる。そして、蓄電部40の電力を全て消費した後は、各スイッチ部SW1,SW2は、制御部50からの指令により、それぞれ
図4に示す状態となる。
【0050】
このように、本実施形態においては、第1設定時間帯において、冷却装置30の停止中の全電力は、蓄電部40により供給されている。さらに、本実施形態では、第1設定時間帯の全期間において、販売負荷機器60は、蓄電部40を電力源として作動している。
【0051】
かかる第1実施形態による自動販売機100によれば、電力需要の需要増大時間帯を含んで設定される第1設定時間帯に先行して連続する第2設定時間帯には、外部電源からの電力を冷却装置30へ供給して庫内温度を所定の温度範囲内に維持して容器入り飲料Cを十分に冷却すると共に、外部電源からの電力を蓄電部40へ供給して蓄電することができる。そして、この自動販売機100は、第2設定時間帯に後続する第1設定時間帯には、庫内温度が所定の停止解除温度以上になるまで冷却装置30を強制的に停止させ、蓄電部40を電力源として商品の販売動作を実行することができる。このため、例えば、第2設定時間帯における庫内温度の設定温度範囲や第1設定時間帯における停止解除温度等を適切に設定すれば、需要増大時間帯を含む第1設定時間帯において冷却装置30を長時間連続的に停止させることができ、この冷却装置30の停止中において、外部電源からの電力を受電することなく、蓄電部40に蓄電されている電力のみで商品を販売することができる。その結果、需要増大時間帯における外部電源からの電力の消費量をさらに低減することができる。
これにより、ピークカット機能を備え、商品を冷却する自動販売機において、電力需要の集中をさらに抑制可能な自動販売機を提供することができる。
【0052】
また、本実施形態によれば、第1設定時間帯において、冷却装置30の停止中の全電力は、蓄電部40により供給されている。これにより、需要増大時間帯における電力需要の集中をより効果的に抑制することができる。
【0053】
また、本実施形態によれば、第1設定時間帯において、庫内温度が冷却装置30の停止解除温度以上になっても、販売負荷機器60は常に蓄電部40を電力源として作動可能である。つまり、第1設定時間帯の全期間において、販売負荷機器60は、蓄電部40を電力源として作動可能に構成した。これにより、第1設定時間帯において、販売負荷機器60が必要とする電力については蓄電部40から常に供給することができるため、電力需要の集中をさらに抑制することができる。
なお、第1設定時間帯の全期間において、販売負荷機器60は、
図5及び
図6に示すように、蓄電部40を電力源として作動可能に構成したが、これに限らない。例えば、第1設定時間帯において、庫内温度が停止解除温度以上になった場合は、販売負荷機器用スイッチ部SW2を
図4に示す状態に戻し、外部電源を動力源として販売負荷機器60を作動可能に構成してもよい。つまり、第1設定時間帯における少なくとも冷却装置30の停止中には、販売負荷機器60は蓄電部40を電力源として作動可能に構成すればよい。これにより、少なくとも冷却装置30の停止中に電力需要の集中を抑制することができる。
【0054】
また、本実施形態において、販売負荷機器60は、照明装置2a1、商品選択ボタン2b、金銭処理部2c、商品搬出部4a及び制御部50を有してなるものとした。これにより、第1設定時間帯において、照明装置2a1をOFFさせることなく、容器入り飲料Cを販売することができる。なお、販売負荷機器60は、これに限らず、利用者等の商品購入操作後、その選択された商品を商品受部2d内に払出すまでの一連の販売動作を実行可能であればよいため、少なくとも、商品選択ボタン2b、金銭処理部2c、商品搬出部4a及び制御部50を有してなるものであるとしてもよい。この場合、第1設定時間帯の少なくとも冷却装置30の停止中に、照明装置2a1をOFFさせる。本実施形態のように、第1設定時間帯がピーク時間帯と一致して設定される場合等には、第1設定時間帯において、照明装置2a1をOFFしたとしても、利用者等は十分に商品サンプル等を視認することができる。
なお、本実施形態において、自動販売機100は、冷却装置30及び蓄電部40以外に電力を必要とする電気機器として、照明装置2a1、商品選択ボタン2b、金銭処理部2c、商品搬出部4a及び制御部50を有する場合を一例として挙げて説明したが、これに限らず、さらに、適宜の付属電気機器を備えていてもよい。この場合、蓄電部40の蓄電能力に余裕があれば、第1設定時間帯における少なくとも冷却装置30の停止中に、又は、第1設定時間帯の全期間において、蓄電部40を電力源として、付属電気機器を作動させてもよい。
【0055】
また、本実施形態において、制御部50は、蓄電部40の蓄電が第1設定時間帯の開始時(時刻)に完了するように、蓄電部40の蓄電を開始させる構成とした。これにより、蓄電部40に蓄電された電力を無駄なく効率的に販売負荷機器60に供給することができる。なお、これに限らず、蓄電部40の蓄電は、第2設定時間帯内において、適宜タイミングで開始させてもよい。
【0056】
また、本実施形態において、第1設定時間帯の開始時刻は、この需要増大時間帯(つまり、ピーク時間帯)の始まりの時刻に合わせて設定する構成とした。これにより、需要増大時間帯が始まる直前まで、冷却装置30を起動させて商品収納庫1a内を十分に冷却することができるため、需要増大時間帯における冷却装置30の再起動を抑制することができる。
【0057】
なお、本実施形態において、冷却装置30の電源供給元は外部電源であり、第1設定時間帯に、庫内温度が停止解除温度以上になるまで強制的に停止させるものとした。しかし、庫外送風ファン24は、結露水のオーバーフローを防止する機能も有しているため、庫外送風ファン24については、停止解除温度未満であっても駆動可能に構成してもよい。例えば、図示を省略するが、販売負荷機器60と同様に電力配線L2の一端を庫外送風ファン24に接続して、外部電源又は蓄電部40のいずれか一方から選択的に庫外送風ファン24へ電力を供給可能とし、庫外送風ファン24を停止解除温度未満であっても駆動可能としてもよい。
【0058】
また、本実施形態では、商品収納庫1aは、冷蔵庫室として機能するものとして説明したが、これに限らず、商品収納庫1aは、図示を省略するが、冷蔵庫室と、庫内温度が容器入り飲料Cの凝固点以下の温度に保持される過冷却庫室とを有する構成としてもよい。具体的には、商品収納庫1a内を断熱仕切りにより、複数の庫室に分割し、その複数の庫室のうちの一部を冷蔵庫室とし、残りを過冷却室とする。ここで、過冷却庫室の庫内設定温度は、例えば、−5℃前後である。詳しくは、過冷却庫室内の庫内温度が−5℃±3℃(つまり、−2℃から−8℃)の温度範囲内に維持されるように冷却されている。この場合、自動販売機100は、図示を省略するが、例えば、過冷却庫室内の庫内空気を冷却する過冷却装置を冷却装置30とは別に備え、この過冷却装置には常に外部電源から電力が供給されるように構成する。つまり、冷蔵庫室の庫内空気は冷却装置30により冷却され、過冷却庫室の庫内空気は過冷却装置により冷却される。したがって、第1設定時間帯において、冷却装置30の停止中であっても、外部電源から過冷却庫室へ電力は供給されているが、外部電源から冷却装置30への電力供給は遮断されているため、需要増大時間帯における電力需要の集中を抑制可能である。
【0059】
また、本実施形態では、需要増大時間帯は一つであるものとし、それに対応して、第1設定時間帯は一つであるものとして説明したが、これに限らず、需要増大時間帯は所定時間間隔離れて複数存在していてもよい。この場合、第1設定時間帯は、各需要増大時間帯に対応してそれぞれ設定されると共に、第2設定時間帯は各第1設定時間帯に対応してそれぞれ設定され、各第1設定時間帯において上記ピークカット運転を実行し、各第2設定時間帯において上記ピークシフト運転を実行すればよい。また、中間時間帯が存在する場合においては、中間時間帯において上記通常の冷却運転を実行すればよい。これにより、各需要増大時間帯において、電力需要の集中を抑制することができる。
【0060】
図7は、本発明の第2実施形態による自動販売機100の概略構成を示す図である。第1実施形態と同一の要素には同一の符号を付して説明を省略し、異なる部分についてのみ説明する。
本実施形態において、自動販売機100は、冷却装置30に替って、加温装置30’を備える。加温装置30’は、例えば、商品収納庫1a内の庫内空気を加温する電気ヒータ部31と、電気ヒータ部31により加温された空気を送風する送風ファン32とを備え、制御部50により適宜駆動制御される。
【0061】
本実施形態において、自動販売機100は冬季に使用されており、前記需要増大時間帯は二つであるものとする。つまり、需要増大時間帯は、一日当たり二回発生しているものとする。以下において、一方の需要増大時間帯(以下において、第1需要増大時間帯という)は8時から11時であり、他方の需要増大時間帯(以下において、第2需要増大時間帯という)は18時から22時であるものとする。また、第1需要増大時間帯を含んで設定される一方の第1設定時間帯は8時から11時であり、第2需要増大時間帯を含んで設定される他方の第1設定時間帯は18時から22時であるものとする。そして、一方の第1設定時間帯に先行して連続する一方の第2設定時間帯は5時から8時であり、他方の第1設定時間帯に先行して連続する他方の第2設定時間帯は14時から18時であるものとする。また、中間時間帯は、11時から14時と、22時から翌日の5時との二つであるものとする。なお、上記各時間帯は一例であり、これに限らず、需要増大時間帯に応じて、適宜各時間帯を設定すればよい。
【0062】
本実施形態において、自動販売機100は、各第2設定時間帯には、加温装置30’を駆動させて商品収納庫1aの庫内温度が所定の温度範囲内に維持されるように庫内空気を加温し、各第1設定時間帯には、庫内温度が所定の停止解除温度以下になるまで加温装置30’を強制的に停止させるピークカット運転を実行し、商品を販売するものとする。そして、制御部50は、各第2設定時間帯には、外部電源からの電力を加温装置30’及び蓄電部40へ供給させると共に、外部電源を電力源として商品の販売動作を実行させ、各第1設定時間帯における少なくとも加温装置30’の停止中には、蓄電部40を電力源として商品の販売動作を実行させるように指令する構成とすればよい。また、制御部50は、各中間時間帯には、例えば、外部電源を電力源として、加温装置30’及び販売負荷機器60を作動させるように制御する。なお、制御部50は、これに限らず、各中間時間帯において、販売負荷機器60については、蓄電部40に蓄電されている残電力を優先的に用いて作動させ、蓄電部40の電力を全て消費した後は、外部電源を電力源として作動させるように制御してもよい。
【0063】
ここで、本実施形態において、加温室として機能する商品収納庫1aの庫内設定温度は、各中間設定時間帯では、例えば55℃±2℃であるが、各第2設定時間帯では、57℃前後に設定されている。このように、各第2設定時間帯では、商品収納庫1aの庫内温度は、通常の温度範囲(55℃±2℃)よりも全体的に高く、詳しくは、57℃±2℃(つまり、55℃から59℃)の温度範囲内に維持されるように加温されている。また、各第1設定時間帯における加温装置30’の停止解除温度は、例えば、上記通常の温度範囲(55℃±2℃)の下限値より低い温度(例えば、47℃程度)に適宜設定すればよい。停止解除温度以下になって、加温装置30’を再起動させた後、例えば、庫内温度が55℃±2℃の温度範囲の下限値(つまり53℃)以上になったところで加温装置30’を強制的に停止させる。
【0064】
第2実施形態による自動販売機100によれば、各第2設定時間帯には、外部電源からの電力を加温装置へ供給して庫内温度を所定の温度範囲内に維持して容器入り飲料Cを十分に加温すると共に、外部電源からの電力を蓄電部40へ供給して蓄電することができる。そして、この自動販売機100は、各第1設定時間帯には、庫内温度が所定の停止解除温度以下になるまで加温装置を強制的に停止させ、蓄電部40を電力源として商品の販売動作を実行することができる。このため、例えば、各第2設定時間帯における庫内温度の設定温度範囲や各第1設定時間帯における停止解除温度等を適切に設定すれば、需要増大時間帯を含む各第1設定時間帯において加温装置を長時間連続的に停止させることができ、この加温装置の停止中において、外部電源からの電力を受電することなく、蓄電部40に蓄電されている電力のみで商品を販売することができる。その結果、各需要増大時間帯における外部電源からの電力の消費量をさらに低減することができる。
これにより、ピークカット機能を備え、商品を加温する自動販売機においても、各需要増大時間帯における電力需要の集中をさらに抑制可能な自動販売機を提供することができる。
【0065】
なお、第2実施形態において、需要増大時間帯は二つであり、これに応じて、第1設定時間帯、第2設定時間帯及び中間設定時間帯も二つであるものとしたが、これに限らず、需要増大時間帯は一つ、又は、三つ以上であってもよく、これらの需要増大時間帯の個数に応じて、各設定時間帯をそれぞれ設定すればよい。また、第2実施形態において、第1実施形態における各変形例の構成を適宜採用することができる。
【0066】
また、各実施形態において、第1設定時間帯が需要増大時間帯と一致するように設定されている場合を一例として説明したが、これに限らない。例えば、第1設定時間帯の時間長さをピーク時間帯の時間長さより長い、所定の時間長さで設定するものとし、少なくとも需要増大時間帯を含むように第1設定時間帯を設定すればよい。例えば、需要増大時間帯が一つである場合、第1設定時間帯は7時から23時とし、第2設定時間帯は23時から翌日の7時までとしてもよい。このように、第1設定時間帯の時間長さを長くしても、容器入り飲料C自体が保冷材となる上、自動販売機100の断熱性能が向上しているため、冷却装置30停止中の庫内温度上昇や加温装置30’停止中の庫内温度低下を大幅に抑制することが可能になっている。そのため、ピーク時間帯における冷却装置30又は加温装置30’の起動時間を短くすることができ、ひいては、ピーク時間帯における電力需要の集中を抑制することができる。
【0067】
また、冷却又は加温して販売する商品は、容器入り飲料Cであるものとしたが、これに限らない。
【0068】
以上、本発明の実施形態及びその変形例について説明したが、本発明は上述の実施形態や変形例に限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づいて更なる変形や変更が可能であることはもちろんである。