(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6530296
(24)【登録日】2019年5月24日
(45)【発行日】2019年6月12日
(54)【発明の名称】図柄標板打抜き装置
(51)【国際特許分類】
B21D 28/00 20060101AFI20190531BHJP
B21D 43/24 20060101ALI20190531BHJP
B21D 43/22 20060101ALI20190531BHJP
【FI】
B21D28/00 B
B21D43/24 C
B21D43/22 C
B21D43/24 Z
【請求項の数】5
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-194015(P2015-194015)
(22)【出願日】2015年9月30日
(65)【公開番号】特開2017-64753(P2017-64753A)
(43)【公開日】2017年4月6日
【審査請求日】2018年7月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】508368714
【氏名又は名称】株式会社兵庫標板製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100076406
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 勝徳
(74)【代理人】
【識別番号】100117097
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 充浩
(72)【発明者】
【氏名】東 淳平
【審査官】
飯田 義久
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭61−015206(JP,U)
【文献】
特開昭58−000325(JP,A)
【文献】
特開平08−099297(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21D 28/00
B21D 43/22
B21D 43/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルミニウムの定尺板から標板材料を打抜く図柄標板打抜き装置であって、
前記定尺板は、アルミニウム基板の一面に、所望のイラストや図柄が印刷された印刷シートが積層されて成る枚葉式の定尺板であり、
前記打抜きを行うプレス機と、
前記プレス機の一側方に配置され、前記枚葉式の定尺板を積層して保管している素材ストッカーと、
前記素材ストッカーから、最上層の定尺板を吸着して前記プレス機の下金型上に搬送する第1の搬送機構と、
前記プレス機での打抜き後に、上金型から落下した標板材料を受け止め、前記プレス機の奥行き方向へ搬送する第2の搬送機構と、
前記プレス機において、前記枚葉式の定尺板から総ての標板材料が打抜かれたカスを、前記プレス機の他側方へ搬送する第3の搬送機構と、
前記第2の搬送機構で搬送されて来た標板材料を、前記一側方へ相互に間隔を開けて起立状態で保持する製品ストッカーとを備えて構成されることを特徴とする図柄標板打抜き装置。
【請求項2】
前記製品ストッカーは、前記各標板材料を挟持する鉛直断面が略U字またはコの字状の挟持部材と、
前記挟持部材が、その略U字またはコの字の溝が幅方向となるように外周面に取付けられ、周方向に駆動される無端環状のベルトと、
前記第2の搬送機構によって前記プレス機の裏側に搬送された前記標板材料を受取って前記一側方に搬送し、前記挟持部材の略U字またはコの字の溝に差込む第4の搬送機構とをさらに備えることを特徴とする請求項1記載の図柄標板打抜き装置。
【請求項3】
前記第1の搬送機構には、前記印刷シートに印刷された位置合わせのマーカーを読取る読取り手段が設けられ、
前記読取り手段の読取り結果に応答して、前記第1の搬送機構による定尺板のプレス機への搬送位置を調整する制御手段をさらに備えることを特徴とする請求項1または2記載の図柄標板打抜き装置。
【請求項4】
前記読取り手段は、少なくとも2台設けられて、周囲から照明光を照射するリングライトをそれぞれ備えることを特徴とする請求項3記載の図柄標板打抜き装置。
【請求項5】
前記第4の搬送機構は、
前記標板材料を前記一側方に水平搬送し、前記挟持部材に差込む取出しコンベアと、
前記第2の搬送機構で搬送されて来た標板材料を吸着して、前記第2の搬送機構よりも下方に配置される前記取出しコンベア上に下ろす取出しリフターとを備えて構成されることを特徴とする請求項2記載の図柄標板打抜き装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、定尺板から、標板(ナンバープレート)の元となる標板材料を打抜く標板打抜き装置に関し、前記標板としては、イラストや図柄が印刷された新規な図柄標板である図柄標板打抜き装置(グラフィックナンバープレートブランク装置)に関する。
【背景技術】
【0002】
標板は、ブランク材と呼ばれる略長方形で、2箇所の取付け孔の形成されたアルミニウムの標板材料に、ナンバーがエンボス加工され、そのエンボス加工で押出された文字の部分に、焼付け塗装が施されて作成される。
【0003】
そして、その標板材料には、地域活性化などを目的として、地域の名産品や風景のイラストや図柄を印刷した、いわゆるご当地ナンバー(図柄標板(グラフィックナンバープレート))の配布が開始されようとしている。ここで、従来の標板材料には、たとえば自家用車の白、軽自動車の黄、事業用車の緑などの単色に塗装されたアルミ板が用いられ、その標板材料は、金属ロールから、打抜き(ブランキング)によって、前記略長方形で、取付け孔の形成された該標板材料に形成されている。
【0004】
しかしながら、前記の図柄標板に使用される標板材料は、アルミ板の一面に、所望のイラストや図柄が印刷された樹脂フィルムが積層されて成る新規なもので、材料は、上記のようなロール材ではなく、定尺板を使用する枚葉式である。たとえば1枚の定尺板から、3枚の標板材料を型抜きすることができる。
【0005】
一方、標板のプレス機としては、特許文献1や特許文献2のような、ナンバーのエンボス加工を行うものが提案されているが、ロール材からの標板材料の型抜きには、通常のプレス機が用いられているのみである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−336919号公報
【特許文献2】特開平10−166080号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、従来のプレス機では、直ぐに印刷シートに傷がついてしまうので、取扱いに注意を要し、また枚葉毎に扱わなければならないので、ロール材のプレス機では対応できない。
【0008】
本発明の目的は、アルミニウム基板の一面に印刷シートが積層されて成る枚葉式の定尺板から標板材料を打抜く装置であって、前記印刷シートへの傷付きを防止しつつ、作業効率を向上することができる図柄標板打抜き装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の図柄標板打抜き装置は、アルミニウムの定尺板から標板材料を打抜く(ブランキングする)図柄標板打抜き装置であって、前記定尺板は、アルミニウム基板の一面に、所望のイラストや図柄が印刷された印刷シートが積層されて成る(通常のロール材とは異なる)枚葉式の定尺板であり、前記打抜き(ブランキング)を行うプレス機と、前記プレス機の一側方に配置され、前記枚葉式の定尺板を積層して保管している素材ストッカーと、前記素材ストッカーから、最上層の定尺板を吸着して前記プレス機の下金型(プレスステージ)上に搬送する第1の搬送機構と、前記プレス機での打抜き後に、上金型から落下した標板材料を受け止め、前記プレス機の奥行き方向へ搬送する第2の搬送機構と、前記プレス機において、前記枚葉式の定尺板から総ての標板材料が打抜かれたカスを、前記プレス機の他側方へ搬送する第3の搬送機構と、前記第2の搬送機構で搬送されて来た標板材料を、前記一側方へ相互に間隔を開けて起立状態で保持する製品ストッカーとを備えて構成されることを特徴とする。
【0010】
上記の構成によれば、標板(ナンバープレート)におけるナンバーのエンボス加工前の標板材料(ブランク材)として、従来の白、黄、緑などの単色に塗装されたアルミ板ではなく、前記アルミニウム基板の一面に、所望のイラストや図柄が印刷された印刷シートや、さらにはその保護用の樹脂フィルムなどが積層されて成る新規な標板材料を作成するにあたって、材料として、従来のアルミのロール材ではなく、枚葉式の定尺板を用いることに対応する。
【0011】
具体的には、その枚葉式の定尺板は、プレス機の一側方に配置される素材ストッカーに積層されて保管されており、この素材ストッカーから第1の搬送機構が、最上層の定尺板を吸着してプレス機の下金型(プレスステージ)上に搬送する。プレス機で打抜かれ(ブランクされ)た後、上金型から落下した(型抜きされた)標板材料は、第2の搬送機構に受け止められ、前記プレス機の奥行き方向に搬送され、さらに製品ストッカーにおいて、該標板材料同士の擦れによる傷が付かないように、前記一側方へ相互に間隔を開けて起立状態で保持される。
【0012】
そして、素材ストッカーがプレス機の一側方に配置され、プレス機で枚葉式の定尺板から総ての標板材料が打抜かれたカスは、第3の搬送機構によって前記一側方とは反対の他側方へ搬送される。これによって、枚葉式の定尺板は、第1および第3の搬送機構によって、そのカスまで一直線上に搬送され、これらの取扱いが容易である。また、打抜かれた標板材料も第2の搬送機構によって後方へ搬送されるので、プレス機の正面側には該標板材料やカスが出て来ず、金型のメンテナンスや不具合時の対応を容易に行うことができる。さらにまた、作業者は、標板材料の取出しに常時プレス機に着いている必要はなく、標板材料は背後の製品ストッカーにストックされてゆくので、作業者は、素材ストッカーに定尺板を補充したり、カスを廃棄したり、標板材料を仕上げ(バリ取りなど)・検品して梱包を行う作業までを、該図柄標板打抜き装置を連続運転したまま、1人で対応することができ、作業効率を向上することができる。
【0013】
また、本発明の図柄標板打抜き装置では、前記製品ストッカーは、前記各標板材料を挟持する鉛直断面が略U字またはコの字状の挟持部材と、前記挟持部材が、その略U字またはコの字の溝が幅方向となるように外周面に取付けられ、周方向に駆動される無端環状のベルトと、前記第2の搬送機構によって前記プレス機の裏側に搬送された前記標板材料を受取って前記一側方に搬送し、前記挟持部材の略U字またはコの字の溝に差込む第4の搬送機構とをさらに備えることを特徴とする。
【0014】
上記の構成によれば、型抜きされた後、第2の搬送機構によってプレス機の奥行き方向へ搬送されて来た標板材料は、該第2の搬送機構から第4の搬送機構に引き渡されて前記一側方に搬送され、その終端で、前記製品ストッカーの挟持部材に差込まれる。挟持部材は、前記各標板材料を挟持するように、鉛直断面が略U字またはコの字状に形成され、無端環状のベルトの外周面に取付けられる。
【0015】
したがって、挟持部材およびそれに差込まれた標板材料は、差込まれた際の略水平状態から、ベルトが回転するに連れて、起立してゆき、各標板材料間は、挟持部材によって、相互に間隔を開けて保持される。こうして、標板材料同士の擦れによる傷が付かないように相互に間隔を開けて起立状態で保持する製品ストッカーを実現することができる。また、第4の搬送機構および製品ストッカーは、前記一側方に延びているので、素材ストッカーおよび第1の搬送機構と平行となり、床面スペースを削減することができるとともに、定尺板の補充場所(素材ストッカー)と、標板材料の仕上げ・梱包場所(製品ストッカー)との間の移動距離を小さくすることもできる。
【0016】
さらにまた、本発明の図柄標板打抜き装置では、前記第1の搬送機構には、前記印刷シートに印刷された位置合わせのマーカーを読取る読取り手段が設けられ、前記読取り手段の読取り結果に応答して、前記第1の搬送機構による定尺板のプレス機への搬送位置を調整する制御手段をさらに備えることを特徴とする。
【0017】
上記の構成によれば、前記枚葉式の定尺板をプレス機で型抜きするにあたって、プレス機への装填時に、定尺板の周囲で位置決めするのではなく、貼り合わせられた印刷シートにおいて、イラストや図柄と同時に、そのイラストや図柄の一部として印刷されたマーカーで、位置決め(搬送位置を制御)することで、常に、イラストや図柄に対して、定位置でブランクできるようにする。
【0018】
したがって、位置合わせのために特別な細工は必要無く、またアルミニウム基板への印刷シートの貼付けにも精度が要求されない。
【0019】
また、本発明の図柄標板打抜き装置では、前記読取り手段は、少なくとも2台設けられて、周囲から照明光を照射するリングライトをそれぞれ備えることを特徴とする。
【0020】
上記の構成によれば、2点でマーカーを読取ることで、定尺板の位置を正確に判定して、打抜き位置を決定することができる。また、リングライトは、特定の方向に強い影が出ないので、前記イラストや図柄が印刷されたシートが被せられていない(シートからはみ出た)アルミニウムの地金が剥き出しの部分での反射の影響が少なく、マーカーを正確に読取ることができる。
【0021】
さらにまた、本発明の図柄標板打抜き装置では、前記第4の搬送機構は、前記標板材料を前記一側方に水平搬送し、前記挟持部材に差込む取出しコンベアと、前記第2の搬送機構で搬送されて来た標板材料を吸着して、前記第2の搬送機構よりも下方に配置される前記取出しコンベア上に下ろす取出しリフターとを備えて構成されることを特徴とする。
【0022】
上記の構成によれば、前記第4の搬送機構として、前記標板材料を前記一側方に水平搬送し、前記挟持部材に差込む取出しコンベアを備えるとともに、前記第2の搬送機構で搬送されて来た標板材料を吸着して前記取出しコンベア上に下ろす取出しリフターを備える。
【0023】
したがって、比較的高い位置の上金型から落下した標板材料を直下で受止めるために比較的高い位置に設けられる第2の搬送機構に対して、前記取出しコンベアに標板材料を下ろす取出しリフターを設けることで、取出しコンベアから製品ストッカーを低い位置に設けることができ、それらをたとえば下金型や素材ストッカーに略等しい高さにして、作業者の負担を軽減することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明の図柄標板打抜き装置は、以上のように、定尺板から標板材料(ブランク材)を打抜く(ブランキングする)図柄標板打抜き装置であって、その打抜きの材料がアルミニウム基板の一面に所望のイラストや図柄が印刷された印刷シートが積層されて成る枚葉式の定尺板である場合に、プレス機の一側方に素材ストッカーを配置し、打抜いたカスを他側方へ排出し、打抜いた標板材料はプレス機の奥行き方向から一側方へ搬送し、製品ストッカーで相互に間隔を開けて起立状態で保持する。
【0025】
それゆえ、枚葉式の定尺板は、そのカスまで一直線上に搬送され、これらの取扱いが容易である。また、打抜かれた標板材料も後方へ搬送されるので、プレス機の正面側には該標板材料やカスが出て来ず、金型のメンテナンスや不具合時の対応を容易に行うことができる。さらにまた、作業者は、標板材料の取出しに常時プレス機に着いている必要はなく、標板材料は背後の製品ストッカーにストックされてゆくので、作業者は、素材ストッカーに定尺板を補充したり、カスを廃棄したり、標板材料を仕上げ(バリ取りなど)・検品して梱包を行う作業までを、該図柄標板打抜き装置を連続運転したまま、1人で対応することができ、作業効率を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明の実施の一形態に係る図柄標板打抜き装置の全体構成を示す平面図である。
【
図5】本発明の実施の一形態に係る図柄標板の一例を示す正面図である。
【
図6】前記図柄標板打抜き装置で打抜かれることで標板材料となる定尺板の斜視図である。
【
図7】前記定尺板の寸法および各標板材料の打抜きのレイアウトを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1は本発明の実施の一形態に係る図柄標板打抜き装置1の全体構成を示す平面図であり、
図2はその図柄標板打抜き装置1の正面図であり、
図3は右側面図であり、
図4は
図1の線A−Aから見た図である。本発明の図柄標板打抜き装置1を説明する前に、本発明が対象とする図柄標板(グラフィックナンバープレート)について説明する。
【0028】
図5は、本発明の実施の一形態に係る図柄標板Pの一例を示す正面図である。この図柄標板Pは、ご当地ナンバーと呼ばれるもので、ナンバー(数字、陸運支局名やひらがななども含む)P1のエンボス加工前の標板材料(ブランク材)Rには、所望のイラストや図柄P2が印刷される(
図1の例では、富士山と桜に、オリンピック記念マークが添えられている)。前記エンボス加工では、前記のナンバーP1とともに、外周には補強用のビード(覆輪)P3が形成され、エンボス加工後には、前記ナンバーP1の部分には塗料が焼付け塗装される。
【0029】
図柄標板打抜き装置1は、図柄標板PにおけるナンバーP1およびビードP3のエンボス加工前の標板材料(ブランク材)Rを打抜く装置である。そして、その打抜く材料としては、従来の白、黄、緑などの単色に塗装されたアルミのロール材ではなく、前記図柄標板用の、アルミニウム基板の一面に、所望のイラストや図柄が印刷された印刷シートや、さらにはその保護用の樹脂フィルムなどが積層されて成る新規な定尺板を用いる。
【0030】
図6は、
図5で示す絵柄の図柄標板Pのための定尺板Qを示す。定尺板Qは、アルミニウム基板Bの一面に、所望のイラストや図柄が印刷された印刷シートSが積層されて成る枚葉式の定尺板である。印刷シートS上に、保護用の樹脂フィルムが積層されることもある。
【0031】
標板(ナンバープレート)の規格(330mm×165mm)から、定尺板Qの寸法および各標板材料(ブランク材)Rの打抜きのレイアウトは、たとえば
図7で示す通りであり、規定の大きさの定尺板Qを、矢符Fで示す搬送方向に対して、後述の搬送の繰出しの関係で、上流側の耳Q1が小さく、下流側の耳Q2が大きくなるように打抜いている。この定尺板Qは、図柄標板打抜き装置1において、枚葉毎に扱われる。標板材料Rには、2つのネジ孔R1が形成され、隅角部R2には丸みが形成されており、これらは定尺板Qから該標板材料Rの打抜き時に一括して形成される。
【0032】
図1〜4を参照して、本発明の図柄標板打抜き装置1は、上述のような定尺板Qを枚葉毎に取扱うにあたって、打抜き(ブランキング)を行うプレス機2に対して、一側方(前記矢符Fとは反対方向)に投入機3を配置し、他側方(前記矢符F方向)へ排出機4を配置し、後方の一側方側に取出し機5を配置することを特徴としている。
【0033】
投入機3は、素材ストッカー31と第1の搬送機構32とを備えて構成される。素材ストッカー31は、前記
図6で示すような定尺板Qを積層状態で保管するものであり、作業者9の略腰の高さとなる基台311からリフター312によって昇降自在に支持されるトレイ313を備えるとともに、そのトレイ313の周囲は、複数本の囲撓ピン314が立設されており、定尺板Qの周囲を位置決めする。該図柄標板打抜き装置1の正面側の2本の囲撓ピン3141は、基端側で前後方向の水平軸線回りに傾倒可能となっており、作業者9が定尺板Qをトレイ313に装填する際、該囲撓ピン3141を傾倒させることで、手前側から定尺板Qを滑らせて、トレイ313に装填可能となっている。定尺板Qを装填すると、囲撓ピン3141を起立させて、定尺板Qの端面を揃えることができる。リフター312は、定尺板Qの積載枚数に応じて伸縮し、最上層の定尺板の高さを略一定に保持する。
【0034】
第1の搬送機構32は、概略的に、素材ストッカー31から、最上層の定尺板を吸着して、プレス機2の下金型(プレスステージ)21上に搬送するものである。そのため、第1の搬送機構32は、テーブル投入移載部321と、プレス投入移載グリッパーユニット部322と、位置調整テーブル323と、CCDカメラ324と、画像処理装置325とを備えて構成される。テーブル投入移載部321は、トレイ313上で定尺板Qを吸着し、上昇して、前記矢符F方向に移動し、位置調整テーブル323上に降ろす。
【0035】
位置調整テーブル323では、2台のCCDカメラ324で、
図6において参照符号Q4で示すマーカーを読取り、画像処理装置325がその読取り結果を処理して、定尺板Qの左右(矢符F)方向および前後方向のズレ量を演算し、演算結果に応じて位置調整テーブル323に定尺板Qの位置を微調整させる。
【0036】
その位置調整された定尺板Qは、ベルトによって左右(矢符F)方向に往復駆動されるプレス投入移載グリッパーユニット部(プレス機2への移載部)322に、後側から掴まれて前記矢符F方向に搬送され、プレス機2の下金型(プレスステージ)21上に届けられる。こうして、下金型21上には、前後左右のずれ無く定尺板Qが繰出され、プレス機2において、そのまま上金型22との間に挟込まれて打抜きされ、さらに規定量毎に繰出され、打抜きされることで、
図7で示すような予め定められた打抜きレイアウトで、3枚の標板材料Rが順次打抜かれる。
【0037】
注目すべきは、本実施形態の図柄標板打抜き装置1では、プレス機2で打抜かれた標板材料Rは、後述するように取出し機5によって後方の一側方側に搬送され、枚葉式の定尺板Qから総ての標板材料Rが打抜かれたカスは、排出機4によって、他側方(前記矢符F方向)に搬送されることである。そのため、排出機4において、プレス機2側に迫出した一対のローラ41は、プレス投入移載グリッパーユニット部322で後端が押出された定尺板Q、すなわちカスの先端が噛込むと、プレス投入移載グリッパーユニット部322を後端が離れた後も該カスを引張り込み、テーブル42上に放出する。放出されたカスは、作業者9によって、適宜打抜きの不良などが確認された後、容器43に投入される。
【0038】
こうして、素材ストッカー31、第1の搬送機構32、プレス機2および第3の搬送機構である排出機4によって、枚葉式の定尺板Qは、そのカスまで一直線上に搬送され、これらの取扱いが容易になる。
【0039】
そして、第1の搬送機構32に設けられる2台のCCDカメラ324は、読取り手段として、アルミニウム基板Bに貼り合わせられた印刷シートSに印刷された該印刷シートSのマーカーQ4を読取り、その読取り結果に応答して、制御手段としての画像処理装置325が、位置調整テーブル323からプレス投入移載グリッパーユニット部322に掴ませる定尺板Qの位置を調整する。マーカーQ4は、イラストや図柄P2と同時に、そのイラストや図柄P2の一部として印刷される。画像処理装置325が、このマーカーQ4で、位置決め(搬送位置を制御)することで、常に、イラストや図柄に対して、定位置でブランクできるようにする。
【0040】
したがって、定尺板Qの位置合わせのために特別な細工は必要無く、また作業者9は素材ストッカー31の囲撓ピン314の内側に、比較的ラフに定尺板Qを装填すればよく、装填作業も楽になる。さらにまた、アルミニウム基板Bの外周では、前記囲撓ピン314によるラフな位置合わせしか行われず、実際のプレスのための高精度な位置合わせはマーカーQ4を使用するので、アルミニウム基板Bへの印刷シートSの貼付けにも精度が要求されない。
【0041】
さらに、CCDカメラ324は、少なくとも2台設けられることで、定尺板Qの前後左右のズレを判定して補正し、正確に打抜き位置の決定を行うことができ、好ましい。また、CCDカメラ324を円の中心とし、その周囲にリングライトを設けることで、リングライトは、特定の方向に強い影が出ないので、印刷シートSが被せられていない(シートからはみ出た)アルミニウム基板Bの地金が剥き出しの周縁部分での反射の影響が少なく、マーカーQ4を正確に読取ることができる。
【0042】
以下、取出し機5について説明する。取出し機5は、プレス機2での打抜き後に、上金型22から落下した標板材料Rを受け止め、プレス機2の奥行き方向へ搬送する第2の搬送機構51と、その第2の搬送機構51で搬送されて来た標板材料Rを、前記一側方(矢符Fとは反対方向)へ相互に間隔を開けて起立状態で保持する製品ストッカー52とを備えて構成される。
【0043】
第2の搬送機構51は、
図3で示すように、プレス機2側へ伸縮可能であり、伸長状態において上面で上金型22から落下した標板材料Rを受け止めた後、収縮しつつ、ベルトの回転によって標板材料Rを後方に搬送する取出しトランスファ511と、取出しトランスファ511から標板材料Rを受取り、さらに後方に搬送する取出しコンベア512と、取出しコンベア512上の標板材料Rを吸着して、製品ストッカー52に引き渡す取出し移載部513と、取出し移載部513から標板材料Rを受取り、製品ストッカー52に降ろすリフター514とを備えて構成される。
【0044】
図8は、製品ストッカー52の斜視図である。製品ストッカー52は、取出しコンベア521と、ストックコンベア522とを備えて構成される。製品ストッカー52は、第2の搬送機構51よりも下方に配置され、前記取出しリフター514がその落差を吸収し、該取出しリフター514によって降ろされた標板材料Rを前記取出しコンベア522が、その一端側(上流側(前記矢符Fの下流側)で受取る。取出しコンベア521は、受取った標板材料Rを搬送し、他端(下流側(前記矢符Fの上流側)でストックコンベア522に引き渡す。
【0045】
注目すべきは、ストックコンベア522は、各標板材料Rを挟持する鉛直断面が略U字またはコの字状の挟持部材5221と、挟持部材5221が、その略U字またはコの字の溝が幅方向となるように外周面に取付けられ、周方向に駆動される無端環状のベルト5222とを備えて構成されることである。そして第4の搬送機構である前記取出しコンベア521は、第2の搬送機構51のリフター514から受取った標板材料Rを前記一側方(前記矢符Fとは反対方向)に搬送し、下流の終端において、前記挟持部材5221の略U字またはコの字の溝に差込む。
【0046】
ベルト5222は、一対のローラ5223,5224間に架け渡され、一方のローラ5223がモータ5225で駆動される。したがって、挟持部材5221およびそれに差込まれた標板材料Rは、差込まれた際の略水平状態から、ベルト5222が回転するに連れて、起立してゆき、各標板材料R間は、挟持部材5221によって、前記一側方(矢符Fとは反対方向)へ、相互に間隔を開けて保持される。こうして、標板材料R同士の擦れによる傷が付かないように相互に間隔を開けて起立状態で保持する製品ストッカー52を実現することができる。
【0047】
また、第4の搬送機構である取出しコンベア521および製品ストッカー52は、前記一側方(矢符Fとは反対方向)に延びているので、素材ストッカー31および第1の搬送機構32と平行となり、床面スペースを削減することができるとともに、定尺板Qの補充場所(素材ストッカー31)と、標板材料Rの仕上げ・梱包場所(製品ストッカー52)との間の移動距離を小さくすることもできる。
【0048】
以上のように、本発明の図柄標板打抜き装置1は、定尺板Qから標板材料(ブランク材)Rを打抜く(ブランキングする)図柄標板打抜き装置であって、その打抜きの材料がアルミニウム基板Bの一面に所望のイラストや図柄が印刷された印刷シートSが積層されて成る枚葉式の定尺板Qである場合に、プレス機2の一側方に素材ストッカー31を配置し、打抜いたカスを他側方へ排出し、打抜いた標板材料Rはプレス機2の奥行き方向から一側方へ搬送し、製品ストッカー52で相互に間隔を開けて起立状態で保持する。
【0049】
したがって、枚葉式の定尺板Qは、そのカスまで一直線上に搬送され、これらの取扱いが容易である。また、打抜かれた標板材料Rも後方へ搬送されるので、プレス機2の正面側には該標板材料Rやカスが出て来ず、金型21,22のメンテナンスや不具合時の対応を容易に行うことができる。さらにまた、作業者9は、標板材料Rの取出しに常時プレス機2に着いている必要はなく、標板材料Rは背後の製品ストッカー52にストックされてゆくので、作業者9は、素材ストッカー31に定尺板Qを補充したり、カスを廃棄したり、標板材料Rを仕上げ(バリ取りなど)・検品して梱包を行う作業までを、該図柄標板打抜き装置1を連続運転したまま、1人で対応することができ、作業効率を向上することができる。
【符号の説明】
【0050】
1 図柄標板打抜き装置
2 プレス機
21 下金型
22 上金型
3 投入機
31 素材ストッカー
311 基台
312 リフター
313 トレイ
314 囲撓ピン
32 第1の搬送機構
321 テーブル投入移載部
322 プレス投入移載グリッパーユニット部
323 位置調整テーブル
324 CCDカメラ
325 画像処理装置
4 排出機
41 ローラ
42 テーブル
43 容器
5 取出し機
51 第2の搬送機構
511 取出しトランスファ
512 取出しコンベア
513 取出し移載部
514 リフター
52 製品ストッカー
521 取出しコンベア
522 ストックコンベア
5221 挟持部材
5222 ベルト
9 作業者
B アルミニウム基板
P 図柄標板
P1 ナンバー
P2 イラストや図柄
P3 ビード
Q 定尺板
Q4 マーカー
R 標板材料(ブランク材)
S 印刷シート