特許第6530895号(P6530895)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6530895-感圧接着剤 図000003
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6530895
(24)【登録日】2019年5月24日
(45)【発行日】2019年6月12日
(54)【発明の名称】感圧接着剤
(51)【国際特許分類】
   C09J 133/00 20060101AFI20190531BHJP
   C09J 153/02 20060101ALI20190531BHJP
   C09J 11/06 20060101ALI20190531BHJP
   C09J 7/38 20180101ALI20190531BHJP
【FI】
   C09J133/00
   C09J153/02
   C09J11/06
   C09J7/38
【請求項の数】10
【外国語出願】
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2014-156065(P2014-156065)
(22)【出願日】2014年7月31日
(65)【公開番号】特開2015-42741(P2015-42741A)
(43)【公開日】2015年3月5日
【審査請求日】2017年6月22日
(31)【優先権主張番号】10 2013 215 297.3
(32)【優先日】2013年8月2日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】509120403
【氏名又は名称】テーザ・ソシエタス・ヨーロピア
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100139527
【弁理士】
【氏名又は名称】上西 克礼
(74)【代理人】
【識別番号】100164781
【弁理士】
【氏名又は名称】虎山 一郎
(72)【発明者】
【氏名】ティーロ・ドラーゼ
(72)【発明者】
【氏名】アニカ・ペーターゼン
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル・マイヤー
(72)【発明者】
【氏名】ロルフ・ブリクス
【審査官】 佐藤 貴浩
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−023600(JP,A)
【文献】 特表2005−532427(JP,A)
【文献】 特開2013−007024(JP,A)
【文献】 特開2013−253136(JP,A)
【文献】 特表2000−502919(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0120931(US,A1)
【文献】 特開2008−163095(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0128966(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 1/00−201/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)接着剤の総質量に対して40〜70質量%の少なくとも1種のポリ(メタ)アクリラートと、
b)接着剤の総質量に対して15〜50質量%の少なくとも1種の合成ゴムと、
c)ポリ(メタ)アクリラートと相溶性を有する少なくとも1種の粘着付与剤と
を含み、
前記合成ゴムが、A−B、A−B−A、(A−B)、(A−B)Xまたは(A−B−A)Xの構造を有するブロックコポリマーであることを特徴とし、
−ブロックAが、互いに独立に、少なくとも1種のビニル芳香族化合物の重合によって形成されたポリマーであり、
−ブロックBが、互いに独立に、4〜18個のC原子を有する共役ジエンおよび/もしくはイソブチレンの重合によって形成されたポリマーであるか、またはこのようなポリマーの部分的もしくは完全に水素化された誘導体であり、
−Xが、カップリング試薬または開始剤の残基であり、
−nが、2以上の整数である、感圧接着剤。
【請求項2】
ポリ(メタ)アクリラート対合成ゴムの質量比が、1:1〜3:1であることを特徴とする、請求項1に記載の感圧接着剤。
【請求項3】
(ポリ(メタ)アクリラートと相溶性の粘着付与剤)対合成ゴムの質量比が、最大で2:1であることを特徴とする、請求項1または2に記載の感圧接着剤。
【請求項4】
ポリ(メタ)アクリラートと相溶性の粘着付与剤対合成ゴムの質量比が、少なくとも1:4であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一つに記載の感圧接着剤。
【請求項5】
接着剤中に存在するすべてのブロックコポリマーに対するブロックAの質量分率が、10〜40質量%であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一つに記載の感圧接着剤。
【請求項6】
ポリ(メタ)アクリラートと相溶性の粘着付与剤が、テルペン−フェノール樹脂またはロジン誘導体であることを特徴とする、請求項1〜のいずれか一つに記載の感圧接着剤。
【請求項7】
発泡していることを特徴とする、請求項1〜のいずれか一つに記載の感圧接着剤。
【請求項8】
請求項1〜のいずれか一つに記載の感圧接着剤の少なくとも1つの層を含む、接着テープ。
【請求項9】
層の厚さが100μm〜5000μmであることを特徴とする、請求項に記載の接着テープ。
【請求項10】
請求項1〜7のいずれか一つに記載の感圧接着剤の層からなることを特徴とする、請求項8または9に記載の接着テープ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接着テープに使用される感圧接着剤の技術分野に関する。より詳しくは、本発明は、ポリアクリラートおよび合成ゴム、ならびに特定の粘着付与剤をベースとする感圧接着剤を提案する。
【背景技術】
【0002】
多くの技術部門では、部品をつなぐための接着テープの使用が増大している。こうして得られた材料の結合は、極端な温度に曝露されても同じ質で保存されることがしばしば重要である。熱の影響には、加熱および冷却の両方が含まれる。したがって、車の、例えば装飾的な帯またはブランドの記号の表面に施された接着剤の結合は、冬季の降霜温度および夏季の暑さの両方に耐える必要があると考えられる。
【0003】
特に車の表面に接着剤が結合する場合、自動両表面の非極性性質によって、さらなる困難が生じる。高い結合強度は、しばしば達成不可能であり、非極性基材、例えばポリエチレンまたはポリプロピレン表面に対しては、非常に多くの困難を伴って初めて実現され得ることが周知である。従来技術では、この目的のために、ポリマー混合物をベースとする接着性組成物がしばしば使用されてきた。
【0004】
US4,107,233A(特許文献1)は、ポリアクリラートを付加することによって、スチレン−ブタジエンコポリマー(SBC)への接着性を改善し、その印刷適性を改善することを記載している。
【0005】
EP0 349 216A1(特許文献2)は、SBCを付加することによって、感圧性ポリアクリラート接着剤の低温衝撃強度を改善することを記載しており、ここで95〜65部のポリアクリラートは、5〜35部のSBCとブレンドされる。
【0006】
EP0 352 901A1(特許文献3)は、60〜95部のUV重合化ポリアクリラートおよび35〜5部の合成ゴムを含む感圧接着剤に関する。この配合物は、冷却衝撃強度および塗料への結合性を改善する。
【0007】
EP0 437 068A2(特許文献4)は、ポリアクリラート/SBCブレンドをベースとし、冷却衝撃強度が改善された感圧接着剤を伴う細胞膜を開示している。
【0008】
WO95/19393A1(特許文献5)は、カルボキシル基で修飾されたスチレンブロックコポリマーと、窒素を含有する少なくとも1つのタイプのモノマーを含むポリアクリラートとのブレンドを記載しており、ここでこの技術の一目的は、低エネルギー基材への接着特性を改善することである。
【0009】
WO2008/070386A1(特許文献6)は、少なくとも92部のSBCベースの接着剤および最大10部のポリアクリラート成分を含むポリマーブレンドを記載している。
【0010】
WO2000/006637A1(特許文献7)は、接着剤の発泡層のベースとして、ポリアクリラートとSBCのブレンドを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】US4,107,233A
【特許文献2】EP0 349 216A1
【特許文献3】EP0 352 901A1
【特許文献4】EP0 437 068A2
【特許文献5】WO95/19393A1
【特許文献6】WO2008/070386A1
【特許文献7】WO2000/006637A1
【特許文献8】EP1 978 069A1
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】P. E. Hinkamp、Polymer、1967年、8、381頁
【非特許文献2】C. Donker、PSTC Annual Technical Seminar、Proceedings、149〜164頁、2001年5月
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
従来技術では、高度な知識が得られたことが実証されているにもかかわらず、低温および高温両方の範囲を含む非常に広範な温度範囲で、顕著に効率が高い感圧接着剤(PSA)が、依然必要とされている。
【0014】
したがって、本発明の一目的は、−30℃〜70℃の温度範囲で、より具体的には室温でも良好な結合能を有する感圧接着剤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
この目的は、PSAのベースとして、ポリアクリラートおよび合成ゴムの混合物、ならびにポリアクリラートと相溶性の粘着付与剤を使用するという概念に基づいて達成される。したがって、本発明は、最初に、
a)接着剤の総質量に対して40〜70質量%の少なくとも1種のポリ(メタ)アクリラートと、
b)接着剤の総質量に対して15〜50質量%の少なくとも1種の合成ゴムと、
c)ポリ(メタ)アクリラートと相溶性の少なくとも1種の粘着付与剤と
を含む感圧接着剤を提供する。この種類のPSAは、静的および動的試験によって示される通り、室温および−30℃および70℃で非常に良好な結合強度を示す。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、ガラス転移温度の測定に関する。
【発明を実施するための形態】
【0017】
「感圧接着剤」は、当業者の一般的な理解と一致して、室温で硬化した粘弾性接着剤の乾燥フィルムが、恒久的に粘性であり、接着性を保ったままであり、多様な基材に対して穏やかな圧力をかけることによって結合することできる粘弾性接着剤と理解される。
【0018】
「ポリ(メタ)アクリラート」は、そのモノマーベースが、少なくとも60質量%程度のアクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステルおよび/またはメタクリル酸エステルからなり、このアクリル酸エステルおよび/またはメタクリル酸エステルが、当該ポリマーの全モノマーベースに対して少なくとも比例的に、好ましくは少なくとも50質量%程度存在するポリマーと理解される。より具体的には「ポリ(メタ)アクリラート」は、アクリル酸および/またはメタクリル酸モノマー、また場合によっては共重合可能なさらなるモノマーのラジカル重合によって得ることができるポリマーと理解される。
【0019】
本発明によれば、1種または複数のポリ(メタ)アクリラートは、PSAの総質量に対して40〜70質量%で存在する。本発明のPSAは、PSAの総質量に対して、好ましくは45〜60質量%の少なくとも1種のポリ(メタ)アクリラートを含む。
【0020】
本発明に従って使用できるポリ(メタ)アクリラートのガラス転移温度は、好ましくは<0℃、より好ましくは−20〜−50℃である。ポリマーまたはブロックコポリマー中のポリマーブロックのガラス転移温度は、本発明の状況では、動的走査熱量(DSC)を用いて決定される。ガラス転移温度の決定は、未処理ポリマー試料約5mgを秤量して、アルミニウム製るつぼ(容積25μL)に入れ、穿孔処理した蓋でそのるつぼを閉じることを含む。測定は、Netzsch DSC204F1を使用して行う。操作は、不活化のために窒素中で行われる。まず、試料を−150℃に冷却し、次に10K/分の速度で+150℃に加熱し、再び−150℃に冷却する。後の第2の加熱プロットを、再び10K/分で実施し、熱容量の変化を記録する。ガラス転移は、サーモグラムのステップとして認識される。
【0021】
ガラス転移温度を、以下の通り得る(図1参照)。ステップの前および後の測定プロットの線形領域を、それぞれ高温(ステップ前の領域)および低温(ステップ後の領域)の方向に伸長する。ステップの領域において、最良適合(best fit)線5は、2つの伸長線を交差させるように座標と平行して置かれており、その結果、特に等含量の2つの領域3および4(各場合、伸長線の一方と、最良適合線と、測定プロットの間)が形成される。こうして位置付けられた最良適合線と、測定プロットの交差点は、ガラス転移温度を示す。
【0022】
本発明のPSAのポリ(メタ)アクリラートは、好ましくはエポキシド基と架橋可能な官能価モノマーを、好ましくは少なくとも比例的に共重合することによって得ることができる。これらのモノマーは、より好ましくは酸基(特にカルボン酸、スルホン酸またはホスホン酸基)および/またはヒドロキシル基および/または酸無水物基および/またはエポキシド基および/またはアミン基を含むものであり、カルボン酸基を含有するモノマーが、特に好ましい。特にポリアクリラートが、共重合化アクリル酸および/またはメタクリル酸を特徴とする場合、非常に有利である。これらの基のすべては、エポキシド基と架橋可能であり、それによってポリアクリラートは、有利なことには導入されたエポキシドと熱架橋することができる。
【0023】
ポリ(メタ)アクリラートのコモノマーとして使用できる他のモノマーは、分子1つ当たり最大30個のC原子を有するアクリル酸および/またはメタクリル酸エステルとは別に、例えば、最大20個のC原子を含有するカルボン酸のビニルエステル、最大20個のC原子を含有するビニル芳香族化合物、エチレン性不飽和ニトリル、ハロゲン化ビニル、1〜10個のC原子を含有するアルコールのビニルエーテル、2〜8個のC原子および1つもしくは2つの二重結合を有する脂肪族炭化水素、またはこれらのモノマーの混合物である。
【0024】
当該のポリ(メタ)アクリラートの特性は、特に、個々のモノマーの異なる質量分率によりポリマーのガラス転移温度が変動することに影響を受ける場合がある。本発明のポリ(メタ)アクリラートは、好ましくは以下のモノマー組成物に由来し得る。
a)次式のアクリル酸エステルおよび/またはメタクリル酸エステル
CH=C(R)(COORII
[式中、R=HまたはCHであり、RIIは、4〜14個のC原子を有するアルキル基である]、
b)好ましくはエポキシド基との反応性が既に定義されている種類の官能基を有するオレフィン性不飽和モノマー、
c)場合によっては、成分(a)と共重合可能な、さらなるアクリラートおよび/またはメタクリラートおよび/またはオレフィン性不飽和モノマー。
【0025】
対応する成分(a)、(b)および(c)の分率は、好ましくは、重合生成物が0℃未満、より好ましくは−20〜−50℃のガラス転移温度を有するように選択される(DSC)。分率45〜99質量%の成分(a)のモノマー、分率1〜15質量%の成分(b)のモノマー、および分率0〜40質量%の成分(c)のモノマーを選択することが、特に有利である(数値は、「ベースポリマー」のモノマー混合物に基づいており、換言すれば、例えば樹脂等の完全なポリマーには、いかなる添加剤も添加されない)。
【0026】
成分(a)のモノマーは、より具体的には可塑性かつ/または非極性モノマーである。モノマー(a)として、好ましくは4〜14個のC原子、より好ましくは4〜9個のC原子からなるアルキル基を有するアクリル酸およびメタクリル酸エステルを使用することが好ましい。このようなモノマーの例は、n−ブチルアクリラート、n−ブチルメタクリラート、n−ペンチルアクリラート、n−ペンチルメタクリラート、n−アミルアクリラート、n−ヘキシルアクリラート、n−ヘキシルメタクリラート、n−ヘプチルアクリラート、n−オクチルアクリラート、n−オクチルメタクリラート、n−ノニルアクリラートおよびそれらの分岐異性体、例えばイソブチルアクリラート、イソオクチルアクリラート、イソオクチルメタクリラート、2−エチルヘキシルアクリラートまたは2−エチルヘキシルメタクリラートなどである。
【0027】
成分(b)のモノマーは、官能基を有する、より具体的にはエポキシド基と反応することができる官能基を有する、より具体的にはオレフィン性不飽和モノマーである。
【0028】
成分(b)として、以下の、ヒドロキシル、カルボキシル、スルホン酸またはホスホン酸基、酸無水物、エポキシド、アミンを包含する群から選択される官能基を有するモノマーを使用することが好ましい。
【0029】
成分(b)のモノマーの特に好ましい例は、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、アコニット酸、ジメチルアクリル酸、β−アクリロイルオキシプロピオン酸、トリクロロアクリル酸、ビニル酢酸、ビニルホスホン酸、無水マレイン酸、ヒドロキシエチルアクリラート、より具体的には2−ヒドロキシエチルアクリラート、ヒドロキシプロピルアクリラート、より具体的には3−ヒドロキシプロピルアクリラート、ヒドロキシブチルアクリラート、より具体的には4−ヒドロキシブチルアクリラート、ヒドロキシヘキシルアクリラート、より具体的には6−ヒドロキシヘキシルアクリラート、ヒドロキシエチルメタクリラート、より具体的には2−ヒドロキシエチルメタクリラート、ヒドロキシプロピルメタクリラート、より具体的には3−ヒドロキシプロピルメタクリラート、ヒドロキシブチルメタクリラート、より具体的には4−ヒドロキシブチルメタクリラート、ヒドロキシヘキシルメタクリラート、より具体的には6−ヒドロキシヘキシルメタクリラート、アリルアルコール、グリシジルアクリラートおよびグリシジルメタクリラートである。
【0030】
原則的に成分(c)として、成分(a)および/または成分(b)と共重合可能なあらゆるビニル官能化化合物を使用することが可能である。成分(c)のモノマーは、得られたPSAの特性を調節するように働くことができる。
【0031】
成分(c)の例示的なモノマーは、以下の通りである。メチルアクリラート、エチルアクリラート、プロピルアクリラート、メチルメタクリラート、エチルメタクリラート、ベンジルアクリラート、ベンジルメタクリラート、sec−ブチルアクリラート、tert−ブチルアクリラート、フェニルアクリラート、フェニルメタクリラート、イソボルニルアクリラート、イソボルニルメタクリラート、tert−ブチルフェニルアクリラート、tert−ブチルフェニルメタクリラート、ドデシルメタクリラート、イソデシルアクリラート、ラウリルアクリラート、n−ウンデシルアクリラート、ステアリルアクリラート、トリデシルアクリラート、ベヘニルアクリラート、シクロヘキシルメタクリラート、シクロペンチルメタクリラート、フェノキシエチルアクリラート、フェノキシエチルメタクリラート、2−ブトキシエチルメタクリラート、2−ブトキシエチルアクリラート、3,3,5−トリメチルシクロヘキシルアクリラート、3,5−ジメチルアダマンチルアクリラート、4−クミルフェニルメタクリラート、シアノエチルアクリラート、シアノエチルメタクリラート、4−ビフェニルイルアクリラート、4−ビフェニルイルメタクリラート、2−ナフチルアクリラート、2−ナフチルメタクリラート、テトラヒドロフルフリルアクリラート、ジエチルアミノエチルアクリラート、ジエチルアミノエチルメタクリラート、ジメチルアミノエチルアクリラート、ジメチルアミノエチルメタクリラート、2−ブトキシエチルアクリラート、2−ブトキシエチルメタクリラート、3−メトキシアクリル酸メチル、3−メトキシブチルアクリラート、フェノキシエチルアクリラート、フェノキシエチルメタクリラート、2−フェノキシエチルメタクリラート、ブチルジグリコールメタクリラート、エチレングリコールアクリラート、エチレングリコールモノメチルアクリラート、メトキシポリエチレングリコールメタクリラート350、メトキシポリエチレングリコールメタクリラート500、プロピレングリコールモノメタクリラート、ブトキシジエチレングリコールメタクリラート、エトキシトリエチレングリコールメタクリラート、オクタフルオロペンチルアクリラート、オクタフルオロペンチルメタクリラート、2,2,2−トリフルオロエチルメタクリラート、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロイソプロピルアクリラート、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロイソプロピルメタクリラート、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピルメタクリラート、2,2,3,4,4,4−ヘキサフルオロブチルメタクリラート、2,2,3,3,4,4,4−ヘプタフルオロブチルアクリラート、2,2,3,3,4,4,4−ヘプタフルオロブチルメタクリラート、2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−ペンタデカフルオロオクチルメタクリラート、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、N−(1−メチル−ウンデシル)アクリルアミド、N−(n−ブトキシメチル)アクリルアミド、N−(ブトキシメチル)メタクリルアミド、N−(エトキシメチル)アクリルアミド、N−(n−オクタデシル)アクリルアミド、ならびにN,N−ジアルキル置換アミド、例えばN,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、N−ベンジルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N−tert−ブチルアクリルアミド、N−tert−オクチルアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミドなど、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、ビニルエーテル、例えばビニルメチルエーテル、エチルビニルエーテル、およびビニルイソブチルエーテル、ビニルエステル、例えば酢酸ビニル、塩化ビニル、ハロゲン化ビニル、塩化ビニリデン、ハロゲン化ビニリデン、ビニルピリジン、4−ビニルピリジン、N−ビニルフタルイミド、N−ビニルラクタム、N−ビニルピロリドン、スチレン、α−およびp−メチルスチレン、α−ブチルスチレン、4−n−ブチルスチレン、4−n−デシルスチレン、3,4−ジメトキシスチレン、ならびにマクロモノマー、例えば2−ポリスチレンエチルメタクリラート(GPCを用いて求めると、質量平均分子量Mwは4000〜13000g/molである)、ならびにポリ(メチルメタクリラート)エチルメタクリラート(Mwは2000〜8000g/molである)。
【0032】
また成分(c)のモノマーは、有利なことには、その後の放射線化学的架橋(例えば電子線またはUVによる)を支援する官能基を含むように選択することができる。共重合可能な適切な光開始剤は、例えばベンゾインアクリラートおよびアクリラート官能化ベンゾフェノン誘導体である。電子衝撃による架橋を支援するモノマーは、例えば、テトラヒドロフルフリルアクリラート、N−tert−ブチルアクリルアミドおよびアリルアクリラートである。
【0033】
ポリアクリラート(「ポリアクリラート」は、本発明の状況では「ポリ(メタ)アクリラート」と同義であると理解される)は、当業者に周知の方法によって、特に有利なことには通常のラジカル重合または制御ラジカル重合によって、調製することができる。ポリアクリラートは、通例の重合開始剤を使用して、また場合によっては連鎖移動剤を使用して、モノマー成分を共重合することによって調製することができ、この重合は、エマルション中で、例えば水もしくは液体炭化水素中で、または溶液中で、通例の温度でバルクにより実施される。
【0034】
ポリアクリラートは、好ましくは溶媒中で、より具体的には50〜150℃、好ましくは60〜120℃の沸点範囲を有する溶媒中で、(モノマーの総質量に対して)通例の量の、一般に0.01〜5質量%、より具体的には0.1〜2質量%の重合開始剤を使用してモノマーを重合することによって調製される。
【0035】
原則的に、当業者に周知のあらゆる通例の開始剤が適している。ラジカル供給源の例は、ペルオキシド、ヒドロペルオキシドおよびアゾ化合物、例えばジベンゾイルペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、シクロヘキサノンペルオキシド、ジ−tert−ブチルペルオキシド、シクロヘキシルスルホニルアセチルペルオキシド、過炭酸ジイソプロピル、tert−ブチルペルオクトアートおよびベンゾピナコールである。非常に好ましい一手順では、ラジカル開始剤として2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)(DuPont製のVazo(登録商標)67(商標))または2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル)(2,2’−アゾビスイソブチロニトリル;AIBN;DuPont製のVazo(登録商標)64(商標))が使用される。
【0036】
ポリ(メタ)アクリラートを調製するのに適した溶媒として、アルコール、例えばメタノール、エタノール、n−およびイソプロパノール、n−およびイソブタノール、好ましくはイソプロパノールおよび/またはイソブタノール、ならびに炭化水素、例えばトルエン、より具体的には沸点範囲60〜120℃の石油精が挙げられる。さらに使用できる可能性があるものとして、ケトン、例えば好ましくはアセトン、メチルエチルケトンおよびメチルイソブチルケトン、ならびにエステル、例えば酢酸エチルエステル、ならびに前述のタイプの溶媒の混合物が挙げられるが、好ましいのは、用いられる溶媒混合物に対してより具体的には2〜15質量%、好ましくは3〜10質量%の量でイソプロパノールを含む混合物である。
【0037】
ポリアクリラートの調製(重合)の後、好ましくは濃縮手順が行われ、ポリアクリラートのさらなる処理は、実質的に溶媒なしに行われる。ポリマーの濃縮は、架橋剤および促進剤物質がない状態で行うことができる。しかし濃縮を行う前に、これらのクラスの化合物のうちの1種をポリマーに添加することも可能であり、その結果、濃縮は、前記物質が存在する状態で行われる。
【0038】
ポリマーは、濃縮ステップ後に配合機に移すことができる。適切な場合、濃縮および配合は、同じ反応器内で行うこともできる。
【0039】
ポリアクリラートの質量平均分子量Mは、好ましくは20000〜2000000g/molの範囲、非常に好ましくは100000〜1500000g/molの範囲、最も好ましくは150000〜1000000g/molの範囲である。本明細書の平均分子量Mおよび多分散性PDの数値は、ゲル浸透クロマトグラフィーによる測定に関するものである。この目的では、所望の平均分子量に設定するために、チオール、ハロゲン化合物および/またはアルコールなどの適切な連鎖移動剤が存在する状態で重合を実施することが有利な場合がある。
【0040】
本明細書の数平均モル質量Mnおよび質量平均モル質量Mwの数値は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)による測定に関するものである。この測定は、清澄濾過処理した試料100μl(試料濃度4g/l)で行われる。0.1vol%のトリフルオロ酢酸を含むテトラヒドロフランが、溶離液として使用される。測定は25℃で行われる。
【0041】
使用した予備カラムは、PSS−SDVカラム、5μm、10Å、8.0mm×50mmであった(これらおよび以下の数値は、以下の順、タイプ、粒径、多孔性、内径×長さに対応する;1Å=10−10m)。分離は、それぞれタイプPSS−SDV、5μm、10Åおよび10Åおよび10Å、8.0mm×300mmのカラムの組合せを使用して行われる(Polymer Standards Service製のカラム;Shodex RI71示差屈折率計を用いて検出)。流速は、1分当たり1.0mlである。ポリアクリラートの較正は、PMMA標準(ポリメチルメタクリラート較正)に対して行い、他のもの(樹脂、エラストマー)についてはPS標準(ポリスチレン較正)に対して行う。
【0042】
ポリアクリラートは、トルエン(1%強度溶液、21℃)で測定すると、好ましくは30〜90、より好ましくは40〜70のK値を有する。FikentscherによるK値は、ポリマーの分子量および粘度の尺度である。
【0043】
本方法の原則は、毛細管による粘度測定によって相対的な溶液粘度を決定することから導出される。この目的では、試験物質を30分間振とうすることによってトルエンに溶解させて、1%強度溶液を得る。Vogel−Ossag粘度計により、流下時間を25℃で測定し、それを使用して、純粋な溶媒の粘度に関して試料溶液の相対的粘度を導出する。Fikentscherによれば、K値(K=1000k)は、表から読み取ることができる[P. E. Hinkamp、Polymer、1967年、8、381頁(非特許文献1)]。
【0044】
特に本発明では、狭い分子量分布範囲(多分散性PD<4)を有するポリアクリラートが適している。これらの材料は、架橋後の分子量が相対的に低いにもかかわらず、特に良好なせん断強度を有する。多分散性が相対的に低いと、流動粘度は、分子量分布がより広いポリアクリラートよりも低いが、塗布特性はほぼ同じなので、溶融物からの処理も容易になる。狭い分子量分布範囲のポリ(メタ)アクリラートは、有利なことには、アニオン重合法または制御ラジカル重合法によって調製することができ、特に制御ラジカル重合法が適している。同様にN−オキシルを介してこのようなポリアクリラートを調製することも可能である。さらに有利なことには、狭い分子量分布範囲のポリアクリラートの合成には、原子移動ラジカル重合(ATRP)を用いることができ、使用される開始剤は、好ましくは一官能価または二官能価の第二級または第三級ハロゲン化物を含み、ハロゲン化物は、Cu、Ni、Fe、Pd、Pt、Ru、Os、Rh、Co、Ir、AgまたはAuの錯体を使用して引き抜かれる。
【0045】
ポリ(メタ)アクリラートを調製するためのモノマーは、好ましくはエポキシド基と連結反応するのに適した官能基を比例的に含む。有利なことには、これにより、エポキシドとの反応によってポリアクリラートの熱架橋が生じる。連結反応は、特に付加反応および置換反応であると理解される。したがって好ましくは、官能基を担持する構成要素と、エポキシド基を担持する構成要素との連結が生じ、すなわちより具体的には、官能基を担持するポリマー構成要素が、エポキシド基を担持する架橋剤分子を含む連結架橋によって架橋される。エポキシド基を含有する物質は、好ましくは多官能価エポキシドであり、換言すれば少なくとも2つのエポキシド基を有するエポキシドであり、したがって全体的な結果として、好ましくは、官能基を担持する構成要素が間接的に連結される。
【0046】
本発明のPSAのポリ(メタ)アクリラートは、好ましくはそれらが含有している官能基の連結反応、すなわち特に付加反応または置換反応によって、熱架橋剤を介して架橋される。処理できる時間が十分に長く、すなわち処理操作中、特に押出し成形操作中にゲル化しないだけでなく、処理温度よりも低い温度、より具体的には室温で、所望の架橋度までポリマーを速やかに後架橋する(postcrosslink)あらゆる熱架橋剤を使用することができる。例えば、架橋剤として、カルボキシル、アミノおよび/またはヒドロキシルを含有するポリマー、ならびにイソシアナート、より具体的にはアミンで不活性化された脂肪族または三量体化イソシアナートの組合せも可能である。
【0047】
適切なイソシアナートは、より具体的には、MDIの三量体化誘導体[4,4’−メチレンジ(フェニルイソシアナート)]、HDI[ヘキサメチレンジイソシアナート、1,6−へキシレンジイソシアナート]および/またはIPDI[イソホロンジイソシアナート、5−イソシアナート−1−イソシアナートメチル−1,3,3−トリメチルシクロヘキサン]であり、その例は、タイプDesmodur(登録商標)N3600およびXP2410(それぞれBAYER AG:脂肪族ポリイソシアナート、低粘度HDI三量体)である。同様に、微粒子化三量体化IPDI BUEJ339(登録商標)、現在はHF9(登録商標)(BAYER AG)の表面不活化分散液が適している。
【0048】
しかし他のイソシアナート、例えばDesmodur VL50(MDIベースのポリイソシアナート、Bayer AG)、Basonat F200WD(脂肪族ポリイソシアナート、BASF AG)、Basonat HW100(水乳化性の多官能価HDI系イソシアナート、BASF AG)、Basonat HA300(HDIイソシアヌラートをベースとするアロファン酸修飾ポリイソシアナート、BASF)またはBayhydur VPLS2150/1(親水性修飾IPDI、Bayer AG)も、原則的に架橋に適している。
【0049】
架橋されるポリマーの総量に対して、0.1〜5質量%、より具体的には0.2〜1質量%の熱架橋剤を使用することが好ましい。
【0050】
本発明のPSAのポリ(メタ)アクリラートは、好ましくは1種もしくは複数のエポキシド、またはエポキシド基を含有する1種もしくは複数の物質を用いて架橋される。エポキシド基を含有する物質は、より具体的には多官能価エポキシドであり、換言すれば少なくとも2つのエポキシド基を含有するエポキシドであり、したがって、全体的な結果として、官能基を担持するポリ(メタ)アクリラートの構成要素が間接的に連結される。エポキシド基を含有する物質は、芳香族化合物であってよく、脂肪族化合物であってもよい。
【0051】
傑出して適切な多官能価エポキシドは、エピクロロヒドリンのオリゴマー、多価アルコールのエポキシエーテル(より具体的にはエチレン、プロピレンおよびブチレングリコール、ポリグリコール、チオジグリコール、グリセロール、ペンタエリスリトール、ソルビトール、ポリビニルアルコール、ポリアリルアルコール等)、多価フェノールのエポキシエーテル[より具体的にはレゾルシノール、ヒドロキノン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジフルオロフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−クロロフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4’−メチルフェニルメタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2,2,2−トリクロロエタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)(4−クロロフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキシルメタン、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、2,2’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン]、ならびにそれらのヒドロキシエチルエーテル、フェノール−ホルムアルデヒド縮合生成物、例えばフェノールアルコール、フェノールアルデヒド樹脂等、SおよびNを含有するエポキシド(例えばN,N−ジグリシジルアニリン、N,N’−ジメチルジグリシジル−4,4−ジアミノジフェニルメタン)、ならびに不飽和アルコールの多価不飽和カルボン酸または一不飽和カルボン酸エステル、グリシジルエステル、ポリグリシジルエステル[不飽和酸のグリシジルエステルの重合もしくは共重合によって得ることができ、または他の酸性化合物(シアヌル酸、ジグリシジルスルフィド、環式トリメチレントリスルホンおよび/またはその誘導体等)から得ることができる]から、慣習的な方法によって調製されたエポキシドである。
【0052】
非常に適切なエーテルは、例えば、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、ポリグリセリン−3グリシジルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル、グリセロールトリグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテルおよびビスフェノールFジグリシジルエーテルである。
【0053】
架橋されるポリマーとしてのポリ(メタ)アクリラートにとって特に好ましいのは、処理できる時間および架橋反応速度だけでなく架橋度もより有効に制御するために、例えばEP1 978 069A1(特許文献8)に記載の架橋剤−促進剤系(「架橋系」)を使用することである。架橋剤−促進剤系は、エポキシド基を含有する、架橋剤としての少なくとも1種の物質と、架橋されるポリマーの溶融温度未満の温度で、エポキシド官能性化合物を用いる架橋反応を促進する効果を有する、促進剤としての少なくとも1種の物質を含む。
【0054】
本発明に従って使用される促進剤は、より好ましくはアミンであり(形式的にはアンモニア置換生成物と解釈され、以下の式では、これらの置換基は「R」と表され、特にアルキルおよび/またはアリール基および/または他の有機基を包含する)、さらに特に好ましくは、架橋されるポリマーの構成要素と全く反応しないか、またはわずかに反応するアミンである。
【0055】
原則的に促進剤として、第一級アミン(NRH)、第二級アミン(NRH)および第三級アミン(NR)、ならびに当然のことながら2つ以上の第一級および/または第二級および/または第三級アミン基を有するアミンを選択することができる。しかし、特に好ましい促進剤は、第三級アミン、例えばトリエチルアミン、トリエチレンジアミン、ベンジルジメチルアミン、ジメチルアミノメチルフェノール、2,4,6−トリス−(N,N−ジメチルアミノ−メチル)フェノールおよびN,N’−ビス(3−(ジメチルアミノ)プロピル)尿素などである。促進剤として、有利なことには多官能価アミン、例えばジアミン、トリアミンおよび/またはテトラアミンを使用することも可能である。傑出して適切なものは、例えばジエチレントリアミン、トリエチレンテトラアミンおよびトリメチルヘキサメチレンジアミンである。
【0056】
促進剤として使用するのにさらに好ましいのは、アミノアルコールである。特に好ましいのは、第二級および/または第三級アミノアルコールを使用することであり、ここで分子1つ当たり2つ以上のアミン官能基が存在する場合、アミン官能基の好ましくは少なくとも1つ、好ましくはすべてが、第二級および/または第三級である。好ましいアミノ−アルコール促進剤として、トリエタノールアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシプロピル)エタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、2−アミノシクロヘキサノール、ビス(2−ヒドロキシシクロヘキシル)メチルアミン、2−(ジイソプロピルアミノ)エタノール、2−(ジブチルアミノ)エタノール、N−ブチルジエタノールアミン、N−ブチルエタノールアミン、2−[ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノ]−2−(ヒドロキシメチル)−1,3−プロパンジオール、1−[ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノ]−2−プロパノール、トリイソプロパノールアミン、2−(ジメチルアミノ)エタノール、2−(ジエチルアミノ)エタノール、2−(2−ジメチルアミノエトキシ)エタノール、N,N,N’−トリメチル−N’−ヒドロキシエチルビスアミノエチルエーテル、N,N,N’−トリメチルアミノエチルエタノールアミンおよび/またはN,N,N’−トリメチルアミノプロピル−エタノールアミンを用いることが可能である。
【0057】
他の適切な促進剤は、ピリジン、イミダゾール(例えば2−メチルイミダゾールなど)および1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデス−7−エンである。脂環式ポリアミンも同様に、促進剤として使用することができる。リン酸ベースの促進剤、例えばホスフィンおよび/またはホスホニウム化合物、例えばトリフェニルホスフィンまたはテトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボラートなども適している。
【0058】
本発明のPSAはさらに、少なくとも1種の合成ゴムを含む。本発明によれば、1種または複数の合成ゴムは、PSA中に、PSAの総質量に対して15〜50質量%で存在する。PSAは、好ましくはPSAの総質量に対して20〜40質量%の少なくとも1種の合成ゴムを含む。
【0059】
本発明のPSAの少なくとも1種の合成ゴムは、好ましくはA−B、A−B−A、(A−B)、(A−B)Xまたは(A−B−A)X構造を有するブロックコポリマーであり、
ここで、
−ブロックAは、互いに独立に、少なくとも1種のビニル芳香族化合物の重合によって形成されたポリマーであり、
−ブロックBは、互いに独立に、4〜18個のC原子を有する共役ジエンおよび/またはイソブチレンの重合によって形成されたポリマーであるか、またはこのようなポリマーの部分的もしくは完全に水素化された誘導体であり、
−Xは、カップリング試薬または開始剤の残基であり、
−nは、2以上の整数である。
【0060】
特に、本発明のPSAのすべての合成ゴムは、前述の構造を有するブロックコポリマーである。したがって、本発明のPSAは、先の構造を有する異なるブロックコポリマーの混合物を含むこともできる。
【0061】
したがって、適切なブロックコポリマー(ビニル芳香族ブロックコポリマー)は、1つまたは複数のゴム様のブロックB(軟質ブロック)と、1つまたは複数のガラス様のブロックA(硬質ブロック)を含む。特に好ましくは、本発明のPSAの少なくとも1種の合成ゴムは、A−B、A−B−A、(A−B)Xまたは(A−B)X構造を有するブロックコポリマーであり、ここでA、BおよびXは、先の定義を有する。非常に好ましくは、本発明のPSAのすべての合成ゴムが、A−B、A−B−A、(A−B)Xまたは(A−B)X構造を有するブロックコポリマーであり、ここでA、BおよびXは、先の定義を有する。より具体的には、本発明のPSAの合成ゴムは、A−B、A−B−A、(A−B)Xまたは(A−B)X構造を有するブロックコポリマーの混合物であり、前記混合物は、好ましくは少なくともジブロックコポリマーA−Bおよび/またはトリブロックコポリマーA−B−Aを含む。
【0062】
ブロックAは、一般に室温を超える好ましいガラス転移温度(Tg、DSC)を有する、ガラス様のブロックである。より好ましくは、ガラス様のブロックのTgは、少なくとも40℃、より具体的には少なくとも60℃、非常に好ましくは少なくとも80℃、極めて好ましくは少なくとも100℃である。全体的なブロックコポリマーにおけるビニル芳香族ブロックAの分率は、好ましくは10〜40質量%、より好ましくは20〜33質量%である。ブロックAの構造のビニル芳香族化合物は、好ましくはスチレン、α−メチルスチレンおよび/または他のスチレン誘導体を含む。したがって、ブロックAは、ホモポリマーまたはコポリマーの形態をとることができる。特に好ましくは、ブロックAはポリスチレンである。
【0063】
さらに、ビニル芳香族ブロックコポリマーは、一般に室温未満の好ましいTgを有するゴム様のブロックBまたは軟質ブロックを有する。軟質ブロックのTgは、より好ましくは0℃未満、より具体的には−10℃未満、例えば−40℃未満、非常に好ましくは−60℃未満である。
【0064】
軟質ブロックBのモノマーとして好ましい共役ジエンは、特に、ブタジエン、イソプレン、エチルブタジエン、フェニルブタジエン、ピペリレン、ペンタジエン、ヘキサジエン、エチルヘキサジエン、ジメチルブタジエンおよびファルネセン異性体、ならびにこれらのモノマーの任意の所望の混合物からなる群から選択される。ブロックBも同様に、ホモポリマーまたはコポリマーの形態をとることができる。
【0065】
特に好ましくは、軟質ブロックBのモノマーとしてのコンジュゲート共役ジエンは、ブタジエンおよびイソプレンから選択される。例えば、軟質ブロックBは、ポリイソプレン、ポリブタジエン、またはこれらの2つのポリマーの一方の部分的もしくは完全に水素化された誘導体、例えば特にポリブチレン−ブタジエンであり、あるいはブタジエンとイソプレンの混合物のポリマーである。非常に好ましくは、ブロックBは、ポリブタジエンである。
【0066】
本発明のPSAはさらに、ポリ(メタ)アクリラートと相溶性であり、結合強度補助剤または粘着付与樹脂と呼ぶこともできる少なくとも1種の粘着付与剤を含む。当業者の一般的な理解と一致して、「粘着付与剤」は、粘着付与剤を含んでいないがその他は同一のPSAと比較して、PSAの自着性(autohesion)(粘着性(tack)または固有粘着性(inherent stickiness))を高めるオリゴマー性またはポリマー性樹脂であると理解される。
【0067】
「ポリ(メタ)アクリラートと相溶性の粘着付与剤」は、ポリ(メタ)アクリラートを完全に混合した後に得られた系に対して効果を有し、純粋なポリ(メタ)アクリラートと比較してガラス転移温度を変化させる粘着付与剤であると理解され、ポリ(メタ)アクリラートと粘着付与剤の混合物にTgを1つだけ割り当てることも可能である。ポリ(メタ)アクリラートと粘着付与剤を完全に混合した後に得られた系では、ポリ(メタ)アクリラートと相溶性でない粘着付与剤は、2つのTgを生じる場合があり、一方はポリ(メタ)アクリラートに割り当てることができ、他方は樹脂領域に割り当てることができる。これに関連して、Tgは、DSC(示差走査熱量測定)を用いることによって、熱量測定により決定される。
【0068】
本発明の組成物のポリ(メタ)アクリラートと相溶性の樹脂は、好ましくは0℃未満、非常に好ましくは−20℃以下のDACPを有し、かつ/または好ましくは40℃未満、非常に好ましくは20℃以下のMMAPを有する。DACPおよびMMAP値の決定に関しては、C. Donker、PSTC Annual Technical Seminar、Proceedings、149〜164頁、2001年5月(非特許文献2)を参照されたい。
【0069】
好ましくは本発明によれば、ポリ(メタ)アクリラートと相溶性の粘着付与剤は、テルペン−フェノール樹脂またはロジン誘導体、より好ましくはテルペン−フェノール樹脂である。本発明のPSAは、2つ以上の粘着付与剤の混合物を含むこともできる。ロジン誘導体の中でも、ロジンエステルが好ましい。
【0070】
本発明のPSAは、PSAの総質量に対して好ましくは7〜25質量%の、ポリ(メタ)アクリラートと相溶性の少なくとも1種の粘着付与剤を含む。特に好ましくは、ポリ(メタ)アクリラートと相溶性の1種または複数の粘着付与剤は、PSAの総質量に対して12〜20質量%で存在する。
【0071】
本発明のPSAにおける、ポリ(メタ)アクリラートと相溶性の1種または複数の粘着付与剤は、好ましくは、合成ゴムと、より具体的にはその軟質ブロックBとも相溶性であり、または少なくとも部分的に相溶性であり、それに応じて用語「相溶性の」についての先の定義が適用される。ポリマー/樹脂相溶性は、ポリマーおよび/または樹脂のモル質量を含む因子に依存して決まる。モル質量が低いほど、相溶性が良好になる。所与のポリマーでもこの場合が当てはまり、樹脂のモル質量分布において分子質量が低い構成成分は、ポリマーと相溶性であり、分子質量が高いものほど相溶性でない。これは、部分相溶性の一例である。
【0072】
本発明のPSAにおける、ポリ(メタ)アクリラート対合成ゴムの質量比は、好ましくは1:1〜3:1、より具体的には1.8:1〜2.2:1である。
【0073】
本発明のPSAにおける、(ポリ(メタ)アクリラートと相溶性の粘着付与剤)対合成ゴムの質量比は、好ましくは最大2:1、より具体的には最大1:1である。この質量比は、好ましくは少なくとも1:4である。
【0074】
本発明のPSAは、非常に好ましくは、
a)PSAの総質量に対して50〜60質量%の少なくとも1種のポリ(メタ)アクリラートと、
b)PSAの総質量に対して20〜40質量%の少なくとも1種の合成ゴムと、
c)7〜25質量%の、ポリ(メタ)アクリラートと相溶性の少なくとも1種の粘着付与剤と
を含む。
【0075】
本発明のPSAでは、合成ゴムは、好ましくはポリ(メタ)アクリラート中に分散している。したがって、ポリ(メタ)アクリラートおよび合成ゴムは、好ましくはそれぞれ均質な相である。PSA中に存在するポリ(メタ)アクリラートおよび合成ゴムは、好ましくは、均質になる時点までそれらが23℃で互いに混和しないように選択される。したがって本発明のPSAは、少なくとも室温で、好ましくは少なくとも微視的に少なくとも二相形態を有する。より好ましくは、ポリ(メタ)アクリラートおよび合成ゴムは、0℃〜50℃、より具体的には−30℃〜80℃の温度範囲で互いに均質に混和せず、したがってPSAは、これらの温度範囲において少なくとも微視的に少なくとも二相形態で存在する。
【0076】
本明細書の目的では、十分に混合した後も、少なくとも2つの安定な相の形成が物理的かつ/または化学的に、少なくとも微視的に検出可能であり、一方の相に1つの成分が豊富に含まれ、他方の相に他方の成分が豊富に含まれる場合、それらの成分は「互いに均質に混和しない」と定義される。多相特性の開発とは異なり、無視できるほど少量の1つの成分が他方の成分中に存在することは、この文脈では重要でないとみなされる。したがって、含有される量が、相分離に影響を及ぼす実質的な量でない限り、ポリ(メタ)アクリラート相は、少量の合成ゴムを含有することができ、かつ/または合成ゴム相は、少量のポリ(メタ)アクリラート成分を含有することができる。
【0077】
相分離は、特に、合成ゴムが豊富に含まれる、換言すれば合成ゴムから本質的に形成されている別個の領域(「ドメイン」)が、ポリ(メタ)アクリラートが豊富に含まれる、換言すればポリ(メタ)アクリラートから本質的に形成されている連続マトリックス中に存在するように実現することができる。相分離を分析するのに適した系の1つは、例えば走査電子顕微鏡である。あるいは、相分離は、例えば2つのガラス転移温度を有する互いに独立な異なる相によって、示差走査熱量測定(DSC)で検出することもできる。相分離は、本発明によれば、分析技術の少なくとも1つによって明確に示され得る場合に存在する。
【0078】
合成ゴムが豊富に含まれるドメイン内の微細構造として、Aブロックが1つの相を形成し、Bブロックが第2の相を形成する追加の多相(multi−phasedness)が存在することもできる。
【0079】
本発明のPSAは、今までに詳説した構成成分に加えて、ポリ(メタ)アクリラートと相溶性でない1種または複数の炭化水素樹脂を含むことができる。この種類の炭化水素樹脂には、粘着付与剤も同様に、好ましくは、ジシクロペンタジエンの水素化ポリマー;C5、C5/C9またはC9モノマー流をベースとする、水素化されていないか、または部分的に水素化され、選択的に水素化され、もしくは完全に水素化されている炭化水素樹脂;ならびにα−ピネンおよび/またはβ−ピネンおよび/またはδ−リモネンをベースとするポリテルペン樹脂が含まれる。炭化水素樹脂は、好ましくは、少なくとも0℃、非常に好ましくは少なくとも20℃のDACP値を有し、かつ/または好ましくは少なくとも40℃、非常に好ましくは少なくとも60℃のMMAP値を有する。DACPおよびMMAP値の決定に関しては、C. Donker、PSTC Annual Technical Seminar、Proceedings、149〜164頁、2001年5月(非特許文献2)を参照されたい。前述の炭化水素樹脂は、個々にまたは混合物としてPSA中に存在することができる。特に好ましい炭化水素樹脂は、α−ピネンおよび/またはβ−ピネンおよび/またはδ−リモネンをベースとするポリテルペン樹脂である。
【0080】
本発明のPSAは、好ましくは発泡している。発泡は、任意の化学的および/または物理的方法を用いて生じさせることができる。しかし好ましくは、本発明の発泡PSAは、マイクロバルーンの導入およびその後の膨張によって得られる。「マイクロバルーン」は、それらの基本状態で弾性であり、したがって膨張性の、熱可塑性ポリマーシェルを有する中空ミクロスフェアであると理解される。これらのスフェアは、低沸点液体または液化ガスで充填される。使用されるシェル材料として、特に、ポリアクリロニトリル、PVDC、PVCまたはポリアクリラートが挙げられる。適切な低沸点液体として、特に、例えばポリマーシェル内に圧力下で液化ガスの形態で封入される、低級アルカンの炭化水素、例えばイソブタンまたはイソペンタンが挙げられる。
【0081】
マイクロバルーンの曝露の結果、より具体的には熱への曝露の結果、外側ポリマーシェルは、軟化する。同時に、シェル内に存在する液体噴霧剤ガスは、気体状態に遷移する。この時点で、マイクロバルーンは、不可逆的に三次元的に膨張する。膨張は、内部圧力が外部圧力に一致すると終わる。ポリマー性シェルは保たれるので、したがって、独立気泡フォームが得られる。
【0082】
マイクロバルーンを使用して発泡が行われる場合、マイクロバルーンは、バッチ、ペーストまたはブレンドされているもしくはブレンドされていない粉末の形態で配合物に供給することができる。考え得る計量点は、例えばポリ(メタ)アクリラートを、例えば合成ゴムと一緒に粉末として添加する前もしくは後であり、または後にペーストとして添加する時点である。
【0083】
多様なタイプのマイクロバルーンが市販されており、それらは、サイズ(未膨張状態で直径6〜45μm)、および膨張に必要な開始温度(75〜220℃)が本質的に異なっている。市販のマイクロバルーンの一例は、Akzo Nobel製のExpancel(登録商標)DU製品(DU=乾燥未膨張)である。また未膨張マイクロバルーン製品は、固体分率またはマイクロバルーン分率が約40〜45質量%の水性分散液として利用可能であり、またさらには、例えば約65質量%のマイクロバルーン濃度の、酢酸エチルビニル中ポリマー結合マイクロバルーン(マスターバッチ)としても利用可能である。DU製品同様に、マイクロバルーン分散液だけでなくマスターバッチも、本発明の発泡PSAを生成するのに適している。
【0084】
本発明の発泡PSAは、いわゆる予め膨張させたマイクロバルーンを用いて生成することもできる。このグループを用いると、ポリマーマトリックスに混ぜ込む前に膨張が生じる。予め膨張させたマイクロバルーンは、例えば名称Dualite(登録商標)または名称DEのタイプ(乾燥膨張)で市販されている。
【0085】
本発明の発泡PSAの密度は、好ましくは200〜1000kg/m、より好ましくは300〜900kg/m、より具体的には400〜800kg/mである。
【0086】
本発明のPSAの適用領域および所望の特性に応じて、PSAは、各場合に単独で、または1種もしくは複数のさらなる添加剤もしくは成分と組み合わせることにより、他の成分および/または添加剤と混合することができる。
【0087】
したがって、例えば、本発明のPSAは、研磨剤(abrasive version)および強化剤(reinforcing version)、例えばチョーク(CaCO)、二酸化チタン、酸化亜鉛および/またはカーボンブラックなどを含めた、フィラー、染料および顔料を、粉末および顆粒形態で含むことができる。
【0088】
PSAは、好ましくは、フィラーとして1つまたは複数の形態のチョーク、より好ましくはMikrosoehlチョーク(Soehlde製)を含む。フィラーを、最大20質量%の好ましい分率で添加すると、技術的な接着特性(室温でのせん断強度、鋼およびPEに対する即効性の結合強度)が、事実上変化しない。さらに、異なる有機フィラーが含まれていてもよい。
【0089】
本発明のPSAに適した添加剤として、さらに他の添加剤から独立に選択すると、非膨張性中空ポリマービーズ、固体ポリマービーズ、中空ガラスビーズ、固体ガラスビーズ、中空セラミックビーズ、固体セラミックビーズおよび/または固体炭素ビーズ(「炭素マイクロバルーン」)が挙げられる。
【0090】
本発明のPSAはさらに、低引火性フィラー、例えばポリリン酸アンモニウム;導電性フィラー、例えば導電性カーボンブラック、炭素繊維および/または銀でコーティングしたビーズ;熱伝導性材料、例えば窒化ホウ素、酸化アルミニウム、炭化ケイ素など;強磁性添加剤、例えば酸化鉄(III);再生可能な有機原料、例えば木粉、有機および/または無機ナノ粒子、繊維など;配合剤、経年劣化阻害剤、光安定剤および/またはオゾン化防止剤を含むことができる。
【0091】
場合によっては、可塑剤が含まれていてもよい。添加される可塑剤は、例えば、(メタ)アクリラートオリゴマー、フタル酸エステル、シクロヘキサンジカルボン酸エステル、水溶性可塑剤、可塑剤樹脂、ホスファートまたはポリホスファートであり得る。
【0092】
PSAの熱せん断強度を調節するために、シリカの添加、有利なことにはジメチルジクロロシランで表面を修飾した沈殿シリカの添加を利用することができる。
【0093】
本発明のPSAを生成する方法は、まず、ポリマーの調製から得られたポリアクリラート溶液または分散液を濃縮する手順を含むことができる。ポリマーの濃縮は、架橋剤および促進剤物質がない状態で行うことができる。しかし、濃縮前にこれらの物質のうちの1種類までをポリマーに添加して、次に、この物質またはこれらの物質が存在する状態で濃縮を行うことも可能である。
【0094】
合成ゴムは、固体用の計量設備によって、ポリ(メタ)アクリラートと相溶性の樹脂と一緒に配合機に添加することができる。濃縮し、場合によっては既に溶融したポリ(メタ)アクリラートを、付属の供給機を介して配合機に導入することができる。この方法の特定の態様では、濃縮と配合を同じ反応器内で行うことも可能である。ポリ(メタ)アクリラートと相溶性の樹脂は、樹脂を溶融し、合成ゴムおよびポリ(メタ)アクリラートを導入した後などに、この方法の異なる位置にあるさらなる付属の供給機によって供給することもできる。
【0095】
さらなる添加剤および/または可塑剤も同様に、固体もしくは溶融物として、または別の配合成分と組み合わせてバッチとして供給することができる。
【0096】
使用される配合機は、特に押出機であってよい。配合機内では、ポリマーは、既に溶融状態で導入されているか、または配合機内で溶融状態になるまで加熱されているので、好ましくは溶融状態である。ポリマーは、有利なことには配合機内で加熱によって溶融状態に維持される。
【0097】
ポリ(メタ)アクリラートを架橋するのに促進剤物質が用いられる場合、促進剤物質は、さらなる処理の直前まで、特にコーティングするか、または他の形態で成形するまでは、好ましくはポリマーに添加されない。添加からコーティングまでの時間枠は、特に、得られる生成物の特性に有害な変化を及ぼさずに利用可能な可使時間、換言すれば溶融状態で処理できる時間によって導出される。
【0098】
例えば架橋剤であるエポキシドおよび促進剤は、共に、組成物のさらなる処理の直前に添加することもでき、換言すれば、有利なことには促進剤について先に記載した段階で添加することもできる。この目的では、架橋剤および促進剤が、場合によってはエポキシド/促進剤ブレンドの形態で、同じ場所で操作中に同時に導入されることが有利である。原則的に、前述の架橋剤および促進剤を添加する時間および場所を変更し、したがって促進剤を添加した後に架橋剤物質を添加することも可能である。
【0099】
材料を配合した後、その材料を、より具体的には恒久的または一時的な担体上にコーティングすることによって、さらに処理することができる。恒久的担体は、適用時に接着剤の層と結合したままであるが、一時的担体は、処理操作の進行中に、例えば接着テープの二次加工中または接着層の適用時に、接着剤の層から除去される。
【0100】
自着性組成物のコーティングは、当業者に公知の加熱溶融コーティングノズルを用いて、または好ましくはコーティングカレンダーとも呼ばれるロールアプリケーター機構を用いて行うことができる。コーティングカレンダーは、有利なことに、2つ、3つ、4つまたはそれを超える数のロールからなり得る。
【0101】
好ましくは、ロールの少なくとも1つに、接着防止ロール表面が設けられる。好ましくは、PSAと接触するカレンダーロールのすべてが、接着防止表面を有する。好ましくは、接着防止ロール表面として、鋼−セラミック−シリコーン複合体が用いられる。このようなロール表面は、熱的および機械的負荷に対して抵抗性がある。
【0102】
より具体的には、ロール表面が、処理される組成物の層と完全には接触せず、その代わりに、平滑面ロールと比較して接触面積がより小さくなるような表面構造を有するロール表面を使用することが特に有利であることが分かった。彫刻金属ロール、例えば彫刻鋼ロールなどの構造のロールが、特に有利である。
【0103】
本発明はさらに、本発明のPSAの少なくとも1つの層を含む接着テープを提供する。本発明のPSAは、厚い層を形成するのに特に適している。したがって、前記の、本発明のPSAの層の厚さは、好ましくは100μm〜5000μm、より好ましくは150μm〜3000μm、より具体的には200μm〜2500μm、例えば500μm〜2000μmである。
【0104】
本発明の接着テープは、好ましくは、本発明のPSAの層からなる。したがってこの場合、テープは、接着剤転写テープと呼ばれるテープである。あるいはPSAは、片面もしくは両面接着テープの担体層の形態をとることができ、または片面もしくは両面接着テープを含む担体の感圧接着性外層の少なくとも1つを形成することができる。本発明の文脈では、PSAを(一時的に)保護するために、PSAに通例として適用される種類の放出ライナーは、接着テープの構成成分とはみなされない。したがって、本発明の接着テープは、本発明のPSAの層が放出ライナーで裏打ちされる場合でも、前記PSA層だけからなることができる。
【0105】

試験方法
試験1:90°鋼結合強度
鋼に対する結合強度を、温度23℃+/−1℃および相対湿度50%+/−5%の試験条件下で求めた。被験物を幅20mmに切り出し、鋼プレートに接着させた。測定の前に、試験用プレートを清浄にし、調整した。この処理は、まず、鋼プレートをアセトンで拭き取り、その後5分間かけて空気中に静置して、溶媒を蒸発させることによって行った。次に、試験用基材に面していない単層接着テープの片面を、エッチング処理した36μmのPETフィルムで裏打ちし、それによって測定中に被験物が延伸しないようにした。この後、試験用被験物を、鋼基材にローラーで適用した。この目的では、4kgのローラーを、ロール速度10m/分でテープ上に5回往復させた。このローラー適用の20分後に、被験物を角度90°で垂直上方に向かって剥離できる特別な架台に、鋼プレートを挿入した。結合強度を、Zwick引張試験機を使用して測定した。測定結果を、3回の個々の測定の平均としてN/cmで記録する。
【0106】
15N/cmを超える結合強度は、良好な値とみなされるが、20N/cmを超える値が好ましい。25N/cmを超える値は、非常に良好であるとみなされる。
【0107】
試験2:70℃における静的せん断試験
寸法13×20mmの接着剤転写テープを、清浄にした2つの鋼プレートの間に結合させた。結合部を、0.260kNで1分間プレスした。その集合体を3日間保存した後、加熱キャビネットと組み合わせたせん断試験測定ステーション上に吊した。負荷は5Nであった。結合部が機能しなくなったら、または設定試験時間が経過したら、試験が終了したとみなした。その結果は、1分ごとに記録し、3回行った個々の測定の平均値とする。
【0108】
良好な値は、200分を超える時間とみなされるが、1000分を超えることが好ましい。5000分を超えると、非常に良好であるとみなされる。
【0109】
試験3:室温および−30℃における動的Lジグ
一端に端部荷重をかけた両面接着テープの剥離力を確認するために、以下の方法を使用した。L字型ジグを、清浄にし調整したABSシート上に置いた、正方形に切り出した試験用被験物(端部の長さ25mm)に結合させた。結合部を、60Nで5秒間プレスした。23℃および相対空気湿度50%で24時間の剥離増加時間の後、Lジグを、引張試験機を用いて速度300mm/分で引っ張った。試験温度−30℃では、引張試験機を適切な気候制御チャンバに入れた。測定を実施する少なくとも30分前に、試験用被験物を−30℃で平衡状態にした。結果は、3回の個々の測定の平均値とする。
【0110】
室温および−30℃の両方で良好な値は、60N/cmを超える力とみなされるが、75N/cmを超える値が好ましい。100N/cmを超える値は、非常に良好であるとみなされる。
【0111】
ポリアクリラートベースポリマーの調製
ラジカル重合で通常使用される反応器に、2−エチルヘキシルアクリラート72.0kg、メチルアクリラート20.0kg、アクリル酸8.0kg、およびアセトン/イソプロパノール(94:6)66.6kgを入れた。撹拌しながら窒素ガスを45分間通気した後、反応器を58℃に加熱し、AIBN50gのアセトン500g溶液を添加した。次に、外部加熱によって浴を75℃に加熱し、この外部温度において一定速度で反応させた。1時間後に、さらなるAIBN50gのアセトン500g溶液を添加し、4時間後に、バッチをアセトン/イソプロパノール混合物(94:6)10kgで希釈した。
【0112】
5時間後と、再び7時間後に、150gずつのビス−(4−tert−ブチルシクロヘキシル)ペルオキシジカーボナートを、各場合アセトン500g溶液として添加して、反応を再開させた。22時間の反応時間が経過した後、重合を停止し、バッチを室温に冷却した。生成物は、55.8%の固体含量を有しており、それを乾燥させた。得られたポリアクリラートは、K値が58.9、平均分子量Mw=748000g/mol、多分散性D(Mw/Mn)が8.9、静的ガラス転移温度Tg=−35.2℃であった。
【0113】
例1
遊星形ローラー押出機内で、顆粒形態の合成ゴムKraton D1118を、固体用の計量設備によって溶融させた。この後、マイクロバルーンペースト(Ethomeen C25中50%Expancel 051DU40)を添加した。単軸押出機で溶融させておいたポリアクリラートベースポリマーを、付属の供給機によって供給し、テルペン−フェノール樹脂(Dertophen DT105)を計量して入れた。混合物を、架橋剤(Polypox R16、Rheofos RDP中15%)および促進剤(Rheofos RDP中15%Epicure 925)の溶液と混合した。溶融物を撹拌し、ダブルロールカレンダーを使用して2つの放出フィルム(シリコン処理したPETフィルム)の間にコーティングした。これによって、層の厚さ1000μmおよび密度550kg/mの単層接着テープを得た。その組成は、48%ポリアクリラート、25%Kraton D1118、18%Dertophen DT105、4%架橋剤/促進剤溶液(架橋剤:促進剤=1:1)、および5%マイクロバルーンペーストであった(数値は質量%)。
【0114】
例2
遊星形ローラー押出機内で、顆粒形態の合成ゴムKraton D1118を、固体用の計量設備によって溶融させた。単軸押出機で溶融させておいたポリアクリラートベースポリマーを、付属の供給機によって供給した。その後、テルペン−フェノール樹脂(Dertophen DT105)を計量して入れた。混合物を二軸押出機に移し、そこで架橋剤(Polypox R16、Rheofos RDP中30%)および促進剤(Rheofos RDP中30%Epicure 925)の溶液と混合した。この後、マイクロバルーンペースト(Ethomeen C25中50%Expancel 051DU40)を添加した。溶融物を撹拌し、ダブルロールカレンダーを使用して2つの放出フィルム(シリコン処理したPETフィルム)の間にコーティングした。これによって、層の厚さ1200μmおよび密度730kg/mの単層接着テープを得た。その組成は、41%ポリアクリラート、35%Kraton D1118、15%Dertophen DT105、4%架橋剤/促進剤溶液(架橋剤:促進剤=1:1)、5%マイクロバルーンペーストであった(数値は質量%)。
【0115】
例3
例1の手順を反復した。これによって、層の厚さ1000μmおよび密度540kg/mの単層接着テープを得た。その組成は、53%ポリアクリラート、23%Kraton D1118、15%Dertophen T105、4%架橋剤/促進剤溶液(架橋剤:促進剤=1:1)、および5%マイクロバルーンペーストであった(数値は質量%)。
【0116】
例4
例1の手順を反復した。これによって、層の厚さ1000μmおよび密度570kg/mの単層接着テープを得た。その組成は、45.5%ポリアクリラート、28%Kraton D1102、15%Dertophen T105、2.5%Piccolyte A115、4%架橋剤/促進剤溶液(架橋剤:促進剤=1:1)、および5%マイクロバルーンペーストであった(数値は質量%)。
【0117】
例5
例1の手順を反復した。これによって、層の厚さ1000μmおよび密度570kg/mの単層接着テープを得た。その組成は、48%ポリアクリラート、28%Kraton D1118、7.5%Dertophen T105、7.5%Piccolyte A115、4%架橋剤/促進剤溶液(架橋剤:促進剤=1:1)、および5%マイクロバルーンペーストであった(数値は質量%)。
【0118】
例6
例2の手順を反復した。これによって、層の厚さ1000μmおよび密度750kg/mの単層接着テープを得た。その組成は、43%ポリアクリラート、28%Kraton D1118、20%Dertophen T105、4%架橋剤/促進剤溶液(架橋剤:促進剤=1:1)、および5%マイクロバルーンペーストであった(数値は質量%)。
【0119】
例7
例1の手順を反復した。これによって、層の厚さ1000μmおよび密度570kg/mの単層接着テープを得た。その組成は、45.5%ポリアクリラート、28%Kraton D1102、17.5%Dertophen T105、4%架橋剤/促進剤溶液(架橋剤:促進剤=1:1)、および5%マイクロバルーンペーストであった(数値は質量%)。
【0120】
比較例1
単軸押出機で溶融させておいたポリアクリラートベースポリマーを、付属の供給機によって遊星形ローラー押出機に供給した。その後、テルペン−フェノール樹脂(Dertophen DT110)を計量して入れた。混合物を二軸押出機に移し、そこで架橋剤および促進剤成分(Polypox R16/Epicure 925)と混合した。この後、マイクロバルーンペースト(Ethomeen C25中50%Expancel 051DU40)を添加した。ダブルロールカレンダーを使用して、溶融物を2つの放出フィルム(シリコン処理したPETフィルム)の間にコーティングした。これによって、層の厚さ1200μmおよび密度870kg/mの単層接着テープを得た。その組成は、71%ポリアクリラート、29%Dertophen DT110、0.3%架橋剤/促進剤、2%マイクロバルーンペーストであった(数値は質量%)。
【0121】
比較例2
手順は、例1と類似していた。これによって、層の厚さ1000μmおよび密度600kg/mの単層接着テープを得た。その組成は、48.5%ポリアクリラート、7.5%Kraton D1118、16%Dertophen T105、19%Piccolyte A115、4%架橋剤/促進剤溶液(架橋剤:促進剤=1:1)、5%マイクロバルーンペーストであった(数値は質量%)。
【0122】
比較例3
手順は、例1と類似していた。これによって、層の厚さ1000μmおよび密度650kg/mの単層接着テープを得た。その組成は、49%アクリラート、27%Kraton D1118、15%Piccolyte A115、4%架橋剤/促進剤溶液(架橋剤:促進剤=1:1)、5%マイクロバルーンペーストであった(数値は質量%)。
【0123】
【表1】
図1