(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6530266
(24)【登録日】2019年5月24日
(45)【発行日】2019年6月12日
(54)【発明の名称】吸排制御方法、吸排制御機構及びサージタンク
(51)【国際特許分類】
B65D 90/00 20060101AFI20190531BHJP
【FI】
B65D90/00 Z
【請求項の数】9
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-139155(P2015-139155)
(22)【出願日】2015年7月10日
(65)【公開番号】特開2017-19532(P2017-19532A)
(43)【公開日】2017年1月26日
【審査請求日】2018年6月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】309007911
【氏名又は名称】サントリーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】長田 真
【審査官】
宮崎 基樹
(56)【参考文献】
【文献】
特開2006−176133(JP,A)
【文献】
特開2011−122754(JP,A)
【文献】
特開2015−048925(JP,A)
【文献】
特開2000−146093(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2010/0037984(US,A1)
【文献】
特開2007−112002(JP,A)
【文献】
特開2015−025467(JP,A)
【文献】
特開2001−180785(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 88/00−90/66
B67C 3/00−11/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を無菌状態で貯留するためのサージタンクの内部の気圧が所定の目標値となるように、除菌フィルタを有する通気管を介して、前記サージタンクにエアを吸気する、及び前記サージタンクからエアを排気する吸排制御方法であって、
前記気圧を測定する測定ステップと、
前記測定ステップで得られた測定値と前記目標値を比較し、前記測定値が前記目標値より低い又は高いと判断する判断ステップと、
前記判断ステップで、前記測定値が前記目標値より低いと判断された場合に、前記サージタンクにエアを吸気する吸気ステップと、
前記判断ステップで、前記測定値が前記目標値より高いと判断された場合に、前記サージタンクからエアを排気する排気ステップとを備え、
前記排気ステップを実行する前に、前記サージタンクに一旦エアを吸気するプレ吸気ステップを備えることを特徴とする吸排制御方法。
【請求項2】
前記プレ吸気ステップは、所定時間経過すると終了することを特徴とする請求項1に記載の吸排制御方法。
【請求項3】
前記プレ吸気ステップは、前記測定値の現在の値が、前記目標値又は前記測定値の前記プレ吸気ステップの開始時の値より所定量超過すると終了することを特徴とする請求項1に記載の吸排制御方法。
【請求項4】
前記判断ステップでは、
前記測定値が前記目標値より高く設定された目標上限値以上であるときに、前記測定値が前記目標値より高いと判断し、
前記測定値が前記目標値より低く設定された目標下限値以下であるときに、前記測定値が前記目標値より低いと判断することを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の吸排制御方法。
【請求項5】
液体を無菌状態で貯留するためのサージタンクの内部の気圧が所定の目標値となるように、除菌フィルタを有する通気管を介して接続された吸排機構に、前記サージタンクにエアを吸気させる吸気制御及び前記サージタンクからエアを排気させる排気制御を実行する吸排制御機構であって、
前記サージタンクに設置された圧力測定機構が測定した前記気圧の測定値と、前記目標値とを比較し、前記測定値が前記目標値より低い又は高いと判断する判断部と、
前記判断部が前記測定値が前記目標値より低いと判断した場合は、前記吸気制御を実行し、前記判断部が前記測定値が前記目標値より高いと判断した場合は前記排気制御を実行する吸排制御部とを備え、
前記吸排制御部は、前記吸排機構に、前記排気制御する前に前記サージタンクに一旦エアを吸気させるプレ吸気制御を実行することを特徴とする吸排制御機構。
【請求項6】
前記吸排制御部は、前記プレ吸気制御の実行開始後、所定時間経過すると前記プレ吸気制御を終了することを特徴とする請求項5に記載の吸排制御機構。
【請求項7】
前記吸排制御部は、前記プレ吸気制御の実行開始後、前記測定値の現在の値が、前記目標値又は前記測定値の前記プレ吸気制御の実行開始時の値より所定量超過すると前記プレ吸気制御を終了することを特徴とする請求項5に記載の吸排制御機構。
【請求項8】
前記判断部は、
前記測定値が前記目標値より高く設定された目標上限値以上であるときに、前記測定値が前記目標値より高いと判断し、
前記測定値が前記目標値より低く設定された目標下限値以下であるときに、前記測定値が前記目標値より低いと判断することを特徴とする請求項5から7のいずれか一項に記載の吸排制御機構。
【請求項9】
請求項5から8のいずれか一項に記載の吸排制御機構を備えるサージタンク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
液体を無菌状態で貯留するためのサージタンクの内部の気圧が所定の目標値となるように、除菌フィルタを有する通気管を介して、前記サージタンクにエアを吸気する、及び前記サージタンクからエアを排気する吸排制御方法、吸排制御機構及びサージタンクに関する。
【背景技術】
【0002】
乳製品や清涼飲料水等の容器入り液体製品は無菌充填システムによって製造される。
無菌充填システムは、液体製品の複数の種類の原料をそれぞれ所望の割合で調合する調合装置と、調合された液体を超高温加熱処理法などにより殺菌する殺菌装置と、殺菌された液体を無菌状態で一旦貯留するアセプティック・サージタンクと、一旦貯留された液体を容器に所定の入味量ずつ充填する充填装置などを備えている。
【0003】
アセプティック・サージタンク(以下、「サージタンク」と称する。)は、液体の容器への充填前に殺菌処理又は滅菌処理後の一時的な貯留などに用いられる。
サージタンクは、CIP(Cleaning in Place;定置洗浄)やSIP(Sterilization in Place;定置滅菌)したあと、サージタンクの内部の無菌状態を保持するため、常時除菌フィルタを通過した無菌エアをサージタンクに供給して内部を陽圧化することで外部からの菌的影響を受けない構造となっている。
【0004】
なお、CIPは各装置や液体供給管に、例えば水にアルカリ性薬剤又は酸性薬剤を添加した洗浄液を流すことにより行われる。これにより、各装置や液体供給管に付着した液体製品の残留物などが除去される。
SIPは前記CIPで洗浄した各装置や液体供給管に蒸気や熱水などを流すことによって行われる。これにより、各装置や液体供給管は、殺菌処理され無菌状態となる。
【0005】
サージタンクには、除菌フィルタを備えた無菌エアの吸排機構が接続されている。
吸排機構は、サージタンクの内部の気圧が下がれば、サージタンクにエアを吸気し、サージタンクの内部の気圧が上がれば、サージタンクからエアを排気し、サージタンクの内部の気圧が所定の陽圧状態を維持するように構成されている。(特許文献1の段落〔0017〕参照。)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−42833号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、サージタンクに貯留される液体の温度が高いと、サージタンクの内部の気体層の水蒸気がサージタンク内壁や、無菌エアの供給管の表面で冷やされ結露しやすくなる。
特に、除菌フィルタの表面での結露は目詰まりの原因となり正常な吸排気の妨げとなる虞がある。この場合、無菌充填システム全体を停止させての除菌フィルタの目詰まりの除去作業が必要となる。
このような虞を低減するためには、サージタンクに貯留される前に、液体を冷却する必要があり、除菌フィルタの目詰まりの回避のために、無駄な設備やコストが必要となってしまう。
【0008】
本発明の目的は、サージタンクに貯留される液体の温度によらず、適切に無菌エアを吸排することができる吸排制御方法、吸排制御機構及びサージタンクを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述の目的を達成するための、本発明による吸排制御方法の特徴は、液体を無菌状態で貯留するためのサージタンクの内部の気圧が所定の目標値となるように、除菌フィルタを有する通気管を介して、前記サージタンクにエアを吸気する、及び前記サージタンクからエアを排気する吸排制御方法であって、前記気圧を測定する測定ステップと、前記測定ステップで得られた測定値と前記目標値を比較し、前記測定値が前記目標値より低い又は高いと判断する判断ステップと、前記判断ステップで、前記測定値が前記目標値より低いと判断された場合に、前記サージタンクにエアを吸気する吸気ステップと、前記判断ステップで、前記測定値が前記目標値より高いと判断された場合に、前記サージタンクからエアを排気する排気ステップとを備え、前記排気ステップを実行する前に、前記サージタンクに一旦エアを吸気するプレ吸気ステップを備える点にある。
【0010】
サージタンクの内部の気圧の測定値が所定の目標値より高く排気が必要な場合に、排気の前に一旦エアを吸気するプレ吸気をすることで、除菌フィルタの表面に結露をパージすることができる。除菌フィルタの目詰まりが解消することで、その後の円滑な排気が可能となる。
除菌フィルタの目詰まりの虞がなくなるため、除菌フィルタの目詰まりを回避するためだけにサージタンクに貯留する液体の温度を制御する必要がなくなる。
【0011】
本発明においては、前記プレ吸気ステップは、所定時間経過すると終了すると好適である。
【0012】
プレ吸気の終了タイミングを、無菌エアの吸気時間に基づいて管理することで、除菌フィルタのパージを確実にすることができる。また、プレ吸気後の排気の開始時間の把握が容易となる。
【0013】
本発明においては、前記プレ吸気ステップは、前記測定値の現在の値が、前記目標値又は前記測定値の前記プレ吸気ステップの開始時の値より所定量超過すると終了すると好適である。
【0014】
プレ吸気の終了タイミングを、サージタンクの内部の気圧に基づいて管理することで、プレ吸気によるサージタンクの内部の異常な圧力上昇を回避することができる。
【0015】
本発明おいては、前記判断ステップでは、前記測定値が前記目標値より高く設定された目標上限値以上であるときに、前記測定値が前記目標値より高いと判断し、前記測定値が前記目標値より低く設定された目標下限値以下であるときに、前記測定値が前記目標値より低いと判断すると好適である。
【0016】
気圧の測定値が、所定の目標値を上下に設定された目標上限値と目標下限値に挟まれる範囲から外れたときにのみ無菌エアの吸排気を行うようにしたことで、吸気及び排気のチャタリングが防止される。
【0017】
本発明による吸排制御機構の特徴は、液体を無菌状態で貯留するためのサージタンクの内部の気圧が所定の目標値となるように、除菌フィルタを有する通気管を介して接続された吸排機構に、前記サージタンクにエアを吸気させる吸気制御及び前記サージタンクからエアを排気させる排気制御を実行する吸排制御機構であって、前記サージタンクに設置された圧力測定機構が測定した前記気圧の測定値と、前記目標値とを比較し、前記測定値が前記目標値より低い又は高いと判断する判断部と、前記判断部が前記測定値が前記目標値より低いと判断した場合は、前記吸気制御を実行し、前記判断部が前記測定値が前記目標値より高いと判断した場合は前記排気制御を実行する吸排制御部とを備え、前記吸排制御部は、前記吸排機構に、前記排気制御する前に前記サージタンクに一旦エアを吸気させるプレ吸気制御を実行する点にある。
【0018】
サージタンクの内部の気圧の測定値が所定の目標値より高く排気が必要な場合に、排気の前に一旦エアを吸気するプレ吸気をすることで、除菌フィルタの表面に結露をパージすることができる。除菌フィルタの目詰まりが解消することで、その後の円滑な排気が可能となる。
除菌フィルタの目詰まりの虞がなくなるため、除菌フィルタの目詰まりを回避するためだけにサージタンクに貯留する液体の温度を制御する必要がなくなる。
【0019】
本発明においては、前記吸排制御部は、前記プレ吸気制御の実行開始後、所定時間経過すると前記プレ吸気制御を終了すると好適である。
【0020】
プレ吸気の終了タイミングを、無菌エアの吸気時間に基づいて管理することで、除菌フィルタのパージを確実にすることができる。また、プレ吸気後の排気の開始時間の把握が容易となる。
【0021】
本発明においては、前記吸排制御部は、前記プレ吸気制御の実行開始後、前記測定値の現在の値が、前記目標値又は前記測定値の前記プレ吸気制御の実行開始時の値より所定量超過すると前記プレ吸気制御を終了すると好適である。
【0022】
プレ吸気の終了タイミングを、サージタンクの内部の気圧に基づいて管理することで、プレ吸気によるサージタンクの内部の異常な圧力上昇を回避することができる。
【0023】
本発明においては、前記判断部は、前記測定値が前記目標値より高く設定された目標上限値以上であるときに、前記測定値が前記目標値より高いと判断し、前記測定値が前記目標値より低く設定された目標下限値以下であるときに、前記測定値が前記目標値より低いと判断すると好適である。
【0024】
気圧の測定値が、所定の目標値を上下に設定された目標上限値と目標下限値に挟まれる範囲から外れたときにのみ無菌エアの吸排気を行うようにしたことで、吸気及び排気のチャタリングが防止される。
【0025】
本発明によるサージタンクの特徴は、上述したいずれかの特徴を有する吸排制御機構を備える点にある。吸排制御機構により、貯留される液体の温度によらず、適切に無菌エアを吸排することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】サージタンク、吸排機構及び吸排制御機構の説明図
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1には、サージタンク10、吸排機構20及び吸排制御機構30が示されている。
【0028】
サージタンク10は、好ましくは乳製品や清涼飲料水等の容器入り液体製品は無菌充填システムにおいて、殺菌装置1と充填装置2の間に設けられ、液体の容器への充填前に殺菌処理又は滅菌処理後の一時的な貯留などに用いられる。
【0029】
サージタンク10の天面部には、点検口、足場及び防護柵(図示しない)などが備えられ、側面部には足場に登るためのはしご(図示しない)が備えられている。
サージタンク10の底面部には、自立するための脚部(図示しない)が備えられている。
【0030】
サージタンク10には、内部に貯留される液体を攪拌する攪拌機(図示しない)、内部に貯留される液体の温度を検知する温度センサ(図示しない)、水位を検知する水位センサ11及び内部の気圧を検知する圧力センサ12が備えられている。なお、攪拌機の回転部分には常時スチームが供給され陽圧状態でシールされている。
【0031】
サージタンク10には、通気管23を介して吸排機構20が接続されている。
吸排機構20は、除菌フィルタ21とブロワ22を備え、サージタンク10の内部の気圧が大気圧より若干高めの気圧になるように無菌エアを供給するものである。
【0032】
なお、吸排機構20は、CIP後に、サージタンク10の内部を加圧するためや、CIP後の冷却による減圧及びCIP開始時の膨張等によるサージタンク10の内外の圧力差をなくすため、前記圧力差が設定圧力を超えたときに、無菌エアを出入りさせてサージタンク10を保護するためにも用いられる。
【0033】
除菌フィルタ21は、ろ材としてのPTFE(フッ素樹脂)単体からなる均一な孔径をもった多孔質膜で構成されたマイクロフィルタが、SUS304などによって製造された本体フレームに支持されて構成されている。
マイクロフィルタの孔径は約0.2μm程度以下であり、サージタンク10に送るべきエア中の微生物がろ過可能となっている。なお、マイクロフィルタは、疎水性であるため水をはじき、気体のみが通過する。
【0034】
吸排制御機構30は、殺菌装置1からサージタンク10に殺菌済み液体が流入してサージタンク10の内部の水位が上昇する場合などには吸排機構20にサージタンク10の内部の気体層の無菌エアを排気させる排気制御を実行し、内部の水位が下降する場合などには吸排機構20にサージタンク10に外部から無菌エアを吸気させる吸気制御を実行し、サージタンク10の内部の気圧を所定の目標値P
Sに維持するためのものである。
【0035】
吸排制御機構30は、判断部31と、吸排制御部32を備えている。
判断部31は、サージタンク10に設置された圧力測定機構としての圧力センサ12が検知した気圧の測定値P
Cと、目標値P
Sとを比較し、測定値P
Cが目標値P
Sより低い又は高いと判断するように構成されている。
【0036】
判断部31は、測定値P
Cが目標値P
Sより高く設定された目標上限値P
H以上であるときに、測定値P
Cが目標値P
Sより高いと判断し、測定値P
Cが目標値P
Sより低く設定された目標下限値P
L以下であるときに、測定値P
Cが目標値P
Sより低いと判断するように構成されている。
【0037】
吸排制御部32は、判断部31が測定値P
Cが目標値P
Sより低いと判断した場合は、吸気制御を実行し、判断部31が測定値P
Cが目標値P
Sより高いと判断した場合は排気制御を実行するように構成されている。
【0038】
さらに、吸排制御部32は、吸排機構20に排気制御する前にサージタンク10に一旦エアを吸気させるプレ吸気制御を実行するように構成されている。
【0039】
プレ吸気制御によって、加圧された無菌エアがサージタンク10内に供給される。その際、除菌フィルタ21の表面の結露がパージされる。
【0040】
なお、プレ吸気制御の実行開始後、所定時間経過、例えば10秒経過するとプレ吸気制御を終了するように構成されている。
また、吸排制御部32は、プレ吸気制御の実行開始後、測定値P
Cの現在の値が、目標値P
S又は測定値P
Cのプレ吸気制御の実行開始時の値より所定量超過するとプレ吸気制御を終了するように構成されていてもよい。
【0041】
上述の吸排制御機構30により、本発明による吸排制御方法が好適に実行される。
図2に示すように、吸排制御機構30は圧力センサ12によって常時検知されているサージタンク10の内部の気圧を常時又は所定時間ごとに測定する(ステップS1)。
【0042】
判断部31は、ステップS1で得られた測定値P
Cと目標値P
Sを比較し、測定値P
Cが目標値P
Sより低いか高いかを判断する(ステップS2)。
【0043】
ステップS2で、測定値P
Cが目標上限値P
H以上であれば、目標値P
Sより高いと判断し(ステップS2;YES)、サージタンク10に一旦無菌エアを吸気する(ステップS3)。
【0044】
ステップS3の実行開始からの時間Tが所定時間経過すると(ステップS4;YES)、プレ吸気を終了する(ステップS5)。
【0045】
その後、サージタンク10から無菌エアの排気を開始する(ステップS6)。
排気を開始したあと、圧力センサ12によって常時検知されているサージタンク10の内部の気圧を測定し(ステップS7)、ステップS7で得られた測定値P
Cと目標値P
Sを比較し、測定値P
Cが目標下限値P
L以下であれば、目標値P
Sより低いと判断し、(ステップS8;YES)、排気を終了する(ステップS9)。
【0046】
もし、測定値P
Cが目標上限値P
H以上ではなく(ステップS2;NO)、測定値P
Cが目標下限値P
L以下であれば、目標値P
Sより低いと判断し(ステップS10;YES)、サージタンク10に無菌エアを吸気する(ステップS11)。
【0047】
吸気を開始したあと、圧力センサ12によって常時検知されているサージタンク10の内部の気圧を測定し(ステップS12)、ステップS12で得られた測定値P
Cと目標値P
Sを比較し、測定値P
Cが目標値P
S以上となれば(ステップS13;YES)、吸気を終了する(ステップS14)。
【0048】
なお、ステップS5は、測定値P
Cの現在の値が、目標値P
S又は測定値P
CのステップS5の開始時の値より所定量超過すると終了してもよい。
【0049】
上述のようにして、容器入り液体製品の無菌充填システムにおいて、容器に充填する前の液体を無菌状態で貯留するためのサージタンク10の内部の気圧が所定の目標値P
Sとなるように、除菌フィルタ21を有する通気管23を介して、サージタンク10にエアが吸気され、サージタンク10からエアが排気される。
【0050】
上述した実施形態は、いずれも本発明の一例であり、該記載により本発明が限定されるものではなく、各部の具体的構成は本発明の作用効果が奏される範囲で適宜変更設計可能である。
【符号の説明】
【0051】
10 :サージタンク
11 :水位センサ
12 :圧力センサ(圧力測定機構)
20 :吸排機構
21 :除菌フィルタ
23 :通気管
30 :吸排制御機構
31 :判断部
32 :吸排制御部
PC :測定値
PH :目標上限値
PL :目標下限値
PS :目標値
S1 :ステップ(測定ステップ)
S2 :ステップ(判断ステップ)
S3 :ステップ(プレ吸気ステップ)
S4 :ステップ(計時ステップ)
S5 :ステップ(プレ吸気終了ステップ)
S6 :ステップ(排気ステップ)
S7 :ステップ(測定ステップ)
S8 :ステップ(判断ステップ)
S9 :ステップ(排気終了ステップ)
S10 :ステップ(判断ステップ)
S11 :ステップ(吸気ステップ)
S12 :ステップ(測定ステップ)
S13 :ステップ(判断ステップ)
S14 :ステップ(吸気終了ステップ)