(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6530878
(24)【登録日】2019年5月24日
(45)【発行日】2019年6月12日
(54)【発明の名称】ウエハ載置台及びその製法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/683 20060101AFI20190531BHJP
【FI】
H01L21/68 R
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2019-518011(P2019-518011)
(86)(22)【出願日】2018年10月19日
(86)【国際出願番号】JP2018039066
【審査請求日】2019年4月2日
(31)【優先権主張番号】62/576,240
(32)【優先日】2017年10月24日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000004064
【氏名又は名称】日本碍子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000017
【氏名又は名称】特許業務法人アイテック国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】赤塚 祐司
(72)【発明者】
【氏名】石川 征樹
(72)【発明者】
【氏名】▲のぼり▼ 和宏
(72)【発明者】
【氏名】服部 亮誉
(72)【発明者】
【氏名】中村 圭一
【審査官】
山口 大志
(56)【参考文献】
【文献】
韓国公開特許第10−2004−0082454(KR,A)
【文献】
特表2011−525694(JP,A)
【文献】
特開2002−231798(JP,A)
【文献】
特開平09−213455(JP,A)
【文献】
特開平06−283595(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/683
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウエハ載置面を有するセラミックス基体の内部に、前記ウエハ載置面に近い方から、第1電極と第2電極とが前記ウエハ載置面に平行になるように埋設され、前記第1電極と前記第2電極とを電気的に導通する導通部を備えたウエハ載置台であって、
前記導通部は、前記第1電極と前記第2電極との間に前記ウエハ載置面に平行な板状の金属メッシュ部材を複数枚重ねたものである、
ウエハ載置台。
【請求項2】
前記金属メッシュ部材の網目空間には、前記セラミックス基体の材料が入り込んでいる、
請求項1に記載のウエハ載置台。
【請求項3】
前記第1電極及び前記第2電極は、静電電極として用いられるか、RF電極として用いられるか、又は、静電電極及びRF電極の両方に用いられる、
請求項1又は2に記載のウエハ載置台。
【請求項4】
前記第1電極は円板電極であり、前記第2電極は前記第1電極よりも径が大きく前記第1電極と同心円上の円板電極又は環状電極である、
請求項1〜3のいずれか1項に記載のウエハ載置台。
【請求項5】
前記セラミックス基体は、前記ウエハ載置面の外側に前記ウエハ載置面よりも低い環状段差面を有し、
前記第1電極は、前記ウエハ載置面と向かい合うように設けられ、
前記第2電極は、前記環状段差面に向かい合うように設けられている、
請求項1〜4のいずれか1項に記載のウエハ載置台。
【請求項6】
(a)第1電極又はその前駆体が埋設されたセラミックス加圧成形体の一方の面から第1電極又はその前駆体まで導通部を配置するための穴を掘る工程と
(b)前記穴の中に板状の金属メッシュ部材を前記第1電極又はその前駆体に平行になるように複数枚重ねて入れ、最上段の前記金属メッシュ部材が前記穴の口に至るようにする工程と、
(c)前記セラミックス加圧成形体の前記一方の面に、第2電極又はその前駆体を、前記第1電極に平行に且つ最上段の前記金属メッシュ部材と接するように設ける工程と、
(d)前記第2電極又はその前駆体を覆うように前記セラミックス加圧成形体の前記一方の面にセラミックス粉末を敷いて加圧成形することにより積層体を得る工程と、
(e)前記積層体をホットプレス焼成する工程と、
を含むウエハ載置台の製法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウエハ載置台及びその製法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ウエハを処理するのに用いられるウエハ載置台が知られている。ウエハ載置台としては、セラミックスヒータや静電チャック、サセプタ(プラズマ発生用の電極を内蔵したもの)などがある。例えば、特許文献1には、こうしたウエハ載置台として、ウエハ載置面を有するセラミックス基体の内部に、ウエハ載置面に近い方から、円板状の第1電極と第1電極よりも外径の大きなリング状の第2電極とがウエハ載置面に平行になるように埋設されたものが開示されている。第1電極と第2電極とは、導通部を介して電気的に導通されている。特許文献1には、
図9に示すように、ジグザグに屈曲させた金属メッシュからなる導通部などが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−163259号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ウエハ載置面に載置したウエハにプラズマ処理を施す際には、導通部に高周波電流が流れる。このとき、
図9の導通部を採用したとすると、第1電極と第2電極との間の導通経路は、ジグザグのため第1電極と第2電極との間の距離よりもかなり長くなり、高周波電流が流れる際のインピーダンスが高くなる。その結果、導通部の発熱量が大きくなって、導通部の上方箇所が特異的に高温になり、均熱性が悪化するという問題があった。
【0005】
本発明はこのような課題を解決するためになされたものであり、互いに平行な第1電極及び第2電極が導通部を介して導通するように埋設されたウエハ載置台において、ウエハの均熱性を良好にすることを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のウエハ載置台は、
ウエハ載置面を有するセラミックス基体の内部に、前記ウエハ載置面に近い方から、第1電極と第2電極とが前記ウエハ載置面に平行になるように埋設され、前記第1電極と前記第2電極とを電気的に導通する導通部を備えたウエハ載置台であって、
前記導通部は、前記第1電極と前記第2電極との間に前記ウエハ載置面に平行な板状の金属メッシュ部材を複数枚重ねたものである。
【0007】
このウエハ載置台では、導通部は、第1電極と第2電極との間にウエハ載置面に平行な板状の金属メッシュ部材を複数枚重ねたものである。こうした導通部は、導通経路が第1電極と第2電極との間の距離とほぼ同じであり、しかも金属メッシュ部材同士が多点で接触しているため、例えばジグザグに屈曲させた金属メッシュに比べて、高周波電流が流れるときのインピーダンスが低くなる。したがって、導通部の上方箇所が特異的に高温になるのを防止でき、ウエハの均熱性が良好になる。
【0008】
なお、「平行」とは、完全に平行な場合のほか、実質的に平行な場合(例えば公差の範囲に入る場合など)も含む。
【0009】
本発明のウエハ載置台において、前記金属メッシュ部材の網目空間には、前記セラミックス基体の材料が入り込んでいることが好ましい。こうすれば、強度的に有利になる。
【0010】
本発明のウエハ載置台において、前記第1電極及び前記第2電極は、静電電極として用いられるか、RF電極として用いられるか、又は、静電電極及びRF電極の両方に用いられてもよい。
【0011】
本発明のウエハ載置台において、前記第1電極を円板電極とし、前記第2電極を前記第1電極よりも径が大きく前記第1電極と同心円上の円板電極又は環状電極としてもよいが、前記第1電極及び前記第2電極はいずれも円板電極であることが好ましい。第1電極が円板電極で第2電極が環状電極の場合には、第1電極をウエハ載置面の上からみたとき、第1電極のうち第2電極に重なっている二重部分(導通部が設けられている部分)と第2電極に重なっていない一重部分があるため、二重部分と一重部分とではウエハに与える影響が異なるおそれがある。これに対して、第1及び第2電極がいずれも円板電極の場合には、第1電極をウエハ載置面の上からみたとき、第1電極の全体が第2電極に重なっているため、そのようなおそれがない。
【0012】
本発明のウエハ載置台において、前記セラミックス基体は、前記ウエハ載置面の外側に前記ウエハ載置面よりも低い環状段差面を有し、前記第1電極は、前記ウエハ載置面と向かい合うように設けられ、前記第2電極は、少なくとも一部が前記環状段差面に向かい合うように設けられていてもよい。こうすれば、環状段差面をフォーカスリングを載置する面に利用することができる。
【0013】
本発明のウエハ載置台の製法は、
(a)第1電極又はその前駆体が埋設されたセラミックス加圧成形体の一方の面から第1電極又はその前駆体まで導通部を配置するための穴を掘る工程と
(b)前記穴の中に板状の金属メッシュ部材を前記第1電極又はその前駆体に平行になるように複数枚重ねて入れ、最上段の前記金属メッシュ部材が前記穴の口に至るようにする工程と、
(c)前記セラミックス加圧成形体の前記一方の面に、第2電極又はその前駆体を、前記第1電極に平行に且つ最上段の前記金属メッシュ部材と接するように設ける工程と、
(d)前記第2電極又はその前駆体を覆うように前記セラミックス加圧成形体の前記一方の面にセラミックス粉末を敷いて加圧成形することにより積層体を得る工程と、
(e)前記積層体をホットプレス焼成する工程と、
を含むものである。
【0014】
このウエハ載置台の製法は、上述したいずれかのウエハ載置台を製造するのに適している。この製法では、板状の金属メッシュ部材を複数枚重ねて導通部を作製する。金属メッシュ部材を複数枚重ねた多層体は収縮性を有している。そのため、ホットプレス焼成時にセラミックス粉末が焼結して収縮するのをその多層体が妨げることはない。また、第1電極と第2電極との距離をコントロールしやすい。
【0015】
本発明のウエハ載置台の製法において、工程(b)では、穴の中に複数枚の金属メッシュ部材を重ねて入れたあと、その穴の中にセラミックス粉末を入れ、金属メッシュ部材の網目空間をセラミックス粉末で埋めるようにしてもよい。こうすれば、金属メッシュ部材の網目空間にはセラミックス粉末が入り込んでいるため、網目空間が空洞の場合に比べて焼成時にセラミックス基体にクラックが生じにくい。
【0016】
なお、第1電極の前駆体とは、焼成後に第1電極になるものなどであり、例えば導電ペーストの印刷物)などが挙げられる。第2電極の前駆体もこれと同様である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図6】複数枚重ね合わされた円形部材32のホットプレス焼成前後の断面図。
【
図9】ジグザグに屈曲させた金属メッシュからなる導通部の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の好適な実施形態を、図面を参照しながら以下に説明する。
図1はウエハ載置台10の縦断面図(セラミックス基体12の中心軸を通る面で切断したときの断面図)、
図2はウエハ載置台10の平面図、
図3は円形部材32の斜視図、
図4は導通部30の断面図である。なお、
図2ではフォーカスリングFRを省略した。
【0019】
ウエハ載置台10は、ウエハWにプラズマを利用してCVDやエッチングなどを行うために用いられるものであり、半導体プロセス用の図示しないチャンバに配置される。このウエハ載置台10は、セラミックス基体12の内部に、第1電極21と第2電極22と導通部30とを備えたものである。
【0020】
セラミックス基体12は、窒化アルミニウムや炭化珪素、窒化珪素、酸化アルミニウムなどに代表されるセラミック材料からなる円板状のプレートである。セラミックス基体12は、円形のウエハ載置面12aと、そのウエハ載置面12aの外側にウエハ載置面12aよりも一段低いフォーカスリング載置面12bと、ウエハ載置面12aとは反対側の裏面12cとを備えている。セラミックス基体12の内部には、ウエハ載置面12aに近い方から、第1電極21と第2電極22とがウエハ載置面12aに平行(実質的に平行な場合を含む、以下同じ)になるように埋設されている。セラミックス基体12のウエハ載置面12aやフォーカスリング載置面12bには、エンボス加工により図示しない複数の凹凸が形成されている。ウエハ載置面12aに設けられた凹部とウエハ載置面12aに載置されるウエハWとの間や、フォーカスリング載置面12bに設けられた凹部とフォーカスリング載置面12bに載置されるフォーカスリングFRとの間には、熱伝導用のガス(例えばHeガス)が裏面12c側から図示しないガス供給路を通って供給されるようになっている。フォーカスリングFRは、ウエハWと干渉しないように上端部の内周に沿って段差を備えている。
【0021】
第1電極21は、セラミックス基体12と同心円となる円板電極であり、ウエハ載置面12aと向かい合うように設けられている。第1電極21は、モリブデン、タングステン又は炭化タングステンを主成分とする金属メッシュ又は金属プレートにより形成されている。第1電極21は、ウエハ載置面12aに載置されるウエハWを静電吸着する際に直流電圧が印加されるものである。第1電極21は、セラミックス基体12の裏面12cに差し込まれた図示しない給電棒に接続され、この給電棒を介して直流電圧が印加されるようになっている。
【0022】
第2電極22は、第1電極21よりも外径が大きくセラミックス基体12と同心円となる環状電極であり、フォーカスリング載置面12bと向かい合うように設けられている。第2電極22は、第1電極21と同じ材料の金属メッシュ又は金属プレートにより形成されている。第2電極22は、フォーカスリング載置面12bに載置されるフォーカスリングFRを静電吸着する際に直流電圧が印加されるものである。第2電極22は、第1電極21と導通部30を介して電気的に接続されている。そのため、第1電極21に直流電圧が印加されると、それに伴い第2電極22にも直流電圧が印加される。
【0023】
導通部30は、第1電極21と第2電極22との間に設けられ、ウエハ載置面12aに平行な円形部材32(
図3参照)を複数枚重ねたものである。導通部30は、
図2に示すように、ウエハ載置台10の周方向に沿って等間隔に複数個(ここでは8個)設けられている。円形部材32は、第1電極21と同じ材料の金属メッシュにより形成されている。金属メッシュは、線径が0.1〜0.5mmであることが好ましく、1インチあたりのマス目の数が20〜50であることが好ましい。複数の円形部材32は、面同士が重なり合っている。そのため、互いに接する2つの円形部材32は、点接触部30a(
図4参照)を多数有している。また、導通部30において第1電極21と第2電極22との間に形成される導通経路は、第1電極21と第2電極22との間の距離と同程度となる。
【0024】
次に、ウエハ載置台10の製造例について
図5を用いて説明する。
図5はウエハ載置台10の製造工程を示す説明図である。
【0025】
まず、平均粒径が数μm〜数10μmのセラミック粉末を用いて第1電極21を内蔵した円板状のセラミックス加圧成形体40を作製する(
図5(a)参照)。このとき、第1電極21はセラミックス加圧成形体40の上面及び下面に平行になるようにする。
【0026】
続いて、セラミックス加圧成形体40の上面のうち導通部30を設ける位置に第1電極21に達する穴42を掘る(
図5(b)参照)。
【0027】
続いて、穴42の中に、第1電極21と平行になるように円形部材32を複数枚重ねて入れて多層体34としたあと、更にセラミック粉末を円形部材32の網目空間に充填する(
図5(c)参照)。円形部材32は、金属メッシュであるが、線径及び1インチあたりのマス目の数が上述した数値範囲内である。そのため、複数枚の円形部材32を重ねた多層体34は、ホットプレスによる焼成収縮後にはバルク(中実の円柱体)に比較的近くなる。そのため、円形部材32の網目空間に充填されるセラミック粉末は比較的少量である。
【0028】
続いて、セラミックス加圧成形体40の上面に、第1電極21に平行になるように環状の第2電極22を載せる(
図5(d)参照)。このとき、第2電極22は、多層体34のうち最上段の円形部材32と接触している。
【0029】
続いて、第2電極22を載せたセラミックス加圧成形体40を金型に入れ、第2電極22を覆うようにセラミックス加圧成形体40の上面にセラミックス粉末を敷いて加圧成形することにより積層体44を得る(
図5(e)参照)。
【0030】
続いて、積層体44をホットプレス焼成する(
図5(f)参照)。これにより、積層体44に含まれるセラミックス粉末は焼結し、円板状のセラミックス基体46になる。また、多層体34は導通部30になる。
図6に示すように、複数枚の円形部材32を重ねた多層体34は、ホットプレス焼成時に面に対して垂直方向に収縮するため、セラミックス粉末が焼結して収縮するのを妨げない。その後、円板状のセラミックス基体46の下面の外周部分を研削して段差を形成し、ウエハ載置面12aとフォーカスリング載置面12bとを備えたセラミックス基体12を得る。
【0031】
次に、ウエハ載置台10の使用例について
図7を用いて説明する。
図7はウエハ載置台10の使用例の説明図である。
【0032】
ウエハ載置台10は、セラミックス基体12の裏面12cに金属製の冷却板50を取り付けたあと、チャンバ80内に設置される。チャンバ80のうちウエハ載置台10に対向する位置には、シャワーヘッド90が設置されている。
【0033】
ウエハ載置台10のウエハ載置面12aに円板状のウエハWを載置し、フォーカスリング載置面12bにフォーカスリングFRを載置し、図示しない給電棒を介して第1電極21に直流電圧を印加する。すると、第1電極21に導通部30を介して電気的に接続されている第2電極22にも直流電圧が印加される。そのため、ウエハWはウエハ載置面12aに静電吸着され、フォーカスリングFRはフォーカスリング載置面12bに静電吸着される。ウエハWの温度やフォーカスリングRFの温度は、ウエハ載置台10の裏面に取り付けた冷却板50の図示しない冷媒通路へ供給する冷媒の温度を調節することによって制御することができる。
【0034】
この状態で、チャンバ80の内部を所定の真空雰囲気(又は減圧雰囲気)になるように設定し、シャワーヘッド90からプロセスガスを供給しながら冷却板50とシャワーヘッド90との間に高周波電力を供給してプラズマを発生させる。そして、そのプラズマを利用してウエハWにCVD成膜を施したりエッチングを施したりする。ウエハWがプラズマ処理されるのに伴ってフォーカスリングFRも消耗するが、フォーカスリングFRは厚さが厚いため、フォーカスリングFRの交換は複数枚のウエハWを処理したあとに行われる。
【0035】
以上説明したウエハ載置台10では、ウエハWにプラズマ処理を施す際、導通部30には高周波電流が流れる。この導通部30は、第1電極21と第2電極22との間にウエハ載置面12aに平行な板状の金属メッシュからなる円形部材32を複数枚重ねたものである。こうした導通部30は、導通経路が第1電極21と第2電極22との間の距離とほぼ同じであり、しかも金属メッシュ同士が多点で接触しているため、例えば
図9のジグザグに屈曲させた金属メッシュに比べて、高周波電流が流れるときのインピーダンスが低くなる。したがって、導通部30の上方箇所が特異的に高温になるのを防止でき、ウエハWの均熱性が良好になる。
【0036】
また、円形部材32の網目空間には、セラミックス基体12の材料が入り込んでいるため、強度的に有利になる。
【0037】
更に、
図5の製造工程において、円形部材32を複数枚重ねて導通部30を作製するため、ホットプレス焼成時にセラミックス粉末が焼結して収縮するのを妨げない。また、第1電極21と第2電極22との距離をコントロールしやすい。ウエハWをウエハ載置面12aに吸着する力は、セラミックス基体12のうち第1電極21とウエハ載置面12aとの間の層(第1誘電体層)の厚みに依存し、フォーカスリングFRをフォーカスリング載置面12bに吸着する力は、セラミックス基体12のうち第2電極22とフォーカスリング載置面12bとの間の層(第2誘電体層)の厚みに依存する。第1誘電体層の厚みと第2誘電体層の厚みはそれぞれ異なる設計値になっていることが多いが、
図5の製造工程を採用することにより、第1誘電体層の厚みと第2誘電体層の厚みを容易に設計値に合わせることができる。
【0038】
更にまた、ホットプレス焼成前、穴42内の円形部材32の網目空間にはセラミックス粉末が入り込んでいるため、網目空間が空洞の場合に比べて、焼成後のセラミックス基体12にクラックが生じにくい。
【0039】
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
【0040】
例えば、上述した実施形態では、第2電極22を環状電極としたが、
図8のウエハ載置台110のように、第2電極122を第1電極21よりも外径が大きな円板電極としてもよい。
図8では、上述した実施形態と同じ構成要素については同じ符号を付した。第1電極21が円板電極で第2電極22が環状電極の場合には、第1電極21をウエハ載置面12aの上からみたとき、第1電極21のうち第2電極22に重なっている二重部分(導通部30が設けられている部分)と第2電極22に重なっていない一重部分があるため、二重部分と一重部分とではウエハWに与える影響が異なるおそれがある。これに対して、
図8のように第1及び第2電極21,122がいずれも円板電極の場合には、第1電極21をウエハ載置面12aの上からみたとき、第1電極21の全体が第2電極122に重なっているため、そのようなおそれがない。
【0041】
上述した実施形態において、セラミックス基体12に抵抗発熱体を埋設してもよい。その際、ウエハ載置面12aに載置されたウエハWを加熱する抵抗発熱体とフォーカスリング載置面12bに載置されたフォーカスリングFRを加熱する抵抗発熱体とをそれぞれ独立して設けてもよい。また、ウエハWを加熱するゾーンを多ゾーンに分けてゾーンごとに抵抗発熱体を独立して設けてもよい。
【0042】
上述した実施形態では、第1及び第2電極21,22を静電電極として用いる場合を例示したが、第1及び第2電極21,22を静電電極として用いると共にRF電極として用いてもよい。その場合、
図7において、第1及び第2電極21,22とシャワーヘッド90との間に高周波電力を供給してプラズマを発生させる。なお、第1及び第2電極21,22を静電電極ではなくRF電極として用いてもよい。
【0043】
上述した実施形態では、第1電極21は、セラミックス基体12の裏面12cに差し込まれた図示しない給電棒を介して直流電圧が印加されるものとして説明したが、これに代えて、第2電極22が、セラミックス基体12の裏面12cに差し込まれた図示しない給電棒を介して直流電圧が印加されるものとしてもよい。その場合、第1電極21は、第2電極22と導通部30を介して電気的に接続されているため、第2電極22に直流電圧が印加されると、それに伴い第1電極21にも直流電圧が印加される。
【0044】
本出願は、2017年10月24日に出願された米国仮出願第62/576,240号を優先権主張の基礎としており、引用によりその内容の全てが本明細書に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明は、例えば半導体を製造する技術において利用可能である。
【符号の説明】
【0046】
10,110 ウエハ載置台、12 セラミックス基体、12a ウエハ載置面、12b フォーカスリング載置面、12c 裏面、21 第1電極、22,122 第2電極、30 導通部、30a 点接触部、32 円形部材、34 多層体、40 セラミックス加圧成形体、42 穴、44 積層体、46 セラミックス基体、50 冷却板、80 チャンバ、90 シャワーヘッド。
【要約】
ウエハ載置台10は、ウエハ載置面12aを有するセラミックス基体12の内部に、ウエハ載置面12aに近い方から、第1電極21と第2電極22とがウエハ載置面12aに平行になるように埋設されている。ウエハ載置台10は、第1電極21と第2電極22とを電気的に導通する導通部30を備えている。導通部30は、第1電極21と第2電極22との間に、ウエハ載置面12aに平行な板状の金属メッシュからなる円形部材32を複数枚重ねたものである。