【実施例1】
【0023】
第1 トラップ作動状態管理システム100のハードウェア構成
トラップ作動状態管理システム100について、
図1を用いて説明する。トラップ作動状態管理システム100は、工場やプラント等に形成されるプロセスシステムに分散配備される多数のスチームトラップTの作動状態を、無線通信を用いて管理するシステムである。トラップ作動状態管理システム100は、トラップ作動状態提供装置110、トラップ作動状態管理装置120、及び、赤外線画像取得装置130を有している。
【0024】
トラップ作動状態提供装置110は、プロセスシステムを構成する各スチームトラップTに設置される。トラップ作動状態提供装置110は、スチームトラップTの作動状態を作動情報取得条件に従って取得し、取得した作動状態を作動状態情報としてトラップ作動状態管理装置120に提供する。
【0025】
トラップ作動状態管理装置120は、トラップ作動状態提供装置110からスチームトラップTの作動状態情報を取得し、取得した作動状態情報から各スチームトラップTの作動状態情報を管理し、その作動状態を判断する。また、トラップ作動状態管理装置120は、赤外線画像取得装置130から、スチームトラップTが配置されている蒸気システムの所定領域の赤外線画像情報を取得し、取得した赤外線画像情報から、トラップ作動状態提供装置110の作動状態を判断する。トラップ作動状態管理装置120は、赤外線画像から判断したスチームトラップTの作動状態を用いて、トラップ作動状態提供装置110の作動情報取得条件を変更する。
【0026】
これにより、赤外線画像情報を用いて判断したスチームトラップTの作動状態に応じて、トラップ作動状態提供装置110の作動状態取得条件である作動状態の取得間隔時間を短くできる。つまり、一次的に、簡易な判断方法によってスチームトラップTの作動状態を判断し、二次的に、特定のスチームトラップTについての作動状態の取得方法を変更できるため、効率よく、また、信頼性高くスチームトラップTの作動状態を判断し、管理できる。
【0027】
第2 トラップ作動状態提供装置110の構成
1.トラップ作動状態提供装置110外観構成
トラップ作動状態提供装置110の外観構成について、
図2を用いて説明する。トラップ作動状態提供装置110は、センサ部P101、電装部品配置部P103、及び、中間軸部P105を有している。
【0028】
センサ部P101は、スチームトラップTの作動状態を、各種センサを用いて、電気信号として検出する。センサ部P101は、内部に、スチームトラップTの作動状態、例えば、振動や温度、を検出する振動センサ、温度センサ等、各種のセンサを有している。なお、センサ部P101の詳細な構造については記載を省略する。
【0029】
電装部品配置部P103は、センサ部P101で検出した作動状態に関する電気信号を増幅し、作動状態情報として、他の通信機器に提供するための無線通信回路110hをはじめとする各種回路を有している。なお、電装部品配置部P103に配置されるトラップ作動状態提供装置110のハードウェア構成については後述する。
【0030】
中間軸部P105は、円筒状のフレキシブルパイプ116、及び、フレキシブルパイプ116の内部に配置されるケーブル(図示せず)を有している。なお、フレキシブルパイプ116の内部に配置されるケーブルは、電装部品配置部P103が有する電装部品とセンサ部P101が有するセンサとを電気的に接続する。また、中間軸部P105のフレキシブルパイプ116は、センサ部P101、電装部品配置部P103、それぞれと、下部袋ナットN101、上部袋ナットN103を用いて、接続される。
【0031】
なお、
図3に示すように、トラップ作動状態提供装置110は、所定の固定装置HFを用いて、スチームトラップTに固定される。トラップ作動状態提供装置110をスチームトラップTに固定する際には、センサ部P101の先端Fが、スチームトラップTの例えば入口部に接するように固定する。これにより、スチームトラップTは、先端Fを介して、各種センサから、スチームトラップTの作動状態を取得する。
【0032】
2.トラップ作動状態提供装置110のハードウェア構成
次に、
図2に示すトラップ作動状態提供装置110の電装部品配置部P103の内部に配置される電装部品のハードウェア構成について
図4を用いて説明する。
【0033】
図4に示すように、トラップ作動状態提供装置110は、CPU110a、メモリ110b、無線通信回路110h、及び、センサ通信回路110iを有している。
【0034】
CPU110aは、メモリ110bに記録されているオペレーティング・システム(OS)、トラップ作動状態情報提供プログラム等その他のアプリケーションに基づいた処理を行う。メモリ110bは、CPU110aに対して作業領域を提供する。また、メモリ110bは、オペレーティング・システム(OS)、トラップ作動状態情報提供プログラム等その他のアプリケーションのプログラム、及び、作動状態情報(
図7参照)、作動状態取得条件情報(
図8参照)、システム構成機器ID等の各種データを記録保持する。なお、各種データについては後述する。
【0035】
無線通信回路110hは、無線通信によって、トラップ作動状態管理装置120等の外部の通信機器とのデータの送受信を行う。センサ通信回路110iは、トラップ作動状態提供装置110に配置されている温度センサ、振動センサ等の各種センサと接続され、各種センサからスチームトラップTの作動状態情報を取得する。
【0036】
第3 トラップ作動状態管理装置120のハードウェア構成
トラップ作動状態管理装置120のハードウェア構成について
図5を用いて説明する。
図5に示すように、トラップ作動状態管理装置120は、CPU120a、メモリ120b、ハードディスクドライブ120c(以下、HDD120cとする)、キーボード120d、マウス120e、ディスプレイ120f、光学式ドライブ120g、無線通信回路120h、及び、計時回路120jを有している。
【0037】
CPU120aは、HDD120cに記録されているオペレーティング・システム(OS)、トラップ作動状態情報管理プログラム等その他のアプリケーションに基づいた処理を行う。メモリ120bは、CPU120aに対して作業領域を提供する。HDD120cは、オペレーティング・システム(OS)、トラップ作動状態情報管理プログラム等その他のアプリケーションのプログラムや、作動状態情報データベース(以降、作動状態情報DBとする:
図11参照)、作動状態送信要求予定情報(
図9参照)、及び、トラップ配置位置情報(
図10参照)、システム構成機器ID等の各種データを、記録保持する。なお、各種データについては後述する。
【0038】
キーボード120d、マウス120eは、外部からの命令を受け付ける。ディスプレイ120fは、ユーザーインターフェイス等の画像を表示する。光学式ドライブ120gは、トラップ作動状態情報管理サーバプログラムが記録されている光学式メディア120p(図示せず)からトラップ作動状態情報管理プログラムを読み取り、また、他の光学式メディアからその他のアプリケーションのプログラムを読み取る等、光学式メディアからのデータの読み取りを行う。無線通信回路120hは、無線通信によって、トラップ作動状態提供装置110等の外部の通信機器とのデータの送受信を行う。計時回路120jは、所定のクロックを発生し、トラップ作動状態管理装置120の基準となる時刻を刻む。
【0039】
第4 赤外線画像取得装置130のハードウェア構成
赤外線画像取得装置130は、予め、蒸気システムの全部、又は、一部を含む赤外線画像を取得できる場所に、固定的に設置される。赤外線画像取得装置130のハードウェア構成について
図6を用いて説明する。赤外線画像取得装置130は、CPU130a、メモリ130b、赤外線カメラユニット130c、及び、無線通信回路130hを有している。
【0040】
CPU130aは、メモリ130bに記録されているオペレーティング・システム(OS)、赤外背画像取得プログラム等その他のアプリケーションに基づいた処理を行う。メモリ130bは、CPU130aに対して作業領域を提供する。また、メモリ130bは、赤外線カメラユニット130cから取得した赤外線画像を、作動状態判断基礎画像として、記憶保持する。さらに、メモリ130bは、オペレーティング・システム(OS)、赤外線画像取得プログラム等その他のアプリケーションのプログラム、及び、OS、赤外線画像取得プログラム等プログラムの動作に必要な各種データを記録保持する。無線通信回路130hは、無線通信によって、トラップ作動状態管理装置120との間で、状態判断基礎画像情報等のデータを送受信する。
【0041】
第5 データ
トラップ作動状態管理システム100で用いる主なデータについて、
図7〜
図10を用いて説明する。
【0042】
1.作動状態情報
作動状態情報は、所定時刻におけるスチームトラップTの作動状態、例えば、温度や振動、を示す情報である。作動状態情報は、各種センサを介してトラップ作動状態提供装置110によって取得され、メモリ110bに記憶保持される。
【0043】
作動状態情報のデータ構造を
図7に示す。作動状態情報は、作動状態種別記述領域、作動状態値記述領域、及び、作動状態値取得時刻記述領域を有している。作動状態種別記述領域には、作動状態の種別が記述される。作動状態値記述領域には、作動状態を取得する際に使用するセンサのセンサ値が記述される。作動状態値取得時刻記述領域には、作動状態値を取得した時に計時回路110jが示す時刻が記述される。
【0044】
2.作動状態取得条件情報
作動状態取得条件情報は、トラップ作動状態提供装置110がスチームトラップTから作動状態を取得する際の条件を示す情報である。作動状態取得条件情報は、予め、トラップ作動状態提供装置110のメモリ110bに記憶保持されている。
【0045】
作動状態取得条件情報のデータ構造を
図8に示す。作動状態取得条件情報は、作動状態種別記述領域、通常作動条件記述領域、及び、調整作動状態取得条件記述領域を有している。作動状態種別記述領域には、作動状態を取得するセンサの種別が記述される。通常作動状態取得条件記述領域には、通常動作期間におけるセンサ値の取得条件である取得間隔時間が記述される。通常動作期間とは、対象となるスチームトラップに対して、トラップ作動状態管理装置120から、作動状態取得条件変更情報を取得してから、作動状態取得条件変更解除情報を取得するまでの期間(以下、作動状態取得条件変更期間)を除く期間、つまり、一般的に、対象となるスチームトラップTが正常に動作していると推測できる期間をいう。調整作動状態取得条件記述領域には、作動状態取得条件変更期間において、作動状態を取得する際に適用する条件である取得間隔時間が記述される。
【0046】
3.作動状態送信要求予定情報
作動状態送信要求予定情報は、トラップ作動状態管理装置120が、トラップ作動状態提供装置110に対して、スチームトラップTの作動状態情報の送信を要求する作動状態送信要求時刻が記述されている情報である。作動状態送信要求予定情報は、予めトラップ作動状態管理装置120のHDD120cに記憶保持される。
【0047】
作動状態送信要求予定情報のデータ構造を
図9に示す。作動状態送信要求予定情報は、システム構成機器ID記述領域、及び、作動状態送信要求時刻記述領域を有している。システム構成機器ID記述領域には、トラップ作動状態提供装置110の作動状態を一意に特定するシステム構成機器IDが記述される。作動状態送信要求時刻記述領域には、トラップ作動状態提供装置110に対して作動状態送信要求情報を送信する時刻が記述される。
【0048】
4.トラップ配置位置情報
トラップ配置位置情報は、赤外線カメラユニット130cが撮像する領域に配置されているスチームトラップTの撮像する赤外線画像における位置を示す情報である。トラップ配置位置情報は、トラップ作動状態管理装置120のメモリ120bに、予め、記憶保持されている。
【0049】
トラップ配置位置情報のデータ構造を
図10に示す。トラップ配置位置情報は、システム構成機器ID記述領域、及び、配置位置記述領域を有している。システム構成機器ID記述領域には、赤外線画像に含まれるスチームトラップTを一意に特定するシステム構成機器IDが記述される。配置位置情報記述領域には、赤外線画像におけるスチームトラップTの配置位置が記述される。
【0050】
5.作動状態情報DB
作動状態情報DBは、ネットワークに属するスチームトラップTの作動状態を蓄積した情報である。作動状態情報DBは、各トラップ作動状態提供装置110を介して取得したスチームトラップTの作動状態に基づき、トラップ作動状態管理装置120によって生成され、HDD120cに記憶保持される。
【0051】
作動状態情報DBのデータ構造を
図11に示す。作動状態情報DBは、システム構成機器ID記述領域、作動状態種別記述領域、作動状態値記述領域、作動状態値取得時刻記述領域、及び、受信時刻記述領域を有している。システム構成機器ID記述領域には、作動状態情報を取得したプロセスシステム構成機器を一に特定するシステム構成機器IDが記述される。作動状態種別記述領域、作動状態値記述領域、作動状態値取得時刻記述領域には、それぞれ、取得した作動状態情報(
図8参照)の作動状態種別記述領域、作動状態値記述領域、作動状態値取得時刻記述領域の各値が記述される。受信時刻記述領域には、作動状態情報を受信した時に計時回路120jが示す時刻が記述される。
【0052】
6.作動状態判断基礎画像情報
作動状態判断基礎画像情報とは、赤外線カメラユニット130cが取得する赤外線画像に関する情報である。
図12に示すように、赤外線カメラユニット130cが取得する赤外線画像では、温度の変化が、輝度として現れる。例えば、温度が他の位置よりも高い位置P1は、他の位置よりも高い輝度として現れる。また、輝度の値から、その位置の温度を特定することができる。なお、赤外線カメラユニット130cは固定配置されるため、赤外線画像には、蒸気システムの同じ領域が、常時、写ることになる。
【0053】
第6 トラップ作動状態管理システム100の動作
トラップ作動状態管理システム100の動作について、
図13〜
図16に示すフローチャートを用いて説明する。トラップ作動状態管理システム100は、スチームトラップTの作動状態情報を送受信する作動状態情報送受信処理、及び、トラップ作動状態提供装置110における作動状態取得条件を調整する作動状態取得条件変更処理を有している。
【0054】
1.作動状態取得処理
トラップ作動状態管理システム100における作動状態情報送受信処理について、
図13に示すトラップ作動状態管理装置120の動作を示すフローチャート、及び、
図14に示すトラップ作動状態提供装置110の動作を示すフローチャートを用いて、以下に説明する。
【0055】
(1)トラップ作動状態管理装置120の動作
図13に示すように、トラップ作動状態管理装置120のCPU120aは、計時回路120jから現在時刻を取得し、取得した現在時刻が作動状態送信要求予定情報(
図9参照)の作動状態送信要求時刻記述領域に存在する時刻であるか否かを判断する(S1501)。CPU120aは、現在時刻が、作動状態送信要求予定情報の作動状態送信要求時刻記述領域に存在する時刻であると判断すると、作動状態送信要求予定情報において、取得した現在時刻に対応するシステム構成機器ID記述領域に記述されているシステム構成機器IDを取得する(S1503)。
【0056】
CPU120aは、作動状態送信要求情報(
図10参照)を生成する(S1505)。作動状態送信要求情報は、トラップ作動状態管理装置120からトラップ作動状態提供装置110に対して、作動状態情報を送信するよう要求する情報である。CPU120aは、生成した作動状態送信要求情報を、ステップS1503で取得したシステム構成機器IDのトラップ作動状態提供装置110に対して、送信する(S1507)。
【0057】
CPU120aは、作動状態送信要求情報を送信したトラップ作動状態提供装置110から作動状態情報(
図7参照)を受信したと判断すると(S1509)、受信した作動状態情報に基づき、システム構成機器ID記述領域に記述されているシステム構成機器ID、作動状態値取得時刻記述領域に記述されている作動状態取得時刻、作動状態種別記述領域に記述されている作動状態種別、及び、作動状態値記述領域に記述されている作動状態値を関連付けて、作動状態情報の受信時刻とともに作動状態情報DB(
図11参照)に記述する(S1511)。CPU120aは、動作が終了するまで(S1511)、ステップS1501〜ステップS1511までの処理を繰り返す。
(2)トラップ作動状態提供装置110の動作
図14に示すように、トラップ作動状態提供装置110のCPU110aは、メモリ110bに記憶保持している作動状態取得条件情報(
図8参照)を取得する(S1601)。CPU110aは、計時回路110jでの計時を開始し(S1603)、計時回路110jで計時した時間が、その時点で適用される、作動状態取得条件情報の通常作動状態取得条件記述領域の取得間隔時間、又は、調整作動状態取得条件記述領域の取得間隔時間になると(S1605)、各種センサから、センサ通信回路110iを介して、センサ値を取得する(S1607)。CPU110aは、取得したセンサ値を取得時間と関連付けて、作動状態情報(
図7参照)としてメモリ110bに記憶保持する(S1609)。CPU110aは、動作が終了するまで(S1611)、ステップS1601〜ステップS1609までの処理を繰り返す。
【0058】
一方、CPU110aは、作動状態要求情報を取得すると(S1621)、メモリ110bに記憶保持している作動状態情報をメモリ110bから取得する(S1623)。CPU110aは、無線通信回路110hを介して、取得した作動状態情報を、トラップ作動状態管理装置120に送信する(S1625)。CPU110aは、動作が終了するまで(S1627)、ステップS1621〜ステップS1625までの処理を繰り返す。
【0059】
2.作動状態取得条件変更処理
トラップ作動状態管理システム100における作動状態取得条件変更処理について、
図15に示す赤外線画像取得装置130の動作を示すフローチャート、
図16に示すトラップ作動状態管理装置120の動作を示すフローチャート、及び、
図17に示すトラップ作動状態提供装置110の動作を示すフローチャートを用いて、以下に説明する。
【0060】
(1)赤外線画像取得装置130の動作
図15に示すように、赤外線画像取得装置130の制御回路130aは、計時回路130jにより計測している時間が予め定められている画像取得間隔時間になると(S1701)、赤外線カメラ130cを介して、赤外線画像を取得する(S1703)。制御回路130aは、取得した赤外線画像を状態判断基礎画像情報としてメモリ130bに記憶保持する(S1705)。制御回路130aは、取得した状態判断基礎画像情報を、無線通信回路130hを介して、トラップ作動状態管理装置120へ送信する(S1707)。制御回路130aは、動作が終了するまで(S1709)、ステップS1701〜ステップS1707までの処理を繰り返す。
【0061】
(2)トラップ作動状態管理装置120の動作
図16に示すように、トラップ作動状態管理装置120のCPU120aは、赤外線画像取得装置130から状態判断基礎画像情報を取得すると(S1801)、状態判断基礎画像情報の赤外線画像において、周囲に比して温度が変化している位置を温度変化位置として特定する(S1803)。ここでは、赤外線画像から、周囲の輝度と比較して、輝度の高い場所、及び、輝度の低い位置を温度変化位置として特定する。なお、周囲の輝度としては、例えば、取得した赤外線画像に基づき算出した平均輝度を用いる。また、CPU120aは、取得した赤外線画像から、温度変化位置における温度を特定する(S1805)。赤外線画像における所定位置の温度特定については、所定位置の輝度から算出することができる。
【0062】
CPU120aは、トラップ配置位置情報(
図10参照)を用いて、トラップ位置情報の位置情報記述領域の値と、温度変化位置とを比較し、温度変化位置に対応するスチームトラップTを温度変化スチームトラップとして特定する(S1807)。CPU120aは、温度変化位置、温度変化位置における温度、及び、温度変化スチームトラップのシステム構成機器IDに、画像取得時間を関連付けて、作動状態判断情報として、メモリ110bに記憶保持する(S1809)。
【0063】
CPU120aは、メモリ110bに記憶保持している作動状態判断情報から、温度変化スチームトラップに関するものを取得し、所定時間における温度変化を算出し、所定以上の温度上昇、又は、下降が生じている場合に(S1811)、温度変化スチームトラップに対して、作動状態取得条件変更情報を送信する(S1813)。作動状態取得条件変更情報は、温度変化スチームトラップに対して、作動状態を取得する際の条件を変更するように指示する情報である。CPU120aは、作動状態取得条件変更情報を送信した温度変化スチームトラップと作動状態取得条件変更情報の送信時間とを関連付けて、作動状態取得条件変更スチームトラップ情報として、メモリ110bに記憶保持する(1815)。
【0064】
さらに、CPU120aは、作動状態取得条件変更スチームトラップ情報に対応する温度変化スチームトラップの配置位置の温度を、取得した赤外線画像から特定する(S1817)。CPU120aは、温度変化スチームトラップの配置位置の温度が、周囲に比して変わらないと判断すると(S1819)、対応する温度変化スチームトラップに対して、作動状態取得条件変更解除情報を送信する(S1821)。CPU120aは、作動状態取得条件変更解除情報を送信した温度変化スチームトラップに対応する作動状態取得条件変更スチームトラップ情報をメモリ110bから削除する(S1823)。CPU120aは、動作が終了するまで(S1825)、ステップS1801〜ステップS1823までの処理を繰り返す。
【0065】
(3)トラップ作動状態提供装置110の動作
図17に示すように、トラップ作動状態提供装置110のCPU110aは、作動状態取得条件変更情報を取得すると(S1901)、作動状態を取得する条件を、作動状態取得条件情報の通常作動条件記述領域の値から、調整作動状態取得条件記述領域の値に変更する(S1903)。CPU110aは、動作が終了するまで(S1905)、ステップS1901、S1937の処理を繰り返す。
【0066】
また、CPU110aは、作動状態取得条件変更解除情報を取得すると(S1907)、作動状態を取得する条件を、作動状態取得条件情報の調整作動状態取得条件記述領域の値から、通常作動状態取得条件記述領域の値に変更する(S1909)。
CPU110aは、動作が終了するまで(S1911)、ステップS1907、S1909の処理を繰り返す。
【0067】
[他の実施例]
(1)プロセスシステム構成機器:前述の実施例1においては、プロセスシステム構成機器としてスチームトラップTを示したが、プロセスシステム構成機器であれば、例示のものに限定されない。例えば、
図1に示す減圧弁G、バルブVであってもよい。さらに、ポンプ、セパレータ、フィルタ等の各種流体制御機器であってもよい。これにより、トラップ作動状態提供装置110、210を用いて、スチームトラップT以外の機器の作動状態を監視することもできる。
【0068】
(2)赤外線画像:前述の実施例1においては、赤外線画像取得装置130を介して取得する赤外線画像を用いて、トラップ作動状態提供装置110が設置されるスチームトラップTの作動状態を判断したが、温度分布によって、スチームトラップTの作動状態を判断できるものであれば、例示のものに限定されない。例えば、サーモグラフィカメラを用いて取得するサーモグラフィ画像を用いて、スチームトラップTの作動状態を判断するようにしてもよい。
【0069】
また、スチームトラップTの作動状態を判断できるものであれば、赤外線画像のように温度分布を表示する画像以外の画像を用いるようにしてもよい。例えば、通常の可視画像を用いて、スチームトラップTからスチームが発生しているか否かを判断することによって、対応するスチームトラップTの作動状態を判断するようにしてもよい。
【0070】
(3)各プログラムのフローチャート:前述の実施例1においては、トラップ作動状態管理システム100では、
図13〜
図16に示すフローチャートに従って各処理が実行されるとしたが、各処理の機能・目的を達成できるものであれば、例示のものに限定されない。
【0071】
(4)各データの構造:前述の実施例1においては、トラップ作動状態管理システム100では、
図8〜
図14に示すデータを用いて各処理が実行されるとしたが、各処理の機能・目的を達成できるものであれば、例示のものに限定されない。
【0072】
(5)画像におけるスチームトラップの位置:前述の実施例1においては、赤外線画像におけるスチームトラップTの位置をトラップ配置位置情報に基づき判断したが、スチームトラップTの位置を判断できるものであれば、例示のものに限定されない。例えば、緯度、経度、及び、配置高さのような実際のスチームトラップTの配置位置を示す実配置位置情報と、赤外線画像の取得方向、取得領域とから、赤外線画像における各スチームトラップTの位置を、適時、算出するようにしてもよい。この場合、トラップ作動状態提供装置110が実配置位置情報を記憶保持するようにしてもよい。また、トラップ作動状態管理装置120が実配置位置情報を記憶保持し、適時、トラップ作動状態提供装置110に提供するようにしてもよい。