(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6530710
(24)【登録日】2019年5月24日
(45)【発行日】2019年6月12日
(54)【発明の名称】スタッキングラインシステム、及びブランキングシャーもしくはブランキングプレスからアウトプットされるブランクのスタッキング方法
(51)【国際特許分類】
B25J 13/00 20060101AFI20190531BHJP
B21D 43/00 20060101ALI20190531BHJP
B21D 43/18 20060101ALI20190531BHJP
B21D 43/22 20060101ALI20190531BHJP
【FI】
B25J13/00 Z
B21D43/00 A
B21D43/18 C
B21D43/22 B
【請求項の数】27
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2015-516487(P2015-516487)
(86)(22)【出願日】2012年6月15日
(65)【公表番号】特表2015-523224(P2015-523224A)
(43)【公表日】2015年8月13日
(86)【国際出願番号】EP2012061414
(87)【国際公開番号】WO2013185834
(87)【国際公開日】20131219
【審査請求日】2015年4月14日
【審判番号】不服2017-22(P2017-22/J1)
【審判請求日】2017年1月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】502236817
【氏名又は名称】アーベーベー・シュヴァイツ・アクチエンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】セグラ ゴロロンス, マルク
(72)【発明者】
【氏名】カサネリェス モイス, ラモン
【合議体】
【審判長】
栗田 雅弘
【審判官】
西村 泰英
【審判官】
篠原 将之
(56)【参考文献】
【文献】
特開2008−264861(JP,A)
【文献】
特開平3−245984(JP,A)
【文献】
特開平5−200685(JP,A)
【文献】
特開平11−10564(JP,A)
【文献】
特開昭63−127920(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 1/00-21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブランキングシャー又はブランキングプレスからアウトプットされるブランクをスタッキングするための、スタッキングラインシステムであって、
前記ブランキングシャー又はブランキングプレスからアウトプットされるブランクを受けるための移送ユニット;
ブランクをその上にスタッキングするための少なくとも1つのスタッキング支持体;
少なくとも2つの産業用ロボットであって、少なくとも、
各ロボットが、前記移送ユニットからブランクをスタッキング支持体上に置くためにピックする単独動作モードと
少なくとも2つの前記ロボットのグループが、前記移送ユニットからブランクをスタッキング支持体上に置くためにピックするように同一のブランクに対して同時に作業する協調動作モードとで動作可能であるように、前記移送ユニットに対して配置される、産業用ロボット;並びに、
前記産業用ロボットを、前記ブランクの前記ブランキングシャーもしくはブランキングプレスからのアウトプットレートに応じて、前記単独動作モード又は前記協調動作モードで動作させるように適合される、ロボット制御手段
を含む、スタッキングラインシステム。
【請求項2】
前記ロボットのグループは2つのロボットにより構成される、請求項1に記載のスタッキングラインシステム。
【請求項3】
前記移送ユニット上のブランクの位置を検出するように構成される人工視覚ユニットをさらに含む、請求項1又は2に記載のスタッキングラインシステム。
【請求項4】
前記産業用ロボットの少なくとも一部は、少なくとも4つの軸を備えるシリアルロボットである、請求項1から3のいずれか一項に記載のスタッキングラインシステム。
【請求項5】
前記産業用ロボットの少なくとも一部はパラレル運動マニピュレータを含み、前記パラレル運動マニピュレータの各々は、第1の固定素子、第2の可動素子、及び少なくとも3つのアームを含み、前記アームの各々は、駆動手段により作動される第1のアーム部分と第2のアーム部分とを含み、前記第2のアーム部分は前記可動素子に連結されるリンク構成を含む、請求項1から4のいずれか一項に記載のスタッキングラインシステム。
【請求項6】
前記パラレル運動マニピュレータの少なくとも一部において、前記第1の固定素子は平行のトラックを含み、前記第2の可動素子は手首部マウントを含み、前記アームの各々は、前記トラックの1つに沿って変位可能なキャリッジ、及び前記キャリッジと前記手首部マウントとの間に連結されるリンクを含む、請求項5に記載のスタッキングラインシステム。
【請求項7】
前記パラレル運動マニピュレータの少なくとも一部において、前記第1の固定素子は少なくとも1つの軸を含み、前記第2の可動素子は手首部マウントを含み、前記アームの各々は、前記第1の固定素子の軸の周囲を回転可能な第1のアーム部分、及び前記第1のアーム部分と前記手首部マウントとの間に連結されるリンクを含む、請求項5又は6に記載のスタッキングラインシステム。
【請求項8】
前記ロボットの少なくとも一部は天井設置される、請求項1から7のいずれか一項に記載のスタッキングラインシステム。
【請求項9】
前記ロボットは前記移送ユニットの実質的に上方に配置される、請求項8に記載のスタッキングラインシステム。
【請求項10】
前記移送ユニットは受け位置から搬送パスに沿って前記ブランクを搬送し、前記ロボットは、前記搬送パスの上方に前記搬送パスに実質的に位置合わせされて配置される、請求項9に記載のスタッキングラインシステム。
【請求項11】
少なくとも2つは前記移送ユニットの一方の側に配置され、少なくとも2つは前記移送ユニットの他方の側に配置される、少なくとも4つの産業用ロボットを含み、前記移送ユニットの同じ側にあるロボットの1ペアは前記協調動作モードで協働できる、請求項1から8のいずれか一項に記載のスタッキングラインシステム。
【請求項12】
前記ロボットが単独動作モードで動作するように設定される場合に、各ロボットに関連付けられる2つのスタッキング支持体を含み、前記ロボット及び前記スタッキング支持体は、各ロボットが、各ロボットに関連付けられる2つのスタッキング支持体のいずれかの上にブランクを置くことができるように構成される、請求項1から11のいずれか一項に記載のスタッキングラインシステム。
【請求項13】
2つのスタッキング支持体を含み、各ロボットがブランクを前記2つのスタッキング支持体の両方に置くことができるように、前記2つのスタッキング支持体は、前記ロボットが単独動作モードで動作するように設定される場合に、少なくとも2つのロボットによって共用される、請求項1から12のいずれか一項に記載のスタッキングラインシステム。
【請求項14】
前記ロボットが協調動作モードで動作するように設定される場合に、各ロボットのグループに関連付けられる2つのスタッキング支持体を含み、前記ロボット及びスタッキング支持体は、各ロボットのグループが、各ロボットに関連付けられる2つのスタッキング支持体のいずれかの上にブランクを置くことができるように構成される、請求項1から13のいずれか一項に記載のスタッキングラインシステム。
【請求項15】
前記移送ユニットは、リニアコンベヤを含み、前記産業用ロボットの各々又は前記産業用ロボットのグループの各々が前記ブランクをスタッキング支持体上に置くために前記ブランクを搬送パスに沿った位置で前記リニアコンベヤからピックするように、前記リニアコンベヤは、前記ブランクを搬送パスに沿って搬送するように構成される、請求項1から14のいずれか一項に記載のスタッキングラインシステム。
【請求項16】
前記移送ユニットの表面は静止している、請求項1から15のいずれか一項に記載のスタッキングラインシステム。
【請求項17】
前記移送ユニットは、少なくとも1つの受けロボットであって、前記受けロボットの各々は、前記ブランキングシャー又はブランキングプレスからブランクを受ける受け位置から移動するように構成される、受けロボットと、前記産業用ロボットもしくは前記産業用ロボットのグループのうちの1つが前記ブランクをスタッキング支持体上に置くために前記受けロボットから前記ブランクをピックする、少なくとも1つの送達位置とを含む、請求項1から16のいずれか一項に記載のスタッキングラインシステム。
【請求項18】
前記移送ユニットは2つの受けロボットを含み、前記2つの受けロボットの各々は、共用の受け位置から少なくとも1つの送達位置へと移動するように構成され、前記2つの受けロボットの前記送達位置は異なる、請求項17に記載のスタッキングラインシステム。
【請求項19】
前記受けロボットは4軸シリアルロボットである、請求項17又は18に記載のスタッキングラインシステム。
【請求項20】
前記移送ユニットは、受け位置と少なくとも1つの送達位置との間を移動するように構成される少なくとも1つのシャトルを含み、前記産業用ロボット又は前記産業用ロボットのグループは、前記ブランクをスタッキング支持体上に置くために、送達位置にある前記シャトルから前記ブランクをピックする、請求項1から19のいずれか一項に記載のスタッキングラインシステム。
【請求項21】
前記移送ユニットは、受け位置と2つの異なる送達位置との間を交互に移動するように構成されるシャトルを含む、請求項20に記載のスタッキングラインシステム。
【請求項22】
前記移送ユニットは2つのシャトルを含み、前記2つのシャトルの各々は、前記2つのシャトルにとって共用の受け位置と前記2つのシャトルにとって異なる送達位置との間を往復動するように構成される、請求項20に記載のスタッキングラインシステム。
【請求項23】
前記シャトルは、前記受け位置と前記送達位置との間で往復動するリニアシャトルを含む、請求項20から22のいずれか一項に記載のスタッキングラインシステム。
【請求項24】
前記シャトルは、前記受け位置と前記送達位置との間で回転する回転シャトルを含む、請求項20から23のいずれか一項に記載のスタッキングラインシステム。
【請求項25】
前記移送ユニットは、2つの位置間を移動するシャトルであって、前記2つの位置の各々で、ロボット又はロボットのグループによって、一方のブランクが前記シャトル上で受けられ他方のブランクが前記シャトルからピックされるように、2つのブランク用に適切な寸法を有するシャトルを含む、請求項20に記載のスタッキングラインシステム。
【請求項26】
ブランキングシャー又はブランキングプレスからアウトプットされるブランクをスタッキングする方法であって、
少なくとも2つの産業用ロボットと、前記ロボットを動作させてラインからアウトプットされるブランクをピックさせ少なくとも1つのスタック上に置かせるための制御手段とを提供すること、並びに、
前記ブランクの前記ブランキングシャーもしくはブランキングプレスからのアウトプットレートに応じて、
各ロボットが前記ラインからアウトプットされるブランクをスタック上に置くために当該ブランクを把持及びピックする、単独動作モードで、前記産業用ロボットを動作させる、又は、
前記ラインからアウトプットされる同一のブランクをスタック上に置くために当該同一のブランクを把持及びピックするように前記ロボットのグループが同時に作業する、協調動作モードで、前記産業用ロボットを動作させることを含む、方法。
【請求項27】
前記アウトプットレートが、単位時間あたりにアウトプットされるブランクの数により定義される場合、前記制御手段は、前記アウトプットレートが既定値未満のときに、2つのロボットからなるグループを協調動作モードで動作させる、請求項26に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブランキングシャー又はブランキングプレスからアウトプットされるブランクを受けるための移送ユニットと、ブランクをその上で支持するスタッキングとを含む、スタッキングラインシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば車両部品などのスタンプされる又はプレスされる金属部品の製造中、別個のブランキングラインで事前に金属コイルから切削された金属ブランクが、プレスに供給され得る。ブランクは、所定の長さもしくは台形形状を有する単純な金属シート(ブランキングシャーによるシャー切削)、又は、より複雑な外形、カットアウトなど(打ち抜きダイによるブランキングプレスでの形切断)であり得る。最近では鋸歯状の縁を含むブランクも、シャー又はプレスで生産され得る。
【0003】
ブランキングシャー又はブランキングプレスで生産されるブランクは、後でスタッキングラインから離れて移動されて1つずつプレスラインに供給されるために、又は、保存されて後に使用されもしくは別の生産サイトに搬送されるために、スタッキングパレット、トロリー、カートもしくは同様の支持体に整然とスタックされねばならない。ブランクのスタックに2つのパレット、トロリー、又はカートを使用することで、連続的な動作が可能となる。
【0004】
スタッキングプロセスにおいて考慮すべき一態様として、ブランキングラインにおける生産性は、特に比較的小さい部品の場合は非常に高いのが通例であり、例えば長さが1m未満の小さなブランクでは毎分60ブランクを容易に達成するが、長さが2〜4m程度のブランクの場合は毎分20ブランクのレートでアウトプットされることとなる。
【0005】
スタッキングプロセスに関連する他の課題は、様々な材料、形状、重量、アウトプットレートなど、プロセスとシステムとが適応しなければならないブランクの多様性であり、スタッキングパレットにおけるブランクの位置決めに正確性が要求されることである。
【0006】
従来、ブランクは打ち抜きダイもしくはシャーからの排出後に1つずつピックされ、磁気及び/又は真空カップコンベヤシステムを使用して、スタッキングパレット上に落とされる。
【0007】
ブランクはピックされて磁気もしくは真空コンベヤシステムから吊られ、コンベヤシステムはブランクを中央位置に搬送し、ここでブランクはセンタリングシステムによって中央に置かれ、磁気もしくは真空システムによって解放されてスタック上に落下するが、この動きには、各ブランクの特定の形状に関連して、ブランクが正しい位置に到達するようにガイドユニットによる誘導が必要である。スタック上に既にあるブランクの数にかかわらず、ブランクがスタックされるテーブルまたはパレットは、ブランクが適切な高さを起点として解放されるように、漸進的に低くなっている。
【0008】
このような既知のシステムでは、要求されるセンタリングを提供することが複雑となる場合が少なくとも幾つかはあり得、しかも、このようなシステムを幾つかの異なるブランク寸法や重量に適応させることは大幅な変更を必要とするかもしれず、費用及び/又は時間の浪費である。
【0009】
本発明は、上述の欠点が少なくとも部分的に解決されるような、ブランキングシャーもしくはブランキングプレスから供給されるブランクのためのスタッキングラインシステム又はスタッキングを提供することを目的とする。
【発明の概要】
【0010】
本発明の第1の態様によれば、ブランキングシャー又はブランキングプレスからアウトプットされるブランクをスタッキングするためにスタッキングラインシステムが提供され、前記スタッキングラインシステムは、
ブランキングシャー又はブランキングプレスからアウトプットされるブランクを受けるための移送ユニット;
ブランクをその上にスタッキングするための少なくとも1つのスタッキング支持体;
少なくとも2つの産業用ロボットであって、
該移送ユニットに対して配置されて、少なくとも、
各ロボットが、前記移送ユニットからブランクをスタッキング支持体上に置くためにピックする単独動作モードと
少なくとも2つの前記ロボットの1グループが、前記移送ユニットからブランクをスタッキング支持体上に置くためにピックするように同一のブランクに対して同時に作業する協調動作モードと
で動作可能な、産業用ロボット;並びに、
該産業用ロボットを、ブランクのサイズ、ブランクの重量、ブランクのブランキングシャーもしくはブランキングプレスからのアウトプットレート、及び/又はこれらの組み合わせに関連するパラメータに応じて、単独動作モード又は協調動作モードで動作させるように適合される、ロボット制御手段
を含む。
【0011】
単独もしくは協調動作モードで動作可能な産業用ロボットの使用により、単一のロボットでは適切なサイズ、パワー、及びスピードで取り扱えないブランクを含む、異なるサイズ、重量、及びアウトプット/搬送レートを有する幅広いブランクに適合可能となるので、スタッキングラインに柔軟性が生まれる。
【0012】
さらに、ロボットを変更する必要がないため、従来型の磁気もしくは真空式ラインと比較して、あるブランクから別のブランクへのラインの適合を要する変更も少ない作業及び短いダウンタイムで済み、ごく単純な誘導システムの適合で十分であるか又はそれさえ不要となり得る。例えばスタックされるブランクの下の空気層の影響のため、ロボットに何らかの誘導が要求され、この空気層はブランクがほぼスタック上にあるときにわずかな横方向の移動を引き起こし得る。
【0013】
追加の利点は、産業用ロボットがブランクを単純な方式で正確にスタッキングするのに適しているということである。例えば、ロボットが各ブランクを最適な高さで解放するように動作可能であるので、垂直移動を伴うスタッキングテーブル又はパレットの設置が不要となる。
【0014】
本明細書において「産業用ロボット」という表現は、自動制御式であり、再プログラム可能な、多目的用の、3軸以上のマニピュレータプログラム可能なものであって、位置に固定される又は可動であって産業用オートメーション用途に使用され、ISO8373において国際標準化規格に規定されるようなロボットを指す。
【0015】
本発明のさらなる態様では、ブランキングシャー又はブランキングプレスからアウトプットされるブランクをスタッキングするための方法が提供される。
【0016】
当業者には、本発明の実施形態のさらなる目的、利点、及び特長が、本明細書の精読によって明らかとなるあるいは本発明の実施によって獲得されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
本発明の特定の実施形態が、非限定的な例として、添付図面を参照し以下に記載される。
【0018】
【
図1】ブランキングシャー又はブランキングプレスからアウトプットされ得る、ブランキング形状の幾つかの例を示す概略図である。
【
図2】本発明の一実施形態による、単独モードで動作するロボットを含むスタッキングラインシステムの斜視図である。
【
図3】協調モードで動作するロボットを含む、
図1のスタッキングラインシステムの斜視図である。
【
図4】本発明の別の実施形態による、単独モードで動作するロボットを含むスタッキングラインシステムの斜視図である。
【
図5】協調モードで動作するロボットを含む、
図4のスタッキングラインシステムの斜視図である。
【
図6】
図2及び
図3のものと同様のスタッキングラインシステムの斜視図であるが、移送ユニットの実施形態が異なる。
【
図7】
図2及び
図3のものと同様のスタッキングラインシステムの斜視図であるが、移送ユニットの実施形態がさらに異なる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
ブランキングシャーもしくはブランキングプレスでは、矩形もしくは台形のブランクが金属コイルからのシャーによって切削され、より複雑な形状もまたブランキングダイによって作成される。これらのブランクは、例えばプレスラインなどにおいて後でさらなる動作が実施され得る、ワークピースである。このため、ブランキングシャーもしくはブランキングプレスからアウトプットされるブランクは、ブランキングシャーもしくはブランキングプレスに隣接して配置されるスタッキングラインにスタックされる。
【0020】
図1は、ブランキングシャー又はブランキングプレスからアウトプットされ得る、幾つかのブランクを例示的に示す。
【0021】
図2は、ブランキングシャーもしくはブランキングプレスからアウトプットされるブランクをスタッキング支持体上にスタックするために、ブランキングシャーもしくはブランキングプレスの排出口に配置され得る、本発明の一実施形態によるスタッキングラインを示す。
【0022】
具体的には、
図2は、ブランキングシャーもしくはブランキングプレスから矢印の方向にアウトプットされるブランク100を受ける移送ユニット2を概略的に示し、ここから産業ロボットがブランク100を、後述のようにスタックするためにピックする。
【0023】
移送ユニット2は例えば、すべてのブランクが受けられて同じ方向にピックされる
図2に示すような静止表面であってもよく、ブランク100を搬送パスに沿って搬送するように配置されてここからブランクがロボットによってピックされるリニアコンベヤであってもよい。移送ユニット2のさらなる実施形態については後述する。
【0024】
システムは、ブランクが後で別の生産ラインに搬送されてさらに処理されるように、ブランクをその上にスタッキングするためのスタッキング支持体3も含み得る。スタッキング支持体3は任意の既知のタイプであり得るため、図中では概略的にのみ示してある。
【0025】
搬送パスの各側又は搬送パスの上方には2つの産業用ロボット、この例では、少なくとも4つの軸(
図2では6つの回転軸)を含む2つのシリアルロボット(5a、5b、5c、5d)が存在し得る。各ロボットは、ブランク100の取り扱いに適した例えば既知の真空又は磁気ツールなどのツール6を担持する。
【0026】
図示のように、ロボットは障害となりにくいよう天井設置され得る。
【0027】
図2及び
図3のようなスタッキングラインシステムに用いられ得るシリアルロボットの一例は、ABB(www.abb.com)から入手可能なIRB6620である。
【0028】
ロボット5a、5b、5c及び5dは、制御手段(図示せず)によって制御され、移送ユニット2からブランク100をそれぞれピックし、関連付けられたスタッキング支持体3上に置くことができる。ロボットのこの動作は本明細書では「単独動作モード」と称される。
【0029】
これは例えば
図2に示す下記のような所定のシーケンスで行われ得る。
ロボット5aはブランク100を移送ユニット2からピックしている;
ロボット5bは前のブランク100をピックしてスタッキング支持体3の方へ移動させている;
ロボット5cはブランクを、関連するスタッキング支持体3上に置いている;
ロボット5dはブランク100を関連するスタッキング支持体に置き、次のブランクをピックしに戻っている。
【0030】
ブランクがピックされる移送ユニット2上の位置は、すべてのロボット5a、5b、5c及び5dに対して同じであってもよく、あるいは例えば移送ユニット2がリニアコンベヤである場合は、異なるロボットに対して異なるピック位置が存在してもよい。
【0031】
制御手段がブランクの正確な位置を知るよう、移送ユニット2上のピック位置に関連して、ロボット制御手段に連結される人工視覚ユニット7が存在し得る。これによって、各ブランクが望ましい正確性で移送ユニット2からピックされその後スタッキング支持体3上に置かれることが保障され得る。
【0032】
人口視覚7ユニットは、ブランクがブランキングシャー又はブランキングプレスから受けられる位置に配置され、移送ユニットがコンベヤである場合、システムは、コンベヤに関連付けられるエンコーダなど既知の手段をさらに含み、コンベヤ上を進むブランクの位置を制御し得る。したがって各ロボットは移動するコンベヤ上の適切な位置でブランクをピックするので、コンベヤを停止させる必要がない。
【0033】
図3は、より大きい及び/又はより重いブランク200に適した移送ユニット2及び動作状態のロボット5a、5b、5c、5dを示し、ここで2つのロボットは協働するように制御手段によって制御される。
【0034】
この場合、図示のように、移送ユニット2の一方の側のロボット5a、5cのペア、及び移送ユニット2の他方の側のロボット5b、5dのペアは協調するように制御され、ロボットの各ペアがブランク200に対して同時に作動して、ブランク200を移送ユニット2からピックしスタッキング支持体3上に置く。2つのロボットが各ブランクを移動させるために協働するこの動作は、本明細書では「協調動作モード」と称される。
【0035】
図3では、ロボット5a及び5cが移送ユニット2からブランク200をピックしており、ロボット5b及び5dは前にピックしたブランク200をスタッキング支持体3上に置いている。
【0036】
ロボットを協調的に動作させる制御ユニットは例えば、ABB社(www.abb.com)から入手可能なMultiMove機能を含むものであり得る。MultiMoveは、例えばABB社のIRC5制御モジュールに組み込まれた機能であって、幾つかのマニピュレータが単一のロボットのように働くよう制御できる。
【0037】
スタッキングラインの動作例は後述される。
【0038】
ブランキングシャーもしくはブランキングプレス(図示せず)において比較的軽量及び/又は小さい、例えば20kgブランクなどが生産されて毎分60ブランクがアウトプットされる場合、4つのロボット5a、5b、5c、5dは単独作業モードで動作されて、各ロボットがブランキングシャーもしくはブランキングプレスからアウトプットされるブランクの4つに1つをピックしてスタックする。
【0039】
これは、各ロボットが毎分15ブランクをピックしてスタックし、したがって1ブランクにつき4秒を有することを意味する。20kgは比較的軽量であるので、比較的小さく速いロボットがシステムにおいて用いられ得るが、これはこのサイクルタイムにおける作業では十分な速さであり得る。
【0040】
ブランキングシャーもしくはブランキングプレスにおいて、例えば40kgブランクなどのより重い及び/又は大きなブランクが生産される場合、アウトプットレートはより小さく、例えば毎分20ブランクとなるのが通例である。この場合、ロボットの各ペアすなわちロボット5a、5b及びロボット5c、5dは、
図3に示すように協調作業モードで動作され、各ペアがブランキングシャーもしくはブランキングプレスからアウトプットされるブランクの2つに1つをピックしてスタックする。
【0041】
これは、各ロボットが毎分10ブランクをピックしてスタックし、したがって1ブランクにつき6秒を有することを意味する。
【0042】
図4及び
図5はスタッキングラインシステムの別の実施形態を概略的に示し、この場合は、
図2及び
図3のシリアルロボットに代わってパラレル運動マニピュレータ(PKM)が産業用ロボットとして用いられる。これら両方の実施形態に共通のフィーチャには同じ参照番号が付され、これ以上詳細には説明されない。
【0043】
図4は、単独動作モードで作業する4つのパラレル運動マニピュレータ(PKM)50a、50b、50c、及び50dを示し、各PKMは、
図3のシリアルロボットによって実施されるのと同様のシーケンスでブランク100を移送ユニット2からピックしてスタッキング支持体3上に置く。
【0044】
パラレル運動マニピュレータ(PKM)は低慣性ロボットであって、シリアルロボットよりも動作において高速であることができる。
【0045】
より詳細には、PKMは、第1の固定素子と第2の可動素子と少なくとも3つのアームとを一般的に含むマニピュレータである。各アームは第1のアーム部分と第2のアーム部分とを含み、第2のアーム部分は可動素子に接続されるリンク構成を含む。第1のアーム部分の各々は駆動手段によって作動され、駆動手段は移動質量を減らすために固定素子に配置されることが好ましい。リンク構成は、手首部のマニピュレート時に、支持している第1のアーム部分の作動に起因する力を伝達する。
【0046】
この設計により、高度な荷重容量、高い剛性、高い固有振動数及び軽量性が付与される。
【0047】
図4で50cの参照番号で示されるPKMのように、この実施例で各マニピュレータは、3つのキャリッジ61を含み、各キャリッジはリニアモータ(図示せず)により駆動されて3つの平行トラック62cのうちの1つに対して摺動し、3つのキャリッジ61は対応するリンク64により球形ジョイントを介して共通の手首部マウント63に連結され、ブランクをハンドリングするツール6が手首部マウント63に取り付けられる。
【0048】
この実施形態で、トラック62はPKMの固定素子であり、手首部マウント63は可動素子であり、キャリッジ61及びリンク64はPKMのアームの2つの部分をそれぞれ形成する。
【0049】
キャリッジ61の各々の対応するトラックに沿ってキャリッジ61の位置を変化させることによって、手首部マウント63が様々な位置に高速かつ確実な方式で変移され得ることを理解されたい。
【0050】
図4及び
図5では、PKMがごく概略的にのみ示されていることに留意すべきである。PKMの構造、細部及び動作パラメータは当業者には既知であり、いかなる特定の応用に対しても、最適なフィーチャを伴ってPKMを用いることが可能であろう。例えば、PKMの各リンク64はシングル、ダブル、トリプル・・・又はこれらの組み合わせであり得、同様に、トラック62のレイアウトは、特定の応用の各々において手首部63がとるべき位置及び利用可能な空間に基づいて決定され得る。PKMの3つのトラック62は平行であるが同一平面上である必要はなく、システムのレイアウトにおいて適切であれば垂直に配置されてもよい。
【0051】
単独動作モードでは、PKM50a〜50dは
図4に示すような所定のシーケンスに従う。
PKM50aはブランク100を移送ユニット2からピックしている;
PKM50bは前のブランク100をピックしてスタッキング支持体3の方へ移動させている;
PKM50cはブランクを、関連するスタッキング支持体3上に置いている;
PKM50dはブランク100を関連するスタッキング支持体に置き、次のブランクをピックしに移送ユニット2の方へと戻っている。
【0052】
シリアルロボットを用いた実施形態と同様、50a、50b、50、及び50dのすべてのPKMは、ブランクを移送ユニット2上の同じ位置でピックしてもよく、異なるピック位置でピックしてもよい。
【0053】
図4のロボットは
図5に示すように協調動作モードでも動作し得る。移送ユニット2の一方の側のロボット50a、50cのペア、及び移送ユニット2の他方の側のロボット50b、50dのペアは、各ペアがブランク200に対して同時に作動して、ブランク200を移送ユニット2からピックしスタッキング支持体3上に置くように、協調するよう制御される。図では、ロボット50a及び50cが移送ユニット2からブランク200をピックしており、ロボット50b及び50dは前にピックしたブランク200をスタッキング支持体3上に置いている。
【0054】
図4及び
図5に示すPKMロボットを、他の任意適切な種類のPKMに替えてもよいことに留意されたい。例えば、一又は複数の軸と3つ以上のアームとを含む第1の固定素子を有する、例えば特許文献WO03/066289に記載のタイプであってもよい。各アームは、回転モータにより駆動されて前記軸のうちの1つの周囲を回転する第1のアーム部分と、第1のアーム部分と手首部マウントとの間に連結されて第2の可動素子を形成するリンクとを有する。
【0055】
この種のPKMは、特定の場合に応じて主軸を垂直又は水平にして天井設置することもできる。
【0056】
図4、5のようなリニアPKM及びWO03/066289のような回転PKMにおいて、手首部マウントは回転1自由度と対応するアクチュエータとをさらに含み得る。
【0057】
例えば
図2及び
図3の実施形態では移送ユニットの各側に配置される2つのロボットが存在するが、他の実施形態では、天井設置されたロボットが、ブランク搬送パスの上方に、搬送パスにほぼ位置合わせされて配置され得る。
【0058】
例えば移送ユニットがコンベヤである場合、協調動作モードで、搬送方向に数えて最初の2つのロボットが協働してブランクをピックし、第3及び第4のロボットが協働してブランクをピックするように、位置合わせされた4つのロボットがコンベヤの上方に配置され得る。
【0059】
各ロボット又は各ロボットグループに対して2つのスタッキング支持体を配置することがより容易となるように、搬送パス上方にロボットを配置して、搬送パスの側のスタッキング支持体のためにより広く空間を残すことができる。
【0060】
図6及び
図7は、
図2及び
図3のシリアルロボットを用いるスタッキングシステムに応用される、移送ユニット2のさらなる2つの実施形態を示す。
【0061】
図6では移送ユニット2が、静止表面又はリニアコンベヤに替えて、例えば4軸又は6軸シリアルロボットなどの2つの受けロボット8a及び8bを含む。
【0062】
受けロボット8a、8bの各々は、ブランキングシャーもしくはブランキングプレスからアウトプットされるブランク100を受ける中央の共用受け位置から、横の送達位置に移動することができ、図のロボット8aは送達位置にあり、図のロボット8bは共用の受け位置にあることが示されている。ロボット8bにとっての受け位置は、図中、この受け位置に対して右側である。
【0063】
図示のように、2つの受けロボット8a及び8bの送達位置は異なり、ロボット8aは、ロボット5a及び5cのうちの1つ(又は協調モードでは両方)がブランクを受けロボット8aからピックしてスタッキング支持体3上に置くことができるように、ブランク100をロボット5a及び5cの隣の位置に送達し、一方ロボット8bは、ブランクをスタッキングシステムの他方の側におけるロボット5b及び5cの隣の位置に送達する。
【0064】
他の実施形態では、例えばロボットが単独モードで作業している場合、受けロボット8aはブランクを、ロボット5a及び5cのうちのいずれか一方にそれぞれ関連付けられる2つの異なる位置へ送達することが想定され得る。幾つかの実施形態では、協調動作モードの場合、2つのロボット8a及び8bは協働して1つのブランクをロボット5a及び5cのペアへ送達し、後続するブランクをロボット5b及び5dへ送達することも想定され得る。
【0065】
より一般的には、少なくとも1つの受けロボットが配置されて、産業用ロボットのうちの1つ又は産業用ロボットのうちの1グループがブランクをピックする受け位置から、少なくとも1つの送達位置へと移動し、この受けロボットは、異なるロボット又はロボットグループのための異なる送達位置へと移動し得る。
【0066】
このような実施形態で受けロボットとして用いられ得る商品は、ABB(www.abb.com)から入手可能なロボットIRB460又はIRB660である。
【0067】
図2、3、及び6と同様のスタッキングシステムを示す
図7の代替的実施形態では、移送ユニット2が、ブランキングシャー又はブランキングプレスからアウトプットされたブランクを受ける中央受け位置と、中央位置の両側の少なくとも2つの異なる送達位置との間で往復動可能な、シャトル9を含み、単独モード又は協調モードで作業する産業用ロボット5a、5b、5c、5dが、ブランクを送達位置のうちの1つにあるシャトルからピックする。
【0068】
図7は、受け位置と送達位置のうちの1つとの両方にあるシャトル9を示し、ごく概略的にのみ図示されている。
【0069】
他の実施形態で、移送ユニットは
図7のシャトル9のようなシャトルを2つ含み、これら各シャトルは、ブランキングシャー又は打ち抜きダイから出されたブランクを受ける共用の中央受け位置と2つの異なる送達位置との間を動き、一方のシャトルはロボット5a及び5c用に、他方のシャトルはロボット5b及び5d用に機能する。
【0070】
本発明の実施形態において、一又は複数のシャトルは、
図7のようなリニアユニットである代わりに回転ユニットであり得る。この場合各シャトルは、2つの回転シャトルが用いられる場合、共用の受け位置と1つの送達位置との間で回転し得、あるいは代替的に、単一のシャトルが受け位置と2つの異なる送達位置との間を回転し得る。
【0071】
移送ユニットの別の実施形態では、前記2つの位置の各々において、1つのブランクがシャトル上に受けられ、その間に別のブランクがロボット又はロボットグループによってシャトルからピックされるように、2つのブランクに適した寸法のシャトルが設けられ、2つの位置の間で例えば往復動式に又は回転式に移動し得る。すなわち、第1の位置では、シャトルの右側がブランクを受ける受け位置にあり、その間に左側は、ロボットがそれ以前にシャトル上に置かれたブランクをピックする送達位置にある。第2の位置では、シャトルの右側が前記受けられたブランクを送達する送達位置に移動し、その間に左側は新しいブランクを受けるため受け位置に到達している。
【0072】
本発明の実施形態によれば、ブランキングシャー又はブランキングプレスからアウトプットされるブランクをスタッキングする方法は、上記に開示したような少なくとも2つの産業用ロボットと、ラインからアウトプットされるブランクをピックさせスタック上に置かせるように該ロボットを動作するための適切な制御手段とを提供することを含み、該産業用ロボットは、ブランクのサイズ、ブランクの重量、搬送パスに沿ったブランクの搬送レート、及び/又はこれらの組み合わせに関連するパラメータに応じて、上述のように単独動作モード又は協調動作モードで動作され得る。
【0073】
例えばブランクのサイズなどのパラメータが既定値を超える場合、制御はロボットを協調動作モードで作業させ得る。
【0074】
すべてのブランクが所定のシーケンスにしたがいロボットによって移送ユニットからピックされるように、制御手段はロボット又はロボットのグループを所定のシーケンスで動作させる。
【0075】
本発明の幾つか特定の実施形態及び実施例のみが本明細書に記載されたが、他の代替的実施形態及び/又は本発明の応用並びにそれらの等価物が実施可能であることが、当業者には理解されよう。さらに、本発明は、記載された特定の実施形態のすべての可能な組み合わせをも包含する。本発明の範囲は、特定の実施形態によっては限定されず、下記の特許請求の範囲の公正なる理解によってのみ規定されるものである。