特許第6530596号(P6530596)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6530596
(24)【登録日】2019年5月24日
(45)【発行日】2019年6月12日
(54)【発明の名称】自動車の冷却装置
(51)【国際特許分類】
   B60K 11/04 20060101AFI20190531BHJP
   F01P 3/18 20060101ALI20190531BHJP
   F01P 7/16 20060101ALI20190531BHJP
   F01P 11/10 20060101ALI20190531BHJP
   F01P 7/10 20060101ALI20190531BHJP
【FI】
   B60K11/04 K
   F01P3/18 G
   F01P3/18 Q
   F01P7/16 504B
   F01P11/10 Z
   F01P11/10 B
   F01P7/10
【請求項の数】14
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2014-233419(P2014-233419)
(22)【出願日】2014年11月18日
(65)【公開番号】特開2015-214324(P2015-214324A)
(43)【公開日】2015年12月3日
【審査請求日】2017年10月27日
(31)【優先権主張番号】10-2014-0055060
(32)【優先日】2014年5月8日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】591251636
【氏名又は名称】現代自動車株式会社
【氏名又は名称原語表記】HYUNDAI MOTOR COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】特許業務法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】南 宗 佑
(72)【発明者】
【氏名】鄭 翰 新
(72)【発明者】
【氏名】李 浚 豪
(72)【発明者】
【氏名】趙 賢
【審査官】 稲垣 彰彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−178427(JP,A)
【文献】 特開2010−249129(JP,A)
【文献】 特開2006−306226(JP,A)
【文献】 特開2010−69898(JP,A)
【文献】 特開2015−4332(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0087238(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 11/00−11/08
13/02
F01P 3/18
7/10
7/16
11/10
F02B 29/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両前方の外気をエンジンルームに受け入れる外気吸入口の両側に形成され、車両前方の外気を受け入れて、ホイールに向かって流出させる少なくとも2つのエアダクトと、
前記外気吸入口に配置され、冷却水の熱を空気中に放出するように機能する低温ラジエータと、
前記外気吸入口に配置され、冷却水の熱を空気中に放出するように機能する高温ラジエータと、
前記少なくとも2つのエアダクトのうちのいずれか1つの内部に配置され、冷却水の熱を空気中に放出するように機能する低温補助ラジエータと、
前記少なくとも2つのエアダクトのうちの他の1つの内部に配置され、冷却水の熱を空気中に放出するように機能する高温補助ラジエータと、
圧縮空気を生成してエンジンに供給する過給機と、
前記低温ラジエータおよび前記高温ラジエータを経由した冷却水を用いて、前記過給機で生成された圧縮空気を冷却するインタークーラと、
圧縮冷媒を生成してエアコンに供給するコンプレッサと、
前記低温ラジエータを経由した冷却水を用いて、前記コンプレッサで生成された圧縮冷媒を冷却するコンデンサと、
前記高温ラジエータを通過した冷却水が、エンジンを経由して前記高温ラジエータに循環するように備えられた高温冷却水通路と、
前記低温ラジエータを通過した冷却水が、水冷式コンデンサを通過して再び前記低温ラジエータを循環するように備えられた低温冷却水通路と、を含むことを特徴とする自動車の冷却装置。
【請求項2】
前記エアダクトは、車両の後方にいくほど両側の各ホイールに向かって湾曲することを特徴とする請求項1に記載の自動車の冷却装置。
【請求項3】
前記エアダクトの出口には、空気の流れが前記ホイールに向かって誘導されるように、空気の流動方向をガイドする板のガイドプレートが備えられることを特徴とする請求項1または2に記載の自動車の冷却装置。
【請求項4】
前記ガイドプレートは、前記エアダクトの出口を介して流出した空気が、前記ホイールの前方でエアカーテンを形成するように空気の流動方向をガイドし、
前記ホイールの前方でエアカーテンを形成した空気が、前記ホイールの側面からエアカーテンの効果が極大化される設定角度で噴射されるようにすることを特徴とする請求項3に記載の自動車の冷却装置。
【請求項5】
前記エアダクトは、車両前方の外気を受け入れるように相対的に前方に形成された前方ダクトおよび前記前方ダクトを経由する空気が通過するように相対的に後方に形成された後方ダクトを含み、
前記前方ダクトと前記後方ダクトとの間には前記低温補助ラジエータが備えられ、前記低温補助ラジエータは、前記前方ダクトおよび前記後方ダクトを経由する空気によって冷却されることを特徴とする請求項1に記載の自動車の冷却装置。
【請求項6】
前記低温補助ラジエータおよび前記高温補助ラジエータを経由する冷却水は、前記低温補助ラジエータおよび前記高温補助ラジエータがそれぞれ配置された前記エアダクトを通過する空気と熱交換することを特徴とする請求項1に記載の自動車の冷却装置。
【請求項7】
前記インタークーラおよび前記コンデンサは、前記外気吸入口の後方でエンジンの近傍に配置されることを特徴とする請求項6に記載の自動車の冷却装置。
【請求項8】
前記低温冷却水通路は、
前記インタークーラと前記コンデンサとを連結する第1低温冷却水通路と、
前記インタークーラと前記低温補助ラジエータとを連結する第2低温冷却水通路と、
前記低温ラジエータと前記コンデンサとを連結する第3低温冷却水通路と、
前記低温補助ラジエータと前記低温ラジエータとの間で、前記第3低温冷却水通路から分岐して前記第2低温冷却水通路上に配置された第1バルブに連結される第4低温冷却水通路と、を含み、
前記第1バルブは、前記第1低温冷却水通路を経由して前記第4低温冷却水通路に流れる冷却水が、選択的に前記第2低温冷却水通路に流れるように制御することを特徴とする請求項6に記載の自動車の冷却装置。
【請求項9】
前記高温冷却水通路は、
前記高温ラジエータを通過した冷却水をエンジンに伝達する第1高温冷却水通路と、
エンジンを通過した冷却水を前記高温ラジエータに伝達する第2高温冷却水通路と、
前記第2高温冷却水通路から分岐して前記高温補助ラジエータに連結され、再び前記第2高温冷却水通路に連結される第3高温冷却水通路と、
前記第1高温冷却水通路から分岐して前記インタークーラを経由し、前記第2高温冷却水通路上に連結される第4高温冷却水通路と、を含むことを特徴とする請求項6に記載の自動車の冷却装置。
【請求項10】
前記第2高温冷却水通路上で前記第3高温冷却水通路が分岐する部分には、前記第2高温冷却水通路を流れる冷却水が、前記第3高温冷却水通路に選択的に流れるように制御する第2バルブが備えられることを特徴とする請求項9に記載の自動車の冷却装置。
【請求項11】
前記第2バルブは、前記第4高温冷却水通路が前記第2高温冷却水通路上に連結される部分に配置され、前記第4高温冷却水通路に冷却水が選択的に流れるように作動することを特徴とする請求項10に記載の自動車の冷却装置。
【請求項12】
前記低温ラジエータを通過した冷却水と、前記コンデンサを通過した冷媒との温度差を利用して熱電発電する少なくとも1つの熱電発電機をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の自動車の冷却装置。
【請求項13】
前記低温ラジエータを通過した冷却水と、前記高温ラジエータを通過した冷却水との温度差を利用して熱電発電する少なくとも1つの熱電発電機をさらに含むことを特徴とする請求項12に記載の自動車の冷却装置。
【請求項14】
前記外気吸入口を選択的に開閉するエアフラップをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の自動車の冷却装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の冷却装置に係り、より詳しくは、冷却性能および空力性能を向上させた自動車の冷却装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、自動車には、エンジンの温度を保存する手段、およびエンジンを冷却させる手段が備えられている。
一方、エアダクトは、空気の通路であって、空気の流入が容易な部分から空気の供給が必要な部分まで空気の流れを誘導するためのパイプをいう。
例えば、このようなエアダクトには、エンジンに吸入される空気を誘導するエアダクト、あるいはブレーキを冷却させるためのエアダクトなどがある。
最近は、エンジンの温度を保存し、初期始動時に燃料の消耗を最少にする技術の開発が活発に展開されている。
しかし、エンジンの温度を保存する方策だけが行われると、必要に応じたエンジンの冷却が円滑に行われず、高速走行時に燃費が悪化し、高温の排気通路の周辺部品に熱害が発生する。また、ラジエータグリルを介して流入した空気が、エンジンの周辺に備えられた補助機械類によって干渉を受けると、エンジンの冷却性能の低下、燃費の悪化をもたらし、熱害がより深刻になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−082597号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであって、その目的とするところは、冷却性能が向上した自動車の冷却装置を提供することにある。
また、空気の流動に対する車体、補助機械類、およびホイールなどとの干渉を相殺して空力性能が向上するようにした自動車の冷却装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するための、本発明の自動車の冷却装置は、車両前方の外気をエンジンルームに受け入れる外気吸入口の両側に形成され、車両前方の外気を受け入れて、ホイールに向かって流出させる少なくとも2つ以上のエアダクトと、
前記外気吸入口に配置され、冷却水の熱を空気中に放出するように機能する低温ラジエータと、
前記外気吸入口に配置され、冷却水の熱を空気中に放出するように機能する高温ラジエータと、
前記少なくとも2つ以上のエアダクトのうちのいずれか1つの内部に配置され、冷却水の熱を空気中に放出するように機能する低温補助ラジエータと、
前記少なくとも2つ以上のエアダクトのうちの他の1つの内部に配置され、冷却水の熱を空気中に放出するように機能する高温補助ラジエータと、
圧縮空気を生成してエンジンに供給する過給機と、
前記低温ラジエータおよび前記高温ラジエータを経由した冷却水を用いて、前記過給機で生成された圧縮空気を冷却するインタークーラと、
圧縮冷媒を生成してエアコンに供給するコンプレッサと、
前記低温ラジエータを経由した冷却水を用いて、前記コンプレッサで生成された圧縮冷媒を冷却するコンデンサと、
前記高温ラジエータを通過した冷却水が、エンジンを経由して前記高温ラジエータに循環するように備えられた高温冷却水通路と、
前記低温ラジエータを通過した冷却水が、水冷式コンデンサを通過して再び低温ラジエータを循環するように備えられた低温冷却水通路と、
を含むことを特徴とする。
【0006】
前記両側の後方ダクトは、車両の後方にいくほど両側の各ホイールに向かって湾曲することを特徴とする。
【0007】
前記ダクト出口には、空気の流れが前記ホイールに向かって誘導されるように、空気の流動方向をガイドする板のガイドプレートが備えられることを特徴とする。
【0008】
前記ガイドプレートは、前記ダクト出口を介して流出した空気が、前記ホイールの前方でエアカーテンを形成するように空気の流動方向をガイドし、
前記ホイールの前方でエアカーテンを形成した空気が、前記ホイールの側面からエアカーテンの効果が極大化される設定角度で噴射されるようにすることを特徴とする。
【0009】
前記前方ダクトと前記後方ダクトとの間には低温ラジエータが備えられ、前記低温ラジエータは、前記前方ダクトおよび前記後方ダクトを経由する空気によって冷却されることを特徴とする。
【0010】
前記低温補助ラジエータおよび前記高温補助ラジエータを経由する冷却水は、前記低温補助ラジエータおよび前記高温補助ラジエータがそれぞれ配置された前記エアダクトを通過する空気と熱交換することを特徴とする。
【0011】
前記インタークーラおよび前記コンデンサは、前記外気吸入口の後方でエンジンの近傍に配置されることを特徴とする。
【0012】
前記低温冷却水通路は、
前記インタークーラと前記コンデンサとを連結する第1低温冷却水通路と、
前記インタークーラと前記低温補助ラジエータとを連結する第2低温冷却水通路と、
前記低温ラジエータと前記コンデンサとを連結する第3低温冷却水通路と、
前記低温補助ラジエータと前記低温ラジエータとの間で、前記第3低温冷却水通路から分岐して前記第2低温冷却水通路上に配置された第1バルブに連結される第4低温冷却水通路と、
を含み、
前記第1バルブは、前記第1低温冷却水通路を経由して前記第4低温冷却水通路に流れる冷却水が、選択的に前記第2低温冷却水通路に流れるように制御することを特徴とする。
【0013】
前記高温冷却水通路は、
前記高温ラジエータを通過した冷却水をエンジンに伝達する第1高温冷却水通路と、
エンジンを通過した冷却水を前記高温ラジエータに伝達する第2高温冷却水通路と、
前記第2高温冷却水通路から分岐して前記高温補助ラジエータに連結され、再び前記第2高温冷却水通路に連結される第3高温冷却水通路と、
前記第1高温冷却水通路から分岐して前記インタークーラを経由し、前記第2高温冷却水通路上に連結される第4高温冷却水通路と、
を含むことを特徴とする。
【0014】
前記第2高温冷却水通路上で前記第3高温冷却水通路が分岐する部分には、前記第2高温冷却水通路を流れる冷却水が、前記第3高温冷却水通路に選択的に流れるように制御する第2バルブが備えられることを特徴とする。
【0015】
前記第2バルブは、前記第4高温冷却水通路が前記第2高温冷却水通路上に連結される部分に配置され、前記第4高温冷却水通路に冷却水が選択的に流れるように作動することを特徴とする。
【0016】
前記低温ラジエータを通過した冷却水と、前記コンデンサを通過した冷媒との温度差を利用して熱電発電する少なくとも1つ以上の熱電発電機をさらに含むことを特徴とする。
【0017】
前記低温ラジエータを通過した冷却水と、前記高温ラジエータを通過した冷却水との温度差を利用して熱電発電する少なくとも1つ以上の熱電発電機をさらに含むことを特徴とする。
【0018】
前記外気吸入口を選択的に開閉するエアフラップをさらに含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、エアダクト10、11を通過した空気がホイールWの前方でエアカーテンを形成する性能が向上するようにダクト出口16が形成されることによって、空力性能が改善できる。
また、エアダクト10、11にラジエータ20、21が配置されることによって、冷却水の循環に対する多様な設計が可能である。
さらに、バルブ70、90の制御により多様に実現される冷却水の循環によってエンジンEの条件に合った冷却性能の向上が可能になり、燃費が改善できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施形態にかかる冷却装置の基本的な構成図である。
図2】本発明の他の実施形態にかかる冷却装置の構成図である。
図3】本発明の他の実施形態にかかる冷却装置の作動図である。
図4】本発明の他の実施形態にかかる冷却装置の作動図である。
図5】本発明の他の実施形態にかかる冷却装置の作動図である。
図6】本発明の他の実施形態にかかる冷却装置の作動図である。
図7】本発明の他の実施形態にかかる冷却装置の作動図である。
図8】本発明の他の実施形態にかかる冷却装置の作動図である。
図9】本発明の他の実施形態にかかる冷却装置の作動図である。
図10】本発明の他の実施形態にかかる冷却装置の作動図である。
図11】本発明のさらに他の実施形態にかかる冷却装置の作動図である。
図12】本発明のさらに他の実施形態にかかる冷却装置の作動図である。
図13】本発明のさらに他の実施形態にかかる冷却装置の作動図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の好ましい実施形態を、添付した図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態にかかる冷却装置の基本的な構成図である。
図1に示す通り、本発明の実施形態にかかる冷却装置1は、外気吸入口22と、エアダクト10、11とを含む。
外気吸入口22は、ラジエータグリル(図示せず)などを介して車両前方の外気をエンジンルームに受け入れる空気の通路である。
【0022】
外気吸入口22を通過する空気は、インタークーラ30、低温ラジエータ26、および高温ラジエータ28を冷却させ、エンジンルームに流入する。即ち、インタークーラ30、低温ラジエータ26、および高温ラジエータ28は、外気吸入口22上に配置される。ここで、インタークーラ30は、過給機32が吸入した空気を冷却させる装置であり、高温ラジエータ28は、エンジンEを経由した高温の冷却水の熱を空気中に放出する装置であり、低温ラジエータ26は、高温ラジエータ28とは別に、低温の冷却水に残存する熱を空気中に放出する装置である。
【0023】
また、過給機32は、エンジンEの出力を高めるために、排気ガスや外部空気を吸入してタービンを回し、高温の圧縮空気をエンジンEのシリンダに供給する装置である。さらに、インタークーラ30が過給機32によって圧縮された高温の空気を冷却することによって、空気の密度が高くなり、シリンダの吸入効率が向上し、エンジンEの燃焼効率および燃費が改善されると同時に、二酸化炭素の排出量が減少する。
このような、自動車に装着されるインタークーラ30、低温ラジエータ26、高温ラジエータ28、および過給機32は、当該技術分野における通常の知識を有する者(以下、当業者)に自明であるので、これ以上の詳細な説明は省略する。
エアダクト10、11は、外気吸入口22の両側に形成される。即ち、冷却装置1は、少なくとも2つのエアダクト10、11を含む。図1には、2つのエアダクト10、11を示す。ここで、2つのエアダクト10、11のうちの1つを第1エアダクト10と称し、他の1つを第2エアダクト11と称する。
第1、第2エアダクト10、11は、前方ダクト12と、後方ダクト14と、ダクト出口16とを含む。
【0024】
前方ダクト12は、車両前方の外気を受け入れるように、第1、第2エアダクト10、11で相対的に前方に形成された部分である。また、前方ダクト12は、第1エアダクト10の前方ダクト12の延長線と、第2エアダクト11の前方ダクト12の延長線とが車両の前方で流線形を形成するように、車両の前方にいくほど内側に湾曲した形状に形成される。さらに、前方ダクト12が流線形を形成することによって、空気の抵抗が最小となる。
したがって、前方ダクト12は、外気吸入口22の両側から車両前方の外気を容易に受け入れることができる。即ち、前方ダクト12を通過する空気の空力性能が向上する。
後方ダクト14は、前方ダクト12を経由した空気が通過するように、第1、第2エアダクト10、11で相対的に後方に形成された部分である。また、後方ダクト14は、第1エアダクト10の後方ダクト14の延長線と、第2エアダクト11の後方ダクト14の延長線とが車両の前方で流線形を形成するように、車両の後方にいくほど外側に湾曲した形状に形成される。
【0025】
さらに、車両の外側に湾曲した後方ダクト14はホイールWに向かう。即ち、後方ダクト14は、空気の抵抗を最にしながら、ホイールWに向かって空気の流れを誘導する。ここで、ホイールWがフロントホイール(front wheel)であることはいうまでもない。
ダクト出口16は、後方ダクト14を経由した空気が通過するように形成される。また、ダクト出口16は、第1、第2エアダクト10、11から空気が流出する出口である。さらに、ダクト出口16には、空気の流れがホイールWに向かって誘導されるように、ガイドプレート18が備えられる。
ガイドプレート18は、ダクト出口16を介して流出する空気の流動方向をガイドする板である。一方、ダクト出口16は、ホイールハウス24と一体に形成される。即ち、ガイドプレート18は、ホイールハウス24に装着される。ここで、ホイールハウス24は、車体の一部分であって、ホイールWを覆っているハウジングである。
【0026】
ガイドプレート18は、ダクト出口16を介して流出する空気が、ホイールWの前方でエアカーテンを形成するように空気の流動方向をガイドする。また、ガイドプレート18は、ホイールWの前方でエアカーテンを形成した空気が、ホイールWの側面から設定角度aで噴射されるように備えてよい。さらに、設定角度aは、当業者によってエアカーテンの効果が極大化される角度に設定可能である。
図1には、ホイールWの側面から空気が噴射される設定角度aを可視的に示すために、車体の側方向の補助線L1および車体の長さ方向の補助線L2を示している。言い換えると、図1には、車体の側方向の補助線L1と車体の長さ方向の補助線L2とは直交し、ホイールWの側面から空気が噴射される方向と車体の長さ方向の補助線L2とは、設定角度aの挟角を有することが示された。
【0027】
第1、第2エアダクト10、11の内部には、それぞれ補助ラジエータ20、21がさらに配置されてよい。また、第1、第2エアダクト10、11の内部に配置される補助ラジエータ20、21は、第1、第2エアダクト10、11を通過する空気を用いて冷却を行う。ここで、第1、第2エアダクト10、11の内部に配置される補助ラジエータ20、21は、外気吸入口22上に配置される低温ラジエータ26または高温ラジエータ28を通過した冷却水に残存する熱を空気中に放出する装置である。一方、第1、第2エアダクト10、11の内部にそれぞれ配置される補助ラジエータ20、21のうちのいずれか1つは、低温ラジエータ26を通過した冷却水を冷却する低温補助ラジエータ20であり、他の1つは、高温ラジエータ28を通過した冷却水を冷却する高温補助ラジエータ21であってよい。
【0028】
一方、インタークーラ30は、冷却方式により水冷式または空冷式があり、前記インタークーラ30は空冷式である。
このような空冷式インタークーラ30がエンジンEの前方に配置される場合、外気によって最も先に冷却できる。したがって、エンジンEの冷却およびインタークーラ30の反応性が大きく要求されないエンジンEの低速低負荷時に、インタークーラ30の冷却効率が向上する。しかし、エンジンEの高負荷時には、インタークーラ30の干渉によって外気の流れが妨げられることによって、エンジンの冷却性能が低下することがある。特に、エンジンEの高速高負荷時には、インタークーラ30をエンジンEおよび過給機32に連結する配管の長さが長いため、インタークーラ30の応答性が低下することがある。
【0029】
図2は、本発明の他の実施形態にかかる冷却装置の構成図である。
図2に示すように、本発明の他の実施形態にかかる冷却装置2は、低温ラジエータ26と、高温ラジエータ28と、エアフラップ29と、低温補助ラジエータ20と、高温補助ラジエータ21と、後方インタークーラ31と、過給機32と、後方コンデンサ40と、コンプレッサ42と、第1、第2ウォーターポンプ50、51と、第1、第2チェックバルブ52、53と、低温冷却水通路60と、高温冷却水通路80と、第1、第2バルブ70、90とを含む。
ここで、低温ラジエータ26および高温ラジエータ28に関する説明は、図1を参照して説明した本発明の実施形態にかかる冷却装置1の基本的な構成と同一であるので、これに関する繰り返し説明は省略する。
エアフラップ29は、空気の通路を選択的に開閉させる装置である。また、エアフラップ29は、ラジエータグリルと冷却ファン(図示せず)との間に配置され、外気吸入口22に流入する空気の流れを選択的に遮断するように機能する。 一方、低温ラジエータ26および高温ラジエータ28は、エアフラップ29と冷却ファンとの間に配置される。
【0030】
エアフラップ29が外気吸入口22を開放すると、ラジエータグリル、エアフラップ29、低温ラジエータ26、高温ラジエータ28、および冷却ファンを経由した空気は、エンジンEを冷却させたり、エンジンEの吸気として供給される。 また、エンジンの冷却が要求されない場合などには、ラジエータグリルと冷却ファンとの間に配置されたエアフラップ29が外気吸入口22を閉鎖する。ここで、エアフラップ29は、エンジンEの駆動状態に応じてエンジンルームが車両の前方から外気を選択的に受け入れるように選択的に開閉されるアクティブエアフラップ(active air flap)であってよい。
第1エアダクト10および第2エアダクト11の内部には、それぞれ低温補助ラジエータ20および高温補助ラジエータ21が配置され、第1エアダクト10および第2エアダクト11の後方には、後方インタークーラ31、過給機32、後方コンデンサ40、コンプレッサ42、および第1、第2ウォーターポンプ50、51が配置される。
【0031】
前記低温補助ラジエータ20は、前記第1エアダクト10の内部に配置された低温ラジエータ26である。
前記高温補助ラジエータ21は、前記第2エアダクト11の内部に配置された高温ラジエータ28である。
前記後方インタークーラ31は、前記第1エアダクト10の後方でエンジンEの近傍に配置される水冷式インタークーラ31である。
前記過給機32は、エンジンEの近傍で前記後方インタークーラ31に連結された過給機32である。
前記後方コンデンサ40は、前記第2エアダクト11の後方でエンジンEの近傍に配置される水冷式コンデンサ40である。
コンプレッサ42は、エンジンEの近傍で後方コンデンサ40に連結され、エアコン(図示せず)に圧縮冷媒を供給するコンプレッサ42である。また、コンプレッサ42を経由した冷媒は、後方コンデンサ40を経由しながら、後方コンデンサ40を経由する冷却水によって冷却される。ここで、電気容量を確保するための装置のコンデンサ40、および空気を圧縮して圧力を高める装置のコンプレッサ42は当業者に自明であるので、これに関する詳細な説明は省略する。
【0032】
第1ウォーターポンプ50は、後方インタークーラ31と後方コンデンサ40との間で冷却水をポンピングする。
第1チェックバルブ52は、第1ウォーターポンプ50によってポンピングされる冷却水が逆流するのを防止する。
第2ウォーターポンプ51は、後方インタークーラ31と高温ラジエータ28との間で冷却水をポンピングする。
第2チェックバルブ53は、第2ウォーターポンプ51によってポンピングされる冷却水が逆流するのを防止する。
ここで、第1ウォーターポンプ50によってポンピングされ、低温ラジエータ26を経由する冷却水の循環は、低温冷却水通路60を介して行われ、第2ウォーターポンプ51によってポンピングされ、高温ラジエータ28を経由する冷却水の循環は、高温冷却水通路80を介して行われる。
低温冷却水通路60は、冷却水が、第1ウォーターポンプ50のポンピングによって、低温補助ラジエータ20、後方インタークーラ31、および後方コンデンサ40を経由しながら循環するように形成される。また、低温冷却水通路60は、第1、第2、第3、第4低温冷却水通路61、62、64、66を含む。
【0033】
第1低温冷却水通路61は、エンジンEの近傍に配置された後方インタークーラ31と後方コンデンサ40とを連結する。また、第1低温冷却水通路61上には、第1ウォーターポンプ50および第1チェックバルブ52が配置される。
第2低温冷却水通路62は、後方インタークーラ31と低温補助ラジエータ20とを連結する。また、第2低温冷却水通路62上には、第1バルブ70が配置される。ここで、第2低温冷却水通路62が連結される低温補助ラジエータ20の一端は、低温補助ラジエータ20で相対的にホイールW側に近い外側部分であってよい。
第3低温冷却水通路64は、低温補助ラジエータ20と後方コンデンサ40とを連結する。また、第3低温冷却水通路64は、低温補助ラジエータ20と後方コンデンサ40との間で低温ラジエータ26を経由する。ここで、第3低温冷却水通路64に連結される低温補助ラジエータ20の他端は、低温補助ラジエータ20で相対的にホイールW側から遠い内側部分であってよい。
【0034】
第4低温冷却水通路66は、低温補助ラジエータ20と低温ラジエータ26との間で、第3低温冷却水通路64から分岐して第2低温冷却水通路62上に配置された第1バルブ70に連結される。ここで、第1バルブ70は、第1低温冷却水通路61を経由して第4低温冷却水通路66に流れる冷却水が、第2低温冷却水通路62に選択的に流れるように制御するバルブである。
高温冷却水通路80は、高温ラジエータ28を通過した冷却水をエンジンEに伝達する第1高温冷却水通路81と、エンジンEを通過した冷却水を高温ラジエータ28に伝達する第2高温冷却水通路82と、第2高温冷却水通路82から分岐して高温補助ラジエータ21に連結され、再び第2高温冷却水通路82に連結される第3高温冷却水通路83と、第1高温冷却水通路81から分岐して後方インタークーラ31を経由し、第2高温冷却水通路82上に連結される第4高温冷却水通路84とを含む。
【0035】
第2高温冷却水通路82上で第3高温冷却水通路83が分岐する部分と、第4高温冷却水通路84が第2高温冷却水通路82上に連結される部分とは同一であり、この部分には、第2高温冷却水通路82を流れる冷却水が、第3高温冷却水通路83に選択的に流れるように制御する第2バルブ90が備えられてよい。また、第2バルブ90は、後方インタークーラ31の冷却が必要な場合、第4高温冷却水通路84に冷却水が流れるように作動することができる。
第1、第2バルブ70、90は、伝達される冷却水の温度に応じてその内側に充填されたワックス成分の容積が膨張または収縮する機械的なサーモスタットであるか、図示しない制御部の制御により作動する電子式サーモスタットであってもよい。それぞれ低温冷却水通路60および高温冷却水通路80を流れる冷却水が、低温ラジエータ26および高温ラジエータ28の冷却のほか、追加的な冷却が必要な場合に作動して冷却効率を高めることができる。
【0036】
第2ウォーターポンプ51は、第1高温冷却水通路81上に配置されてもよいし、第2チェックバルブ53は、第2ウォーターポンプ51によってポンピングされる冷却水が逆流するのを防止するように、高温冷却水通路80上に配置されてもよい。
後方インタークーラ31の内部は、第1低温冷却水通路61が経由する部分と、第4高温冷却水通路84が経由する部分とに区画される。即ち、過給機32が吸入した空気は、第4高温冷却水通路84が経由する部分、および第1低温冷却水通路61が経由する部分を順次に経由しながら冷却できる。したがって、後方インタークーラ31の冷却効率が向上できる。
【0037】
以下、図3図10を参照して、本発明の他の実施形態にかかる冷却装置が実現する冷却水の循環を詳細に説明する。
図3図10は、本発明の他の実施形態にかかる冷却装置の作動図である。
また、図3図6は、エアフラップ29が外気吸入口22を開放した冷却装置の作動図であり、図7図10は、エアフラップ29が外気吸入口22を閉鎖した冷却装置の作動図である。
図3図10には、車体の内部に流入する外気の流れを点線の矢印で示し、低温冷却水の流れが一点鎖線の低温冷却水通路60上に実線の矢印で示す。
また、高温冷却水の流れを点線の高温冷却水通路80上に実線の矢印で示し、過給機32と後方インタークーラ31を経由する圧縮空気の流れ、およびコンプレッサ42と後方コンデンサ40を経由する冷媒の流れを実線の矢印で示す。
【0038】
図3に示す通り、外気が外気吸入口22を通過してエンジンEを冷却させるようにエアフラップ29が開放された状態で、第1バルブ70に流入する冷却水の温度が設定温度以上であれば、第1バルブ70は、後方インタークーラ31と第1バルブ70とを連結する第1低温冷却水通路61と、第1バルブ70と低温補助ラジエータ20とを連結する第2低温冷却水通路62とを連通させるように作動する。
また、第2バルブ90に流入する冷却水の温度が設定温度以上であれば、第2バルブ90は、後方インタークーラ31と第2バルブ90とを連結する第4高温冷却水通路84と、第2バルブ90と高温補助ラジエータ21とを連結する第3高温冷却水通路83とを連通させるように作動する。
【0039】
したがって、低温冷却水は、第1低温冷却水通路61、第2低温冷却水通路62、および第3低温冷却水通路64を経由して循環する。また、高温冷却水は、第1、第2、第3、第4高温冷却水通路81、82、83、84を経由して循環する。このように、エアフラップ29を開放し、冷却水が冷却を行うすべての構成要素を経由するように循環する場合は、後方インタークーラ31の負荷およびエンジンEの負荷が上の場合であってよい。
ここで、後方インタークーラ31の負荷およびエンジンEの負荷は、それぞれ上、中、下の3つの段階に区分して説明する。このような負荷の上、中、下は当業者によって設定可能である。一方、第1バルブ70の設定温度は第1設定温度T1と称し、第2バルブ90の設定温度は第2設定温度T2と称する。
【0040】
図4に示すように、図3の状態で、第2バルブ90に流入する冷却水の温度がT2未満になると、第2バルブ90は、第2バルブ90と高温補助ラジエータ21とを連結する第3高温冷却水通路83との連通を遮断するように作動する。
したがって、高温冷却水は、第1、第2、第4高温冷却水通路81、82、84を経由して循環する。このように、エアフラップ29を開放し、高温冷却水が高温補助ラジエータ21を経由する循環が省略されるように循環する場合は、後方インタークーラ31の負荷が上で、エンジンEの負荷が中の場合であってよい。
図5に示す通り、図3の状態で、第1バルブ70に流入する冷却水の温度がT1未満になると、第1バルブ70は、第1バルブ70と低温補助ラジエータ20とを連結する第2低温冷却水通路62との連通を遮断し、後方インタークーラ31と第1バルブ70とを連結する第1低温冷却水通路61と、第4低温冷却水通路66とを連通させるように作動する。
【0041】
したがって、低温冷却水は、第1低温冷却水通路61、第4低温冷却水通路66、および第3低温冷却水通路64を順次に経由して循環する。このように、エアフラップ29を開放し、低温冷却水が低温補助ラジエータ20を経由する循環が省略されるように循環する場合は、後方インタークーラ31の負荷が中で、エンジンEの負荷が上の場合であってよい。
図6に示す通り、図3の状態で、第1バルブ70に流入する冷却水の温度がT1未満になると同時に、第2バルブ90に流入する冷却水の温度がT2未満になると、第1バルブ70は、後方インタークーラ31と第1バルブ70とを連結する第1低温冷却水通路61と、第4低温冷却水通路66とを連通させるように作動し、第2バルブ90は、第2バルブ90と高温補助ラジエータ21とを連結する第3高温冷却水通路83との連通を遮断するように作動する。
【0042】
したがって、低温冷却水は、第1低温冷却水通路61、第4低温冷却水通路66、および第3低温冷却水通路64を順次に経由して循環し、高温冷却水は、第1、第2、第4高温冷却水通路81、82、84を経由して循環する。このように、エアフラップ29を開放し、低温冷却水が低温補助ラジエータ20を経由する循環が省略されるように循環し、高温冷却水が高温補助ラジエータ21を経由する循環が省略されるように循環する場合は、後方インタークーラ31の負荷およびエンジンEの負荷が中の場合であってよい。この時、エンジンは、アイドル(idle)状態であってよい。
図7に示す通り、外気が外気吸入口22を通過しないようにエアフラップ29が閉鎖された状態で、第1バルブ70に流入する冷却水の温度がT1以上で、第2バルブ90に流入する冷却水の温度がT2以上であれば、第1バルブ70および第2バルブ90は、図3の説明と同様に作動する。
【0043】
したがって、低温冷却水は、第1低温冷却水通路61、第2低温冷却水通路62、および第3低温冷却水通路64を経由して循環する。また、高温冷却水は、第1、第2、第3、第4高温冷却水通路81、82、83、84を経由して循環する。このように、エアフラップ29を閉鎖し、冷却水が冷却を行うすべての構成要素を経由するように循環する場合は、後方インタークーラ31の負荷およびエンジンEの負荷が中の場合であってよい。
図8に示す通り、図7の状態で、第2バルブ90に流入する冷却水の温度がT2未満になると、第2バルブ90は、図4の説明と同様に作動する。
したがって、高温冷却水は、第1、第2、第4高温冷却水通路81、82、84を経由して循環する。このように、エアフラップ29を閉鎖し、高温冷却水が高温補助ラジエータ21を経由する循環が省略されるように循環する場合は、後方インタークーラ31の負荷が中で、エンジンEの負荷が下の場合であってよい。
【0044】
図9に示す通り、図7の状態で、第1バルブ70に流入する冷却水の温度がT1未満になると、第1バルブ70は、図5の説明と同様に作動する。
したがって、低温冷却水は、第1低温冷却水通路61、第4低温冷却水通路66、および第3低温冷却水通路64を順次に経由して循環する。このように、エアフラップ29を閉鎖し、低温冷却水が低温補助ラジエータ20を経由する循環が省略されるように循環する場合は、後方インタークーラ31の負荷が下で、エンジンEの負荷が中の場合であってよい。
図10に示す通り、図7の状態で、第1バルブ70に流入する冷却水の温度がT1未満になると同時に、第2バルブ90に流入する冷却水の温度がT2未満になると、第1バルブ70および第2バルブ90は、図6の説明と同様に作動する。
【0045】
したがって、低温冷却水は、第1低温冷却水通路61、第4低温冷却水通路66、および第3低温冷却水通路64を順次に経由して循環し、高温冷却水は、第1、第2、第4高温冷却水通路81、82、84を経由して循環する。このように、エアフラップ29を閉鎖し、低温冷却水が低温補助ラジエータ20を経由する循環が省略されるように循環し、高温冷却水が高温補助ラジエータ21を経由する循環が省略されるように循環する場合は、後方インタークーラ31の負荷およびエンジンEの負荷が下の場合であってよい。この時、エンジンは、アイドル(idle)状態であってよい。
【0046】
以下、図11図13を参照して、本発明のさらに他の実施形態にかかる冷却装置が実現する冷却水の循環を詳細に説明する。
図11図13は、本発明のさらに他の実施形態にかかる冷却装置の作動図である。
図11図13に示す通り、本発明のさらに他の実施形態にかかる冷却装置3は、本発明の他の実施形態にかかる冷却装置2において、第1、第2、3熱電発電機101、102、103をさらに含む。一方、本発明のさらに他の実施形態にかかる冷却装置3の説明では、本発明の他の実施形態にかかる冷却装置2の説明と同一の構成要素の繰り返し説明は省略する。
ここで、熱電発電は、互いに異なる種類の金属からなる閉回路で両接点の温度が異なると電流が流れる現象を利用して発電をすることをいい、熱電発電機101、102、103の基本的な機能は当業者に自明であるので、これに関する詳細な説明は省略する。
【0047】
第1熱電発電機101は、後方インタークーラ31と第1バルブ70との間に配置される。また、後方インタークーラ31を経由した低温冷却水は、第1熱電発電機101を経由する。さらに、後方コンデンサ40を通過した冷媒が流れる冷媒通路44は、第1熱電発電機101を経由する。即ち、第1熱電発電機101は、低温ラジエータ26を通過した低温冷却水と、冷媒通路44を流れる冷媒との温度差を利用して熱電発電を行う。
第2熱電発電機102は、第3低温冷却水通路64と、第2高温冷却水通路82とが通過するように配置される。即ち、第2熱電発電機102は、第3低温冷却水通路64を流れる低温冷却水と、第2高温冷却水通路82を流れる高温冷却水との温度差を利用して熱電発電を行う。
第3熱電発電機103は、第3低温冷却水通路64と、第3高温冷却水通路83とが通過するように配置される。即ち、第3熱電発電機103は、第3低温冷却水通路64を流れる低温冷却水と、第3高温冷却水通路83を流れる高温冷却水との温度差を利用して熱電発電を行う。
【0048】
上述のように、本発明の実施形態によれば、エアダクト10、11を通過した空気がホイールWの前方でエアカーテンを形成する性能が向上するようにダクト出口16が形成されることによって、空力性能が改善できる。
また、エアダクト10、11にラジエータ20、21が配置されることによって、冷却水の循環に対する多様な設計が可能である。
さらに、バルブ70、90の制御により多様に実現される冷却水の循環によってエンジンEの条件に合った冷却性能の向上が可能になり、窮極的に燃費が改善できる。
【0049】
以上、本発明に関する好ましい実施形態を説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の属する技術分野を逸脱しない範囲での全ての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0050】
1、2、3:冷却装置
10:第1エアダクト
11:第2エアダクト
12:前方ダクト
14:後方ダクト
16:ダクト出口
18:ガイドプレート
20:低温補助ラジエータ
21:高温補助ラジエータ
22:外気吸入口
24:ホイールハウス
26:低温ラジエータ
28:高温ラジエータ
29:エアフラップ
30:インタークーラ
31:後方インタークーラ
32:過給機
40:後方コンデンサ
42:コンプレッサ
50:第1ウォーターポンプ
51:第2ウォーターポンプ
52:第1チェックバルブ
53:第2チェックバルブ
60:低温冷却水通路
70:第1バルブ
80:高温冷却水通路
90:第2バルブ
101、102、103:第1、第2、第3熱電発電機
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
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図13