(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記上部移動体の先端と、前記下部移動体の刃は、所定の高さで対向するように設けられていることを特徴とする請求項1〜4いずれか一項記載のテープの折り返し機構。
【発明を実施するための形態】
【0020】
[1.第1の実施形態]
[1−1.構成]
以下、本発明に係るテープの折り返し機構の実施形態について図面を参照しつつ説明する。
図1および2は、本実施形態のテープの折り返し機構が適用されたテープカッターの構成を示す斜視図および断面図である。
図3は、折り返し機構の拡大断面図である。なお、以下の説明において、引き出された粘着テープにおいて粘着材が塗布されていない面側を上と表現し、粘着剤が塗布されている面側を下と表現することがある。また、各部材において、粘着テープが引き出される方向の端部、すなわち、粘着テープの供給側と反対側の端部を先端と表現することがある。
【0021】
(概略構成)
テープの折り返し機構は、粘着テープTを切断するテープカッターCの一方の端部側に設けられる。粘着テープTは、セロハン、紙、合成樹脂等を構成材料とする長尺テープの一方の面に粘着剤を塗布したテープである。以下、粘着剤を塗布した面を、粘着面という。粘着テープTは、ロール状に加工されており、支持体であるリールRにはめ込まれる。リールRは回転軸を有しており、粘着テープTはテープカッターCに回動可能に支持される。リールRは、テープカッターCにおいて、テープの折り返し機構が設けられた端部の他方の端部に設けられている。リールRが回動することにより、粘着テープTは折り返し機構に供給される。テープの折り返し機構は、プレート1と、上部移動体2と、下部移動体3と、を有する。
【0022】
(プレート)
プレート1は、粘着テープTの位置決めを行う部材である。
図4(a)および(b)に示す通り、プレート1は、先端に粘着テープを支持する支持部a1を含み、支持部a1の反対側の端部に向かって下降する方向に傾斜する傾斜面a2を有する。テープの折り返し機構側に供給された粘着テープTは、プレート1の上方を通るように引き出される。
【0023】
プレート1は、上面に垂直片1aが立ち上がるように設けられた板状部材1bを含む。板状部材1bの厚みは、例えば2.5mm程度とすることができる。垂直片1aは、板状部材1bのほぼ中心部に設けられ、板状部材1bとともに断面T字状の部材を形成している。垂直片1aの高さは、例えば10mmとすることができる。垂直片1aと板状部材1bは、樹脂で一体成形されている。垂直片1bにより分断された板状部材1bの2つの片のうち、先端側の一片の上面には、長方体状の突起1cが2つ設けられている。突起1cには、離型材11が嵌めこまれている。
【0024】
また、
図4(b)に示す通り、板状部材1bのもう一片には、円筒状の突起1dおよび1eが、板状部材1bの側面から突出するように設けられている。板状部材1bは、この突起1dおよび1eが、テープカッターCに設けられた凹部にはめ込まれることにより、テープカッターCに固定される。板状部材1bと、突起1c〜1eは、樹脂で一体成形されている。
【0025】
上記の通り、プレート1の上面先端には、離型材11が設けられている。この離型材11の先端部が、粘着テープTを支持する支持部a1である。支持部a1は、板状部材1bの先端部とすることもできるが、離型材11が設けられていることが好ましい。離型材11により、支持部a1に粘着テープTが密着することが防止できるからである。
【0026】
図2(b)に示す通り、プレート1の先端は、リールRの回転軸の高さよりも低い位置となるように配置することができる。プレート1は、板状部材1bが、支持部a1からテープカッターCのリールRが支持されている側の端部に向かって下降する方向に傾斜するように、テープカッターCに固定されている。板状部材1bの上面は、支持部a1から他端に向かって下降する方向に傾斜する傾斜面a2となる。
【0027】
また、
図4(a)に示す通り、垂直片1aの上部には、離型材12が嵌めこまれている。離型材11、12は、粘着テープTの粘着面が密着しにくい素材で形成されている。離型材11、12としては、例えばシリコン樹脂を用いることができる。
【0028】
離型材11は、
図5に示す通り、長方形状の部材であり、一方の面に複数の突起11aと、他方の面に2つの長方体状の凹部11bを有する。離型材11の厚みは、例えば3.0mm程度とすることができる。離型材11は、板状部材1bの上面先端において、突起1cに凹部11bがはめ込まれることにより固定されている。従って、複数の突起11aを有する面がプレート1の傾斜面a2の上面となる。
【0029】
離型材11の端部は、上面から見ると、半円状の凸部11cが複数形成され、隣接する凸部11bの間が半円状の凹部11dを形成している。すなわち、離型材11の一端は、波型に形成されている。波型とは、端部に複数の凸部11cが形成され、隣接する凸部11cの間が凹部11dとなる形状であり、凸部11cおよび凹部11dの形状は半円状に限定されず、四角状や三角状など、どのようなものであっても良い。
【0030】
離型材11を板状部材1bに固定する際には、波型の端部が先端となるように固定される。従って、波型の端部が粘着テープTを支持する支持部a1となる。また、離型材12は、断面U字状の部材であり、垂直片1aの上部にはめ込まれることにより固定されている。
【0031】
(上部移動体)
上部移動体2は、粘着テープTの上面を押さえる機能を有する部材である。上部移動体2は、プレート1の上方において回動可能に設けられ、傾斜面a2の上面と対向する第1の面を有する。テープの折り返し機構側に供給された粘着テープTは、プレート1と上部移動体2との間を通るように引き出される。
【0032】
図6(a)に示す通り、上部移動体2は、断面略直角三角形状の部材である。
図6(b)に示す通り、上部移動体2において直角三角形の鋭角を形成する端部には、円筒状の突起2aが樹脂で一体成形されている。上部移動体2は、突起2aが、テープカッターCに設けられた凹部にはめ込まれることにより、テープカッターCに固定されている。
【0033】
また、上部移動体2は、突起2aを回転軸として、回動可能にテープカッターCに固定されている。テープカッターCの内側面には、上部移動体2の回動を規制する突起21が対向するように設けられている。上部移動体2の上方に向かう回動は、上部移動体2において直角三角形の斜辺を形成する面、すなわち上面2bが、突起21に接する位置で規制される。
【0034】
上部移動体2において、突起2aが形成された鋭角と対向する辺が形成する面、すなわち下面は、略水平に形成された水平面2cである。
図3に示す通り、水平面2cは、プレート1の離型材11の上面と対向するように形成されている。つまり、水平面2cは、プレート1の傾斜面a2の上面と対向する第1の面である。
図3の例では、水平面2cは、傾斜面a2と離型材11を介して対向しているが、板状部材1bに接するように構成することもできる。上部移動体2の下方に向かう回動は、水平面2cがプレート1の離型材11の上面と接する位置で規制される。
【0035】
また、水平面2cは、粘着テープTの上面に接することができれば、傾斜面a2と空間を介して接していても良いし、密着するように接していても良い。同様に、上部移動体2の下面は、粘着テープTの上面に接することができれば、必ずしも略水平に形成する必要はない。
【0036】
図6(a)に示す通り、水平面2cには、円筒形の凹部2dが設けられている。この凹部2dには、ボタン型の永久磁石M1が嵌めこまれ、接着固定されている。永久磁石M1は、アルニコ磁石、フェライト磁石、ネオジウム磁石などを用いることができるが、特にネオジウム磁石を用いることが好ましい。永久磁石M1は、後述する下部移動体3の永久磁石M2と、異なる極性で対向するように設けられ、プレート1を介して引き付け合う必要がある。例えば、プレート1の板状部材1bの厚みを2.5mm、離型材11の厚みを3.0mmとした場合、合計5.5mmのプレート1を介して永久磁石M1およびM2が引き付け合うことになる。この条件にて、永久磁石M1とM2が好適に引き付け合う磁石は、磁力が最も強いネオジウム磁石である。
【0037】
また、永久磁石M1とM2は、粘着テープTを引き出すときに得られる上方向の力により、容易に上下方向に離れることが求められる。つまり、永久磁石M1およびM2の引力が強すぎる場合には、永久磁石M1およびM2が離れず引き付け合うため、粘着テープ1を引き出すことができない。従って、永久磁石M1およびM2は、例えば5.5mmのプレート1を介して引き付け合うことができ、かつ、粘着テープTを引き出す時に容易に外れる引力を有することが好ましい。具体的には、永久磁石M1およびM2の強さは、200GSとすることが好ましい。
【0038】
上部移動体2の上面2bと水平面2cは、水平面2cから上面2bに向かって上昇する方向に傾斜する傾斜面2eを介して、連続して形成されている。従って、上面2bと傾斜面2eが形成する角部が、上部移動体2の先端となる。
【0039】
上部移動体2の上面2bには、凹部22が設けられている。凹部22は、上方から下方に向かって、なだらかに深さが増大するように設けられている。凹部22の下方側は、角を有さず、丸みをおびた形状に形成されている。凹部22の粘着テープT側の端部の中央部分には、円弧状の切り欠き23が設けられている。切り欠き23は、上面2bの凹部22から傾斜面2eにかけて切り欠かれて形成されている。
【0040】
(下部移動体)
下部移動体3は、粘着テープTを切断し、上部移動体2とともに粘着テープTの先端にタブを形成する機能を有する部材である。下部移動体3は、プレート1の下方において回動可能に設けられ、傾斜面a2の下面と対向する第2の面を有する。
図7(a)に示す通り、下部移動体3は、下部移動体3の先端において、プレート1の支持部a1よりも外方側に突出する切断部4と、切断部4を支持する板状部材3aを有する。
【0041】
また、板状部材3aの終端には、板状部材3aの終端から屈曲するように連続して形成され、テープカッターCのリールRが支持されている側の端部に向かって下降する方向に傾斜する軸部3fが形成されている。
図7(b)に示す通り、軸部3fにおいて、板状部材3aと反対側の端部には、円筒状の突起3gが樹脂で一体成形されている。下部移動体3は、突起3gが、テープカッターCに設けられた凹部にはめ込まれることにより、テープカッターCに固定されている。また、下部移動体3は、突起3gを回転軸として、回動可能にテープカッターCに固定されている。
【0042】
図3に示す通り、下部移動体3の上方に向かう回動は、板状部材3aがプレート1の下面と接する位置で規制される。一方、
図2(b)に示す通り、下部移動体3の下方に向かう回動は、下部移動体3の先端側の下面が、テープカッターCの土台から立ち上がるように設けられたストッパーC1に接する位置で規制される。
【0043】
本実施形態で形成される粘着テープTのタブの長さは、下部移動体3がストッパーC1に接する位置にあるときにプレート1の支持部a1から切断部4の間に引き出された粘着テープTの約1/2の長さとなる。つまみやすいタブの長さは、数mm以上20mm以下であり、より好適には5mm以上10mm以下である。例えば10mmのタブを形成するのであれば、下部移動体3がストッパーC1に接する位置にあるときにプレート1の支持部a1から切断部4の間に引き出された粘着テープTの長さが20mmとなるようにストッパーC1の高さを調整すれば良い。
【0044】
板状部材3aは、その上面に立ち上がるように設けられた垂直片3b、3c、3dを有する。垂直片3bは、板状部材3aの先端に設けられ、板状部材3aとともに断面L字状の部材を形成している。垂直片3bの高さは、後述する切断部4の垂直面43の高さとほぼ等しく、例えば10mmとすることができる。
【0045】
垂直片3cは、垂直片3bと空間を介して設けられている。垂直片3bと3cの間の空間は、後述する切断部4が挿入可能な幅であり、例えば0.5mmとすることができる。また、垂直片3cの高さは、垂直片3bの高さよりも低く、例えば7mmとすることができる。
図7(c)に示す通り、垂直片3cは、板状部材3aと連続する根元部31と、根元部31よりも厚みが薄い先端部32を有する。先端部32の、垂直片3bと対向する面には、断面半円状の突起33が設けられている。根元部31、先端部32、および突起部33により窪みが形成され、この窪みに後述する切断部4の突起44がはめ込まれる。
【0046】
垂直片3dは、垂直片3cと空間を介して設けられている。垂直片3cと3dの間の空間は、後述する離型材5が挿入可能な幅であり、例えば5mmとすることができる。また、垂直片3dの高さは、垂直片3cの高さよりも低く、例えば5.5mmとすることができる。
【0047】
垂直片3b、3c、および3dは、板状部材3aがプレート1の下面と接するときに、プレート1の先端、すなわち支持部a1よりもテープが引き出される方向に突出する。
また、上部移動体2の下面2cがプレート1の上面と接し、板状部材3aがプレート1の下面と接するとき、上部移動体2の先端は、垂直片3cおよび3dの間に配置された離型材5に接する。上述の通り、切断部4は、垂直片3bと3cの間に挿入される。従って、上部移動体2の先端と下部移動体3の切断部4の刃42との間は、所定の間隔を有するように配置されていることとなる。
【0048】
板状部材3aは、先端に切断部4を有し、他端側に円筒形の凹部3eが設けられている。板状部材3aは、凹部3eを画成する略水平に形成された水平面が、プレート1の下面と対向するように形成されている。つまり、板状部材3eの水平面は、プレート1の傾斜面a2の下面と対向する第2の面である。従って、
図3からも明らかな通り、上部移動体2の水平面2cと下部移動体3の板状部材3aは、プレート1を介して、永久磁石M1およびM2の引力により引きつけ合うように対向する。
【0049】
凹部3eには、ボタン型の永久磁石M2が嵌めこまれ、接着固定されている。永久磁石M2は、アルニコ磁石、フェライト磁石、ネオジウム磁石などを用いることができるが、上述の通り、特にネオジウム磁石を用いることが好ましい。また、永久磁石M2の強さは、200GSとすることが好ましい。
【0050】
永久磁石M2の上面には、円形状の緩衝材M3が貼り付けられている。緩衝材M3としては、ウレタン等の柔軟性を有する部材を用いることができる。緩衝材M3は、必ずしも設ける必要はないが、永久磁石M1およびM2が引き合う際の騒音および振動を防止する観点から、永久磁石M1またはM2の一方に設けることが好ましい。また、永久磁石M1は、粘着テープTを押さえる機能を有するため、粘着テープTとの接触と解離を頻繁に繰り返す。従って、永久磁石M1よりもM2に設けた方が、緩衝材M3が剥がれる可能性が低くなる。
【0051】
以上のような下部移動体3に設置される、切断部4および離型材5について説明する。切断部4は、粘着テープTを切断するカッターである。切断部4は、下部移動体3の垂直片3bと3cの間に挿入されている。
図8に示す通り、切断部4は、粘着テープTと略平行となる水平面41と、水平面の先端に設けられた刃42を有する。刃42は、例えば2.5mmの水平面41を設け、先端の0.5mmを鋸型に加工することにより形成できる。
【0052】
本実施形態の切断部4では、水平面41と刃42の面積を合わせた面積に粘着テープTが密着する。すなわち、切断後の粘着テープTは、先端から例えば2.5mmにおいて、水平面41および刃42と接している。水平面41および刃42の幅は、狭すぎると切断後の粘着テープTの先端が切断部4から解離してしまう。また、水平面41および刃42の幅が広すぎると、タブ形成時に粘着テープTの粘着面同士が貼り合わせられず、適切なタブを形成することができない。従って、水平面41および刃42の幅は、2mm〜3mm程度とすることが好ましい。
【0053】
水平面41において、刃42が形成された端部と反対側の端部は略直角に屈曲され、垂直面43が形成されている。すなわち、切断部4は、断面L字状の部材である。垂直面43は、例えば高さ10mm程度の板状に形成されている。垂直面43において、刃42が設けられた面と反対側の面には、突起44が2つ設けられている。突起44は、垂直面43の一部に平行な2本の切り込みをいれ、この切り込みに挟まれた部分が刃41と反対側に押し出されることにより形成されている。切断部4が下部移動体3に切断されたときに、突起44は、下部移動体3の根元部31、先端部32、および突起部33が形成する窪みにはめ込まれる。
【0054】
下部移動体3の先端部分および切断部4を上記のように高さを有する構成とすることで、プレート1の支持部a1よりも高い位置に刃42が設けられることとなる。また、上部移動体2および下部移動体3がそれぞれプレートの上面および下面に接する状態において、上部移動体2の先端と、下部移動体3の刃42はほぼ同じ高さで対向することとなる。
【0055】
離型材5は、下部移動体3に粘着テープTが密着することを防止する部材である。
図9に示す通り、離型材5は、固定部51と、固定部51よりも厚みが薄い先端部52とを有する。固定部51は、切断部4の近傍、すなわち下部移動体3の垂直片cおよびdの間にはめ込まれる部分であり、長方体状に形成されている。固定部51の厚みは、5mmとすることができる。先端部52は、断面U字状であり、固定部の一端側から突出するように形成されている。先端部52の厚みは、3mmとすることができる。
【0056】
図9(c)に示す通り、先端部52の先端には、側面から見ると、半円状の凸部53が複数形成され、隣接する凸部53の間が半円状の凹部54を形成している。すなわち、離型材5の先端は、波型に形成されている。波型とは、端部に複数の凸部53が形成され、隣接する凸部53の間が凹部54となる形状であり、凸部53および凹部54の形状は半円状に限定されず、四角状や三角状など、どのようなものであっても良い。
【0057】
また、凸部53の先端には、突起53aが形成されている。突起53aは、凸部53の最上部を摘むようにして、突起53aの先端部の厚みがさらに細くなるように形成されている。突起53aとしては、点状の突起を凸部53の頂点に形成する態様もある。
【0058】
なお、離型材5については、粘着テープTの熱膨張・収縮の観点からも、設けることが好ましい。粘着テープTは、粘着剤が付いている面と、ついていない面で、熱膨張・収縮が異なる。例えば気温が20°以上の場合、粘着剤がついていない面の膨張が大きく、テープが伸びる方向に膨張する。すると、例えば離型材5が無くとも、切断部4の上方で折り返されたタブを得ることができる。一方、例えば気温が20°以下の場合、粘着剤がついていない面の熱収縮が大きく、テープが縮む方向に収縮する。すると、例えば離型材5がない場合、粘着テープTが収縮して切断部4の下方側に折り返す力が強くなり、タブが形成できない場合がある。
【0059】
[1.2.動作]
以上のような構成を有する本実施形態のテープの折り返し機構の動作を、
図10(a)および(b)を参照して説明する。
【0060】
図10(a)に示す通り、粘着テープTが引き出されることにより、上部移動体2の永久磁石M1と下部移動体3の永久磁石M2の引力が離される。すると、上部移動体2が上方に回動されるとともに、下部移動体2はテープカッターCのストッパーC1に接する位置まで、下方に回動する。
【0061】
粘着テープTを切断部4に接している状態においては、粘着テープTは、プレート1の支持部a1である離型材11の先端と、下部移動体3の離型材5の先端に接している。プレート1は、支持部a1から他端に向かって下降する方向に傾斜する傾斜面a2を有するため、プレート1に粘着テープが接すること無く、粘着テープTは支持部a1に接するのみである。
【0062】
この状態で、粘着テープTを切断すると、切断された粘着テープTの先端部分は、切断部4の水平面41および刃42に密着する。そして、上部移動体2が下方に回動することにより、永久磁石M1およびM2の引力が働き、ほぼ同時に下部移動体3が上方に回動する。
【0063】
このとき、
図10(b)に示す通り、上部移動体2の下面2cは、プレート1の離型材11との間に挟みこむようにして、粘着テープTを上方から押さえる。従って、下部移動体3が上方への回動を続けても、引き出された粘着テープTがリールR側に戻ることはなく、プレート1と下部移動体3との間でたわんだ状態となる。粘着テープTは、たわんだ状態となると下部移動体3の離型材5からスムーズに解離する。
【0064】
また、プレート1の支持部a1から下部移動体3の刃42の間に引き出された粘着テープTのうち、支持部a1側の粘着テープTの上面が、下部移動体3が上方に回動する途中で上部移動体2の先端に接する。上部移動体2の先端により、粘着テープTの位置が規制され、粘着テープTが折り返される。下部移動体3が更に上方に回動しプレート1の下面に接することで、上部移動体2の先端と、下部移動体の切断部4との間に、粘着テープTの接着面同士が空間を介して対向するタブが形成される。タブが形成された時点では、粘着テープTは離型材11および12の上面に接する。
【0065】
この時点では、粘着テープTの粘着面同士は貼り合わされておらず、作業者がこのタブを摘むことにより粘着面同士が貼り合わされたタブが形成される。作業者がタブを摘んで所望の長さの粘着テープTを引き離し、切断する動作を行う度に、テープの先端部が折り返されてタブが形成される。粘着テープTの引き出し、切断、タブの形成において、それぞれ離型材5、11、12が粘着テープTに接するタイミングが生じるが、離型材5、11、12はそれぞれ粘着テープが密着しにくい素材で出てきているため、各動作にともなって適宜離型材5、11、12から解離する。
【0066】
[1−3.作用効果]
以上のような構成を有する本実施形態のテープの折り返し機構の作用効果を以下に説明する。
(1)粘着テープTを切断するテープカッターCの一方の端部側に設けられるテープの折り返し機構であって、先端に粘着テープTを支持する支持部a1を含み、支持部a1から他端に向かって下降する方向に傾斜する傾斜面a2を有するプレート1と、プレート1の上方において回動可能に設けられ、傾斜面a2の上面と対向する第1の面を有する上部移動体2と、プレート1の下方において回動可能に設けられ、傾斜面の下面と対向する第2の面を有する下部移動体3と、を有し、第1の面と前記第2の面は、異なる極性で対向するように設けられた永久磁石M1,M2をそれぞれが有し、下部移動体3は、切断部4を有し、切断部4は、粘着テープTと略平行となる水平面41と、水平面41の先端に設けられた刃42を有し、上部移動体2の先端と下部移動体4の刃42との間は、所定の間隔を有するように配置されている。
【0067】
以上の構成により、確実にタブを形成することができるテープの折り返し機構を提供することができる。特に、プレート1は、支持部a1から他端に向かって下降する方向に傾斜する傾斜面a2を有しているため、引き出された粘着テープTがプレート1に接触することが防止できる。プレート1と、プレート1の傾斜面a2と対向する第1の面を有する上部移動体2により粘着テープTを確実に押さえることができるため、切断後の粘着テープTがリールR側に戻ることがなく、タブが確実に形成される。
【0068】
また、切断部4は、粘着テープTと略平行となる水平面41と、水平面41の先端に設けられた刃42を有する。そのため、下部移動体3が粘着テープT切断後に上方に回動する際に、切断後の粘着テープTの先端が、刃42から離れてしまうことがない。また、上部移動体2の先端と下部移動体3の刃42との間は、所定の間隔を有するように配置されている。そのため、下部移動体3が粘着テープT切断後に上方に回動する際に、粘着テープTの粘着面同士が途中でくっついてしまい、タブが形成できなくなるようなことがない。
【0069】
(2)プレート1には、離型材11が設けられ、離型材11は、傾斜面となる複数の突起を有する面と、支持部a1となる波型の端部と、を有している。上述の通り、粘着テープTが引き出される場合には支持部a1に粘着テープが接し、タブが形成される際には粘着テープTがプレート1の傾斜面a2に接する可能性がある。しかし、離型材11を設けることにより、接触した粘着テープがプレート1に密着することが抑制される。また、離型材11は、波型の端部と複数の突起11aを有しているため、粘着テープTと、面ではなく点で接触する。従って、より粘着テープTが解離しやすくなる。
【0070】
(3)プレート1は、傾斜面a1から立ち上がるように設けられた垂直片1bを有し、垂直片1bの先端には、離型材12が設けられている。プレート1は傾斜面a1を有しているため、粘着テープTの接触が防止されている。ただし、
図10(b)に示すように、上部移動体2が粘着テープTを抑えている状態では、より傾斜面a1に接し易い状態となる。本実施形態では、傾斜面a1に垂直片1bが設けられているため、この垂直片1bに粘着テープTを接触させることで、傾斜面a1に粘着テープTが密着することが防止される。垂直片1bの先端にも、離型材12が設けられているため、垂直片1bについても粘着テープが密着することが防止される。
【0071】
(4)上部移動体2の上面には、丸みを帯びた形状の凹部22が設けられ、凹部22の下端の中央部分には、円弧状の切り欠き23が形成されている。上部移動体2の上面に凹部22と切り欠き23を設けることにより、作業者がタブをつまみやすくなる。従って、作業性が向上する。
【0072】
(5)上部移動体2の先端と、下部移動体3の刃42は、所定の高さで対向するように設けられている。従って、上部移動体2の先端と下部移動体の切断部4との間に、形成されたタブにおいては、折り返されて対向する2つの粘着面の底辺が同じ高さとなる。すなわち、粘着面同士の面積がほぼ同一となるため、作業者がタブを摘んだ際に、粘着面同士が綺麗に貼り合わされる。
【0073】
(6)下部移動体3に設けられた永久磁石M2には、緩衝材M3が貼り付けられている。従って、永久磁石M1およびM2が引き合う際の騒音および振動を防止することができる。特に、振動を防止することにより、永久磁石M1、M2が振動により外れてしまうことを防止できる。また、下部移動体3の永久磁石M2は、粘着テープTに接することはないため、粘着テープTが擦れるように離接を繰り返すことにより、緩衝材M3が剥がれてしまうことがない。
【0074】
(7)切断部4において、粘着テープTが引き出される側の近傍に、第3の離型材5が設けられ、第3の離型材5は、先端が波型に形成され、当該波型を形成する凸部53の先端に突起53aを有する。切断部4において粘着テープTを切断する際、作業者は最も強い力で粘着テープTを刃42に接触させる。離型材5を設けることにより、切断部4の近傍の部材に、粘着テープTが密着することを防止できる。離型材5は先端が波型に形成された上、さらに凸部53に突起53aを有しているため、粘着テープTに強い力が加わったとしても、粘着テープTと、面ではなく点で接触する。従って、より粘着テープTが解離しやすくなる。
【0075】
(8)永久磁石M1、M2は、ネオジウム磁石であり、強さが200GSである。従って、プレート1を介して上部移動体2と下部移動体3が引き付け合うことができる。また、上部移動体2および下部移動体3が、粘着テープTを引き出すときに得られる上方向の力により、容易に上下方向に離れることができる。
【0076】
[3.その他の実施の形態]
上記の実施形態では、テープカッターCの土台から立ち上がるように設けられたストッパーC1により下部移動体3の下方向の回転を規制する構成とした。ただし、ストッパーC1は必ずしも一定の位置に固定されている必要はなく、高さを可変に設け、複数の規制位置を有するようにしても良い。例えば、ストッパーC1を上下にスライド移動可能に構成することができる。
【0077】
上述の通り、形成される粘着テープTのタブの長さは、下部移動体3がストッパーC1に接する位置にあるときにプレート1の支持部a1から切断部4の間に引き出された粘着テープTの約1/2の長さとなる。従って、ストッパーC1の高さを可変に設けることで、形成するタブの長さを調整することが可能となる。