【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 ミラクル工業株式会社は、平成30年2月1日〜2月2日に開催された「モトヤ・コラボレーションフェア2018」にて、森山泰之が発明した「転写シールの作製装置(展示時の商品名:デコッペ)」を公開した。
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、上記転写シール用キットをなすプリン基材シートと両面粘着シートは、はがきサイズやA4サイズなどの互いに同じ大きさと形状を備えた枚葉形態品であるため、家庭用のインクジェットプリンターやレーザープリンターなどを使って、希望のオリジナルな標章(画像)を自動機械的にプリントできるとしても、両面粘着シートの離型紙を剥離する作業と、その剥離後の両面粘着シートを上記プリント基材シートへ、その表側から標章(画像)の被覆状態に貼り合わせる作業と、被写体への貼り付け転写使用時に、その標章(画像)を切り抜く作業とは、何れも人手作業として行わなければならず、甚だ煩らわしく面倒である。
【0005】
その場合、特許文献1に記載の転写シール用キットに限っては、そのプリント基材シートに転写シール用切り抜き輪郭線(ミシン目)が予じめ加工されているため、人手による上記切り抜き作業を省くことができるが、それでも未だ両面粘着シートから離型紙を剥離する人手作業と、その剥離後の両面粘着シートをプリント基材シートへ表側から貼り合わせる人手作業とが必要であることに変りはなく、不便である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明はこのような不便の解消を目的としており、その目的を達成するための新らしい転写シール作成装置として、請求項1では吸水紙の表面に水溶性のアンダーコーティング層とインク受容性の透明なトップコーティング層とが積層一体化された枚葉型プリント基材シートの上記トップコーティング層へ、1個又は複数個の標章をプリントするプリンタ−と、
【0007】
その標章がプリントされたプリント基材シートを上記プリンタ−から受け取って、前方へ一定速度で搬送するベルトコンベヤの回走駆動用ステッピングモーターと、
【0008】
上記プリント基材シートとほぼ同じ大きさ・形状を有する多数の透明な離型フィルムが、連続する帯状の離型シートへ透明の粘着剤層を介して一定間隔おきに貼り付けられたロール原反の繰出しローラーと、
【0009】
上記原反をその繰出しローラーから離型シート巻取りローラーまで、その下流側から引っ張る如く繰り出し搬送する駆動用のステッピングモーターと、
【0010】
その原反繰出し搬送用ステッピングモーターにより上記原反繰出しローラーから前下方へ繰り出し搬送される中途位置において、上記原反を離型シート巻取りローラーに向かう後上方へ折り返すことにより、その原反の離型シートから離型フィルムを剥ぎ取るピールプレートと、
【0011】
そのピールプレートにおける折返し用先端部の直前位置を水平に横架して、上記ベルトコンベヤでの前方へ搬送されて来た上記プリント基材シートと接触して連れ廻ることにより、上記ピールプレートでの剥ぎ取られた離型フィルムをプリント基材シートへ上方から、その標章の被覆状態に貼り付け圧着する離型フィルム貼付け用ゴムローラーと、
【0012】
上記ベルトコンベヤの搬送始端側において、標章がプリントされたプリント基材シートの受け取りを検知
し、その検知した出力信号に基いて上記ベルトコンベヤの回走駆動用ステッピングモーターを起動する
ように制御するプリント基材シート受取り検知センサーと、
【0013】
上記原反繰出しローラーからピールプレートまで繰り出し搬送される途中において、その原反の貼り付けられるべき一定の位置にある離型フィルムを検知
し、その検知した出力信号に基いて上記原反繰出し搬送用ステッピングモーター
を、その離型フィルムが上記ピールプレートの折返し用先端部又はその先端部から一定量だけ前下方へ張り出す基準位置まで搬送され
て一旦停止することとなるように制御する離型フィルム位置検知センサーと、
【0014】
上記ベルトコンベヤの搬送終端側において、その搬送中にあるプリント基材シートの位置を検知
し、その検知した出力信号に基いて上記一旦停止中にある原反繰出し搬送用ステッピングモーター
を、上記ベルトコンベヤ回走駆動用ステッピングモーターによるプリント基材シートの搬送速度と同期して回転させることにより、その原反の離型フィルムがプリント基材シートと正しく位置合わせされることとなるように制御する離型フィルム貼付けタイミングセンサーとを備えたことを特徴とする。
【0015】
また、請求項2では装置フレームの天板上に搭載したプリンターと、その装置フレームの枠内に設置されたベルトコンベヤとを、落下シュートによ
り連結して、
【0016】
標章がプリントされたプリント基材シートを、そのプリンタ−の送り出し部から落下シュートに沿って、ベルトコンベヤの搬送始端部へ滑り落し移載させるように定めたことを特徴とする。
【0017】
請求項3では落下シュートを扁平なトンネル型として、後下がりの上側傾斜路と逆な前下がりの下側傾斜路とが一定角度だけ屈折した連通状態に形成すると共に、
【0018】
その後下がり上側傾斜路の下端部にプリント基材シートよりも若干大きな床穴を、前下り下側傾斜路の上端部に上記床穴とほぼ同じ大きさの天井穴を各々開口形成して、
【0019】
上記落下シュートにおける途中の屈折部へ突き当ったプリント基材シートが、その床穴と天井穴を通じて自ず
と落下し、そのプリントされた標章の表向く状態としてベルトコンベヤの上面へ載り移るように定めたことを特徴とする。
【0020】
請求項4では離型フィルム貼付け用ゴムローラーの設置高さを調整できるように定めると共に、
【0021】
そのゴムローラーの
上流側へ別個なスチールローラーを平行に横架させて、そのスチールローラーの自重力により離型フィルムをピールプレートへ押圧するように定めたことを特徴とする。
【0022】
請求項5では前下
がり傾斜状態にあるピールプレートの表面とベルトコンベヤの平面とが交叉する離型フィルム貼付け角度を、30〜35
度に設定したことを特徴とする。
【0023】
請求項6ではプリント基材シートに複数の転写シール抜き取り用輪郭線となるミシン目を、その合計3層の貫通状態に加工しておき、
【0024】
その輪郭線の区画内部へ標章
をプリントするように定めたことを特徴とする。
【0025】
請求項7ではロール原反における粘着剤層から表側の離型フィルムに比して、裏側の離型シートの方が軽く剥離し得るように、その剥離上の軽重差を与えたことを特徴とする。
【0026】
更に、請求項8ではプリンタ−として、白色インクでのプリント可能なカラーレーザープリンタ−を採用したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0027】
請求項1の上記構成によれば、プリント基材シート受取り検知センサーが標章のプリントされたプリント基材シートを、ベルトコンベヤに受け取った検知出力信号に基いて、そのプリント基材シート搬送用駆動源のステッピングモーターを起動させるようになっているため、ユーザーが本発明の転写シール作成装置を使用しない限り、その作成装置としては言わば電源オフの運転停止状態に保たれる。そのため、プリクラ(登録商標)式の転写シール作成装置として、省エネ効果やランニングコストの低減などに役立つ。
【0028】
この点、例えば定形郵便物などの被着媒体にラベルを貼り付ける機械では、そのメーカーが工場での量産する業務用として、本発明の上記プリント基材シートに相当する被着媒体が、必らず一定間隔おきでの自動連続的に給送されることになるため、本発明の上記プリント基材シート受取り検知センサーは不要であり、使用法が異なる。
【0029】
また、上記被着媒体にラベルを貼り付ける機械の場合、その被着媒体がベルトコンベヤに一定間隔おきでの整然と並び、その整然と必らず搬送されて来るため、本発明のように離型フィルム貼付けタイミングセンサーをプリント基材シートの搬送途上へ設置する必要はなく、本発明のような離型フィルム(ラベル)の搬送途上へ設置した離型フィルム位置検知センサーのみによって、その離型フィルム(ラベル)と被着媒体との位置合わせを行うことが可能である。
【0030】
これに反して、本発明の転写シール作成装置では標章をプリントされたプリント基材シートが、何時ベルトコンベヤによって搬送されて来るか不明であり、その間隔もアットランダムのため、上記離型フィルム位置検知センサーのみならず、そのベルトコンベヤにおけるプリント基材シートの搬送途上に臨む離型フィルム貼付けタイミングセンサーも不可欠である。
【0031】
つまり、離型フィルム位置検知センサーの出力信号に基いて原反繰出し搬送用ステッピングモーターを制御し、その原反の貼り付けられるべき一定位置(好ましくは先頭)にある離型フィルムを頭出し状態に保って一旦停止中、離型フィルム貼付けタイミングセンサーの検知出力信号により上記原反繰出し搬送用ステッピングモーターを、プリント基材シート搬送駆動用ステッピングモーターと同期させて、そのプリント基材シートと上記頭出し状態にある離型フィルムとを位置合わせするようになっているため、そのプリント基材シートの標章が離型フィルムによって、表側(上方)から正確な被覆状態に貼り付けられた転写シールを作成できるのである。
【0032】
請求項2の構成を採用するならば、装置フレームの天板上にプリンタ−が搭載されており、その装置フレームの枠内にベルトコンベヤが設置されているため、転写シール作成装置の据付スペースを狭小化することができると共に、ユーザーにとって使いやすい据付高さ(背丈)に保てる効果がある。
【0033】
その場合、請求項3の構成を採用するならば、プリンタ−によって標章が表向く(上向く)状態にプリントされたプリント基材シートを、落下シュートに沿ってベルトコンベヤの上面へ滑り落し移載させるも、その標章の表向く(上向く)姿勢状態を維持することができ、引き続く表側(上方)からの離型フィルムの貼り付けを支障なく円滑に行える効果がある。
【0034】
また、請求項4の構成を採用するならば、原反の離型シート(セパレーター)から離型フィルムを確実に安定良く剥ぎ取ることができ、その剥ぎ取った離型フィルムをプリント基材シートへ無理なく円滑に貼り付け得る効果がある。
【0035】
請求項5の構成を採用するならば、プリント基材シートの表面(トップコーティング層)へ離型フィルムを剥離ミスなく確実に貼り付けることができ、その剥離後に残った離型シート(セパレーター)をピールプレートの先端部(折返し点)によって、円滑に折り返し搬送し得る効果もある。
【0036】
請求項6の構成を採用するならば、そのプリント基材シートに加工された複数の転写シール抜き取り用輪郭線(ミシン目)の区画内部へ、すべて異なる各種の標章をプリントすることができ、ユーザーの希望に対応して合理的な価格の転写シールを作成し得る効果がある。
【0037】
更に、請求項7の構成を採用するならば、上記定形郵便物を被着媒体として、これに貼り付けられ、ユーザーよって剥離されることがないラベルと異なり、本発明の転写シール作成装置では被写体への貼り付け転写使用時、ユーザーによって剥離される離型フィルムであるため、その貼り付け転写使用するまでの間に、離型フィルムがいたずらに剥がれてしまって、標章の裸状態に露出し、汚損するおそれを予防することができる。
【0038】
請求項8の構成を採用するならば、被写体における表面の色彩との関係次第では、標章の発色性が低下することもあり得るが、その標章のカラープリントと同時か、又はその後白色のカラープリントを施したり、更にはその標章の周辺にも白色のカラープリントを行ったりして、上記標章やその地色(背景色)を鮮明に発色させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下、図面に基いて本発明の実施形態を詳述する。
図1はそのプリクラ(登録商標)式転写シール作成装置の概略側面図、
図2は
図1の概略背面図、
図3は作用説明図、
図4は
図1の部分拡大図である。
【0041】
その
図1〜4において、(M)は直方体型に枠組み一体化された剛性な装置フレームであり、その底枠(10)の四隅部には据付高さの調整可能な脚座(11)と、据付場所の移動可能なキャスター(12)とが各々取り付けられている。
【0042】
(P)は装置フレーム(M)の天板(13)へ搭載状態に組付けユニット化されたカラープリンターであり、図示の実施形態では白色インクでのプリント可能なカラーレーザープリンターを採用しているが、これに代るカラーインクジェットプリンターやカラー静電複写機などを採用しても良い。
【0043】
何れにしても、プリンター(P)には一定な大きさ(例えばはがきサイズやA5サイズ)の枚葉型をなすプリント基材シート(A)が、好ましくはカートリッジ式に積み込みセットされている。
【0044】
そのプリント基材シート(A)は
図5〜7に示す如く、5μm〜0.5mmの厚みを有する吸水紙(14)と、その吸水紙(14)の表面全体へ3μm〜5μmの厚みとして塗工されたアンダーコーティング層(15)と、そのアンダーコーティング層(15)の表面全体へ5μm〜10μmの厚みに塗工された透明なトップコーティング層(16)との合計3層から成る。(W1)(L1)はそのプリント基材シート(A)の一定な幅と長さを示している。
【0045】
上記吸水紙(14)は所謂吸い取り紙やその他の水を吸収する紙であり、これに積層されたアンダーコーティング層(15)は、ポリビニルアルコール(商品名:ポバール)やポリビニルピロリドン、その他の水溶性(高吸水性)を有する合成高分子から成る。また、上記トップコーティング層(16)はポリエチレンテレフタレートやナイロン、ポリプロピレン、その他のインクを定着できるインキ受容性(印刷特性)に富む熱可塑性ポリマーから成り、特にポリエチレンテレフタレートを採用することが好ましい。
【0046】
そのため、使用者としてはパソコンやタブレット、スマートフォン(モバイル端末)、その他のユーザー通信端末(図示省略)により、希望のオリジナルな標章(T)を上記プリンター(P)に入力して、そのプリント基材シート(A)における上記トップコーティング層(16)の表面へ、その標章(T)をカラープリントすることができる。
【0047】
ここに標章(T)とは文字、図形、記号又はこれらの結合と、色彩との結合を意味し、画像と換言しても良いが、これは
図6、7に示すような1枚のプリント基材シート(A)に、1個だけプリントされる場合のほか、
図18、19に示すような複数個(図例では8個)の並列状態にプリントされることもある。
【0048】
(17)は上記装置フレーム(M)の底板(図示省略)に据え付け固定されたコンベヤ支持台であり、これにはベルト従動プーリー(18)とベルト原動プーリー(19)との前後一対が水平に軸架されている。しかも、その前後相互間には上記標章(T)のプリントされたプリント基材シート(A)を搬送する無端なゴム製又は金属製のベルトコンベヤ(20)が巻き掛けられている。
【0049】
(21)はそのベルトコンベヤ(20)の循環回走用(プリント基材シートの搬送用)駆動源としてのステッピングモーターであって、上記コンベヤ支持台(17)のサイド脚板部に取り付け固定されており、そのモーター出力プーリー(22)と上記ベルト原動プーリー(19)とがタイミングベルト(23)を介して伝動連結されている。上記標章(T)がプリントされたプリント基材シート(A)を、
図3の矢印(F1)で示す前方へ搬送するようになっているのである。
【0050】
尚、コンベヤ支持台(17)の上面にはプリント基材シート(A)の脱落を防ぐ左右一対の搬送ガイドが立設されているが、図示省略してある。
【0051】
(B)は上記標章(T)のプリントされたプリント基材シート(A)を、そのプリンタ−(P)から上記ベルトコンベヤ(20)へ供給するためのプリント基材シート供給機構であり、図示実施形態では扁平なトンネル型の落下シュート(24)から成る。
【0052】
そのプリント基材シート用落下シュート(24)は
図4に抽出して示す如く、上記プリンタ−(P)の送り出し部(25)とベルトコンベヤ(20)の後端部(搬送始端部)との上下相互間を作用的に連結しており、上記標章(T)をプリントされたプリント基材シート(A)が、そのプリンタ−(P)の送り出し部(25)から落下シュート(24)に沿い滑り落ちて、ベルトコンベヤ(20)の上面へ載り移るようになっているのである。
【0053】
その場合、プリンター(P)から出力されたプリント基材シート(A)は、その標章(T)の表向く(上向く)状態として、ベルトコンベヤ(20)の上面へ自づと正しく滑り落ちるように、上記落下シュート(24)が後下がりの上側傾斜路(24a)と逆な前下りの下側傾斜路(24b)との一定角度(α)(好ましくは約90度)だけ屈折した連通状態に形成されており、しかもその後下がり上側傾斜路(24a)の下端部には上記プリント基材シート(A)よりも若干大きな床穴(26a)が、逆な前下り下側傾斜路(24b)の上端部には上記床穴(26a)とほぼ同じ大きさの天井穴(26b)が各々開口形成されている。
【0054】
上記落下シュート(24)における途中の屈折部(24c)へ突き当ったプリント基材シート(A)が、その床穴(26a)と天井穴(26b)を通じて、自ず
と伏倒落下し得るようになっているのである。上記落下シュート(24)における前下がりの下側傾斜路(24b)とベルトコンベヤ(20)の上面(平面)とが交叉する角度(β)としては、130度の鈍角に設定することが望ましい。
【0055】
尚、図示実施形態では上記プリント基材シート供給機構(B)を落下シュート(24)として具体化することにより、転写シール作成装置の据付スペースを狭小化すると共に、使いやすい据付高さ(背丈)を確保しているが、その落下シュート(24)に代る供給機構(B)として、例えばプリンタ−(P)を上記ベルトコンベヤ(20)の後端部(搬送始端部)へ直接に、又は別個なベルトコンベヤやニップローラーなどを介して間接的に並列設置し、これにより上記標章(T)がプリントされたプリント基材シート(A)を、そのプリンタ−(P)の送り出し部(25)からベルトコンベヤ(20)の上面へ移載させる如く供給しても良い。
【0056】
更に、(27)(28)は上記装置フレーム(M)内の上段位置において、その壁板(29)へ水平の片持ち状態に軸架された原反繰出しローラーとその離型シート(セパレーター)巻取りローラーとの前後一対であり、その離型シート巻取りローラー(28)が上記ベルトコンベヤ(20)における後側の上方に対応位置している一方、原反繰出しローラー(27)が同じくベルトコンベヤ(20)における前側の上方に対応位置している。
【0057】
上記原反繰出しローラー(27)から繰り出されるロール原反(R)は
図8、9に示す如く、連続する帯状の離型シート(セパレーター)(30)に枚葉型をなす多数の透明な離型フィルム(31)が、同じ枚葉型の透明な粘着剤層(32)を介して所定間隔(D)おきの点在分布状態に貼り付け(仮り付け)られた構成である。
【0058】
その原反(R)の離型シート(セパレーター)(30)は0.5mmの厚みを有する不透明なロール紙から成り、これには緑色やその他の有彩色が施されているが、これに粘着剤層(32)を介して貼り付けられた透明な離型フィルム(31)は、15μm〜25μmの厚みを有するポリエチレンテレフタレートやポリプロピレン、その他の合成樹脂ラミネートフィルムから成り、その離型フィルム(31)と粘着剤層(32)における枚葉型の大きさ(一定幅(W2)×一定長さ(L2))が上記プリント基材シート(A)と同じか、又は望ましくは若干小さく寸法化されており、プリント基材シート(A)の周囲から見苦しく張り出さないようになっている。尚、上記粘着剤層(32)としてはアクリル系粘着剤が使用されており、その厚みは5μm〜10μmである。
【0059】
更に言えば、上記離型フィルム(31)の裏面にはシリコン系化合物の離型剤層(33a)が2μmの厚みとして塗工されている一方、上記離型シート(セパレーター)(30)の表面には同じく離型剤層(33b)が4μmの厚みとして塗工されており、上記粘着剤層(32)から表側の離型フィルム(31)に比して、裏側の離型シート(セパレーター)(30)が軽く剥離し得るように、その離型剤層(33a)(33b)における厚みの厚薄(塗工量の多少)により、剥離上の軽重差が与えられている。
【0060】
つまり、原反(R)のロール紙である離型シート(セパレーター)(30)から、表側に離型フィルム(31)を貼り付けられた粘着剤層(32)が先に剥離され、その剥離時には勿論のこと、その後作成完了できた転写シール(S)を被写体(K)へ貼り付け転写使用する時までは、その粘着剤層(32)から表側の離型フィルム(31)が容易に剥離せず、安定な貼り合わせ状態を確保できるように、その剥離力が強弱に相違変化されているのである。
【0061】
しかも、その場合上記離型シート(セパレーター)(30)から先に粘着剤層(32)が剥離される界面については、その離型シート(セパレーター)(30)の縦横方向又は対角線方向に沿い直交する格子(方眼)形態又は網形態の空気抜き用凹凸条(33c)として、粗面化しておくことが望ましい。
【0062】
その離型シート(セパレーター)(30)の剥離により露出した粘着剤層(32)を介して、上記離型フィルム(31)をプリント基材シート(A)の表面へ貼り付ける時、その貼り付け面に滞溜又は封じ込められる空気を後述するゴムローラー(プレスローラー)の押圧力により、その凹凸条(33c)の凹状部から自づとすばやく確実に追い出して、皺寄り状態や波打ち状態となるおそれを予防できるからである。
【0063】
(34)は上記装置フレーム(M)内の中段位置において、その壁板(29)への片持ち固定状態に架設されたローラー取付ステーであり、そのローラー取付ステー(34)と上記壁板(29)との向かい合う左右相互間に、原反用テンションローラー(35)が水平に軸架されている。
【0064】
(36)は同じく装置フレーム(M)内の中段位置において、その壁板(29)へ前下がり傾斜姿勢の片持ち固定状態に架設されたピールプレート取付枠であり、その上記原反用テンションローラー(35)の前下方位置へ臨む中途部には、少なくとも1本の原反用ガイドローラー(37)が平行に軸架されている。
【0065】
また、(38)は上記ピールプレート取付枠(36)の前部に固定横架されたピールプレートであって、原反(R)を傷付けるおそれが無い平滑な金属板や硬質合成樹脂板から成り、そのピールプレート取付枠(36)から前下方へ傾斜状態に張り出す側面視の三角形な先端部(折返し点)(38a)が、
図11、12に示唆する如く、これによって剥ぎ取られた離型フィルム(31)の先端部と、上記ベルトコンベヤ(20)により搬送されて来たプリント基材シート(A)の先端部との接点(X)をほぼ指向する設置状態にある。
【0066】
その接点(X)を通る仮想垂直線(Y−Y)上には、離型フィルム貼付け用のゴムローラー(プレスローラー)(39)とベルトコンベヤ(20)のベルト従動プーリー(18)との上下一対が平行に軸架されており、その上側のゴムローラー(39)が
図12、13のように上記プリント基材シート(A)の前進に伴って回転し(連れ廻り)、そのベルトコンベヤ(20)での支持状態にあるプリント基材シート(A)に対して、上記離型フィルム(31)を無理なく円滑に貼り付けるようになっている。そのため、上記ゴムローラー(プレスローラー)(39)の回転駆動源は存在せず、不要である。上記接点(X)を通る仮想垂直線(Y−Y)は、そのプリント基材シート(A)に対する離型フィルム(31)の貼付け位置を意味するのである。
【0067】
その場合、上記ゴムローラー(39)とベルト従動プーリー(18)はコンベヤ支持台(17)から一体的に垂立する支柱(図示省略)へ、何れも水平に横架されているが、特に上記接点(X)の上側に位置するゴムローラー(39)だけは、その設置高さ(連れ廻り度合い/圧着力)を調整することができるようになっている。
【0068】
そして、上記ピールプレート(38)は
図3や
図11〜14のように、原反繰出しローラー(27)から原反用テンションローラー(35)と原反用ガイドローラー(37)を経て、前下方(F2)へ屈曲する如く繰り出される原反(R)を、その先端部(折返し点)(38a)により円滑に折り返して、その原反(R)の透明な離型フィルム(31)を剥ぎ取り、その離型フィルム(31)だけを上記ゴムローラー(39)によってプリント基材シート(A)の表面へ上方から、そのプリントされている標章(T)の被覆状態に貼り付ける一方、上記離型フィルム(31)の剥離後に残る離型シート(セパレーター)(30)を、逆な後上方へ搬送して、上記離型シート(セパレーター)巻取りローラー(28)へ巻き取り回収するようになっている。
【0069】
上記前下り傾斜状態にあるピールプレート(38)の表面と、上記ベルトコンベヤ(20)の上面(平面)とが交叉する角度(離型フィルム貼付け角度)(γ)については、粘着剤層(32)の仕様(剥離性)やゴムローラー(39)の配置、その他の諸条件との関係を総合的に考慮して適当に設定(調整)すれば良いが、試作テストでは30度〜35度、特に33度である時に、原反(R)の離型フィルム(31)を上記プリント基材シート(A)のトップコーティング層(16)へ剥離ミスなく円滑に貼り付けることができ、離型フィルム(31)の剥離後に残った離型シート(セパレーター)(30)も、上記ピールプレート(38)の先端部(38a)によって円滑・確実に折り返し搬送する効果を得られた。
【0070】
尚、上記ピールプレート(38)における先端部(38a)の折返し角度(θ)は離型フィルム(31)の貼付け角度(γ)よりも小さく、その折り返された離型シート(セパレーター)(30)がプリント基材シート(A)へ干渉しないように保たれている。
【0071】
その場合、離型フィルム貼付け用ゴムローラー(39)の手前位置(上流側)において、そのゴムローラー(39)と並列するウエイト(自重力)付加用のスチールローラー(40)を、やはりコンベヤ支持台(17)から一体的に起立する図外の支柱へ軸架させ、これにより原反(R)を上記ピールプレート(38)へ上方から押え付けることが好ましい。このウエイト(自重力)を付加するスチールローラー(40)は、原反(R)の前進に伴って自転する(連れ廻る)。その原反(R)の離型フィルム(31)を離型シート(セパレーター)(30)から確実に安定良く剥ぎ取ることができ、その剥離ミスの予防に役立つからである。
【0072】
上記離型シート(セパレーター)(30)を後上方へ折り返し搬送する過程でのガイドローラー(41)も、好ましくは前後一対などの複数本として、上記ピールプレート取付枠(36)へ平行に軸架されている。
【0073】
更に、(42)は上記装置フレーム(M)内の中段位置において、その壁板(29)への片持ち固定状態に架設されたローラー取付板であり、そのローラー取付板(42)と上記壁板(29)との向かい合う左右相互間には、離型シート用ニップローラー(43)が水平に軸架されている。
【0074】
そのニップローラー(43)は上記離型シート巻取りローラー(28)の下方位置にあり、これと相俟って離型シート(30)を挟み付ける離型シート用テンションローラー(44)も、上記ローラー取付板(42)と壁板(29)へ左右一対の吊持アーム(45)を介して、両持ち状態に軸架されている。
【0075】
(46)は原反(R)を上記ピールプレート(38)よりも下流側から引っ張る如く繰り出し搬送する駆動源のステッピングモーターであって、装置フレーム(M)における上記壁板(29)の背面に取り付け固定されており、直接にはそのモーター出力軸(47)によって上記離型シート用ニップローラー(43)を回転駆動し、原反(R)の離型フィルム(31)が剥離されて残る離型シート(セパレーター)(30)を、その巻取りローラー(28)へ自づと巻き取り回収するようになっている。
【0076】
(48)はその離型シート巻取りローラー(28)と上記離型シート用ニップローラー(43)との上下相互間に介在する離型シート用ガイドローラーであり、これも上記ローラー取付板(42)と装置フレーム(M)における壁板(29)との向かい合う左右相互間へ水平に軸架されている。
【0077】
(49)は上記ベルトコンベヤ(20)の前端部(搬送終端部)に隣接する排出シュートであり、プリント基材シート(A)に離型フィルム(31)が貼り付けられて完成した転写シール(S)を、ベルトコンベヤ(20)上から前下方へ排出するようになっている。
【0078】
更に、(50)は上記ベルトコンベヤ(20)の後端側(搬送始端側)へ偏倚した位置に臨むプリント基材シート受取り検知センサーであって、反射型のフォトセンサー(光電スイッチ)から成り、そのコンベヤ支持台(17)からベルトコンベヤ(20)の上面に向かって固定横架された水平の支持バー(図示省略)へ下向き状態として、好ましくは左右方向への移動調整可能に取り付けられている。
【0079】
そして、上記標章(T)をプリントされたプリント基材シート(A)が、そのプリンタ−(P)から落下シュート(24)を経てベルトコンベヤ(20)の上面へ落下したことを、そのプリント基材シート受取り検知センサー(50)が検知した出力信号に基いて、ベルトコンベヤ(20)の循環回走用ステッピングモーター(21)を起動するようになっている。そのステッピングモーター(21)はプリント基材シート(A)に対する離型フィルム(31)の貼り付け後に、一旦停止するという間歇回転を行う。
【0080】
他方、上記原反(R)がその繰出しローラー(27)からピールプレート(38)を経て、ベルト従動プーリー(18)とゴムローラー(39)が存在する前下方(F2)へ繰り出し搬送される通路の途中には、その原反(R)の貼り付けられるべき一定の位置(好ましく先頭)にある離型フィルム(31)を検知する離型フィルム位置検知センサー(51)が臨まされている。この位置検知センサー(51)も反射型のフォトセンサー(光電スイッチ)から成り、上記ピールプレート取付枠(36)から原反(R)の上面に向かって固定横架された水平の支持バー(図示省略)へやはり下向きとして、好ましくは左右方向への移動調整自在に取り付けられている。
【0081】
そして、上記原反繰出しローラー(27)から繰り出し搬送された先頭の離型フィルム(31)を位置検知し、その検知した出力信号に基いて原反繰出し搬送用ステッピングモーター(46)を制御し、その原反(R)における先頭の離型フィルム(31)が後述の操作パネルにより予じめ設定された位置(基準位置)までの一定距離(移動量)だけ、前下方(F2)へ繰り出し搬送された後(頭出し後)、一旦停止状態で待機するようになっている。そのステッピングモーター(46)が原反(R)を予じめの設定距離(移動量)だけ前進させた後、後述する離型フィルム貼付けタイミングセンサーからの検知出力信号を受けるまで、停止するという間歇回転を行うのである。
【0082】
その場合、上記ピールプレート(38)の先端部(折返し点)(38a)を予じめ設定された位置(基準位置)として、ここまで原反(R)における先頭の離型フィルム(31)を前進(所謂頭出し)させても良いが、その離型フィルム(31)の先端部(前端部)をピールプレート(38)の先端部(折返し点)(38a)から僅かでも一定量(Z)だけ張り出しておくことが望ましい。
【0083】
この点、
図3、11では離型フィルム位置検知センサー(51)の検知した位置にある離型フィルム(31)から前に2つ目の離型フィルム(31)が、ピールプレート(38)の先端部(38a)から一定量(Z)だけ前下方へ張り出した基準位置にある頭出し状態を例示している。
【0084】
そうすれば、その原反(R)の離型フィルム(31)を離型シート(セパレーター)(30)からミスなく円滑に剥離することができ、その剥離後の離型フィルム(31)をプリント基材シート(A)の表面へゴムローラー(39)によって、一層確実に安定良く貼り付けることができるからである。
【0085】
尚、離型フィルム位置検知センサー(51)により原反(R)における先頭の離型フィルム(31)を位置検知する旨として上記したが、その代りに離型フィルム(31)同士の隣り合う間隙(所謂ドブ)を位置検知しても良い。
【0086】
また、(52)は上記ベルトコンベヤ(20)の前端側(搬送終端側)へ偏倚した位置に臨む離型フィルム貼付けタイミングセンサーであって、やはり反射型のフォトセンサー(光電スイッチ)から成り、上記コンベヤ支持台(17)からベルトコンベヤ(20)の上面に向かって固定横架された水平の支持バー(図示省略)へ下向き状態として、望ましくは左右方向への移動調整自在に取り付けられている。
【0087】
そして、上記ベルトコンベヤ(20)により前方(F1)への搬送中にあるプリント基材シート(A)の先端部又は後端部を、その貼付けタイミングセンサー(52)が検知した出力信号に基いて、上記原反繰出し搬送用ステッピングモーター(46)を制御し、上記頭出し状態での一旦停止中にある原反(R)の離型フィルム(31)が、ゴムローラー(39)によるプリント基材シート(A)への貼付け位置(Y−Y)まで到達して、その先端部同士が正確に合致することとなるように、その原反繰出し搬送用ステッピングモーター(46)をベルトコンベヤ循環回走用ステッピングモーター(21)によるプリント基材シート(A)の移動速度と同期して回転させるようになっている。
【0088】
このような枚葉型をなす原反(R)の離型フィルム(31)と、同じくプリント基材シート(A)との位置合わせ制御を行うことにより、原反(R)の離型フィルム(31)がロール紙の離型シート(セパレーター)(30)から円滑・確実に剥ぎ取られて、上記ゴムローラー(39)によりプリント基材シート(A)のトップコーティング層(16)へ、その標章(T)を表側から被覆する状態に正しく貼り付けられ、転写シール(S)として作成完了するようになっているのである。
【0089】
更に、(53)は上記装置フレーム(M)における壁板(29)の背面に取り付け固定された制御盤(コントローラー)であり、これに設置されている図外のボリュームによって、上記ベルトコンベヤ(20)の回走速度(プリント基材シートの搬送速度)を予じめ速く又は遅く設定(調整)できるようになっている。
【0090】
(54)は同じく装置フレーム(M)内における上記原反繰出しローラー(27)の隣り位置へ、横方向から見やすく取り付けられた操作パネルであり、その
図10(I)のようなメイン画面(54a)の指定個所をタッチすることによって、
図10(II)(III)(IV)のような3種の表示画面(54b)(54c)(54d)に切り替えることができるようになっている。
【0091】
つまり、メイン画面(54a)における「AUTO」の指定個所をタッチすれば、
図10(II)のような自動運転中の表示画面(54b)が現われ、更に「MANU」の指定個所をタッチすれば、
図10(III)のような手動操作の表示画面(54c)が現われ、更に「PRM」の指定個所をタッチすれば、
図10(IV)のような各種運転条件設定用の表示画面(54d)が現われるようになっている。
【0092】
そして、自動運転中の表示画面(54b)には使用中の原反(R)における離型フィルム(31)の枚数を示す数値が、順次減算するそれとして表示される。そのためこれを見て、新らしい原反(R)との交換タイミングを知ることができ、これに応じてプリント基材シート(A)の補充タイミングも知ることができる。
【0093】
また、自動運転を開始する当初やトラブル発生後の運転再開時、メンテナンスを行う時などには、手動操作用の表示画面(54c)上にある「コンベヤ送り」のスイッチボタンをオン・オフ操作することにより、プリント基材シート受取り検知センサー(50)の検知出力信号に基くベルトコンベヤ(20)の回走作用を確かめることができ、同じく表示画面(54c)上にある「同期」のスイッチボタンをオン・オフ操作して、原反繰出し搬送用ステッピングモーター(46)の駆動を確かめることができ、更に上記表示画面(54c)上にある「フィルム/のり送り」のスイッチボタンをオン・オフ操作することにより、離型フィルム位置検知センサー(51)の位置検知出力信号に基く離型フィルム(31)の繰り出し搬送作用を確かめることができるようになっている。
【0094】
更に、
図10の運転条件設定画面(54d)上に「フィルム/のり移動距離」とある指定個所のテンキー(55)を操作して、離型フィルム位置検知センサー(51)が離型フィルム(31)の位置を検知した出力信号に基く離型フィルム(31)の移動距離となる具体的な設定数値を入力でき、また同じく設定画面(54d)上に「フィルム/のり送り速度」とある指定個所のテンキー(56)を操作して、上記離型フィルム(31)の送り速度となる具体的な設定数値を入力できるようになっている。尚、上記プリント基材シート(A)のベルトコンベヤ(20)による送り速度が、制御盤(コントローラー)(53)上のボリュームによって設定されることは既述のとおりである。
【0095】
図示実施形態の転写シール作成装置は上記構成を備えており、予じめ不透明な離型シート(セパレーター)(30)に多数の透明な離型フィルム(31)を点在分布状態に貼り付けられた原反(R)が、
図3に示唆する如く、その原反繰出しローラー(27)から一旦前下方(F2)へ進み、途中のピールプレート(38)を介して後上方へ折り返して、離型シート(セパレーター)巻取りローラー(28)に達するまでの一連な巻き掛け状態に準備されており、上記ピールプレート(38)よりも下流側に設置された原反繰出し搬送用ステッピングモーター(46)によって、引っ張られる如く繰り出し搬送されるようになっている。
【0096】
そこで、上記作成装置の使用により転写シール(S)を作成するに当っては、ユーザーがパソコンやタブレット、スマートフォン(携帯電話器)などの通信端末(図示省略)を用いて、そのユーザー通信端末側又は転写シール作成装置側に予じめ用意されている各種標章(T)を選択し、その選択した希望標章(T)のプリント指令を上記プリンタ−(P)へ受け渡せば(入力すれば)良い。
【0097】
例えば、ユーザーが所持するスマートフォン(モバイル端末)を用いて、上記プリンタ−(P)によりプリントされるキャラクターやロゴマークなどの各種標章(T)を選択し、その転写シール作成装置のかざし部(図示省略)へ上記スマートフォンを臨ませ、これにより作成装置側においてQRコード(登録商標)を読み取り、その特定した標章(T)のプリントを、所定販売金額(硬貨)の投入を条件として行う方法が考えられる。
【0098】
何れにしても、上記作成装置の搭載プリンタ−(P)には一定サイズの枚葉型をなすプリント基材シート(A)が積み込みセットされているため、そのプリンタ−(P)によって希望の標章(T)が
図6、7のように、そのプリント基材シート(A)の表面(トップコーティング層)(16)へプリントされることになり、そのプリントされたプリント基材シート(A)はプリンタ−(P)の送り出し部(25)から落下シュート(24)に沿い滑り落ちて、そのベルトコンベヤ(20)における搬送始端部(後端部)側の上面へ載ることになる。
【0099】
その場合、落下シュート(24)は
図4のような下端部に床穴(26a)を有する上側の後下がり傾斜路(24a)と、逆な上端部に天井穴(26b)を備えた下側の前下り傾斜路(24b)とが、一定角度(α)だけ屈折した連通状態にあるため、上記標章(T)のプリントされたプリント基材シート(A)は、その標章(T)の表向く(上向く)状態としてベルトコンベヤ(20)に自づと載り移るのである。
【0100】
尚、上記標章(T)が読めなければならない文字を含むなどの理由により、正画像と逆画像とを区別する必要がある場合に限っては、そのプリントは左右の反転する逆画像(鏡に映る姿)として行われることになる。
【0101】
そして、上記ベルトコンベヤ(20)に載ったプリント基材シート(A)の好ましくは先端部(前端部)が、そのプリント基材シート受取り検知センサー(50)によって検知されると、その検知出力信号を受けたベルトコンベヤ(20)の循環回走用ステッピングモーター(21)が回転駆動して、上記標章(T)のプリントされたプリント基材シート(A)を
図3のように前方(F1)へ搬送する。
【0102】
そのステッピングモーター(21)はプリント基材シート受取り検知センサー(50)の検知出力信号を受けるまで停止中にあり、そのプリント基材シート受取り検知センサー(50)の検知出力信号を受けてから、プリント基材シート(A)に原反(R)の透明な離型フィルム(31)が貼り付け完了するまでの間だけ、予じめ設定された一定速度のもとにプリント基材シート(A)を搬送する。そのため、プリクラ(登録商標)式の転写シール作成装置として、そのユーザーが使用するまでは電源オフの運転停止状態に保たれるため、省エネ効果やランニングコストの低減などに役立つ。
【0103】
他方、原反繰出しローラー(27)への巻き付け状態に差し込み装填されている原反(R)は、その原反繰出し搬送用ステッピングモーター(46)により下流側からの引っ張り状態に繰り出されており、その連続する離型シート(セパレーター)(30)における先頭の透明な離型フィルム(31)が、上記ピールプレート(38)に至るまでの途中へ臨まされた離型フィルム位置検知センサー(51)によって位置検知されると、その検知出力信号を受けた上記原反繰出し搬送用ステッピングモーター(46)が、その離型フィルム(31)をそこから
図11のようにピールプレート(38)の先端部(折返し点)(38a)まで、又は好ましくはそのピールプレート(38)の先端部(38a)から一定量(Z)だけ前下方(F2)へ張り出す位置(基準位置)までの頭出し状態として、操作パネル(54)の運転条件設定画面(54d)上において予じめ設定された移動距離だけ、前下方(F2)へ繰り出して一旦停止し、その停止状態で待機するのである。
【0104】
上記先頭の離型フィルム(31)がピールプレート(38)の先端部(折返し点)(38a)又はこれから一定量(Z)だけ前下方(F2)へ張り出した位置(基準位置)として、その原反(R)の繰り出し搬送が一旦停止している間に、上記ベルトコンベヤ(20)による前方(F1)への搬送中にあるプリント基材シート(A)の先端部(前端部)又は後端部が、そのベルトコンベヤ(20)の前端部(搬送終端部)側へ偏倚した位置に臨む離型フィルム貼付けタイミングセンサー(51)によって検知されると、その検知出力信号を受けた上記原反繰出し搬送用ステッピングモーター(46)が、上記離型フィルム(31)の一旦停止位置(
図11)からゴムローラー(39)による貼付け位置(Y−Y)(
図12)までの離型フィルム(31)の移動を、上記ベルトコンベヤ(20)によるプリント基材シート(A)の同じく貼付け位置(Y−Y)までの移動と同期させ、その貼付け位置(Y−Y)において
図13のように、プリント基材シート(A)の表面(トップコーティング層)(16)へ上記原反(R)の透明な離型フィルム(31)が、その標章(T)を表側(上方)から被覆する状態に正しく貼り付けられる。
【0105】
更に念のために言えば、上記貼付け位置(Y−Y)上に横架されている離型フィルム貼付け用ゴムローラー(プレスローラー)(39)は、
図12から
図13のように、ベルトコンベヤ(20)により前進して来たプリント基材シート(A)並びに上記ピールプレート(38)により剥ぎ取られた離型フィルム(31)と接触し、その搬送に伴って自転する(連れ廻る)ことにより、プリント基材シート(A)の表面へ上方から離型フィルム(31)が、その枚葉型同士の正確に合致した状態として無理なく円滑に貼り付けられるのであり、その結果として作成完了した転写シール(S)は、
図14のように排出シュート(49)から排出されるので、これを外部から入手すれば良い。
【0106】
その場合、原反(R)の連続する離型シート(セパレーター)(30)は上記ピールプレート(38)の先端部(折返し点)(38a)において、
図3や
図11〜14のように自づと後上方へ折り返し搬送され、その離型シート(セパレーター)巻取りローラー(28)に巻き取り回収されることとなる。その離型シート(セパレーター)(30)の折り返しによって、これから上記離型フィルム(31)が円滑・確実に剥ぎ取られることになる。
【0107】
図15は上記転写シール作成装置によって作成完了した転写シール(S)を示しており、これは同図と先の説明から明白なように、吸水紙(14)の表面へ水溶性のアンダーコーティング層(15)とインク受容性の透明なトップコーティング層(16)とが順次積層一体化された合計3層のプリント基材シート(A)を備え、そのプリント基材シート(A)の表面をなすトップコーティング層(16)にプリントされた希望の標章(T)が、その表側(上方)から透明な粘着剤層(32)を介して貼り付けられた透明な離型フィルム(31)によって、被覆された状態の枚葉型である。
【0108】
その粘着剤層(32)に対する離型フィルム(31)の剥離力は、同じく粘着剤層(32)に対する離型シート(セパレーター)(30)の剥離力よりも重い(比較的容易に剥離しない)ため、これによって上記標章(T)を透視できる被覆状態に安定良く保てるのであり、いたずらに剥がれて標章(T)の裸状態に露出するおそれがない結果、その転写シール(S)を被写体(K)へ貼り付け転写使用するまでの間、支障なく便利に取り扱うことができる。
【0109】
そのため、このような製品としての転写シール(S)をユーザーが、自分の皮膚や衣服、バッグ、その他の目的とする各種被写体(K)へ貼り付け転写使用するに当っては、その透明の離型フィルム(31)を剥ぎ取って、その露出した粘着剤層(32)により上記転写シール(S)を、
図16のように被写体(K)の表面へ貼り付ける。
【0110】
そして、その貼り付けた結果として転写シール(S)における上記プリント基材シート(A)の吸水紙(14)が表向く状態になるため、その表側から所要量の水分を投与する。その投与は、例えばありふれたスポンジやティッシュペーパーなどに少量の水分を含浸させ、これにより吸水紙(14)の存在する表側から濡らす程度で足りる。このような濡らすための用具は、上記転写シール作成装置の見やすい個所へ付属設置しておき、ユーザーに使わせることが望ましい。
【0111】
そうすれば、
図16と
図17との比較から明白なように、上記転写シール(S)におけるプリント基材シート(A)の吸水紙(14)とアンダーコーティング層(15)との2層が、水分を吸収して柔軟化又は溶解するため、そのアンダーコーティング層(15)とトップコーティング層(16)との境界面が剥離界面となって、ここから吸水紙(14)とアンダーコーティング層(15)との2層を滑る如く、すばやく確実に剥離することができ、被写体(K)の表面には上記転写シール(S)の標章(T)を被覆したトップコーティング層(16)だけが、貼り付け状態のままに残る結果となる。
【0112】
その最終的な被写体(K)への貼り付け転写使用状態は
図17に示すとおりであり、上記転写シール(S)におけるプリント基材シート(A)のトップコーティング層(16)は透明であるため、そのプリントされた標章(T)が逆画像であっても、その標章(T)を表側から正画像として、正しく読み取り透視することができる。
【0113】
しかも、上記トップコーティング層(16)は極薄な1層であるに過ぎないため、被写体(K)の表面が均斉なフラット面のみならず、人体(皮膚)やゴルフボール、その他の曲面や凹凸粗面などであっても、これに馴染み良く屈曲変形して密着一体化し、その透明なトップコーティング層(16)の貼り付け状態を肉眼で見ることさえも困難となり、あたかも標章(T)のみが転写された言わばタトウの印象を与え得るのである。
【0114】
先には、転写シール作成装置の作用(転写シールの作成法)と被写体(K)に対する転写シール(S)の貼り付け転写使用法とを簡略化して説明するための便宜上、その標章(T)が
図5〜7のような1枚のプリント基材シート(A)に、比較的大きな1個だけプリントされた
図15のような転写シール(S)を示したが、
図18〜21の好適な変形実施形態に示す如く、一定な大きさ(例えばはがきサイズやA5サイズ)を備えた1枚のプリント基材シート(A)につき、すべて同じ又は異なる複数個(図例では8個)の標章(T)がプリントされることもある。その複数個分の転写シール(S)が一挙同時に作成されるわけである。
【0115】
その場合には、複数個の転写シール(S)を1個づつ抜き取るための輪郭線(57)が、例えば各標章(T)を囲む長方形や菱形、ハート形、花弁形などのミシン目として、予じめ合計3層の貫通状態に加工されたプリント基材シート(A)を採用することが好ましい。
【0116】
そうすれば、ユーザーが刃物を使って、転写シール(S)を1個づつ切り抜き作業する必要がなく、上記輪郭線(57)から
図21のように手先で抜き取れば良いので、その被写体(K)に対する貼り付け転写使用もすばやく行え、便利となる。尚、このような輪郭線(57)の区画内部へ、上記パソコンやタブレット、スマートフォン(モバイル端末)などのユーザー通信端末を使って、希望の標章(T)を挿入状態にプリントすることも容易に行えることである。
【0117】
また、
図22〜25は
図18〜21と対応する転写シール(S)の別な変形実施形態を示しており、そのプリント基材シート(A)の表面(トップコーティング層)(16)へ標章(T)をカラープリントするに当って、被写体(K)における表面の色彩との関係次第では、その標章(T)の発色性が低下する(不鮮明になる)ことがあり得る。
【0118】
そのため、このような場合には
図22〜26から明白なように、好ましくは白色インクでのプリント可能なカラーレーザープリンターを用いて、その標章(T)のカラープリントと同時か、又はその後に白色インクにより白色のプリントを施すことにより、
図27の転写使用状態から示唆されるように、その白色を地色又は背景色として、標章(T)の発色性を向上させることができる。同図の符号(58)はその標章(T)の地色又は背景色となる白色プリント層を示している。
【0119】
更に、その標章(T)が例えば赤色の円形として、日本国旗の印象となる転写シール(S)を作成する場合には、図示省略してあるが、上記赤色にプリントされた標章(T)のみならず、その周辺にも白色のプリントを行うことにより、その標章(T)の赤色のみならず、白色の地色又は背景色も鮮明に極立たせることが望ましい。
【解決手段】プリント基材シート受取り検知センサー(50)の検知出力信号に基いて起動するベルトコンベヤ(20)の回走駆動用モーター(21)が、標章のプリントされたプリント基材シート(A)を前方(F1)へ搬送中、その位置を検知した離型フィルム貼付けタイミングセンサー(52)の出力信号に基いて、原反繰出し搬送用モーター(46)を制御し、予じめ頭出し状態での一旦停止中にある原反(R)の離型フィルム(31)が、ゴムローラー(39)による上記基材シート(A)への貼付け位置まで到達して、その先端部同士が正しく合致することとなるように、その上記モーター(46)をベルトコンベヤ回走駆動用モーター(21)と同期して回転させるように定めた。