(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6530860
(24)【登録日】2019年5月24日
(45)【発行日】2019年6月12日
(54)【発明の名称】船舶の燃料タンク装置
(51)【国際特許分類】
B63B 25/08 20060101AFI20190531BHJP
F17C 13/00 20060101ALI20190531BHJP
B65D 88/06 20060101ALI20190531BHJP
B63B 25/16 20060101ALI20190531BHJP
B63H 21/38 20060101ALI20190531BHJP
【FI】
B63B25/08 B
F17C13/00 302A
B65D88/06 Z
B63B25/16 D
B63B25/16 A
B63B25/16 F
B63H21/38 C
【請求項の数】11
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2018-513488(P2018-513488)
(86)(22)【出願日】2015年9月28日
(65)【公表番号】特表2018-528119(P2018-528119A)
(43)【公表日】2018年9月27日
(86)【国際出願番号】FI2015050644
(87)【国際公開番号】WO2017055674
(87)【国際公開日】20170406
【審査請求日】2018年3月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】503129903
【氏名又は名称】ワルトシラ フィンランド オサケユキチュア
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】カールソン,ソレン
(72)【発明者】
【氏名】ハルテヴェルド,フランク
(72)【発明者】
【氏名】ラウノネン,フランス
(72)【発明者】
【氏名】ゾクリア,ピエロ
【審査官】
畔津 圭介
(56)【参考文献】
【文献】
特開平09−125077(JP,A)
【文献】
欧州特許出願公開第01351013(EP,A2)
【文献】
米国特許第05097976(US,A)
【文献】
特開2005−114168(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B63B 25/08
B63B 25/16
B63H 21/38
B65D 88/06
F17C 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液化天然ガス(LNG)用燃料タンクを有する船舶の燃料タンク装置であって、前記燃料タンクは、シェルと、それに関連する断熱材と、LNGを前記燃料タンクに積み込むパイプラインの接続部と、前記燃料タンクからボイルオフガスを取るパイプラインと、前記燃料タンクからLNGを取るパイプラインと、LNGを前記燃料タンクから前記パイプラインに送り出すディープウェルポンプと、前記シェルから内方に延びるとともに前記燃料タンクの上部に配置される少なくとも1つの凹部と、を有し、前記ディープウェルポンプは前記少なくとも1つの凹部に設置され、前記凹部は、底部及び側壁を有し、前記ディープウェルポンプは、ポンプ、ライザ及び駆動モータを有し、前記ライザは前記底部を貫通し、前記ディープウェルポンプの前記駆動モータは、少なくとも部分的に前記凹部の内部に位置する、
燃料タンク装置。
【請求項2】
前記側壁は、前記燃料タンクから前記ボイルオフガスを取るパイプラインのための開口部を備える、
請求項1に記載の燃料タンク装置。
【請求項3】
前記燃料タンクは、LNGを前記燃料タンク内にスプレーする手段と、LNGを前記手段に導入するパイプラインと、を備える、
請求項1に記載の燃料タンク装置。
【請求項4】
前記側壁は、前記スプレーする手段及び前記パイプラインのうちの一方のための少なくとも1つの開口部を備える、
請求項3に記載の燃料タンク装置。
【請求項5】
前記燃料タンクは、直径を有し、前記少なくとも1つの凹部は、前記燃料タンクの前記直径の5−30%に等しい深さを有する、
請求項1に記載の燃料タンク装置。
【請求項6】
前記パイプライン又はそれらの間の流れを制御するバルブを有し、前記バルブのうちの少なくとも1つは、前記少なくとも1つの凹部に配置される、
請求項1に記載の燃料タンク装置。
【請求項7】
前記少なくとも1つの凹部は、上から二次防壁で覆われる、
請求項1に記載の燃料タンク装置。
【請求項8】
前記燃料タンクは、前記シェル上の断熱材及び前記断熱材上に設けられるクラッディングを持つ単一壁燃料タンクである、
請求項1乃至7のいずれか1項に記載の燃料タンク装置。
【請求項9】
前記燃料タンクは、内側シェルと、外側シェルと、その間の前記断熱材とを有する二重壁燃料タンクである、
請求項1乃至7のいずれか1項に記載の燃料タンク装置。
【請求項10】
前記燃料タンクは、船舶の下部デッキと上部デッキとの間に設置される、
請求項1乃至9のいずれか1項に記載の燃料タンク装置。
【請求項11】
前記燃料タンクは、LNGを輸送するためのタンク又は前記船舶の1又は複数の内燃機関に気化器を介して燃料として取り込まれるLNGを貯蔵するためのタンクである、
請求項1乃至10のいずれか1項に記載の燃料タンク装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、船舶の燃料貯蔵タンク装置に関する。より具体的には、本発明は、燃料タンクの上部に様々なLNG接続部を有するようなLNG燃料貯蔵タンク装置に関する。本発明の燃料タンク装置は、LNGを輸送するためのLNG貨物タンク及び船舶のエンジンに燃料を供給するためのLNG燃料タンクの両方をカバーする。
【背景技術】
【0002】
海洋用途のための燃料としてのLNG(液化天然ガス)の使用は、それがエミッション(emissions)を削減する効率的な方法であるため、増加している。今後数十年のうちに、天然ガス(NG)は世界で最も急速に成長する主なエネルギー源になると予想されている。この発展の背後にある原動力は、枯渇する既知の石油埋蔵量、拡大する環境保護、エミッション規制の継続的な強化である。全ての主要なエミッションは、環境に配慮した解決策を真に形成するように大幅に削減されることができる。CO
2の低減は、特に、従来の石油ベースの燃料で達成することが困難である。NGは、少量の濃度のエタン及びプロパンのような重質炭化水素を含むメタン(CH
4)からなる。通常の周囲条件では、NGは気体であるが、−162℃まで冷却することによって液化されることができる。液体の形態では、比容積が大幅に低減され、これは、エネルギー含有量に対して合理的なサイズの貯蔵タンクを可能にする。NGの燃焼プロセスはクリーンである。その高い水素対石炭比(化石燃料の中で最高)は、石油ベースの燃料に比べてより低いCO
2排出を意味する。NGが液化されるとき、全ての硫黄が除去され、これはゼロのSO
X排出量を意味する。NGのクリーンな燃焼特性はまた、石油ベースの燃料と比べて、NO
x及び粒子排出を大幅に低減する。特にクルーズ船、フェリー及びいわゆるロパックス船では、乗客が搭乗しているので、船のエンジンの排気ガス中に煤の排出及び目に見える煙がないことは非常に重要な特徴である。
【0003】
LNGは環境に配慮した解決策であるだけでなく、今日の石油価格において経済的にも関心を引いている。船舶にNGを貯蔵する最も実現可能な方法は液体の形態である。既存の船舶設備では、LNGは円筒形の単一壁(単層)又は二重壁の(single- or double-walled)断熱ステンレス鋼又は9%Ni−鋼タンクに貯蔵されている。
【0004】
そのようなLNG燃料貯蔵タンクに共通の特徴は、それらが、伝統的に、タンクの上にいわゆるドームを備えることである。タンク内部と外部燃料システムとの間の全ての接続部は、タンクドーム内に位置する。換言すれば、タンクからLNGを排出するために使用されるディープウェルポンプ(deep well pump)が、ドーム並びにLNGをタンクに積み込む(bunkering)ための接続部、ボイルオフガス(boil-off gas)(BOG)を除去するための接続部及びタンク内に配置されたLNGスプレーのための接続部に取り付けられる。また、接続部と接続して配置されるいくつかのバルブも、タンクの上のドームの近くに配置されることができる。
【0005】
タンクから上方に延びるドームを、特に、ドームに取り付けられたディープウェルポンプを問題にするものは、それらがタンクの上に垂直方向に必要とするスペースである。この問題は、船舶内部にそのデッキ間に配置されたLNGタンクに関連して最悪に現れる。場合によっては、すなわち、LNGタンクが最上部又はメインデッキの下の第1デッキ上にあるとき、問題は、ドーム及びそれに関連する機器のための開口を最上部のデッキに配置することによって解決され、それによって、ポンプモータ及び残りの機器は最上部のデッキで見ることができる。
【0006】
しかし、LNGタンクが、例えば、カーフェリーの最下部の車デッキの下に配置されているが、LNGタンクの直径が、これに関連する装置を備えたドームがタンクとその上のデッキとの間に収まる(fits)ように、減らされなければならない場合には、同じやり方は適用されないかもしれない。言い換えれば、この種のケースでは、LNG燃料タンクの全高は、船舶の2つのデッキの間に収まらなければならない。実際には、そのような配置は、ディープウェルポンプ、ドーム及びそれに関連する接続部のためにLNGタンクの上部と上部デッキとの間に空間が残されなければならないため、LNGに利用可能な貯蔵容積が大幅に減少することを意味する。
【0007】
LNG貯蔵タンク上の全てのパイプ接続部は、二次防壁(secondary barrier)の内部に設置されなければならない。二次防壁は、一次防壁を通る液体燃料又は貨物の予想される漏れの一時的な封じ込めを提供するとともに、安全でないレベルへの船舶の構造温度の低下を防ぐように設計される、LNG貨物又はLNG燃料閉じ込めシステムの液体抵抗外部要素(liquid resisting outer element)である。この二次防壁は、典型的にはステンレス鋼で作られている。従来技術のLNG燃料貯蔵タンクに関連する様々なパイプラインの流れは、二次防壁内部のタンク又はタンクのドームの上部に配置されたバルブによって制御され、従って、二次防壁も収容するために高さの追加の空間を取る。
【0008】
従来技術のLNG燃料貯蔵タンクに関連する様々なパイプラインの流れは、タンクのドームの上部に、したがって、高さの追加のスペースを取るか、又はLNG燃料タンクの端部でタンク接続スペースに、のいずれかに配置されたバルブによって制御される。これは、パイプラインがLNG燃料タンクの上部のドームからタンク接続スペース内の端部まで引き出され、場合によってはドームから取り出される同じ流体がタンク接続スペースからドームに戻されることを意味する。言い換えると、例えば、タンク内のLNGが、温度制御目的のためにスプレーノズルを介してタンクに戻されるためにタンクからくみ出される(pumped)場合、LNGは、従来技術に従って、タンク接続スペースに無駄に取り込まれる。このような不要な循環は、ポンピング損失を増加させるだけでなく、LNGタンクの熱の運搬も増加させる。加えて、分類規則(classification rules)は、全ての遮断弁が、従来技術では困難であった、タンクの貫通部に可能な限り近接して設置されなければならないことを要求する。
【0009】
特許文献1は、固体、液体及び/又は気相製品をその中に保持し、運搬可能な又は静止した支持構造内での使用のための容器を論じている。容器は、そこに収容された圧縮された製品の体積を最大にし、液相製品からの気体製品供給中に液体及び/又は汚染物の引込みを防止する。
【0010】
特許文献2は、流体タンクと、ウェル壁と、閉鎖システムとを含む流体封じ込め装置を論じている。タンクは、少なくとも部分的に流体封じ込め区画を画定し、そこを貫通するタンクシェル開口部を有するタンクシェルを有する。ウェル壁は、タンクシェルに固定され、シェル開口部に配置され、流体封じ込め区画内に凹み且つ少なくとも部分的に凹みウェルを画定する。
【0011】
特許文献3は、円筒形のタンク周縁部を画定する円筒形の壁部分及び2つの端部を含むタンクであって、タンク周縁部は内部及び外部を有する、タンクと;凹状のバルブボックスであって、1つ又は複数の側壁、底壁、及びバルブボックスを密閉するように1又は複数の側壁に取り付けられることができる密閉可能な上部カバーを含み、バルブボックスの側壁は、バルブボックスが円筒形の壁部分を通ってタンク周縁部の内部に延びるとともにタンク周縁部の内部に部分的に又は完全に配置されるように、円筒形の壁部分に密閉可能に接合される、バルブボックスと;バルブボックス内に配置される1つ又は複数のバルブと;を有する、製品の輸送及び貯蔵のためのシステムを論じている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】EP−A2−1351013
【特許文献2】US−A−5,097,976
【特許文献3】EP−A2−1347231
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
したがって、実用的な観点から、本発明の目的は、船舶のための新規なLNG燃料タンク装置を設計することであり、新規なLNGタンク装置は、LNGタンクの全高及び流量制御弁の配置に関連して上述された問題を解決する。
【0014】
本発明の他の目的は、燃料タンクからLNGをくみ出す(pumping)ために使用されるディープウェルポンプがLNG燃料タンクの上部に配置された凹部内に配置される新規なLNG燃料タンクを提供することである。
【0015】
本発明のさらなる目的は、フロータンク(flow tank)を制御するバルブがLNG燃料タンクの上部に配置された凹部に配置される新規なLNG燃料タンク装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の少なくとも1つの目的は、液化天然ガス(LNG)用燃料タンクを有する船舶の燃料タンク装置によって実質的に満たされ、燃料タンクは、シェルと、それに関連する断熱材と、LNGを燃料タンクに積み込むパイプラインの接続部と、燃料タンクからボイルオフガスを取るパイプラインと、燃料タンクからLNGを取るパイプラインと、LNGをタンクからパイプラインに送り出すディープウェルポンプ
と、シェルから内方に延びるとともに燃料タンクの上部に配置され
る少なくとも1つの凹部と、を有し、ディープウェルポンプは少なくとも1つの凹部に設置され
、凹部は、底部及び側壁を有し、ディープウェルポンプは、ポンプ、ライザ及び駆動モータを有し、ライザは前記底部を貫通し、ディープウェルポンプの駆動モータは、少なくとも部分的に凹部の内部に位置する。
【0017】
有利には、上述の燃料タンク装置は、ディープウェルポンプ、特にその駆動モータの、少なくとも部分的にLNG燃料タンクの外形寸法内の設置を可能にし、それによってディープウェルポンプによって必要とされる垂直空間が縮小される。したがって、船舶の2つのデッキ間にLNGタンクを適合させることができるようにLNG燃料タンクの直径を縮小する必要性は回避される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
以下では、本発明は、添付の例示の図面を参照してより詳細に説明される。
【0019】
【
図1a】従来技術のLNG燃料タンクの長手方向断面を概略的に示す。
【
図1b】従来技術のLNG燃料タンクの断面を概略的に示し、断面は、LNG燃料タンクの長手方向軸に垂直に取られている。
【
図2a】本発明の好適な実施形態によるLNG燃料タンクの長手方向を概略的に示す。
【
図2b】
図2aのLNG燃料タンクの断面を概略的に示し、断面はLNG燃料タンクの長手方向軸に垂直に取られている。
【
図3】本発明の凹部の部分長手方向断面図を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1a及び1bは、船舶の下部デッキ12と上部デッキ14との間に設置された従来技術の単一壁LNG燃料タンク10を概略的に示す。破線14’は、上部デッキがLNG燃料タンク10のドーム16のための開口部を備え得るようなオプションの上部デッキを表す。LNG燃料タンク10は、2以上のサドル(saddles)によって下部デッキ12上に設置される。単一壁LNG燃料タンクは、シェル20と、シェル20の外側の断熱材22と、断熱材の外側のクラッディング(cladding)24とを有する。燃料タンクが二重壁タンクである場合、断熱材は燃料タンクのシェルの間にある。典型的には断熱材22は厚さ300mm程度であり、ポリウレタンで形成されているが、他の寸法及び断熱材の材料が使用されてもよい。言い換えれば、二重壁のタンクでは、通常の断熱材に加えて、真空又はパーライト充填真空(perlite filled vacuum)が使用されることもできる。断熱材22の外側のクラッディング24は、断熱材を外部の磨耗、天候等から保護する目的のためのものである。クラッディング24は、好ましくは、亜鉛メッキ鋼板、ガラス繊維強化ポリエステルなどで作られている。
【0021】
LNG燃料タンク10の上部には、シェル20から半径方向上方に突出するドーム16が設けられている。ドーム16は、その中でパイプライン26、28及び30がLNG燃料タンク10の内部を、LNG燃料タンク10の長手方向端部に配置されたタンク接続スペース32に接続する開口部を備えている。パイプライン26は、LNG燃料タンクからボイルオフガスを除去するために使用され、パイプライン28は、LNGをLNG燃料タンク10に積み込むために使用され、パイプライン30は、スプレーヘッダ34及びスプレーノズル36を介してLNG燃料タンクに再凝縮LNG(re-condensed LNG)を供給するために使用される。ドーム16はさらに、例えばLNG燃料タンク10の底部に近いライザ(riser)42の下端に配置された遠心ポンプ40で形成されるディープウェルポンプ38を備えている。ディープウェルポンプは、ライザ42の上端に、駆動モータ44、通常は、実際にはLNG燃料タンク10の直径に応じてドーム上面の上に1−2メートルに伸びる電気モータをさらに備える。ドーム16と駆動モータ44との間のライザ42は、LNGを燃料タンク10からタンク接続スペース32に排出するためのパイプライン接続部46を備える。ディープウェルポンプ38の駆動モータ44、ドーム16及びドーム16からタンク接続スペース32に通じるパイプラインは、二次防壁48に囲まれている。タンク接続スペース32は、他の装置の中でも、パイプライン26−30及び46の流れを制御するためのバルブ(図示せず)と、船舶の1又は複数の内燃機関の燃料として使用されるLNGを供給する気化器とを含み得る。別のオプションでは、タンクが単に燃料を輸送するための貨物タンクである場合、タンク接続スペースは気化器を有さないが、パイプライン接続部46はLNG燃料をタンクからおろす(unloading)ために使用される。
【0022】
図2a及び2bは、本発明の好ましい実施形態による新規なLNG燃料タンク50を概略的に示している。本発明のLNG燃料タンク50は、
図1a及び1bの従来技術のタンクと同様の基本構造である。したがって、本発明の単一壁(又は二重壁)LNG燃料タンク50は、サドル58によって船舶の下部デッキ52上に支持される。LNG燃料タンク50は、船舶の上部デッキ54の完全に下に配置される。単一壁LNG燃料タンク50は、シェル60と、シェル60の外側に配置された断熱材62と、断熱材を衝撃、磨耗、日光、天候などから保護するための断熱材62の上に設けられたクラッディング64とを有する。クラッディング64は、好ましくは、亜鉛メッキ鋼板、ガラス繊維強化ポリエステルなどで作られる。燃料タンクが二重壁タンクである場合、断熱材は燃料タンクの内側シェルと外側シェルとの間にある。断熱材自体は従来技術から知られている。本発明のLNG燃料タンク50はまた、遠心式又は他の適切なポンプ80、ライザ82及び駆動モータ84を有するディープウェルポンプ
78と、それぞれ、LNGをタンクに積み込むための、ボイルオフガスをタンクからの除去するための、再凝縮LNGをタンクに戻して供給するための、及びLNGをLNG燃料タンクから除去するための、少なくとも4つのパイプライン接続部68−72及び86とを備えている。
【0023】
しかし、従来のLNG燃料タンクとは異なり、本発明のLNG燃料タンク50は、外側シェルから半径方向上方に延びるドームを備えていないが、対応する凹部56、タブ(tub)又はプール、すなわち、LNG燃料タンク50のシェル60内のパイプライン接続部68−72及びディープウェルポンプ78のための空間を提供する、逆ドーム(inverted dome)の一種を備える。
【0024】
図3は、本発明の「逆ドーム」の部分断面図を概略的に示している。
図3では、凹部は、必ずしもそうではないが好ましくは、水平な底部56’及び側壁56”を有することが示されている。好ましくは、側壁56”は実質的に垂直であるが、多少傾斜した側壁が使用されることもできる。凹部56の水平断面は円形であってよいが、楕円形、長方形又は丸い角を有する長方形のような形状も、取り分け、使用されてもよい。また、凹部56の側壁56”について言及するとき、凹部の全周が意味される。すなわち、長方形の凹部が4つの側壁を有すると考えられても、本発明で使用される用語「側壁」は、凹部56の全ての側壁を包含する。この凹部は、LNG燃料タンク50の直径の5−30%に等しい、好ましくは5から15%の間の深さDlを有する。
【0025】
図3の凹部は、パイプライン接続部だけでなく、様々な液体及び気体の流れがそれによって制御されるいくつかのバルブも含む。言い換えれば、LNG燃料貯蔵タンク50にLNGを導入するパイプライン68は、それによってタンク50へのLNGの流れが制御されるバルブ88を備える。スプレーヘッダ74及びスプレーノズル76は、バルブ90を介して燃料積込パイプライン68から、又はバルブ92を介してLNG排出パイプライン86からの再循環として、パイプライン72にLNGを受け取る。タンク50からボイルオフガスを取るパイプライン70は、バンカーステーション(bunker station)に通じる蒸気戻り接続部への、又は必要に応じて、安全リリーフバルブを介した大気へのガス排出を制御するためのバルブ94と、ボイルオフガスを気化器に通じるパイプライン86に送るバルブ96(使用されるタンクがエンジンに燃料を供給するために使用されるLNG燃料タンクである場合)とを備える。断熱材62及びシェル60の底部56”を通るディープウェルポンプライザ82に接続されるLNG排出ライン86は、LNG燃料貯蔵タンク50からのLNGの排出を制御するためのバルブ98を備える。各パイプライン68−72及び86上の矢印は、パイプラインにおける流れの方向を示す。
【0026】
上述の機器、すなわちパイプライン及びバルブは、LNGを積み込むためのパイプライン68、ボイルオフガスを排出するためのパイプライン70及び汲み上げられた(pumped)LNGを気化器に送るためのパイプライン86のみが二次防壁100から取り出されるように、二次防壁100内に配置されなければならない。説明された機器は、凹部56に完全に収まることができ、凹部56の外側に部分的に配置されてもよく、又は凹部56の完全に外側に配置されてもよい。しかし、好ましくは、バルブの少なくとも1つが凹部内に位置する。従って、機器の位置決めは、サイズ、すなわち、凹部56の幅及び深さに完全に依存する。しかし、本発明の実施のために、すなわち本発明に至る課題を解決するために、ディープウェルポンプが凹部56に配置されることは必須である。凹部は、必ずしもポンプ(又はむしろ、その排出接続部及び駆動モータ)が凹部に完全に収容されるほどの深さである必要はないが、いずれの場合にもディープウェルポンプの垂直高さの相当部分が「逆ドーム」に収められる。言い換えれば、駆動モータは、本発明の好ましい実施形態によれば、少なくとも部分的に凹部の内部に配置される。これにより、LNG燃料貯蔵タンク50の直径は、従来技術のLNG燃料タンクと比較して、対応して増加することができる。
【0027】
上記を考慮すると、LNG燃料タンクの上部に1つの凹部があるだけではなく、2つ以上の凹部がさらに設けられ得ることも理解されるべきである。当然のことながら、凹部は、ディープウェルポンプを収容するものが明らかに最も深いものであるのに対して、機器を収容するものが浅くなり得るように、異なるサイズであり得る。
【0028】
本発明は、現在、本発明の最も好ましい実施形態であると考えられるものに関連して例として本明細書に記載されているが、本発明は、開示された実施形態に限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲に規定されるように、本発明の範囲内に含まれる、その特徴、及びいくつかの他の適用の様々な組み合わせ又は変更を包含することを意図されていることが理解されるべきである。タンク装置は、明瞭化のために図示されていないいくつかの特徴を有することが理解されるべきであり、例えば、タンク内の圧力、温度又はLNG表面レベルを決定することに関係する各タンク装置に存在する全ての装置は示されていない。