特許第6530586号(P6530586)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ミツミ電機株式会社の特許一覧

特許65305862次保護IC、2次保護ICの制御方法、保護モジュール、及び電池パック
<>
  • 特許6530586-2次保護IC、2次保護ICの制御方法、保護モジュール、及び電池パック 図000002
  • 特許6530586-2次保護IC、2次保護ICの制御方法、保護モジュール、及び電池パック 図000003
  • 特許6530586-2次保護IC、2次保護ICの制御方法、保護モジュール、及び電池パック 図000004
  • 特許6530586-2次保護IC、2次保護ICの制御方法、保護モジュール、及び電池パック 図000005
  • 特許6530586-2次保護IC、2次保護ICの制御方法、保護モジュール、及び電池パック 図000006
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6530586
(24)【登録日】2019年5月24日
(45)【発行日】2019年6月12日
(54)【発明の名称】2次保護IC、2次保護ICの制御方法、保護モジュール、及び電池パック
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20190531BHJP
   H02H 7/18 20060101ALI20190531BHJP
【FI】
   H02J7/00 S
   H02J7/00 302A
   H02H7/18
【請求項の数】4
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-253371(P2013-253371)
(22)【出願日】2013年12月6日
(65)【公開番号】特開2015-111980(P2015-111980A)
(43)【公開日】2015年6月18日
【審査請求日】2016年10月6日
【審判番号】不服2017-18717(P2017-18717/J1)
【審判請求日】2017年12月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006220
【氏名又は名称】ミツミ電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】木村 大輔
(72)【発明者】
【氏名】竹下 順司
【合議体】
【審判長】 國分 直樹
【審判官】 井上 信一
【審判官】 山澤 宏
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−160169(JP,A)
【文献】 特開2010−187531(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00
H02J 7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2次電池と並列に接続され、1次保護ICとは別に、前記2次電池の充放電を制御する2次保護ICであって、
前記2次電池の過充電又は過放電を検出する検出回路と、
前記検出回路が前記過充電を検出した場合に、前記2次電池の充電を制御する信号を出力する出力端子と、
前記2次電池の電圧を安定化して外部に出力するレギュレータと、
前記検出回路及び前記レギュレータを、互いに論理の異なる第1の信号レベル及び第2の信号レベルを有する外部から入力された制御信号により制御する制御端子と、を有し、
前記検出回路及び前記レギュレータは、
前記2次電池の電圧が過放電検出電圧より大きく、且つ前記制御信号が前記第1の信号レベルである場合、通常動作し、
前記2次電池の電圧が前記過放電検出電圧以下、且つ前記制御信号が前記第1の信号レベルである場合、動作停止し、前記制御信号が前記第1の信号レベルから前記第2の信号レベルに切り替わることで通常動作を再開し、
前記制御信号が前記第2の信号レベルである場合、前記2次電池の電圧によらず通常動作する、
2次保護IC。
【請求項2】
2次電池の過充電又は過放電を検出する検出回路と、前記検出回路が前記過充電を検出した場合に、前記2次電池の充電を制御する信号を出力する出力端子と、前記2次電池の電圧を安定化して出力するレギュレータと、前記検出回路及び前記レギュレータを制御する、互いに論理の異なる第1の信号レベル及び第2の信号レベルを有する外部から入力された制御信号を入力する制御端子とを含み、1次保護ICとは別に、前記2次電池の充放電を制御する2次保護ICの制御方法であって、
前記2次電池の電圧が過放電検出電圧より大きく、且つ前記制御信号が前記第1の信号レベルである場合、前記検出回路及び前記レギュレータを通常動作させるステップと、
前記2次電池の電圧が前記過放電検出電圧以下、且つ前記制御信号が前記第1の信号レベルである場合、前記検出回路及び前記レギュレータを動作停止させ、前記制御信号が前記第1の信号レベルから前記第2の信号レベルに切り替わることで通常動作を再開させるステップと、
前記制御信号が前記第2の信号レベルである場合、前記2次電池の電圧によらず前記検出回路及び前記レギュレータを通常動作させるステップと、を有する、
2次保護ICの制御方法。
【請求項3】
請求項1記載の2次保護ICと、
前記2次電池の充放電を制御する1次保護ICと、
前記2次電池と直列に接続され、前記2次保護ICの出力に基づいて、電流の遮断又は非遮断が制御されるヒューズ回路と、
前記2次電池と直列に接続され、前記1次保護ICの出力に基づいて、充電電流経路と放電電流経路のオンオフが制御されるスイッチ回路と、を有する、保護モジュール。
【請求項4】
請求項1記載の2次保護ICと、
前記2次電池と、
前記2次電池の充放電を制御する1次保護ICと、
前記2次電池と直列に接続され、前記2次保護ICの出力に基づいて、電流の遮断又は非遮断が制御されるヒューズ回路と、
前記2次電池と直列に接続され、前記1次保護ICの出力に基づいて、充電電流経路と放電電流経路のオンオフが制御されるスイッチ回路と、を有する、電池パック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2次保護IC、2次保護ICの制御方法、保護モジュール、及び電池パックに関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルカメラ、携帯機器等に搭載される2次電池の過充電、過放電等を防止するため、保護回路により、2次電池の充放電を制御する技術が知られている。
【0003】
2次電池の充放電状態を検出する2次電池監視回路と、トランジスタのオン/オフ制御により2次電池を保護する保護回路とを備え、両回路の動作状態を検知可能な電池パックが開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
図5に、従来の電池パックを示す。マイクロコントローラ、リセット回路、レギュレータ等を、2次保護ICの外部に設け、各回路を個別に制御している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−187532号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、図5に示す従来の電池パックでは、2次保護ICの外部に複数の回路が設けられているため、IC(Integrated Circuit)の個数に比例して、消費電力が増大してしまうという問題がある。
【0007】
更に、ICの個数が増える程、各回路の制御が煩雑化し、回路全体の面積が増大するという問題もある。
【0008】
特許文献1では、外部からレギュレータのシャットダウン有無を制御し、検出回路をシャットダウンした後に復帰動作させる技術について、開示されていない。
【0009】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、消費電力を低減させた2次保護ICを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本実施形態の2次保護IC(120)は、2次電池(110)と並列に接続され、1次保護IC(130)とは別に、2次電池(110)の充放電を制御する2次保護IC(120)であって、2次電池(110)の過充電又は過放電を検出する検出回路(121)と、検出回路(121)が過充電を検出した場合に、2次電池(110)の充電を制御する信号を出力する出力端子(OUTPUT)と、2次電池(110)の電圧を安定化して外部に出力するレギュレータ(122)と、前記検出回路(121)及びレギュレータ(122)を、互いに論理の異なる第1の信号レベル及び第2の信号レベルを有する外部から入力された制御信号により制御する制御端子と、を有し、検出回路(121)及びレギュレータ(122)は、2次電池(110)の電圧が過放電検出電圧より大きく、且つ制御信号が第1の信号レベルである場合、通常動作し、2次電池(110)の電圧が過放電検出電圧以下、且つ制御信号が第1の信号レベルである場合、動作停止し、制御信号が第1の信号レベルから第2の信号レベルに切り替わることで通常動作を再開し、制御信号が第2の信号レベルである場合、2次電池(110)の電圧によらず通常動作する、ことを要件とする。
【0011】
なお、上記括弧内の参照符号は、理解を容易にするために付したものであり、一例にすぎず、図示の態様に限定されるものではない。
【発明の効果】
【0012】
本発明の実施の形態によれば、消費電力を低減させた2次保護ICを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本実施形態に係る電池パックの構成の一例を示す図である。
図2】本実施形態に係る2次保護ICの構成の一例を示す図である。
図3】本実施形態に係る2次保護ICのタイミングチャートの一例である。
図4】本実施形態に係る2次保護ICのフローチャートの一例である。
図5】従来の電池パックの構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して発明を実施するための形態について説明する。各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
【0015】
<電池パックの構成>
図1に、本実施の形態に係る電池パックの概略構成の一例を示す。
【0016】
電池パック100は、2次電池110と、2次保護IC120と、1次保護IC130と、ヒューズ回路140と、スイッチ回路150と、制御端子EN、出力端子REG、正極端子Eb1、負極端子Eb2、端子VDD、端子VSS、等を含む。なお、電池パック100から2次電池110を除いた構成を、保護モジュールと呼ぶ。
【0017】
2次電池110は、複数の単位セルを含み、各単位セルは、直列に接続される。スイッチ回路150は、スイッチング素子としてPMOSトランジスタ151、PMOSトランジスタ152を含む。なお、スイッチング素子としてNMOSトランジスタを使用しても良い。詳細は後述するが、2次保護IC120は、検出回路、レギュレータ、等を含む。
【0018】
2次保護IC120及び1次保護IC130は、2次電池110と並列に接続される。2次電池110と、ヒューズ回路140と、スイッチ回路150は、直列に接続される。
【0019】
端子VDD(正極端子)は、2次電池110の正極と接続され、端子VDDと正極端子Eb1とは、ヒューズ回路140及びスイッチ回路150を介して、電気的に接続される。端子VSS(負極端子)は、2次電池110の負極と接続され、端子VSSと負極端子Eb2とは、電気的に接続される。
【0020】
制御端子ENに入力される制御信号に基づいて、検出回路及びレギュレータは通常動作、又は動作停止(オンオフ)する。
【0021】
出力端子REGは、2次保護IC120のレギュレータ出力電圧を出力する端子であり、電池パック100の外部でセット(負荷)に接続される。
【0022】
2次電池110は、正極端子Eb1及び負極端子Eb2を介して、充電器から充電電流が供給されることにより充電される。又、2次電池110は、正極端子Eb1及び負極端子Eb2を介して、セットへ放電電流を供給する。
【0023】
2次電池110は、デジタルカメラ、携帯機器等の機器を動作させるための電源(バッテリ)となる。このため、2次保護IC120及び1次保護IC130等の制御により、過充電又は過放電から保護される必要がある。
【0024】
2次電池110としては、特に限定されないが、例えば、ニッケル水素電池、リチウム電池、等の蓄電式電池が挙げられる。
【0025】
2次保護IC120は、1次保護IC130で保護出来なかった場合に2次電池110の過充電保護を行い、また、付属機能として2次電池130の電圧をレギュレートして電池パック100の外部に供給する。付属機能であるレギュレータは具体的には、2次保護IC120は、2次電池110の電圧(単位セルの電池電圧)及び制御端子ENの制御信号に基づいて、検出回路及びレギュレータを通常動作、又は動作停止させることにより、電池パック100の外部に接続された、レギュレータの供給を受ける回路、及び2次保護IC内部の回路の低消費電力化を行う。
【0026】
例えば、2次電池110の電圧が所定の電圧(閾値電圧Vth)以下、且つ制御端子ENの制御信号が第1の信号レベル(例えば、ロウレベル)である場合、検出回路及びレギュレータは動作停止する(シャットダウン)。又、例えば、制御端子ENの制御信号が第2の信号レベル(例えば、ハイレベル)である場合、2次電池110の電圧によらずに、検出回路及びレギュレータは通常動作する。なお、第1の信号レベルと第2の信号レベルとは、異なる。
【0027】
2次保護IC120は、制御端子ENを有し、且つ2次保護IC内部に検出回路及びレギュレータを有する。従って、2次保護IC120自身で、2次電池110の電圧を検出し、2次電池110の充放電を制御できる。各回路(検出回路、レギュレータ等)を1チップに集積し、ICの個数を減らすことで、消費電力を低減させた2次保護IC120を実現できる。
【0028】
1次保護IC130は、スイッチ回路150に含まれる一対のPMOSトランジスタ151、PMOSトランジスタ152のオンオフを制御する制御信号を出力する。1次保護IC130の構成は、特に限定されるものでは無く、通常の保護ICとして標準化された公知の保護回路を適用することができる。
【0029】
1次保護IC130としては、スイッチ回路150を制御するスイッチ制御回路、電流を検出する電流検出回路、電圧を検出する電圧検出回路、過充電検出回路、過放電検出回路、電流監視回路、電圧監視回路、通知処理回路、等を含む。
【0030】
なお、2次保護IC120に搭載される検出回路、レギュレータ等を、1次保護IC130に搭載しても良い。
【0031】
ヒューズ回路140は、2次保護IC120の出力端子OUTPUTの出力信号に基づいて、該回路を流れる電流の遮断又は非遮断する。ヒューズ回路140は、2次保護ICにより制御される。
【0032】
ヒューズ回路140を備えることで、過大な電流や急激な温度上昇等から、2次電池110を適切に保護することができる。
【0033】
なお、ヒューズ回路は、リレー回路、コンデンサ、トランジスタ、スイッチング素子等、スイッチング機能を有するあらゆる素子を含む回路、に置き換えることが可能である。ヒューズ回路は、温度を緻密に計測できるヒーター抵抗等を備えていても良い。
【0034】
スイッチ回路150は、1次保護IC130から出力される制御信号に基づいて、充電電流又は放電電流を制御する。スイッチング素子151、スイッチング素子152としては、例えば、FET(Field Effect Transistor)を用いることができる。スイッチ回路150の構成は、一対のスイッチング素子を含む構成に特に限定されるものではない。
【0035】
PMOSトランジスタ151は、1次保護IC130から出力される制御信号に基づいて、オンオフ制御され、これにより、放電電流の遮断又は非遮断が制御される。PMOSトランジスタ151がオフ(オン)である場合、放電電流は遮断(非遮断)される。
【0036】
PMOSトランジスタ152は、1次保護IC130から出力される制御信号に基づいて、オンオフ制御され、これにより、充電電流の遮断又は非遮断が制御される。PMOSトランジスタ152がオフ(オン)である場合、充電電流は遮断(非遮断)される。
【0037】
例えば、電池パック100の充電時には、正極端子Eb1、及び負極端子Eb2に充電器が接続され、1次保護IC130により、スイッチング素子152がオンとなる様に、スイッチ回路150は制御される。これにより、電池パック100に電源を供給することが可能になる。又、例えば、電池パック100の放電時には、正極端子Eb1、及び負極端子Eb2にセットが接続され、1次保護IC130により、スイッチング素子151がオンとなる様に、スイッチ回路150は制御される。これにより、セットに電源を供給することが可能になる。
【0038】
なお、上述の説明では、スイッチング素子の一例としてFETを挙げたが、スイッチング素子151及びスイッチング素子152は、特に限定されるものでは無い。スイッチング素子としては、オンオフ動作する半導体素子であれば置き換えることが可能であり、例えば、IGBT、MOSFET等の絶縁ゲートによる電圧制御型パワー素子でも良いし、バイポーラトランジスタ等であっても良い。
【0039】
上述の電池パック100によれば、2次保護IC自身で、2次電池110が過放電となる前に、検出回路及びレギュレータを動作停止させ、シャットダウンモード(低消費電力モード)へと切り替えることができる。このため、2次保護IC自身の消費電流を抑えつつ、電池パック100の省電力化を図れる。又、ICの個数を減らすことで、回路全体の面積を低減させ、電池パック100の省スペース化を図れる。
【0040】
<2次保護ICの構成>
図2は、本実施の形態に係る2次保護IC120の概略構成の一例を示すブロック図である。なお、2次保護IC120は太線部で囲まれており、便宜上、2次保護回路以外の構成についても図示してある。
【0041】
2次保護IC120は、検出回路121、レギュレータ122、control logic回路123、ラッチ回路124、Overcharge OUTPUT127、ENブロック128、等を含む。
【0042】
過放電検出器126からは、出力信号Y(信号波形は図3(E)を参照できる)が出力される。control logic回路123からは、過放電検出信号Z(信号波形は図3(F)を参照できる)が出力される。ラッチ回路124からは、シャットダウン信号Q(信号波形は図3(G)を参照できる)が出力される。なお、シャットダウン信号Qとは、検出回路及びレギュレータをシャットダウンさせる信号である。
【0043】
図2に示す2次電池110は、例えば、4個の単位セルが直列に接続される構成としても良い。なお、2次電池110に含まれる単位セルの個数は、特に限定されない。
【0044】
検出回路121は、過充電検出器125、過放電検出器126、等を内蔵し、電池パック100の過充電、又は過放電を検出する。
【0045】
過充電検出器125は、単位セルの電池電圧が、過充電検出電圧(例えば、4.3V)以上になると電池の過充電を検出する。
【0046】
過充電検出器125が過充電を検出すると、出力端子OUTPUTの出力信号が、ハイレベルとなり、ヒューズ回路140はヒューズを溶断する。これにより、過充電検出器125は、2次電池110の充電を停止することができる。
【0047】
過放電検出器126は、単位セルの電池電圧が、過放電検出電圧(例えば、2.8V)以下になると電池の過放電を検出する。
【0048】
過放電検出器125が過放電を検出すると検出結果がcontrol logic回路123に入力され、control logic回路123はこの信号に基づき過放電検出信号Zをラッチ回路123に出力する。ラッチ回路124は過放電状態を示すラッチされた信号であるシャットダウン信号Qを出力する。検出回路121及びレギュレータ122に、シャットダウン信号Qが入力される(シャットダウン信号Qがハイレベルとなる)と、検出回路121及びレギュレータ122は動作停止し、シャットダウンモードとなる。これにより、過放電検出器126は、2次電池110の放電を停止することができる。一方、検出回路121及びレギュレータ122に、シャットダウン信号Qが入力されない(シャットダウン信号Qがロウレベルとなる)と、検出回路121及びレギュレータ122は通常動作する。
【0049】
過充電検出器125及び過放電検出器126の構成は、特に限定されるものではない。
【0050】
レギュレータ122は、2次電池110の電圧を安定化して、該電圧を、出力端子REGから出力電圧VREGとして出力する。該出力信号は、MCU、RTC等に入力される。
【0051】
例えば、出力端子REGの出力電圧VREGが、電圧3.3V、制御端子ENの制御信号Xが、ロウレベル(電圧0.5V以下)、単位セルの電池電圧が、電圧2.75V以下となると、出力端子REGの出力電圧VREGはオフとなる。また、制御端子ENの制御信号Xが、ハイレベル(電圧2.5V以上)であれば、たとえ電池電圧が、電圧2.75V以下となっても、出力端子REGの出力電圧VREGは、オフしない。
【0052】
control logic回路123は、制御端子ENの制御信号X、及び検出回路121の出力信号Yに基づいて、ラッチ回路124の入力端子S、入力端子Rに、適切な信号を入力する。例えば、control logic回路123は、ラッチ回路124の入力端子Sに過放電検出信号Zを入力する。
【0053】
ラッチ回路124は、入力端子S、入力端子R、出力端子Qを有する。ラッチ回路124の入力端子Sには、過放電検出信号Zが入力される。又、ラッチ回路124の入力端子Rには、制御端子ENの制御信号X等が入力される。又、ラッチ回路124の出力端子Qからは、シャットダウン信号Qが出力される。
【0054】
例えば、ラッチ回路124の出力端子Qから検出回路121及びレギュレータ122に、ハイレベルのシャットダウン信号Qが入力されると、検出回路121及びレギュレータ122は、動作停止する。又、例えば、ラッチ回路124の出力端子Qから検出回路121及びレギュレータ122に、ロウレベルのシャットダウン信号Qが入力されると、検出回路121及びレギュレータ122は、通常動作する。
【0055】
即ち、検出回路121及びレギュレータ122は、ラッチ回路124の出力端子Qから出力されるシャットダウン信号Qにより制御され、通常動作、又は動作停止する。
【0056】
上述の様に、本実施の形態に係る2次保護IC120は、2次電池110の電圧、及び制御端子に入力される制御信号に基づいて、検出回路121及びレギュレータ122の動作を適切に制御できる。これにより、2次電池110の過充電、過放電を防止し、電池パック100を保護しつつ、電池パック100の消費電流を低減させることができる。
【0057】
<2次保護ICのタイミングチャート>
次に、図3に示すタイミングチャートを用いて、2次保護IC120の各端子における動作について説明する。
【0058】
図3(A)は、2次電池110の電圧(VDD−V3端子間電圧、V3−V2端子間電圧、V2−V1端子間電圧、V1−VSS端子間電圧、のいずれかの電池電圧)を、図3(B)は、2次保護IC120全体の消費電流を、図3(C)は、出力端子REGの出力電圧VREGを、図3(D)は、制御端子ENの制御信号Xを、図3(E)は、過放電検出器126から出力される出力信号Yを、図3(F)は、control logic回路123から出力される過放電検出信号Zを、図3(G)は、ラッチ回路から出力されるシャットダウン信号Qを、表している。
【0059】
まず、時刻t0において、電池電圧は、電圧V0、消費電流は、電流I0、出力電圧VREGは、オン、制御信号Xは、ハイレベル、出力信号Yは、ハイレベル、過放電検出信号Zは、ロウレベル、シャットダウン信号Qは、ロウレベル、となっている。
【0060】
次に、時刻t1において、電池電圧は、電圧V0から徐々に下降し、電圧Vset_shutとなる。消費電流も、電流I0から徐々に下降する。出力電圧VREGは、オンを維持する。電池電圧が、電圧Vset_shutになると同時に、制御信号Xは、ハイレベルからロウレベルへと切り替わる。時刻t1における制御信号Xは、検出回路121及びレギュレータ122をスタンバイモードへ移行させるための制御信号となる。出力信号Yは、ハイレベルを維持する。過放電検出信号Z及びシャットダウン信号Qは、ロウレベルを維持する。
【0061】
次に、時刻t2において、電池電圧は、電圧Vset_shutから更に下降し、電圧Vic_shutとなる。消費電流は、下降を続ける。出力電圧VREGは、オンを維持する。制御信号Xは、ロウレベルを維持する。出力信号Yは、ハイレベルからロウレベルへと切り替わる。過放電検出信号Z及びシャットダウン信号Qは、ロウレベルを維持する。
【0062】
次に、時刻t3において、電池電圧は、電圧Vic_shutから更に下降を続ける。消費電流は、シャットダウン信号がハイレベルになったことにより検出回路がシャットダウンされるので急激に下降し電流I3となる。出力電圧VREGは、オフする。時刻t2から時刻t3までの間は、2次保護IC120内部で設定される遅延時間tα(例えば、10.0ms)となる。従って、時刻t2より前に、制御信号Xがロウレベル、且つ電池電圧が電圧Vset_shut(閾値電圧Vth)以下となっても、遅延時間tαの間に、制御信号Xがハイレベル、又は電池電圧が所定の電圧(出力端子REGがロウレベルとなる電圧)以上となってしまうと、出力端子REGは、ハイレベルからロウレベルへと切り替わらない。制御信号X及び出力信号Yは、ロウレベルを維持する。過放電検出信号Z及びシャットダウン信号Qは、ロウレベルからハイレベルへと切り替わる。つまり、電池電圧が閾値電圧Vth以下になり、制御信号Xがロウレベル、出力端子REGがハイレベルからロウレベルへと切り替わると、シャットダウン信号Qは、ロウレベルからハイレベルへと切り替わり、検出回路121及びレギュレータ122は、動作停止する。
【0063】
次に、時刻t4において、電池電圧は、レギュレータ、及び検出回路がシャットダウンされたことにより下降を停止し、電圧V4となる。消費電流は、電流I3を維持する。出力電圧VREG、制御信号X、及び出力信号Yは、ロウレベルを維持する。過放電検出信号Z及びシャットダウン信号Qは、ハイレベルを維持する。
【0064】
次に、時刻t5において、電池電圧は、電圧V4から徐々に上昇する。消費電流は、電流I3を維持する。出力電圧VREGは、ロウレベルを維持する。制御信号Xは、ロウレベルからハイレベルへと切り替わる。時刻t5における制御信号Xは、検出回路121及びレギュレータ122をスタンバイモードから解除させるための制御信号となる。出力信号Yは、ロウレベルを維持する。過放電検出信号Zは、ハイレベルを維持する。シャットダウン信号Qは、ハイレベルからロウレベルへと切り替わる。制御信号Xが、ロウレベルからハイレベルへと切り替わると、シャットダウン信号Qは、電池電圧に依存せずに、ハイレベルからロウレベルへと切り替わる。シャットダウン信号Qがハイレベルからロウレベルへと切り替わることで、検出回路121及びレギュレータ122のスタンバイモードは解除され、検出回路121及びレギュレータ122は、通常動作を再開する。
【0065】
次に、時刻t6において、電池電圧は、上昇を続ける。消費電流は、シャットダウンが解除されたことで急激に急激に上昇する。出力電圧VREGは、オンする。時刻t5から時刻t6までの間は、2次保護IC120内部で設定される遅延時間tβ(例えば、0.5ms)となる。従って、時刻t5より前に、制御信号Xがハイレベルとなっても、遅延時間tβの間に、制御信号Xがロウレベルとなってしまうと、出力端子REGは、ロウレベルからハイレベルへと切り替わらない。制御信号Xは、ハイレベルを維持する。出力信号Yは、ロウレベルからハイレベルへと切り替わる。過放電検出信号Zは、ハイレベルからロウレベルへと切り替わる。
【0066】
次に、時刻t7において、充電停止により電池電圧は、上昇を停止する。充電停止までは消費電流は、徐々に上昇する。出力電圧VREG、制御信号X、出力信号Yは、ハイレベルを維持する。過放電検出信号Z及びシャットダウン信号Qは、ロウレベルを維持する。
【0067】
また、時刻t7から時刻t8の間は、負荷接続により、電池電圧は、下降を続ける。出力電圧VREG、制御信号X、出力信号Yは、ハイレベルを維持する。過放電検出信号Z及びシャットダウン信号Qは、ロウレベルを維持する。
【0068】
次に、時刻t8において、負荷開放により、電池電圧は、下降を停止する。出力電圧VREG、制御信号X、出力信号Yは、ハイレベルを維持する。過放電検出信号Z及びシャットダウン信号Qは、ロウレベルを維持する。
【0069】
時刻t8以降のタイミングチャートから明らかな様に、制御端子ENの制御信号Xがハイレベルである場合、電池電圧が、過放電検出電圧以下となっても、シャットダウン信号Qは、ロウレベルからハイレベルへと切り替わらない。ラッチ回路124の入力端子Rには、ハイレベルの制御信号Xが入力され続けるため、検出回路121及びレギュレータ122は、動作停止しない。即ち、制御端子ENの制御信号Xが、ハイレベルである場合、2次保護IC120は、電池電圧に拠らずに、検出回路121及びレギュレータ122を通常動作させる。
【0070】
本実施の形態に係る2次保護IC120によれば、シャットダウンモードへの移行可否を制御し、負荷側の状況、他のICの給電状況、等に合わせて、検出回路及びレギュレータの動作を制御できる。例えば、負荷側に、充電器が接続されている場合、検出回路及びレギュレータをシャットダウンモードへ移行させないことが可能である。又、例えば、制御信号Xがシャットダウンモードへ移行できる条件であっても、2次電池110の電圧が所定の電圧(閾値電圧Vth)より大きければレギュレータを通常動作させたまま、他のICに給電させ、2次電池110の容量を限界まで使用することが可能である。
【0071】
本実施の形態に係る2次保護IC120によれば、2次電池110の電圧及び制御端子ENの制御信号Xに基づいて、検出回路121及びレギュレータ122を通常動作、又は動作停止させる。電池パック100の状況に応じて、適宜、検出回路121及びレギュレータ122ををシャットダウンモードへと切り替えることにより、2次電池110の消費電力を低減させることができる。
【0072】
<フローチャート>
次に、図4に示すフローチャートを用いて、2次保護IC120が、通常動作からシャットダウンモードへ移行する際の、処理の流れについて説明する。なお、以下の説明において、図2及び図3を適宜参照することができる。
【0073】
ステップS801において、2次保護IC120に含まれる検出回路121及びレギュレータ122は、通常動作する。ラッチ回路124の入力端子Rには、ハイレベルの制御信号Xが入力される。
【0074】
ステップS802において、2次保護IC120は、電池電圧が、所定の電圧(閾値電圧Vth)以下であるか、否かの判定を行う。
【0075】
2次保護IC120は、電池電圧が、閾値電圧Vth以下であると判定した場合(Yes)、ステップS803へ進み、電池電圧が、閾値電圧Vthより大きいと判定した場合(No)、ステップS801へ戻る。
【0076】
ステップS803において、2次保護IC120は、レギュレータ122の制御端子ENがロウレベルであるか否かの判定を行う。
【0077】
2次保護IC120は、レギュレータ122の制御端子ENがロウレベルであると判定した場合(Yes)、ステップS804へ進み、レギュレータ122の制御端子ENがハイレベルであると判定した場合(No)、ステップS801へ戻る。
【0078】
ステップS804において、control logic回路123は、ラッチ回路124へ信号を出力する。例えば、ラッチ回路124の入力端子Sには、過放電検出信号Zが、ラッチ回路124の入力端子Rには、制御端子ENの制御信号Xが入力される。
【0079】
ステップS805において、ラッチ回路124は、全回路(検出回路121、レギュレータ122、等)へ、シャットダウン信号Qを出力する。
【0080】
即ち、電池電圧が閾値電圧Vth以下となり、セット側がシャットダウンすると、制御信号Xが、ロウレベルとなる。閾値電圧Vthは、使用するセットにより異なるが、2次保護IC120において使用するセットでは、単位セル当たり閾値電圧Vthを、3.0V程度とすることができる。例えば、2次保護IC120自身の消費電流で電池が放電され、電池電圧が2.7V以下となると、過放電検出器126が過放電を検出し、ハイレベルのシャットダウン信号Qが出力される。
【0081】
ステップS806において、検出回路121及びレギュレータ122は、ハイレベルのシャットダウン信号Qが入力されることにより、シャットダウンモードへと移行し、動作停止する。
【0082】
ステップS807において、2次保護IC120は、レギュレータ122の制御端子ENの入力がハイレベルであるか否かの判定を行う。
【0083】
2次保護IC120は、レギュレータ122の制御端子ENの入力がハイレベルであると判定した場合(Yes)、ステップS808へ進み、レギュレータ122の制御端子ENがロウレベルであると判定した場合(No)、ステップS806へ戻る。
【0084】
ステップS808において、2次保護IC120は、ラッチ回路124をリセットし、全回路を、起動させ、再び通常動作させる。この際、ラッチ回路124の入力端子Rには、ハイレベルの制御信号Xが制御端子ENより入力される。
【0085】
2次保護IC120は、ステップS808における処理が終了すると、再び、ステップS801へと戻り、ステップS801における処理を開始する。
【0086】
上述の様に、本実施の形態に係る電池パック100によれば、検出回路121及びレギュレータ122のシャットダウンモードへの移行可否を制御することで、2次保護IC120を任意に低消費電力モードへと切り替えることができる。
【0087】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の実施形態の要旨の範囲内において、種々の変形、変更が可能である。
【符号の説明】
【0088】
100 電池パック
110 2次電池
120 2次保護IC
121 検出回路
122 レギュレータ
130 1次保護IC
140 ヒューズ回路
150 スイッチ回路
151,152 スイッチング素子
図1
図2
図3
図4
図5