特許第6530650号(P6530650)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6530650
(24)【登録日】2019年5月24日
(45)【発行日】2019年6月12日
(54)【発明の名称】車両用ペダルブラケット
(51)【国際特許分類】
   G05G 1/00 20080401AFI20190531BHJP
   B60T 7/06 20060101ALI20190531BHJP
   G05G 25/00 20060101ALI20190531BHJP
   G05G 1/30 20080401ALI20190531BHJP
【FI】
   G05G1/00 E
   B60T7/06 A
   G05G25/00 Z
   G05G1/30 E
【請求項の数】5
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-130210(P2015-130210)
(22)【出願日】2015年6月29日
(65)【公開番号】特開2017-16262(P2017-16262A)
(43)【公開日】2017年1月19日
【審査請求日】2018年6月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000033
【氏名又は名称】旭化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ダオフィ ダット
(72)【発明者】
【氏名】稲葉 英之
【審査官】 岡本 健太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特表2003−536028(JP,A)
【文献】 特開2007−008361(JP,A)
【文献】 実開昭54−096947(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05G 1/00
B60T 7/06
G05G 1/30
G05G 25/00
G05G 1/00
B60T 7/06
G05G 1/30
G05G 25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用ペダルの揺動軸を揺動自在に支持する軸受孔が設けられた一対の軸受部と、車両の所定部位に取り付けられる基部と、を備え、樹脂によって一体成形されてなる車両用ペダルブラケットであって、
前記各軸受部は、前記各軸受孔から前記基部へと至る部位が中空部とされており、
前記各軸受孔を形成する部位の外側の少なくとも一部及び前記各中空部の外側の少なくとも一部には、前記揺動軸の軸方向に対して直交する2つの隣接する平面に沿って各々形成された一対の補強用フランジ部が設けられている、車両用ペダルブラケット。
【請求項2】
前記各中空部は、前記各軸受孔寄りの部位の容積が前記基部寄りの部位の容積よりも小さくなるように形成されている、請求項1に記載の車両用ペダルブラケット。
【請求項3】
前記各中空部の間に、前記各中空部を繋ぐ連結中空部が前記基部寄りの位置に形成されている、請求項1又は2に記載の車両用ペダルブラケット。
【請求項4】
前記各中空部の少なくとも一部は、前記揺動軸の軸方向に対して直交する第一壁部と、前記第一壁部よりも軸方向外側に所定の間隔をおいて平行に配置された第二壁部と、前記第一壁部と前記第二壁部とを連結する第三壁部と、によって形成されている、請求項1から3の何れか一項に記載の車両用ペダルブラケット。
【請求項5】
前記各中空部を形成する前記第一壁部同士は、前記第一壁部に対して直交する断面L字状の連結壁部によって連結されている、請求項4に記載の車両用ペダルブラケット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用ペダルブラケットに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、車両用のブレーキペダルやクラッチペダルを揺動自在に支持する車両用ペダルブラケットが提案され、実用化されている。近年においては、構造の軽量化を図る目的で、樹脂で成形した車両用ペダルブラケットが提案されている(例えば、特許文献1〜3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−185632号公報
【特許文献2】特開2003−165426号公報
【特許文献3】特開2003−237417号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1〜3に記載されたような従来の樹脂製の車両用ペダルブラケットは、その形状が最適化されておらず、さらなる軽量化及び高強度化の余地があった。
【0005】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、樹脂製の車両用ペダルブラケットの形状を最適化することにより、さらなる軽量化及び高強度化を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するため、本発明に係る車両用ペダルブラケットは、車両用ペダルの揺動軸を揺動自在に支持する軸受孔が設けられた一対の軸受部と、車両の所定部位に取り付けられる基部と、を備え、樹脂によって一体成形されてなるものであって、各軸受部は、各軸受孔から基部へと至る部位が中空部とされており、各軸受孔を形成する部位の外側の少なくとも一部及び各中空部の外側の少なくとも一部には、揺動軸の軸方向に対して直交する2つの隣接する平面に沿って各々形成された一対の補強用フランジ部が設けられているものである。
【0007】
かかる構成を採用すると、各軸受部の軸受孔から基部へと至る部位が中空部とされているため、軽量化を図ることができる。また、各軸受孔を形成する部位の外側の少なくとも一部及び各中空部の外側の少なくとも一部には、揺動軸の軸方向に対して直交する2つの隣接する平面に沿って各々形成された一対の補強用フランジ部が設けられているため、軸受孔及び中空部を効果的に補強することができ、所要の強度を確保することができる。
【0008】
本発明に係る車両用ペダルブラケットにおいて、各軸受孔寄りの部位の容積が基部寄りの部位の容積よりも小さくなるように各中空部を形成することができる。
【0009】
かかる構成を採用すると、軸受孔寄りの部位の中空部の容積を比較的小さくすることにより、軸受孔を形成する部位の強度の低下を抑制することができる。
【0010】
本発明に係る車両用ペダルブラケットにおいて、各中空部の間に、各中空部を繋ぐ連結中空部を基部寄りの位置に形成することができる。
【0011】
かかる構成を採用すると、各中空部の間の基部寄りの位置に、各中空部を繋ぐ連結中空部を形成しているため、更なる軽量化を図ることができる。
【0012】
本発明に係る車両用ペダルブラケットにおいて、各中空部の少なくとも一部を、揺動軸の軸方向に対して直交する第一壁部と、第一壁部よりも軸方向外側に所定の間隔をおいて平行に配置された第二壁部と、第一壁部と第二壁部とを連結する第三壁部と、によって形成することができる。
【0013】
かかる構成を採用すると、各中空部の少なくとも一部を、相互に平行な二枚の壁部(第一壁部及び第二壁部)と、これらを連結する壁部(第三壁部)と、により形成しているため、比較的高い強度を確保することができる。
【0014】
本発明に係る車両用ペダルブラケットにおいて、各中空部を形成する第一壁部同士を、第一壁部に対して直交する断面L字状の連結壁部によって連結することができる。
【0015】
かかる構成を採用すると、各軸受部の各中空部を形成する第一壁部同士を、第一壁部に対して直交する断面L字状の連結壁部によって連結することができる。よって、各軸受部同士が比較的強固に連結されることとなる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、樹脂製の車両用ペダルブラケットの形状を最適化することにより、さらなる軽量化及び高強度化を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施形態に係る車両用ペダルブラケットの正面側斜視図である。
図2】本発明の実施形態に係る車両用ペダルブラケットの背面側斜視図である。
図3】本発明の実施形態に係る車両用ペダルブラケットの正面図である。
図4】本発明の実施形態に係る車両用ペダルブラケットの背面図である。
図5】本発明の実施形態に係る車両用ペダルブラケットの平面図である。
図6】本発明の実施形態に係る車両用ペダルブラケットの底面図である。
図7】本発明の実施形態に係る車両用ペダルブラケットの右側面図である。
図8】本発明の実施形態に係る車両用ペダルブラケットの左側面図である。
図9】本発明の実施形態に係る車両用ペダルブラケットにクラッチペダルを取り付けた状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。なお、以下の実施形態はあくまでも好適な適用例であって、本発明の適用範囲がこれに限定されるものではない。
【0019】
最初に、図1図8を用いて、本発明の実施形態に係る車両用ペダルブラケット1の構成について説明する。
【0020】
本実施形態に係る車両用ペダルブラケット1は、クラッチペダル100(図9)を支持した状態で車両の所定部位に取り付けられるクラッチペダルブラケットとして機能するものであり、樹脂によって一体成形されてなるものである。車両用メダルブラケット1の材料となる樹脂としては、ポリアミド、ポリアセタール、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ABS樹脂、AS樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート、変性ポリフェニレンエーテル、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリスルホン、ポリフェニレンスルファイド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリイミド、ポリエーテルイミド、フッ素樹脂、液晶ポリマー、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ポリウレタン等を採用することができる。
【0021】
また、耐熱性や機械的強度等を向上させる目的で、必要に応じて無機又は有機の充填材を熱可塑性樹脂に配合することができる。好適な充填材としては、ガラス繊維、炭素繊維、金属繊維、アラミド繊維、チタン酸カリウム、炭化ケイ素、セラミック、窒化ケイ素、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、カオリン、クレ−、パイロフィライト、ベントナイト、セリサイト、ゼオライト、マイカ、雲母、ネフェリンシナイト、タルク、アタルパルジャイト、ウオラストナイト、PMF、フェライト、ケイ酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ドロマイト、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化鉄、二流化モリブデン、黒鉛、石膏、ガラスビ−ズ、ガラスバル−ン、石英、石英ガラス等の強化充填材を挙げることができ、これらは中空であっても良い。また、これらの強化充填材は2種以上を併用することが可能であり、必要によりシラン系、チタン系等のカップリング剤で予備処理して使用する事ができる。これらの中でも、強度、成形性、コストのバランスがよいといった観点からすれば、ポリアミド66にガラス繊維を重量比較30〜50%添加したものを用いることが好ましい。車両用ペダルブラケット1は、射出成形法や3Dプリンタ等を用いて一体成形することができる。
【0022】
車両用ペダルブラケット1は、図1図8に示すように、クラッチペダル100の揺動軸110(図9)を揺動自在に支持する軸受孔11が設けられた一対の軸受部10と、車両の所定部位に取り付けられる基部20と、を備えている。基部20には、車両固定用の部材を挿通させるための挿通孔21が複数設けられている。
【0023】
各軸受部10は、各軸受孔11から基部20へと至る部位が中空部30とされており、各中空部30は、各軸受孔11寄りの部位の容積が基部20寄りの部位の容積よりも小さくなるように形成されている。各中空部30の少なくとも一部は、揺動軸110(図9)の軸方向に対して直交する第一壁部31と、第一壁部31よりも軸方向外側に所定の間隔をおいて平行に配置された第二壁部32と、第一壁部31と第二壁部32とを連結する第三壁部33と、によって形成されている。各中空部30を形成する第一壁部31同士は、第一壁部31に対して直交する断面L字状の連結壁部34によって連結されている。また、各中空部30の間には、各中空部30を繋ぐ連結中空部35が基部20寄りの位置に形成されている。
【0024】
各軸受孔11を形成する部位の外側の少なくとも一部及び各中空部30の外側の少なくとも一部には、揺動軸110の軸方向に対して直交する2つの隣接する平面に沿って各々形成された一対の補強用フランジ部40が設けられている。
【0025】
次に、図9を用いて、本実施形態に係る車両用ペダルブラケット1の使用方法について説明する。
【0026】
まず、クラッチペダル100の揺動軸110を、車両用ペダルブラケット1の軸受部10の軸受孔11に揺動自在に取り付けることにより、図9に示すように車両用ペダルブラケット1にクラッチペダル100を揺動自在に支持させる。次いで、車両用ペダルブラケット1の基部20に設けられた挿通孔21に車両固定用の部材(ネジやボルト等)を挿通させて、車両用ペダルブラケット1を車両の所定部位に固定する。
【0027】
以上説明した実施形態に係る車両用ペダルブラケット1においては、各軸受部10の軸受孔11から基部20へと至る部位が中空部30とされているため、軽量化を図ることができる。また、各軸受孔11を形成する部位の外側の少なくとも一部及び各中空部30の外側の少なくとも一部には、揺動軸110の軸方向に対して直交する2つの隣接する平面に沿って各々形成された一対の補強用フランジ部40が設けられているため、軸受孔11及び中空部30を効果的に補強することができ、所要の強度を確保することができる。
【0028】
また、以上説明した実施形態に係る車両用ペダルブラケット1においては、軸受孔11寄りの部位の中空部30の容積を比較的小さくしているので、軸受孔11を形成する部位の強度の低下を抑制することができる。
【0029】
また、以上説明した実施形態に係る車両用ペダルブラケット1においては、各中空部30の間の基部20寄りの位置に、各中空部30を繋ぐ連結中空部35を形成しているため、更なる軽量化を図ることができる。
【0030】
また、以上説明した実施形態に係る車両用ペダルブラケット1においては、各中空部30の少なくとも一部を、相互に平行な二枚の壁部(第一壁部31及び第二壁部32)と、これらを連結する壁部(第三壁部33)と、により形成しているため、比較的高い強度を確保することができる。
【0031】
また、以上説明した実施形態に係る車両用ペダルブラケット1においては、各軸受部10の各中空部30を形成する第一壁部31同士を、第一壁部31に対して直交する断面L字状の連結壁部34によって連結しているので、各軸受部10同士が比較的強固に連結されることとなる。
【0032】
なお、以上の実施形態においては、クラッチペダル100を支持するクラッチペダルブラケットに本発明を適用した例を示したが、ブレーキペダルを支持するブレーキペダルブラケットに本発明を適用することもできる。
【0033】
本発明は、以上の実施形態に限定されるものではなく、かかる実施形態に当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。すなわち、前記実施形態が備える各要素及びその配置、材料、条件、形状、サイズ等は、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、前記実施形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【符号の説明】
【0034】
1…車両用ペダルブラケット
10…軸受部
11…軸受孔
20…基部
30…中空部
31…第一壁部
32…第二壁部
33…第三壁部
34…連結壁部
35…連結中空部
40…補強用フランジ部
100…クラッチペダル(車両用ペダル)
110…揺動軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9