【実施例】
【0034】
発明者らは、遺伝子組み換えサイトカイン及び抗原を局所送達するためのキトサンベース溶液の使用の先駆者である[6、38、39、88〜91]。キトサンは、主に甲殻類の外骨格に由来する豊富な天然多糖である[92]。キトサンは、β(1−4)グリコシド結合により連結されたグルコサミン及びN−アセチルグルコサミン単位の非分岐コポリマーである(
図1)。キトサン等の水溶性多糖の使用により、サイトカインを変性させる有機溶媒の使用を回避する。In vivoで、キトサンは、排出可能なグルコサミン及びN−アセチルグルコサミンフラグメントへとリゾチーム、グルコサミニダーゼ、リパーゼ及び他の内在性ヒト酵素によって安全に分解される。分解速度は、キトサン濃度、分子量(MW)、注射量及びN−アセチルグルコサミン:グルコサミン比で制御できる。
【0035】
キトサン溶液は送達されたサイトカインの局所保持及び活性を強化する
発明者らが発表した研究は、単純な粘性のキトサン溶液が、一緒に配合したGM−CSF[88]及びIL−12[6]の局所保持を有意に増大可能であることを実証した。特に、IL−12だけを腫瘍内注射してもすぐに散逸してしまい、24〜48時間以内に検出不可能となった(
図2)。対照的に、キトサン溶液にIL−12を配合することで、IL−12は最高6日間まで検出可能であった[6]。発明者らは、粘性が高く静電的な相互作用の組み合わせがサイトカインのキトサン溶液からの拡散能を妨げて徐放送達系が形成されると考えている。キトサン/サイトカイン非共有結合的相互作用及びサイトカイン放出メカニズムの性質は、発明者らの研究室で現在行われている研究の主題である。
【0036】
発明者らのデータは、キトサン/サイトカインデポー製剤が、生理食塩水ベースのサイトカイン注射と比較して免疫学的活性も上昇させたことも示した。具体的には、1本のキトサン/GM−CSF注射は、流入領域リンパ節における樹状細胞の数及び機能性の上昇という点で1日4本のGM−CSFだけの注射より性能的に優れていた。ワクチン投与実験において、キトサン/GM−CSFは、抗原特異的CD4
+増殖、ペプチド特異的CD8
+五量体染色及び細胞障害性T細胞溶解の強化においてキトサン又はGM−CSF単体より優れていた[88]。同様に、キトサン/IL−12製剤はIL−12単体より侵襲性の樹立固形腫瘍(MC38及びPanc02)[6]の80〜100%、また同所性の表在性膀胱腫瘍(MB49)の88〜100%の根絶[38]において性能的に優れていた。興味深いことに、膀胱内キトサン/IL−12免疫療法は、遠位皮下腫瘍再誘発からの完全な保護をもたらす全身的な腫瘍特異的免疫を誘導すると判明している。未発表のより最近のデータは、腫瘍の切除に先立ってキトサン/IL−12を腫瘍内注射すると、侵襲的で転移性が高い乳がんモデルにおいて転移を排除でき、また生存期間を延ばせることを実証している(
図3)。
【0037】
キトサン/サイトカイン混合物の限界
単純なキトサン/サイトカイン混合物が局所的なサイトカイン保持及び活性を増大させるのに有効であることの実証には成功したものの、送達されたサイトカインの殆どがキトサンデポー製剤から体循環へと漏出することを発明者らは確認した。実際、IL−12単体又はキトサン/IL−12混合物の腫瘍内注射後の血清IL−12及びIFN−γレベルは同様であった[38]。IL−12がもたらす毒性に対する懸念によりこれらのデータはこの単純な混合物プラットフォームの臨床利用を制限し得るため、発明者らはIL−12の全身への伝播を防止できる新しい送達技術を開発した。
【0038】
新規なIL−12−キトサンバイオコンジュゲート
キトサンのグルコサミン残基のアミン官能基(
図1)は、タンパク質を含めた多様な側鎖部分の容易な化学的結合を可能にする。そのため、発明者らは、サイトカインをキトサンに共有結合的にコンジュゲートできるのではないかと仮説をたてた。これまでの単純なキトサン/IL−12混合物と比べ、直接コンジュゲーションには2つの利点がある。第1に、巨大分子の拡散は分子のサイズと反比例するため、IL−12(MW=75kDa)を比較的大きなキトサン分子(MW=100〜500kDa)にコンジュゲートさせることで、サイトカインの有効分子量を6〜7倍まで増大させることができる。その結果、サイトカインの拡散輸送ひいては全身への伝播が、完全に排除とは言えないものの激減すると考えられる。第2に、腫瘍内注射後、ポリカチオン性が高いキトサン分子は負に帯電した細胞外マトリックス及び細胞膜と静電的に相互作用する[93]。その結果、サイトカインは、キトサンのポリカチオン性の電荷により注射部位に効果的に「固定」される。
【0039】
発明者らは、局所投与したキトサンとIL−12との混合物が、膵臓腺がん[6]、結腸腺がん[6]、膀胱がん[38]、転移性乳がん、腎細胞がん、メラノーマ及び前立腺腺がんの完全な退縮を誘導できることを発見した。この単純な混合物プラットフォームは腫瘍微小環境において相当な量のIL−12を保持するのに有効ではあるものの、IL−12の大部分の全身への伝播は防止しない。注射したIL−12の75%もが体循環へと吸収され、その結果として同時に血清IFN−γが急上昇したと推定される[38]。キトサン/IL−12混合物の週単位の投与スケジュールが臨床的な毒性を誘発するとは考えられないものの[97]、IL−12への全身的な曝露を最小限に抑える又は排除する新規な技術は臨床利用に移行させやすい。
【0040】
したがって、提案のプロジェクトでは、IL−12のキトサンへのコンジュゲーションをベースにした新規な送達プラットフォームを開発及び評価する。このストラテジーでは、(1)IL−12の有効サイズを増大させ、(2)IL−12−キトサンバイオコンジュゲートを局所注射部位に生体接着的な相互作用により固定することでIL−12の全身への伝播を妨げる。このアプローチは、腫瘍内投与後に腫瘍におけるIL−12濃度を高く維持し、IL−12の体循環への漏出を最小限に抑える可能性を有する。
【0041】
遺伝子組み換えヒトIL−12の過剰発現及び精製
細菌(大腸菌)及び酵母(ピキア・パストリス(Pichia Pastoris)発現系を用いてIL−12を製造しようとする発明者らの最初の応用計画は不成功であった。IL−12の発現及び生物活性には大掛かりなグリコシル化が必要とされたからである。幸い、共同研究者であるBarbara Felber博士(国立がん研究所ワクチン部門の上級研究員)は、マウスIL−12(mIL−12)及びヒトIL−12(huIL−12)を発現するヒト胎児由来腎臓(HEK293)細胞を開発していた。
【0042】
抗原エピトープが発生する可能性を回避するために、用意した遺伝子組み換えIL−12コンストラクトはどれも精製用の外来性のアフィニティタグを含有していない。IL−12のアミノ酸配列を精査したところ、mIL−12及びhuIL−12の両方のp40サブユニットがグリコサミノグリカン、例えばヘパリンに結合する可能性があるアミノセグメントを有することが明らかとなった。興味深いことに、等温滴定型熱量測定(ITC)のデータは、ヒトIL−12がヘパリンに対して強い結合親和性を有することを示した(K
d約70μM、
図4A)。ヘパリンに対するIL−12の高い結合親和性をベースにアフィニティクロマトグラフィ(ヘパリン−セファロースを使用)をベースとした精製プロトコルを設計してヒトIL−12を精製した。IL−12が500mM NaClではっきりとしたピークとして溶出することが観察された(
図4B)。SDS−PAGEゲル分析は、IL−12が純粋であることを明らかにした(>95%、
図4C、D)。精製したタンパク質の収率は約6.5mg/20mL培養上清である。
【0043】
IL−12発現HEK293クローンを得られたこと、またIL−12上のヘパリン結合モチーフの同定は、哺乳動物の発現系への移行に必要な有用な前進である。加えて、新たに同定されたヘパリン結合モチーフは、アフィニティタグ又は骨の折れる何段階にもわたる手順を必要とすることなく、計画したIL−12変異体だけでなく真性のIL−12も培養上清から簡単に精製することを可能にする。Jayanthi et al.Protein Expr Purif(2014)102:76−84を参照のこと(参照により全て本願に援用される)。
【0044】
IL−12−キトサンバイオコンジュゲートの検証
追加の予備データは、カルボジイミド架橋によるmIL−12のキトサンへの非特異的なコンジュゲーションの成功を実証している。簡単に説明すると、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDAC)を使用してIL−12上のカルボキシル基を活性化し、このカルボキシル基が今度はキトサン上のN−ヒドロキシスクシンアミド(NHS)安定化アミン基と反応してペプチド結合を形成した。コンジュゲーション反応はpH5.0で6時間にわたって行われ、その後、IL−12−キトサンバイオコンジュゲートを透析により単離した。in vitroの生物活性を、IL−12感受性2D6細胞の増殖の定量化により確認した(
図5A)。予想通り、非特異的なコンジュゲーションにより、約35%のかなりの量のIL−12生物活性が失われた。考えられる原因には、未反応のIL−12の喪失、架橋剤によるIL−12の直接不活性化又はIL−12のキトサンへのアクセス不可能な向きでのコンジュゲーションによる間接的な不活性化が含まれる。それでもなお、IL−12生物活性の損失は続く免疫療法研究で用いられたIL−12−キトサンの単純な増量で対抗できると考えるのが妥当である。IL−12−キトサンが誘導する増殖がコンジュゲートされていないIL−12に因るものである可能性について照査するためにIL−12とキトサンとの混合物を透析にかけたが、コンジュゲーション反応には供しなかった。コンジュゲートさせていないIL−12及びキトサンは2D6の増殖を誘導せず、これは透析による精製で遊離の未反応のIL−12が成功裡に除去されたことを示している。
【0045】
IL−12−キトサンバイオコンジュゲートのin vivo生物活性を、腫瘍内投与後の腫瘍の退縮を記録することで確認した(
図5B)。腫瘍内IL−12−キトサン免疫療法は、4匹の処置済みマウスのうち4匹において、2匹の完全な退縮を含め、腫瘍の退縮をもたらした。これらのデータは、第1世代の非特異的にコンジュゲートさせたIL−12−キトサンコンストラクトが活性であるだけでなく前途有望な抗腫瘍物質であることを実証している。IL−12をキトサンに特異的にコンジュゲートさせる提案の方法は、より制御された部位特異的なコンジュゲーションプロトコルを通じてIL−12−キトサンバイオコンジュゲートの生物活性を改善しようとするものである。
【0046】
多様なやり方でキトサンに結合させてもIL−12は生物活性を維持する
キトサン(脱アセチル化度>90%)をPrimex(シグルフィヨルズル、アイスランド)から購入し、使用前に精製した。塩酸、水酸化ナトリウム、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDAC)、N−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)及びマッシュルームチロシナーゼはSigma(セントルイス、ミズーリ州)から購入した。スルホスクシンイミジル4−(N−マレイミドメチル)シクロヘキサン−1−カルボキシレート(スルホ−SMCC)はLife Technologies(グリーンアイランド、ニューヨーク州)から購入した。
【0047】
カルボジイミド媒介カルボキシル/アミン反応基架橋
キトサン上の1級アミン基をタンパク質上の遊離カルボン酸基とカルボジイミド媒介ペプチド結合により架橋した。簡単に説明すると、1mgのキトサンを0.1M HCLに溶解させ、pHを1M NaOHを使用して5.4〜5.6に調節した。1mgのEDAC及びNHSを250μlのキトサンストック溶液に添加し、混合してから50μlの1mg/ml IL−12溶液を添加した。最適なコンジュゲーション効率のために、混合物を室温で6時間にわたって静置した。6時間後、キトサン−IL−12コンジュゲートを100KD透析膜で透析することで未反応の化学物質を除去し、さらなる使用に先立って凍結乾燥させた。
【0048】
マレイミドチオエーテル媒介アミン/スルフヒドリル架橋
IL−12上の反応性アミン基をチオール化キトサン上のスルフヒドリル基とマレイミドNHSエステル媒介アミン/スルフヒドリル架橋により架橋した。簡単に説明すると、アミン/スルフヒドリルクロスリンカー:スルホ−SMCCを、50μlの脱イオン水中の50μgのIL−12に80倍のモルアクセス(molar access)で添加した。室温での30分間にわたるインキュベーション後、反応混合物を脱塩し、250μgのチオール化キトサンに添加した。30分後、キトサン−IL−12コンジュゲートを100KD透析膜で透析することで未反応の化合物を除去し、さらなる使用に先立って凍結乾燥させた。
【0049】
チロシナーゼ触媒チロシン/アミン架橋
IL−12上のチロシンのチロシナーゼ触媒酸化により作り出された反応性O−キノンを、1級アミン基を介したキトサンへの架橋に使用した。簡単に説明すると、キトサンを20mM HCLに溶解させ、pHを1M NaOHを使用して6.0に調節することで0.1%(質量/体積)キトサン溶液を得た。チロシナーゼをPBs中で希釈することで(pH6.5)、120U/mlの比活性を得た。等体積のチロシナーゼ及びキトサンストック溶液を混合し、室温で静置した。50μgのIL−12を反応混合物に添加し、室温で混合した。8時間のインキュベーション後、キトサン−IL−12コンジュゲートを100KD透析膜で透析することで未反応の化合物を除去し、さらなる使用に先立って凍結乾燥させた。
【0050】
IL−12キトサンコンジュゲートの生物活性
キトサンへのIL−12の非特異的なコンジュゲーションがIL−12の生物活性に及ぼす影響を、IL−12応答性2D6細胞株の増殖を定量化することで確認した。簡単に説明すると、培養した2D6 T細胞を96ウェルプレートに20000細胞/ウェルで播種した。最終濃度が0.2ng/mL、0.04ng/ml及び0.008ng/mlになるまでIL−12を添加した。コンジュゲートさせていないIL−12及び培地のみをコントロールとした。24時間にわたるインキュベーション後、2D6細胞のIL−12依存性の増殖をMTTベースの増殖アッセイにより定量化した。結果は
図6に示され、これらの結果は、IL−12をキトサンに結合する様々なやり方で様々な活性レベルが得られることを実証している。IL−12のキトサンへのカルボキシル/アミン及びチロシン/アミン結合によりIL−12活性は向上した。
【0051】
参考文献
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本発明の好ましい態様は、下記の通りである。
〔1〕サイトカイン又は増殖因子に共有結合されたキトサンを含む組成物であって、前記サイトカイン又は増殖因子が生物学的に活性である、組成物。
〔2〕前記サイトカインが、インターロイキンである、前記〔1〕に記載の組成物。
〔3〕前記サイトカイン又は増殖因子が、Il−2、IL−12、GM−CSF、IL−1、TNF−α、IFN−γ、IFN−α、IL−15、IL−10、TGF−β、IL−23、IL−27、IL−35及びIL−7から成る群から選択される、前記〔1〕に記載の組成物。
〔4〕前記サイトカインが,IL−12である、前記〔2〕に記載の組成物。
〔5〕前記共有結合が、前記サイトカイン又は増殖因子上のカルボキシル基又はアミン基と前記キトサンのアミン基との間のものである、前記〔1〕〜〔4〕のいずれか一項に記載の組成物。
〔6〕前記共有結合が、前記サイトカイン又は増殖因子におけるリジン残基と前記キトサンとの間のものである、前記〔1〕〜〔4〕のいずれか一項に記載の組成物。
〔7〕前記サイトカイン又は増殖因子が、少なくとも1つのリジン置換変異を含む、前記〔6〕に記載の組成物。
〔8〕前記サイトカインが、IL−12であり、前記IL−12が、位置17、18、34、35、43、44又は248から成る群から選択される位置でリジンを含む、前記〔7〕に記載の組成物。
〔9〕前記共有結合が、前記サイトカイン又は増殖因子におけるシステイン残基と前記キトサンとの間のものである、前記〔1〕〜〔4〕のいずれか一項に記載の組成物。
〔10〕前記サイトカイン又は増殖因子が、少なくとも1つのシステイン置換変異を含む、前記〔9〕に記載の方法。
〔11〕クリックケミストリを用いて前記共有結合が形成されている、前記〔1〕〜〔10〕のいずれか一項に記載の組成物。
〔12〕過ヨウ素酸化学反応を用いて前記共有結合が形成されている、前記〔1〕〜〔10〕のいずれか一項に記載の組成物。
〔13〕前記サイトカイン又は増殖因子が、マレイミドチオエーテル化学反応を用いて前記キトサンに共有結合されている、前記〔1〕〜〔10〕のいずれか一項に記載の組成物。
〔14〕前記サイトカイン又は増殖因子が、チオール化学反応を用いて前記キトサンに共有結合されている、前記〔1〕〜〔10〕のいずれか一項に記載の組成物。
〔15〕前記キトサンが,10kDa〜500kDaの分子量を有する、前記〔1〕〜〔14〕のいずれか一項に記載の組成物。
〔16〕前記キトサンが,100kDa〜400kDaの分子量を有する、前記〔15〕に記載の組成物。
〔17〕前記キトサンが,200kDa〜300kDaの分子量を有する、前記〔15〕に記載の組成物。
〔18〕前記サイトカイン及びキトサンが,ペプチドリンカーを介して結合されている、前記〔1〕〜〔17〕のいずれか一項に記載の組成物。
〔19〕前記キトサンが、修飾されている、前記〔1〕〜〔18〕のいずれか一項に記載の組成物。
〔20〕前記キトサンが、チオール化されている、前記〔19〕に記載の組成物。
〔21〕前記キトサンが、メチル化されている、前記〔19〕に記載の組成物。
〔22〕前記〔1〕〜〔21〕のいずれか一項に記載の組成物と医薬的に許容可能な担体とを含む、医薬組成物。
〔23〕前記〔1〕〜〔22〕のいずれか一項に記載の組成物を、障害を治療するのに有効な量で被験体に投与することを含む、被験体において障害を治療する方法。
〔24〕前記障害がある領域に限局され、前記組成物が局所的に投与される、前記〔23〕に記載の方法。
〔25〕前記組成物が、腫瘍内投与、膀胱内投与、経口投与、局所投与、鼻腔内投与、腹腔内投与、非経口投与、静脈内投与、筋肉内投与、皮下投与、くも膜下腔内投与又は経皮投与から選択される方法で投与される、前記〔23〕又は〔24〕に記載の方法。
〔26〕前記障害が、がんである、前記〔23〕〜〔25〕のいずれか一項に記載の方法。
〔27〕前記組成物が、腫瘍内投与される、前記〔26〕に記載の方法。
〔28〕前記がんが、膀胱がん、乳がん、結腸直腸がん、膵臓がん、前立腺がん、腎臓がん、肺がん、メラノーマ、リンパ腫、脳がん、頭頸部がん又は卵巣がんである、前記〔26〕又は〔27〕に記載の方法。
〔29〕前記組成物が、前記障害を治療するための第2の組成物と組み合わせて投与される、前記〔23〕〜〔28〕のいずれか一項に記載の方法。
〔30〕前記2種の組成物が、任意の順序で、同時に又は一体型の組成物の一部として投与される、前記〔29〕に記載の方法。
〔31〕前記障害が、前記組成物の投与による免疫応答の誘導又は抑制によって治療され得る、前記〔23〕〜〔30〕のいずれか一項に記載の方法。
〔32〕前記障害が、アレルギー、自己免疫疾患、炎症、関節炎、多発性硬化症又はクローン病から成る群から選択される、前記〔23〕〜〔31〕のいずれか一項に記載の方法。
〔33〕前記被験体が、ヒトである、前記〔23〕〜〔32〕のいずれか一項に記載の方法。
〔34〕前記〔1〕〜〔22〕のいずれか一項に記載の組成物及び抗原を、前記抗原に対する免疫応答を刺激するのに有効な量で被験体に投与することを含む、被験体において免疫応答を刺激する方法。
〔35〕前記抗原が、ワクチンの一部である、前記〔34〕に記載の方法。
〔36〕前記被験体が、ヒトである、前記〔34〕〜〔35〕のいずれか一項に記載の方法。
〔37〕前記組成物が、腫瘍内投与、膀胱内投与、経口投与、局所投与、鼻腔内投与、腹腔内投与、非経口投与、静脈内投与、筋肉内投与、皮下投与、くも膜下腔内投与又は経皮投与から選択される方法で投与される、前記〔34〕〜〔36〕のいずれか一項に記載の方法。