(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、作業装置の周囲の状況によって、高い通信品質が求められることがある。例えば、作業用ロボットの周囲に障害物がある場合には、障害物への衝突を回避するために、コントローラから受信する操作コマンドを遅延なく受信することが求められる。しかしながら、特許文献1及び2に記載の制御方法では、通信品質の状況のみに基づいて通信品質の向上を図っているものの、周囲の状況について考慮されていないという問題がある。
【0006】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、周囲の状況に基づいて通信品質を調整することができる作業装置及び通信制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様に係る作業装置は、コントローラからの遠隔制御に応じて作業を行う作業装置であって、前記作業装置の周囲の空間の環境を特定する環境特定部と、前記空間の環境に基づいて、前記作業装置が許容可能な通信遅延時間である許容遅延時間を算出する算出部と、前記コントローラとの無線通信の、将来の通信遅延時間を予測する予測部と、算出された前記許容遅延時間と、予測された前記通信遅延時間とに基づいて、前記無線通信に関する通信機能を選択する選択部と、選択された通信機能に基づいて前記無線通信を制御する通信制御部と、を備える。
【0008】
前記作業装置は移動体であり、前記作業装置の移動速度を検出する速度検出部とをさらに備え、前記算出部は、前記空間の環境と、前記移動速度とに基づいて、前記許容遅延時間を算出してもよい。
【0009】
前記選択部は、前記通信遅延時間が、前記許容遅延時間に比べて大きい場合に、前記無線通信によって送信するパケットの再送回数を制限する機能を選択してもよい。
前記選択部は、前記通信遅延時間が、前記許容遅延時間に比べて大きい場合に、前記無線通信における帯域を所定期間にわたって占有する機能を選択してもよい。
【0010】
前記選択部は、前記許容遅延時間と、前記通信遅延時間とに基づいて、前記無線通信を行う複数の通信方式から、一の通信方式を選択し、前記通信制御部は、選択された通信方式に基づいて前記無線通信を制御してもよい。
【0011】
本発明の第2の態様に係る通信制御方法は、コントローラからの遠隔制御に応じて作業を行うコンピュータが、前記コントローラとの無線通信を制御する通信制御方法であって、前記コンピュータの周囲の空間の環境を特定するステップと、前記空間の環境に基づいて、前記コンピュータが許容可能な通信遅延時間である許容遅延時間を算出するステップと、前記無線通信の、将来の通信遅延時間を予測するステップと、算出された前記許容遅延時間と、予測された前記通信遅延時間とに基づいて、前記無線通信に関する通信機能を選択するステップと、選択された通信機能に基づいて前記無線通信を制御するステップと、を備える。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、周囲の状況に基づいて通信品質を調整することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[通信システムSの構成]
図1は、本実施形態に係る通信システムSの構成を示す図である。
通信システムSは、作業装置1と、アクセスポイント2と、コントローラ3とを備える。
【0015】
通信システムSにおいて、アクセスポイント2は、無線LANのアクセスポイントであり、作業装置1と無線通信を行う。コントローラ3は、例えば、スマートフォンであり、携帯電話回線やインターネット等の通信ネットワークを介してアクセスポイント2に接続されている。
【0016】
作業装置1は、家の軒下、火山地帯、災害現場等に配置される移動可能なロボットである。作業装置1は、移動機構11を備えた移動体である。また、作業装置1は、撮影部12を備えており、アクセスポイント2を介してコントローラ3から操作コマンドを受信すると、当該操作コマンドに基づいて、移動や撮影等の各種作業を行う。作業装置1は、撮影した画像等を、アクセスポイント2を介してコントローラ3に送信する。
【0017】
作業装置1は、自身の周囲の空間の環境に基づいて、コントローラ3が操作コマンドを送信した時刻を起点とし、実際に操作コマンドを受信するまでの時間である通信遅延時間のうち、自身が許容可能な通信遅延時間である許容遅延時間を算出するとともに、コントローラ3との無線通信の将来の通信遅延時間を予測する。作業装置1は、算出した許容遅延時間と、予測した通信遅延時間とに基づいて、無線通信に関する通信機能を選択し、選択した通信機能に基づいて無線通信を制御する。
【0018】
このようにすることで、作業装置1は、予測した通信遅延時間が、周囲の状況に基づいて算出した許容遅延時間よりも長い場合に、無線通信の通信遅延時間を短くする通信機能を選択し、当該通信機能に基づいてコントローラ3との通信を行うことができる。よって、作業装置1は、周囲の状況に基づいて通信品質を調整することができる。
続いて、作業装置1の構成について説明する。
【0019】
[作業装置1の構成]
図2は、本実施形態に係る作業装置1の構成を示す図である。作業装置1は、移動機構11と、撮影部12と、無線通信部13と、記憶部14と、制御部15とを備える。
【0020】
移動機構11は、車輪や、当該車輪を駆動させる駆動制御部等を備えており、作業装置1の移動を制御する。
撮影部12は、例えば、作業装置1の前方を所定のフレームレートで撮影し、作業装置1の周囲の状況を示す画像を制御部15に出力する。
【0021】
無線通信部13は、アクセスポイント2に各種情報を送信する。無線通信部13は、制御部15から出力された信号を変調してRF(Radio Frequency)信号を生成し、アンテナ(不図示)を介して当該RF信号をアクセスポイント2に無線送信する。無線通信部13は、アンテナを介してアクセスポイント2から受信したRF信号を復調し、復調により得られた信号を制御部15に出力する。
【0022】
無線通信部13は、予測部131と、選択部132と、通信制御部133とを備える。予測部131と、選択部132と、通信制御部133の詳細については、後述する。
なお、以下の説明において、制御部15は、無線通信部13を介してアクセスポイント2と無線通信を行うものとする。
【0023】
記憶部14は、例えば、ROM及びRAM等により構成される。記憶部14は、作業装置1を機能させるための各種プログラムを記憶する。記憶部14は、外部メモリ等の記憶媒体に記憶されたプログラムを読み取って記憶してもよく、アクセスポイント2を介して外部機器からダウンロードされたプログラムを記憶してもよい。
【0024】
制御部15は、例えば、CPUにより構成される。制御部15は、記憶部14に記憶されている各種プログラムを実行することにより、作業装置1に係る機能を制御する。制御部15は、撮影制御部151と、環境特定部152と、移動制御部153と、速度検出部154と、算出部155とを備える。
【0025】
撮影制御部151は、無線通信部13が、コントローラ3から送信された、撮影を指示する操作コマンドを受信すると、当該操作コマンドに基づいて撮影部12を制御する。撮影制御部151は、撮影部12によって撮影された画像を取得する。なお、撮影制御部151は、作業装置1の動作が開始したことに応じて、撮影部12に常に撮影させるようにしてもよい。
撮影制御部151は、撮影部12が撮影した画像を、無線通信部13を介してコントローラ3に送信する。
【0026】
移動制御部153は、無線通信部13が、コントローラ3から送信された、作業装置1の移動を指示する操作コマンドを受信すると、当該操作コマンドに基づいて移動機構11を制御して作業装置1を移動させる。
環境特定部152、速度検出部154、及び算出部155の詳細な処理については、後述する。
【0027】
[通信機能の選択制御]
作業装置1は、上述したように、周囲の状況に基づいて無線通信の通信機能を選択し、選択した通信機能に基づいて無線通信を行うことにより、コントローラ3による操作ができなくなる状況に陥ることを回避する。以下に、フローチャートを参照しながら、通信機能の選択制御に係る処理の詳細を説明する。
【0028】
図3は、通信機能の選択制御に係る処理の流れを示すフローチャートである。
まず、環境特定部152は、撮影部12が撮影した画像データを解析することにより、作業装置1の周囲の空間の環境を特定する(S1)。例えば、環境特定部152は、特定した作業装置1の周囲の空間の広さに基づいて、空間の広さを示す複数のレベルのうちの一のレベルを選択する。例えば、環境特定部152は、周囲の空間が広いと特定した場合には、相対的に高いレベルを選択し、周囲の空間が狭いと特定した場合には、相対的に低いレベルを選択する。
【0029】
なお、撮影部12が撮影した画像データに障害物等が含まれている場合には、空間が狭い場合と同様に、作業装置1が障害物等に衝突するおそれが高くなる。そこで、環境特定部152は、撮影部12が撮影した画像データに基づいて、作業装置1の周囲の空間に障害物が含まれているか否かを判定してもよい。そして、環境特定部152は、障害物が含まれていると判定した場合には、障害物の大きさ等に基づいて空間の広さを示す複数のレベルのうちの一のレベルを選択してもよい。
【0030】
続いて、速度検出部154は、作業装置1の移動速度を検出する(S2)。例えば、移動機構11は、単位時間あたりの車輪の回転数を測定するセンサを設けておき、速度検出部154は、当該センサが検出した回転数に基づいて、作業装置1の移動速度を検出する。なお、速度検出部154は、作業装置1の移動を指示する操作コマンドの受信状況に基づいて作業装置1の移動速度を検出してもよい。
【0031】
なお、本フローチャートでは、作業装置1の周囲の空間の環境を特定してから、作業装置1の移動速度を検出したが、これに限らず、移動速度を検出してから周囲の空間の環境を特定したり、移動速度の検出と周囲の空間の環境の特定とを同時に行ったりしてもよい。
【0032】
続いて、算出部155は、作業装置1の障害物への衝突のしやすさに基づいて許容遅延時間を算出する。具体的には、算出部155は、特定された空間の環境と、検出された移動速度とに基づいて、許容遅延時間を算出する(S3)。例えば、記憶部14に、空間の広さを示すレベルと、移動速度と、許容遅延時間とを関連付けたテーブルを予め記憶させておく。
【0033】
許容遅延時間は、作業装置1の障害物への衝突のしやすさに基づいて規定されている。すなわち、作業装置1が障害物に衝突するまでにコントローラ3によって衝突を回避する操作を受け付ける必要があることから、作業装置1が障害物に衝突するまでの時間が短いと予測される場合には、許容遅延時間は短く設定される。また、作業装置1が障害物に衝突するまでの時間が長いと予測される場合には、許容遅延時間は長く設定される。
【0034】
ここで、空間が広い場合又は作業装置1の移動速度が小さい場合には、操作コマンドの受信が遅延しても、障害物に衝突する可能性が低い。一方、空間が狭い場合又は作業装置1の移動速度が大きい場合には、操作コマンドの受信が遅延すると、障害物に衝突する可能性が高い。このため、許容遅延時間は、空間が広いほど長く設定されているとともに、移動速度が小さいほど長く設定されている。算出部155は、特定された空間の広さを示すレベルと、検出された移動速度とに関連付けられている許容遅延時間を特定することにより、許容遅延時間を算出する。
【0035】
なお、記憶部14に、空間の広さを示すレベルと、許容遅延時間とを関連付けたテーブルを予め記憶させておき、算出部155は、空間の広さを示すレベルに関連付けられている許容遅延時間を特定してもよい。
【0036】
なお、算出部155は、空間の広さを示すレベルと、移動速度とに基づいて許容遅延時間を算出する演算式を記憶部14に記憶させておき、当該演算式に基づいて許容遅延時間を算出してもよい。
算出部155は、算出した許容遅延時間を示す情報を無線通信部13に出力する。
【0037】
続いて、無線通信部13の予測部131は、コントローラ3との無線通信の、将来の通信遅延時間を予測する(S4)。具体的には、予測部131は、過去の通信遅延時間の時系列データに基づいて通信遅延時間を算出する予測式を用いて、通信遅延時間を予測する。ここで、記憶部14は、複数の予測式として、例えば、ARモデル(Auto-Regressive model)、MAモデル(Moving Average model)、ARMAモデル(Auto-Regressive Moving Average model)、指数平滑法、ブラウン法等に基づいた予測式を記憶する。
【0038】
予測部131は、記憶部14に記憶されている複数の予測式から作業装置1の無線環境に適した予測式を選択し、当該予測式に基づいて通信遅延時間を算出する。例えば、予測部131は、作業装置1がアクセスポイント2から受信した信号の電力(受信電力)を特定する。なお、予測部131は、受信電力の他に、作業装置1の送信電力、及びMCS(Modulation and Coding Scheme)等に基づいて、作業装置1の無線環境がどのような環境であるかを特定してもよい。
【0039】
図4は、作業装置1の無線環境と、通信遅延時間の実測値と、複数の予測式のそれぞれを用いて算出した通信遅延時間の予測値との対応関係を示す図である。記憶部14には、
図4に示すように、予測部131が過去に特定した作業装置1の受信電力と、通信遅延時間の実測値と、予測部131が複数の予測式のそれぞれを用いて過去に予測した通信遅延時間の予測値と、当該実測値と各予測値との差分とが関連付けて記憶されている。
【0040】
予測部131は、例えば、
図4に示す情報を参照し、特定した受信電力に近い受信電力において、実測値と予測値との差分が最も小さい予測式を選択する。そして、予測部131は、選択した予測式に基づいて通信遅延時間を推定する。なお、予測部131は、特定した電力と同じ受信電力のデータが複数存在している場合には、実測値と予測値との差分の合計値が一番小さい予測式を選択してもよい。
【0041】
続いて、選択部132は、算出部155が作業装置1の障害物への衝突のしやすさに基づいて算出した許容遅延時間と、予測部131が予測した通信遅延時間とに基づいて、無線通信部13の無線通信に関する通信機能を選択する。具体的には、選択部132は、予測した通信遅延時間が、許容遅延時間よりも長いか否かを判定する(S5)。選択部132は、予測した通信遅延時間が、許容遅延時間よりも長いと判定すると、S6に処理を移し、予測した通信遅延時間が、許容遅延時間以下と判定すると、S8に処理を移す。
【0042】
S6において、選択部132は、通信遅延時間を低減する通信機能を選択する。例えば、選択部132は、通信遅延時間が許容遅延時間に比べて大きい場合、通信遅延時間を低減する通信機能として、無線通信によって送信するパケットの再送回数を制限する機能を選択する。例えば、パケットの再送回数を制限する機能は、許容遅延時間を超過する可能性が高いパケットの再送を早期に中断することで、当該パケットの後に送信するパケットの送信タイミングを早め、通信遅延を抑制する。
【0043】
また、選択部132は、通信遅延時間が許容遅延時間に比べて大きい場合、通信遅延時間を低減する通信機能として、無線通信における帯域を所定期間にわたって占有する機能を選択してもよい。無線通信の通信帯域を占有する機能は、アクセスポイント2を介して無線LANの通信を行う他の通信端末に、当該他の通信端末が信号の送信を待機する待機時間よりも短い間隔で、当該他の通信端末とは異なる端末とのデータ通信中であることを示すショート信号を所定期間にわたって送信する機能である。これにより、他の通信端末は、ショート信号を受信し続けている間、データの送信を待機するので、作業装置1は、アクセスポイント2との無線通信の帯域を占有することができる。なお、ショート信号とは、データ量が所定量以下の信号であり、例えばack信号である。
【0044】
なお、選択部132は、無線LANにおける通信が輻輳しているか否かを判定し、当該通信が輻輳していないと判定した場合に、パケットの再送回数を制限する機能を選択し、当該通信が輻輳していると判定した場合に、帯域を所定期間にわたって占有する機能を選択するようにしてもよい。
【0045】
また、選択部132は、パケットの再送回数を制限する機能を選択し、当該機能に基づいてコントローラ3との無線通信を行っている場合において、予測した通信遅延時間が、算出した許容遅延時間に比べて大きい場合、無線通信における帯域を所定期間にわたって占有する機能をさらに選択してもよい。
【0046】
また、選択部132は、算出部155が算出した許容遅延時間と、予測部131が予測した通信遅延時間とに基づいて、無線通信を行う複数の通信方式から、一の通信方式を選択するようにしてもよい。例えば、予測部131が、複数の通信方式のそれぞれの通信遅延時間を算出する。そして、選択部132は、作業装置1が現在使用している通信方式に基づいて予測された通信遅延時間が、算出した許容遅延時間に比べて大きい場合、当該通信方式とは異なる他の通信方式のうち、予測された通信遅延時間が、許容遅延時間以下の通信方式を選択する。
【0047】
例えば、選択部132は、無線LANについて予測された通信遅延時間が、許容遅延時間よりも大きく、LTEについて予測された通信遅延時間が、許容遅延時間以下である場合、通信方式としてLTEを選択する。また、選択部132は、2.4GHz帯の通信帯域を使用した無線LANについて予測された通信遅延時間が、許容遅延時間よりも大きく、5GHz帯の通信帯域を使用した無線LANについて予測された通信遅延時間が、許容遅延時間以下である場合、通信方式として5GHz帯の通信帯域を利用した無線LANを選択する。
このようにすることで、選択部132は、通信遅延時間が少ないと予測されている他の通信方式を選択して、通信遅延を抑制することができる。
【0048】
また、作業装置1は、通常時は、通信方式としてLTEを選択しておき、LTEについて予測された通信遅延時間が、許容遅延時間よりも大きい場合に、無線LANを用いた通信を有効にし、無線LANを用いてコントローラ3との通信を行うようにしてもよい。このようにすることで、作業装置1は、無線LANを用いた通信を必要最小限に抑えて、自身の消費電力を低減することができる。
【0049】
選択部132が通信機能又は通信方式を選択すると、通信制御部133は、選択部132が選択した通信機能に基づいて無線通信を制御し、アクセスポイント2を介したコントローラ3との通信を行う(S7)。
【0050】
一方、選択部132は、S5において、予測した通信遅延時間が許容遅延時間以下と判定すると、S8に処理を移し、許容遅延時間が、通信遅延時間に比べて著しく大きいか否かを判定する。例えば、選択部132は、通信遅延時間が、許容遅延時間の所定割合以下である場合に、許容遅延時間が、通信遅延時間に比べて著しく大きいと判定する。選択部132は、許容遅延時間が通信遅延時間に比べて著しく大きいと判定すると、S9に処理を移し、著しく大きくないと判定すると、本フローチャートに係る処理を終了する。
【0051】
S9において、選択部132は、アクセスポイント2を介して無線通信を行う周囲の通信端末に対して悪影響を与えにくい通信機能を選択する。例えば、選択部132は、許容遅延時間が、通信遅延時間に比べて著しく大きい場合においても、無線通信によって送信するパケットの再送回数を制限する機能を選択し、通信回線上を流れるパケットが少なくなるようにしてもよい。
続いて、通信制御部133は、選択部132が選択した通信機能に基づいて無線通信を制御し、アクセスポイント2を介したコントローラ3との通信を行う(S10)。
【0052】
[本実施形態における効果]
以上説明したように、本実施形態に係る作業装置1は、周囲の空間の環境に基づいて、作業装置1が許容可能な通信遅延時間である許容遅延時間を算出し、コントローラ3との無線通信の、将来の通信遅延時間を予測し、算出された許容遅延時間と、予測された通信遅延時間とに基づいて、無線通信に関する通信機能を選択し、選択された通信機能に基づいて無線通信を制御する。
【0053】
このようにすることで、作業装置1は、例えば、予測した通信遅延時間が、周囲の状況に基づいて算出した許容遅延時間よりも長い場合に、無線通信の通信遅延時間が短くなるように通信機能を選択することができる。よって、作業装置1は、周囲の状況に基づいて通信品質を調整し、コントローラ3による操作ができなくなる状況に陥ることを防止することができる。
【0054】
また、作業装置1は、自身の移動速度に基づいて許容遅延時間を算出するので、当該許容遅延時間と、通信遅延時間とに基づいて無線通信に関する通信機能を選択することができる。これにより、作業装置1は、自身の移動先に存在する障害物等に衝突前に、コントローラ3からの操作コマンドを遅延なく受信する可能性を高めることができ、障害物等への衝突を防止することができる。
【0055】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。特に、装置の分散・統合の具体的な実施形態は以上に図示するものに限られず、その全部又は一部について、種々の付加等に応じて、又は、機能負荷に応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。
【0056】
例えば、上述の実施形態では、無線通信部13が予測部131、選択部132、及び通信制御部133を備えることとしたが、これに限らず、制御部15がこれらの機能を備えるようにしてもよい。