【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち本発明は、
流体通路、及び該流体通路の内周面に形成された円環状のバネ嵌合溝を有する筒状の継手本体と、
該流体通路内に配置され、該流体通路を閉止する閉止位置と該流体通路を開放する開放位置との間で該流体通路の長手軸線の方向に変位可能とされた弁体と、
線材を螺旋状に巻いて形成され、該継手本体と該弁体との間に配置されて該弁体を該閉止位置に向かって付勢するコイルバネと、を備える管継手部材であって、
該コイルバネが、
該流体通路の内径よりも大きな外径を有し、該バネ嵌合溝に嵌合して固定される嵌合部と、
該嵌合部に連接し、該バネ嵌合溝に嵌合された状態の該嵌合部の内径よりも大きい外径を有する係止部と、
該弁体を支持する弁支持部と、
該係止部と該弁支持部との間に延在し、該弁体が該閉止位置と該開放位置との間で変位したときに該長手軸線の方向で伸縮する伸縮部と、
を有する、管継手部材を提供する。
【0008】
当該管継手部材においては、嵌合部を継手本体のバネ嵌合溝に嵌合させることによりコイルバネを継手本体に固定するようになっているため、継手本体の構造を単純なものとすることができるとともに、コイルバネの継手本体への取り付けも容易に行うことができる。また、このように容易に取り付けられる構成としながらも、コイルバネが、バネ嵌合溝に嵌合された状態の嵌合部の内径よりも大きい外径を有する係止部を有しているため、弁体が流体から大きな力を受けて該コイルバネが大きく圧縮されたときに係止部が嵌合部に係止されて支持されるようになり、嵌合部に連接する係止部が嵌合部を通過して大きく変形することが防止される。さらに、嵌合部が係止部によって押えられるため、嵌合部に径方向内側への力は作用せず、したがって嵌合部が縮径してバネ嵌合溝から外れることも防止される。
【0009】
好ましくは、該係止部が、該嵌合部に該長手軸線の方向で隣接しているようにすることができる。
【0010】
さらに好ましくは、該係止部が、該線材を該長手軸線の方向で互いに隣接するように複数回巻いて形成されているようにすることができる。
【0011】
係止部をこのような構成とすることにより、係止部の剛性が高まり、嵌合部との係止状態をより安定させることが可能となる。
【0012】
好ましくは、
該係止部の外周面が該流体通路の内周面に接触しており、
該伸縮部の外径が該係止部の外径よりも小さくされ、該伸縮部と該流体通路の内周面との間に隙間が形成されているようにすることができる。
【0013】
係止部の外周面が流体通路の内周面に接触していることにより、継手本体に対するコイルバネの姿勢を安定させることが可能となる。一方で伸縮部は流体通路の内周面と接触しないようになっているため、伸縮部の伸縮が妨げられず、弁体を付勢する力を安定した状態に維持することが可能となる。
【0014】
好ましくは、該伸縮部の該外径が該係止部の内径よりも大きいようにすることができる。
【0015】
このような構成により、長手軸線の方向で見て、伸縮部は係止部と重なりを有することになり、コイルバネが大きく圧縮された場合であっても伸縮部が係止部により支持されて、係止部を通過して大きく変形することが防止される。
【0016】
好ましくは、該バネ嵌合溝の深さが、該コイルバネを構成する該線材の直径よりも小さいようにすることができる。
【0017】
通常、コイルバネは圧縮されると拡径しようとするが、バネ嵌合溝の深さをコイルバネを構成する線材の直径よりも小さくすることにより、コイルバネの嵌合部が拡径しても嵌合部の少なくとも一部が流体通路の内周面から内側に常に突出している状態を維持することができる。これにより、嵌合部が半径方向外側に変位することによって係止部との長手軸線の方向での係合が解除されてしまうことを防止することが可能となる。
【0018】
好ましくは、
該弁体が、該コイルバネの側に突出した円柱状のバネ支持部を有し、
該コイルバネの該弁支持部が、該線材を該バネ支持部の外周面に沿って該長手軸線の方向で隣接して複数回巻かれて形成されているようにすることができる。
【0019】
このような構成により、弁体を安定した状態で保持することができ、弁体のがたつきを低減することが可能となる。
【0020】
好ましくは、
該伸縮部が該長手軸線に沿って略同一の直径を有するようにされ、該弁支持部が該伸縮部よりも小径とされ、該コイルバネが該弁支持部と該伸縮部とを繋ぐ連結部を有しており、
該連結部が、該長手軸線の方向から見て、該弁支持部から径方向外側に延びて該伸縮部の一部と重なるように湾曲して延在する第1部分と、該第1部分から該弁支持部の一部と重なるように延在する第2部分と、該第2部分から該伸縮部の別の一部と重なるように湾曲して延在する第3部分と、を有し、
該コイルバネが該長手軸線の方向で圧縮されたときに、該連結部の該1部分と該第3部分とが該伸縮部に当接し、該第2部分が該弁支持部に当接して、該弁支持部が該連結部を介して該伸縮部に支持されるようにすることができる。
【0021】
伸縮部は圧縮されることにより線材間の隙間が小さくなるためそこを通る流体に対する抵抗が大きくなるが、直径の異なる伸縮部と弁支持部との間に上述のような連結部を設けることにより、流体はコイルバネの圧縮状態に関係なくこの連結部を通って流れることができる。これにより、コイルバネの圧縮に伴う流体抵抗の増加を抑制することが可能となる。また、コイルバネが圧縮されたときに、弁支持部と伸縮部とが連結部によって支持されるため、弁支持部が伸縮部の内側にまで大きく変位することが防止される。
【0022】
また本発明は、
上述の管継手部材と、該管継手部材と取り外し可能に連結される対応管継手部材と、を備える管継手であって、
該管継手部材と該対応管継手部材とが連結されたときに、該管継手部材の該弁体が該対応管継手部材によって押されて該閉止位置から該開放位置に変位するようにされた、管継手を提供する。
【0023】
さらに本発明は、
流体通路内に設定され、該流体通路内に該流体通路の長手軸線の方向で変位可能に設定されている弁体を該流体通路が開放される開放位置から該流体通路が閉止される閉止位置に向かって付勢するためのコイルバネであって、
流体通路の内周面よりも大きな外径を有し、該内周面に形成されている円周状のバネ嵌合溝に嵌合して該流体通路に固定される嵌合部と、
該嵌合部に連接し、該バネ嵌合溝に嵌合された状態の該嵌合部の内径よりも大きい外径を有する係止部と、
弁体を支持する弁支持部と、
該係止部と該弁支持部との間に延在し、該係止部の内径よりも大きい外径を有していて、該弁体が該閉止位置と該開放位置との間で変位したときに該長手軸線の方向で伸縮する伸縮部と、
を有する、コイルバネを提供する。
【0024】
以下、本発明に係る管継手部材、管継手、及びコイルバネの実施形態を添付図面に基づき説明する。