特許第6530384号(P6530384)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6530384
(24)【登録日】2019年5月24日
(45)【発行日】2019年6月12日
(54)【発明の名称】メタクリル化ベンゾフェノンの製造方法
(51)【国際特許分類】
   C07C 67/08 20060101AFI20190531BHJP
   C07C 69/54 20060101ALI20190531BHJP
   C08F 20/30 20060101ALI20190531BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20190531BHJP
【FI】
   C07C67/08
   C07C69/54 B
   C08F20/30
   !C07B61/00 300
【請求項の数】13
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-520000(P2016-520000)
(86)(22)【出願日】2014年9月29日
(65)【公表番号】特表2016-539913(P2016-539913A)
(43)【公表日】2016年12月22日
(86)【国際出願番号】EP2014070787
(87)【国際公開番号】WO2015049200
(87)【国際公開日】20150409
【審査請求日】2017年8月9日
(31)【優先権主張番号】102013220127.3
(32)【優先日】2013年10月4日
(33)【優先権主張国】DE
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】390009128
【氏名又は名称】エボニック レーム ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Evonik Roehm GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ヴォルフガング クレッセ
(72)【発明者】
【氏名】ヨアヒム クネーベル
(72)【発明者】
【氏名】ドリス ザール
【審査官】 岡谷 祐哉
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−261506(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/090258(WO,A1)
【文献】 特開2000−191590(JP,A)
【文献】 特開2010−126502(JP,A)
【文献】 特表2012−512216(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07B
C07C
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベンゾフェノン(メタ)アクリレートの製造方法であって、ヒドロキシベンゾフェノンと(メタ)アクリル酸無水物とを触媒量の塩の存在下に反応させ、その際、(メタ)アクリル酸無水物対ヒドロキシベンゾフェノンの物質量比が1.0:1.0〜1.6:1.0であり、触媒量の塩が、(メタ)アクリル酸無水物の量を基準として0.2〜5.0モル%の量で使用され、前記触媒量の塩としてナトリウムメタクリレート及び/または酢酸ナトリウムを使用することを特徴とする、前記方法。
【請求項2】
物質量比が、1.05:1.0〜1.5:1.0の範囲内である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
物質量比が、1.1:1.0〜1.4:1.0の範囲内である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
物質量比が、1.1:1.0〜1.2:1.0の範囲内である、請求項1から3までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
ヒドロキシベンゾフェノンとして4−ヒドロキシベンゾフェノンを使用する、請求項から4までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
メタクリル酸無水物またはアクリル酸無水物を使用する、請求項1から5までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
反応を50〜120℃の範囲内の温度で行う、請求項1からまでのいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
反応を1〜13時間にわたって行う、請求項1からまでのいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
ベンゾフェノン(メタ)アクリレートを水中で沈殿させる、請求項1からまでのいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
重合法におけるモノマーおよび/またはコモノマーとしての、請求項1からまでのいずれか1項に記載の方法において得られるベンゾフェノン(メタ)アクリレートの使用。
【請求項11】
重合体を後で光架橋させるための、求項1からまでのいずれか1項に記載の方法において得られるベンゾフェノン(メタ)アクリレートの使用。
【請求項12】
重合体を後で日光またはUV光により光架橋させるための、請求項1から9までのいずれか1項に記載の方法において得られるベンゾフェノン(メタ)アクリレートの使用。
【請求項13】
高分子光開始剤としての、請求項1からまでのいずれか1項に記載の方法において得られるベンゾフェノン(メタ)アクリレートの使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
説明
本発明は、ヒドロキシ官能性ベンゾフェノンのメタクリル酸エステルの製造方法およびその使用に関する。本発明による方法により、高純度のメタクリル化ベンゾフェノンを容易にかつ高収率で製造することができる。
【0002】
従来技術においては、上記エステルを製造するためのメタクリル酸無水物法が記載されている(JP2003261506、三菱レイヨン)。触媒としてはトリエチルアミンが使用される。このアミンは反応時に生じるメタクリル酸と塩を形成するため、このアミンをベンゾフェノンと等モルに計量する必要がある。これに相応して等モル量の塩が得られ、これを廃棄物として処理しなければならない。従ってこの方法はあまり経済的ではない。従来技術のさらなる方法は、メタクリル酸塩化物とヒドロキシ官能性ベンゾフェノンとの反応、およびこの原料とグリシジルメタクリレートとの反応である。メタクリル酸塩化物を扱う際には腐食性の刺激特性に留意する必要がある。さらに、水との接触時にHClが放出される。
【0003】
DE1720603には、易架橋性重合体の水性分散液の製造方法が記載されている。ここでは、アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステルを光活性のオレフィン性不飽和モノマー、特にベンゾフェノン誘導体と共重合させ、場合により光活性の非イオノゲン性乳化剤を併用する。
【0004】
EP0346788には、メタクリレート末端基またはアクリレート末端基を少なくとも1つ有する光感受性カルバモイルベンゾフェノンおよびカルバモイルアセトフェノンの製造方法が記載されている。ここでは、イソシアナトアルキル(メタ)アクリレートとヒドロキシアセトフェノンまたはヒドロキシベンゾフェノンとを塩基性触媒を用いて反応させる。この際、湿分の排除下に作業を行わねばならない。さらに、無水の非求核性溶媒しか使用できない。
【0005】
WO2010/072479には、触媒量の硫酸の存在下での上記エステルの製造が記載されている。この触媒を反応完了後に苛性ソーダ液で中和し、かつ硫酸ナトリウムをろ別しなければならない。
【0006】
塩を触媒として用いたエステル化の場合には、エステル化されるべきアルコールを、無水物ベースの酸の塩の少量の存在下にカルボン酸無水物と反応させる。DE3601098またはAutorenkollektiv,Organikum,20th edn.1999,p.444−445によれば、無水酢酸および酢酸ナトリウムの存在下に糖をエステル化して酢酸エステルとすることができる。しかし、多量の触媒および/またはアシル化剤が必要である。4−ヒドロキシベンゾフェノンと類似のジトラノールを、そのモル量の20%の無水物と反応させるか、あるいは酢酸ナトリウムの存在下に3.3倍のモル過剰の無水酢酸でアセチル化しなければならない(H. P. Faro et al., Arch. Pharm. 313, 800 (1980))。糖エステル化の際には大過剰のアシル化剤が使用される(1.76モル/モル)。
【0007】
従って本発明の課題は、例えば中和等の付加的な工程なしに触媒を分離除去することができ、かつ付随する塩負荷量がわずかで済む、より簡単な製造方法を提供することであった。
【0008】
上述の課題は、ベンゾフェノン(メタ)アクリレートの製造方法であって、ヒドロキシベンゾフェノンと(メタ)アクリル酸無水物とを触媒量の塩の存在下に反応させ、その際、(メタ)アクリル酸無水物対ヒドロキシベンゾフェノンの物質量比が1.0:1.0〜1.6:1.0であることを特徴とする前記方法により解決される。
【0009】
本明細書においては、(メタ)アクリレートという表記は、メタクリレート、例えばメチルメタクリレート、エチルメタクリレート等と、アクリレート、例えばメチルアクリレート、エチルアクリレート等との双方、並びにこれら2つの混合物を意味する。
【0010】
驚くべきことに、本発明による方法によってより高い転化率が達成されうることが判明した。さらに、本発明による方法ではわずかな塩負荷しか必要とされない。この塩を容易に分離除去することができる。
【0011】
特定の一実施形態においては、副生成物として生じる(メタ)アクリル酸が、後続のベンゾフェノンモノマーの重合の際にコモノマーとして併用される。他の一実施形態においては、この(メタ)アクリル酸は、新たな(メタ)アクリル酸無水物の製造へと再循環される。
【0012】
好ましい一実施形態においては、(メタ)アクリル酸無水物対ヒドロキシベンゾフェノンの物質量比は、1.0:1.0〜1.6:1.0の範囲内である。他の一実施形態においては、この比は1.1:1.0〜1.4:1.0の範囲内であり、さらに好ましくは1.1:1.0〜1.2:1.0の範囲内である。極めて特に好ましくは、(メタ)アクリル酸無水物対ヒドロキシベンゾフェノンの物質量比は、1.1:1.0である。
【0013】
一実施形態においては、複数のヒドロキシベンゾフェノンが使用される。その際、4−、3−または2−ヒドロキシベンゾフェノン、あるいはそれらの異性体混合物または他の混合物、並びに2官能性ヒドロキシベンゾフェノン、例えば2,3−、2,4−または4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノンあるいはそれらの異性体混合物または他の混合物からなる群から選択されるヒドロキシベンゾフェノンが特に好ましい。
【0014】
別の一実施形態においては、メタクリル酸無水物とアクリル酸無水物との混合物が使用される。
【0015】
特定の一実施形態においては、4−ヒドロキシベンゾフェノンとメタクリル酸無水物との反応により4−(メタクリロイルオキシ)ベンゾフェノンが生成される。
【0016】
好ましい一実施形態においては、触媒として酢酸ナトリウムが使用される。さらに、対応する酢酸リチウムまたは酢酸カリウム、あるいはLi(メタ)アクリレート、Na(メタ)アクリレートまたはK(メタ)アクリレートが適している。特に好ましくはNaメタクリレートが使用される。他の一実施形態においては、上記の塩が、対応するメタノラートから、あるいは添加された酢酸から反応の間にそのメタノール溶液から、あるいは存在する(メタ)アクリル酸無水物から、in−situで生成される。また、対応する塩を別個に製造した後でこの反応に添加することもできる。
【0017】
好ましい一実施形態においては、触媒は、使用される(メタ)アクリル酸無水物の物質量を基準として0.2〜5.0モル%の量で使用される。他の好ましい一実施形態においては、触媒は、使用される(メタ)アクリル酸無水物の物質量を基準として0.3〜4.0モル%、好ましくは0.45〜2.5モル%、特に好ましくは0.5〜2.3モル%、または0.7モル%までの量で使用される。特に好ましい一実施形態においては、触媒は、使用される(メタ)アクリル酸無水物の物質量を基準として0.5モル%の量で使用される。
【0018】
本発明による方法によって、ベンゾフェノン(メタ)アクリレートを固体として取得することができる。好ましい一実施形態においては、1種以上のヒドロキシベンゾフェノンと1種以上の(メタ)アクリル酸無水物とを、50〜120℃の範囲内の温度で、特に好ましくは70〜110℃の範囲内の温度で、さらに好ましくは85〜95℃の範囲内の温度で、または90〜100℃の範囲内の温度で、極めて特に好ましくは90℃で、反応させる。
【0019】
好ましくは、反応時間は、特に90℃で1〜13時間であり、特に好ましくは1.5〜11時間であり、さらに好ましくは4〜8時間である。
【0020】
後続の粗モノマーの後処理は、任意に、(メタ)アクリル酸無水物の過剰分を例えばメタノールの添加によってかまたは水への撹拌導入によって加水分解した後に行われる。水溶性の不純物が溶解し、これを容易に分離除去することができる。ベンゾフェノン(メタ)アクリレートを水中で沈殿させ、これをろ過により固形で単離する。
【0021】
高純度で製造されたベンゾフェノン(メタ)アクリレートを、メチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、i−ブチルメタクリレートまたはスチレンを含む溶液中で貯蔵し、かつさらに反応させることができる。
【0022】
また本発明による方法によって、(メタ)アクリル酸アルキルエステル溶液中のベンゾフェノン(メタ)アクリレートを取得することもできる。他の適した溶液は、スチレン溶液である。好ましい一実施形態においては、1種以上のヒドロキシベンゾフェノンを、まず1種以上の(メタ)アクリル酸無水物、触媒および任意に安定剤と混合する。次いで、所望の反応温度を設定する。特に好ましい一実施形態においては、1種以上のヒドロキシベンゾフェノンと1種以上の(メタ)アクリル酸無水物とを、50〜120℃の範囲内の温度で、特に好ましくは70〜110℃の範囲内の温度で、さらに好ましくは85〜95℃の範囲内の温度で、または90〜100℃の範囲内の温度で、極めて特に好ましくは90℃で、反応させる。上記の(メタ)アクリル酸アルキルエステル中の溶液を生成させるためには、十分に反応を行った後に、(メタ)アクリル酸アルキルエステルあるいは場合によりその混合物を添加し、それによってベンゾフェノン(メタ)アクリレートの所望の濃度を得る。その後、適した圧力式ろ過器により塩および不純物を分離除去する。
【0023】
好ましくは、反応時間は、特に90℃で2〜8時間であり、特に好ましくは3〜7時間であり、さらに好ましくは4〜8時間であり、特に4.5〜5.5時間である。
【0024】
好ましくは、(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、(メタ)アクリル酸メチルエステル、n−ブチルメタクリレートまたはi−ブチルメタクリレートからなる群から選択される。さらに、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、特にヒドロキシエチル(メタ)アクリレートあるいはヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートも適している。特に好ましいのは、メチルメタクリレート(MMA)である。
【0025】
従って、(メタ)アクリル酸アルキルエステル中またはスチレン中のベンゾフェノン(メタ)アクリレートの溶液の製造も、本特許の対象である。好ましい一実施形態においては、30%MMA溶液中の4−(メタクリロイルオキシ)ベンゾフェノンが製造される。
【0026】
ベンゾフェノン(メタ)アクリレートは、重合体を後で日光またはUV光によって光架橋させるために使用されることができ、また高分子光開始剤としても使用されることができる。
【0027】
さらに、ベンゾフェノン(メタ)アクリレートは、重合反応のためのモノマーおよび/またはコモノマーとして使用されることができる。
【0028】
以下の実施例は本発明の詳説を意図したものであり、本明細書に開示された特徴を何ら限定するものではない。
【0029】
実施例
略語:
MAAH (メタ)アクリル酸無水物
MeOH メタノール
MMA メチルメタクリレート
MAS メタクリル酸
NM30溶液 ナトリウムメタノラート、メタノール中で30%、Evonik社
GCFl% ガスクロマトグラフィーによる面積パーセント
GC;Gew% ガスクロマトグラフィーによる質量パーセント
HQME ハイドロキノンモノメチルエーテル
SZ 酸価(mg KOH/g)
トパノールA 2,4−ジメチル−6−tert−ブチルフェノール(重合禁止剤)
ガスクロマトグラフィー分析:FIDを備えたAgilent 7820A装置
キャピラリカラムDB5、長さ30m、直径0.25mm、膜厚0.25μm
インジェクター温度250℃、検出器温度300℃
温度プログラム:80℃で2分間、その後16℃/分で300℃に加熱し、この温度を6分間保持。
【0030】
実施例1:in−situで製造されたナトリウムメタクリレート触媒
装置:メカニカルスターラー、還流冷却器、空気導入部、Pt100温度センサー、油浴を備えた2L容四ツ口丸底フラスコ
バッチ:4−ヒドロキシベンゾフェノン 1.5モル(297.9g)、MAAH 1.65モル(270.3g)、NM30溶液 0.0087モル(1.6g)、2,4−ジメチル−6−tert−ブチルフェノール(トパノールA) 399mg;
MMA中の4−(メタクリロイルオキシ)ベンゾフェノンの30%溶液の製造:MMAを合計で772g添加
4−(メタクリロイルオキシ)ベンゾフェノンの理論収量:399g
実施:4−ヒドロキシベンゾフェノンを量り入れ、これに、後で必要となるMMA126gを添加したところ、容易に撹拌可能な塊状物が生じた。次いで、MAAH、安定剤トパノールAおよび触媒NM30を添加し、空気を導入して90℃に加熱した。反応の進行をガスクロマトグラフィーによりモニターした(試料(約1.5ml)を採取し、アセトン約5mlで希釈し、ろ過した)。90℃で合計で5時間経過した後に60℃に冷却し、メタノール30gを添加することにより残留MAAHを反応させ、かつ60℃で1時間撹拌した。その後、このバッチにMMAの残分(646g)を添加することにより30%溶液を製造した。これを撹拌しながら冷却し、かつ圧力式ろ過器によりフィルター層Seitz T1000(φ14cm)を用いてろ過した。収量:1320.4g
分析:
カールフィッシャーによる水分:0.03%
トパノールA:538ppm
GCFl%:52.543% MMA
9.491% MAS
0.829% 4−ヒドロキシベンゾフェノン
0.701% 4−アセトキシベンゾフェノン
34.921% 4−(メタクリロイルオキシ)ベンゾフェノン
GC;Gew%: MMA 57.9%
MAS 10.9%
4−(メタクリロイルオキシ)ベンゾフェノン 28.5%
ハーゼン色数:315
SZ:69=10.58% MAS。
【0031】
実施例2:in−situで生成されたナトリウムメタクリレート触媒を用いた、固体としての4−(メタクリロイルオキシ)ベンゾフェノンの製造
装置:実施例1を参照
バッチ:4−ヒドロキシベンゾフェノン 4.0モル(794.7g)、MAAH 4.4モル(723.7g)、NM30溶液 0.0228モル(4.2g)、トパノールA 1055mg;
理論収量:4−(メタクリロイルオキシ)ベンゾフェノン:1055.2g
実施:上述のバッチを全て量り入れ、その後、90℃に加熱した。6時間の反応時間後に、4−ヒドロキシベンゾフェノンの割合はまだ2.2%(GC分析)であった。NM30溶液2mlを後添加して、さらに加熱した。90℃で合計で11時間経過した後に60℃に冷却し、メタノール80gを添加することにより未反応MAAHをエステル化させた。次いで、60℃で1時間撹拌した。その後、このバッチを撹拌(金属パドル撹拌機、撹拌モーター)しながら細い線状で水3L中に注いだ。これを0.5時間撹拌し、その後、沈殿物をガラスフィルターフリットで吸引ろ過し、もう1度水2.0Lで後洗浄し(金属パドル撹拌機を有する撹拌モーターを備えたガラスビーカー中で30分間撹拌し)、次いで吸引漏斗で吸引して乾燥させた。次いで、この固体を恒量になるまで空気中で乾燥させた。収量:1042.3g
分析:
水分(カールフィッシャー):<0.1%
トパノールA:808ppm
GC:0.066% MAS
1.239% 4−ヒドロキシベンゾフェノン
1.785% 4−アセトキシベンゾフェノン
95.574% 4−(メタクリロイルオキシ)ベンゾフェノン
アセトン中で20%でのハーゼン色数:154。
【0032】
実施例3:別個に製造されたナトリウムメタクリレート触媒を用いた、固体としての4−(メタクリロイルオキシ)ベンゾフェノンの製造
装置:実施例1を参照
バッチ:4−ヒドロキシベンゾフェノン 0.5モル(99.4g)、MAAH 0.55モル(88.3g)、ナトリウムメタクリレート 0.0125モル(1.35g)、HQME 133mg、トパノールA 133mg;
4−(メタクリロイルオキシ)ベンゾフェノンの理論収量:133.15g
実施:上述のバッチを全て量り入れ、その後、空気導入下に90℃に加熱した。転化率をガスクロマトグラフィー(GC)によりモニターした。1.5時間後の組成:MAS 18.42%、MAAH 2.5%、ヒドロキシベンゾフェノン 0.83%、4−(メタクリロイルオキシ)ベンゾフェノン 75.84%。これを60℃に冷却し、メタノール(10g)を添加し、60℃で1時間撹拌した。
【0033】
その後、このバッチを撹拌(金属パドル撹拌機、撹拌モーター)しながら細い線状で水500ml中に注いだ。これを0.5時間撹拌し、その後、沈殿物をガラスフィルターフリットで吸引ろ過し、さらに2回それぞれ水500mlで後洗浄し(金属パドル撹拌機を有する撹拌モーターを備えたガラスビーカー中でそれぞれ15分間撹拌し)、次いで吸引漏斗で吸引して乾燥させた。次いで、この固体を恒量になるまで空気中で乾燥させた。収量:131.1g
分析:
カールフィッシャーによる水分:0.21%
HQME:13ppm
トパノールA:1305ppm
GC:0.012% MMA
0.331% MAS
1.573% 4−ヒドロキシベンゾフェノン
94.594% 4−(メタクリロイルオキシ)ベンゾフェノン
アセトン中で20%での色数:82。
【0034】
実施例4:ナトリウムメタクリレート触媒を用いた4−(メタクリロイルオキシ)ベンゾフェノンの製造;転化率制御
装置:実施例1を参照
バッチ:4−ヒドロキシベンゾフェノン 0.5モル(99.4g)、MAAH 0.55モル(88.3g)、ナトリウムメタクリレート 0.003モル(0.32g)、HQME 133mg、トパノールA 133mg;
4−(メタクリロイルオキシ)ベンゾフェノンの理論収量:133.15g
実施:上述のバッチを全て量り入れ、その後、90℃に加熱した。転化率をGCによってモニターした。
【0035】
【表1】
【0036】
これを60℃に冷却し、メタノール(9.6g)を添加することにより残留MAAHをエステル化させ、かつ60℃で1時間撹拌した。その後、このバッチを撹拌(金属パドル撹拌機、撹拌モーター)しながら細い線状で水500ml中に注いだ。これを0.5時間撹拌し、その後、沈殿物をガラスフィルターフリットで吸引ろ過し、さらに2回それぞれ水500mlで後洗浄し(金属パドル撹拌機を有する撹拌モーターを備えたガラスビーカー中でそれぞれ約15分間撹拌し)、次いで吸引漏斗で吸引して乾燥させた。
【0037】
次いで、この固体を恒量になるまで空気中で乾燥させた。収量:136.7g
分析:
2O:0.25%
HQME:15ppm
トパノールA:1530ppm
GC:1.064% MAS
2.571% 4−ヒドロキシベンゾフェノン
92.754% 4−(メタクリロイルオキシ)ベンゾフェノン
アセトン中で20%での色数:144。
【0038】
実施例5:酢酸ナトリウム触媒
装置:メカニカルスターラー、還流冷却器、空気導入部、Pt100温度センサー、油浴を備えた2L容四ツ口丸底フラスコ
バッチ:
4−ヒドロキシベンゾフェノン 0.5モル、純度99.9%=99.2g
メタクリル酸無水物 0.55モル、純度97.7%=86.9g
酢酸ナトリウム(無水) 0.0125モル=1.025g
トパノールA=93.2mg
メタクリル酸過剰分のエステル化のため:メタノール9.6g
4−(メタクリロイルオキシ)ベンゾフェノンの理論収量:133.2g
実施:4−ヒドロキシベンゾフェノンを量り入れた。次いで、メタクリル酸無水物、トパノールAおよび酢酸ナトリウムを添加し、その後、空気供給下に90℃に加熱した。これを6時間撹拌し、その後、60℃に冷却し、メタノールを添加することにより残留メタクリル酸無水物をエステル化させた。これをさらに60℃で1時間撹拌した。その後、このバッチを撹拌下にH2O 500ml中に導入し、0.5時間撹拌し、吸引ろ過し、ガラスビーカー中でもう1度水500mlで洗浄した後、吸引漏斗で吸引して乾燥させた。生成物を空気中で乾燥させた。
【0039】
収量:4−(メタクリロイルオキシ)ベンゾフェノン 130g
分析:
水分:0.36% トパノールA:1390ppm
ハーゼン色数(アセトン中で10%):16
GCFl%:0.011% MMA
0.650% MAS
1.834% 4−ヒドロキシベンゾフェノン
2.928% 4−アセトキシベンゾフェノン
91.560% 4−(メタクリロイルオキシ)ベンゾフェノン