(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して、本発明の離床検出システムについて説明する。
図1は、本発明の離床検出システムに用いられる離床検出装置10である。
図1に示すように、離床検出装置10は、基台11の上に立設したポール12の上部と下部のそれぞれに、センサA及びセンサBを備える。
ポール12の上部に設置されるセンサAは、その設置高さや中心軸A1を任意に設定できるようにポール12が伸縮及び回転可能であることが望ましい。
また、対象者の身長などによって離床時に脚部を降ろす位置が異なることもあるので、その位置に合わせてセンサBの設置位置や中心軸B1を調整できる機構を設けるようにしても良い。
【0009】
<センサ>
センサA、センサBとしては、人の動作を捉える焦電型赤外線センサが挙げられ、中でも微動検出タイプ(例えばPanasonic社製AMN32112)を用いることが望ましい。
焦電型赤外線センサは、周囲と温度差のある人が動く際におこる赤外線の変化を検出するセンサである。
温度差を検出するため、体温を持つ人体の動作を検出するのに最適なセンサである。
また、焦電型赤外線センサの代わりに超音波送受信センサを用いることもできる。
超音波センサから発信された超音波は、対象者に当たって反射し、超音波センサに戻って受信され、この際の対象者までの距離を求めることができる。
焦電型赤外線センサに比較して、直射日光やエアコンなどの影響を受けないメリットがある。
なお、本発明の実施形態においては、センサA及びセンサBの検出距離を特に定めるものではないが、約2mのものが好ましく用いられる。
検出範囲は、センサの中心軸を対称にして、垂直方向、水平方向にそれぞれ51°程度広がりがあるものが好ましい。
【0010】
センサAは、ベッドBEに腰掛けた対象者Xの上半身X1を検知するため、例えば、ベッド上面BE1より上で(例えば約20cm以上)高さh1に設置することが好ましい。
また、センサAの中心軸A1は、その水平方向の角度において、ベッドサイドBE2から内側方向に寄せて、ベッド上面BE1を検知範囲とするように設置する(
図3、
図4参照)。
図4では、ベッドサイドBE2の柵が開放された側の、ベッドBE頭部側の角に設置している。
【0011】
センサBは、ベッドBEに腰掛けた対象者Xの脚部X3を検知するため、ベッド上面BE1より下で(例えば床面Fより5cm以上)高さh2に設置することが好ましい。
また、センサBの中心軸B1は、その水平方向の角度において、ベッドサイドBE2から外側方向に寄せて、ベッドサイドBE2を検知範囲とするように設置する。
これにより、センサBは、ベッドサイドBE2から対象者Xが脚部X3を出したときに確実に検知できる。
なお、センサAとセンサBの検知する中心軸A1,B1は、ポール12に取り付ける際に、それぞれ独立して、水平方向及び垂直方向を決定することができる。
【0012】
<ねじれの位置>
また、センサAとセンサBの中心軸A1,B1が互いにねじれの位置になるようにする。
ねじれの位置とは、空間内において、2本の中心軸A1,B1が平行でなく、かつ、交差しておらず、同一平面上に存在しない位置関係をいう。
対象者は離床しようとしてベッドサイドBE2に腰かけて脚部X3を下す際には、必ずセンサAとセンサBによって同時に検知されることになる(
図4参照)。
この際に、センサA及びセンサBをポール12の上下に別個に、しかもそれぞれの中心軸A1、B1がねじれの位置になるように設置することによって、対象者の同一部位を、センサAとセンサBとで重複して検知するケースが発生せず、検知精度を向上させることができる。
【0013】
これにより、センサA及びセンサBによって、離床しようとする対象者の動作を正確に検知することができる。
なお、本明細書において、ベッド上面BE1とはマットレスなどを敷いた場合はその上面をいい、ベッドサイドBE2とは対象者がベッドから降りる側でありベッド柵の一部が開放された側をいう。
【0014】
<検知エリアの調整>
図5は、センサAやBの周りに取り付ける検知エリア調整手段の説明図である。
図5に示すように、センサAは、ポール12や基台11の外面に直接取り付けられているが、その検出エリアは予めセンサの種類によって決まっている。
検出エリアを大きく(中心軸との角度が大きい)すればノイズを拾いやすく、小さくすれば対象者の動作を的確に検出できない場合がある。
このような場合に、センサの周りに円筒状の筒体を設けることによってセンサが検知する角度範囲を予め決めておき、検出エリアの大小を調整することができる。
図5に示すように、細い筒体でセンサ前面を覆えば検出エリアを狭くして、対象者の動作を的確に検出できるようにする。
【0015】
<ブロックダイヤグラム>
図2に、本実施形態の離床検知システムのブロックダイヤグラムを示す。
図2に示すように、本実施形態の離床検知システムは、対象者の離床行動を検知するセンサA及びセンサBと、センサA及びセンサBからの信号を演算処理部22に送信する通信部21と、通信部21からの情報に基づいて演算処理部22で処理された結果を記録する記憶部23と、演算処理部22で離床と判断された場合の結果を受信する報知部24と、を備えている。
また、報知部24と連携する表示装置やナースコール等の通知装置を備えることもできるが、図示していない。
演算処理部22は、センサインタフェース、マイクロコンピュータ等を有している公知の装置であり、通信部21からの出力信号に基づいて、ベッドBEから離床しようとする対象者の行動を判別する。
なお、演算処理部22や記憶部23は、センサA、センサBの近傍でも、ネットワークを介した遠方のサーバにあっても良い。
【0016】
<フローチャート>
次に、本発明の実施形態における離床検知システムのフローについて説明する。
図6は、本実施形態における離床検知システムの離床検知処理を示すフローチャートである。
このフローチャートを用いて、センサA、センサBからの情報に基づき離床を判定し報知部に通知する流れを示す。
【0017】
<S1>
予め、準備として、下記のパラメータ情報(m、n、t)を入力する。
センサAとセンサBがそれぞれ検知しなかった回数が予め定めた値を超えるとその回数をリセットする閾値m、センサAとセンサBが同時に検知した回数が予め定めた値を超えると離床と判断する閾値n、センサが対象者を検知する間隔を定めるtをセットする(S1)。
なお、パラメータm、n、tは対象者毎に任意の最適な値である(詳細は後述する)。
処理ループとしては下記となる。
【0018】
<S2>
ベッド上の動作を捉えるセンサAとベッドサイドの動作を捉えるセンサBは、t秒間隔で同時に検知を行う(S2)。
本実施形態の離床検知システムでは、t秒間の間に、センサA及びセンサBが両方検知したかを判断する。
【0019】
<パラメータt>
tを固定値としないで、パラメータとして離床検知システムの検知時間をコントロールすることにより、センサAとセンサBの二つのセンサが、同時検知と判断する時間の長さを調整でき、対象者は同時検知となるが、介護者は同時検知となり難いという、動作の機敏性を指標とした識別が可能となる(詳細は後述する)。
【0020】
<S3>
センサAとセンサBが同時に検知したかどうかを判定する。
センサA及びセンサBが両方検知したと判断した場合は、対象者のみを検知したものと判断してY方向への処理をする。
センサAのみが検知した場合は、対象者のみを検知したものと判断せずにN方向への処理をする。
【0021】
<S4>
(S3−N)で、センサAとセンサBが同時に検知をしていない場合は、センサAのみが検知したかを判定する。
【0022】
<S5>
(S4−Y)で、センサAのみが検知した場合は、センサAが検知した場合のカウンタaに1を加算するとともに、カウンタcを0にリセットし、S10に進む。
【0023】
<カウンタa〜e>
なお、以下の説明において、カウンタa〜eを登場させるが、これらは以下の内容を有する。
カウンタaは、センサAが検知した回数をカウントしたデータである。
カウンタbは、センサBが検知した回数をカウントしたデータである。
カウンタcは、センサAが検知しなかった回数をカウントしたデータである。
カウンタdは、センサBが検知しなかった回数をカウントしたデータである。
カウンタeは、センサAとセンサBが同時に検知した回数をカウントしたデータである。
【0024】
<S6>
(S4−N)で、センサAのみが検知したに該当しない場合は、カウンタcに1加算する。
<S7>
センサBのみが検知したかを判定する。
<S8>
(S7−N)で、センサBのみが検知したに該当しない場合はカウンタdに1加算し、S10に進む。
<S9>
(S7−Y)で、センサBのみが検知した場合は、カウンタbに1を加算するとともに、カウンタdを0にリセットし、S10に進む。
<S10>
カウンタc及びカウンタdが、パラメータmを超えていないか判定する。
【0025】
<S11>
(S10−Y)で、カウンタc及びカウンタdが、予め定めた値mを超えている場合は、以下の処理をする。
カウンタa、カウンタb、カウンタc、カウンタd及びカウンタeをすべて0にリセットして処理ループの最初に戻る。
すなわち、センサA、または、センサBの検知が無かった回数が、パラメータmに達すると、カウンタを0にリセットする。
その理由は、活動の無い時間に挟まれた一連の活動を一つの塊(以下クラスタ)として捉え、各クラスタの活動を、ベッド上での活動か、ベッドサイドの活動か、或いは離床の準備活動か、ということを判断しており、そのクラスタの境界線を設定するためである。
例えば、対象者のベッド上の動作を検知した後、少し時間が経過しているにも拘わらず、引き続きベッドサイドで対象者以外の、介護者、看護者、家族等の検知を開始するといったように、二つの異なる活動を、一つの活動として評価すると、正確な検知が出来なくなることを避けるため、一定時間検知がなかった場合に、カウンタを0にリセットするのである。
【0026】
<S12>
(S10−N)で、カウンタc及びカウンタdが、予め定めた値mを超えていない場合、カウンタcが予め定めた値mを超えていないか判定する(S12)。
<S13>
(S12−Y)で、カウンタcが、予め定めた値mを超えている場合、カウンタa、カウンタc及びカウンタeをすべて0にリセットして処理ループの最初に戻る。
【0027】
<S14>
(S12−N)で、カウンタcが予め定めた値mを超えていない場合、カウンタdが予め定めた値mを超えていないか判定し、超えていない場合、処理ループの最初に戻る。
【0028】
<S15>
(S14−Y)で、カウンタdが予め定めた値mを超えている場合、カウンタb、カウンタd及びカウンタeを、すべて0にリセットして処理ループの最初に戻る。
【0029】
<S16>
(S3−Y)で、センサAとセンサBが同時に検知した場合、カウンタa、カウンタb及びカウンタeにそれぞれ1加算する。
<S17>
カウンタeが、予め定めておいた閾値nを超えたかどうか判定し、超えていない場合処理ループの最初に戻る。
<S18>
(S17−Y)の場合、カウンタaがカウンタbよりも大きいか判定する。
<S19>
(S18−N)の場合、カウンタbがカウンタaよりも大きいため、ベッドサイドの対象者以外の活動として報知せず、カウンタaとカウンタeをそれぞれ0にリセットして、カウンタcかカウンタdが、予め定めた値mを超えて値がリセットされるまでの一連の活動を、ベッドサイドの活動として固定化し、処理ループの最初に戻る。
<S20>
(S18−Y)の場合、離床と判断して報知部に通知する(S21)。
【0030】
<本離床検知システムの考え方について>
センサAとセンサBが同時に検知した回数を示すカウンタeがパラメータnを超えた場合で、センサAが検知した回数を示すカウンタaが、センサBが検知した回数を示すカウンタbより大きくなった時に、離床活動が開始されたと判断する。
しかし、カウンタeが、パラメータnを超えないと、離床の指標としないのは、前述した見守り対象者と介護者を識別することと、ベッド上の対象者とベッドサイドの対象者以外の活動が、たまたま同じタイミングとなるった場合の偶然性を排除するためである。
これは、対象者への介助の度合いや対象者の活動の内容によって、同じタイミングとなる活動は異なるため、対象者毎に数値を最適化することにより、誤報を少なくするためである。
また、対象者の活動の速さによっては、最初にセンサAとセンサBが同時に検知してから、実際の離床までに、かなりの時間を要する場合があり、早すぎる離床報知を避けるためでもある。
【0031】
さらに、カウンタeがパラメータnまで達した場合に、そのクラスタの活動がベッド上での活動が中心となる場合は、カウンタa>カウンタbとなるため、離床準備活動として判断する。
【0032】
また、ベッドサイド活動が中心となる場合はカウンタb>カウンタaとなり、対象者以外の介護者や家族の活動、あるいは、対象者の帰床活動となるため、離床準備活動として判断しないこととした。
その場合には、カウンタaとカウンタeを0にリセットし、そのクラスタは、その後も離床準備活動とはしないこととした。
これは、その後ベッド上での介護者の動作が増えて、カウンタa>カウンタbと逆転する場合に判断を誤らないためである。
【0033】
なお、パラメータm、n、tについては、対象者や介護者の行動パターンによって最適値が異なるため、機械学習によって設定する。
【0034】
図7は、
図6のフローチャートにおける演算処理の詳細を説明したグラフである。
図7(1)は時間経過によるカウンタaの累計カウント数の変化を示す。
図7(2)は時間経過によるカウンタbの累計カウント数の変化を示す。
図7(3)は時間経過によるカウンタcの累計カウント数の変化を示す。
累計数がmを超えると、カウンタa,カウンタc,カウンタeを0にリセットする。
図7(4)は時間経過によるカウンタdの累計カウント数の変化を示す。
累計数がmを超えると、b,d,eを0にリセットする。
図7(5)は時間経過によるカウンタeの累計カウント数の変化を示す。
実施例1においては、ベッドからの離床を検知する場合の検知時間間隔を約2秒、m=5、n=5に設定した。
累計カウント数がnを超えて、かつ、カウンタa>カウンタbの時に、対象者が監視エリアに入ったとして、報知部より報知する。
累計数がnを超えて、かつ、カウンタb>カウンタaの時は、対象者以外の介護者等のベッドサイドの活動のため、カウンタaとカウンタeを0にリセットしてカウンタb>カウンタaを固定化し、この一連の動作(クラスタ)は報知しない。
なお、ここで、監視エリアとは、センサAとセンサBが、対象者を同時に検知した範囲をいう。
【0035】
図8は、
図7(1)〜(5)のカウンタa、b、c、d、eを重ね合わせて図示したグラフである。
図8に示すように、6:08:57(6時08分57秒のことをいう。以下の表記において同じ)から、ベッド上の動作であるカウンタaが蓄積されている。
この動作は、カウンタcの値が5を超えることがないため、間欠的に積み上がっているが、6:13:11の前で、カウンタcの値が5を超えたため、a=0、c=0にリセットされ、一つの活動の塊(クラスタ)の区切りとなっている。
6:16:15に、ベッドサイドの動作を示すカウンタbの累計カウントが始まり、6:17:07の前には、ベッド上の動作を示すカウンタaの累計カウントも始まったことがわかる。
これらの動作は同時に検知されているため、カウンタeの累計カウントも増えていることがわかる。
カウンタe>nであるカウンタe=6となった時に、カウンタaとカウンタbとの比較において、カウンタb>カウンタaでベッドサイドの動作が大きいため、これらの一連の動作はベッドサイドでの介護者とベッド上の対象者の動作の複合された結果として、対象者が監視エリアに入ったとは判断していない。
6:19:46からカウンタbの累計カウントが始まり、それに遅れてaとeの累計カウントが始まったが、これはカウンタe>nとならない小さなクラスタとして終わっている。
6:22:04以降からカウンタaの累計カウントが始まり、eも6:22:43に6となってnを上回り、なおかつ、カウンタa>カウンタbのため監視エリアに入ったと判断し、報知部に送信した。
【0036】
本発明の離床検知システムは、お手洗いに自力で行こうとする場合や居室エリアから外へ出る場合にも適用可能であるので、変容例として説明する。
すなわち、離床検知以外のお手洗いに自力で行こうとする場合や居室エリアから外へ出る場合の検知においても、この同時に検知するエリア(監視エリア)を設けることと、動作の起点がセンサAとなるよう設定することが重要なポイントとなる。
【0037】
<変容例1>
図9は、実施形態の離床検出システムを、一人でお手洗いへ行く動作を検知する場合に適用した変容例1の説明図である。
図10は、変容例1におけるセンサA及びセンサBの検知エリアを示す説明図であり、(a)は平面図、(b)は正面図である。
図示するように、離床検出装置10は、お手洗いの入り口の横に設置し、センサBの中心軸B1がお手洗いの入り口を横切るようにした。
センサAの中心軸A1は、センサBの中心軸B1より30°から50°程度室内側に向ける。
これにより、センサAとセンサBの検知エリアがお手洗いの入り口で重なり、センサAの検知エリアはそれより室内側に広がることとなる。
対象者はお手洗いに行こうとしてお手洗いの入り口を通過する際に、必ずセンサAの検知エリアの次に、センサAとセンサBの検知エリアを同時に通過する事となる。
この場合に、センサAとセンサBの高さ方向の調整は、必要無い。
変容例1では、検知時間間隔=約2秒、m=5、n=3に設定した。
この変容例1では、センサAはお手洗い入り口付近に設置した。
センサBはお手洗い内部における対象者の脚部X3に向けて設置した。
図11(1)は時間経過によるカウンタaの累計カウント数の変化を示す。
aはセンサAが検知した回数を示す。
図11(2)は時間経過によるカウンタbの累計カウント数の変化を示す。
bはセンサBが検知した回数を示す。
図11(3)は時間経過によるカウンタcの累計カウント数の変化を示す。
cはセンサAが連続して検知しなかった場合の回数を示す。
累計数がmを超えると、a,c,eを0にリセットする。
図11(4)は時間経過によるカウンタdの累計カウント数の変化を示す。
dはセンサBが連続して検知しなかった場合の回数を示す。
累計数がmを超えると、b,d,eを0にリセットする。
図11(5)は時間経過によるカウンタeの累計カウント数の変化を示す。
eは、センサA及びセンサBが同時に検知した回数を示す。
累計数がnを超えて、かつ、a>bの時に、対象者が監視エリアに入ったとして、報知部より報知する。
扉を開けて中に入ろうとしている状態でのセンサBの検知が報知のポイントとなるため、中に入って扉を閉めた状態は検知の対象としない。
図12は、
図11(1)〜(5)のカウンタa、b、c、d、eを重ね合わせたグラフである。
図示するように、
14:28:37から、お手洗い入り口付近の動作であるカウンタaが蓄積されている。
この動作は、14:29:19まで続く活発な動作で、二つのセンサの同時検知エリアを素早く移動し、eは3以内のためスタッフの動作として報知しない。
14:30:21からの動作は、aに引き続いて二つのセンサの同時検知エリアでの動作を示すeの値が3を超えたため、対象者が監視エリアに入ったと判断し、報知部に送信した。
【0038】
<変容例2>
図13は、実施形態の離床検出システムを、一人で居室から出歩く動作を検知する場合に適用した変容例2の説明図である。
図14は、変容例2におけるセンサA及びセンサBの検知エリアを示す説明図であり、(a)は平面図、(b)は正面図である。
図示するように、離床検出装置10は、居室の出口の横に設置し、センサBの中心軸B1が居室の出口を横切るようにする。
センサAの中心軸A1は、センサBの中心軸B1より30°から50°程度室内側に向ける。
これにより、センサAとセンサBの検知エリアが居室の出口で重なり、センサAの検知エリアはそれより室内側に広がることとなる。
対象者は居室から出ようとして出口を通過する際に、必ずセンサAの検知エリアの次に、センサAとセンサBの検知エリアを同時に通過する事となる。
この場合に、センサAとセンサBの高さ方向の調整は、必要無い。
変容例2では、検知時間間隔=約2秒、m=5、n=3に設定した。
この変容例2では、センサAは部屋の出入り口付近に設置した。
センサBはドア部分における対象者の脚部X3に向けて設置した。
図15(1)は時間経過によるカウンタaの累計カウント数の変化を示す。
aはセンサAが検知した回数を示す。
図15(2)は時間経過によるカウンタbの累計カウント数の変化を示す。
bはセンサBが検知した回数を示す。
図15(3)は時間経過によるカウンタcの累計カウント数の変化を示す。
cはセンサAが連続して検知しなかった場合の回数を示す。
累計数がmを超えると、カウンタa,カウンタc,カウンタeを0にリセットする。
図15(4)は時間経過によるカウンタdの累計カウント数の変化を示す。
dはセンサBが連続して検知しなかった場合の回数を示す。
累計数がmを超えると、カウンタb,カウンタd,カウンタeを0にリセットする。
図15(5)は時間経過によるカウンタeの累計カウント数の変化を示す。
累計カウント数がnを超えて、かつ、カウンタa>カウンタbの時に、対象者が監視エリアに入ったとして、報知部より報知する。
累計カウント数がnを超えて、かつ、カウンタb>カウンタaの時は、対象者以外の介護者等のスタッフが外から入室してきた活動のため、カウンタaとカウンタeを0にリセットして報知しない。
図16は、
図15(1)〜(5)のカウンタa、b、c、d、eを重ね合わせたグラフである。
【0039】
図示するように、14:35:18から14:35:35までの動作と、14:36:09から14:38:20までの動作は、カウンタeの値が3以内のため、二つのセンサの同時検知エリアを素早く移動したスタッフの動作として報知しない。
また、14:38:20からの動作は、カウンタeが4となってnを上回り、なおかつ、カウンタa>カウンタbのため、対象者が監視エリアに入ったと判断し、報知部に送信した。
【解決手段】ベッドの上面より上に設置され対象者の上半身を検知するセンサAと、床面よりも上でかつベッドの上面より下に設置され対象者の脚部を検知するセンサBとを備え、センサA及びセンサBの出力に基づいて対象者の動作を判別する離床検知システムであって、センサAは、その中心軸をベッドサイドから内側方向に寄せて、ベッドの上面を検知範囲とするように設置され、センサBは、その中心軸をベッドサイドから外側方向に寄せて、ベッドの側面を検知範囲とするように設置され、センサAの中心軸と、センサBの中心軸とが互いにねじれの位置にあるようにした。