(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記牽引式バッテリーキャリアの底面に配置された摺動面は、中央が周縁に対して重力方向に凸となるように湾曲した凸面状となっている請求項1〜4のいずれか1項に記載のバッテリー牽引式コンクリートバイブレータ駆動装置。
前記格子鉄筋上を摺動する1又は複数のスライド用ブレードが前記牽引式バッテリーキャリアの底面に設けられ、当該スライド用ブレードの底面が前記摺動面として構成されている請求項1〜4のいずれか1項に記載のバッテリー牽引式コンクリートバイブレータ駆動装置。
前記摺動面は、前記格子鉄筋に対する摩擦を低減する表面処理がなされている請求項1〜6のいずれか1項に記載のバッテリー牽引式コンクリートバイブレータ駆動装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上述した各特許文献に限らず現在の技術では市場のニーズを適切に満たしているとは言えず、上記各手法では以下に述べるごとき課題が存在する。
まず特許文献1〜3に例示されるように従来の一般的なバイブレータ装置では、棒状の振動部に比較的に長い把持部が接続されたバイブレータ本体を有し、このバイブレータ本体にケーブル(電源コード)を介して商用電源から電力の供給を受ける構成となっている。
【0009】
したがって上記した一般的なバイブレータ装置では、まず作業現場付近に商用電源が必要となり拡張性が低く、さらに実際の作業においては1台のバイブレータ装置に対して大抵3人程度の人工を必要としてしまい効率が悪いといった課題を有している。
【0010】
一方で例えば特許文献4に提案されるような可搬性のバッテリー駆動タイプとすれば、たしかに上記した一般的なバイブレータ装置が有する課題は解決できる。
しかしながらバッテリー駆動タイプのバイブレータ装置においても、電力供給を担うバッテリーは比較的重量物であるため作業者の負担は大きく低減されたとは言えず、この点においても作業効率には未だ改善の余地は大きい。さらにバッテリーの大きさについても作業者が背負える程度が限度であるため、必然的に大容量化にも限度があって長時間駆動が困難であるという課題も存在する。
【0011】
このように既存の技術においては、例えば必要な人工が多くケーブルの取り回しが必要で作業性に難があるか、作業環境にさほど依存せず単独で作業が可能であるものの長時間駆動に難があり作業者への負担も依然として大きいといった課題を内包したままである。
【0012】
本発明は、上記した課題を一例に鑑みて為されたものであり、単独で作業環境に依存せず効率的にコンクリートの締固めを行って気泡を除去することが可能なバッテリー牽引式コンクリートバイブレータ駆動装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するため、本発明の一実施形態にかかるバッテリー牽引式コンクリートバイブレータ駆動装置は、(1)未硬化状態のコンクリートの内部に少なくとも一部が挿入されるバイブレータと、前記バイブレータを駆動させる駆動回路と、前記駆動回路を搭載して作業者が肩掛け可能な可搬式載置台と、前記可搬式載置台と連結手段を介して連結されるとともに、前記駆動回路に電力を供給するバッテリーを搭載する牽引式バッテリーキャリアと、を含み、前記牽引式バッテリーキャリアの底面は、前記コンクリートの上に配置された格子鉄筋上を滑り動く摺動面が形成され
、前記可搬式載置台を肩掛けした前記作業者の移動に追従して、前記牽引式バッテリーキャリアが前記連結手段を介して前記格子鉄筋上で滑り動されることを特徴とする。
【0014】
なお、上記した(1)に記載のバッテリー牽引式コンクリートバイブレータ駆動装置においては、(2)前記バッテリーからの電流を交流に変換するインバータ回路を更に有し、前記インバータ回路が前記可搬式載置台に搭載されてなることが好ましい。
【0015】
また、上記した(1)又は(2)に記載のバッテリー牽引式コンクリートバイブレータ駆動装置においては、(3)商用電源によって前記バイブレータを駆動するインバータ回路と、前記インバータ回路を制御する制御装置と、を更に有し、前記制御装置は、前記連結手段が前記可搬式載置台から外れたこと又は前記牽引式バッテリーキャリアから前記バッテリーが外れたことを検知したときに、前記インバータ回路を介して前記バイブレータを駆動させる制御を行うことが好ましい。
【0016】
また、上記した(1)〜(3)のいずれかに記載のバッテリー牽引式コンクリートバイブレータ駆動装置においては、(4)前記バイブレータを複数備え、前記駆動回路は、互いの振動の出力やホースの長さが同一または異なる前記複数のバイブレータをそれぞれ平行して駆動することが好ましい。
【0017】
また、上記した(1)〜(4)のいずれかに記載のバッテリー牽引式コンクリートバイブレータ駆動装置においては、(5)前記牽引式バッテリーキャリアの底面に配置された摺動面は、中央が周縁に対して重力方向に凸となるように湾曲した凸面状となっていることが好ましい。
【0018】
また、上記した(1)〜(4)のいずれかに記載のバッテリー牽引式コンクリートバイブレータ駆動装置においては、(6)前記格子鉄筋上を摺動する1又は複数のスライド用ブレードが前記牽引式バッテリーキャリアの底面に設けられ、当該スライド用ブレードの底面が前記摺動面として構成されていることが好ましい。
【0019】
また、上記した(1)〜(6)のいずれかに記載のバッテリー牽引式コンクリートバイブレータ駆動装置においては、(7)前記摺動面は、前記格子鉄筋に対する摩擦を低減する表面処理がなされていることが好ましい。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、バイブレータに電力を供給するバッテリーを作業者から切り離し牽引式バッテリーキャリアを介して牽引する構成としたことで、相対的にバッテリーの容量を大型化できて長時間駆動が可能となるとともに、作業者への負担も大きく低減することができる。
さらには牽引式バッテリーキャリアの底面を摺動面として構成することで、格子鉄筋上を低摩擦で牽引することが可能となり、この観点においても作業者への負担も大きく低減することができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明を実施するための実施形態について説明する。
≪第1実施形態≫
[バッテリー牽引式コンクリートバイブレータ駆動装置100]
本発明の第1実施形態におけるバッテリー牽引式コンクリートバイブレータ駆動装置100の詳細な構造について、
図1及び
図2を適宜参照しながら説明する。
【0023】
まず
図1に示すとおり、本実施形態におけるバッテリー牽引式コンクリートバイブレータ駆動装置100は、未硬化状態のコンクリートに内部から振動を与える内部振動機タイプのコンクリートバイブレータであって、この振動によってコンクリート内部の気泡を除去しコンクリート材を均質化する機能を有している。
【0024】
より具体的にバッテリー牽引式コンクリートバイブレータ駆動装置100は、棒状バイブレータ10、駆動回路20、可搬式載置フレーム30、連結手段40及び牽引式バッテリーキャリア50を含んで構成されている。
【0025】
棒状バイブレータ10は、未硬化状態のコンクリートの内部に少なくともその一部が挿入される。このような棒状バイブレータ10の具体的な構造は特に限定されず、例えば上記した各特許文献に例示されるような公知の振動機構を有する種々のバイブレータが適宜適用できる。
【0026】
また、本実施形態では格子鉄筋WMの格子間に挿入可能な棒状が好適であるが、格子鉄筋WMの大きさや形状に応じて棒状とせず矩形状など他形状のバイブレータ10として構成してもよい。なお、本実施形態において格子鉄筋とは、鉄筋及びワイヤーメッシュを含む。
【0027】
駆動回路20は、上記したバイブレータ10を駆動させる機能を有している。かような駆動回路20の一例として、バッテリー牽引式コンクリートバイブレータ駆動装置100は、後述するバッテリーV
1から直流電流の供給を受けて上記バイブレータ10を振動させるバイブレータ振動回路20A(第1インバータ回路)を具備している。
【0028】
さらに本実施形態では、駆動回路20の他の例として、バッテリー牽引式コンクリートバイブレータ駆動装置100は、上記したバッテリーV
1からの電流を交流に変換するDC/ACインバータ回路20Bを更に有している。このDC/ACインバータ回路20Bは、上記したバイブレータ振動回路20Aとともに後述する可搬式載置フレーム30に搭載されている。
【0029】
可搬式載置フレーム30は、上記した駆動回路20を搭載して作業者が肩掛け可能に構成されている。より具体的には
図1に示すとおり、本実施形態の可搬式載置フレーム30は、メインフレーム31及び肩掛けベルト32を含んで構成されている。
メインフレーム31は、例えば軽量アルミニウムなどの軽量の金属材料または樹脂材料で形成されている。一方で肩掛けベルト32は、例えば公知の皮革材やビニールなどの合成樹脂材で形成されている。
【0030】
メインフレーム31には、上記した駆動回路20が搭載されるとともに、バイブレータ10と電気的に接続される出力ポートD
Оが設けられている。また、本実施形態のメインフレーム31には、上記DC/ACインバータ回路20Bから交流電流を出力する出力ポートA
Оが設けられている。
【0031】
したがって作業者Pは、
図1に示すとおり交流駆動機器70(例えば照明装置などAC100V駆動の公知の電気製品)をメインフレーム31に接続して作業を行うことが可能となっている。このように本実施形態では、直流電流だけでなく交流電流も適宜利用して様々な装置を駆動させることが可能となっている。
【0032】
さらに本実施形態のメインフレーム31には、このメインフレーム31と牽引式バッテリーキャリア50とを連結する連結部材40(
図2参照)の一端41が接続される。そしてバッテリーV
1からの電力は、メインフレーム31に設けられた入力ポートE
inを介して上記した駆動回路20に供給される。
【0033】
連結手段40は、上記した可搬式載置フレーム30と牽引式バッテリーキャリア50とを連結する機能を有している。この連結手段40の具体例としては、例えば公知の金属又は樹脂製のチェーン、あるいはロープ、硬質ゴムなどが例示できる。
なお
図1に示すとおり、本実施形態では、バッテリーV
1から駆動回路20へ電力を供給するケーブルと連結手段40とが兼用されている。
【0034】
すなわち、
図2にも示すとおり、連結手段40の一端41が可搬式載置フレーム30と公知の連結機構(フック機構やネジ機構など)で着脱可能に接続されるとともに、他端42が牽引式バッテリーキャリア50と同様の連結機構で着脱可能に接続されている。
【0035】
このように連結手段40と電力供給のためのケーブルとを兼用する場合、電力の伝達が可能な連結手段40としては、ある程度強度を有する材料が好ましく、例えば導電性のある金属線を硬質の絶縁ゴムで被覆した構造などが適用できる。
【0036】
なお第1実施形態では上記のとおり連結手段40とケーブルとを兼用したが、この態様は必須ではなく例えば第2実施形態などのように連結手段40とケーブルとを別体で構成してもよい。
【0037】
牽引式バッテリーキャリア50は、上記の可搬式載置フレーム30と連結手段40を介して連結されるとともに、駆動回路20に電力を供給するバッテリーV
1を搭載する機能を有して構成されている。かようなバッテリーV
1としては、特に制限はないが、相対的に高起電力と高容量を確保できるリチウムイオン電池が好適である。
【0038】
なお
図1に示すとおり、本実施形態では、メインフレーム31に対して補助バッテリーV
2をさらに搭載するように構成してもよい。かような補助バッテリーV
2としても、バッテリーV
1と同様に、比較的高容量で高出力が確保できる公知のリチウムイオン電池が好ましい。
【0039】
また補助バッテリーV
2をメインフレーム31に搭載する場合には、バッテリーV
1と補助バッテリーV
2とは次の関係を有することが好ましい。
バッテリーV
1の容量 > 補助バッテリーV
2の容量
バッテリーV
1の大きさ > 補助バッテリーV
2の大きさ
バッテリーV
1の重量 > 補助バッテリーV
2の重量
【0040】
図2に牽引式バッテリーキャリア50の一例を示す。
図示されるとおり、本実施形態における牽引式バッテリーキャリア50は、コンクリート上に露出する格子鉄筋WMに向かって末広がりとなる形状(しずく型や三角錐形状、又はひょうたん形など)となっている。
換言すれば、本実施形態における牽引式バッテリーキャリア50は、いわゆる起き上がりこぼしの形状となっており、重心が高さ方向に関して下半分の領域に位置している。したがって何らかの要因で牽引式バッテリーキャリア50が転倒したときでも、直ちに自身で復帰して起き上がることが可能となっている。
そして図から明らかなとおり、牽引式バッテリーキャリア50の底面は、コンクリートの上に配置された格子鉄筋WM上を滑り動く摺動面52が形成されている。
【0041】
そして本実施形態の牽引式バッテリーキャリア50の底面に配置された摺動面52は、その中央領域が周縁領域に対して重力方向に凸(設置した状態では下に凸ともいえる)となるように湾曲した凸面状となっている。
【0042】
なお本実施形態の牽引式バッテリーキャリア50は上記のひょうたん形のごとき形状としたが、本発明はこの形状に限られない。すなわち摺動面52が格子鉄筋WMに対して適切な低摩擦状態を確保できる限りにおいて、例えば牽引式バッテリーキャリア50の外形を船底状や底面が上記凸面となった錐台状とするなど他の形状を適用してもよい。
【0043】
そして重量物であるバッテリーV
1を牽引するときは、牽引式バッテリーキャリア50の底面が上記した摺動面とされていることで、作業者Pは相対的に少ない力で牽引式バッテリーキャリア50を格子鉄筋WM上で滑り動かすことが可能となっている。
【0044】
なお
図2に示すとおり、摺動面52は、格子鉄筋WMに対する摩擦を低減する表面処理STがなされていることが望ましい。
かような表面処理STの例としては、例えばフッ素樹脂やDLC(ダイヤモンドライクカーボン)で摺動面52をコーティングし、又は低摩擦性を確保する程度に摺動面52を物理的に研磨することなどが挙げられる。
【0045】
なお本実施形態では牽引式バッテリーキャリア50の底面に設けられた摺動面52に表面処理STを施す例を示したが、上記の他に例えば摺動面52に対して転動機構(例えば複数のボールベアリングなど)を配置して格子鉄筋WM上を転動させるようにしてもよい。
【0046】
以上説明した第1実施形態によれば次の述べる効果を享受することができる。
まずバイブレータ10を駆動するために必要なバッテリーV
1を作業者Pから分離して牽引する構成としたため、作業者Pの重量負荷を大幅に低減できる。
【0047】
さらに牽引する牽引式バッテリーキャリア50の底面を上記した摺動面52したことで格子鉄筋WM上をより少ない労力で牽引することが可能となっている。
また、DC/ACインバータ回路20Bを更に具備する場合には、AC駆動の公知の電気製品をバイブレータ10と並行して駆動することができ、例えば照明装置を活用すれば夜間作業などの汎用性も向上させることができる。
【0048】
また、メインフレーム31に連結手段40の一端41を接続したため、作業者Pが手で牽引する必要なく効率的に牽引式バッテリーキャリア50を牽引することが可能となる。
そして摺動面52に表面処理STを施した場合には、更に少ない労力で牽引式バッテリーキャリア50を牽引することが可能となる。
【0049】
≪第2実施形態≫
次に
図3を用いて本発明の第2実施形態におけるバッテリー牽引式コンクリートバイブレータ駆動装置200について説明する。
このバッテリー牽引式コンクリートバイブレータ駆動装置200は、互いに異なる性質(例えば周波数)で駆動する複数のバイブレータを備えることに主とした特徴がある。よって以下では、第1実施形態と同じ機能/構造のものには同一の参照番号を付してその説明は適宜省略する(後述する他の実施形態や変形例でも同様)。
【0050】
すなわち
図3に示すように、バッテリー牽引式コンクリートバイブレータ駆動装置200は、第1バイブレータ10Aと第2バイブレータ10Bを有して構成されている。
これら第1バイブレータ10Aと第2バイブレータ10Bは互いに異なる周波数で振動する機能を有している。
【0051】
一例として、本実施形態では、第1バイブレータ10Aは上記したバイブレータ振動回路20Aによって第1の出力でコンクリートを加振する一方で、第2バイブレータ10Bは上記したバイブレータ振動回路20Aによって上記第1の出力とは異なる第2の出力でコンクリートを並行して加振するように構成されている。
【0052】
上述のとおりコンクリートは大きさの異なる砂や砂利、セメント、水、空気泡などが混合された状態であり、その締固め能力はバイブレータの径だけでなく振動数にも依存する。したがって本実施形態では互いに異なる出力で加振する複数のバイブレータ10を備えることで、様々な大きさの空気泡を適切に除去することが可能となる。
【0053】
なお本実施形態では、第1バイブレータ10Aと第2バイブレータ10Bで駆動する出力を異ならせたが、相違させるパラメータは出力だけに限られない。すなわち第1バイブレータ10Aと第2バイブレータ10Bは、互いにその性質が異なっていればよい。かような「性質」の違いとしては、上記した出力の他、例えばホースの長さが異なるようにしてもよいし、バイブレータの径が互いに異なるようにしてもよいし、バイブレータの全長が互いに異なるようにしてもよい。なお、この場合においてホースの長さは互いに同一であってもよい。
【0054】
上記した実施形態は、各実施形態を組み合わせたりするなど本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。
また、各実施形態はその趣旨を逸脱しない限り適宜変形することが可能であり、以下に各実施形態に適用可能な変形例について説明する。
【0055】
<変形例1>
図4は、変形例1におけるバッテリー牽引式コンクリートバイブレータ駆動装置300を示している。
上記した各実施形態では連結手段40は電力を伝送するケーブルを兼ねていたが、
図4に示すとおりこれらを別体で構成してもよい。
【0056】
すなわち変形例1におけるバッテリー牽引式コンクリートバイブレータ駆動装置300は、連結手段40として、一端41と他端42を有する金属製の連結チェーンを有している。さらにバッテリー牽引式コンクリートバイブレータ駆動装置300は、バッテリーV
1からの電力を伝送するケーブルCを備えている。したがってバッテリーV
1からの電力は、出力ポートE
outから入力ポートE
inへと経由して可搬式載置フレーム30に搭載された駆動回路20へと供給される。
【0057】
このように変形例1においては、可搬式載置フレーム30と牽引式バッテリーキャリア50の間における連結機能と電力伝送機能とを分離させた。これにより、これらを兼用した場合に比して意図しない断線などで電力供給が遮断されてしまうことを抑制でき、さらにはそれぞれ別で構成することから適切な材料をそれぞれ採用することが可能となる。
【0058】
なお変形例1では、連結手段40として金属製の連結チェーンを用いたが、例えば樹脂製チェーンやロープなど他の公知の連結部材を適用してもよい。
また変形例1では牽引式バッテリーキャリア50の底面に設けられた摺動面52に表面処理STを施していないが、上記実施形態と同様に表面処理STを施してもよい。
【0059】
<変形例2>
図5は、変形例2におけるバッテリー牽引式コンクリートバイブレータ駆動装置400を示している。
上記した各実施形態では牽引式バッテリーキャリア50の底面に摺動面52を設けていたが、
図5に示すとおり牽引式バッテリーキャリア50の底面にスライドキャリア60を新たに設置してもよい。
【0060】
すなわち変形例2におけるバッテリー牽引式コンクリートバイブレータ駆動装置400では、格子鉄筋WM上を摺動する1又は複数のスライド用ブレード62が牽引式バッテリーキャリア50の底面に設けられ、当該スライド用ブレード62の底面が前記した摺動面52として構成されている。
【0061】
より具体的に変形例2におけるスライドキャリア60は、牽引式バッテリーキャリア50を固定して載置する載置台61と、この載置台61の底面に設置されて格子鉄筋WM上を摺動するスライド用ブレード62を有している。
【0062】
なお
図5では合計2本のスライド用ブレード62が載置台61の底面に設置されているが、例えば3本以上の任意の数だけ設置してもよい。またスライド用ブレード62の底面には、上記した表面処理STが施されていてもよい。さらにはスライド用ブレード62の底面に、表面処理STに代えて上記した転動機構が設置されていてもよい。
【0063】
また連結手段40の一端41は可搬式載置フレーム30と接続される例に限られず、本変形例2のように作業者Pの腰ベルトに連結手段40の一端41が接続することで、作業者Pが腰ベルトなどを介して直接的に牽引する形態であってもよい。
【0064】
<変形例3>
図6は、変形例3におけるバッテリー牽引式コンクリートバイブレータ駆動装置500を示している。
上記した各実施形態ではバイブレータ10はバッテリーV
1によって駆動されていたが、本変形例3ではバッテリーV
1が切れた際に商用電源(不図示)に切り替えてバイブレータ10を駆動する態様を示す。
【0065】
すなわち
図6に示すとおり、バッテリー牽引式コンクリートバイブレータ駆動装置500は上記実施形態の構成に加え、不図示の商用電源によってバイブレータ10を駆動するインバータ回路20C(第2インバータ回路)と、このインバータ回路20Cを制御する制御装置CTを更に有している。
一例として、第2インバータ回路は、例えば商用のAC100Vを48V3相240Hzに変換する。
【0066】
なお制御装置CTの具体例としては、例えばチップ化されたICなどの公知の制御装置が例示できる。
上述のとおりバイブレータ10は牽引式バッテリーキャリア50に搭載されたバッテリーV
1や必要に応じて補助バッテリーV
2で駆動されるが、長時間使用する場合などバッテリーの充電が途切れることも想定される。
【0067】
この場合において作業者Pは、例えば空になったバッテリーを装置(牽引式バッテリーキャリア50やメインフレーム31)から外して不図示の充電機器で充電することが考えられる。なお牽引式バッテリーキャリア50からバッテリーV
1が外されたときは、もはや作業者Pが牽引する意味はないため連結手段40を可搬式載置台30から外すことになる。更に作業者Pが可搬式載置台30に設けられた電源プラグEPを上記商用電源に接続することで、当該商用電源からの電流がインバータ回路20Cへ供給されることになる。
なお本変形例ではバッテリーV
1が切れた際に作業者Pが手動で商用電源に切り替えてバイブレータ10を駆動する態様を示したが、本発明はこの態様に限られない。すなわち、上記のとおり可搬式載置台30にバイブレータ振動回路20A(第1インバータ回路)とインバータ回路20C(第2インバータ回路)の2種類の回路を搭載し、バッテリーV
1が消耗されてケーブルCが引き抜かれたことを検知していずれの電源を使うか自動的に切り替わるようにしてもよい。
【0068】
したがって本変形例3の制御装置CTは、ケーブルCが引き抜かれたこと、連結手段40が可搬式載置台30から外れたこと及び牽引式バッテリーキャリア50からバッテリーV
1が外れたことの少なくとも1つを検知したときに、インバータ回路20Cを介してバイブレータ10を駆動させる制御を行うことが好ましい。
これによりバッテリーが空となったときも、意図せずコンクリートの締固め作業が中断されることなく、バッテリーによる駆動から商用電源による駆動に遅滞なく切り替えることが可能となる。
【0069】
なお、上記の説明はコンクリートに対するものであったが、本発明のバッテリー牽引式コンクリートバイブレータ駆動装置はコンクリート以外の建材の他、食品や種々の液体など他の分野に適用してもよい。
【解決手段】バッテリー牽引式コンクリートバイブレータ駆動装置100は、未硬化状態のコンクリートの内部に少なくとも一部が挿入されるバイブレータと、前記バイブレータを駆動させる駆動回路と、前記駆動回路を搭載して作業者が肩掛け可能な可搬式載置台と、前記可搬式載置台と連結手段を介して連結されるとともに、前記駆動回路に電力を供給するバッテリーを搭載する牽引式バッテリーキャリアと、を含み、前記牽引式バッテリーキャリアの底面は、前記コンクリートの上に配置された格子鉄筋上を滑り動く摺動面が形成されてなる。