特許第6530868号(P6530868)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6530868ビニル芳香族モノマーの重合を制御及び阻害するための組成物及びその使用方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6530868
(24)【登録日】2019年5月24日
(45)【発行日】2019年6月12日
(54)【発明の名称】ビニル芳香族モノマーの重合を制御及び阻害するための組成物及びその使用方法
(51)【国際特許分類】
   C07C 7/20 20060101AFI20190531BHJP
   C07C 15/46 20060101ALI20190531BHJP
【FI】
   C07C7/20
   C07C15/46
【請求項の数】10
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2018-542235(P2018-542235)
(86)(22)【出願日】2017年2月9日
(65)【公表番号】特表2019-506417(P2019-506417A)
(43)【公表日】2019年3月7日
(86)【国際出願番号】IB2017050718
(87)【国際公開番号】WO2017137924
(87)【国際公開日】20170817
【審査請求日】2018年9月19日
(31)【優先権主張番号】201621005100
(32)【優先日】2016年2月13日
(33)【優先権主張国】IN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】509270317
【氏名又は名称】ドルフ ケタール ケミカルズ (インディア)プライヴェート リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】サブラマニヤム,マヘッシ
【審査官】 山本 昌広
(56)【参考文献】
【文献】 特表2013−539473(JP,A)
【文献】 特表2015−526562(JP,A)
【文献】 特表2015−503649(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0034247(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C 7/00−7/20
C07C 15/00−15/62
C08F 2/00−2/60
C08F 12/00−12/36
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スチレンを含む芳香族ビニルモノマーの重合を制御して阻害するための、改善されたアミンベースの添加剤組成物であって、
(A)1つ又は複数のキノンメチド又はその誘導体(QM)と、
(B)1つ又は複数のフェノール化合物と、
を含み、
(C)アルキル鎖内に−OH基を有する脂肪族第三級アミンを含む少なくとも1つのアミン
をさらに含むことを特徴とし、
前記キノンメチド又はその誘導体(QM)は、ベンジルキノンメチドを含み、
前記フェノール化合物は、2,6−ジ−tert−ブチルフェノール(2,6 DTBP)、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)又はその混合物を含み、
前記脂肪族第三級アミンは、トリイソプロパノールアミン(TIPA)、N,N,N′,N′−テトラキス(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン(THEED)、N,N,N′,N′−テトラキス(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン(Quadrol(登録商標))又はその混合物を含む、改善されたアミンベースの添加剤組成物。
【請求項2】
前記キノンメチド又はその誘導体は、4−ベンジリデン,2,6−ジ−tert−ブチル シクロヘキサ−2,5−ジエノンを含む、請求項1に記載の改善されたアミンベースの添加剤組成物。
【請求項3】
スチレンを含む芳香族ビニルモノマーの重合を制御して阻害するために請求項1又は請求項2に記載の添加剤組成物を使用する方法であって、前記添加剤組成物を用いて前記スチレンを含む芳香族ビニルモノマーを処理するステップを含む方法。
【請求項4】
スチレンを含む芳香族ビニルモノマーの重合を制御して阻害する方法であって、スチレンを含む芳香族ビニルモノマーを含む流れに、請求項1又は請求項2に記載の添加剤組成物を添加するステップを含む方法。
【請求項5】
前記添加剤組成物は、スチレンを含むモノマーの流れの重量で0.01ppmから5000ppmまで変動する量で、前記スチレンを含む芳香族ビニルモノマーを含む流れに添加される、請求項又は請求項に記載の方法。
【請求項6】
前記添加剤組成物は、スチレンを含むモノマーの流れの重量で0.1ppmから3000ppmまで変動する量で、前記スチレンを含む芳香族ビニルモノマーを含む流れに添加される、請求項3又は請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記添加剤組成物は、スチレンを含むモノマーの流れの重量で1ppmから2000ppmまで変動する量で、前記スチレンを含む芳香族ビニルモノマーを含む流れに添加される、請求項3又は請求項4に記載の方法。
【請求項8】
前記添加剤組成物は、スチレンを含むモノマーの流れの重量で5ppmから2000ppmまで変動する量で、前記スチレンを含む芳香族ビニルモノマーを含む流れに添加される、請求項3又は請求項4に記載の方法。
【請求項9】
前記添加剤組成物は、50℃から180℃まで変動する温度にて使用される、請求項又は請求項に記載の方法。
【請求項10】
前記添加剤組成物は、60℃から180℃まで変動する温度にて使用される、請求項3又は請求項4に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビニル芳香族モノマーの重合を制御及び阻害するための組成物及びその使用方法に関し、芳香族ビニルモノマーはスチレンを含み、改善には、1つ又は複数のキノンメチド又はその誘導体と1つ又は複数のフェノール化合物との混合物と共に少なくとも1つのアミンを有する組成物が含まれる。
【0002】
一実施形態では、本発明は、スチレンを含む芳香族ビニルモノマーの重合を制御及び阻害するための本発明の改善された添加剤組成物の調製方法に関し、改善には、1つ又は複数のキノンメチド又はその誘導体と1つ又は複数のフェノール化合物との混合物と組み合わせて少なくとも1つのアミンを含む組成物の調製が含まれる。
【0003】
別の実施形態では、本発明は、本発明の改善された添加剤組成物を利用することによって、スチレンを含む芳香族ビニルモノマーの重合を制御及び阻害する方法に関し、改善には、1つ又は複数のキノンメチド又はその誘導体と1つ又は複数のフェノール化合物との混合物と組み合わせて少なくとも1つのアミンを含む組成物を用いて芳香族ビニルモノマーを有する流れを処理するステップが含まれる。
【背景技術】
【0004】
処理中のスチレンを含む芳香族ビニルモノマーの重合は、不必要なポリマーの形成を引き起こし、最終生成物の収率を低下させ、その処理を非経済的にするため、懸念事項である。
【0005】
当技術分野では、スチレンの重合の問題を克服するために阻害剤(inhibitors)及び抑制剤(retarders)並びにその組み合わせの使用が報告されている。
【0006】
阻害剤を単独で使用することの問題は、阻害剤が消費されると重合が再開するため、連続的に又は規則的な間隔で阻害剤が添加されることになるということである。
【0007】
抑制剤を単独で使用することの問題は、これらの抑制剤が実質的な阻害レベル又は許容可能な阻害レベルまでスチレンの重合を減らすのにあまり効果的ではないということである。
【0008】
従来技術によって、スチレン重合阻害剤として(a)キノンメチド(QM)と(b)4ヒドロキシtempo2,2,6,6−テトラメチル−,1−オキシド(4HT)との組合せを含む組成物が示唆されている。しかし、本発明者は、この既知のQM及び4HTの組成物を使用することの主な問題は、組成物の量が多くても重合の問題は解決されないことであるということがわかった(実施例及び対応するデータを参照)。
【0009】
従来技術によって、スチレン重合阻害剤として(a)キノンメチド(QM)と(b)例えば2,6−ジ−tert−ブチルフェノール(2,6 DTBP)等のフェノール化合物との組合せを含む組成物も示唆されている。しかし、本発明者は、この既知のQM及び2,6 DTBPの組成物を使用することの主な問題は、組成物の量が多くても重合の問題は解決されないことであるということがわかった[実施例及び対応するデータを参照]。
【0010】
従って、当産業は、結果として得られる組成物が経済的であり且つヒトにとって安全であるようにQM及びフェノール化合物の量を減らす又は最小限に抑えることができる添加剤組成物を目標としている。
【0011】
QM及び/又はフェノール化合物の消費を減らす又は最小限に抑える努力はいずれも、当産業の問題を軽減することになる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
従って、改善された添加剤組成物及びその使用及び調製方法、並びに、該組成物を利用することによって、スチレンを含むビニル芳香族モノマーの重合を制御及び阻害する方法が依然として必要であり、上記の添加剤組成物は、スチレンを含む芳香族ビニルモノマーの重合の実質的な制御及び阻害に適しているだけでなく、実質的に減らされたか又は最小限に抑えられた量のQM及び/又はフェノール化合物も含む。
【0013】
従って、本発明は、改善された添加剤組成物及びその使用及び調製方法、並びに、スチレンを含むビニル芳香族モノマーの重合を制御及び阻害する方法を提供することによって、上記の既存の産業的問題に対する解決策を提供することを目的とし、上記の添加剤組成物は、スチレンを含む芳香族ビニルモノマーの重合の実質的な制御及び阻害に適しているだけでなく、実質的に減らされたか又は最小限に抑えられた量のQM及び/又はフェノール化合物も含む。
【課題を解決するための手段】
【0014】
従って、本発明の主な目的は、効果的な改善されたアミンベースの添加剤組成物及びその使用及び調製方法、並びに、ビニル芳香族モノマーの重合を制御及び阻害する方法を提供することであり、上記の添加剤組成物は、スチレンを含む芳香族ビニルモノマーの重合の実質的な制御及び阻害に適しているだけでなく、実質的に減らされたか又は最小限に抑えられた量のQM及び/又はフェノール化合物も含む。QM及び/又はフェノール化合物の消費を任意の程度まで減らす又は最小限に抑えるためのあらゆる努力が、当産業の問題を軽減することになり、QM及び/又はフェノール化合物を含む既知の組成物よりも当産業によって好まれると予想される。
【0015】
本発明の別の主な目的は、効果的な改善されたアミンベースの添加剤組成物及びその使用及び調製方法、並びに、ビニル芳香族モノマーの重合を制御及び阻害する方法を提供することであり、上記の添加剤組成物は、実質的に減らされたか又は最小限に抑えられた量のQM及び/又はフェノール化合物を含み、スチレンを含む芳香族ビニルモノマーの重合の実質的な制御及び阻害に依然として適しており、同じ又はより良好なレベルのスチレンの重合の制御及び阻害を達成するために、QM及びフェノール化合物の組み合わせの用量と比較して比較的少ない用量で依然として要求される。
【0016】
効果的な改善されたアミンベースの添加剤組成物及びその使用及び調製方法、並びに、ビニル芳香族モノマーの重合を制御及び阻害する方法を提供することも本発明の目的であり、上記の添加剤組成物は、少なくとも1つのアミン、及び、減らされた又は最小限に抑えられた量の1つ又は複数のQM及び1つ又は複数のフェノール化合物を含み、さらに、スチレンを含む芳香族ビニルモノマーの重合の実質的な制御及び阻害に依然として適しており、同じ又はより良好なレベルのスチレンの重合の制御及び阻害を達成するために、QM及び/又はフェノール化合物の組み合わせの用量と比較して比較的少ない用量で依然として要求され、アミンは、アルキル鎖内に−OH基を有する脂肪族第三級アミンを含む。
【0017】
本発明は、特に、効果的な改善されたアミンベースの添加剤組成物及びその使用及び調製方法、並びに、ビニル芳香族モノマーの重合を制御及び阻害する方法を提供することを目的とし、上記の添加剤組成物は、減らされた又は最小限に抑えられた量の1つ又は複数のQM及び1つ又は複数のフェノール化合物と組み合わせて少なくとも1つのアミンを含み、スチレンを含む芳香族ビニルモノマーの重合の実質的な制御及び阻害に依然として適しており、同じ又はより良好なレベルのスチレンの重合の制御及び阻害を達成するために、QM及び/又はフェノール化合物の組み合わせの用量と比較して比較的少ない用量で依然として要求され、さらに、アミンは、アルキル鎖内に−OH基を有する脂肪族第三級アミンを含み、従って、本発明の組成物は、経済的であるだけではなく、環境にもやさしい。
【0018】
本発明は、特に、QMとフェノール化合物との組み合わせを含む添加剤組成物の性能を改善することを目的とし、本発明の組成物は、1つ又は複数のQMと1つ又は複数のフェノール化合物との組み合わせを含み、アルキル鎖内に−OH基を有する脂肪族第三級アミンを含む少なくとも1つのアミンをさらに含む。
【0019】
本発明は、より広い範囲の処理期間及び温度でのQMとフェノール化合物との組み合わせを含む添加剤組成物の性能を改善することを目的とし、上記の組成物は、1つ又は複数のQMと1つ又は複数のフェノール化合物との組み合わせを含み、アルキル鎖内に−OH基を有する脂肪族第三級アミンを含む少なくとも1つのアミンをさらに含む。
【0020】
本発明は、より広い範囲の温度及び空気の存在下でのQMとフェノール化合物との組み合わせを含む添加剤組成物の性能を改善することを目的とし、上記の組成物は、1つ又は複数のQMと1つ又は複数のフェノール化合物との組み合わせを含み、アルキル鎖内に−OH基を有する脂肪族第三級アミンを含む少なくとも1つのアミンをさらに含む。
【0021】
本発明により、「キノンメチド」又は「QM」という用語には、「キノンメチドの誘導体」が含まれることが意図されているということに留意されたい。
【0022】
本発明の他の目的及び利点は、本発明の範囲を限定するとして意図されない実施例と併せて読まれた場合に、以下の説明からより明らかになる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
上記の従来技術の問題を克服すること、及び、上記の本発明の目的を達成することを目的として、アルキル鎖内にヒドロキシル基を有する少なくとも1つの脂肪族第三級アミンが、QMとフェノール化合物との組み合わせを含む組成物に添加された場合に、驚くほど意外に、QMとフェノール化合物との組み合わせを含む組成物の重合の制御及び阻害効率が実質的に改善されるだけでなく、スチレンを含む芳香族ビニルモノマーの重合も、驚くほど意外に、改善されたレベルまで制御及び阻害され、アルキル鎖内にヒドロキシル基を有する少なくとも1つの脂肪族第三級アミン、1つ又は複数のQM及び1つ又は複数のフェノール化合物を含む組成物におけるQM及びフェノール化合物の用量は実質的に減らされ且つ最小限に抑えられ、本発明の組成物を、経済的にするだけでなく環境にやさしくもするということを本発明者は発見した。
【0024】
上記の従来技術の問題を克服すること、及び、上記の本発明の目的を達成することを目的として、トリス(2−ヒドロキシプロピル)アミン(TIPA)を含む脂肪族第三級アミンが、QMとフェノール化合物との組み合わせを含む組成物に添加された場合に、驚くほど意外に、QMとフェノール化合物との組み合わせを含む組成物の重合の制御及び阻害効率が実質的に改善されるだけでなく、スチレンを含む芳香族ビニルモノマーの重合も、驚くほど意外に、改善されたレベルまで制御及び阻害され、上記の組成物におけるQMとフェノール化合物との組み合わせの用量は実質的に減らされ且つ最小限に抑えられるということを本発明者は発見した。
【0025】
上記の従来技術の問題を克服すること、及び、上記の本発明の目的を達成することを目的として、N,N,N′,N′−テトラキス(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン(Quadrol(登録商標))、2,2′,2′′,2′′′−(1,2−エタンジイルジニトリロ)テトラエタノール(THEED)又はその混合物を含む脂肪族第三級アミンが、QMとフェノール化合物との組み合わせを含む組成物に添加された場合に、QMとフェノール化合物との組み合わせを含む従来技術の組成物の重合の制御及び阻害効率も改善され、スチレンを含む芳香族ビニルモノマーの重合も、改善されたレベルまで制御及び阻害されるが、驚くほど意外に、QM、フェノール化合物及びTIPAを含む組成物の用量と比較して、組成物の用量はわずかに増えるということも本発明者は発見した。従って、QMとフェノール化合物との組み合わせと共に、N,N,N′,N′−テトラキス(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン(Quadrol(登録商標))、2,2′,2′′,2′′′−(1,2−エタンジイルジニトリロ)テトラエタノール(THEED)又はその混合物を含む組成物は、本発明の第2の好ましい実施形態である。
【0026】
上記の従来技術の問題を克服すること、及び、上記の本発明の目的を達成することを目的として、トリエタノールアミン(TEA)、モノエタノールアミン(MEA)、ジエタノールアミン(DEA)及び/又はトリス[N−ブチルアミン](TBA)を含む脂肪族第三級アミンが、QMとフェノール化合物との組み合わせを含む組成物に添加された場合に、QMとフェノール化合物との組み合わせを含む従来技術の組成物の重合の制御及び阻害効率は改善されないということも本発明者は発見した。従って、QMとフェノール化合物との組み合わせと共に、トリエタノールアミン(TEA)、モノエタノールアミン(MEA)、ジエタノールアミン(DEA)及び/又はトリス[N−ブチルアミン](TBA)を含む組成物は、本発明によるものではない。
【0027】
従って、本発明は、スチレンを含む芳香族ビニルモノマーの重合を制御及び阻害するための、改善されたアミンベースの添加剤組成物に関し、該添加剤組成物は:
(A)1つ又は複数のキノンメチド又はその誘導体(QM)と、
(B)1つ又は複数のフェノール化合物と、
を含み、該組成物は:
(C)アルキル鎖内に−OH基を有する脂肪族第三級アミンを含む少なくとも1つのアミン
をさらに含むことを特徴とする。
【0028】
本発明の複数の実施形態のうち一実施形態によると、本発明のアミンは、本発明の組成物を経済的にするだけでなく環境にやさしくもする。
【0029】
本発明の最も好ましい実施形態によると、アルキル鎖内にヒドロキシル基を有する脂肪族第三級アミンは、トリイソプロパノールアミン又はトリス(2−ヒドロキシプロピル)アミン(TIPA)を含む。
【0030】
本発明の複数の実施形態のうち一実施形態によると、アルキル鎖内にヒドロキシル基を有する脂肪族第三級アミンは、N,N,N′,N′−テトラキス(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン(THEED)、N,N,N′,N′−テトラキス(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン(Quadrol(登録商標))又はその混合物を含み得る。しかし、本明細書において先に記載したように、QMとフェノール化合物との組み合わせと共に、N,N,N′,N′−テトラキス(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン(Quadrol(登録商標))、2,2′,2′′,2′′′−(1,2−エタンジイルジニトリロ)テトラエタノール(THEED)又はその混合物を含む組成物は、本発明の第2の好ましい実施形態である。
【0031】
従って、第1の実施形態において、本発明は、スチレンを含む芳香族ビニルモノマーの重合を制御及び阻害するための、改善されたアミンベースの添加剤組成物に関し、該添加剤組成物は:
(A)1つ又は複数のキノンメチド又はその誘導体(QM)と、
(B)1つ又は複数のフェノール化合物と、
を含み、該組成物は:
(C)アルキル鎖内に−OH基を有する脂肪族第三級アミンを含む少なくとも1つのアミン
をさらに含むことを特徴とし、
上記の脂肪族第三級アミンは、トリイソプロパノールアミン(TIPA)を含む。
【0032】
従って、本発明の別の実施形態によると、本発明は、アルキル鎖内にヒドロキシル基を有する脂肪族第三級アミンが、N,N,N′,N′−テトラキス(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン(THEED)、N,N,N′,N′−テトラキス(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン(Quadrol(登録商標))又はその混合物を含む添加剤組成物に関する。
【0033】
従って、第2の実施形態において、本発明は、スチレンを含む芳香族ビニルモノマーの重合を制御及び阻害するための、改善されたアミンベースの添加剤組成物に関し、該添加剤組成物は:
(A)1つ又は複数のキノンメチド又はその誘導体(QM)と、
(B)1つ又は複数のフェノール化合物と、
を含み、該組成物は:
(C)アルキル鎖内に−OH基を有する脂肪族第三級アミンを含む少なくとも1つのアミン
をさらに含むことを特徴とし、
上記の脂肪族第三級アミンは以下を含む群から選択される:
i)トリス(2−ヒドロキシプロピル)アミン(TIPA);
ii)N,N,N′,N′−テトラキス(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン(Quadrol(登録商標))(をさらに含んでもよい);
iii)N,N,N′,N′−テトラキス(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン(THEED);及び
iv)その混合物。
【0034】
本発明の組成物が、本発明の脂肪族第三級アミンのうち少なくとも1つを含む場合に、スチレンを含む芳香族ビニルモノマーの重合を制御及び阻害するQM及びフェノール化合物の効率は、驚くほど意外に、実質的に減らされたか又は最小限に抑えられた用量のQM及びフェノール化合物で、改善されたレベルまで実質的に改善され、その結果、本発明の組成物を、比較的より経済的にし且つ環境にやさしくしているということを本発明者は発見した。
【0035】
本発明の複数の実施形態のうち一実施形態によると、フェノール化合物は、2,6−ジ−tert−ブチルフェノール(2,6 DTBP)、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)又はその混合物を含む。
【0036】
本発明の複数の実施形態のうち一実施形態によると、フェノール化合物がヒドロキノン(HQ)であり、QMと組み合わされている場合に、驚くほど意外に、本発明の脂肪族第三級アミンの添加は、減らされた量のQM及びHQで重合の制御及び阻害効率を改善しないということを本発明者は発見したため、フェノール化合物はHQを含まず、特に1,4−ベンゼンジオール又は1,4−ジヒドロキシベンゼンを含まない。
【0037】
本発明の複数の実施形態のうち一実施形態によると、上記のキノンメチド又はその誘導体(QM)は、ベンジルキノンメチド、好ましくは、4−ベンジリデン,2,6−ジ−tert−ブチル シクロヘキサ−2,5−ジエノンを含む。
【0038】
「上記のキノンメチド又はその誘導体」は、以下において、QMと呼ばれてもよいということに留意されたい。
【0039】
本発明の複数の実施形態のうち一実施形態によると、QMとフェノール化合物との混合物において、QMは、QMとフェノール化合物との混合物の約0.2から約99.8重量%まで変動する量で取り込まれてもよく、フェノール化合物は、QMとフェノール化合物との混合物の約99.8から約0.2重量%まで変動する量で取り込まれてもよい。
【0040】
本発明の複数の実施形態のうち一実施形態によると、QMとフェノール化合物との混合物は、約99.8:0.2から約0.2:99.8まで変動する重量比でQM及びフェノール化合物を含んでもよい。
【0041】
本発明の複数の実施形態のうち一実施形態によると、上記の脂肪族第三級アミン又はその混合物は、組成物の約0.01から約70重量%まで変動する、好ましくは、組成物の約0.1から約50重量%まで変動する、より好ましくは、組成物の約0.5から約30重量%まで変動する、さらにより好ましくは、組成物の約1から約20重量%まで変動する量で取り込まれる。
【0042】
スチレンを含む芳香族ビニルモノマーを含む流れは、モノマーの流れ又は芳香族ビニルモノマーの流れと呼ばれてもよいということに留意されたい。
【0043】
本発明の複数の好ましい実施形態のうち一実施形態によると、本発明の組成物は、スチレンを含むモノマーの流れの重量で約0.01ppmから約5000ppmまで変動する、好ましくは、約0.1ppmから約3000ppmまで変動する、より好ましくは、約1ppmから約2000ppmまで変動する、さらにより好ましくは、約5ppmから約2000ppmまで変動する量で、スチレンを含む芳香族ビニルモノマーを有する流れに添加されてもよい。
【0044】
従って、第3の実施形態において、本発明はまた、スチレンを含む芳香族ビニルモノマーの重合を制御及び阻害するために上記の本発明のアミンベースの添加剤組成物を使用する方法に関し、該方法は、上記の添加剤組成物を用いてスチレンを含む芳香族ビニルモノマーを処理するステップを含む。
【0045】
本発明の複数の実施形態のうち一実施形態によると、1つ又は複数の上記のQM、1つ又は複数の上記のフェノール化合物、及び、上記の脂肪族第三級アミンは、個々に又は互いに混ぜ合わされた後でモノマーの流れに添加されてもよい。
【0046】
その全体が参照される本明細書において記載される本発明の組成物の特徴全ては、上記の本発明の添加剤組成物を使用する本発明の方法に含まれているように思われるということに留意されたい。
【0047】
従って、第4の実施形態において、本発明はまた、スチレンを含む芳香族ビニルモノマーの重合を制御及び阻害する方法に関し、該方法は、スチレンを含む芳香族ビニルモノマーを含む流れに、本明細書において記載される上記の本発明のアミンベースの添加剤組成物を添加するステップを含む。
【0048】
本発明の複数の好ましい実施形態のうち一実施形態によると、上記の本発明の添加剤組成物を利用することによってスチレンを含む芳香族ビニルモノマーの重合を制御及び阻害する方法は、モノマーの重量に基づき約0.01ppmから約5000ppmまで変動する、好ましくは、約0.1ppmから約3000ppmまで変動する、より好ましくは、約1ppmから約2000ppmまで変動する、さらにより好ましくは、約5ppmから約2000ppmまで変動する量の上記の組成物を、スチレンを含む芳香族ビニルモノマーの流れに添加するステップを含む。
【0049】
本発明の複数の実施形態のうち一実施形態によると、1つ又は複数の上記のQM、1つ又は複数の上記のフェノール化合物、及び、上記のアミンは、個々に又は互いに混ぜ合わされた後でモノマーの流れに添加されてもよい。
【0050】
その全体が参照される本明細書において記載される本発明の組成物の特徴全ては、上記の本発明の添加剤組成物を利用することによってスチレンを含む芳香族ビニルモノマーの重合を制御及び阻害する本発明の方法に含まれているように思われるということに留意されたい。
【0051】
本発明の複数の実施形態のうち一実施形態によると、本発明の組成物は芳香族ビニルモノマーを有する流れと、流れが処理システムに入る前又は流れが処理システムに入った後に混ぜ合わせることができるが、好ましくは、組成物は、芳香族ビニルモノマーの重合が回避されるか又は最小限に抑えられるように、その処理が開始される前に芳香族ビニルモノマーを有する流れに添加される。
【0052】
本発明の複数の実施形態のうち一実施形態によると、本発明の組成物は、約50℃から約180℃、好ましくは約60℃から約180℃まで変動する広範囲の温度にわたって使用することができる。
【0053】
本発明の組成物は、組成物を調製するためのいかなる既知の様式でも調製することができる。
【0054】
従って、第5の実施形態において、本発明はまた、スチレンを含む芳香族ビニルモノマーの重合を制御及び阻害するための、本明細書において記載される上記の本発明のアミンベースの添加剤組成物を調製する方法に関し、1つ又は複数の上記のQM、1つ又は複数の上記のフェノール化合物は、個々に又は互いに混ぜ合わされた後で上記のアミンと混ぜ合わされてもよい。
【0055】
特に、第5の実施形態において、本発明は、スチレンを含む芳香族ビニルモノマーの重合を制御及び阻害するための、その全体が参照される本明細書において記載される本発明の添加剤組成物を調製する方法に関し、該方法は:
(A)1つ又は複数のキノンメチド又はその誘導体(QM)と、
(B)1つ又は複数のフェノール化合物と、
を混ぜ合わせるステップを含み、
上記のQM及び上記のフェノール化合物又はその混合物が、
(C)上記の脂肪族第三級アミン
とさらに混ぜ合わされることを特徴とする。
【0056】
本発明の複数の実施形態のうち一実施形態によると、本発明の添加剤組成物を調製する方法は、1つ又は複数のQM及び1つ又は複数のフェノール化合物と、個々に又は互いに混合された後で上記のアミンを混ぜ合わせるステップを含む。
【0057】
その全体が参照される本明細書において記載される本発明の組成物の特徴全ては、本発明の添加剤組成物を調製する本発明の方法に含まれているように思われるということにも留意されたい。
【0058】
本発明のさらなる利点及び実施形態が、以下の実施例からより明らかになる。
【0059】
本発明は、次に、以下の実施例の助けを借りて記載され、そのような実施例は、本発明の範囲を限定するとして意図されないが、本発明を実施するための形態及び最良の形態を例示するために組み込まれている。
【0060】
実験:
本願の実験において、従来技術の添加剤は、キノンメチド(4ベンジリデン,2,6−ジ−tert−ブチル シクロヘキサ−2,5−ジエノン)と、2,6 DTBP又はBHA又はBHTとの組み合わせであり、本願の脂肪族第三級アミンは、TIPA、Quadrol又はTHEEDであり、比較上のアミンは、TEA、DEA、MEA又はTBAである。
【0061】
本実験:
以下の実験では、秤量された量の蒸留スチレン(又は炭化水素流(gms))及び秤量された量の添加剤(スチレン又は炭化水素流の重量でppm)を、温度計及び窒素の入口及び出口を備えた管型反応器に入れた。これらの実験では、十分なN2流を維持して、適切な撹拌を確実にした。以下の表において言及されている期間中、連続窒素流下で約120℃にて反応を行った。選択した期間の後、反応器を、砕いた氷に浸すことによって約10℃を下回るまで冷却した。次に、反応器の内容物をビーカーに注いだ。この同じビーカーに、おおよそ約1.5〜2gの冷却された重合混合物に対して、約80gのメタノールを使用して、スチレン溶液中に形成されたポリマーを沈殿させた。得られた沈殿物をろ過し、メタノールを除去するために乾燥させ、秤量した。形成された沈殿物の重量は、形成されたポリマーの%として報告されている。
【0062】
安定剤を除去するために、使用前にスチレンを精製したということに留意されたい。
【0063】
例えばTIPAそれ自体、Quadrolそれ自体、THEEDそれ自体等、アミンそれ自体は、スチレン重合阻害剤ではなく、例えば2,6 DTBPそれ自体、BHAそれ自体、BHT自体等、フェノール化合物それ自体も、スチレン重合阻害剤ではないということも本発明者は発見した(表7を参照)。200ppmの用量のSterling由来のTIPAそれ自体は約17.08%のスチレンの重合を示し、DOW由来のTIPAそれ自体は約16.16%のスチレンの重合を示した。同様に、200ppmの用量のQuadrolそれ自体は約14.64%のスチレンの重合を示し、THEEDそれ自体は約14.34%のスチレンの重合を示した。同様に、200ppmの用量の2,6 DTBPそれ自体は約16.31%のスチレンの重合を示し、200ppmの用量のBHAそれ自体は、約17.14%のスチレンの重合を示し、200ppmの用量のBHTそれ自体は、約15.68%のスチレンの重合を示した。
【0064】
本発明に対して先行技術の添加剤であるQMとフェノール化合物との組み合わせは、実質的なスチレンの重合を示した。例えば、100ppmの用量の90:10の重量比で取り込まれた場合のQMと2,6 DTBPとの組み合わせは、約7.62%のスチレンの重合を示し、同じ重量比のQMとBHAとの組み合わせは、約10.41%のスチレンの重合を示し、同じ重量比のQMとBHTとの組み合わせは、約7.8%のスチレンの重合を示した。同様に、200ppmの用量の90:10の重量比で取り込まれた場合のQMと2,6 DTBPとの組み合わせは、約3.16%のスチレンの重合を示し、同じ重量比のQMとBHAとの組み合わせは、約6.96%のスチレンの重合を示し、同じ重量比のQMとBHTとの組み合わせは、約3.68%のスチレンの重合を示した。
【0065】
QMと2,6 DTBP、QMとBHA、及びQMとBHTとの組み合わせは、本発明の先行技術の組成物であり、これらの組み合わせの重合の%は、本発明の組成物及び比較上のアミンの試験結果に対してブランクであるということに留意されたい。
【0066】
従って、例えばTIPA、Quadrol又はTHEED等の脂肪族第三級アミンそれ自体を、QMとフェノール化合物、すなわち2,6 DTBP、BHA又はBHTとの組み合わせと組み合わせることは明らかではない。
【0067】
4ppm又は20ppmのTEA、DEA、MEA又はTBAが、100ppmの用量の90:10の重量比のQMと2,6 DTBPとの組み合わせに添加された場合、スチレンの重合の%は改善しないということを本発明者は発見した(表1を参照)。
【0068】
4ppmのQuadrol(登録商標)が、100ppmの用量の90:10の重量比のQMと2,6 DTBPとの組み合わせに添加された場合、スチレンの重合の%は約6.85%まで減り、約20ppmの添加で、約4.86%まで減るということを本発明者は発見した(表1を参照)。
【0069】
4ppmのTHEEDが、100ppmの用量の90:10の重量比のQMと2,6 DTBPとの組み合わせに添加された場合、スチレンの重合の%は約6.72%まで減り、約20ppmの添加で、約5.08%まで減るということを本発明者は発見した(表1を参照)。
【0070】
しかし、4ppmのTIPAが、100ppmの用量の90:10の重量比のQMと2,6 DTBPとの組み合わせに添加された場合、スチレンの重合の%は約4.48%まで実質的に減り、約20ppmの添加で、約3.08%まで実質的に減るということを本発明者は発見した(表1を参照)。
【0071】
従って、脂肪族第三級アミンの代わりにTEA、DEA、MEA又はTBAを、QMとフェノール化合物、すなわち2,6 DTBPとの組み合わせと組み合わせることは明らかではない。
【0072】
同じ技術的効果が、100ppmの用量に対して、QMとBHAとの組み合わせを用いて見られ(表2を参照)、QMとBHTとの組み合わせを用いて見られた(表3を参照)。
【0073】
上記の意外で驚くべき知見によれば、20ppmのTIPA、Quadrol又はTHEEDが、200ppmの用量のQMと2,6 DTBPとの組み合わせに添加された場合、スチレンの重合の%はそれぞれ、実質的に3.18%から0.21%、0.53%及び0.44%まで減るということを本発明者は発見した。反対に、TEA、MEA及びDEAの添加による変化はわずかである(表4を参照)。
【0074】
同様に、上記の意外で驚くべき知見によれば、20ppmのTIPA、Quadrol又はTHEEDが、200ppmの用量のQMとBHAとの組み合わせに添加された場合、スチレンの重合の%はそれぞれ、実質的に6.96%から0.34%、1.69%及び1.54%まで減るということを本発明者は発見した。反対に、実質的に変化は、TEA、DEA及びMEAの添加では観察されなかった(表5を参照)。
【0075】
同様に、上記の意外で驚くべき知見によれば、20ppmのTIPA、Quadrol又はTHEEDが、200ppmの用量のQMとBHTとの組み合わせに添加された場合、スチレンの重合の%はそれぞれ、実質的に3.68%から0.32%、1.38%及び1.42%まで減るということを本発明者は発見した。反対に、実質的に変化は、TEA、DEA及びMEAの添加では観察されなかった(表4を参照)。
【0076】
従来技術の添加剤であるQMとHQとの組み合わせも、本発明のアミンの添加による、すなわちTIPAを有したQMとHQとの組み合わせによる実質的な改善を示さないということも本発明者は発見した(表8〜10を参照)。
【0077】
本発明者は、比較目的で300分まで変動する様々な持続時間、600ppmの用量の従来技術の添加剤であるキノンメチド(4−ベンジリデン,2,6−ジ−tert−ブチル シクロヘキサ−2,5−ジエノン)を用いた実験も行った。
【0078】
従来技術の添加剤であるQMと2,6 DTBPとの組み合わせ及びQMとHQとの組み合わせを用いた実験も、比較目的で300分まで変動する様々な持続時間、600ppmのQM及び85ppmのフェノール化合物を含む組成物に対して行い(表8を参照)、さらに、比較上のTIPAを有したQMとHQとの組み合わせのために、比較目的で300分まで変動する様々な持続時間、600ppmのQM、85ppmのフェノール化合物及び18ppm又は30ppmのTIPAを含む組成物に対しても行った(表10を参照)。
【0079】
TIPAと共にQMと2,6 DTBPとの組み合わせを含む本願の添加剤組成物を用いた実験も、比較目的で300分まで変動する様々な持続時間、600ppmのQM、85ppmのフェノール化合物及び18ppm又は30ppmのTIPAを含む組成物に対して行った(表9を参照)。
【0080】
【表1】
【0081】
【表2】
【0082】
【表3】
【0083】
【表4】
【0084】
【表5】
【0085】
【表6】
【0086】
【表7】
【0087】
【表8】
【0088】
【表9】
【0089】
【表10】
上記の実験から観察することができるように、685ppmの「QM(600ppm)と2−6 DTBP(85ppm)と」の組み合わせにおける18ppmのTIPAの添加により、「重合の%」は実質的に減少する。
【0090】
同様に、685ppmの「QM(600ppm)と2−6 DTBP(85ppm)と」の組み合わせにおける30ppmのTIPAの添加により、「重合の%」は実質的に減少する。
【0091】
上記の実験から観察することができるように、685ppmの「QM(600ppm)とHQ(85ppm)と」の組み合わせにおける18ppmのTIPAの添加により、「重合の%」は実質的に減少しない。
【0092】
同様に、685ppmの「QM(600ppm)とHQ(85ppm)と」の組み合わせにおける30ppmのTIPAの添加により、「重合の%」は実質的に減少しない。
【0093】
上記の実験の全てによって、本発明のQM及びフェノール化合物と脂肪族第三級アミンとの混合物を含む本願の添加剤組成物のみが、QMとフェノール化合物との組み合わせから成る従来技術の添加剤の重合阻害効率を改善するということが確認されている。
【0094】
上記の知見によって、本願の組成物が、QMとフェノール化合物との混合物から成る従来技術の組成物よりも経済的で環境にやさしいということが確認されている。
【0095】
上記の知見によって、本願の組成物の相乗的な驚くほど意外な効果も確認されている。
【0096】
上記の実験結果によって、本願において提供されている組成物が従来技術の添加剤組成物よりもはるかに優れており、従って、従来技術の添加剤よりも技術的利点及び驚くべき効果を有するということも確認されている。